黒衣 〜降ってきた災い〜

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1:エルガ ◆BDJ.:2010/11/12(金) 20:52

その日は高校入学当日だった。
小学からの友人(裕樹)と一緒に高校に見事合格
その日も一緒に高校へ行く予定

8時を過ぎても待ち合わせ場所に来ない
「・・・可笑しい」

小学の時から
遊ぶ時や約束のある時は時間を守る奴だった
それが中々来ない

それもそのはずだったのだ
俺の勘違いで8時と思いこみ
本当の時間は7時半

俺が30分以上も間違えていた
学校へは遅刻ギリギリだった
席につくなり愕然とした
「アイツ(裕樹)とはクラスが正反対の位置にある・・・」
アイツは1組
俺は7組になってしまったのだ

・・・しかし
この離れてしまった友人をキッカケに
俺の人生は狂ったのだ・・・。

入学早々
クラスに馴染もうと積極的に人と話をして
2週間もしない内にクラスの人間の名前は覚えた
このクラスで一番親しくなったのは
「敬太」だった
鈴木敬太
性格はまずまずでいわば「面白い」奴だ

しかし
その敬太から驚くべき話を耳にすることになったのだ・・・・・。

2:匿名さん:2010/11/12(金) 20:58

>>1
「・・・」表記より「…」の方が妥当

3:エルガ ◆BDJ.:2010/11/12(金) 21:17

「なァ、知ってるか?」
「知らねェよ」
「まだ何も言ってねーじゃん!w」

そこから話が始まった

何でも
裕樹のクラスに変な奴が居ると学校中で噂になっているらしい
そして
裕樹がソイツと関わってから学校に来なくなっていた

何時も一緒に学校に行くのだが
つい5日前
俺の寝坊をキッカケに
バラバラで学校へ行くようになり
それからと言うもの姿を殆ど見なくなっていたのだ

「昔からの友達なんだろ?見舞いとか行ってみたら?」
その言葉を聴き
俺は学校帰りに裕樹宅へ向かった

裕樹の母「8日前から帰って来てないのよね〜・・・警察にも連絡したんだけど・・・」

・・・待てよ。
待てよ、待てよ!
一週間!?
俺がアイツの顔を最後に見たのは5日前
つまり
3日間の白紙の時間が産まれる

なぜ?
と言うか
この3日間の間
俺は誰の顔を見間違えていたのだ?
いや
見間違うわけが無い
10年以上も同じ顔を見てるんだ
間違うわけ・・・・・
ふと敬太の噂話を思い出す
「変な奴・・・?」

翌日
ソイツのところへ行く事にした

須川良平・・・。
コレも聞いた話だが
アイツに話掛けた人間6人中4人が何らかの理由で登校拒否になっているらしい
現に
その4人の席がしっかりと空席になっている
まず俺が考えたのは
ソイツと喋った事のある2人に話を聞くことだ

其処でも面白い話を聞く事ができた
「普通の奴だと思ってたが案外苦労してるらしいよ?
  親父さんが事故で亡くなっているらしいし兄弟は3人
しかもアイツともう1人双子の弟と3つ離れた弟がいるらしいよ」

「雰囲気は気持ち悪い物があるが
 話せば案外良い奴だったぜ?
このクラスだけの話なんだが
登校拒否になった連中は皆アイツに喧嘩を売った奴か意見の合わない連中だったんだ」

二人の話の合間で
「きっと消されたんだ」
「裏では怖いのかも・・・」と言う言葉を耳にしたのだ

それを聞き
独りでは怖くなり
また明日に出直すことにしたのだ

4:エルガ ◆BDJ.:2010/11/12(金) 21:19

>>2
アドバイスサンクス
次からそうするよ
とりあえず今日は出だしだけで終わりにしておくw

5:匿名さん:2010/11/12(金) 23:37

またも余計な一言だが

>裕樹の母「8日前から帰って来てないのよね〜・・・警察にも連絡したんだけど・・・」

会話の前に人を入れないのが基本

読んでいて流れは面白く飽きにくそうだが描写がやや雑
繊細にとは言わないがこれからのキーポイントになるであろうと予想される裕樹関連や良平関連はなるべく分かりやすく説明するといいかもしれない
気になった第一は裕樹の母について。不安げな様子なのか、子供を全く心配していないかのような異変が起きてるのか読み取りにくい
ミステリアスな内容をイメージしてるから誰かの異変がますます面白さを深めていくと思う


良平ではやはり関連者二人の様子も感じたかった
会話文だけでは読みにくいし感じにくい



長々言ったがただの個人意見に過ぎない
あまり深くは捉えないでくれ

6:エルガ ◆BDJ.:2010/11/13(土) 11:37

ん〜描写を細かくすれば更に文自体が長くなる
小説愛読者の集まりだと理解していても
やはり話を一点に停滞させるのは面白くない

だが重要な部分はこれからは気をつけて書きする。
それじゃ続きを書いて行くかァw


翌日の登校時
俺は昨日の話に恐怖しストレスを感じたせいか腹痛を患っていた
学校自体そんなに遠くは無いし腹痛ごときで休んでも居られない
改めて裕樹失踪に付いて考えをまとめてみる。

そもそも
俺は失踪したであろう8日前から3日間は裕樹を見ている
つまり
家出なのだろうか。
しかし
家出だけなら学校を休む事までしなくても良いはず

そんな事を考えながら信号待ちしている時だ
「…瀬田?」
反対側の通路を堂々と横切っていく
第一不登校者を発見したのだ

信号が変わると同時に瀬田を追う
しかし
追って来るのを確認すると瀬田は逃げた
「おい!待てよ!……ふざけんじゃねェーよ」
異常なまでの速さで逃げられ追い付く事が出来なかった

勿論
そんな寄り道をしたせいで
今日も遅刻寸前だ
一時間目終了時に即時敬太に報告

敬太は驚きはせず淡々と言い放つ
「違うクラスの奴だろ?何も其処までしなくても良いじゃん
まァ、藤竜は裕樹の事聞こうとしてたんだろうけど
あんまり首突っ込まない方が良いぞ?」

此処で遅くなったが敬太の言う「藤竜」とは俺のあだ名で
本名は
藤北 竜巳
中学から陸上部をしていた
専門は短距離

だから今朝の事が少しショックだった

「そんな事言うなよ。仮にも貴重な情報を持ってる奴だぜ?
そうだ
放課後時間空いてるだろ?
アイツ(良平)んとこ行くの付き合えよ」

敬太は中々首を縦に振らなかった
嫌がる敬太を無理矢理連れて
とうとう話を交える所まできたんだ。

7:エルガ ◆BDJ.:2010/11/13(土) 12:04

須川は最初は話を聞こうともしなかった
それどころか自論を撒き散らし逃げ帰ろうとまでした

呆れの入った敬太を知り目に
俺は切れていた
「ふざけんな。お前が関わってんだろ!?
知ってんだぜ?お前と関わった奴が4人も学校来てねぇんだぞ!」

それを聞くなり態度を変え自分から話し出した
「俺は…知らねぇよ。何も知らねぇんだ
コレ見ろよ
入学して二日目に届いたこのメールをさ」

宛名不明のメールを無理矢理見せると
良平は後ろを向いたまま反応を見せなかった

『授業中失礼しますね。須川良平君
まず
このメールを見るにあたっての注意をするよwwww

1、騒ぐんじゃない
2、誰かに言って見ろ今学校ごと爆破して君を殺す

机の裏を触ると良い
{我々}の意思を理解できるはずさ
外そうなんて考えるな
もし
次の日にでも外してみろ
その日の内に抹殺してやる

さて本題だ
これから君は1人ずつこの学校から消して行くんだ

ターゲットはこちらからの指示を待てば良い
なに
簡単な話だよ
その日にめぼしい人間と喧嘩でも何でもしてくれれば良い
それを見て我々がソイツをターゲットとみなす

では次の指示を待ちたまえw』

俺は急いで彼の机の裏を覗いた
「…間違いない爆弾だよ…」

8:エルガ ◆BDJ.:2010/11/13(土) 13:29

事の急変があったのは
それから3日後だった

あれからというもの良平は俺達から離れとうとしなくなり
常に周囲を警戒していた
「俺のアドも名前も、しかもクラスの人間の名前まで言い当てて行くんだ…
絶対に犯人は学校の関係者だよ」

事実
良平は
「登校拒否」になった4人と揉めただけで
そのほかの事は知らないと言っていた

俺達3人で「謝罪」の名目で
誰かの家を訪ねる事にした

まず第一登校拒否者である
瀬田の家を訪れる事になった
しかし
瀬田は俺が最後に目撃した日を境に失踪していた

「コレで失踪者は二人……」

「藤竜、俺思うんだが
二人だけが失踪と言うのも可笑しいと思う。
コレは推測だが多分
登校拒否者な全員失踪って事も考えられる」

「まってよ。
鈴木君、確かに残った3人の内2人は無断欠席らしいけど
宮島君だけはちゃんと毎日親から連絡が来てるそうだよ?
謝罪も兼ねて情報を聞いてみたらどうだろう」

此処に来て納得の行かない事は
なぜ瀬田が消えたのかだ

俺に目撃されたくらいの理由で消えるだろうか
まして
彼は一番最初に問題のあった奴だ
状況がどうなっているのか
誰かから聞かない限りは把握不可能なはず

…彼の近辺状況を伝える伝達者が居たとしたら?
なぜ自分の目で確かめようとしない?
それとも
学校に来られない決定的な何かを隠している?

