☆黒子のバスケ二次創作★

葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧 [書き込む] Twitter シェアする? ▼下へ
1:流慰:2010/08/04(水) 00:26

これは二次創作の小説のスレです。
そうゆうのがお嫌いな方はスルーしてください
荒らしはお断りです。来た場合には削除してもらいます
感想などはご自由に

作品傾向
短編だったり長編だったりと色々です
とりあえずちまちま出していきます
カップリングなんか話しでギャグ調なんであしからず

2:流慰:2010/08/04(水) 01:17



『思いこみ』





それはたまたま出かけたら、たまたま黄瀬に会って、たまたま時間があるからちょっと話しこんでて、たまたまバスケの話になって、たまたま黒子の話になったから。
それ以外に理由なんてない。そんな偶然がたまたま重なっただけ。

そう『たまたま』重なっただけ…………

「黒子の影って何であんなに薄いんだ?」
「えっ…………なんでオレに聞くんスか?」
何気なく思っていたことがポロっと口から出てきたある日の午後。
隣に座っている黄瀬は目を丸くしたままオレの方を見ている。
「だって……オマエ一応黒子の元中で仲間だろ。なら知ってっかなーって」
ベンチの背もたれに、盛大にもたれかかって上空の青空に目をやりながら言った。少しだけベンチが軋んだ音を立てた気がする。
「そんなの生まれつきっスよ。それ以外で何が言えるんスか」
黄瀬は、呆れたため息とともにその言葉を吐きだした。
「いや………それ以外に仮説があるんだよ、オレの中に」
「………なんスかそれは。まさか黒子っちが透明人間だーとか言いだすんじゃないっスよね」
「んなわけあるか!!」
大声で怒鳴ったオレの言葉を遮断するかのように黄瀬は耳を塞いだ。
「じゃあなんだって言うんスか〜」
「それはな……………」

遠くでカラスの鳴き声が聞こえ始めた。




「黒子っち、黒子っち!!大変っス!!今、火神っちが!!」
「なんですか黄瀬君。少し黙らないと直ぐ電話切りますよ」
騒がしい相手を黙らせ、騒いでいた詳細を聞くと、どうやら火神君が慌てて僕のところに向かってきているらしい。
「また何でそんなことを………いったい何を吹き込んだんですか」
「えっ、責任オレっスか!!?てゆうかオレは何にも言ってないっすよ。火神っちが勝手に勘違いしただけ…………ごめんなさい。嘘です。ちょっとだけ吹き込んだっス。だからそんな黙らないでくださいっス。あの………ホントごめんなさいっス。本当のこと話すんでそろそろ相槌ぐらいうってくださいっス」
今にも泣きそうになったところでようやく許して話をしてあげることにした。
「で………いったい何を吹き込んだんですか」
「実は…………」
黄瀬君の口から真実を聞き出せると思った瞬間、慌ただしい足音が聞こえてきてその真実が僕の耳に入るのを妨げた。
何事かとその音の方を見ると、今まさに話題の中心である火神君が息を切らせてあたりを見回していた。
そして、僕と目があったかと思うと勢いよく駆けてきた。
「黒子っ!!!おまえっ…………」
「いきなりどうしたんですか、火神君」
口調はいつもと変わらないように心がけながらも、内心はさすがに動揺していた。
何をそんなに慌てているのかも分からないし、何より掴まれてる腕が痛いし、火神君の目がギラギラしているから。
「オマエ……………」


「オマエ……ホントに忍者だったんだな!!」


「…………………………は?」
あまりのことに思わず聞き返した。
「ずっと思ってたんだよ、お前の影がなんでそんなに薄いのかって!で、オレはお前が忍者なんじゃないかって思ったんだよ!!で、今日黄瀬にそれを聞いたらそうだって教えてくれたからきたんだよ!!なあなあホントにカエルに化けられんのか!!?巻物加えて煙り出すのか!!?オレにもそのやり方教えてくれよ!!」
ギラギラしていたと思っていた目は良く見たらヒーローとかを見る子供のキラキラした目に見えてきた。
手に持った携帯からは通話中の信号が出ており、電子機器の向こうから黄瀬君の笑っている声が聞こえてくる。腹を抱えて笑っているであろう姿を思い浮かべると腹が立ってきた。
アレだコレだ言っている火神君を少し落ちつかせ、未だ聞こえてくる笑いの主に言い放った。

「今度会った時は覚えといてくださいね、黄瀬君」

かなりの怒気をはらんだ声でそう言った後、相手の返事は聞かずに電源ボタンを押した。
直ぐに真っ暗だった画面から通話終了の画面に切り替わった。

黄瀬君を黙らせるのはいいとして、火神君を黙らせるのは骨が折れそうだ。なんせここまで思いこんでいるのだから。


彼の心もこの画面みたいに直ぐに変ってくれればいいのに…………。



遠くからだと思っていたカラスの鳴き声は大きくなってきた。

3:流慰:2010/08/04(水) 19:57



『竹トンボ』



「せーの…………えいっ!!」
クルクルと勢い良く回転しながら空に舞い上がった竹トンボ。
「おー………よく飛ぶな」
「へへーん。どう?少しは見なおした?」
「オレはいつも見なおしてばかりっスよ……」
結構長い間宙を舞って、竹トンボは堅い音を立ててアスファルトの上に落ちた。
「よくやりますね、みんなも」
一人外れてベンチに腰掛けている僕の目に映る風景は、変哲もない日常に染まっている。
「桃っち上手っスね。よーし、オレも………」
桃井さんの飛ばし方を見て、コピーした黄瀬君の手から黄色に塗られた竹トンボが宙に解き放たれた。
「よっし!!とん……あー!!!」
高く宙に浮きあがろうとしていた竹トンボは無情にも高く伸ばされた手により、アスファルトに叩き落とされた。
普通よりも大きな音を立てて竹トンボが地面に当たった。
「何するんスか青峰っち!せっかく飛んだと思ったのに!!」
「うるせーし、こんなもんごときでギャーギャー騒ぐなよ」
「今のは青峰君が酷いよー。てゆうかこれ飛ばすの結構難しいんだよ。青峰君もやってみたら分かるって。ほら、自分の持ってるでしょ。飛ばしてみなさいよ」
桃井さんはそう言うと、無理やりカバンの中から青に塗られた竹トンボを取りだし、無理やり青峰君の手に押しつけた。
少し渋った様子を見せるも、根負けしたのかため息をつきながら竹トンボを構えた。
少し上に放る感じで飛ばされたそれは桃井さんよりも高く、長く、宙を舞った。
「やったからいいだろ」
青峰君はけだるそうにそう言って呆けている二人の方を向いた。
「…………以外」
「……………以外っス」
呆けている二人の口から出てきた言葉は予想できた言葉だった。
そして、呆けて静かになった数秒後目を輝かせながら二人して青峰君に詰め寄った。
「いつの間にそんなの練習してたの!!?青峰君ったらいっがーい!もー、黙ってないで言ってくれれば私も練習するの付き合ったのに!!」

4:流慰:2010/08/04(水) 19:58

「青峰っちバスケ以外にもできることあったんスね!!オレビックリしたっスよ!!ビックリしすぎてちょっと思考停止しちゃったっスよ」
「うるせー!!もともとだ!!てゆうか、できて悪いか!!」

ギャーギャーと騒いでいる3人を大人しく見ていると、
「何であいつらはああやって騒いでいるのだ?」
「みんな元気だね〜」
「あっ、緑間君、紫原君。戻ってきたんですね」
コンビニへ行っていた二人が戻って来たことにより、ようやく帰れそうだと腰を上げた。
「なんでも今日、もらった竹トンボを飛ばして遊んでいたら青峰君が以外にも上手で、黄瀬君と桃井さんが称賛して騒いでるだけです」
カバンを肩にかけながらそう言うと、二人から返事が返って来なかった。
どうしたのかと目をやると、二人とも驚いた顔をしていた。
「二人ともどうしたんですか?」

「アイツはバスケ以外にもできることがあったのか…………」
「…………いっが〜い」

だいぶ予想していた言葉とは言え、本当に聞くと言葉が出なくなる。
「それを本人の前で言えたら二人とも称賛してあげますよ」
そう言って今もまだ騒いでいる青峰君たちの方を見ると、黄瀬君が青峰君にホールドを決められているところだった。
「黒ちん………俺らにあーなれって言ってるの〜?」
「まあ………ざっくり言ったらそうゆう意味になるのかもしれませんね」
「断る」
「相変わらず緑間君はノリが悪いですね。………………消えればいいのに」
最後の言葉をボソッと呟くように言ったのに、地獄耳の緑間君は目ざとく聞き付けたらしくこちらを睨んできた。
「てゆうかみんなちゃんと持ってるね〜あの竹トンボ」
「さすがに手渡された時は戸惑ったがな。とゆうより何故赤司がこんなものを作って来たのかが分からん」
そうゆう二人の手には紫と緑の色で塗られた竹トンボがあった。
「何も意図はないと思いますよ…………多分」
そう言った僕のカバンの中にも黒で塗られた竹トンボが一つ、部活のにおいを染み込ませた物と一緒になって入っている。
そんなことを言っていると、青峰君の制裁が終わったのか黄瀬君が首をさすりながら三人そろってこちらに向かってきた。
「みどりんもムッ君もお帰り〜」
「あれ………赤司は?」
「赤チンは忙しいから先に帰っとけって言われたんだよね〜」
「またっスか〜。なんか最近赤司っち忙しいっスよね〜。コンビニみんなで寄れないのってつまんないっスね」
「まあ、いいじゃないですか」



「僕らの時間はまだ時間はたっぷりあるんですし」



「時間は…………たっぷりありましたね」
手の中の竹トンボにそう呟くと、顔をあげてから手の中の竹トンボを宙に放った。


少しだけ飛んだ竹トンボは土で成り立っている地面に音もなく落ちた。

5:匿名さん:2010/08/04(水) 20:27

誰が話してるのかわからないから見分けができるようにした方がいいと思うよ
ええとこれって荒らしに入らないよね

6:流慰:2010/08/04(水) 20:52

>>5
ちょっと今書くのスランプってるんで
そう言うコメント助かります
荒らしには入らないんで大丈夫です

7:匿名さん:2010/08/04(水) 20:53

よかったそう言ってもらえると嬉しいです

8:チルノ ◆W8/Y:2010/08/04(水) 21:15

上手いですねー。
カギカッコの頭にキャラの名前もついてないですし。
セリフ多めの二次創作小説でここまで上手とは…。
応援してますね^^

9:匿名さん:2010/08/04(水) 21:18

カギカッコの前に頭文字を書けばわかりやすいですよ

10:流慰:2010/08/04(水) 21:34

>>8
応援ありがとうございます
でも今はスランプですから出てくるのは
こんな短文ばかりですけどね

>>9
時々そうゆうのも書いてますけど、
それは動作の描写をしていないホントに会話文の時だけなんです
カギカッコの前に名前付けなくてもわかりやすくなるように精進します

11:匿名さん:2010/08/04(水) 21:36

がんばってください

12:流慰:2010/08/05(木) 00:09

>>11
ありがとうございます


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




『Sの休日』



街中でよく見かけるファストフード店『マジバーガー』
いつもは部活仲間と駄弁ったりするために活用する場所に、今日は一人で来ていた。

やっぱ一人だとつまんないよな〜……だれか誘えば良かったかな……

そんなことを考えていると、近くで「あっ」と小さく叫ぶ声が聞こえた。
声のする方に目をやると、見たことのある顔が二つ。
「もしかしてお前って……あの正邦の春日?」
「そっちは……秀徳の宮地に………」
「桐皇の今吉や。以後お見知りおきを〜」
オレが確認する前に向こうから名乗って来た。
手をヒラヒラとさせながら笑顔で言ってきているけど、何か裏があるような気がする。
「もしかして一人?ならオレらと一緒にしないか?オレらも偶然会ったんだよ、ここで」
抽象的な綺麗な顔で笑顔を向けられても何か黒いものがあるように見える……。
でも…………
「いいよ〜。オレも一人で暇してたし」

いつか対戦するかもしれない相手高校。
片方は王者の座を守って来た高校だし、もう片方は全国三位の実績持ってるし。
何か情報が手に入ればラッキーかな…………。

そんなことを思いながら宮地の隣の椅子に腰かけた。
手に持っていたトレイをテーブルの上に置いて、頬杖を突く。
「で、なんの話する?」
オレが切り出した質問に、二人は合わせたわけでもないのに同時に答えた。


「「もちろん、バスケの話(やろ)でしょ」」


自分でも口の端がつり上がっていくのが分かった。


* * * * * * * * * * * *

13:流慰:2010/08/05(木) 00:10



「………………で、あの占いバカさ〜何度言ってもわがまま止めないんだよ。いい加減刺したくなるオレの心境も考えろっての」
「せやけどまだ練習まじめに出るだけマシやで。わしんとこなんか練習すらでぇへんから」
「でもむかつくんだよね〜」
初めはバスケの話だったのだが、いつの間にか今年入った新入部員の愚痴になりつつあった。
手に入るかもと思ってた情報も何にもなく少し残念だったが、こう愚痴を言い合うのも悪くないと思う。

ってもうちはそこまで大変じゃないけどね〜。キセキみたいな化け物はいないし。

「春日はどうなんだ?」
少し自分の思考に没頭していたせいで、宮地からいきなり話しかけられた気がした。
「えっ、何が〜」
あくまで平静を装っているけど、多分聞いてなかったことはばれてる。
「ちゃんと聞いとけよ〜。あのな、もしも自分所の生意気一年に制裁加えるなら何がいいいかってことだよ。オレは刺すか轢くかだな〜。大坪の許しが出たらやってもいいって言われてるんだよ!」
実際に自分がやるところを想像したのか、宮地の声が次第に大きくなっていった。
「で、わしはどうせなら制裁やなくて調教のほうがええな〜と。傲慢なのも卑屈なのも調教でなんとかなる思うしな………」
そう言った今吉の顔はただ笑っていだけだった。
でも、いつも笑っているように細められている目が薄く開いて外部にさらされている瞳がそれが本心だと物語っている。
「で、春日はどうなんだよ。あのスタメンの一年坊主いたじゃん。アイツも結構アレな性格みたいだしさ〜どうしたい?」
宮地の言葉が頭の中をグルグル回る。

津川は結構Sで聞きわけなくて無茶する時もあるけど結構いいところもあるからな〜
でも、やっぱときどきうるさいよな〜………でもあの性格は嫌いじゃないし……
グリグリ頭気持ちいしな……おもちゃにも持って来いだし……からかうと楽しいしな……
てゆうか制裁ってどんなんだっけ?

