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1:アニホとミシン ◆R0Fg:2010/07/14(水) 16:05

小説初心者な中学生女子が書く、低レベルな物語です。
バトルあり、ギャグあり、グロあり。恋愛模様を描写するのは苦手なので、あったとしてもたまにしか出てこないと思います。
下らない話であることは本人が充分に理解しておりますので、中傷や荒らしはご遠慮下さい。
では、先ずはプロローグから・・・。



〜プロローグ〜


帝学園

それは何十kmもの領地を東北の彼の地に構えた、全国からありとあらゆる分野において優秀な成績を残す可能性のある者。
いわゆる「天賦の才」と呼ばれる才能を持ち合わせた子供たちを集め、芸能界・政治界・経済界など、ありとあらゆる世界の全てに優秀な人材を送り出すために生まれた大型の英才学校だ。

芸能界へと送り出される生徒たちを集めた、「赤百合組」。
政治界へと送り出される生徒たちを集めた、「黒百合組」。
経済界へと送り出される生徒たちを集めた、「黄百合組」。

そして、どこの世界にも送り出されない、特殊能力を持った子供たちが集められる「無百合組」。

この物語は、帝学園無百合組とその愉快な仲間たちによる、友情と、ギャグと、笑いと、時々感動や悲しみが混じったりもする、一騎当千に難攻不落の奮闘記である―――――

2:アニホとミシン ◆R0Fg:2010/07/14(水) 19:12

第一話(1) 夜明けの悪夢


東北地方某県に位置する、とある大手製造メーカーの大型ビル。
周りに立った低いビルや民家を見下すように建てられた無駄な高度を誇るそのビルの中で、三十代後半と思しき容姿の男性が、薄暗い廊下の上を静かに煙草をふかしながら無言で見回っていた。
懐中電灯の人工的な光を帯びて、淡く闇夜に発光する大理石の廊下。その明らかにビルの外観には不釣合いな材質の廊下でコツコツと足音を鳴らしながら、警備員の男性は懐中電灯で照らされた角をクルリと曲がった。
警備員の身体と懐中電灯の動きに合わせて、煙草から立ち上る煙もゆらゆらと人魂のように揺らめいている。
これが自分の健康を害す物体だと分かっていても、どうしても止められない。同じ警備会社の同僚から電子タバコを勧められたこともあったが、アレはヘビースモーカーな自分には合わないだろう。吸わない内からそう決め付けて、今日も自分は相変わらずタバコに火を灯している。
年頃の娘や口うるさい女房に「臭い」とよく文句を言われる煙草の煙を開放感と共に肺に満たしながら、警備員―――相模英昭(サガミ・ヒデアキ)は、夜の静寂が支配する廊下を慣れた様子で突き進んでいた。
静寂の海の中に波紋を広げる自分の足音と、闇夜を切り裂く人工的な光。そして息遣いと共に口から吐き出される煙以外に、この場を支配する物は存在しない。

(―――この感覚が好きで、俺は警備員になったんだ)

幼稚園時代の「警察官になりたい」という夢は叶わず、小学生だった時の「電車の運転手」という第二の夢の結果も、今の自分の状況を見れば誰だって理解出来るだろう。
しかし自分は、今の職業だってそこそこ格好良いものなんじゃないかと少し誇りに思っている。
警察官と警備員。漢字の読めない子供からして見れば同じようなものだろうし、事実、自分も子供の頃は警察官と警備員の違いがよく分からなかった。
まだ娘が小学生だった頃にはよく「おとーさんは、けーさつだからせいぎのみかただよね?」と輝いた目で自分を見上げてきたことを、未練がましく未だに覚えている。今は反抗期の真っ只中で一言話しかけようとするたびに「ウザい」「キモいんだけど」と暴言しか吐かないような娘だが、小学五年正になる前までは本当に天使のように可愛かったのだ。もちろん親バカだとは自分でも思っているが、それでも自慢したくてしたくてしょうがなくなる程の愛らしさだった。きっと娘の為なら、自分は命を捨てることすら微塵も厭わないだろう。