そうだ
隠していなければ逃げるなんてしなかったはずだ

「おい、聞いてるのか?藤竜!」
「っえ?」
「今日は遅いし明日宮島の家に行こうって話だよ」
「お、おう。そうだな。
こんな変な事が身近で起きてるんだ二人も気をつけろよ?」

それぞれの帰路に着いた俺達だが
腑に落ちない事がもう一つ

なぜ
良平は残るメンバーの詳細を知っていた?
やはり関わりがあるのだろうか


……そして事件が起きる
就寝前に
この事を敬太にも伝えようと電話をしたのだ

「もしもし」
「敬太か?なァ
良平は何で3人の詳細を知ってたんだと思う?」

「こんばんは。藤北竜巳君
須川良平がなぜ詳細を知っていたか教えよう」

「…お前、誰だよ。
何で敬太の電話に出てんだよ!
ってか
何で俺の名前知ってんだよ
ふざけんな!
敬太に代われ!!」

「残念だが敬太君に代わる事はできない
君は知らなくて良い物を知ろうとしている
友達の安否が心配なら
須川良平と縁を切ってもらおう
これから起きる事は我々にとってはゲームだ
良平当人からすれば
要らぬ火の子を被せられる事になるがな

君は見てしまったんだろう?
彼の机に仕掛けた物をw
彼が無事
我々のゲームをクリアしてくれれば君たちは
何事も無かったように毎日を過ごす事が出来るんだ
是非とも邪魔をせず
平和だけを願っていてくれたまえ」

そこで電話が切れた

案の定
翌日
学校に敬太の存在はなかった…

9:エルガ ◆BDJ.:2010/11/13(土) 13:43

今日しなければならない事は
まず
宮島宅を訪れる事
そして
敬太の安否確認だ
そう思いながら登校すると
玄関口が自棄に騒がしい

先生が玄関口を締め出し
生徒達と共に何かを見ている
中には悲鳴を上げる者も居た

「藤北君!」

俺は良平に呼ばれるなり腕を引っ張られ「それ」を目撃した
「何だ?これ
……人体?」

其処にはバラバラに切断された
瀬田の体が転がっていたのだ…

10:エルガ ◆BDJ.:2010/11/13(土) 15:32

勿論
警察沙汰になる事は目に見えた
先生の方でも
緊急集会と銘打って
全校生徒を集め
一時帰宅させる事を考えた

それは
俺にとって都合の良い話だ
6時間と言う貴重な時間をフルに使えるのだから

帰ろうとする良平を無理矢理自宅に呼び
再びメールを見せてもらう

その後
宮島宅を訪れ詳しく話を聞く

「あの日の事かい?
もう日にちが経つしよくは覚えてないんだけど
知らない人からメールが着てね
…これだよ。

『宮島小太郎君へ
今日を境に学校への登校は控えて欲しい
今日君が喧嘩をした須川良平が
君を殺そうと考えている
たまたま廊下で聞いてしまったんだ
自分(良平)の机に爆弾をセットしたと
機会があれば何時でも殺すと電話で誰かと話していた
この事は誰にも言わないで欲しい
彼が何時爆弾を使うか分からない以上
他言無用だよ?良いね?」

ん?
待てよ。だとしたらどうして
俺達を家の中に入れたんだ?

「君達を家に入れたのは
もしコレが本当なら
思いとどまらせるためだったんだ
その逆に知らないのであれば
メールの送り主がホラを吹いて廻っている事になるからね」

心を読まれた俺は焦る

そして
此処最近で起きた事件を彼に告げる
「三宅君も…学校に犯人が居ると思うかい?」
「まだ分からないけど可能性は高いよね」

「だけど
瀬田君がそんな事になるなんて…
何が理由なのかな…
それさえ分かれば対応も出来そうだけど」

「二人とも
恐らくこのメールは失踪者を含め
関係者全員に届いたはず
その上で
何かタブーを犯したものが{誘拐}されたと考えるのが一番だ
つまり
瀬田以外の関係者はまだ生きているかもしれない

……瀬田は多分
タブーを犯した上に重要な事を知ったか見たかで…」

最後の言葉に詰まる

「ところで
君の友人の…」
「敬太?」

「そうそう
彼がなぜ失踪したのか考えよう
何も君を脅すだけならもっとまともな方法があったはずだろう?
それをしないって事はもっと別の理由があるんだよ」

それを最後に
3人はまた黙る

気付けば夜の8時になっていた
あまり遅くまでは危険と言う事で3人は解散

その日
俺は初めて無言で家族との時間を過ごした

11:エルガ ◆BDJ.:2010/11/13(土) 16:18

翌日
何も無いまま時間が過ぎる
結局は
犯人が分からない
その上
学校は一連の騒動により全生徒は登校禁止

そんな時に限って嫌な事が起きる

ブー、ブー
携帯が鳴る
「非通知」
出るかどうか悩む
しかし出る事にした

「おはよう。藤北君w
相変わらず無駄にかんばって居るようだね
忘れていないかい?
こちらは何時でも爆破できる立場に居たんだ
それをしなかった事の意味が」

「用件は!(怒」

「焦るな
君にはとある人間の所へ行ってもらいたい
そこで茶封筒を受け取るだけで良い

昨日の事件で
我々が本気だと理解できているので有れば
嫌とは言えないはずだ」

「何処に行けば良い」

「学校だよ
学校の裏門を空けておいた非常階段で3階まで行ってくれたまえ」

言われた通り
その場所へ向かう
非常階段(3階)の踊り場で俺が見たものは

「孝之!」

彼はクラスの人間でそこそこ親しい人間だ
今は壁に鉄のような物で腹部・腕部を固定され貼り付けにあっていた

駆け寄り助けようとするがそこでも電話が響いた

「無駄な事はしなくて良いんだよ。藤北君
さァ
彼のズボンの左のポケットから封筒を出すんだ!」

此処では素直に従うほか無い
「それを
持って前へ出ろ…下に小さなトロッコが見えるな?」

先端部分に紐を結んであるトロッコが確かに見えた
紐を辿り犯人を捜そうとしたが
木に引っ掛けたり草むらの中に入ったりで
最終的に見失った

「そのトロッコへ封筒を落とせ
そうすれば用は済んだし帰って良い」

「孝之は?」

「安心してくれ
彼にも用は無い」

それを聞くなり
俺はトロッコへと封筒を落とす
それと同時に
「ヒュドッ」
後ろを振り返った時には弾丸が孝之を貫いていた

「どういう事だ!俺達帰れるんじゃないのかよ!」

「何を言っている?
確かに君は帰って良いと言ったが
彼において
身の保証をした覚えがないなァ
『用は無い』と言っただろう?
用なしの道具を排除して何が悪い。
さァ
私の気が変わらないうちに帰りたまえ」

「くそったれが!!!」
そういって電源を切り
帰路へと着く

勿論
この事は誰にも言えない
言えば一番に怪しまれるのは俺だし

全てを話して疑いが晴れたとしても
奴等に消されるのがオチだ

「何も無かったように生活しなくちゃ…」
独り言を呟きながら
俺はその日を終えた

12:エルガ ◆BDJ.:2010/11/13(土) 20:52

一連の騒動は大きくニュースになった
死者が二名に増えたのだ
当然の結果だろう
その上
学校サイドでは
失踪したであろう生徒の名前をテロップに載せ
大々的に晒したのだ

特に気になったのは
学年主任の灯珂の捨て台詞
「失踪した学生は同クラスの須川良平の関与の下行われた物と判断
しています。
目下の所は詳細を確認中です」

…どうりで。
昨日から良平と連絡がつかないと思ったら
コイツが生徒を売ったのか…。
それじゃあ今頃良平は報道記者に追われてるわけか

「先行も宛てにならねぇな」

大方
宮島も同じような目に合っているはずだ

とうとう単独で動くハメになるとは。
今後の成り行きによっては協力者が必要なのに!

そこで電話が鳴る
相手はもう分かっているアイツ(犯人)だ…

「ごきげんよう。藤北君
君のお友達の活躍は素晴しいね〜」

嫌がらせのように掛かってきた電話だ

「此処で一つ
君にもゲームを楽しんで貰うよw
そうだな〜
クリア報酬は…

鈴木敬太と水元裕樹の解放だ
こちらとしても
お友達の活躍は目に余るものがある

二人の開放条件は
須川・宮島のどちらかの殺害だ
凶器や道具が必要ならば言ってくれたまえ
準備させよう」

「ふざけるんじゃねぇよ!
人を殺せだと!?まして友人を。
コレはお前が引き起こした問題だろ?
自分の尻も拭けないようなクズの言いなりになって溜まるか!」

「仕方が無い
それじゃ右か左を選びたまえ」

「っあ?……右だ」

パンッ!
「っああ゛ァぁ゛」

電話越しに聞こえる銃声と男の悲鳴
「鈴木敬太……死亡確認♪」

そこで電話が切れたんだ

13:全自動SS投下機械 ◆Z0k2:2010/11/13(土) 21:29


(怒

などは会話分には使わない方がよろしいかと。
声音の色や感情の起伏なども描写で表してこその小説ではないでしょうか。

14:エルガ ◆BDJ.:2010/11/13(土) 21:41

もはや
答えを選べる立場ではない
「親友」を取るか「新友」を取るか
しばらくして
良平からの電話があった
そこで一切の事を話
急遽、3人で話し合いをする事になった

改めて2人の顔を眺めると
まだ半分も知らない友人の顔が並んでいる

「…二人とも、先に謝罪させてくれ
ごめん!
どっちか
俺に命をくれ。」

「そんな事いわれてもなァ」

「……良い方法が一つあるよ。二人とも
命はやれないけど
画期的なものさ
但し失敗すればそいつは死ぬし
成功してもバレれば結局全員死ぬかも…」

「何だよ?それ」今は宮島の話に耳を傾ける

「僕は水泳部に所属してるんだけどね
僕を水死にすれば良いのさ
実際は生きてるけどね

というのも
あらかじめ重りになるものを用意して
僕をそれに縛り付ける
そして海へ
実際には頃合を見計らってロープを切り
脱出
コレならいくら{彼等}でも分からないさ」

「ん?」
俺は宮島のセリフに違和感を感じた
しかし
決定的な証拠にはならないし
その時は忘れる事にした

・・・後にこの違和感が全てを解決させる鍵だったともしらずに

15:エルガ ◆BDJ.:2010/11/13(土) 21:42

>>13
了解。
頑張ってみます

16:エルガ ◆BDJ.:2010/11/13(土) 21:59

今日はこのレスでオチします


結局
画期的な提案を鵜呑みにして
俺達は着々と準備を始めていた

良平は
念のためと酸素ガスの入っているガス缶を購入
酸素マスクの準備も出来ていた
その他にも
はさみ・ロープと言った小物は全て良平が担当した
問題は重りだ
碇なんて都合の良い物が転がっている訳もなく
重りを探すのだけで2日は掛かった

結局
通学路にある大きな田んぼに廃棄されていた自転車を使う事になった

しかしもう一つ不安要素があった

それは
あの土壇場で
自分が水泳部だからと自ら演技とは言え死亡を買って出るとは…
しかも
この案も彼の出した案だ。
普通の
自分が殺されると考えた奴の思考では無い
まるで告げられるのを知っていたように冷静だった