「お〜い?聞いてる〜?」
気がつくとまた自分の思考に沈んでいた。
宮地がオレの目の前で手を振っている。今吉は普段通りとゆうよ言うに手元にある飲み物を飲んでいる。
「ああ………聞いてるよ〜。で、制裁だけどね〜」
「うんうん!」
「………………どうするんや?」
二人が身を乗り出さんばかりに聞いてきた。
ちょっともったいぶらせるために自分の買ったお茶をを口に含んで、舌で味わったあとゆっくりと切りだした。
「あのね………………多分オレは…………」

14:流慰:2010/08/05(木) 00:11

「オレは………?」
「…………………」

「オレは………………岩村に任せると思うな」

今はいない同じバスケ部のキャプテンで相方的存在のことを思い浮かべて言った。
「他人任せかいな!!」
今吉がツッコミと同時にテーブルを勢いよく叩いた。
大きな音がして、店内にいる何人かの視線が集まった。
「今吉〜そんなに怒鳴んないでよ〜。………だってオレのとこ一応キャプテンの力が強いんだから〜。宮地のとこもそうでしょ?」
同意を求めるために宮地の方を見ると、先ほどとうって変わりテンションが低くなってるのがわかった。
「そうだけどさ〜………自分の手でしたいと思わないの〜?」
「う〜ん………それもない事はないけどさ〜………」

「毎日やってるから別に特別自分の手でやろうとは思わないんだよね〜」

オレの言葉に二人の行動が止まった。
「毎日って…………?」
先に口を開いた今吉は、さすがにキャプテンと言ったところいだろうか。
こうゆう時は再生が早い。
「いや〜。だって毎日後ろから腕で首絞めたり、ボール投げつけたり、頭締めたりしてるしね〜。あと、精神攻撃?」
「あー!それだったらオレだってやってるよ!」
ハイハイ!!と手を上げて自分のも聞いてくれと示してきた宮地の方を見ると、本心からの笑顔だと見える表情で話し始めた。
「オレの場合は手刀で脇腹さしたり、タックル決めてロッカーにぶつけさせたり、あと、わざと怖い話ししたり、あることないこと吹き込んで混らさせたり!!」
「大体どこも同じことしとんのやな〜」
「なら今吉はどんなことしてるの〜」
ちょっと話が合うかもと興味本位で斜め前に座っている今吉に聞いてみた。
今吉は唇を釣り上げると、少し声を弾ませながら話し始めた。
「わしは、直接やのうて精神的にやからな〜。まず威圧感で黙らせてからグチグチ言うと相手はくるみたいやで〜。あと、反発するやつは正論で黙らせるがいいな〜。あの優越感はたまらんわ。それに、反応がおもろいやつとかはついつい苛めたくなるんやよな〜」
「あっ、それわかる!!反応が楽しいからもっと面白い反応見たくてやるよな〜」
今吉の意見に宮地が明るい声で賛同した。オレもその意見は心から同意できる。
「てゆうかオレらってなんか似てるのかもね〜」
「せやな…………てゆうか自分最初ちょっと企んでたやろ」
「あれ〜バレちゃった?でも、そっちも同じでしょ〜。宮地も」
「なんだ、わかってるじゃん。まあ、あんま隠してなかったし当然か」
「まあ、いいんじゃない〜?」
トレイに乗ったお茶を持ったら大量の水滴がついた。結構話しこんでいたんだとわかる。

「情報はどこも手に入らなかったけど、もっと面白いものが手に入ったし」

二人とも少しの間呆けた顔をしていた。
そして、三人とも顔を見合わせて笑った。



時にはこんな事もあるのかもしれない


こんな時があってもいいんじゃないかなって思った休日の午後。

15:匿名さん:2010/08/05(木) 09:26

面白怖いです

16:流慰:2010/08/05(木) 16:36

>>15
新しい表現ですね(笑
感想ありがとうございます


ここからはリクエストなどあったら取り入れてみようと思います。
出てくるキャラとか、シチュとか書き込んでくれたら
それに沿うようにして話を書いていきます。
それと、何かあったらこれまで通り書き込んでください。

17:匿名さん:2010/08/05(木) 16:38

キセキの世代がみんな出てくるのがいいです

18:流慰:2010/08/05(木) 16:56

>>17
承りました。

19:匿名さん:2010/08/05(木) 16:59

いいんですか

20:流慰:2010/08/05(木) 17:01

いいですよ
でも、できれば現在の方がいいのか帝光中時代が良いのかを教えてくれると助かります。

21:匿名さん:2010/08/05(木) 17:04

えっとそれはおまかせします

22:流慰:2010/08/05(木) 17:05

わかりました。
近日中に作品として上げときますね

23:匿名さん:2010/08/05(木) 17:06

急がないでも大丈夫ですよ

24:流慰:2010/08/05(木) 17:08

書くのは楽しいのであまり苦になりませんから
大丈夫ですよ

25:匿名さん:2010/08/05(木) 17:11

じゃあ期待してます

26:流慰:2010/08/05(木) 17:12

その期待にこたえられるよう頑張ります

27:流慰:2010/08/08(日) 13:42




『超人たちの独り言』



「いい天気ですね〜………」
屋上のフェンスに寄りかかりながら、黒子テツヤは上空に広がる青空を見上げた。
「今日の昼食はここでとってよかったですね、火神君」
「いや、オレは別に食べられればどこでもいいし」
火神君はそう言って屋上の床に山盛りに積み上げられたパンの袋の中から一つ掴むと、パリッと音を立てて袋を開けた。
「相変わらず風情が全くないですね………」
そんな火神君を横目に、自分の持っている野菜ジュースを一口すすった。
甘い味が口に広がる。
「………なんつー顔してんだよ」
パンを加えながら呆れたように言った火神君の方に顔を向けた。
「………何のことですか?」
「ん」
火神君が自分の眉間に指を当てて軽くたたいた。
それを見て、自分の眉間に手をやると指から凹凸の感覚が伝わって来た。
「…………僕だって眉間に皺を寄せることだってありますよ。それに君なんていつも寄せてるんですから人のこと言えないじゃないですか」
軽くため息をつくと、もう一回野菜ジュースを飲んだ。
「オレのことはいいんだよ!!………お前が甘いもん飲んでるのに不機嫌そうな顔すんのって珍しいと思ったからだよ!言って悪かったな!!」
まるで子供のように声を荒げてからまたパンを口にし始めた火神君の方に目をやった後、うーんと考えるような仕草をする。
「う〜ん………………………う〜ん…………………ん〜〜……………………ん〜……………………う〜……「なげぇ、上にうぜぇ!!静かにしろよ!!」
「君だけには言われたくないんですけど」
そして、また一口ジュースを飲んだ。
「……で、答えは出たのかよ」
不機嫌なままな様子なので口調が荒い火神君に、今頭の中にある最大の可能性を口にしてみた。
「多分………………シェイクじゃないからだと思います」
「オマエどれだけシェイクに依存してんだよ!!」
うるさい火神君を横に、再び空を見上げた。
そんな僕に火神君は何を言ってもしょうがないとパンの方へと手を伸ばした。
「………………………………」
とても小さな声で空に向かいながら口を小さく動かした。
「ん?なんか言ったか?」
微かに聞こえた僕の声を聞き取ってか、大量にパンを口に含みながら火神君が僕へと顔を向けた。
火神君の疑問には答えず、黙って空を見続けた。
火神君は僕のそんな態度に不機嫌にはならず、自分の食事に戻った。


聞こえてくるのは火神君の咀嚼する音だけ。


* * * * * * * * * * * * * *

28:流慰:2010/08/08(日) 13:52



「時間は!!?」
屋上へと続くドアを勢いよく開けると、携帯をヒラヒラと振って見せている森山さんが一番に視界に入った。
「残念、タイムオーバーだ」
「マジっスか〜!!!今回は自信あったのに………」
「てゆうかそんなに落ち込んでないで早くくれ。頼んでたものあったろ」
「はいっス……」
両手に持っている袋の一つを渡すと、森山さんの隣に座っていた笠松さんが声をかけてきた。
「お疲れ。でも、やっぱ無理があるんじゃねぇのか?この距離を10分って」
「だってしょーがないだろ、こいつから言いだしてきたことだし。さしずめオレ達はそれに協力いいセンパイだってことだろ」
笠松さんの言葉も森山さんの言葉もその通りだ。
この屋上から、正反対の校舎の一階の売店に行って10分以内に戻ってくるなんてムリは承知でオレがしてること。でも………
「さすがに袋二つ分はちょっと量が多いと思うんスけど……」
買う時間は大体の予測で省いてもらっているけど、それよりオーバーしてしまうことだってある。
「それも踏まえてオマエ承諾したじゃん」
そう言いながら森山さんが袋からパンを取りだして、オレに一つ投げてよこした。
「うおっ……そうっスけど……ってなんでもないっス」
それを受け取ると、もう一つの袋を持って笠松さんの隣に腰を下ろした。
「センパイに頼まれてた分っス……オレのもあるんでとったらこっちください」
「ん、わかった」
その返事を聞いて、オレは自分の切れた息と乱れた髪を整えた。
首のボタンを外して風を取りこみたかったけれど、少し考えてそれは止めておいた。
三年に交じっている一年がとる行動じゃない。
「やっぱ疲れてんじゃないのか?」
少しボーッとしていると、笠松さんから声をかけられた。心配されているようだ。
「大丈夫っスよ!!それに……もう暑いっスから。それが原因っスよ」
心の中で最後に多分とゆう文字を加え付けてそう言った。
「ふ〜ん…………熱中症にならない程度ならいいけどよ」
手渡しながらそう言うと、オレから顔をそらした。
「気をつけるっスよ」
苦笑しながら答え、袋の中から買ってきたスポーツドリンクを取りだして飲んだ。
甘さが口の中に広がる。けれど、甘さが足りない気がする。
「あ〜………アイス食べたいかも」
過去の楽しい光景を頭に思い浮かべながら小さく呟き、また一つドリンクを口にした。