「あ、警備員さん。異常は無いかな?」
そんな事を考えていた矢先。唐突に出くわしたのは、見るからに作り笑いと分かる偽善的な笑みをそこそこ女にモテそうな柔和な顔に貼り付け、少し背伸びした感がある高級そうなスーツを着たこの会社の社員だった。
雇い先の会社の社員の氏名なんて一々覚えていないが、確か佐藤だか田中だかそんな平凡そうな苗字に現代風のマセた名前のチャラチャラした奴だったような気がする。うちの娘に出来たばかりの彼氏にそっくりで、はっきり言ってあまり良い印象は持っていない。
さらにはっきり言うと、娘に手を出す男にソックリな奴なんて死ねばいいと思っている。
「はっ、特にありません!」
しかしそんな逆恨み的な感情など表情には出さず、ビシッとキレのいい敬礼と共にそう声を張り上げる警備員。
「そうか。なら、いいんだけどね。引き続き、ここの警備頑張ってね?」
心の中では明らかに「警備員の癖にタバコ吸ってんじゃねぇよ、社長にチクるぞ」と愚痴っていそうな瞳を温和そうな笑顔で包み隠して、立ち去っていく佐藤か田中。
そんな後姿に向かって頭の中で唾を吐きかけた後、最近年のせいか疲れやすくなってきた足に鞭を打って、警備員の男は見回りを再開した。


―――そう。この時まで、社会に何千人でもいるであろう警備員の一人にすぎなかった相模英昭の人生は、至って普通のものだったのだ。
しかし彼の適度な不幸と適切な幸福に恵まれた平凡な人生は、社員の男との会話から一分とたたないうちに、一気に悪夢の最下層にまで突き落とされるのだった。

3:アニホとミシン ◆R0Fg:2010/07/14(水) 19:14

(2)



「あ・・・っ?」
そんな、間の抜けた声しか出すことが出来なかった。
叫びたくても、突然の恐怖と緊張で凝り固まった声帯からは大きな声なんて出せない。
無意識にガチガチと騒々しい音を立てる歯と、寒くなんてないはずなのにガタガタと大きく震える自分の身体。
普段は網膜を保護している涙が消え失せ、干からびたように乾ききった瞳でソレを見つめる。
地面に落としてしまったせいで一点のみを照らし続けることしか出来ない懐中電灯は、スポットライトのようにその異様な光景を映し出していた。

そこにいたのは、眼球は充血していて明らかに正気を保っていない、だらしなく開いた口元からは大量のよだれと力の抜けた舌を垂らし、麻薬中毒者の成れの果てのような形相をした、そんな―――――そんな社員の生首を持った、銀髪の少女だった。

「あ、え、ちょ・・・は・・・?」
正直、訳が分からなかった。
何故、さっきまで自分と離していた男が急に死体に、それも生首なんて滅多にお目にかかれそうもない状態になっているのか。
何故、防弾ガラスと大量の警備員で守られているはずのこのビル内に、こんな年端もいかぬ少女が立っているのか。
何故、何故―――――生首を掴んでいる手とは逆の少女の左手には、赤黒い血液が付着した斧が握られているのか。

「―――――――――――!!!!!!!!!!!!」
ビルを震わすような、耳を劈く強烈な悲鳴。
何と叫んだのかは、自分が一番聞きたかった。
気がつけば自分は一目散に少女に背を向け、懐中電灯を放置したまま一目散に駆け出していた。
不審者を捕らえるのが警備員の仕事?知ったことか。
会社の懐中電灯を置いたままでいいのか?うるさい。
とにかく、とにかく今は、あの謎の少女から逃げなくては―――――!!!
「あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああぁぁぁぁぁぁあああああああぁぁぁぁっっっ!!!」
喉が焼ききれて声帯が爆破されそうな悲鳴を轟かせながら、とにかく必死に走った。」
足が縺れて、転倒する。しかしまた直ぐに起き上がり、悲鳴を上げながら泣きそうな顔で逃げた。
口に咥えていたタバコはもう既になく、どうやら逃亡の途中で落としたらしい。
脂汗とも冷や汗とも取れない不気味な汗が目に入って、思わず眼球を抉り出したい衝動に襲われる。

4:アニホとミシン ◆R0Fg:2010/07/14(水) 19:15


「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅうううううぅぅぅっ・・・・うがあぁぁぁぁぁああああぁっ!!!」
目を瞑って、耳を押さえて。血の臭いなど無視するように、口だけで呼吸をして。ひゅうひゅうと呼吸器が限界を訴える音を無視して走っていたら、急に走れなくなった。
全身という全身を大理石で強打して、重い鈍痛が体中を駆け巡る。
(また足が縺れたのか、なんてポンコツな足なんだ。いい加減にしないと、切り落とすぞ!)
自らの足に見当違いの責任を押し付けながら、荒い呼吸で体勢を変え、自分の足を睨みつけるようにして見る。