まさかと悪い想像が頭を巡る
しかし
「じゃ、始めるぞ!」と良平の喝入れで
脳内の暗雲が消えた

こうして
「宮島殺害化計画」が始まった

17:エルガ ◆BDJ.:2010/11/14(日) 20:19

計画は思ったよりもスピーディに動いた
と言うのも
自転車を体に縛り沈める時に
「生きて帰れたら近場の公衆電話から電話を掛ける
ワンコール切りするから出なくて良いよ」
それを最後に
俺達は計画通りバラバラに行動を始めた

…此処で別の計画も順調に進んでいるのを
藤北・宮島は知らなかった
計画の表は
「死亡した事にして
しばらくの間身を隠す」と言うものだったが
良平の勝手な行動を機に
この計画に裏が出来てしまった

薄々感づいてはいたが
良平がこの後
俺にも内緒で宮島を本当に殺害してしまったのだ
それを確信したのはそれから2週間と3日が過ぎた時だ

姿を隠した後
再び公衆電話から連絡があり状況の把握を行ったのだ
その後、宮島が何も連絡をくれない
不安になった俺は良平に相談をした

「身を隠したと言う事がどういう事か分かってるだろう!
宮島は俺達を気遣って連絡をしないんだ
それを高々連絡の一本で不安になるなよ
俺達はこの後もっと酷い事に巻き込まれるかもしれないんだ!
{アイツなら元気だったよ!}
まだ状況が分からないからって隠れるってさ!」

俺は良平の変化を見逃さなかった
あの計画以来良平は人が変わっていた
少しの間とは言え
命の危険な立場で一緒に頑張ってきたにも関わらず
彼は攻撃的になっていた
そして決定的な言葉
{元気だった}
なぜ過去形なんだ?
そして
宮島は俺が状況を教えたはず
それが「分からない」とはどういう事だ?

俺は揺すりを掛けてみる事にした

「宮島に会ったのか?
元気だったのかァ…良かった
ところで良く会えたな?」

「会ったんじゃないよ
電話が掛かってきたのさ」
薄く笑みを浮かべながら言う良平を横にし
俺は「掛かった!」と心の内で確信を得た

「……可笑しいなァ、
確か宮島はお前に連絡先を教えてないはずだぜ?」

「いや…
前に聞いたんだよ」

「へ〜
じゃァ証拠見てみるか?」

そう
俺は計画を実行する直前に宮島から携帯を預かっていたのだ
水没させて俺と連絡できなくなるのがマズイとね
しかも
俺は宮島の許可を得て
情報交換する際に宮島の携帯を使っていた
その時アドレス欄を間違えて見てしまったのだ

「ん?
顔色が悪いなァ?良平
良いんだぜ?アドレス欄を開いてお前の名前があるか探しても。
…って言うかお前、宮島に連絡取ったんだろ?
良く連絡取れたなァ…携帯、俺が持ってたのに」

見る見る内に血相を変え焦り出す良平
その場に倒れ込んでしまった

「…また…連絡があったんだよ。
あいつ等(犯人)から!
俺達の浅はかな考えを見抜いてた」

「え?」

「『君達は偽装殺害が分からないとでも思っているのか?
犠牲を志願した彼の居場所も
君たち二人の行動も常に我々は見ているのだよ?』
ってさ
俺焦って言っちまったんだ
『何で分かったんだよ!』って
そしたらあいつ等
今のお前みたいに俺にカマ掛けてきやがったんだ!!
俺怖くてよォ…
『今、彼を殺しに行けば命は助ける』って
ワザワザ居場所まで教えて電話切ったんだよ!
………従うほか道は無いと思ったら俺…」

「分かった
もう何も言うな。宮島の事は残念だが
コレを乗り越えて犯人を捜すしか道は無い
幸い
まだ宮島の死体は見つかってないはず
大事になる前に隠さないと!
せめてもの罪滅ぼしだ
明日
お前の手で宮島を安全な場所へ隠してやるんだ。良いな?」

「…おう」

その日
俺達は大事な大きな協力者の存在を失った
その翌日
状況を把握していない「裕樹」が帰ってきたのだ

18:エルガ ◆BDJ.:2010/11/14(日) 22:29

丁度
学校も再開し
裕樹の釈放から一ヶ月が経とうとしていた

しかし
それと同時に裕樹から
良平の様子が可笑しいと教えられ
気をつけるようにしていた

一ヶ月もあれば
今まで起きた事の話を帳尻あわせする事は簡単だった
ゆえに
裕樹も俺達に協力してくれたのだ

此処に来て更なる暗雲は正直嬉しくない
念のため3人で話し合う事になった

「俺が言いたいのは…」
まず先に口を開いたのは良平だった
「最近、二人でひそひそしすぎなんだよ!
家も近いし?帰り道も一緒で
尚且つ
何かあった時も何時も同時報告じゃなく
コイツの方が先で…
コレはそもそも俺の問題なんだぞ?
お前は横から首を突っ込んできただけの偽善者ってだけなんだぞ!?

それを
振って湧いたようなコイツを優先するのか?」

そう
此処に来ての仲間割れが起きたのだ
「違うよ
何も差を付けようって訳じゃない
単純に俺が今まで以上に神経質になってるだけさ
誘拐までされてそれでも鈍感な奴なんて居ないだろ?」

裕樹のフォローも虚しいだけだった

そこで良平の電話が鳴った
3人の視線が重なる
「で、出ろよ」
「言われなくても!…出るよ…」

「おはよう須川君
そして其処に居る二人にも後で挨拶を伝えておいてくれ
今日連絡したのはそろそろ頃合だと思ったからだ」

「何の話だよ!」

「おォ、怖い声を出すんだね。
君の考えは分かっている
孤立感を深め苦しんでいる事も。
此処で提案だ……」

それから20分ぐらいしてからだろうか
ようやく電話を切った良平は
2人の顔を見るなり
げらげらと笑い出した

そして
彼は腹を抱えながら俺達に背を向け帰路へと着く

俺達はしばらく無言のまま顔を見詰め合い
恐らく同じ感覚を共有したであろう
一物の不安と言うものを…

19:エルガ ◆BDJ.:2010/11/15(月) 20:01

俺達の胸に湧いた不安は
予想通りの形で現実に繁栄される

犯人からの連絡も無いまま一学期が終了
二学期に突入し数日が過ぎた。
此処で俺は裕樹の異変にも気付く
常に横に居たはずのアイツが此処最近では殆ど横に居ない。
風の噂で彼女が出来たと聞いた

此処で予想もしない「嫉妬」が俺を邪魔し始める
何時死ぬかも分からない状況を知って尚
高校生活をエンジョイしようとする友人を
俺は許す事ができなかった

あれ以来
良平も俺達と話す事が無くなった
初めて孤立を覚えたのもその時だった
命の危機と同時進行する平和な時間を俺は堪能できずに居た

その時一通のメールを境に
俺の内なる人間性が表に出る

「やァ、藤北君。
そろそろ悔しさの色に浸っている時だと思う。
そこで一つ私とゲームを楽しもう
名付けて
『天地逆転』
ルールは簡単だ

私と君が
{入れ替われば良い}んだ
私は確かに学校関係者の一人だが
君と入れ替わっても何ら問題は無い

もしこの申し出を快諾するなら何時でも良い
返信をくれたまえ。
但し
もし入れ替わってしまえば最後
全ての罪は君の物となる

それでも全てを壊す覚悟があるのなら
頑張りたまえ」

俺はメールを見た瞬間迷った
迷うと言う事がどういう事か…
しかし
俺は家の自室で独り
授業中に来たこのメールを眺め
返信の内容を打ち込んでいたのだ

20:エルガ ◆BDJ.:2010/11/15(月) 20:16

天地逆転が始まり
俺がまず始めた事…それは裕樹への攻撃だった
俺は
前犯人に頼み込み
犯罪への肩慣らしを手伝ってもらう事にしたのだ
と言うのも
前犯人に
「学校のブログを使い裕樹の誹謗中傷をしろ」と言ったのだ

当然
自分の手で行おうとしたが
環境が整っていないせいもあり
直ぐにバレてしまう恐れがあった
だからこそ彼に頼むしかなかったのだ

一週間もしない間に
学校は騒ぎになった。

「っふ…
眺めの良い朝だねェ。
お陰で俺はクリエイター(創造主)になる事が出来たんだ。
ふふふ
なはははははっ!」

なぜ気付かなかったんだろうか
ハメられた事に
今考えれば俺は此処でやり直すチャンスを失ったのだ…
調子に乗って次々に問題を起こして行った
もう……戻る事の出来ない底なし沼に
片足を飲み込まれている事に…。

21:エルガ ◆BDJ.:2010/11/15(月) 20:31

裕樹の次に行動を起こしたのは
良平だった。

今までの手順と同じ様に誘拐から始まり
ついには殺してしまった
…良平を殺した事で完全に俺は犯罪者になったのだ
と言うのも

良平を殺して以来
彼(前犯人)と連絡が取れなくなった。
そうして俺は気付いてしまった
「……良平が…犯人だったのか」

今となっては
どうしてこんな事をしたのかも分からなくなった
そして同時に気付く
「ハメられた!!!」

最初から良平は俺に罪を被せる気だったんだ!
宮島を殺したのも
俺と2人になる時間を長く造りたかったからだ!
その上で
裕樹を解放し
自分はあたかも除け者扱いの位置に自分からなれば・・・
此処までは不可能では無い

しかし
此処で疑問が生じる
「なぜ裕樹をマークしなかったんだ?」
裕樹を解放すれば
俺から離れなくなるのは目に見えた結果じゃないか!

…もし、アイツに彼女が出来ると知っていたら?
しかし、そんな事が可能なのか?