足りないのに甘ったるい味が口の中に広がった。


* * * * * * * * * * * * * *

29:流慰:2010/08/08(日) 14:02



「とゆうわけで、緑間!!イッツプリーズフォーミー!!」
「断る」
「なんで!!?いいだろ!ケチケチケチケチケチケチケチ!!」
「うるさい、黙るのだよ」
「てゆうかそれオレが買ってきたんだからオレにだって分けてくれたっていいだろ!!」
「………いい加減静かにするのだよ」
気にするまでもないざわざわと霧散とする教室の喧騒も、一気に集中して向けられれば気にならない方がおかしい。
オレと高尾の言いあいにより、クラスの視線がオレ達の方に向いている。
いつものことと言えばいつものことなのだが、今回は高尾がどうにも引きそうにない。
「いいじゃん!そんなことより、オレはすっげーそれが気になんの!!てかホント買った時思ったけど……」
高尾の指がオレの飲んでいるものを指した。
「それ、何!!?」
「餅入りお汁粉の期間限定冷たいうえに味も抹茶に小豆をブレンドしてその中に○秘調味料を入れて出来上がった絶妙なバランスの甘さを誇る『お汁粉抹茶味(餅入り)』なのだよ。しかも数量限定の」
「なに堂々と言ってんの!!?てか、言われてもわかんないし!!てゆうかホントよくそんなもの飲めるよね、呆れ通り越して感心するんだけど!!おいしいの!?それっておいしいの!!?って緑間、オレの話聞いてる!?声届いてる!!?みどりまーっ!!!」
「そんな大声で言われて届いてない方がおかしいのだよ」
「じゃあ答えろよ、オレの質問!!」
「………………………」
「無視!?無視なの!!?」
ギャーギャーとわめいている高尾をよそに、自分の机から5時間目の授業の準備し始めた。
いつもならここで高尾が諦めて終わりになるはずだったのだが……
「いいから答えろって!!なんかすっげー気になるから!!いい加減答えろよー!!」
「うるさい黙れはげろ」
「はげろ!!?ちょっ、始めて言われたんですけど!!オレは禿げたくないんですけどー!!」
「なら静かにするのだよ」
「だから静かにしてほしいならオレの質問に答えろって!!それかそれちょっと飲ませて!!」
グイッと差し出された手に、既にからになっているお汁粉の缶を置いた。
「……………………………った」
「はあ?」
「いつもの方が甘みがしっかりしていておいしかった。今日帰りに買って帰るぞ」
「…………一人で買いに行けー!!!!」
高尾が手を振り上げた時に手に乗せた缶が宙に浮いた。
そして、クラスメイトの一人の頭に当たった。
「あ………ゴメン!!大丈夫!!?」
そのクラスメイトのところに謝りに行った高尾の背中を見て、今日の帰りの予定を頭で組み立て始めた。
ほのかな抹茶の味が口に残っているので、二つほど買ってもいいかもしれない。
「やはり、お汁粉はそのままが一番なのだよ」

しゃべると抹茶の苦みが舌に障った。


* * * * * * * * * * * * * *

30:流慰:2010/08/08(日) 14:13



「良、めしー」
「はい、スイマセン!!」
謝罪と共に差し出された弁当にはいつもの通りカラフルでファンシーな装飾だった。
「茶ー」
「スイマセン、どうぞ!!」
ついでに水筒も可愛い(らしい)クマのシールが貼ってある。
「ガリゴリ君」
「スイマ………えっ?」
「ガリゴリ君だガリゴリ君。コンビニとかに売ってっだろ」
手を差し出すオレに、どうしたらいいのか分からずにオロオロしている良の姿は面白い。
「すすスイマセン!!今手元にないです!今すぐ買ってきますっ!!」
「いや、良いし。お前が授業遅れるだろ」
立ちあがろうとした良の襟元を掴んで無理やり椅子に座らせた。
大きな音を立てて椅子が軋み、床を擦った。
「スイマセン!自分の心配なんかさせて、スイマセン!!スイマセン!!」
「いや、心配してねーし。送れたらオレにとばっちりかかってくんのが嫌なんだよ。つーかうぜぇ」
「スイマセン!!勘違いしたり耳障りになったりしてスイマセン!!自分一回逝ってきます!!」
「いや、別にいいし。いい加減落ちついて黙れ」
再び無理やり座らせると、さっきよりも大きな音がたった。
クラスの視線がチラチラとこちらに集まる。
「…………ちっ」
「あの……青峰サン?」
「ぁあ?」
「スイマセン!!」
ビクッ、と体が跳ねてまた椅子と床が擦れる音が聞こえた。
「あ〜……今日はもういい。自分の用でも済ませとけ」
そう言いながら水筒に入っているお茶を飲む。
冷たくてうまい。
口の中が冷たくなって潤っていく。
「スイマセン………あの」
「明日はマイちゃんな。次は浴衣姿のやつ頼むわ。うまいの頼んだぞー」
水筒を軽く投げて渡すと、うつ伏せになった。
腹が膨れると眠気が襲ってくるのはホントらしい。
「すいま………はい」
そう言って、良の足音が遠くなっていく。
ついでにオレの意識も遠くなっていっている。
「今日は……コンビニ寄る…か……ガリゴ…リ……君……あいつにも…………」
視界はいつの間にか暗くなってしまっていた。

口内の冷たさなど既にどこかに。


* * * * * * * * * * * * * *

31:流慰:2010/08/08(日) 14:22



「室ちん〜。ちょっといい?」
「敦!!?ここ二年の校舎だぞ。どうしたんだ?」
驚いて自分の席を立った室ちんに向かって手を振った。
「新しいお菓子手に入ったから一緒に食べようと思って〜」
一緒にいたクラスメイトに軽く言い訳をすると、直ぐにオレの方に向かってきた。
「なら中庭行くぞ。ただでさえ目立つのにこんなとこいたら余計目立つだろ」

「で………なんでこんなに駄菓子がたくさんあるんだ?」
広げたお菓子はほとんど駄菓子。
オレの気になったものがたくさんならんである。
少し呆れたように眺めている室ちんに、一つとって差し出した。
「新作だからじゃないの〜?これなんてプレミアム味って書いてあって気になったんだよね〜」
「ほんとどこからこんなに見つけてくるんだよ……敦ってお菓子探知機?」
「それ良いかもね〜。でも、探知機だったら食べれないから嫌だな〜」
「そう言う問題かどうかは微妙だけどね………あ、これおいしいよ」
「ほんと〜?………あ〜ホントだ〜。結構いけるかもね〜。ならこっちは……」
そんなことを話しながら次第に少なくなっていくお菓子を見てたら何か物足りなく感じてきた。
何がどうとか分からないけど、何か足りない?
「う〜ん…………」
「どうした?敦」
「何か足りない〜でもその何か分からない〜!!」
「ふ〜ん……わからないなら少ししてから考えると良いって聞いたぞ。とりあえずこれ片づけるか。もうすぐ予鈴鳴るし」
「もうそんな時間だっけ〜?ゴミはオレが持ってくから室ちんはもってかなくていいよ〜」
直ぐに片づけを終えると、室ちんまた部活でと言って別れた。
途中のゴミ箱に無造作に捨てた時に、何か違和感があった。

あれ〜………なんか忘れてるような…………………まっいっか

「今日室ちん誘ってコンビニ寄っていこっと」
足取りは軽い。鼻歌を歌いながら自分の教室へと歩いて行った。

甘いお菓子は既に無し。


* * * * * * * * * * * * * *

32:流慰:2010/08/08(日) 14:37



「黒子、予鈴鳴るぞ。さっさと戻らねぇと間に合わないぞ」
火神君からの言葉で、どこかに行っていた意識が現実に戻された。
「あれ………火神君パンはどうしたんですか?」
「んなもんとっくに食べ終わってるよ。オマエはボーっとしてっし……まさか体調が悪いとかじゃねぇだろうな」
ジッと睨みつけられたように見られた。
「そんなんじゃありません。ただ……シェイクじゃないからです」
「だからどんだけ依存してんだよ……そろそろシェイク離れしたらどうだ?」
「なら君はバーガーを食べるなと言われて食べないでいられる自信がありますか?」
「……………………」
「自分にできもしないことを他人にさせようとしないでください。そこまでアレだと救いようがないですね」
「別に救ってもらおうとか考えてねーから良いんだよ!!」
「まあ、そんなことはいいとして、はやく戻りましょうか。送れたらどっちも困りますし」
立ちあがると大きく背伸びをした。
「さっさと行くぞー」
既に屋上のドアに手をかけている火神君の背を見て、足を進めた。
「今日はマジバ日和ですかね……」
「そんなんだったら毎日そうだろ」
小さく呟くと、それが聞こえていたのか火神君に呆れたように答えられた。
「………それもそうですね」

屋上にはもう誰もいない。
小さな呟きは風に乗ってどこかへ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
予想以上に長くなりました\(^o^)/
後日談っぽいのちょっと書いてから次の話取り組みたいと思います。

33:夏音 ◆UT1U:2010/08/08(日) 16:30

お疲れ様でした^^

すごく良かったです☆

34:クロス:2010/08/08(日) 18:23

姉さんキセキの世代が全員一緒に居る話が見たいんだけどいい?

35:流慰:2010/08/08(日) 18:31

>>33
労い・おほめの言葉ありがとうございます
とてもうれしいです(≧ω≦)

>>34
後日談で全員一緒になるとこ書こうと思ってるからそれでいい?
とゆうか後日談の方がリクエストにあってそうな予感が……

36:クロス:2010/08/08(日) 18:46

う〜〜〜んそれでもいいけど
なんかグダグダなのが見たいんだよね〜
どっかでバッタリ会っちゃった的なの

37:流慰:2010/08/08(日) 18:50

それって紫原とか出にくいよ
流れ的にもちょっと難しいし……
グダグダなのはキャラ的に簡単だけど
帝光時代の方がいい?

38:クロス:2010/08/08(日) 18:53

簡単で面白いほうで

39:流慰:2010/09/01(水) 22:49

近々書き込むので上げます。

40:☆。*リンゴ☆。*:2010/09/13(月) 11:56

*。:*。:*。:*。:*。:*。:*。:*。:*。:*。:*。。。。:*。:*。:*。:*。:*

41:クロス:2010/09/13(月) 13:07

荒らしか?

42:チェリー ◆LUDE:2010/09/13(月) 20:15

リンゴってあのリンゴだよな??

43:流慰:2010/09/14(火) 16:50

>>40
荒らしは止めてください。

44:薫:2010/09/15(水) 19:31

オリキャラっていれないの?

45:流慰:2010/10/30(土) 17:58

久しぶりです。
今回の派は『超人たちの独り言』の後日談みたいなものです。
実際あんまり関係はしているようでしてい感じなので単品でも楽しんでいただけます。


*****************************


『超人たちの再開』






「あっ」
「あ〜!!」
「ん?」
「あ?」
「あれ?」

火神君とスポーツ用品を見に行った帰り、本屋に寄ろうと思ったらはぐれていたことに気づき探し始めたら……

「懐かしいメンツっスね……」
「まさかこんな場所できさまらに会うとはな……」
「それはこっちのセリフだっつーの」
「奇遇だね〜」
「…………お久しぶりです」

今の相棒ではなく、元チームメイトを見つけてしまいました。

46:流慰:2010/10/30(土) 18:00



「で……みんななんで一人でこんなとこにいたんスか?」
体格の良い男が何人もわらわらといたら通行の邪魔だろうと近くの公園にやって来た。
一緒にいる必要もないんですが……火神君見つからなくて暇ですし、メールにも出やしないので気がつくまでみんなといても問題ないだろうと一緒についてきた。
「一人じゃありません。火神君と来てたらはぐれたんです」
「オレも黒子と同じだ。高尾とラッキーアイテムを買いに来たら高尾がはぐれていたのだよ」
「あ、オレも〜。さつきに良と一緒に連れてこられたらいつの間にかいなくなってた」
「オレも人と一緒にいたらいつの間にかいなくてさ〜。探してたらみんなに会ったんだよ〜」
「全員同じ理由っスか―――――!何このミラクル!?いらないんスけど!!」
「……と言うことは黄瀬君もですか?」
「そうっス。部活の関係でセンパイと一緒に来たんスけど……ちょっと服見てたらいつの間にか……」
そう言って落ち込む黄瀬君を半分無視した形で話しは進んでいった。
「全員が全員はぐれてしまうなんて…全くまぬけな話ですね」
「全くだ。少し他の店に行っただけで直ぐに見失うなど言語道断だ」
「てか直ぐチョロチョロどっか行くしよ〜」
「見失わないように後ろからついてきたらいいのにね〜」
「で、皆さん相手に行き先は告げてたんですか?」
「「「「まさか」」」」
「全く…君たちは相変わらずですね」
流石元チームメイト、残念なことに見事にはもってくれました。
「そう言う黒子っちはどうなんすか〜!」
「もちろん伝えましたよ」
「あ……そうなんスか」
「サイレントになってるであろう火神君の携帯にメールで」
「それ意味ないっスよね!伝えてないのと同じっスよね!!」
「違います。何も伝えていない君たちと比べたら天と地ほどの差がありますよ」
「でもそれって火神っちが気づかなかったら伝わってないんスから同じ意味っスよ!」
「その時はサイレントにしていた火神君に非があると……」
「勝手にどこそこ行く黒子っちに問題があると思うんスけど!?」
「自分を棚に上げてそれを言いますか。そう言いたければ、そこの三人みたいに連絡を取ろうとする努力をしたらどうですか?」
「は?………って、ちょ―――――っ!!」
そう言って僕の指差した方に黄瀬君は目をやり、悲痛な叫び声をあげた。

