「りすか姫」

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1:匿名さん:2010/04/18(日) 10:45

 幸せいっぱいの、毎日をおくっていた王子さまにも、年貢の納めどきがきました。
 結婚のときが、来たのです。
 結婚式を終えた、王子さまはお姫さまと、二人のために建てられた新しいお城へやってきました。
 王子さまのあたらしい生活がはじまりました。
 でも、王子さまは幸せだったかといえば、そうではありません。
 両親の国王さまと王妃さまとともに住んでいた、都のお城での『情熱的な』暮らしを恋しがってばかりでした。

2:匿名さん:2010/04/18(日) 10:45

                         ☆
 
 王子さまの国は豊かで平和でした。
 継嗣である王子さまは、国王さまと王妃さまの愛情を一身にうけて、満ち足りた暮らしをおくっていました。
 そういう中で育った王子さまも背がのび、ヒゲがはえはじめる歳になりました。
 王子さまは異性を意識する歳になったということです。
 お城のなかにいても、城下の街中にいても若い女性ばかりに目がいきます。
 そんなある日の朝、城下の街を散策していると、なにげなく見た先にいた、一人の娘に目が釘づけになりました。
 娘は、建物の間に消えていきます。
 王子さまは、お供の者に娘はどこの誰なのか、調べてくるように言いつけました。
 そして、王子さまは城にもどり、自分の部屋のなかをうろうろしながら、今か今かと、お供の者の報せをまちます。
 お供の者が、戻ってきたのは夕方ごろでした。
 王子さまは、イライラが積もっていましたので、爆発寸前でした。
 でも、お供の者の顔を見て、怒りがスッと無くなってしまいました。
 王子さまは、すかさず、あの娘はどこの誰だ、とたずねます。
 お供の者は、今まで見たことのない王子さまの気迫のある顔にたじろぎながらも、娘の身元と名前を告げました。
 それを聞いた王子さまは、さっそく侍女として、召しかかえることをきめました。

3:匿名さん:2010/04/18(日) 10:46

                         ☆
 
 王子さまは、父である国王さまに、侍女として召しかかえたい娘がいるとおねだりしました。
 国王さまは、王子さまがなにを望んでいるのか、すぐに察します。
 自分も王子さまの歳ごろには、望んでいたことです。
 王子さまの頼みを聞きいれました。
 こうして娘は、王子さまの侍女となりました。
 娘の美しさもさることながら、その肉肉とした肢体が、王子さまの性の渇きを刺激します。
 侍女ですから、王子さまは娘に身のまわりの世話をさせました。
 でも、王子さまは、娘に親切にしたり、贈り物もあたえました。
 ですから、娘もすっかり王子さまを好きになりました。
 そうして、二人は時間をかけることなく、なるようになった仲となってしまいました。
 王子さまは、朝も昼も夜も、娘に若い性を叩きつけます。
 娘もよろこんで、受けとめました。
 でも、そんなことをしていたら、娘は身籠もってしまいます。
 結局、娘は、国王さまの配慮で、お城から出されて都からはずれた土地にある家に住まうことになりました。
 王子さまは、娘がお城を出されることに、すっかり気落ちしてしまいました。
 自分も一緒についていきたいくらいです。
 国王さまは、その期を待っていたかのように、婚姻の話を切り出しました。
 王子さまの国は、豊かで平和です。
 ですが、それも他国と上手につきあっていればこそでした。
 婚姻も、つき合いの一つで、とっても重大事です。
 さて、結婚相手は、過去何度か戦争をしたことがある隣国のお姫さまでした。
 国王さまの言うことでは、百合の花のような姫君だ、とのことです。
 王子さまは娘に未練がありましたが、王族の結婚の意味がわからない訳ではありませんでしたので、承知しました。
 

