単発小説。

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1:全自動SS投下機械 ◆Z0k2:2010/11/15(月) 21:20

・急に三人称視点のアクションしてるのが書きたくなったので。
・読みにくいです。
・自慰みたいなものなのであまり見られると恥ずかしいです。

2:全自動SS投下機械 ◆Z0k2:2010/11/15(月) 21:22


 とある国、とある場所に広がる荒野の果て。砂塵が飛び、乾いた風が吹きすさぶ中、一つの町が海を背に居を構えている。
 かつて大陸各地で起きた内紛によって、住処も、家族も、心をも失った者達が自然と寄り添うように集まり、そして長い年月を掛けて生まれたのがこの町だった。
 町ゆく人々はみな一様に瞳をギラギラと輝かせている。日々を生きるために、奪い、奪われ、殺し、殺され。秩序や道徳、倫理。そういったものに平気で唾を吐きかけ、土足で踏みにじる。誇りなんてものは誰も彼も、ハナから持ち合わせてはいない。右を向けば銃声が鳴り、左を向けば頭に風穴を開けた死体が転がるような町だ。
 過酷な荒野を生きて、そして死んでいく人々。彼らは今日も、その本能の赴くまま、その命が命ずるままに我を振舞う。
 
 町の中央。砂に塗れ、風に削がれたボロボロの看板をぶら下げた酒場には、昼夜問わずならず者どもが集まる。
 喧嘩や争いごと、果てには殺し合いなんてものが日常的に行われるため、店の外観に似合わずその内装はしっかりと頑丈に造られている。
 髭を生やした屈強な体つきの店主が、酒を手に丸テーブルを囲む男どもに目を光らせながらグラスを磨いていた。その店主に、小太りの男がヘラヘラと笑いながら話しかける。

「よう、マスター。久しぶりだな。景気はどうだい?」
「それなりってところさ。いま、俺の目の前で笑ってやがるクソヤロウが溜まったツケさえ払ってくれりゃ、文句のつけようもないね」

 店主の射抜くような視線が、どうやらツケを大量に滞納しているらしい男に突き刺さる。しかし、男はそんなことなど何処吹く風。変わらずヘラヘラとした調子で、酒を注文した。
 男はヒビの入ったグラスに注がれた酒を一息で飲み下し、カウンターの上に空になったグラスを叩きつける。

「ふぅ、神よ、日々の恵みに感謝します――ってな。もしこの世から酒がなくなっちまったら、俺ァ一日でくたばっちまう自信があるよ」
「そんときゃツケ払ってからくたばりやがれ。毎日毎日たかりにきやがって」
「ひひっ。安心しろよ、マスター。もうじきでけェ金が入ってくる。そんときゃツケなんて綺麗さっぱり清算して、堂々と酒を頼んでやるよ」

3:全自動SS投下機械 ◆Z0k2:2010/11/15(月) 21:22

並びの悪い歯を見せて、男は下卑た笑いを迎える。同じような口上を耳が腐るほど聞かされてきた店主は、そんな男の言葉にもロクに耳も貸さずに黙ってグラスを磨いている。

「まあ聞けよ。最近、よく町で人死にが起きてるだろ? ありゃ、余所者の仕業だって話だ」

 別段、この町で人が死ぬことがそれほど珍しいと言う訳ではない。その短い導火線に火がつけば、呼吸をするように銃を手に取る輩が蔓延る町だ。
 この町の人間にとっては、銃声なんてものは裕福な町でいうところの、鳥のさえずり程度にしか聞こえていないのだ。誰の命が吹いて消されたところで、何も変わらずに町は生き続ける。
 歯車は回り続ける。
 
「だが、それが余所者の手によって引き起こされたってんなら、話は別だ」

 そして、その歯車の歯に投じられた小石。
 いま、この町に不穏な空気を撒き散らしている”小石”によって散った命は二桁に登る。その全てが首を刎ねられた挙句、全身をバラバラにされていることから、同一犯によるモノと考えられている。
 
