愛毒症候群

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1: ◆YfkE:2011/01/03(月) 16:22


 確かに此処にあったんだ。彼女の温もりと笑顔が
けれど儚く消えた彼女

 そんな彼女にもう一度会いたくて、僕はまた手を伸ばす
会えなくても、此処に彼女が居たという事を忘れないために、
僕はまた何度でも手を伸ばす

 桜の花弁が道を敷き詰め、淡い桃色が視界を覆う
そんな季節に君は消えて、僕は消えた君に縋りつく
それしかできない僕をどうか許して

 世界を変えることなんて僕にはできないから
せめて、君みたいな人が一人でも少なくなるように
伸ばした手を誰かに差し出せるように




 僕は今日も手を伸ばすんだ

2: ◆YfkE:2011/01/03(月) 16:28

【桜の花弁と君の横顔】


 「ねぇ、今度は何処に行こうか」


 2168年、世界の人間の人口は極端に減った
理由は1つ。誰にも直す事の出来ない病気のせい
僕たちが住んでいる静岡県、磐田市でも人口はもう200人をきっただろう
いや、それ以上に減ったかもしれない

 彼女は僕の隣にいる
人が居なくなったのにも関わらず、無邪気な笑顔を僕に向ける
その笑顔を眩しく思いながらも僕も笑い返すんだ

 
 「柚月は何処に行きたいの?」


 桜野柚月。彼女の名前を呼びながら行き先を訊ねる
彼女は更に笑みを深めて僕を見つめた

 「あのね、東京に行きたいの」

 「そっか。柚月は東京に行きたいんだね」

 「うん!!だから灯真も一緒に行こう?」


 どうやって?僕たちの交通機関はもう歩きしかないこの世界で、どうやって東京まで行くんだい?
きっと訊ねても返事は返ってこないんだろうな
元々期待はしていないけども

3: ◆YfkE:2011/01/04(火) 11:36



 「ねぇ、灯真。灯真は私が死んだら探し出してくれる?」

 
 突如彼女の口から洩れた言葉
ゆっくりと彼女を見つめれば、彼女は笑顔で
どこか寂しげに笑っていた


 「あのね、私は灯真に見つけてほしいの。例えあの病気になったとしても」


 あの病気
それは今はやっている病気

 人間を桜の花びらへと変えていく病気

 そのため世界には多くの桜の花弁が舞っている
そんな中から彼女の花弁を見付出すのは、不可能に近い


 「分かった。必ず柚月を見付出してあげる」


 「ありがとう。じゃあ私も、私も灯真を探してあげる」






 


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