―――そして、絶句。
―――次いで、悲鳴。
「うわあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁぁぁああぁぁっ!!!???」
自分の足首を強烈な握力で握り締めるその手を―――首から上が存在しない高級そうなスーツを着た社員の手を、警備員は闇の中に見てしまった。
「はあっ、はあっ、はあっ・・・・!!!!!!!!!」
渾身の脚力で足首を掴む社員の手を振り解こうとするが、離れない。むしろ首無しの化け物と化した社員の手は、こっちが力を入れれば入れるほど握力を増しているように感じる。
「うぅっ・・・・離せ、離せ離せ離せ離せ離せ離せ離せ離せ離せ離せ離せ離せ離せ離せ離せ離せ離せぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
狂ったようにそう叫びながら、護身用として腰に差していた警棒を振り上げ、相手の手首に思いきり振り下ろす警備員。
グチュリ。腐った牛肉が潰れるような音がして、化け物の手首は簡単に粉砕された。
しかし、粉砕されただけだった。
胴体から切り離されてもなお力を増していく化け物の握力。腐肉のごとく脆い手のひらが握力に負けたのか、手の甲はミチミチと気持ち悪い音をたてて裂けていき、中からはピンクと赤の中間のようなグロテスクな色をした筋肉がピュッと飛び出してきた。
飛んできた筋肉の欠片が、ペチャリと水っぽく頬に張り付く。胴体から切り離されても行動力を失わなかった手のひらと同じく、欠片となった筋肉も未だに生暖かいままでピクピクと痙攣するようにおぞましく動いていた。
「ぎゃぁぁああああぁぁぁぁぁっ!!!やめろ、やめてくれっ!!!お願いだからやめてくれぇぇぇぇぇええええぇぇぇぇぇっっっ!!!!!!!!!」
常温の手のひらでこね回したミンチのような筋肉を、腐肉を、脂肪を。血と体液にまみれた警棒が叩き続ける。ドピュッ、ドピュッと化け物の身体から噴出す生ぬるい腐肉と血液の一部が、サイケデリックな模様を描いて制服を汚していった。
それでも全く緩まない化け物の力に、警備員はますます警棒での打撃を化け物の肉体に浴びせ続けた。
叩く、やはり緩まない。もっと叩く、それでも緩まない。
「☆♪※?△■◇#$★刀`!!!!!!!!!!」
もはや人のものとは呼べないような奇声を発して、今度は素手でペースト状になった腐肉を殴りつける。

5:アニホとミシン ◆R0Fg:2010/07/14(水) 19:15



「・・・」
そんな悪夢的な光景を、少女はずっと無言で眺め続けていた。
身体が現在ペースト状態になっている社員の生首を右手に、錆びた鉄の臭いを放つ斧を左手に。
そして少女はその無機質で機械的な目には似合わない色づいた果実のような唇を僅かに開くと、左手をゆっくりと持ち上げながらこう呟いた。

「・・・飽きた」

ヒュンッ、とまるでぺティナイフでも扱うかのような手軽さで振り下ろされた斧は警備員の首を簡単に切断し、ドサッ、とめでたく生首の仲間入りを果たした警備員の頭部は大理石の廊下に落下した。
引き攣った顔のまま地面をコロコロと転がっていく警備員の頭部を下等生物を見るような目で見た後、少女は静かに身を翻した。
コツコツとブーツの音を大理石の廊下に響かせて悠然と、何事も無かったかのように無表情で階段を下りていく少女。―――その周りに散らばっている五十人ほどの社員や警備員の死体など、どうでもいいという風に。

「私は『夜明けの悪夢』」
ビルの出入り口から見える薄紫の満月を睨みつけ、少女は言う。

「―――家族の復讐を果たすまで、私はそういう存在であり続ける」




【ヘボ作者の言い訳】
なんか学園バトルものって書いたくせに、ただのグロテスク殺人シーンになってすいません。
次の(3)では、本作のメインキャラクターとなる少女たちが登場する予定です。この(1)と(2)はいわば前座というわけですので、描写が低レベルで支離滅裂な上にしかもグロいだけなのには突っ込まないでください・・・!