47:流慰:2010/10/30(土) 18:01

そこには先ほどの僕らの会話を聞いて、メールを打ったり電話をかけている三人の姿があった。
「なんか静かだと思ってたら何三人だけ抜け駆けしてるんスか!!」
「何を言っているのだ?抜け駆けも何も相手に連絡をとるのは普通の行動なのだよ」
「その普通の行動をさっきまでとってなかったやつが何言ってるんスか!!」
「うぜー」
「いや、うぜーじゃなっ、あうっ!」
青峰君が放り投げた空のペットボトルが黄瀬君の額に命中し、黄瀬君は額を押さえながらうずくまった。
ペットボトルは転がって、近くにいた紫原君の足に当たって止まった。
彼はそれを屈んで拾うと、少しの間考えて僕の方に言った。
「……黒ちんあげる」
「いりません」
間一髪も入れないで即答したボクに対して不愉快感も見せないでどうしようかと考え始めた紫原君は、未だに青峰君にバカにされている黄瀬君を見ると、
「…………やっぱ黒ちんに」
「だからいりませんって。なんでそんなに僕に渡そうとするんですか」
「だってオレ黒ちんと赤ちん以外の呼び方まだ公式で出てないからわからないんだもん」
「……痛いところをつかないでくださいよ」
そう言いながら紫原君の手から空のペットボトルを受け取ると、緑間にそれを手渡した。
「どういうつもりだきさまは」
「緑間君の3Pでこのペットボトルを向こうのゴミ箱に入れてもらおうと思いまして」
「なぜそれをオレがやらないといけないのだ!大体ゴミは分別しないといけないのだよ!!」
そう叫びながら緑間君が投げたペットボトルが僕の横をすり抜け、青峰君の頭にクリーンヒットした。
とても良い音を響かせながら跳ね返ったペットボトルは、2、3回地面を跳ねた後転がって僕の足元に来た。
「緑間君おめでとうございます、10点満点ですよ」
「そう言うことではないのだよ!!」
「つーかその前にオレに謝りやがれ!!緑間コノヤロー!!」
青峰君が緑間君の胸倉を掴んで叫んだ。
実際的に身長は緑間君の方が大きいので青峰君が見あげる形になっているがゆえに、なんだか滑稽に見えてしまう。
「ふむ……すまなかったな」
「明らかに棒読みじゃねーか!!」

48:流慰:2010/10/30(土) 18:02

青峰君の標的が緑間君に移ったことにより解放された黄瀬君は明らかに安堵の表情を浮かべている。
「平和ですね〜」
「騒がしいの間違いっスよ……」
「騒々しいの間違いだと思うよ〜」
「どっちにしろ似たような意味ですよ。大体君たちが原因でもあるんですから、他人事じゃないですよ」
「オレの記憶じゃ黒子っちの一言が原因だった気がするんスけどー」
「それを君たちが勝手に騒ぎたてただけじゃないですか。僕に責任を押し付けないでください」
「てか黒ち〜ん……」
「なんですか?」
「……アレ止めなくて良いの?」
紫原君の指差した方を見ると……未だに青峰君と緑間君が言い争っていて、めんどくさい事になりそうな雰囲気が漂っていた。
「………めんどくさそうですね」
「でしょ……なんとかならない?」
「こんな時は………」
そう言って僕が黄瀬君の方を見る。
紫原君もつられて黄瀬君の方を見る。
黄瀬君は初め不思議そうな顔をしていたが、何かを悟ったのかだんだんと顔色が悪くなっていった。
「あ〜……オレ急に用事思い出したっスからこれで……」
「紫原君」
「ん〜……わかった〜」
そう言って逃げようとする黄瀬君の肩を紫原君が掴み、黄瀬君の逃走を防いだ。
イヤイヤ言う黄瀬君を前に、いつもと変わらない感じの口調で言った。
「生きて帰ってくることを期待しています。頑張ってください」
「え、ちょ、くろこ―――――――――っち!!!」
黄瀬君が言い終わるか言い終わらないかの時間で、紫原君の手が黄瀬君の背中を押した。

49:流慰:2010/10/30(土) 18:37

「青峰くーん、緑間くーん、行きましたよー」
それに合わせて僕が二人に声をかけ、二人の注意をこちらに向けさせた。
「何がだー!!」
「何がなのだよ!!」
流石チームメイト、変に息がぴったり合ってこちらを向いた。
そして、突進してくる黄瀬君を見ると二人の顔が一瞬にして青くなった。
「二人とも止めてくださいっス〜!!」
「うわっ!黄瀬こっちくんじゃねえ!!」
「自力で止まるのだよ!!」
「そんなこと言わないで〜!!」


青峰君と緑間君が黄瀬君に対して叫んでいる時、僕からは、つんのめりながらも二人の方に進んでいる黄瀬君の少し前方の足元に石が見えた。
しかも程よい大きさの石が……それが何を意味するかはもうすぐわかるであろう。
ここで僕か紫原君が黄瀬君にでも声をかければこれから起こる惨事は防ぐことができるだろうと考えた。
紫原君だって石に気づいていただろうし、声をかけようと思えたら声をかけていただろう。
でも僕らはあえてそれをしないでただことが成り行くまでを見守ることにした。
その理由を問われれば、僕も紫原君も至極普通に答えることができるだろう。
何故ですかって?
それは勿論……

面白そうだからですよ


そんなことを考えていたら、3人の悲鳴によって僕は現実に引き戻された。

50:流慰:2010/10/30(土) 18:57

見ると、青峰君が一番下に、その上に緑間君、黄瀬君の順になっている。
「黒ちん……3人に感想は?」
「青峰君に怪我がないと良いですね、緑間君メガネは壊れてませんか?黄瀬君顔に傷つかなくて良かったですね」
僕が3人にそう言うと、下になっている二人から恨めしそうな顔をされた。
うるさいから制裁を加えただけですが、何か。
「いつまでの寝転がってるけど、そんなに地面が気持ちいの〜?」
そんな時、紫原君の一言で青峰君と緑間君の意識が、いつまでも上に乗っている黄瀬君の方に向いた。
「黄瀬てめえ何時まで上に乗ってんだよ!起きれねえだろうが!!」
「オレが爆発する前に上からどくのだよ……」
「え?あ!ご、ごめんなさいっス!!」
慌ててどいた黄瀬君の下から緑間君と青峰君が起き上がってきた。
その様子ははっきり言って怖かったが、あまり気にしないことにした。

と、その時
♪〜♩♪〜♫♪♬〜
紫原君の携帯から着信音が流れてきた。

51:流慰:2010/10/30(土) 20:22

紫原君が携帯を見て、室ちんだと小さく呟いた。
どうやらもうすぐ迎えが来るらしい。
「そういや紫原君は何でここに来たんですか?」
「オレ〜?」
う〜ん…と少し唸って紫原君が答えた。
「こっち限定のお菓子買いに来たんだよね〜。それとこの前できなかった東京見学ってやつ?」
「そうですか……」
「向こうにもいろんなのあったんだけどね〜なんか足りないんだよね。まあ、何なのかは分かんないんだけど〜」
紫原君はそう言うと、大きく一つ伸びをした。
「じゃ、オレ室ちんが見つけやすいとこ移動するから。みんなまたね〜」
そう言って感慨無く別れを告げると、僕らが入ってきた方向と反対の方に向けて歩いていった。
「もう帰っちゃうんすね〜……」
紫原君の背中を見送りながら黄瀬君が少し寂しそうな声で呟いた。
黄瀬君の中ではやはり、まだキセキの頃の仲間意識が色濃く残っているのだろう。
「当たり前だろう、迎えが来たらこんな所直ぐに出ていく」
そんなこと言う緑間君も紫原君の背中を見送っている。
「てか、オレメールさつきから来てたし」
そんな中、青峰君の言葉だけ場違いなように聞こえた。
しかし、二人はそんなことは思っていないのか青峰君の言葉につられて各々の携帯を確認し始めた。
そして、二人の顔色から窺うに今のどたばた騒ぎの最中にメールや電話が来ていたらしい。
黄瀬君の顔色なんか真っ青だ。
慌てて電話する黄瀬君に相手が出るのを待っている緑間君、桃井さんが相手なのだろうか悪かったという様子を微塵も見せないで通話している。
僕も自分の携帯を見てみた。
メールボックスにメールは来ておらず、着信も入ってなかった。
火神君はまだ気付いていないらしい。

52:流慰:2010/10/30(土) 20:51

手持ちぶさたになり再び三人の方に顔を向けると、各々面白い反応をしていた。

黄瀬君は謝りながらも楽しそうに通話していた。
時々肩パンや蹴りなどの単語が黄瀬君の口から出てくるに、相手の笠松さんはご立腹らしい。
黄瀬君の目じりに光るものが見えた気がしたが、見て見ぬふりをしておいた。

緑間君の方は涼しい顔をして電話している。
携帯から大きな声で高尾君の声が聞こえてくる。
振り回されてばかりの高尾君もかわいそうですが、緑間君と一緒にいたということが運のつきと言うことで。

青峰君は通話が終わったようで携帯を耳から離して弄んでいる。
僕も暇だったので青峰君に話しかけてみた。
暇だと時間が過ぎるのが遅く感じるので。

「青峰君?」
僕が声をかけると、青峰君はこちらを向いた。
「……んだよ、テツか」
あくび交じりの返事は、いつも桃井さんと何か言い合った後の青峰君の癖みたいなものだ。
やはり桃井さんは急にいなくなった青峰君を心配していたのだろう。
「桃井さんご立腹だったんじゃないですか?」
僕の一言に嫌なことを聞くなとでも言いたげな顔で青峰君が見てきた。
「さつきはどーでもいいんだよ。どうせフラフラ付いてきただけだしな」
「じゃあ、一人で来る予定だったんですか?」
僕の問いに、一瞬躊躇して違うと言った。
「つーかそんなことテツには関係ねーだろ」
関係無いと言われれば黙るしかない。
こちらには無理やり聞く理由もないし、僕もそこまで聞きたいわけではない。
「つーかオレもう行くわ」
「あ……はい」
僕が返事をすると青峰君は出口の方に歩き出した。
「青峰っちまたっスー!」
後ろで黄瀬君が大声をあげた。
もう笠松さんとの電話は終わったのだろう。
緑間君の方を見るとまだ通話中で、青峰君に向かって静かに手をあげていた。
「んじゃなー。もうこんなんであいたくねーよ」
そんな憎まれ口を叩きながら、青峰君は見えなくなっていった。

53:流慰:2010/10/30(土) 21:16


また手持ちぶさたになった僕。
未だに高尾君と話している緑間君。
僕と同じく暇であろう?黄瀬君。
どうやって暇をつぶすか考えていたら、黄瀬君が声をかけてきた。

「くーろこーっちー?」
「どうしたんですか?少しうるさいです」
「え、ちょ、ひどっ!?」
再び涙目になった黄瀬君。
「で、何か僕に用があったんじゃないんですか?」
自分から辛辣な言葉をかけたのだが、あえてスルーして黄瀬君に聞いてみた。
「あ、そうっス。黒子っちって何でこっちに来たんっスか?」
「僕はただ単に火神君と一緒にスポーツ用品を買いに来ただけですよ」
僕がそう言うと、黄瀬君がキラキラした目でこちらを見てきている。
自分のことも聞いてほしいみたいだ。
このままその瞳に見られ続けるのも精神がどうにかなってしまいそうだったので、黄瀬君にも聞いてみた。
「黄瀬君は何でわざわざこっちに?」
聞かれて嬉しいのか、はにかみながら黄瀬君が答え始めた。
「オレも黒子っちと同じ理由っスよー。こっちの方が本店とかあるっスから買いものとかはこっちに来ることが多いんスよ」
「そうなんですか。笠松さんも大変ですね……」
黄瀬君が後輩でと言おうとしたら、黄瀬君の携帯が鳴った。
どうやら笠松さんが近くに来たらしい。
「じゃあオレ行くっスわ!」
「はい、気を付けてくださいね」
「せいぜい転ばないようにするのだよ」
いつの間にか通話が終わっていた緑間君が黄瀬君に声をかけた。
「分かってるっスよー。じゃ、黒子っちに緑間っちまたっスー!!」
駆けて行きながらそう言った黄瀬君は直ぐに見えなくなった。
最後まで手を振っていたのはモデル業の癖なのか、ただ単に僕らが名残惜しかったのか…。