……いや
ある
一つ方法があった
「共犯者か!」
そう女の共犯者が居れば不可能じゃない
詰まり
裕樹も…騙されている

しかし
犯人となってしまった今
迂闊な行動は「死」を意味するも同然だった
どうする事も出来ず
数日が過ぎてしまった

22:エルガ ◆BDJ.:2010/11/16(火) 22:44

何も起きない。
ここ数日俺は動く事をしなかった
それのせいで
学年全体の空気は緩み切っていた
が…
「黒塚 雅」
コイツの存在が俺を破滅へと導く男の名前だ

性格は近年稀に見る正義感の持ち主であり
父親が警官で
厳しく育てられただけはある
学年トップの成績だった

二学期に入り
黒塚は俺へと接触を深めてきた
そう
黒塚は俺を疑っていたのだ
「…さすがだな」
黒塚がなぜ俺を疑うまでの経緯はまた別の機会にしよう
今はそれ所ではない
学年一の切れ者に睨まれたのだ
一日一日が冷戦だった
何時自分がボロを出すか
何時アイツにバレるか
…何時殺すか

今殺してしまえば俺はそれで「ジィ・エンド」
一方
このまま放っておけば何時首を取られるか…

そんな冷戦が5週間も続いた

しかし
事は動いた
一連の騒動をキッカケに校内の風紀が荒れ
一連の事件の犯人を…
つまり、良平の行った犯罪に対し
「死の宣告者」として崇める者が出た
玄関の連絡用ホワイトボードは
殺して欲しい人間の名前で埋め尽くされていた

勿論
黒塚が黙っている訳が無かった
この騒動を鎮静化させる為
俺からしばし離れたのだ

俺はこのタイミングを逃さなかった
「やるなら今だな…」

23:エルガ ◆BDJ.:2010/11/17(水) 20:28

勿論
事を起こす事には細心の注意を払った
案の定
途中までは思惑通りの展開だった
見事、黒塚を誘拐するまではうまく行った
その騒ぎも直ぐに学校の話題のネタに挙がった
しかし
ひょんな事に
学校中に流れていた噂がその一夜にして消え去った

それもそのはず
なんせ今俺の目の前には{有り得ない}光景が広がっているのだ

「……黒塚…!
何で此処(学校)に居るんだよ!」

「ん?
何だよ?居ちゃ悪いのか?」
歯を見せ笑う黒塚に俺は食い下がった
「可笑しいだろ!?
だって誘拐したんだ!お前が此処に来れるはず…!」
言い掛けた時
俺は自分の言葉の選択を誤った事に気付いた

しかし
黒塚はあえて其処からは攻めずにこう問い掛けて来た
「なぜ、僕が誘拐されたと知っている?」

「っえ?
……それは、皆がそう騒いでたし…」

「じゃあ、何で皆は僕が誘拐されたと知っていたんだろうね?」

「ニ、ニュースだろ!?」
更なる墓穴を掘った!
例え誘拐されたとしても翌日に報道される程
テレビ関係者も暇じゃない!
そもそも
皆が知っていた事も可笑しいんだ。
普通、体調不良?とかで勝手に話をするのが普通だ

「不思議だねぇ。ニュースでも取り上げてない事を
皆は知ってたのか…
幾ら、問題が多発して神経が尖っていたとしても
随分と情報の早い人が居るようだね」

「…。」

「そうだ。
君、今
『誘拐した』って言ってたよね?
それってどういう事だい?
説明してくれよ」

放課後の学校で
窓を挟み夕日に照らされる黒塚を前に
言葉を選び直す事が出来ず
無言のままだった

「噂が一日で消えた事もさぞ驚いただろうね。
当然さ
{死の宣告者}や{黒塚誘拐}も僕が流した話なんだから。

君は僕を肉体的には接近を許し
精神的には一歩も寄せ付けなかったね
その判断は正しかったよ

そこで考えたんだ
このまま行けば君は僕を殺そうと考える
ならその考えを利用しようと考えた

いきなり離れれば怪しまれる。
なら一掃の事噂を流そうと考えたんだ」

此処から彼の見事な推理と
その多彩な行動パターンを聞く事となる

……敗北感に浸り
真の正義とは何か、俺はその答えを知る前に

「負け」たんだ

24:エルガ ◆BDJ.:2010/11/18(木) 19:58

「最初から僕は君を疑ってたんじゃない。
犯人と決め付けていたんだ
勿論
君だけじゃない
須川良平も犯人だと思っていたさ

良平が死んだ事で
この事件が終わると考えていたが
良く考えれば
良平が死んだと言う事はまだ犯人が居る事になる。
…いや、今の言い方だと御幣を産むね
良平が殺されたと言う事は他に犯人が居ると言う事になる

そこで
僕は君が気になってしょうがなかった。
せっかく友人が開放され
仲良く再び生活するかと思ったら
君は高々女1人と天秤に掛けられ
その上その女より格下となってしまった

前から彼から『10年以上一緒に居た』と聞き
正直
僕は君との仲を取るだろうと考えていた
其処は誠意を持って同情したいが…
君が彼を殺したなら話は別だ

話を少しずらして
なぜ僕が噂を流したか教えよう。

…これは僕の唯一のミスだった。
君に接近し過ぎてどう君から離れて良いか
僕はその手段を自分で断ってしまったんだ
だからこそ
噂を利用し離れようと考えた。

そう
その上
噂を流した時
『僕が帰る時尾行して欲しい』と
帰り道の近い人間に片っ端から声を掛けておいたのさ」

……つまり
俺の犯罪は誰かの目にしっかりと記憶されているのだ
そして此処で俺が抵抗の意志を見せれば
その証言を元に
余計に俺を追い詰めるのが目的…か

完敗だった
そこまで深く策略を練っていた黒塚に
俺は成すすべなく正体を暴かれた

「…それで?
黒塚、君の要求って何さ?」
今はまだ負けを認め次にでる彼からの屈辱的な言葉に従う他無かった

25:エルガ ◆BDJ.:2010/11/19(金) 20:07

黒塚の要求は
俺の予想を反し信じられないものだった

「人をいとも簡単に殺そうと考えた君だ
僕の理想を叶えるには最高だ

『学校の先生を1人残らず消す事』だ

この世の中
高校で学ぶ事など
中学で学ぶ事のなぞりであって
且つ
高校で学ぶ事など世の中では通用しない
無論
大学へ行くなら話は別だ

だが結局は
役立たずの3年じゃないか
こんな3年間に意味は無い

僕をこの意味の無い世界から解放してくれ」

まさか黒塚がこんな事を考えているとは到底思いつかなかった

26:エルガ ◆BDJ.:2010/11/22(月) 16:25

黒塚の指示はまず
大きな報道を起こそうと
校長・教頭に津続き学年主任の抹殺を依頼してきた

勿論
そんなに一辺の殺しにはリスクが伴う
自分にメリットがある訳も無く。
今はただ従わなければならなかった。

最初に目を付けたのは「教頭」
と言うのも
うちの高校の校長は
学校の事は教頭に任せ学校に居る事が少ないのだ
つまり
問題が起きたとしても
対応を迫られるのは教頭なのだ

故に
「指令系統を潰す」
後はその時を待つのみ

やるとしたら放課後の先生が帰り始める時間
そう、其処まで週番に見つからなければ
校内に留まる事は可能

翌日を決行の日に移す事にした

27:エルガ ◆BDJ.:2010/11/22(月) 19:24

今思えば
誰がこんな事をしなければならないか予想しただろうか
友人を殺し
濡れ衣を着せられ
全てを知った人間の言う事を利かなければならないなどと。

教頭の亡骸を前に俺は悔やみはしなかった
むしろ
黒塚への憎悪・復讐心を徐々に養い
内に秘める。

教頭の死を確認した黒塚は
薄く笑みを浮かべ次の指示を押し付ける

『今は2人だけ・・・』
そう
そんな言葉が脳の内側から湧き
俺は無意識のうちに
帰ろうと背後を見せた黒塚の首に腕を回していた

10分後
「コレで全ての事情を知る者は居ない
良平も居ない今
俺が良平の代わりをする必要も無い!
更正して…真っ当に生きるんだ」

抵抗され殺すのに手間を取った
足元で転がる黒塚の死骸に怒りをぶつけ
帰り支度を整える

「やっぱり
…藤竜が犯人か…」

「ッ!!」

帰り際の廊下で
上半身は影に飲まれ
下半身が夕日に照らされ
徐々にこちらに近付いてくる人影

「ただいま。藤竜」

殺したはずの亡き友人
「…裕樹……」

「安心しろ
黒塚のように利用したりはしない。
ただ
聞きたい事があってな」

明らかにこちらを警戒し
俺の接近を許さない
それも当然だ。
俺の足元には…。

「聞きたい事があるのは俺も一緒さ、裕樹」

今日最後の
心理戦が目の前に落ちてきた
『どうすれば良いんだ…』

28:エルガ ◆BDJ.:2010/11/23(火) 13:45

しばらくの沈黙の後
彼は口を開いた。
その言葉は俺が今一番聞きたい事の応えだった

「お前は良平に頼んで
俺を殺させたんだ。しかも
お前は俺の遺体を確認しなかった。

今まで警察すら欺くほどの技術を持った良平なんだぜ?
誰かと俺の情報を入れ替える事くらい簡単だろ。

しかも
お前は俺を殺す前に誘拐までしたんだ
遺体がある程度悲惨な状況にあれば外見での特定は不能
其処に学生書ひとつでも落としておいてみろ
警察も俺で間違いないと判断する

そう
俺は良平に全てを聞いている
良平がお前に罪を被せ死のうとしている事も
お前が『嫉妬』と言う言葉一つで俺を殺すと言う暴挙に出た事も」

さて
次は俺の質問だ
「何時、良平が黒だと分かった?
なぜその時点で自首しなかった?

…大方、其処に転がってる奴に脅されてたのは
今の状況から察しが付く

そして
良平が居ない今
良平の机に仕込まれた爆破物
どうする?