6:レンナ ◆VQmQ:2010/07/15(木) 16:08

…素晴らしいです!!
それぞれの場面の描写、各人物の心中など上手く掛けており良かったです!
続きを楽しみにしていますね^^

7:アニホとミシン ◆R0Fg:2010/07/15(木) 21:58

>レンナ様

ありがとうございます!
部活動や勉強であまり書き込める時間が無いので更新スピードは亀並みになると思いますが、レンナ様からの声援を糧に頑張っていきたいです!

8:レンナ ◆VQmQ:2010/07/17(土) 15:28

いえいえ^^
ええ、頑張ってください!!
私も同じ身なので^^

9:アニホとミシン ◆R0Fg:2010/08/18(水) 17:15

(3)


この世界の人間は、大きく分類して四つに分かれている。

合理的に説明できない超自然な能力を使う、『超能力者』
魔法を使い常人には成せぬ事を実現させる、『魔術師』
空も飛べないし発火能力も無いただの人間、『一般人』
そして魔術も超能力も使える人外的な存在、『特殊能力者』

超能力や魔術がまやかしかインチキだと囁かれているこの現代で、そのどちらも確かに存在している。
超能力の発祥地であるインドには四百名あまりの『超能力者』が存在しているし、魔術の発祥地であるヨーロッパには三百を軽く超える『魔術師』が住んでいるのだ。
もちろん日本にも、超能力者と魔術師は確かに存在している。

『超能力者』と『魔術師』
この両者は長きに渡りどちらの力がより素晴らしいかを言い争っており、それは時に口論の域を超え、戦争や殺生沙汰にまで発展している。

一人の超能力者は『超能力は神に選ばれし者の才能』だと咆哮し、一人の魔術師は『魔術は神の子のみがおこす奇跡』だと宣言した。
自分を神だと思い、成り上がり、自分こそが【神】という王位に相応しい人間だと互いに醜く、時に美しく争いあう。
そんな愚かな超能力者と憐れな魔術師から疎まれ罵倒され、そして羨ましがられるのが『特殊能力者』だ。

同胞からの迫害も非難も差別も無く、神々からも愛されることのない『一般人』
大勢の一般人から迫害され非難され差別され、神々から少ししか愛されない『超能力者』
沢山の一般人から罵倒され敬遠され侮蔑され、神々からの愛を微かにしか受け取れない『魔術師』
その希少さ故に一般人からの迫害も無く、神々から唯一無二にして絶対的な愛情を注がれる『特殊能力者』

神の【才能】も【奇跡】も両方手に入れた、神に最も近い存在である特殊能力者。
彼ら(彼女ら)はまるで神に愛される為に生まれてきたように、身の凍る美貌と、常識から大きく逸脱した能力と、類稀なる才能を持ち合わせている。
世界の何からも祝福され、敬愛され、幸福を与えられる、世界に二十人といない特別な存在。

10:アニホとミシン ◆R0Fg:2010/08/18(水) 17:16

どれだけ神に近づけたつもりであろうとも、所詮は人間に過ぎない超能力者と魔術師。
ある日とつぜん人間から神に最も近い存在へと生まれ変われる、特殊能力者。
微弱なようで、絶大なその差異。

そんな彼女らを崇め奉る者もいれば、嫌い疎む者もいる。

そしてそんな両者がいがみ合い、歴史上類を見ないであろう殺戮戦争。
後に「ラグナレク」と呼ばれ人々に狂気と狂喜の戦争として恐れられる戦いが始まるのは、もう少し後の話―――


          ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


帝学園の中でも、無百合組というクラスはとにかく浮いた存在だった。
それもその筈、それはクラスとは名ばかりの戦闘集団のようなものなのだ。

そのメンバーははとにかく異常。

突きでコンクリートをぶち抜き、蹴りでアスファルトを削り上げ、手刀で鉄板を切り裂く、ハーフでもないのに名前がカタカナのコスプレ美女―――谷川ロマンス(タニガワ・ロマンス)
平安時代より以前から続くとされる歴史ある殺し屋の血統、裏世界の全てを統率しているとまで謳われる木神様一族のエースとして名高い殺し屋の少女―――木神西里(キガミ・セイリ)
戦闘性に限っては日本で五本の指に入るとまで言われた剣術の師範代の一人娘にして、自らも剣豪として裏の世に名を馳せている見目麗しき剣闘士―――繭村恵華(マユムラ・ケイカ)
リボンやレースといった少女趣味的なアイテムと甘やかな桃色に身を包み、真紅のトンファーを両手に神速のスピードで地を駆けるロリータファッションの乙女―――霧間星牙(キリマ・セイガ)
裏世界では全くの無名ながら、裏社会では名実共に頂点に君臨している望月財閥の長女にして、無百合組で唯一戦闘能力を有さないスーツ姿の凛々しき少女―――望月純(モチヅキ・ジュン)