54:流慰:2010/10/30(土) 22:03


ついに二人になってしまった。
緑間君と僕は仲が良いわけではない……むしろどっちも毛嫌いしている節がある。
「…………」
「…………」
無言な時間が過ぎる。
やはり何かしていないと時間は早く感じない。そして気まずいとさらに時間は遅く感じる。
「スポーツ用品を買いに来たと言っていたな…」
なんの気まぐれだろう、緑間君の方から話しかけてきた。
「盗み聞きですか。人の趣味にどうこう言うつもりはありませんが、あまり良い趣味とは言えませんね」
「オレが言いたいのはそう言うことではないのだよ…」
緑間君の声に苛立ちの色が見えた気がした。
「じゃあ何なんですか」
対する僕の声にも苛立ちが見え隠れしてるのかもしれない。
「ふん……大方本屋にでも寄ろうとしたら火神とはぐれたのだろう」
「そう言う緑間君だってラッキーアイテム買いに来たは良いけれど他の店も色々見ていたらいつの間にか高尾君とはぐれていたんじゃないんですか?」
「…………」
「…………」
図星を指されて黙ってしまった僕。
緑間君も黙っているところを見ると、緑間君も図星だったらしい。
お互いこんな所で図星は刺されたくないものだ。
この嫌な空気を壊してくれと願っていると、遠くから聞いたことのある声が聞こえてきた。
「緑間ー!!」
「……高尾か」
「あっれー?黒子じゃん、久しぶりー」
「どうも、お久しぶりです」
高尾君が現れたことにより言わずとも場の空気が緩やかになった。
「緑間と一緒にいて大変だったでしょ?はぐれたからってそんなにピリピリそなくても良いのになー。てかさ、今日緑間が急に電話してきてお汁粉買いに行くぞなんて言ってきたんだよ。それで来たらまずラッキーアイテムだとよ。詐欺じゃん詐欺!それ言ったらさーうるさいのだよって一蹴されたんだよ。酷くねー!てかさ、お汁粉はどうしたんだよって言ったらこれから買いに行くって、もしかしてオレ荷物持ち!?って聞いたら当たり前なのだよって言いやがったんだよ。どんだけオレこき使えば気がすむんだよー!!って感じじゃね?」
長々と話していた高尾君のセリフがようやく途切れた。
どうやらかなりのうっぷんがたまっていたらしい。
けれど、それを本人に言えないあたり高尾君もご愁傷様と言ったところですね。
「何をタラタラ言っているのだよ、良いからさっさと行って帰るのだよ」
「へーい、了解しやしたー」
「じゃーな、黒子ー」
「さようなら、高尾君……緑間君」
「ふん、せいぜい火神に見落とされないようにするのだよ」
「見つけてくれるので無用な心配ですよ」
緑間君たちが遠ざかっていき、ついに僕は一人になった。
秋の風が少し冷たい。僕は近くのベンチに一人腰かけた。

55:流慰:2010/10/30(土) 22:30


空はいつの間にか青さを通り越して赤く染まりかけていた。
火神君からのメールはまだ来ない。通話もなし。
まさか携帯を確認していないのか、確認することすら考えていないのか。
一人待つ公園に目を向けていると少し前までいた元チームメイト達の名残が見えてしまう。
みんながいた時は少し手狭に感じた公園も、一人になれば広々と感じてしまう。
「早く火神君見つけに来ないですかねぇ……」
呟きもどこかに沈んで消えてしまいそうだ。
退屈のあまり、火神君に連続でメールしてみることにした。
もしかすると何かの拍子で気付くかもしれない。
気付いた時に驚いて余計にさがしてくれるかもしれない。
『前のメールで書いた通り、僕は○×公園にいます。ベンチに座っているので来たら連絡してください』
『遅いです。外は寒いので早く見つけに来てください』
『バスケがしたいです。早くあったらストバスでもしませんか?』
『ちょっと飲み物を買ってきます。もし公園に付いたら連絡入れてください』
『戻りました。いったいいつまで探してるんですか?早く携帯w見てください』
『全く……遅いです。帰りにマジバでシェイクでもおごってください』
『嘘です。はぐれてしまった僕にも非があるので、帰りにマジバに付き合うだけで我慢しておきます』
八通目のメールを火神君に送ったと同時に、桃井さんからメールが来た。
メールを開いてみると、面白い事が書かれていた。

『テツ君、元気ですか?お久しぶりです。
 あのね、今日青峰君と会ったと思うんだけど、青峰君ったら面白いの
 桐皇のチームに桜井君ってちょっと気の弱いこがいるんだけど、
 その子青峰君と同じクラスで、青峰君のお弁当も作ってきちゃってる子なの
 でね、今日青峰君が出かけた理由はね……

 その桜井君にいつものお礼(?)でアイスおごってあげるためだったんだって!
 そのために荷物持ちって口実つけて桜井君誘ってまで連れてきたんだって
 なんだか青峰君が可愛く思えてきちゃったww
 でね、青峰君が言うにはこれからも時々おごってやるって言うのよww
 でもね、なんだか私も仲間はずれみたいな感じがしちゃって付いてきちゃったのよね〜
 だって私だって青峰君のお世話してるのに私にはお礼なんて無いのよ!
 そりゃあ、お礼目的で青峰君のお世話してるわけじゃないから別にいいんだけど……
 なんだかな〜ってね
 でも、青峰君私にも買ってくれたから別にいっかなって☆

 それにね、青峰君がおごってくれたアイスってガリゴリ君なの
 なんだか懐かしくなっちゃったんだ』

桃井さんからのメールを見て、なんだか羨ましくなった。

56:流慰:2010/10/30(土) 22:49

なんだか昔の記憶が脳裏にちらついてきたとき、またメールがきた。
火神君からかと思ったら黄瀬君からのメール。
件名からなんだか嬉しそうな雰囲気が伝わってきたので、本文を見てみた。

『黒子っち黒子っち!!
 笠松さんと再会した後やっぱりしばかれたんスけど……
 帰りに笠松さんがアイス買ってくれたんス!!
 なんでも、前オレが呟いてたのを覚えていてくれたらしくて…
 本気でオレビックリだったんスよ!!
 で、それやるからこれからも頑張れって
 オマエはうちのエースなんだからって!!
 やっぱ認められるのって嬉しいっスよね
 えっと……自慢みたいなんスけど…
 黒子っちならわかってくれるんじゃないかって思ったんスよ
 緑間っちだとなんか嫌味言われそうっスし……
 青峰っちだととんでもないものが帰ってきそうっスし……
 あとの二人は興味も何にも無さそうっスから……
 だから黒子っちに連絡?みたいなことしたんスよ
 これに返信はしなくても良いっスよ、オレの自己満っスから
 
 じゃあね、黒子っち
 また一緒にバスケやろうね☆』

57:流慰:2010/10/30(土) 23:01


そんな最後で終わったメール。
黄瀬君は今電車の中なのだろうか、疲れているだろうに御苦労さまと言いたくなった。
桃井さんと返さなくても良いと言った黄瀬君に返信して、火神君への連続メールを再開させた。

カチカチカチ…と携帯のボタンを押す音だけが響いた。
九通目を書き終った。
送信しようとボタンを押す。
その動作の直前、僕の名を呼ぶ声が聞こえた。
僕が後ろを振り向くと、見なれた彼がいた。
「………遅いです」
僕の声が安堵の色に染まっていく
「うるせえ!オマエが勝手にはぐれたんだろうが、オレのせいにすんな!!」
彼はそれに気づかないで、乱れた息を整えている。
「僕がどれだけ待ったと思ってるんですか」
少しばかりの僕の反論。
「ならオレがどれだけ探したと思ってんだよ!」
彼から返される正論。
「………すいません、火神君」
見あげて少し笑って言った。
「…おう」
火神君も安心したように笑った。

58:流慰:2010/10/30(土) 23:18


「つーかオマエ何でこんなとこいんだよ…すっげー探しただろ」
「すみません…」
どうやら火神君は僕のメールを見ていないらしい。と言うことは八通目も見ていないのだろう。
「んじゃ、こんなとこいてもなんだからマジバでも行くか!」
「…………」
「あ?どうしたんだよ、黒子」
火神君がビックリしている僕の方を不思議そうにみた。
「あ、いえ……そうですね、ちょうどシェイクが飲みたくなってきましたし」
「だからオマエはどんだけシェイクに依存してんだよ」
面白みと同時に呆れも混じった声で笑いながら歩いていく火神君の横に並びながら歩いた。
「今日もマジバ日和ですからね……」
あの日言った言葉を少しの好奇心で言ってみた。
多分彼は覚えていないだろう。
「そうだな〜……」
思った通り、既に彼の脳内にそのことは存在していない。
「でもよ……そんなんだったら毎日そうだろ。オレ達はよ」
まさかの返答に驚いて、少し返事が遅れた僕を火神君は変なものをみるようにみた。
「どうした?」
「あ……いえ、それもそうですね」
「だろ」

今二人、いつもの場所へと歩いていく。
あの日風に乗っていった呟きは今ここに。



******************************************
長くなりましたが、ここで『超人たちの再開』は終了です。
予想以上の長さに自分でもビックリです。
この超人シリーズ(笑)要望があったり書きたくなったらまた書くかもしれません。
それでは失礼しました       by流慰

59:クロウ:2010/11/01(月) 17:10

のせまーす

『点数』

放課後ふと火神が黒子に聞いた
火「そーいや黄瀬って頭いいのか?」
黒「あんまりよくないですよ」
火「テストってどんぐらいなんだ点数」
黒「火神君よりは良いと思いますよ」
火「何だその顔は(メキメキ)」
「そこでなにをしている」
いつの間にか緑間が前にいた
黒「緑間君こんにちは」
火「よぉでなにしてんだ」
緑「それはこっちのセリフなのだよそれより何の話をしていたんだ」
火「オレ達か?オレ達は黄瀬のテストの点数はどんぐらいかって話だ」
緑「そんなの本人に聞けばいいだろ」
火「その手があった(早速メールを打つ)」

〜5分後〜
♪〜♩♪〜♫♪♬〜
火「おっ来た『100点満点っス(笑)』・・・ゼッテー嘘だ」
黒「本人に聞くのは無理そうですね」
緑間がどこかへ行こうとする
火「どこ行くんだ?」
緑「お汁こを買いに行くに決まっているだろう」
火「決まってねーよまあいいやオレも腹減ったしコンビニでも行くか」
黒「そうですねボクものど渇きました 」

(近くのコンビニ)
火「あれって青峰と桃井じゃね」
アイスを選んでいた様子の桃井が黒子達に気づいた
桃「あっテツ君久しぶりーミドリンと火神君も」
黒「久しぶりです」
青「おっテツじゃんなにしてんだ?」

〜中略〜
青「黄瀬のテストの点数か・・・20点くらいじゃね」
桃「きーちゃんのことだから30点くらいじゃない?」
黒「ボクは50点くらいだと思います」
緑「そんなに良いわけないのだよ」
火「3点くらいじゃね」
黒「さすがに火神君ほどじゃないですよ」
火「なんだとてめぇ」
青「あっ(何かを思い出した)」
火「どうした?」
青「そーいやあいつのテスト見たかも」
「「「!!!」」」
火「何点だったんだ?」
青「んー何点だったろーなー?」
火「重要なとこ忘れんなー」


なんかグダグダで終わったけどいいかな?

60:流慰:2010/11/06(土) 20:21

今回はギャグよりも恐怖系で攻めみようと思います。
ギャグチックなのは次回書きます。

――――――――――――――――――――――――――――――――――



『肝試し』



オレは海常バスケ部主将、笠松幸男。
オレの少し前を意気揚々と歩いているのは同じバスケ部の三年、森山由孝。
そしてその隣で無駄にはしゃぎまくってるのが二年の早川充洋。
その二人をなだめているのが三年の小堀。
そして、オレの後ろでひたすら何かを語っているのが一年で海常バスケ部エースの黄瀬涼汰。
海常バスケ部スタメンの俺らは、何故か今学校や体育館などとは全く関係ないところにいる。

「んじゃ楽しんでこーか――――――!!」
「「「おーっ!!」」」
森山の付き上げられた拳につられ、他の三人もノリに乗って拳を天に突き上げた。
まるで子供のような元気な声が周りに響いた中、オレの深いため息はその声にかき消されていった。

61:流慰:2010/11/06(土) 20:32



ここは近所じゃ有名な病院。………の廃墟。
何でオレ達がこんな場所にいるのかと言うと、それは昨日の練習後まで遡る。
話すと長くなるので端よって説明すると、昨日の練習後にいきなり森山が「肝試し行こうぜ!」と言ってきたのだ。
勿論オレは即座に断った。
しかし、黄瀬も早川もましてや小堀まで何故か乗り気になっており、あの手この手で誘われてしまい気が付いたらオレは肝試しに行くことを了承してしまっていた。
我に返った時にはもゆ時すでに遅く、前言撤回できる雰囲気ではなかった。
それでも撤回しようとしたオレに向かって森山からのイラつく一言。
「そんなこと言って、ホントは笠松は幽霊にビビってんじゃないのか〜?」
次の瞬間オレは森山を蹴りとばしながら、率先して行ってやるということを宣言していた。
そして先ほど仕事によって数分遅れてきた黄瀬がそろって今に至るというわけだ。

「いや〜、しっかしホントにここは雰囲気があるな〜」
森山の言った通り、廃病院はまだ夜になり切っていない夕刻の中でさえ不気味な雰囲気を醸し出していた。
窓に打ちつけられた木材や、白い壁に黒くこびり付いた汚れ。
地面の雑草も伸び放題で、風が吹くたびにざわざわと草同士が擦れるこの場所ではただ不気味なだけの音を作り出していた。
「んじゃ、暗くなりきらないうちにまずは入ってみるか!」
そんな森山の声に先導されてフェンスに囲まれた敷地内に、フェンスを越えて入っていった。
まるで泥棒みたいだと思ったが、バスケ部のスタメンを張るだけあってどいつも軽快な調子でフェンスをよじ登って越えていく。
「笠松、早く来いよ」
とっくに向こうについていた小堀に呼ばれ、オレもフェンスに手をかけよじ登っていった。
ギシギシ鳴るフェンスの音が嫌に大きく聞こえる気がしながらも、気にしないようにして超えていった。