アイツが自分でセットした物なんだろ?
だったら
もう外しても安全だろう。

その足元に転がってる死体と爆破物
何処かに処理して一緒にやり直そう?」

願っても無い申し出だった
勿論、首は縦に振った。

爆破物を取りに行った矢先
またも試練が待っていた

「………藤竜
爆弾が…点滅してる」

ランプの部分が点滅していたのだ
それが何を意味するのか
最初は分からなかった

29:エルガ ◆BDJ.:2010/11/24(水) 16:38

ランプ点滅から早5日が過ぎていた。
新たな進展も無いまま
ただランプの点滅速度が少しずつ速くなっている事に気付いたのは
3日も前の話

何を意味しているか未だ分からないもののコレだけははっきりしている
「裕樹…このまま行けば多分爆発すると思わないか?」

『爆発』と言う言葉が此処3日間の中で
どうしても離れない
何せ
この状況を説明できる当人は俺が殺してしまった
今まで爆弾に何の変化も無かった分
余計に緊張する

「……いっその事、外して見たらどうだろうか?」

裕樹のその一言に
納得できずに居たが
行動派の友人は
俺の制止を聞く前に外してしまった。

爆弾の裏から
折り畳まれた一枚のルーズリーフが出てきたのだ

30:エルガ ◆BDJ.:2010/11/24(水) 20:26

ルーズリーフを開くと
俺、裕樹宛に一通の手紙になっていた

「やぁ
とうとうこの手紙を見つけたんだね」

字体から良平の字だと判断できた

「まず
藤竜には謝罪しておきたい。
この事件に巻き込んですまなかった。
そして
裕樹の生存を報告できなかった事も悪く思っている。

さて本題に入ろう。

この手紙を発見する時は
恐らく
君たちが一緒に居る時だと願っている。

俺が藤竜に罪を被せたのには理由があるんだ。
とある人に『復讐』をしたかった

ソイツは俺の友人をノイローゼにまで追い込み
最後には自殺にまで追い込んだ
幸い、友人の命は助かったが脳死判定が下り
意識すら戻っていない。
それだけではない。

ソイツはよりにもよって極最近まで
俺の事を脅しを掛けていた
正直、我慢の限界だった。
恐らく
藤竜に罪を被せた時点で俺は何らかの方法で死んでいるだろう。

だから
君たちに『復讐』を手伝って欲しいんだ

ソイツに俺の本気を見せるために
こんなに手の込んだ仕掛けもしたし
瀬田も殺して見せた
だが
犯人が俺であるとバレてしまったんだ

逸れに付いても脅しを掛けてきた。

だから…
俺の居なくなった世界で
俺個人の頼みで申し訳無いが奴を殺して欲しい

ソイツの名前は…」

最後の部分は汗だろうか?涙だろうか?
濡れたせいか滲んでいて分からなかった…。

31:エルガ ◆BDJ.:2010/11/27(土) 12:15

その手紙を発見してからと言うもの
何時も以上に
俺達2人は関わる時間が多くなった

事実
死んだはずの人間が目の前に現れたんだ
皆、喜ぶ反面
疑いの目や気持ち悪い物でも見るような
つまり、興味本位程度の眼差しでしか裕樹を見なくなった

そんな中
ひと際不良と言わんばかりに動き出した男が居た。
その行動が目立ち始めたのは
良平の死後3日と言った所だろうか

肩の荷でも下ろしたように
先行一同には反抗し
生徒にも暴力を振るうなど
派手な行動が目立つようになった

「谷屋 昭吾」

一学期の時は至って目立たず
誰とでも話していたような普通の人間だった
今となっては
髪型はオールバック
関わる人間は先行にも目を付けられているような不良共

最近
彼らの中で「賭け渡り」と言う遊びが流行っていた
内容は
二つのグループに別れ
どちらのグループも1人ずつ
生徒からカツアゲをして行き
一週間で相手の想定した金額よりも多く奪い
上回った場合
想定していた金額を相手グループに払わせると言う
いわばただの金儲け

つい最近
俺と同じクラスの男子数名も彼らの餌食になっていた

「…藤竜
良平が居なくなってから連中が騒ぎ出したのって
何か意味があるんじゃねーの?
お前、ああいう連中と話すの得意だろ?
聞いてきたら?」

そう
俺も昔不良だった。
だから連中相手に会話するのは簡単だった。
その上
俺は昔不良相手に
愚痴を聞くなど相談を持ち掛けられるタイプの人間であり
不良から見ても
話がし易い雰囲気を持っているらしい
だからだろうか?
殆ど大きな殴り合い等をした事が無かった

「分かった。明日あたりにでも話を聞いてみるさ」

だが翌日
本人は体調不良をキッカケに4日間学校に来なかった
そして
彼が復帰して来た時
俺達は驚いた。

「藤竜、俺、目が悪くなったのかなぁ…
谷屋が普通の学生に戻ってるように見えるんだが?」

「裕樹……間違ってねェーよ
また良い子ちゃんに逆戻りしてやがる」

この後、更に驚く事となる

32:エルガ ◆BDJ.:2010/11/27(土) 23:18

「ん?
あの2人は……此処最近で目覚しいコンビネーションを見せた
藤北君と鈴木君だね
待っていたんだよ?君たちが来るのを。」

昨日まで不良だったと思えないほど
喋り方まで変わっている

「良平の事は残念だったね」

ん?良平を知っているのか?この変わった奴は。

「中学の時に彼が僕の学校に転校してきたのさ。
彼、あんな性格だから
初日から誰も寄り付かなかったんだ
しかも学年が変わると決まって
彼に関わる悪い噂が流れるんだ。

…例えば〜…
うん。4組の栗沢
彼は中学の時一度良平と関わって精神障害を起こしたんだ
不思議な事に
走る事が可能なのに『足が無い』と連呼して…
何が起きたかは分からないけど
目を覆いたくなるような様だった」

良平の疫病神伝説は中学からあったのか…。

もし
その時から復讐を考えていたとすれば
納得できる

「僕が君たちを待ってたのは他でも無い。
彼と関わって無事だった藤北君に
一度は死んだはずの鈴木君
どうして今無事なのか・・・。」

「おい、谷屋
俺も聞きたい事が二つある。
一つは良平が嫌っていた人間を知っているか
もう一つは
昨日との変わりようを俺は知りたい」

「あ〜ぁ
良平の嫌っていた人間なら数名心当たりがある。
だけど
僕の変貌には触れて欲しくないな〜…
だけどこの際だし教えるよ

良平は
俺達不良グループの光だった。
良平が居たからまともに生きる事が出来た
だけど
彼ももう此処には居ない
再び不良の時代が来たんだ!って
良平を良く思ってなかった連中がね……

それが許せなかったんだ
だから
良平を裏切る事になっても
良平の文句を言う奴を俺は許さない

賭け渡しも一種のけじめのつけ方なんだ
負ければ其処まで…」

以外にも
良平支持の行動だったと説明する谷屋が
昔の自分と被って見えた
今の谷屋に文句を言うだけの意地の汚さを俺は持っていない

「そうか。
分かった、じゃあその心当たりのある連中の名前
教えてくれよ。

……それと
谷屋、負けんじゃねーぞ」

最後の一言が妙に感傷的になってしまった。
改めて教えられた名前の人間を尋ねに
その場を後にする竜巳は
一瞬ではあるが
誰にも見られないように涙を流していた

33:エルガ ◆BDJ.:2010/11/28(日) 23:27

谷屋に教わった恨み候補ナンバー1の
「道脇 将」

なんでも
廊下で肩がぶつかった事を発端に
しきりに文句を言われるようになったと言う

「何だよ!お前等!
人の顔じろじろ見てんじゃねぇーよ!」

不良と言う訳でもなさそうだが
口の悪さはクラス1と名高い

「須川良平の事なんだが…」
話を切り出した裕樹を無視し水道水にがっついた

「彼は何も知らないよ
ただ良平にイチャモンを付けて
話し相手を儲けてただけなんだから」

横から割って入って来たのは
「古幹 忠志」
恨み候補ナンバー3

ナンバー2は「瀬田」の名前が出た
詰まり
事実上1人は排除されている

「僕もね
色々と彼と揉め事があったんだ
彼ほど些細な理由じゃないんだけどね
僕と良平の関係は金の貸し借りがメインでその事でも何度も揉めてる
良平が亡くなったと断定された時は
無礼だけど胸を撫で下ろしてしまったよ」

「なぜ
話し相手が必要なんだ?」

「彼はこんな性格だろ?
友人は愚か
話し相手すら居ないんだよ」

なるほど。
この2人からは得る物が多そうだ

34:エルガ ◆BDJ.:2010/11/29(月) 23:34

予想通り
この2人からは恨みを買うのに充分な理由を自ら暴露した
しかし
妙に感の鋭い俺は
「自分から言ったって事はこの2人…問題のない連中だな」

勿論
誰に対しての恨みか分からない以上
恨み候補のリストから外す訳には行かなかった

だが此処にきて最も有力な情報を手に入れた。
2人が口を揃えて
「佐々木和則なら…」と言った

詳しく聞くと
佐々木家と須川家とは家族ぐるみで問題があったらしい

何でも
中学の時に
佐々木を虐めて自殺未遂にまで追い込んだのが
良平だと言うのだ
しかし、そんな事実はなく
その逆で
佐々木が良平をクラス単位で省きの対象にしていたらしいのだ

佐々木はそれすらも罪悪感を感じず
両親に間違った事実を報告
自殺未遂までした息子の言葉だ
疑う故もなく
須川家へと怒鳴り込みに行ったらしいのだ

最もらしい状況であるこの情報に
その時は流されてしまい
学校を後にしその日を終えた…

35:エルガ ◆BDJ.:2010/11/30(火) 20:08

この日初めて自分の体調不良に気付く。
どうも肺炎を起こしていたようだ。
4日前から喉の痛みに気付いていたが
熱もなく咳もしていなかった
故に大丈夫だと過信していた

問題が起きたのは俺が肺炎に倒れ2日後だった

「今日のニュースです」
普段、掛けているチャンネルへテレビを合わせると
とんでもない物が目に入ってきた

「俺の……高校が…燃えてる?」

それは
爆破によって燃え出したのだとキャスターの声が耳に入る

「そんな!爆弾は処理したはず。」
携帯を片手に探り当てた番号は『裕樹』

幸いにも土曜日で人は居ないはず
まずはこの事を裕樹に確認しなくては。

「もしもし」
「裕樹か!?ニュース見たか?」
「あァ…さっきもニュースを見ていたんだが
どうやら死者が出たらしい
死者の名前は『佐々木和則』だってさ

まさか。の連続に脳が悲鳴を上げ始める

まさか、肺炎に冒されるとは。
まさか、学校が燃えているとは。
まさか、一番の容疑者が死ぬとは。
まさか、振り出しに戻るとは。

「そう…か
分かったよ。佐々木の事は残念だったけど
まだリストには数人居るし
裕樹、俺が治るまで虱潰しにあたってくれ
それじゃあ…」

俺がもっと驚いたのは復活してからの生活だった
だけど今はお休み
この連続の事件を整理できるほど優れた頭じゃない
肺炎のせいで余計にだるいんだ

気付いたら意識を失っていたようだ
見かねた親が病院まで運び検査入院する事になってしまった

36:エルガ ◆BDJ.:2010/11/30(火) 20:30

検査入院はほんの一週間で終わった。
しかし
学校があんな状態で警察も本格的に重い腰を挙げた
これから先は警察と言う邪魔も考慮して動かなくては逆に
目を付けられ兼ねない。

そもそも
学校が何時再開するかも目処が立っていない

此処で俺は気付いていなかった。
この一週間で裕樹と連絡が取れなくなっている事を。

そう。
良平が行っていたであろう犯罪を真似て
学校関係者を誘拐している人間が現れたのだ
この一週間で20数名の行方が不明になっている

「誰が?」
その疑問も当然だ
なぜなら
先の騒動で黒塚が流した噂のせいで
俺は『死の宣教師』とまで言われた。
生徒は恐れる反面
俺を通じて誰かを殺そうと掲示板にターゲットの名前を書くほどだ
生徒が犯人だとしても
内部事情を知っている人間の可能性がある