彼女らは皆、世界に二十人程度しかいないとされている特殊能力者だ。
皆タイプは違えど揃って絶世の美女と表現するに相応しい美貌を持っており、そして超能力と魔術の両方を有している。

そんなRPGにいれば間違いなくチートだと揶揄されるようなスキルを持った彼女達は、今日も帝学園という変わった学園のとある教室内で、一般人となんら変わり無い学校生活を送っている――――――


筈が、無かった。


          ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「ねぇねぇ純ちゃん、知ってるぅ?また昨日も『夜明けの悪夢』っていう連続殺人犯が、どこかの企業のビルでたっくさんの人を殺しちゃったんだってぇ。怖いねぇ、星も気をつけないと」

語る内容にはあまりに不釣合いな、間延びした甘ったるい声。自身のことを星(セイ)と呼ぶロリータファッションに身を包んだそんな少女を、隣にいるスーツ姿の人物が窘める。

「星牙。いくら我らに関わりの無い人物の死だとは言え、そのような物言いではあまりにも不謹慎だろう。少しは言い方を考えろ」

肩につかない程度でばっさりと切り揃えられた漆黒の髪に、深い紫で彩られたオカルティックな瞳。
純ちゃんと呼ばれた、抜けるような白い肌と古風な口調が不釣合いな彼女は望月純。

11:アニホとミシン ◆R0Fg:2010/08/18(水) 17:17

真横の席で楽しそうに事件の内容を語っている霧間星牙の友人にして、望月財閥の長女だ。
彼女の身体を覆いつくすように着られているブラックの男性用スーツは見るからに高級品だと分かる品で、ネクタイだけとっても福沢諭吉が二人くらい消費されていそうな質だった。
シルクハットを思わせる目深に被った帽子もブラックで、こちらもかなりの高級品に見えた。
純はそんなシルクハットめいた帽子を窓から吹き込む風で飛ばされないように押さえつけながら、ニコニコという効果音がピッタリの笑顔で殺人事件について語る星牙に再度話しかけた。
「・・・まぁ、そんな事は我らの言えた義理では無いか。ところで星牙、その『夜明けの悪夢』という連続殺人犯がどうかしたのか?」
「ううん、特に何も無いよぉ。ただ、面白そうだったから色々と調べてみただけぇ」
「そうか。ふむ・・・我もあまり良い話のネタを持っていない。暇つぶし程度に、聞かせてくれ」
お茶の間を賑わせる連続殺人犯を「面白そう」という理由で調べる女子中学生もどうかと思うのだが、純はそんなことを意に介する様子も無く話の続きを促した。
純のそんな何気ない言葉にニパァッと向日葵が咲いたような明るい笑顔で大きく頷くと、星牙はいつも以上のハイテンションで連続殺人犯『夜明けの悪夢』について語りだした。
「『夜明けの悪夢』っていうのは、ネット内のチャットとか掲示板でそう呼ばれてるのが世間一般に広まったからそう呼ばれてるんだけどねぇ。何でも、殺された被害者が発見されるのが決まって月が沈んでから日が昇るまでの間だかららしいよぉ。アリもネズミも入り込めないような厳重な警備に守られたビルとか家に突然姿を現して、五分もたたないうちにみーんな殺しちゃうんだってぇ。それで犯行が終わったら、なんとぉ!自分から電話がかかってくるらしいのぉ。「○○市の○○町にある○○というビルで、人を殺した」みたいな感じでぇ。でもおまわりさんが駆けつけたときにはもう犯人の姿はどこにもなくて、代わりに首と身体が離れ離れになっちゃった人間の死体がゴロゴロー!!!」
両手をバッと広げて大きな声で叫ぶ星牙に、視線が集まることはない。彼女の奇行などクラスメイトにとっては当たり前の光景であり、そもそもそのクラスメイト自体がもっと可笑しいのだから。

