メモするだけ 、
🍬 レス禁
「 わたし、雨がすきなんだ。 」
あまいお菓子みたいに、すべてが夢みたいにあまいあまい世界だったら、みんなしあわせになれた?
それとも、梅雨のように毎日泣いて、つらいことばかりのほうがしあわせを噛み締められた?
あなたはまるで、飴のようだった
あまくて優しくて、じんわり口の中で溶けていく
あなたとの時間も、そんなふうにじっくり味わっていたはずなのに
いつのまにか生き急いでいた
あなたはもう戻らない あの頃は戻ってこない
「 雨がすき。 」
そうつぶやいたあなたはもう、溶けてなくなってしまった
ふとしたときに思い出す 、あなたのえがお
忘れようとしても 、忘れられなかったの
あなたはいま、どこで何をしていますか ?
新しい友だちはできましたか ?
そのえがおで 、たくさんの人と仲良くできていますか ?
わたしのことは 、憶えていますか ?
桜の下を 、並んで歩いたことも
夜店で買ったりんごあめを一緒に食べたことも
公園で走り回ったことも
雪だるまをつくったことも
雨の日に、傘をわすれてずぶ濡れになりながら帰ったことも
喧嘩して、いっぱい泣いて、仲直りしたことも
全部全部 、わたしは憶えているよ
「 わたし、海がすきなの。だって、海はわたしを救ってくれたんだもの。 」
早瀬 瑠璃 / ♀ / 15歳
( はやせ るり )
浜波高校1年生。雪のように白い肌と栗色の髪が特徴的。
山の方の生まれだが、海がすきで、通学に1時間半もかかる海辺の高校を選んだ。
まわりからは変な子だとして距離を置かれている。不思議ちゃん。
5歳のとき、家族で海へ行ったときに溺れかけ、そこを海の精霊に助けてもらったころから
海がすきになった。山辺の集落で暮らしているため、海へ出て行った瑠璃を嫌う人が多い。
唯一のわかってくれる相手は母の櫻子のみ。父は単身赴任。祖母とは仲が悪い。
「 僕のなかに、いきなりきみが落ちてきたときのこと、いまでも覚えているんだ。 」
名波 汐 / ♂ / 15歳
( ななみ しお )
海の精霊。瑠璃が溺れたときに助けた張本人。
茶髪で群青色の目をしている。見た目は女の子のようだが高身長。
ほんとうの姿は精霊のため、生身の人間ではないが、瑠璃と仲良くなりたくて
海の魔女に亡くなった母の形見のトパーズを売ったため、4ヶ月ほどだけ人間の姿になった。
瑠璃が溺れたことをずっと覚えており、瑠璃が海辺の高校に入学したことを機に転校生として
入学し、瑠璃と同じクラスになる。さまざまな能力が使える。普段は内気でおとなしい。
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雨がやんだらきみとはお別れ
すこしのあいだの雨宿り 、きみはわらう
「 もうすぐやむよ 。だからもうお別れだね 。
また雨が降ったらおいで 。」
もしもきみと 、晴れた空の下を歩けたら 。
もしもきみと 、水たまりを飛び越えられたら 。
きみは 、どんな顔をするかな 。
きみは 、いつもみたいに笑うのかな 。
わたしはきみを、さくらんぼみたいだって思った。
照れると顔を赤く染めるその仕草が、さくらんぼみたいだった。
熟しきっていない幼さと無邪気さも、さくらんぼみたいだ。
きみはわたしのことを、さくらんぼみたいだって言った。
笑ったときの頬の色が、さくらんぼみたいだって、きみは笑った。
天然なのに妙なツッコミを入れてくるところが、さくらんぼの味みたいだって言った。
わたしはきみを、きみはわたしを、さくらんぼみたいだと思った。
あのとき雨に濡れるきみを、どうして僕は助けられなかったんだろう。
きみは、ずぶ濡れの僕に傘を差し出してくれたのに。
きみは、ひとりぼっちの僕に笑いかけてくれたのに。
それなのに、どうして。
きみを助けられなかったんだろう。
きみに、会いたいと思った。