62:流慰:2010/11/06(土) 20:42


「じゃあ、入ってみようぜ!」
そう言って入口の方へ歩いていく森山を見て、オレは一つ疑問に思ったことを口にしてみた。
「そういや……どうやってここの中に入んだよ」
普通はつぶれたとこや人がいなくなった場所にはいくら古かろうと錠がされているはず。
たとえ針金で幾重にか巻いてあるだけならばペンチなどを事前に持ってきてそれで切って入ることはできる。
けれど、森山の手には懐中電灯以外の持ち物は見えない。
「ふっふっふっ……そこのところも抜かりは無いに決まっているだろ!!」
「なんでそんなに自慢げなんだよ……」
ドーンと擬音語でも付けたくなるほどキッパリと言い放った森山に、オレの力の無いツッコミが入った。
「何を心配してるか知らないが、もちろん下準備なら済ませているに決まっているだろう!」
うん、蹴りとばしたくなるほど活き活きしている。
「オレだって真正面から入れるとは思ってなかったさ。だから周りを探索したんだよ。そしたら……」
森山の意味深に深くなる声につられて、オレの声も意味深になっていった。
「そしたら……?」
まるで他のやつを代表したみたいな形になってオレが森山に聞き返す。
周りのやつらも、雰囲気を重んじるように静かになった。
「そしたら……………」
「そしたら…………………?」
もう一度オレが聞くと、決心したかのように顔をあげてから慎重に言い始めた。

「そしたらな……………………普通に正面の扉が開いてたんだよ」

森山の言葉が終わると、後ろから後ずさりをする音が聞こえた。
オレの後ろにいる三人の様子を見てヤバいと思った森山は時すでに遅く、後ずさろうとしていた森山は既にオレの攻撃範囲内にいた。
めり込む音と、鈍い打撃音が夕闇彩る空間に響き渡った。

63:流慰:2010/11/06(土) 20:52



「んじゃ、二手に分かれるか!」
脇腹を痛そうにさすりながらそう言った森山を、オレは不機嫌な調子で睨みつけた。
そんなオレをなだめる黄瀬に小堀。
それからオレを尊敬そうに見て、森山のことを痛々しそうに交互に見ている早川。
いったいこれをどう分けると言うのか。
「もちろん、どう分けるかももうすでに決めてるに決まってるだろ」
だからなんでそんなに活き活きとしてるんだよ。
この時点でオレはもうニ、三発めり込ませていても良かったと考えていた。
「オレと早川と小堀はAチーム。笠松と黄瀬がBチームな」
「はぁっ!?なんでオレと黄瀬なんだよ!」
「なんでってそりゃ……」
オレの反論に対して森山が不思議そうに答えようとした時、横から二つの声が割り込んできた。
「そうっすよ!なんでキャプテンとじゃないんすか!!オ(レ)楽しみにしてたのに!!」
「何でっスか!そんなにオレと回るのが嫌なんスか!?オレはワクワクしてるのに!!」
後輩二人のなんらかの気迫に、オレと森山一瞬言い返す言葉に詰まってしまった。
「笠松は人気者だな〜」
一人離れて笑っている小堀が羨ましい。
まるででかい犬のように迫りながら騒がしく吠える二人をいつもの蹴りと肩パンで封じると、森山の方に向いた。
明らかに不機嫌そうな表情が森山の顔に浮かんでいた。
「あのな〜……」
確かに手のかかる後輩二人もオレ一人で扱うのは大変だ。
黄瀬はなれてきているとはいえ、一番頼りにしているのキャプテンであるオレだろう。
その分早川は森山や小堀にもなついている。
森山も小堀も早川の扱いには馴れきっているが、黄瀬の扱いはまだまだと言ったところで……。
認めたくないが、森山の提案は一番は今考えられる中で一番シックリくるものだった。
「しっかたねぇなぁ……わーったよ。森山の言ったチームでいいよ」
あからさまに喜ぶ黄瀬と、残念がる早川。
「んで?二手に分かれてどうするんだよ」
オレが尋ねると、一気に元気になった森山が活き活きと説明し始めた。
「この病院はさ、東病棟と西病棟と中央病棟に分かれてるんだよ。まずはこの中央病棟からスタートな。で、東病棟は三階建てで西病棟は四階建てなんだけど、それ関係か知らないけど東病棟に続く通路は一階とニ階に。西病棟に続く通路は一階と三階にあるんだ。そこでだ、Aチームは西病棟Bチームは東病棟に分かれて散策しようって考えなんだよ。手順は簡単、東病棟にはニ階からの通路を使って東病棟に行って一通り見た後一階の通路を使ってこの入口に戻ってくる。西病棟は三階からの通路を使って西病棟に行って一通り見た後一階の通路を使ってこの入口に戻ってくる。これだけだよ」
なるほど……人数が多い森山たちのチームの方が少し多めに徘徊するようになっているらしい。
まあ、言いだしっぺが森山だからだろう。

64:流慰:2010/11/06(土) 21:00

「でも、そ(れ)だけでどうす(る)んすか」
早川が尋ねると、どこからか持ってきたのか森山がカメラを二つ取り出してきた。
「もちろん抜かりは無い!このカメラで階ごとの写真を最低一枚取ってくることにするんだよ!勿論、階が分かるような写真じゃないとダメだ。これで不正も起きないし、後で見る楽しみが増えるもんだ」
不気味に笑う森山を嫌なものでも見えるかのような黄瀬と早川に同意するようにオレも同調して二人と同じ視線を森山に向けた。
そんなオレ達の視線に気がつかないのか、それとも気がつかない繰りをしているのか森山は元気良く叫んだ。
「んじゃ、始めるぞ―――――――――!!
一人寂しく森山の声は夜闇に消えていった。


中央病棟の中には、まず五人で入った。
五人それぞれが持っている懐中電灯の明かりにより、もう暗くなっている外よりもいくらかは明るく見える。
しかし、明るいと言ってもそこは廃病院。雰囲気自体が薄暗さを強調している。
埃の積もった床やカウンター。
誇りと共にところどころ破けて中身のスポンジやバネが出ているソファー。
天井にはスタンダードにクモの巣が張ってあり、時折カサコソと虫が徘徊する音が聞こえてくる。
割れた窓ガラスから風が背筋を冷たくなでるような細い音を立てて吹き込む。
電灯もいくつも割れており、足元にいくつかのその電灯の刃片と思しき硝子が靴に踏まれてザリッと音をたてる。
肝試しの場所としては持って来いの場所と言わざるを得ないほどだ。
「んじゃ、階段は二つあるらしいんだけど、ここで別れてからその階段使った方が面白そうだからそうしようぜ」
一応森山の意見に異論は無い。
先ほどまでチーム分けに不満だった早川も、ようやく乗ってきたのか今は先に先にと進みたいのを小堀に止められている。
「じゃあ、気をつけろよ〜」
「お前らもな」
そう言ってオレと黄瀬のBチームと森山と早川に小堀のBチームは別れた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
AチームとBチームそれぞれの話はまた後日にでも……
流石に夜に書くのは私が恐いので;

65:流慰:2010/11/17(水) 18:08

テストの息抜きに続き書きました。
中途半端なとこですが、ご了承ください

――――――――――――――――――――――――――――――――――


〜Aチーム〜


薄暗い階段を上って、オレと早川と小堀は進む。
三人とも笠松たちと別れて直ぐはなんやかんやと話してはいたが、だんだんと口数も少なくなってとうとう階段の中腹で何もしゃべらなくなった。
ザリザリと靴の下から埃と砂の感触が伝わって音が立つ。
側にある手すりにさえ手をかけることを躊躇させるほど汚れており、滑りにくくはなっていることは救いだった。
「もうすぐニ階っすね!」
流石にいつもうるさい早川もここでは少しは大人しい。
「小堀、写真の用意しててくれよ」
自分が言った通り、各階で写真を撮る。
一番後ろをついてきている小堀が了解と言って、準備する動作が聞こえてきた。
「……着いたぞー」
そう言ってオレの足がニ階の通路に降ろされた。
その後に早川と小堀が続いた。
「小堀、まずここの階を示す場所撮っといてくれ」
そう言ってオレの懐中電灯で示した場所には階と病室の番号の表があった。
「はいよ」
了承して小堀がシャッターを押すと、フラッシュがたかれて一瞬明るくなり元よりも暗くなった。
「ここも見て回(る)んすか?」
「そうだな……笠松たちとも鉢合わせする可能性は無いだろうけど、オレはさっさと西病棟に行きたいんだよなぁ」
「なら早く行くか?ここにだってあんまり長いできないんだろ?」
確かに今は夜の二十時。
そんなに時間を使ってる暇はな言っちゃない。
「んじゃ、さっさと三階行って西病棟いくか」
そう言って、さっさと行こうと階段に足をかけた時、遠くの方で音が聞こえた。
それに続いて誰かの話し声が小さく聞こえてきた。
「センパイ……」
早川が少し恐怖に染まったような声を出して呼んだ。
オレ自身も少なからず今の事態をどう片づけるか苦労していた。
そんな中、小堀は少しだけ冷静になって解釈し始めた。
「いや、多分笠松たちじゃないかな。さっきのはフラッシュ音とかで、今は二人がなんか話してるんだろ」
「あ………そっか」
確かに笠松たちもここで証拠写真撮ってもおかしくないし(てかルールだし)、会話だってするだろう。
そう思ったとたん、先ほどの少量の恐怖はどこかに行った。
早川の方を見ると、こっちも安心したような顔になっている。
「じゃあ、気を取り直していくぞ」
そう言ってオレが再び階段に足をかけた。
オレの懐中電灯は3、4段先を照らしている。見えているものは相変わらず積もっている大量の埃に何かの屑に白い足に建物の木屑、虫の死骸やら大量だ。
できれば死骸なんかは踏みたくないというものが人間の心理なわけで、オレは懐中電灯を自分の足を乗せている段とその次の段に向けて明かりを灯すようにした。

…………………白い足?

バッと先ほどと同じところに明かりを向けた。
するとそこには白い足など無く、それ以外は先ほどと全く同じ光景だった。

66:流慰:2010/11/17(水) 18:10

予想していたとは言え、実際目の当たりにしてみるとたまったもんじゃない。
冷や汗が背中を伝って気持ち悪い。
もしこれが冷や汗ではなく上から落ちてくる何かの液体だったらと思うとなおさら背筋に冷たいものが走る。
「も(り)やまセンパイ?」
後ろの早川たちはなにも見ていないようで、さっきから全く進まないオレに話しかけてきた。
流石に言いだしっぺもこの雰囲気にはまいってるのだろうと、冷やかしの声色は無い。
「そういや言い忘れたんだけどよ………」
オレがゆっくりと言い始めた。
首筋をピンポイントで撫でてくるような冷たい風に締められているような感覚がする。
ふざけた雰囲気で無いオレに二人にも緊張の色が走っていることが分かる。
「ここ………マジで出るから。オレのダチが言ってたし……。その………オレも…今………」
ここまで来るとオレが何を言いたいのか二人とも見当がついたらしい。
二人の顔から血の気が引いているのが分かる。
肝試しと言ってもそんなに怖い思いはしないと思ってたんだろう。てかホントに出るとは思ってなかったみたいだ。でもな……
「見たから」
ここまで来ると引き返せないし、何よりオレは好奇心の方が勝ってしまっている。
「でも………行くだろ?」
だから……………オレの声が震えているのは気のせいだ。
「も、もち(ろ)んっすよ!!」
「……危害を加えないやつだといいなぁ」
小堀の言うとおりだとは思う。
オレのダチも見たけど無事に帰ってきてるし……心配は無いと思いたい。
「んじゃ、いつまでもここにいるわけにもいかないし行くか」
そう言って再び階段を上りだした。
その間は何もなかった。白い足は見えてこなかった。
「三階に来たなぁ……」
「んじゃ、小堀はまずここの写真撮っといてくれ」
そう言ってオレが小堀に頼むと、早川が急に窓辺に走っていった。
「あー!ア(レ)キャプテン達じゃないっすか!?」
早川がそう言いながら指差した先は、オレ達の目的地とは反対の東病棟の三階だった。
コの字型になっている病棟で、廊下側からそれぞれの病棟が見えるなっている。そこから笠松たちが見えてもおかしくはない。
その東病棟の三階からボウッとした光が二つ見えていた。笠松と黄瀬の懐中電灯が光っているのだろう。
早川が興奮してそれに向かって自分の懐中電灯を振ろうとしていたので、慌てて止めにった。
「おまっ!ここ立入禁止なんだぞ!!もし誰かに見つかったらやべえだろ!!少しは考えろ!!!」
「森山…オマエも声大きい。落ち付けって」
オレのいきなりの大声に驚いて、早川の声は止まった。
けれど、オレの声も大きかったみたいで小堀に懐中電灯で頭を小突かれてしまった。
そんななか、早川が不満たらたらと言ってきた。
「え〜、でも……」
「でもじゃねぇよ!さっさと行くぞ!オレ達はまだ西病棟にすら行ってないんだからな」
オレが早川に叱咤ながら横目で東病棟の方を見た。
ゆらゆらと不規則に揺れている光が進んでいるのか止まっているのか認識しづらい。
まあ、あまり気にすることのほどでもないだろ。笠松たちならなんとかやるだろうし。幽霊が出ても……後で言い忘れていたのを謝ればなんとかなるだろう。まずは向こうに出ないことを祈る。あと、こっちにももう出ないでくれることをものすごく祈る。
そう思いオレ達は西病棟に向かって歩いた。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
はい、中途半端です。
続きは週末にでもあげれたらあげます。