12:アニホとミシン ◆R0Fg:2010/08/21(土) 17:52

「ふむ、確かに中々面白そ―――コホン。否、興味深い事件ではあるな。たった五分で複数の人間を斬殺にするなど、人間業とは到底思えぬ」
面白そうと。と口走りそうになったのを乾いた咳で誤魔化し、照れ隠しとばかりに星牙の会話に積極的に参加していく。その姿を先ほどよりも数段嬉しそうな表情で眺めながら、星牙はやはり異常なまでのハイテンションで連続殺人事件という恐ろしい事件を映画か何かのあらすじを紹介するような気軽さで語った。
「きゃははっ やっぱり純ちゃんもそう思うぅ?だよねぇ。一週間前にあった某資産家一家皆殺し事件の時なんかは、使用人やペットのアイリッシュウルなんちゃらっていうワンちゃん一匹まで含めて実に十三人が殺されちゃったって言うしぃ?しかも斬殺、首切りだよぉ?たったの五分間でそんな芸当が出来る人間なんて聞いたら、星は西里が犯人なんじゃないかって疑いそうになったよぉ」
「人間十二人と犬一匹を足して、どうやったら十三人になる」
冷淡にツッコミを入れ、帽子を押さえていない方の手で缶コーヒーを口に近づけ、上等のものを楽しんでいるかのような動作でゆっくりと飲む。
そして数秒ほど間を空けると、缶コーヒーから友人へと視線を戻した。
「西里が犯人か・・・その仮定は面白いが、しかし真実である可能性は限りなく零に近いだろうな。西里にとって「殺人」という行為は生業であり家業、決して己の趣味嗜好が関わるものではない。・・・もっとも、使っている大鎌―――名前は確か、≪殺戮領域―――キリングフィールド≫と言ったかな。あの武器を愛用しているのは、西里自身の趣味嗜好だそうだが」
「あははっ、それもそうだねぇ。っていうか西里なら、そもそも五分間で十二人と一匹なんて“中途半端”な数字を斬殺しないか。キリングフィールドは・・・アレ、何で使ってるんだろうねぇ?死神とかのイメージで首を斬りやすいって思われてるらしいけどぉ、ぶっちゃけまだ日本刀とかの方が斬首には向いてるのにぃ」
「その方が名が売れやすいのではないか?我はあまり裏世界の事情に精通しておらぬ故、確証は持てぬのだが」
「まぁ、なんにせよ西里にしか分からないことだよねぇ」
「それを言っては元も子もないのだが・・・確かに、そうだな。それにしても、いつの間にか連続殺人犯の話題からクラスメイトの話題に移行してしまったというのに、語る内容が対して変わらぬというのは果たしてどうなのだろうか・・・」
「しょうがないんじゃないかなぁ?だって連続殺人犯と殺し屋って、二つとも関わるキーワードは「殺人」だもん」
キーンコーンカーンコーン・・・と丁度いいタイミングでなったチャイムを合図に、ファッションは置いておいてそれ以外の点ではまるっきり優等生である純が会話を中断する。
(あははっ・・・好きな人と喋ってると時の流れを早く感じるっていうけど、それって女の子同士でも適用されるんだねぇ)
そんな客観的に見てどうでもいいつまらない事を思いつつ、こちらも素直に雑談を取りやめた星牙。視線を少し右に移動させれば、トラブルメーカーを通り越してトラブルハッカーとまで呼ばれているプロポーション抜群の美少女、谷川ロマンスの席は空になっていて、こちらも彼女と同じ理由で今日は欠席している木神西里の席もそうだった。
つまり、今日この教室にいる無百合組の生徒は、望月純・霧間星牙・繭村恵華の三人ということになる。

「総勢5人のクラスって、二人休んだだけで三人になるんだねぇ・・・」
当たり前の事を呟いて、夏特有の照りつけるような日差しに晒された無人のグラウンドを見つめた。無駄にただっ広い、砂漠のようまでとはいかないものの砂丘と呼んでも差し支え無いようなグラウンド。そこに見える前日の生徒達が残したと思われる足跡を見つめながら、今はここにいない二人のクラスメイト達に思いを馳せた。
(二人とも今日は『任務』だから休むって昨日言ってたけど、あの二人が行かなきゃ片付かないような任務って何だろ・・・)
(・・・まぁ、いっか)

13:アニホとミシン ◆R0Fg:2010/08/21(土) 17:54

一時間目の数学の存在を無視しろと叫んでいるような強烈な睡眠欲に身を委ねて、とても春うららとは表現できないような日差しの中、彼女は全ての思考を放棄して眠りに着くのだった―――――


          ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「で、その『夜明けの悪夢』っつー今話題のイかれた連続殺人犯をどうにかすんのが、今回あたしらに言い渡された『任務』ってワケなのか?」