 たとえ秩序や道徳や倫理なんてものは無くても、この町にはれっきとしたルールがある。
 出る杭は、打たれるのだ。打たれなければならない。
 この、ひどく不安定でいて、そのくせ絶妙なバランスの上で成り立っている砂城のような世界が生き続けるには、”平穏”を脅かす輩に鉄槌を下さねばならない。
 さもなくば、この町は瞬く間に砂に還ってしまうだろう。
 そのことをこの町の人間は、本能に遺伝子レベルで刻み込んでいるのだ。

「そいつは目立ちすぎたのさ。役所の人間を一人殺っちまって、完全に目をつけられちまった。役所のやつら、大層な懸賞金をかけてよ。デッドオアアライブ(生死問わず)だってよぉ」
「……で? まさか、その切り裂きジャックの真似事したイカレポンチをとっちめられる算段がついた。とでも言いてぇのか?」

 店主のねめつけるような視線に、男はまたも下卑た笑いを返した。

4:全自動SS投下機械 ◆Z0k2:2010/11/15(月) 21:23

ご名答、だよ。そいつから命からがら逃げ出せたやつを見つけてな。特徴を吐かせてから、駄賃代わりに海へのバカンスを用意してやったよ」
「ふん。その特徴ってのは?」
「ひひっ。ツケを返して欲しけりゃ、誰にも言うんじゃねえぞ――襲われたのは夜。酒に塗れたそいつが海にションベンひっかけてる時に後ろからやられたそうだ」

 音も無く一瞬で手首を切り落とされたが、襲われた男は悲鳴を上げながら町中へと逃走。まだその時刻には人も外に出ており、その首を追いかけてくることはなかった。
 なんとか一命を取り留めた男は、自分を襲った者のハッキリとした特徴をこう告げる。
 宵闇の中でも目を惹かれるほどの金色の髪――

「金髪ねえ。この町にゃ、腐るほどいるんじゃねえか?」と店主が蛇口を捻りながらいう。
「それもそうだ。だが、風に靡くほどの長髪となりゃあ話は別だ。一発でわかるだろうよ。借金が増えちまったが、腕利きの奴らを何人も雇った。あとは宝探し、さ」

 それから男は、懸賞金を手にしたときの金の使い方を店主に向かって語ってやる。普段からその語り口上すら散々聞かされていた店主だったが、今回は少し現実味が出てきたのか耳を傾ける程度はしてやった。
 そのときだった。酒場に満ちる喧騒が揺らいだのは。
 喧騒の揺らぎを察した男が酒場の入り口に目を向けると、荒野の枯れた風を切り裂くような麗しい金色の髪を靡かせながら、長身のシスターが酒場の中へと入ってきていた。思わず男はギョっと目を見開く。
 一瞬、町を騒がせている余所者のことが頭をチラついた。
 でも、それはありえない。死体は全てバラバラにされているからだ。あんな細腕ではチェーンソーでも使わないと出来やしない。紛らわしい髪しやがって。
 男はそう、内心で毒吐いた。

「なんだ、ありゃ? いつからここはコスプレバーになったんだよ」
「そういやお前は最近ここに来てなかったから知らないんだな。ほんの少し前からこの町に訪れててな。なんでも――」
「――運命の方を、探していますの」

 海を断ち割るような、ハッキリと通る声。
 店主の声を遮ったシスターは、ブーツの踵をコツコツと踏み鳴らしながらカウンターに向かって一直線に歩いていく。周囲から向けられる奇異の視線など気にもとめていないようだ。
 一礼をしてから男の隣に腰掛け、店主に向かって「ワインを」と微笑む。