なぜなら
裕樹・古幹・道脇の三名も失踪している
それだけではない。
俺・裕樹に関わる人間も次々に失踪しているのだ

「…このままだと、マズイ」
急いで対策を練る必要があった

37:エルガ ◆BDJ.:2010/12/02(木) 22:52

彼ら有力情報提供者と相方を失った俺は
もはや手詰まりだった。

今はまさに
佐々木の口から放たれた『関係者』を当たる他無かった
しかし
それも序盤で手詰まり

コレと言った情報も得られずに候補者の全てを廻りつくしてしまった。
唯一、希望とも言えるものは
ニュースに誘拐されたであろう彼らが死亡者として名前が登らない事

「…どうする…
仲間の居ない状況下話は進まないし
何時、俺も襲われるやら…」
そう呟いた瞬間だった

『なぜ、俺だけは誘拐やらに巻き込まれない?
確かに事件自体には巻き込まれている。
だが、直接的に被害を被った事が無い…』

と同時に鳴り響く携帯
「非通知…だと?」

知り合いがワザワザ非通知で掛ける訳が無い
躊躇った挙句出るのに1分掛かった

「遅いじゃないか…藤北竜巳…君」

あからさまにボイスチェンジャーを使って声を変えている
「何の真似だ?
…と言うか、お前誰だよ」

「必要以上に質問をしない所を見ると
大体の話の流れは分かってるんだねぇ〜」
薄笑いをしながら人を小ばかにする口調
その上
コイツが全ての元凶であり
この事件始まって以来の「切れ者」だろう

「電話を掛けてきたって事は
ようやく
俺もゲームの一員って事で…認められたんだよなァ?

今度は
仲間の命でも賭けるつもりか?
それでも人間の端くれか?」

これから
仲間の絆を試す死の賭けが始まる

38:エルガ ◆BDJ.:2010/12/03(金) 19:58

まず初めに「賭け」の対象になったのは
情報量の多い古幹・道脇だった
勝てば古幹の命を保証され負ければ道脇の命を断つというルール

ハイリスクハイリターンな事は横に置いて
人の命を賭けのネタに使うなどとは。

賭けの内容は
電車に乗るだけだった

「電車に乗って生き残るだけだ」

楽なはずだった
今思えばコレは一番の激戦だった

電車に揺られ早5駅
何事も起こらない
車内も数人しか居ない
異変に気付いたのは7駅目

目がかすむ・・・
ふと周囲を見れば乗客全員が寝ている
俺も眠気が徐々に来ていたのだ

眠気と格闘したせいで
何駅を通過したのか分からなくなってしまった

息も少しずつであるがし辛くなってきた

「・・・ガスか!」

しかし気付いたのが少し遅かった
四肢の自由が利かない
「く、そぉ〜……」

だが
奇跡は起きた
駅に着き停車した電車に
1人の男が入ってきた
声は何とか出せたのでこの危機を即時伝えた

何とか電車から降りる事が出来た
だが
凄惨な事件はコレに収まらない

鉄道警察が電車をくまなく探った
そこでガスを出していたであろう機械が
発見された。それも、俺が座った座席裏から。

間違いなく俺が疑われる
「逃げなきゃ…」
ガスで衰弱しきった体に鞭を打ち出口へ走り出す

此処が何処なのか理解できないまま俺は走った
我に返った時
公園のベンチに座り込んでいた

冷静にあたりを見渡しても
自分の居る場所が何処なのか理解できなかった

その時
再び携帯が鳴り響く

39:エルガ ◆BDJ.:2010/12/03(金) 20:16

「おめでとう。無事に生きる事が出来たんだね。
だがコレでは終わらないよ?」

人の苦労を知ってか知らずか
せせら笑う声に
怒鳴るように言い放つ

「ふざけるな!もう終わったんだ。
古幹は返して貰うぞ!?」

「…何を言っているんだい?
まだ終わりじゃないと言っただろう。
君が今どんな常態か教えてあげよう
君は犯罪者として追われる
電車内で殺人を計画した人間という事でね
時期にニュースにもなる。

古幹君を返して欲しいなら
そんな状況下でも家にたどり着く事だ
……勿論、ただ帰るだけでは面白みに欠ける
一秒一秒を楽しみたまえ」

そこで電話が切れる

最後の一言が直ぐに何を意味するか分かった
『このままだと…殺される
常に狙われるだと?そんなの嫌だ』

疲労のせいか?恐怖のせいか?
足の振るえが止まらずその場に倒れ込む
額からは汗が滲む

今まで以上に「死」が近い
「嫌だ…嫌だ、嫌だ。
高々、17,8で殺されて溜まるか!
今まで学生らしい生き方が出来なかったんだ
思い出すら無いのに…
……もっと楽しく生きてりゃ良かったなァ…」

諦めが付かずその日は公園にて野宿する事になった

40:エルガ ◆BDJ.:2010/12/04(土) 20:59

日が開けると同時に
パトカーの騒がしいサイレンで目を覚ます
気付いたら10時だった
昨日の一件を調べるべくパトロールをしているのだろう

「灯台元暗し…かァ」

今居る場所を把握するべく駅へと足を進め驚いた
「県境の方まで来ちまったのかよォ……」

もし昨日の事がニュースになって居たとしたら
公共の乗り物を使って帰るのは困難になる
…どうしたものか
ふと、視界の隅に人影が映る

どうやら30代の男性だろう
見た目からヤクザ風の人間だ
しかし
何を思ったのか自分から声を掛けてしまった

「すいません、此処で何をしてらっしゃるので?」

「あァ?……後悔と懺悔だよ」

「懺悔?」

「俺はなァ
最近、ふと思っちまうんだよ。こんな生き方で誰が笑顔になるのかよ
上の人間が怖ェからってヘコヘコしてよ
…ところで、お前誰だ?」

「名前は藤北竜巳。高1です。
最近、誘拐やらでニュースになった高校の…」
その男は最後まで話を聞かず
肩を鷲掴みにし問う。

「俺も其処の卒業生だったんだ!
今、学校はどうなってるんだ?何であんなことに?
先生方は無事なのか!?」

「それが説明しても信じて貰えるかどうか…
その上
説明が長くなります。」

「かまわねェ!話を聞かせてくれ。
直ぐ其処に俺の家がある。
まずは其処で茶でも飲みながら聞かせてくれよ」

誘導されるがまま家を訪ねる
それから何時間経っただろうか覚えている事は全て話した。

「つまり、竜巳はその…
友人から復讐を託された?
それでその相手っつーのはもう分かってるんだろ?」

「それが…」
たまたま所持していた良平の手紙を彼に見せた

「何だ?こりゃ。
名前の部分が滲んでやがる
お前、良くそれで此処まで活動できたな!
コレじゃ普通、誰でも投げ出すぞ?」

「昨日、犯人と思われる人間から連絡が入り
電車に乗った所、ガスで殺害されかけました…」

「それ、もうここら辺じゃ話題になってるぜ?
今朝もニュースになってたんだよ」

……やはり、ニュースになっていたか……

この先の対応を考えなくては
一筋縄ではいきそうに無い相手だ…

41:エルガ ◆BDJ.:2010/12/05(日) 14:38

ダラダラと話し合いを始めて早2日
事情を知った彼は
俺を匿うと言って家に上げてくれた
勿論
そうこうしてる間にも急いで帰りたいと話していた

「良い機会だ、この話俺も便乗する。
コレも何かの縁だろう
卒業してるとは言え母校の後輩が誰かも分からない犯罪者を相手に
駆けずり回ってる…。偶然とは言え俺も話を聞いてしまった1人だ。
この事をきっかけに自分の人生を変えるのも悪くない。

さァ
竜巳、お前の家は何処だ?
直ぐに向かうぞ!」

そうして無事家へと辿り付いた
それと同時に電話が鳴る

2人の顔が一辺に青ざめていく

「やァ、無事帰還出来た事を嬉しく思っているよ。藤北君
お仲間も増えたようだね。君は本当に面白い。
さて、約束通り古幹君の身柄は保釈しておいた。
時期に君の元へ行くだろう。

続いてのゲーム内容は3人で行ってもらう事にしよう
今度の賭け対象は道脇・鈴木のコンビだ
勿論、開放されるのは1人…順番から行って道脇だろう

しばらくしたら再び連絡をする
それまでせいぜい再会を喜んでくれたまえ」

電話が切れたと同時に彼が怒鳴る

「三人も捕まってたのか!
あの野郎ふざけやがって。このまま行けば
もう一ゲームあるぞ!?確実に俺達を殺す気だぞ!」

言われるまでもなく理解していた。
だが
改めて言葉として聞くと厳しい

問題は3人で行うゲームの内容だ

1人で行ったゲームですら殺されかけたのに
今度はお互いを守らなくてはならない

完全に勝機を失った気がする…

42:エルガ ◆BDJ.:2010/12/06(月) 23:07

しばらくして
古幹はしっかりと顔を見せた。
だが
安心など一瞬の気の緩みでしかない

直ぐに犯人と思われる人間から連絡があった

「皆、お揃いだと思うし次のゲームの内容だ。
今から君らにはお互いに殺意を抱いて貰う事になるだろう。
爆破した学校へ赴き
校舎裏にある倉庫の上に『腕時計』を用意しておいた。
取り急ぎそれを装着してくれたまえ。
ゲームの内容は頃合を見て連絡を入れる」