東北地方某所―――――とある有名ファーストフードチェーン店。

その一角で塩味の細いポテトをつまみながら、抜群のプロポーションを誇る金髪の美少女―――谷川ロマンスは そう言った。

14:アニホとミシン ◆R0Fg:2010/08/22(日) 19:23

その姿は、まさに壮麗。

宵の夜空に圧倒的な美しさを以ってして浮かび上がる満月の様な、鮮やかにして艶やかな黄金の髪。
その見事な髪の純粋にして荘厳な美を引き立てるように、髪形は飾り気の無い単純なポニーテールにしてある。
夏場の飲食店特有の効き過ぎた冷房が送り出してくる冷風を鬱陶しがるように細められた瞳は、激しい太陽の照りつける大海原を思わせる透き通った青。
惜しげもなく外気に晒された肌は弱々しさを感じさせない健康的な白さで、中学生離れしたまさに「抜群」と表現するしか無いようなプロポーションも含めれば、まるで中世ヨーロッパの宮殿から抜け出してきた良家の姫のようだった。

ただし、いま彼女が着ている服が―――胸元や背中の大きく開いた、深いスリット入りの真紅のミニ丈チャイナドレスでなければの話だが。

「ロマンス・・・アンタ、昨日の説明聞いてへんかったんか」
どんなコスプレ専門店に行ってもここまで扇情的なチャイナドレスはないと断言できるようなエロティック極まりない真紅に身を包んだ、向かい席の友人。そんな友人に呆れ半分と言った様子の表情で発言しながら、谷川ロマンスのクラスメイトにして木神一族の殺し屋である少女、木神西里はSサイズのオレンジジュースを口に含む。
明らかに関西弁と分かる口調である彼女だが、ここは関西でも近畿でもなく東北。西里が一言発する度に周りの客から物珍しげな視線が飛んでくる。しかしそんな物は自分の世界には存在しないとばかりに、西里はそれらの興味本位な視線を無視していた。もしくは自分よりも多くの好奇と興味の視線を受けている目の前の金髪碧眼美少女はそれらを全く意に介していないのだから、自分も倣わなければならないと思ったのかもしれないが―――別にどちらだろうと彼女が視線を気にしていないという事実は変わらないので、そんな事はどうでもいいだろう。
「ははっ あたしが人の話を全く聞かない女だって事は、自他共に認める周知の事実だろ!んな今更なコトをあたし相手にピーチクパーチク言ってたら、カレンダーの日付が変わっちまうぜ?」

15:クロス:2010/08/22(日) 19:40

えっと余計な口挟むんだけどいいかな?

16:アニホとミシン ◆R0Fg:2010/08/22(日) 20:32

>クロスさん

ええ、よろしいですが・・・何か不味い描写や不適切な表現でもしてしまいましたか?
駄作ながら長文を心掛けるようにはしましたが、何せ力不足なもので・・・。
もしもお気に触れてしまったようでしたら、先に謝罪しておきます。
申し訳ありませんでした。

17:クロス:2010/08/22(日) 20:41

先に謝っておくが話は読んでませんm(__)m
で言いたいことは文がゴチャゴチャしてて読みにくいところかな
もう少し行を短くして一行空けて書いたら読みやすいんじゃないかな?
まあオレの言うことなんか聞かなくていいけどね

18:全自動SS投下機械 ◆Z0k2 hoge:2010/08/22(日) 21:24

文頭にスペース一個空いてないのが読み難い原因やも。
面白ければ作法なんてどうでもいいんですけどね!

19:アニホとミシン ◆R0Fg:2010/08/22(日) 21:42

>クロスさん

文がゴチャゴチャしていて読みにくい・・・ですか。
私は普段から読書が趣味というか生き甲斐なので、あのくらいの文章はむしろ短いくらいだと認識していましたが・・・確かに小説を読み慣れていない方々にとって、あれは無駄に長々しい文章を詰め込んだだけの読む気も失せる無数の文字の羅列なのかもしれませんね。
行を短くするとは、つまり表現や描写自体を簡略化して短文に改変するという事でしょうか?
私はあまり文才が無い為、語彙やボキャブラリーの多さで一文を装飾して表現が被らないようにしています。
なので文章を簡略化した場合、短くても人の心を惹き付けるような文章が書けない私は、小説そのものが書けなくなってしまいます。
なので文章の簡略化への改変は勘弁して頂きたいです、申し訳ありません・・・。
行を一行開けるのも、私の無駄に長ったらしい駄文で実行した場合とてつもない違和感が生じるんです。
それに普段から文章と文章の間に一段落分の空間を設ける事を実施していたら、特定のキャラクターの台詞や行動を強調したい時に一段落開けても全く強調させられなくなってしまいます。
これも一段落開けなくとも読んだ瞬間に目が離せなくなってしまうような名文を思い浮かべる事が出来る天才の皆様なら心配ないのでしょうが、残念なことに読書量しか取り柄の無い凡人極まりない私如きでは小細工を用いて無能を誤魔化すのがやっとでして・・・。
せっかく頂いた素晴らしいアドバイスなのに、何一つ実行出来そうに無い愚者で申し訳ありません。