67:流慰:2010/11/29(月) 22:09

※このスレを見てる方にお詫びです※
>>60>>66まで書いていた長編の小説を勝手ながらストップさせていただきます。
理由は色々あるのですが、
その一つとしてあまりにも長すぎて、途中で浮かんだ短編を載せられないからと言った自分の勝手からでございます。
どれくらいの方がこのスレを見て、この長編を読んで楽しんでいただいていたのかはわかりません。
その人たちの期待を裏切るような形になることをお詫び申し上げます。
これ以降から載せるのは、短編だったり中編だったりと以前のような形になると思います。
以後はそれを楽しんでください。

なお、この途中の長編はいつかどこかで日にあたらせるつもりです。
この小説を見つけたその時は全てを通して楽しんでいただけたらと思います。


近いうちに短編をあげれたらな〜とか思っています。では、

68:流慰:2010/11/29(月) 23:09

降ってくるときは降ってくるネタ
短編の練習ものです。やまなしおちなし意味は自己満です。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『小ネタ(月・水・金)』

「いーづきーっ!」
自分を呼ぶ声に振り向くと、コガが水戸部と一緒に歩いてくるのが見えた。
「今日はもう帰るの?」
「当たり前だろ、宿題あるんだし」
ぴょこぴょこ跳ねるみたいにして話しかけてくるコガに学生の現実を突きつけると、一瞬言葉に詰まってしぼんだように大人しくなった。
「伊月〜……練習後なんだからそう言うの止めようよ…」
そんな風に言うコガの側で、水戸部が少し眉を下げて笑っている。
「良いじゃん、コガは器用貧乏なんだから」
「今はテスト関係ないじゃんかよー!」
怒っているようで怒っていない声をオレに向けた。
けれど、顔はオレの向こうの空に向けられていた。

寒くなってきてから日が落ちるのは早く、今はもう夜だ。
空には星と月が暗い空に点々としている。

「でもテストだって重要だろ」
「でもさー…」
コガがさらに何か言おうとするのを、水戸部が無言でたしなめた。
「……わかってるよ。喧嘩じゃないから大丈夫だって」
コガが水戸部にそう言ってオレに同意を求めるように目を合わせてきた。
パチパチとせわしく動くまたたきの間にクルクルとした瞳が見える。
「ね、そうだろ?」
「……当たり前だろ」
そう言ってコガの額を思いっきりはじいた。
「ぴょっ!?」
変な奇声をあげて額を押さえてうずくまるコガを余所に、慌てている水戸部の方を向いた。
「んじゃ、コガのこと頼んだ。オレはもう帰るからまたなー」
そう言って手を振ったオレに返すように軽く手を振ると、水戸部はコガの方を心配そうにのぞきこんだ。
後ろからコガの大丈夫だという声が聞こえた。
その声を背に、オレは家に帰って何の宿題から手をつけたら早く終わるかと算段していた。

月は金色に光って全てを照らしていた。

69:流慰 hoge:2010/11/30(火) 21:29


『小ネタ(水・金)』

少し浮き立つ歩き方をする少年が廊下を渡っていた。擬音語を付けるならピョコピョコと言ったところだろうか。
その少年の後ろには、少年よりも大きい体格の少年がゆっくりとした足取りで付いてきていた。えらく物静かな青年のような少年だ。
浮き立っていた少年はとある教室の前に行くと、一つ小さく跳ねてから止まった。
「うにゃー!ここで良いのかな?」
その教室を覗き、見渡していると、後ろから付いてきていた少年に肩に手を置かれた。
「ん?どうしたの水戸部?」
水戸部は、肩に置いた手とは反対の手でその教室の窓際の方を指差した。
その指先には水戸部よりも大柄な体格が見て取れる少年と、クールそうな外見をした黒髪の少年の二人組だった。
「…でも金髪の人がいないよ?」
少年がはてなを飛ばしながら水戸部に確認するように目を向けると、水戸部は大丈夫と言いたげな顔で静かに少年の背を押した。
その手のぬくもりに押され、少年の顔は笑顔になった。
「……水戸部がそう言うなら大丈夫か!」
少年の言葉に水戸部は笑いながら一つうなずいた。
「多分あの人がバスケ部作ろうと思ってるんだよね?」
そう言って大柄な少年を指差した。
水戸部は眉を少し下げて笑いながら首を横にかしげた。
「ん〜…水戸部もわかんないのか…けど声かけてみよっか」
そう言いながら少年は教室の中に意気揚々と入っていき、水戸部はそれにピッタリくっつくように後に続いた。
近づくにつれ、話しの内容が聞こえてくると、どうやら窓際の二人はバスケについて話しているらしく、少年と水戸部の推測は間違いではなかったらしい。
少年の顔は期待と先走る心で無駄に凛々しくなっていた。
しかし、それと相反するかのように、水戸部の顔が緊張と不安で固まっていたことは前を向いていた少年にはわからなかった。
少年が声をかけるために少し一呼吸置いて少年たちに話しかけた。

「あ!ねぇねぇ、バスケ部員集めてる木吉君ってキミ?」

それが小金井慎二と言う少年の始まりだった。

70:流慰:2011/03/10(木) 16:18

久しぶりの投稿です
続きものですのでゆっくり眺めてください

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「と言うわけで………青春しようぜ☆」
とっても良い笑顔でそう言い放った火神。
気まずいながらも平然としようとしていた場の雰囲気を全く読まない行動に、一同騒然となった。
そんな火神の行動の後、黄瀬が静かに立ち上がった。
大きく息を吸ったかと思うと、モデル時よりも良い笑顔で火神の方を見た。
そしてつぎの瞬間、
「どういうわけっスかぁぁぁぁあああああ!!」
ここにいる火神以外の全員の気持ちを代弁したかのようなセリフが響き渡った。

71:流慰:2011/04/08(金) 18:13

ここはマジバーガーと言う、街中でよく見かけるファストフード店の一つだ。
学生などが多く屯していることが多いその店の一つである誠凛高校の近くのマジバの一角に、今とんでもない光景が広がっていた。
いうなれば……180、190を容易に超える男たちが大勢いるのだ。
ぶっちゃけ言ってそれは威圧感しかない。
唯一その男たちに埋もれるように170近い少年もいるのだが……だからと言って威圧的な雰囲気が消え去るわけもなく、他の客はその一角から半径5メートルは離れて座っていた。
で、そんな他の客と店の心情を知ってか知らずか、その男たちは会議よろしく話しこんでいた。

72:流慰:2011/04/08(金) 18:17

「で……なんでいきなり青春を謳歌しようと言いだしたんですか?」
キセキというかこの場にいる全員を代表して黒子が火神に聞いてみた。
「いやなぁ……この前センパイにマンガ貸してもらったんだよ」
まるで全世界のバカを代表したようなバカガミこと火神が意気揚々と話し始めた。
しかし、それを全て話させてなるものかとでも言うように、途中で遮られてしまった。
「で、その青春もどきマンガに触発されて青春をしようなどと騒いでいるのか。バカにもほどがあるのだよ」
なんとも険しい雰囲気に似つかわしいファンシーなクマのぬいぐるみを弄びながら緑間は言った。
「もどきじゃねーよ!正真正銘の青春マンガだよ!!」
反論する火神の眼は本気だった。
「っつてもよー。なんで俺らを呼んだんだよ。どうせやんなら自分とこのセンパイ巻き込めよ」
本気でだるそうにイスに寄りかかっている青峰に言われて、睨みつけるように火神が青峰の方を向いた。
「ふざけんなよ!!センパイ達をこんなことに巻き込めるわけねぇだろ!!」
キッパリと言い放った火神。一応こんなことという自覚はあるらしい。
その言葉に青峰がいきり立って火神に向かって吠えた。
「んだごらぁっ!!だったらオレ達は良いのかよ!!俺たちだったらこんなくだらねぇことに巻き込んでも良いと思ってんのかてめぇは!!」
ダンッと音を立てて片手をテーブルに叩きつけた。
獣を思わせる鋭い目に険しい雰囲気が倍増させられて、周りにいる客の恐怖心を誘った。
「当たり前だろ―――――!!」

73:流慰:2011/04/08(金) 18:45

対する火神は両の手でテーブルを叩いた。
こちらも獣のようなとんでもない雰囲気を醸し出しており、周囲の客や店員がここで喧嘩がおきるかとひやひやしていた。
「ふざけんじゃねーよ!!その考えひっくり返してやらぁ!表でろや!相手してやる!!」
「臨むとこだ!!」
火神と青峰が互いに顔を近づけて睨みあった。
その時に二人の足がテーブルに当たり、テーブルが大きく揺れた。
バシャッ
水が何かにかかる音がした。
その音に一瞬にして火神と青峰は一瞬にして顔を青ざめた。
そして互いにゆっくりと音のした方に視線をやると、そこには誠凛高校の制服にべったりと付いたシェイクの姿があった。
そして、その制服を着ている人物に目をやると、描写できないほど恐ろしい表情になっている黒子がいた。
その顔はたとえるなら3日ぐらい余裕でうなされそうで、関係のない黄瀬たちですら静かにふるえていた。黄瀬たちですらそのようなのだからその怒りの矛先にいる火神と青峰はたまったものじゃない。一瞬んで顔から血の気が引いていた。
そんな火神たちを気にもせず、黒子は静かに口を開いた。
「火神君、青峰君………責任取ってくれますよね?」
マジバ内に声になっていない悲鳴が上がった。

そして、それから二人の姿を見た者はいなかった。

……わけはなく、それから2時間後まで正座している二人しか見た者はいなかった。

74:流慰:2011/04/08(金) 18:52


2時間後、何事もなかったように火神が再び叫んだ。
「青春しようぜ!」
もう誰もつっこむ者はいなかった。
そのかわり静かに黒子が火神の足を軽く蹴った。
「――――――――――っ!!」
2時間正座が相当きつかったのか脚の痺れに火神が悶絶した。
「はっ、ざまぁ」
そう火神に言い放った青峰の足を緑間が静かにはたいた。
先ほどの火神と一緒になって青峰も悶絶。
黙ってれば良いのにと黄瀬が呟くと、それを聞き逃さなかった火神と青峰のダブルパンチが黄瀬の足に。
そして悶絶。
もうそろそろキリが無くなりそうだと悶絶している3人を無視して黒子が緑間の方に向いた。
「火神君も青峰君も黄瀬君もこんなになってしまいましたし今日はお開きにしましょう。ボクも制服をクリーニングに出したいですし」
「はぁっ!!何言ってんだよ黒子!」
「あなたは黙っていてください」
復活した火神が黒子に一蹴されているのを見ると、何のためにここまで来たのかを考えてしまう緑間だった。こんなことなら火神のメールを無視していればよかった、と。
「まったく無駄な時間を過ごしたのだよ」
「全くです」
二人してため息をつくと、後ろから幸せが逃げるぞと声がした。



『嗚呼、バカばかり』

75:流慰:2011/04/09(土) 18:09


『不愉快で、心地よくて』

 「花宮はさー、天才とか秀才とかをぶっ潰したいんだろ?」
 部活帰りの暗闇の道、かけられた言葉に花宮が後ろを振り向く。
 「んだよ急に…」
 花宮が嫌そうな顔をすると、原はガムをゆっくり膨らましながらなんとなくーと返した。
 「だってオレらからしたら花宮も天才の域に入っちゃってるわけで、なのになんで花宮は自分と同じようなのを潰したいんだろうなーとかは思ったりしたり?なあ?」
 原が同意を求めるようにオレ達の方に顔を向ける。同調した山崎以外は否定とも肯定ともいえない顔で何も言わない。
 「ふーん…」
 原は唐突に思ったってものではなく結構前から不思議に思っていたのか中々引かない。
 そんなもの考えずとも分かるのではないかと花宮は思っているのだろう。けれど、わからない原に答えを急かされている。
 「つーかお前らオレがいっつも言ってることわかってんのか?」
 「は?……何だっ「人の不幸は蜜の味…だろ」
 原の言葉にかぶせるように言ってきた瀬戸の台詞に、花宮の顔に歪んだ笑みが広がる。
 「よくぞご名答で。これだけ言えばわかるだろ?」
 「わかんねーよ」
 山崎の頭には少し難しすぎたらしい。
 そんな山崎にあきれ顔を向けている花宮と瀬戸の天才二人は自分だけ分かっていればもうそれでいいという風に話を切り上げようとしていた。
 「オレもよくわかんねーからもうちょいヒントくれよ」
 「んだよお前らは…」
 至極めんどくさそうに花宮の顔がゆがむ。
 そんなことはどうでもいいというように原は催促を止めない。
 「だって気になんじゃん」
 理由なんて簡単だとでも言って大きくガムを膨らます。