「運命の方、だぁ?」男がハッと鼻で笑う。
「ええ。半年ほど前でしょうか。夢の中に聖母様が降り立ってきて、私にこう告げたのです」

 ワインの注がれたグラスを店主から受け取ったシスターは、一口ワインを口に含んで一つ間を置いてから言う。

「貴女にとっての運命の方がこの町にいる、と――」

5:全自動SS投下機械 ◆Z0k2:2010/11/15(月) 21:24

「ひっひひ! それであんたは、その聖母様の仰るとおりに運命の方とやらを追い求めて、教会飛び出してきた家出娘ってわけか?」
「その通りです」

 男の虚仮にするような視線に、シスターはニコリと笑顔を返す。これには男も言葉に詰まる。

「それで少し前からこの町に居座らせていただいているのですが、中々見つからず、困っているところでして。今じゃこのマスターさんとも顔なじみですわ」
「なあ、シスターさんよ。こいつはどうなんだい? その運命の方とやらにふさわしいか?」

 店主が困惑気味の男を指差していう。するとシスターは、すっと目を細めて品定めをするかのような視線を男に向ける。
 暫くしてからパっと顔を上げて、シスターは微笑んだ。

「神の恵みをたらふく詰め込んだふくよかなお腹をしてらっしゃいますが、私の好みではありませんね」

 そのキッパリとした物言いに、店中が一瞬で静まり返った。それからすぐに、一気に笑いの渦が巻き起こる。
 店中の客から指をさされて笑われた男は、顔を真っ赤にしてシスターに食って掛かった。

「おい、度胸あるじゃねえかアマ。股に二つ目の穴ブチ空けられたくなけりゃあ、今すぐ俺の前から失せろ。わかったか?」
「あら。あらあらあら? でも、先に失礼な口をきいたのはそちらですよ?」

 男の剣幕に圧されたシスターが、苦笑を滲ませながら後ずさる。しかし、完全に頭に血の昇った男にはもうそんなことどうでもいい。今すぐ目の前の女を痛い目に合わせてやらねば気がすまない。
 店の客から飛び交う野次に背中を押され、男はとうとうシスターの襟首を掴んでねじくりあげた。
 まさに一触即発。
 だが、男はそれ以上の行為に及ぶことが出来なかった。何故なら、その顔めがけて手袋が投げつけられたからだ。
 地面にぱさりと落ちた手袋に視線を落としてから、男は血走った目を手袋の主に向けた。
 
「ようよう、女に絡むんじゃねえよう、見苦しい。おうちに帰ってピザでも食ってろ、デブ」

 店中全ての視線が集まる先。
 店の客たちからも少し離れたところにある丸テーブルに、煤けた金髪を後ろで一つに纏めた一人の男が腰掛けていた。手袋を脱いだ手をぶらぶらとさせながら、無愛想な表情を浮かべている。
 金髪の男は開口一番、火に油を注ぐような売り言葉を吐き捨てると、席を立って野次馬の海を掻き分けながらカウンターへと向かう。

「なんのつもりだ、てめえ」
「てめえみたいなのがいるとよ、酒がまずくなるんだよ」

 金髪の男は、小太りの男の眼光に怯むことなく、シスターの襟首を掴んでいる手を引き剥がした。
 手袋を投げる行為――それは、決闘を申し込む合図。

「……まだわからねえか? ”得物をとれ、俺と勝負だ”」

 小太りの男のこめかみに、びきりと音を立てて血管が浮かび上がった。

「ガンマンだろう? 早撃ちで勝負だ。俺が勝ったらとっとと失せな?」
「上等だ……クソガキ」

6:全自動SS投下機械 ◆Z0k2:2010/11/15(月) 21:25

 金髪の男が身に纏う、ボロボロになったコートの裾が西風にふわりと翻る。
 砂塵を巻き上げる風に吹かれ、周囲を取り囲むようにしている野次馬の視線の中心で、二人の男が距離を置いて向かい合っていた。
 一人は、銃を手に。
 そしてもう一人は――

「なんだそりゃ、ふざけてんのかァ!?」

 小太りの男が、対面で構えている金髪の男に向かって叫ぶ。
 さもありなん。何故なら、金髪の男が手にした得物は――――鞘に収められた反身の剣。
 東の国の言葉で言うところの、”刀”だったからだ。