4:匿名さん:2010/04/18(日) 10:47

                        ☆

 しかし、今はため息の多い毎日です。
 物は言いようで、確かに、百合の花のようなお姫さまです。
 顔は病的に白く、体はガリガリにやせ細っています。
 『植物としての』百合の花そっくりです。
 それだけならまだしも、趣味は魔術でした。
 一日中カーテンを閉め切った部屋で、怪しげな儀式にふけっていました。
 王子さまは、お姫さまとの『義務』ははたしていましたが、骨が浮き出た皮膚に嫌でなりません。  
 できるなら、お姫さまとの行為はさけたいのでした。
 王子さまは、都のお城で、娘を抱いていたことを思い出しては、恋しがりました。
 思いは日に日に強くなり、娘に会いに行くことにしました。
 娘と会うことは、国王さまから禁じられているにもかかわらずです。
 王子さまは、国王さまに拝謁するという口実をもうけて、都のお城に行った帰りに、娘の家へ立ち寄ります。
 娘は、おもいがけない王子さまの訪問に、喜んで迎えいれました。
 そして二人は、昔のように燃え上がるのでした。
 ですが、国王さまに会いに行くという口実だけでは、王子さまの欲をまかなうことはできません。
 毎日、国王さまのもとへでは、あやしまれます。
 ですから、領地の視察とか、知人に会いに行くとかという理由も見つけて、娘のところへできるだけ多く通うことにします。
 さて、王子さまは、うまくやっているつもりでも、しょっちゅう出かけることに不自然さを感じとる者もいるもので、お姫さまの侍女の一人が、お姫さまにそのことをうちあけました。
 そこで、お姫さまは、王子さまのあとをつけるように、その侍女に言いつけました。
                          

5:匿名さん:2010/04/18(日) 10:47

                        ☆

 今日も、王子さまは友人に会いに行くといって馬車ででかけます。
 そして、その後を侍女が変装し馬に乗って追います。
 そして、王子さまは友人の家ではなく、娘のいる家の前に馬車をとめて、家の中へ入っていきました。
 侍女がそれを確かめると、その家には誰が住んでいるのか調べて、お姫さまに告げました。
 それを聞いたお姫さまは、王子さまが帰宅するなり、王子さまの部屋に飛び込んで、激しい口調で何をしていたのか問いただします。
 王子さまは、あっさりと浮気していたと言いました。
 そのあとに続けます。妾をもつのは悪いことではない、よその国では、国王専用の売春宿まである、それに比べれば、つつましいことではないか、我が妻よ、と言ってのけました。
 王子さまも、腹をくくったのです。
 別れてよ、とお姫さまは叫びました。
 でも、王子さまは、そこを許すのが妻としての徳だと、冷静な顔で言ってのけました。
 すると、お姫さまは自分の部屋戻って、カミソリを持ってくると、左手首に当てて、別れて、と言います。
 その脅迫に驚いた王子さまは、お姫さまからカミソリを取り上げようとしました。
 しかし、カミソリは、ひかれたのでした。
 手首から、血があふれだしてくるではありませんか。
 王子さまは、近くにある布をつかんで、手首から流れ出す血を止めようとしましたが、お姫さまは部屋から逃げ出しました。
 王子さまは、人を呼んで、お姫さまをつかまえるように言いました。
 自分も、お姫さまのあとを追います。
 そして、お姫さまは、お城の外に駆けだしました。
 左の腕といわず、服にも血かがふりそそぎます。
 そのあとを、王子さまと、お城に詰めている人たちが追います。
 その様子を、お城の近くに住んでいる領民たちが、何事だろう、とながめています。
 左の手首から血を流しながら走るお姫さまと、それを追う王子さまたち。
 そして、お姫さまは走り疲れて、地面にすわりこみ、王子さまたちにつかまってしまいました。

6:匿名さん:2010/04/18(日) 10:48

                            ☆

 このあと、お姫さまと、王子さまはどうしたでしょうか?
 王子さまは、娘のところに通うことをやめたのでしょうか?
 それとも、通いつづけたのでょうか?
 また、お姫さまは夢中になっている魔術で、娘を殺したり、カエルに変えたりしたのでしょうか?
 でも、知られていることは、お姫さまが「リスカ姫」と人々から呼ばれていることです。

                                          〈おしまい〉

     


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