76:流慰:2011/04/09(土) 18:09

 「いちいちお前ら相手にちょこちょこヒント何て出していったら時間がいくらあってもたりねーよ」
 「じゃあ簡潔に答え教えてくれよ」
 それと同時に原の膨らましていたガムが破裂した。いや、破裂させられたと言った方がいいのか。パンッと意外と大きな音で、静かな夜道にはよく響いた。
 「うるせーバァカ」
 ガムを破裂させた花宮本人はそんなことを言いながらまた歩き出した。
 顔に張り付いたガムを取りながら原が小さく文句を言っている。まあ、確かにこの流れでは文句を言いたい状況でもあるだろう。
 「……かに」
 花宮は、原が顔全体についていたガムを取り終わってから呟いた。
 「確かにオレは天才や秀才ってやつをぶっ潰すのが好きだ、快感だ。でもそれ以上に他人の絶望に歪んだ表情が大好きなんだよ。こんなやり方で勝つオレ達に負けてしまった自分達を悔やむあの表情、コートに崩れ落ちるあの時の目、オレらを憎んで放つあの雰囲気、全部全部あのコートで手に入る快感だ」
 その言葉はだれに聞かせるわけでもなく、あえて言うなら自分自身に言い聞かせているように感じた。
 いつもの花宮にしてはえらく落ち着きがないようにも感じたが、それは誠凛の試合前だからなのかもしれない。
 花宮とは対極にいる木吉鉄平がいる誠凛。帰り際にどいつもこいつも…と呟きが聞こえていたし、よほど徹底的に潰すつもりなのだろう。花宮の考えは掴めないが、その気持ちぐらいなら全員わかっている。
 あぁ、可哀想にな
 比較的近くにいた瀬戸の呟きが聞こえた。
 それは今の花宮に向けてなのか、それともこれから潰される誠凛へなのかは分からない。

77:流慰:2011/04/09(土) 18:10


 少し張り詰めたような空気の中、そんなものは関係なしと言うように花宮はオレ達の方を振り向いてなぜか不愉快になるほどのにこやかな笑顔で言った。
 「まあ、確かに天才や秀才が崩れ落ちる姿の方が見ていると気持ちいけど、世の中にそんなにたくさんの天才や秀才がいるわけじゃねーんだよ。質も大事だけど量も必要だろ?」
 顔は笑ってた、声も笑ってた、けれど目と雰囲気は笑っていない。
 「だから…」
 そして、花宮の言葉はまだ終わっていなかった。
 ゆっくりと紡ぎだされるように呟くその言葉はとても不愉快で、とても心地が良いものだった。
 「がんばろうな」
 嗚呼、そうだな そうだな。
 とても響きがよくてとても気分が悪くなる。
 心の底からの言葉だろう。とても嫌悪を感じる。

 がんばってがんばってるやつらをつぶそうな

 奇妙なことで可笑しいことで

78:流慰:2011/04/22(金) 18:29


 オレ達の夏は終わった。

 誠凛からの試合で海常全体が一から、基本から行けたと思う。
 そして、この時が近づくにつれいつも以上にスタメンたちの練習に身が入っていた。
 去年のことも足かせになんか思っていないなんて嘘になる。けれどそれは全てオレがキャプテンであるための重りであったし、そのおかげでここまでこれたと言っても過言ではない。
 けれどやはり悔しい。
 試合では一人ひとりがよくやったけれど、悔いがないと言えば嘘になる。
 けれど悔いなんて残してられない。ウィンターカップがあるし、オレ達3年は受験だってある。
 借りは返せばいいし、利子は多めに返せばいい。
 そんなこと思っても溢れる気持ちは簡単には抑えられない。
 心から湧き上がってくる感情を抑えつけようにもストッパーが壊れてしまったかのようにいつまでもいつまでもいつまでも溢れかえってくる。
 抑える声も想像以上に大きくなる。
 いつまでも溢れ出る滴はいつその根源が涸れるのか分からない。
 理性で本能が抑えられないなんて、
 悲しみ、苦しみ、後悔、全ての感情を一度全てだそう。
 オレが前を見れるように、また上を目指せるように、またアイツらとバスケをできるように。

 今年の夏は一段と暑さが厳しいのか、蝉の声が耳にまとわりつく。

79:流慰:2011/04/22(金) 18:30


 自分の力を全て引き出したと思う。青峰っちに憧れて、砕こうともしていなかった壁も砕けた。仲間とだって協力してプレーした。桐皇にはないその絆で。
 全部がかけがえのないものだって思ってる。それでいけると、勝てると思ってた。

 でも負けた。

 約束したのに、センパイに宣言したのに。
 自分の力不足だ。
 センパイにそんな風に言ったら自分だけを責めるななんて言われるかもしれない。スタメンのみんなに言ったらオレのせいだけじゃないって言われるかもしれない。
 けれど、今は自分を責めていたかった。それはみんな同じなのだろう。だれも口には出さないけれど、その顔でわかる。みんなみんな自分を責めている。
 だれか溢れる感情を抑える術を教えてください。
 だれかこの気持ちのリミッターを直してください。
 だれかあの人になんて声をかければいいのか教えてください。
 だれかあの人の涙を止める方法を教えてください。
 誰かこの理性をなくす方法を教えてください。
 そうすれば、何も考えずにあの人のそばに行けるなんて考えている自分がいる。
 何も考えずにあの人のそばで泣きたい。けれど。そんなことは叶わないことで、今は何も言わずにそっとしておくことしかできない。
 こんなことですら無力な自分が悔しい。

80:流慰:2011/04/22(金) 18:31

 悲しみ、苦しみ、後悔、全ての感情に今は蓋をします。オレは先に流してしまったんで。
 次オレが上を目指す時もオレと一緒に、全ての力を出し切ってオレと一緒に戦ってください
 どんな方法でもいいです。オレの傍で戦ってください。
 次こそあなたにてっぺんを見せます。
 だから今は、心に渦巻くすべての物を吐きだしてください。

 今年の冬はどれだけ寒いだろうか。
 雪が溢れ出る滴で溶けないように、溶けるなら頂上から溢れ出る滴で。

 そのためにも、
 今できることを



『もっと強くなりたいです』
(もう二度と負ける姿は見せないから)

81:流慰:2011/05/29(日) 11:04


『降り落ちる雨の中』

 時たま無性に雨にぬれたい気分に陥る。
 特別嫌なことがあったわけでも特別嬉しいことがあったわけでない。
 ただぬれ鼠のように震えるのもまた一興かと思うのだ。

 「そんなとこにいっと風邪ひくぞ」

 そう言って雨音以外静寂だった場を壊し、ボクにタオルを投げてきたのか火神君だった。
 タオルを投げられても雨がこない建物の中に入る気はさらさらなく、彼が投げたタオルがボクの手の中で濡れて重くなっていくのを感じている。
 投げ返すにももう濡れ過ぎて返したところで迷惑になるのだろうとタオルを片手に火神君にい視線をやった。
 彼はボクがなにをしてどうしたいのかわからずに、けれど止めろとも言わないでボクを見ていた。
 彼もこっちに誘ってみようか。この雨に打たれる快感を感じてもらおうか。
 そんな気持ちもなくはない。けれど、そんなことより自分だけの空間と化している静寂を壊したくない気持ちもある。
 着ているシャツが重くなっていく。少しの寒気が心地よく体に浸透していく。
 不浄なものを洗い流してくれるような感覚もありながら、冷たいものを沈殿させていく感覚も持ち合わせ、雨はボクに降り注ぐ。
 このまま息を止めてしまおうかと思うような土の匂いに、無粋な足音が空間を壊す。

 「……キミも来たんですか?」

82:流慰:2011/05/29(日) 11:05

 「えらく気持ち良さそうにしてたからな」

 ホントの理由はいざ知らず、火神君はこの雨に打たれているボクを見て何かを思ったのだろう。雨の中を歩いてボクの隣に立った。
 見あげるボクに目を向け、何も言わずに視線を上にやった。
 灰色の空が重くのしかかってきそうで、そこから降ってくる透明の雨粒がえらく不思議に思えてしまった。

 「………さみぃな」
 「まだ夏じゃありませんからね」
 「こんなに濡れて、明日風邪ひいても知らねえぞ」
 「それは君にも言えることですよ」
 「オレはお前みたいにまだそんなに濡れてないから」
 
 そんなこと言って、彼はもう同じくらいずぶぬれになってしまっている。
 ボクがクスリと笑うと、なにを考えているのかわからないと言ったような顔をする。

 「…………いいですか?」
 「は?」

 ボクの問いが聞こえなかったと聞き返す。
 雨がボクの声を吸収するかのように雨が強くなっていく。

 「で、気持ちいいですか?」

 「……雨が強すぎてそんなもの考えてもいなかった」

83:流慰:2011/05/29(日) 11:06


 雨足はさっき強まったばかり。彼はなぜ嘘をついたのか。
 その気持ちはわからないが、このままではどっちも風邪をひいてしまうことだけはわかっている。

 「着替えましょう。このままでは風邪ひきますよ」
 「……おう」

 ボクの後を付くように校舎の中に入った。
 片手に持っている濡れたタオルを首にかけると雨の匂いが微かに鼻をくすぐった。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――

私の地域が梅雨入りしたんで梅雨入り記念(?)の小説です

84:流慰:2011/05/29(日) 11:09


『突然の言葉』


 「火神君なんてくそくらえです」

 いきなり黒子に悪口を言われました。

85:流慰:2011/05/29(日) 11:09

 何この状況。ってことで話しは少し前に遡る。
 教室に忘れ物をしたオレは、それを取りに行くために教室に行こうとしていた。そんな時、ちょうど角の所で黒子とぶつかってしまった。結構勢いがあったのかオレはよろけるだけで済んだが、黒子は尻もちをついてしまった。大丈夫かと声をかけると「大丈夫です」と返ってきたから手を貸して起こしてやると、さっきの冒頭の状況になったというわけだ。
 確かにあまり前を見てなかったオレも悪いけど、こういう場合はお互いさまってことになるんじゃないのだろうか。第一黒子は大丈夫と言っていたし、どこも怪我をしていないのではないだろうか。それなのにこの仕打ちは何なのだろうか。
 呆然としているオレに、追い打ちをかけるように黒子が毒を吐いてくる。

 「動かないなら人の邪魔にならないところでアホ面で突っ立っていてくださいこの木偶の棒。今のボクはバカガミとからんでいる暇なんてないんです。人の話し聞いているんですかカニ眉。さっさとしないとイグナイト叩きこみますよ」

 なんかこの人恐ろしいこと言っているのだが。今日は黒子はキレやすい日なのか?
 とりあえず、もうこれ以上何かを言われる前にどかないと本当にイグナイトを叩きこまれかねないので、黒子の前からどいてみた。
 すると、さっきまでの恐ろしい言葉が出ていた口からありがとうございますなんて言葉が出てきた。もう何この人ワケガワカラナイ。

86:流慰:2011/05/29(日) 11:10


 「それでは、ボクは失礼します」

 そう言って黒子は部室のある方へと歩いていった。
 その後ろ姿を呆然と見送った後、教室の忘れものなんてしばらくの間頭から離れていたことを思い出して慌てて教室の方へと走った。部活が始まるまでそんなに時間はないということに気がついたから。
 けれど部活……さっきみたいな黒子と一緒に部活なんてしたらオレの精神が持つかが心配になってくる。けれど、部活に送れたら黒子よりも恐ろしいカントクに叱られる。
 仕方なしに走っているスピードをあげて教室へと急いだ。


 「火神君遅かったですね」

 忘れ物を取りにいって部室に行くと黒子と遭遇した。
 また罵詈雑言を浴びせられるのではないかと思って少し身構えてしまった。
 しかし、オレの予想とは反して、黒子は普通に着替えを終えて練習に行こうとしている。
 不思議に思いながらもオレも着替えを始めようとすると、部室から出ていこうとした黒子が声をかけてきた。

87:流慰:2011/05/29(日) 11:11


 「さっきはすみませんでした。決して火神君が悪いわけではありませんから」

 なんと謝罪が出ました。いや、それが普通だとは思うのだけれども。さっきの黒子の言葉からは想像もできなくなっていただけなのだけれど。

 「火神君が悪いわけじゃなくて……ただ単にボクが言いたくなっただけですから。それではお先に」

 そう言って部室を出ていき、一人取り残されるオレ。
 呆然としている自分の口から自然と言葉が漏れた。

 「それって……一番タチ悪くね?」

 どこか遠くから鐘の音が聞こえた。



<終>


書き込む 最新10 サイトマップ