古幹が無事帰ってきた事で
3人の会話量は一気に増えた。
俺を助け此処まできてくれたヤクザ風の男
名前を「蕗児 徹」言った

大人と言う事もあり話の流れから彼がリーダー的存在になっていた。
勿論
今度のゲームは彼も参加する

無事、腕時計を見つけ身につける事が出来た。
と同時に電話の音

「逃げずに腕時計をしてくれたね?
それじゃあ48時間後君達は死ぬ…」

「死ぬだと?馬鹿にするのも程ほどにしろよ!」

「…コレを聞いてもその面構えで居られるかな?
小型時限爆弾だ。
助かる方法はただ一つ
目の前の2人を…どちらでも良い。…殺す事だ」

「!?」
一同が顔を見合わせふと我に返った古幹が腕時計を外そうとする

「無駄だ。
外した瞬間ドカンだぞ?
生き残りたければどちらか1人を殺せば済む事だろう?」

古幹の顔が青ざめ俯く
しかし、瞬きをした次の瞬間
古幹が俺の首に手を回していた

「や、辞めろ。古幹!
誰かを殺すより話し合いを持った方が良い!!」
蕗児の静止を聞かず
首を絞める力が増していく

「落ち着けよ!」
その場に俺が倒れ込む

蕗児が古幹を殴り飛ばし何とか振り解いたのだ
「…あ、ありがとう…」

「何すんだよォ!てめェ!」
もはや古幹は話を聞こうとしなかった

しかし
そこは流石大人。
再び殴り気絶させてしまった。

「とにかくまだ時間は有る。
竜巳、お前の家に一端帰るぞ」

今は従う他無かった

43:エルガ ◆BDJ.:2010/12/07(火) 20:44

家に付いて数時間が経つのに
一光に解決策が見えぬまま古幹が目を覚ます。

「起きたか…
いきなり首を絞められた時は驚いたよ…」
冗談と皮肉を織り交ぜて言うも
沈黙の背景は変わらず
「……ごめん」

古幹の正直な謝罪を聞き何も言えなくなった。

しかし
この沈黙を破ったのは以外にも古幹自身だった。
「…これ、外してみようよ。
あいつ等が言うように本当に爆発するとも思えないんだ。」

確かに
誰かかそれで本当に爆発した訳でも無い。
しかし
脅しでなく本当だったら?
3人はその言葉をなぞる様に復唱していた

「よし…!その話、乗った」
古幹を筆頭に蕗児が立ち上がる
そんな中、俺だけは納得できず思い悩んでいたが
2人が準備を始めたのをきっかけに重い腰を上げざるを得なかった

誰が外すかで揉め事にならないよう
言いだしっぺである古幹が自ら名乗り出た
2人の安全を考慮してか数メートル離れている。
いざ、外そうとした時

「古幹!辞めろ!!!」
「ん?何だよ、藤竜…だらしないなァ」
笑顔を見せる彼と裏腹に
俺は鬼のような顔で静止をする

「よせ、竜巳。じっと見てるんだ!」
蕗児の制止で前に進む事が出来ない。

「大丈夫だってェ。直ぐに戻るからさ」

ズドン
閑静な住宅街に響いた爆音
風圧で倒されてしまった。
所々、赤い塊が見える…。

「う、うわ……」
言葉を失った俺の腕を後ろから引く蕗児
「どうしてだよ!どうして止めた!!
アンタが止めてなけりゃ古幹は…
古幹からはまだ聞きたい事があったのに…」

言葉と違い肩を落として行く自分に気付く

「時期に警察が来ます…。一端、家に戻りましょう。」

44:エルガ ◆BDJ.:2010/12/08(水) 20:48

沈黙の空気はずっしりと
そして着実に時を刻みながら2人を包む


残り時間は45時間
成すすべなく時間が過ぎる
しかし
犯人は残り時間をのんびり真っ当する事を許さなかった
2人が今後に付いて話し合うため
近場の公園に移動した時だ

ッヒュ。ドボン

耳元をかすめた不愉快な音
その音は一直線に噴水の水を荒立てて静まる

『今の音…聞き覚えのある音だ…』

「何だァ?」
噴水に近付く蕗児を俺は急いで止めようとした

「ダメです!戻って下さい!」

ッヒュド。
少しずれていれば脳を貫通していたであろう弾丸が
道にめり込み、蕗児を恐怖の色へと変える。

「逃げろ!」
2人は一斉に走り出す
勿論、走っている最中にも命を狙われる
直ぐに建物の影へと身を隠す。
一息を付いた時、電話が鳴る。

「楽しんでもらえた事を期待して電話を掛けさせてもらったよ。
勿論、まだ殺す気なんてもうとう無い
2人で固まっていると命を狙う!
……方々に散ってもう一人を殺すまで楽しませてもらうよ?」

この陰湿なゲームを終わらせる手立ては
相方を殺す事

その時
俺もそうだが蕗児の表情が古幹と同じ
冷淡な殺意を抱き始めたのを俺は悟った

45:エルガ ◆BDJ.:2010/12/09(木) 16:25

なぜ俺は走っている?
何処に向かって走ってる?

つい30分前の話だ
電話の直後俺と蕗児はお互いを睨み合ったまま硬直していた
そんな中、蕗児は「バカバカしい」と
目をそらし再び安全な場所へと移動する事を提案してきた。
勿論、直ぐに乗った
しかし振り返った瞬間には鉄の棒を振りかぶる蕗児

俺は見事避ける
「化けの皮が剥れましたねェ!蕗児さん」

そのまま
走り出した俺をしばらく追いかけて来た蕗児
しかし
現役陸上部の足に付いて来られる訳が無かった

「覚えてろ!草の根分けてでもお前の首をへし折ってやるからな!」

最初に出会った時の人物とはまるで様変わりした蕗児の言葉に
怯える事は無かった
「っざけんなァ!アンタなんかにゃ殺されねェーよ!」

それから走って30分
今、俺は何処に向かっている?
命を狙われているにも関わらずこの先
蕗児を探し殺さなければならないとは…。
しかし
このくらい走った所で俺は
蕗児の居場所を探そうと走った。其処までは良い
「何処に居るんだよ…」

息を切らせ止る

「くそォ……」

46:エルガ ◆BDJ.:2010/12/10(金) 21:28

一方
蕗児は……

「逃げられたのは計算外だったな。
次に会った時は確実に殺す!」

とは言う物の俺は何をしてるんだ…。
殺人犯とは言え高々、高校生に踊らされるとは。
其処でふと竜巳に会った時を思い出す

「アイツは、俺の生き方を否定しなかった…
むしろ、支えになる言葉を掛けた
それを俺は、命欲しさに理解者を殺そうとするとは。」

その場にしゃがみ込んだ腰を起こし浮浪するが如く歩む
日も沈んで行く
そんな中辿り着いたのは初めて2人が会った場だった

「何が『後悔』だ
人として最も最悪な道に外れる所だった
…コレが罪滅ぼしへの第一歩か」

再び歩を進める蕗児
彼の中で一つのけじめが付いた

「今しか無いんだ!…竜巳!」

何を思ったか
彼は走り出した。
その目的は竜巳との合流にあった

47:エルガ ◆BDJ.:2010/12/12(日) 18:19

勿論
2人が別行動を取ったため
合流する事など出来るはずが無かった

走っている最中に竜巳は思い出していた
裕樹と初めて会った時だ

「何だ?お前?
学校の風紀が乱れるだろ
速く髪染め直して来いよ」

俺は不良だった。しかし髪の色だけは
誰にも言われたくない言葉だった
元々、染めてなんかいなかったんだ
それをきっかけに大喧嘩になった
だが、気付けば10年来の付き合いになっていたのだ

俺にはその頼りになるであろう友人が居ない

「くそ!どこ行ったんだよ!」

今、まさに仲間との決別を目前としている
ふと足を止めた時
ボウガンの矢だろうか
足元をかすめて木に刺さる
「あぶねェ!」

この一秒一秒も命の安売りに付き合わされている
速く!
もっと速く蕗児と合流しなくては…。

48:エルガ ◆BDJ.:2010/12/14(火) 19:42

俺が蕗児の近況を知る事が出来たのは「ニュース」だ
ここ数日でこの単語を聞くのも嫌になっていた。

「昨日の夕暮れ時に男性の遺体が発見されました」

そう
この男性こそが蕗児
頭に弾丸を受け即死。
よって自動的に俺の命は保証された
それを確認したのか
電話がなる

「おめでとう
これで道脇君の命と君の命は保証された
さて次のゲームをしようじゃないか。

内容は何時も通りまた後で楽しんでもらうとしよう。

今回の賭けの対象だが
今回も2人だ」

「2人!?
裕樹だけじゃないのか!」

「2人だ。
勿論、その内の1人が鈴木裕樹だ
・・・もう1人は鈴木裕樹の彼女だ」

バカな
裕樹1人になら命を張れる
なのになぜ彼女にまで命を張らねばならない!

「勿論、考える猶予は与えるよ
君の友人を持って行ったで有ろう彼女に
自分の命を捧げるなどこんなに馬鹿げた話は無い
君の判断は正しい」

そういって電話が切れた

49:エルガ ◆BDJ.:2010/12/16(木) 15:27

電話から早一週間
未だ俺は悩みの中に居た
電話が切れて2日目に再び電話が着たが
その旨を話し引き伸ばした

しかし
つい昨日も電話が着た
だが
今度は向こうの都合が付かない

そうして一週間目
今までにない苦悩が横たわる
なぜなら
自らの手で昔からの友人を
あるいはその人間の大事な人を
己が手でどちらかを振るいに掛ける
そうして
どちらかの命を救う

…果たして
それで本当に救われるのか?

電話を取る
そして犯人へコールする

「気持ちの程が整理できたのかい?
と言っても君が友人を取る事が私の考えだが…」

話を続けようとする声を遮り割り込んだ

「どちらの命も惜しくない!
俺には関係の無い話なんだからなァ!
但し!こっちにも考え・条件がある。
それを飲まないのであれば
今までお前が俺を巻き込んだ数々の事件を公の場で好評する!」

「落ち着きたまえよ
分かった。条件と言うやつもそれを聞いた後
検討しようじゃないか」

『かかった!
コレで2人が救える。』

そう、こうして最後の心理戦が幕を開ける

50:エルガ ◆BDJ.:2010/12/16(木) 20:49

俺の条件はあっさりと飲まれた
コレで
勝っても負けても2人の命は保証されたも同然

新たなるゲームは
数人で騙し合うと言う事。
数は自分を含め5人
勿論、負ければ本人の命は保証されない

指定された未だテナントの見つかっていない建物へ足を進める
自分以外に既に3人が揃っている
どの人間も明るい顔をしている者などいない
用意されていた椅子に座る

数分の沈黙を破り最後の1人が息を切らせ入ってくる
「逃げろォ……」
柱に体を持たれさせ声を絞り出す彼を目に
4人の顔色が青ざめる
なぜって…左足から大量の出血をしていたのだ
彼の話では此処に来るまでに撃たれたと言う