「大真面目だよ、ばかやろう」

 金髪の男が心外そうな声音で答える。

「女ァ!」
「はいっ?」
 
 小太りの男の怒号が空に響く。突然呼びつけられ、野次馬に混じって二人の行く末を見物していたシスターの体が飛び上がった。
 
「てめぇが合図しろ! それと、逃げるんじゃねえぞ。このガキをぶっ殺したら、次はてめえだ!」
「ええ、そんな、ひどいじゃないですか」
「うるせえ! 今すぐドタマぶち抜かれてえか!?」
「ひどい……でも、えっと、合図って言われても」

 困ったようにキョロキョロとしていたシスターの手の上に、隣にいた店主が一枚のコインを握らせる。
 驚いたようにシスターが顔を上げると、店主は親指を立てて笑った。

「早撃ち勝負つったら、こいつしかないだろ。空に向かって、指で弾いてやんな」

 店主に言葉で促されるまま、シスターは親指の上にコインを乗せる。そして、自分を庇ってくれた(?)金髪の男に一瞥をくれてから、親指を弾いた。
 金属音と共に空に跳ねるコイン。
 小太りの男は、腰に提げたホルスターに納めた銃に手を添え、金髪の男は、腰を落として斜に構えて今にも駆け出さんと重心を前に集めている。
 常識で考えるなら、誰もが結果を見るまでもなく思い浮かべられる。二人の間に佇む距離はおよそ八メートル。そう、あくまでも常識で考えられるなら、銃が勝つのが当たり前だ。
 だが――

7:全自動SS投下機械 ◆Z0k2:2010/11/15(月) 21:26

「死ねやァ!!」

 野次馬がみな一様に固唾を呑んで見守る中。コインが重力に引っ張られていく。地面に落ちるその直前、小太りの男が銃を抜いてなんの躊躇も無くその引き金を引いたのだ。
 極限にまでその場に満ちていた緊張を、銃声が断ち割る。その場にいた誰もが完全に虚を突かれた――引金を引いた本人と、それに向かっていう者以外は。
 その凶弾が金髪の男を捕らえることは無かった。地面を舐めるような低姿勢で駆け出す金髪の男の頭上を、銃弾が掠める。小太りの男の舌打ちは、字打つ踏み込みの音にかき消された。
 この時点で既に、二人の距離は半分にまで詰まっていた。

「どうせマグレだろうがッ!」

 叫びながら再び銃を構えて、迫り来る金髪の男の頭に銃口を向ける。引金に指を掛けて、力を込めた瞬間、金髪の男の姿がブレた。
 
「おッ、」

 驚く暇も無い。
 小太りの男が引金を引くのと、金髪の男が向かって左に体を傾かせたのはほぼ同時だった。二発目の銃弾も、虚しく空を切るのみだ。
 三発目を撃とうと、再三引金に指をかける。しかし、二度も引金を引けるチャンスがあったからといって、三度目があるとは限らないのだ。
 金髪の男が最後の一歩を、地面を踏み割らん勢いで踏み出した。そして、左腰に構えた鞘口から、銀色に閃く刃が逆袈裟に打ち抜かれる。

「――――」
「よう、ガンマン。いくら早くても、当たらなくちゃ意味はねえんだぜ」
 
 声が、すぐ間近から聞こえる。
 銃身を一刀のもとにまっ二つに断たれ、返す刃でその切っ先を喉元に突きつけられているのだ。小太りの男は、声を発することも出来ずにただ息を荒げることしか出来ない。

「コインが落ちる直前を狙うたあ、おたくも悪いやつだ。これだから早漏はよお……」

 でも、と金髪の男は不敵に笑いながら言葉を重ねる。

「肝心の腕がこれじゃあ意味ねえよなァ…………約束だぜ、今すぐ、尻尾を巻いて、おうちに帰りな」

8:全自動SS投下機械 ◆Z0k2 hoge:2010/11/15(月) 21:26

続      くといいなあ。

9:ゆゆゅゆ:2010/11/16(火) 16:57

面白いから続けて下さいよー。まじ面白いです。


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