今年でもう中学二年生になるのに、小説を書き始めた小学校卒業間際からなんの進歩もありませんよ・・・。

20:アニホとミシン ◆R0Fg:2010/08/22(日) 21:47

>全自動SS投下機械さん

文頭のスペースですか・・・なるほど、それは盲点でした。
名前と文章の間に何一つ空間が開いていなければ、確かに読みにくいです。
これならば才能の無い私でも実行出来そうな気がするので、次に文章を投稿する時は実践してみようかと思います。

21:クロス:2010/08/23(月) 08:06

オレが言いたいのは文はそのままで一回に書く量を少なくしたらどうかなってことだよ

22:アニホとミシン ◆R0Fg:2010/08/25(水) 11:05

>クロスさん

なるほど、そういう事でしたか・・・。
理解力の少ない人間で、申し訳ありませんでした。
それならば実践出来そうですので、次からやってみたいと思います。

23:クロス:2010/08/25(水) 11:17

うんがんばってね

24:アニホとミシン ◆R0Fg:2010/08/28(土) 14:57


無駄に色気を纏った妖艶な口元をニィと蠱惑的に歪め、健康的な色香を放つ足をこれでもかというほど大胆に組みかえた。
その瞬間、周りの客達から黄色い悲鳴にも似た歓声が上がった。
しかしロマンスはそんな歓声など自分にとっては当たり前だという風に、むしろ歓声が上がらないことこそが異常だという風に、ただ机に頬杖を着いてニヤニヤと美しく微笑んでいる。

歓声はBGM、羨望の眼差しは背景。

どこまでも自信と力に満ち溢れ、自分に絶対の信頼と信用を置いて、どんな危険地帯にも地獄にも単身軽々と、猪突猛進に荒々しく真っ直ぐ突き進んでいく豪勇なる王女。

それが彼女。≪破壊王女―――バイオレンスエンプレス≫こと、谷川ロマンスだ。

25:アニホとミシン ◆R0Fg:2010/09/14(火) 22:45


「・・・アンタのそういう所、ウチの家におる筋肉ジジイとソックリやわ」
「ははっ 強い奴が好きなあたしには褒め言葉だぜ、ソレ」
悪びれる様子など全く無いロマンスと、それを見てはぁと溜息を吐く西里。
清楚な趣を感じさせる美少女には、似つかわしく無い所作だった。

「大体よぉ、その流行の連続殺人犯が超能力者か魔術師だったとしてもだぜ?何でたかが殺人者(アマチュア)如きに、殺し屋(プロ)の西里まで動かなくちゃなんねぇんだよ。こんな任務、あたし一人で充分じゃねーか?」
「アホか。アンタが単体でやったら周りの建物壊すし関係無い群集まで巻き込むしで、大惨事やわ。今回のウチは、せいぜい保健程度にしか見られてへんやろ。相手を殺したらアカン任務に対して、ウチの家業は決して有利とは言えんしな。・・・それに比べて、戦闘はアンタの得意分野や。むしろ引き下がるべきは、アンタ(破壊者)やのうてウチ(殺し屋)の方なんかもしれへで?」
由緒正しき殺し屋一族、木神一族のエースであり≪死刑執行―――ジャッジメント≫の二つ名を持つ美少女は、含みのある笑みを浮かべてそう嘯いた。

さて、ここで木神一族について少し説明しておこう。

『木神一族』
それは平安初期の時代から密かに裏世界で暗躍し殺人技術を磨いてきたとされる歴史ある殺し屋一族の総称で、親族間での結婚が多い為に血が濃くなり、よく人格的に欠陥や穴を持った子供が生まれるという事でも有名な血族達である。
生まれ持った木神の血の濃さにより殺し屋としての才能が決まり、そして血が濃いければ濃いほど狂人になる確率が高くなる。


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