更には
此処に爆弾がセットされていると脅されたと言う

皆、急いで外に出る

一光に建物が爆破する気配も無いまま
傷を負った彼が口を開く

「俺はなァ…元自衛隊の『東 浩伸』だ
お前らの名前も教えてくれよ。
死ぬかも知れねェ運命を抱えた仲間だ
それくらい…」

そう、俺も自己紹介を促そうと思っていた矢先だった

「藤北 竜巳です。
最近、爆破された高校に通ってた者です
事の始まりは全部
あの学校なんですね…?」

そう此処に居る5人は
新旧問わず学校に携わった者だと推測していた

「っけ!あんなボロい校舎、潰れて当然なんだよ!
俺はなァ!あの場所が一番嫌いだった。
あの時、爆破してなけりゃいずれ俺が同じ事をしてたさ」

見るからに頭の悪そうな『チャラ男』=『原ヶ崎 敏』

その他の人間は名乗ろうとしなかったが
時期に分かる事だ…強要はしなかった

51:エルガ ◆BDJ.:2010/12/17(金) 16:37

全員が知り合ってから間も無く
それぞれの生活へと戻る。
と言うのも犯人からの連絡が途切れたのだ

しかし
今のこの一瞬も命の危機にあると言うのに「仕事だ」なんて
暢気な人達だよ
そう心で貶しつつ病院へ向かう
東浩伸の見舞いだ

「よォ、すまねェな。
今じゃ1人でよ、身の周りも自分の負担だ…
そうだ。藤北
少し気になる事を思い出してよ。その話を聞いてくれよ」

話の内容はさかのぼる事25年も前の話だった
「俺が高校に入学したての時だった…」

不思議な事に
過去にもあの学校では人が消えると言う怪事件があったという
その第一失踪者の名前は『蕗児 徹』

正直
驚いた。
此処で新たな推測を建てる

『もしや、事件に関係性がある人間は決まっている?
過去の事件をリメイクしようと言うのか?
…つまり
俺や裕樹は過去に死んだ人間の穴埋めとして選出された予備…』

どの道俺にはまだ何も言えない
強いて言うならコレまでの経緯だ

しかし2,3日の後、メールが届いた

「さて、準備は整った。
このゲームに参加する者は皆、命よりも大事なもの
2つを奪われている。
よってその宝を守る為他人の命を奪いたまえ。
相手は4人!
1人目2人目ではの代償は宝の返還で
3人目の代償は自身の命の保証。
見事、全員を殺した者には
25年越しの私の顔を見せよう
その上で警察に届け出るも良し。

では、会える時を楽しみにしているよ」

今思うと此処まで生き抜いて来た皆は
目の色が違う
目に映す物…それは目の前に居る参加者の死んだ時を
想像したが如き冷淡に且つ黒き熱を帯びた眼だった

52:エルガ ◆BDJ.:2010/12/17(金) 20:33

メールが届いてから4日
皆、本格的に殺し合いをしているようだ。
初日から俺は
原ヶ崎に殺されかけたのだ

病院を出た時がメールから2時間後
つまり
その間に張り込みをされていたらしく
家の近くの公園で金槌を持った原ヶ崎が襲ってきた

幸い
足の速さを活かし曲がり角を利用し上手く撒いた
それからと言うもの一歩も外に出ていない
殺さずとも生き残れば事実上、俺の勝ち
最後に残った1人を上手く始末できれば良いのであって
何も危険な立場に立つ必要も無い

そうして2日が経ったが
初の死亡者として「牧 昭吾」の名が顔写メと一緒に送られて来た

「この人…」
俺達の中で一番に「仕事だから。」と帰って行った人だ
ずっと原ヶ崎と睨み合いをしてたのを覚えてる

同日、原ヶ崎の死亡も確認。
犯人は恐らく「峰野 桜」

東はまだ退院していないし
あの怪我だ。まともにやっても原ヶ崎の勝ちだったろう

峰野は唯一の女だが
外見からも性格のキツさが滲んでいた
まァその線で考えて間違い無いだろう

コレで3人になった
しかし
少し考えた所が
峰野は東の居場所を知らない。
…つまり
俺が峰野・東を始末しなければ先には進めない

まず峰野の殺害を考え始めた

随分とあっさり考えは浮かんだ

「回りくどい事は抜きだ
峰野に東の居場所を教えれば殺しに来るじゃないか」

峰野の居場所を知るのは簡単だった
校長に電話をし峰野の住所を聞き出した
残るはPCで東の入院先の詳細をプリントし
仕事に出ている時間を見はかりポストへ投函するだけ

後は東に状況を説明し病室に隠れ殺す
これから先は個人の計画だが
その時に東も殺す

計画は上手く行ったさ
俺が最後の1人
そして病室で電話がなる

不謹慎だが電話に出てしまった

「……勝ったぞ!裕樹を返せ!」

「………良いだろう。
病院を出て3つ目の角を左に曲がれ」

言われるがまま現場に向かう

「!
…なんで!?
何で裕樹がその携帯を持ってるんだよ!
応えろ!裕樹!」

「簡単な話さ
良平の憎んでいた人間は…
この俺!!鈴木裕樹なんだからなァ!」
理解に苦しんだが徐々に整理が付く

「彼女を賭けたのはなぜだ!」

「藤竜。
お前がこの事件から手を引くと思ったからさ
そうすればこの事実を知る事も無かっただろ」

今は理由なんてどうでも良い

「もう此処まで来れば
君は殺す。」

俺は良平の葬儀の時
ある誓いを立てていた。
『もう嫉妬には飲まれない』と
ゆえにこのゲームに『条件付き』で望んだのだ

「…まだ死ぬ訳には行かない」

その言葉が口を出た時
俺は無我夢中で逃げていた

53:エルガ ◆BDJ.:2010/12/18(土) 20:51

本心を言えば
俺の命なんてものは最初から保証されてなかったのだ
この事件に関わった事で多くの有志が犠牲になっている事を考えれば
俺の命も僅かだろうと感付いては居た

「逃げてもいずれは殺す」
俺が走り出した時、裕樹に言われた言葉だ

良平との関係がどうあれ
アイツが良平を追い詰めたのは間違いが……あった!

俺が初めて良平に会った時
既に裕樹は居なかった。
俺が良平と関わった事を知りようが無いのだ

たまたま開放されただけの友人と一緒に居た時も
良平は不自然な動き一つ出さなかった

「…裕樹じゃない!
犯人は裕樹じゃない!」

だからこそ裕樹を助ける価値があるのだ
だからこそ裕樹を幸せにできるのだ

電話が鳴ると同時に俺は出る

「コレが最後の勝負だ…。犯人さんよォ。
セコい事してくれるじゃねェか!」

「余興に過ぎない。
彼を使った事自体、誤算だったのだ」
裕樹はこのゲームに関係なく勝手に俺の目の前に現れたのだ

「何をしらばっくれてんだ!しっかり脅しのネタも用意しやがって!」
それすらも裕樹の単独行動の一つ
彼女を守る為
最後の生き残りである俺を消そうと考えただけだ

「さて、最後の勝負とは何をするんだい?」

「近場に有るコンテナ置き場の港まで来い!」

準備は整った
あとは…。
俺の友人を殺人犯の駒にする訳にはいかない

だが其処に現れたのは予想を超える人間だった

54:エルガ ◆BDJ.:2010/12/18(土) 21:26

俺の目の前に現れた人間。
それは死んだはずのクラスメイト
「敬太」だった

「やァ
今の今まで楽しませて貰ったよ?藤竜
おっと驚くのは無理ないが
君は俺の死体を自分の眼で確認したのかい?

君の誤算は其処だよ
電話越しに銃声と悲鳴を上げたんだ
勿論、誰もが疑わない「死」だ
お陰でこうして動く事が出来たんだ」

「…」

「まァ、言葉を失い呆然とする気持ちも分からなくは無い
良平を死に追いやろうとしたのもこの俺だ。
事実
君が良平を殺さなければ
俺が殺していただろう」

『バカめ…無駄に話してる時間があるのかよ…』

バシュゥゥ…ボン!

「!」

ロケット花火に糸を繋ぎ時間を引き延ばした上で
通路にセットしておいたのだ

『今だ!』

俺は敬太の胸倉に掴みかかる
そしてポケットに持ち歩いていたナイフで刺す
敬太は膝を付き倒れる

「お前の誤算はなァ…裕樹を俺の前に出した事だ!」

裕樹はあの時
殺す事に拘っていた
それはつまり愉快犯が考える心理に近い物があった

「自分の手で死を与える」
それは必然的に死体を見る事に直結する
俺はその時に「犠牲」に付いて考えていたのだ

唯一、死体を見ていない人物。敬太
薄々、感付いていたのだ

パン!

その鈍い音は後方からした音だ
そしてその正体は
俺の胴体を貫く弾丸だ
そこに居たのは裕樹だった

「…あ…
裕樹…
やったよ。俺
…このゲーム生き残ったんだ
もう、裕樹と彼女が怯える事は無いんだ」

認めたくない体への痛みが全身に走る
そして
認めたくない事実で眼に涙が溜まっていく

服の内ポケットに入っているものを取り出すと
裕樹は迷わずもう一発弾丸を放つ

「竜巳、ごめんな
この事実は誰も知っちゃいけない
誰かにこの事実は知られたくないんだ
例え友人でも
この惨事を認識している人間は居ない方が良い」

「裕…樹…泣くなよ。
…コレで俺も恐怖に…怯えなくて済む。
ホント……はさ
お前が居なくなったときから
ずっと…怖かったさ

ありがとう、裕樹…幸せにな…」

後、俺がポケットから出したものを裕樹が確認する
「遺書…だ」
そう、竜巳の出した条件とは「自分の死」だった
どんな形であれ
自分を死なせる事が条件だったのだ

「………竜巳ィーー!!!」

黒衣
the end

55:エルガ ◆BDJ.:2010/12/19(日) 17:16

キリ番も揃うしあとがきっぽい物を。

黒衣を考えるに当たって
人の「生」に対しての欲を出したかった訳です

死んでも尚
自分の欲を周囲に押し付ける「良平」

彼女との時間が欲しいが故に
一番の友人を銃殺した「裕樹」

己の能力に過信をし
結局は死に至る「竜巳」

そして
己が欲を満たす為だけに殺し合いをさせた「敬太」

どれも欲の先の結末は「死」に繋がっている
結果
真実はさまよい続ける

もし
話の結末を書くのでしたら

裕樹は彼女と別れてしまいます
危険な目に合った彼女は
単独で竜巳に会いに行った裕樹に愛想を尽かせ
結果、振られ裕樹は後に自殺
結果
この事件の真相を知る者の存在は事実上居なくなる

と言う設定です

せっかく立てたスレですが
次に書く小説のため
このスレは放置させて頂きます。(あしからず


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