NIGHT Chilled

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1:戴宗 ◆q2W2:2011/01/06(木) 19:23

騒然としていたが私は平静だった。

何故かその場にじっと佇み、そこから逃げることはしなかった。何故逃げなかったのかと聞かれても解らないとしか言いようがなかった。

「逃げろ」
と誰かが私に向かって叫んだが、足が動かない。額に汗が滲み、嫌な気分になる。
ああ、もういいやと私は思った、ここで終わってしまっても悔いはない。よくやったと自分を誉めたい程だ。運がなかった。




「何で、逃げないの?」
林田君が抑揚なく言った。

2:戴宗 ◆q2W2:2011/01/08(土) 19:02

何と言おうか迷った挙句、「もう、いいかなって」と呟く。
「ふーん、そっか。じゃあ次ヨロシク」
と林田君が私の右肩を軽くタッチすると直ぐに走り去った。私が鬼となる。暫時、その場に佇みぼんやりと考える。今日の夕飯何かなと。

私の家から自転車で10分程の所にある公園、通称猫公園。その謂れは野良猫がやたらといるから、私達はその公園を猫公園と勝手に呼んでいる。正式な公園の名前は知らない。
鬼となった私は公園内を取り敢えず進む。公園内は割と静まり返っており私達以外には多分誰もいない。

暫く歩いていると前方に中村君の姿が見えた。相手は私に気付いていない模様。背後から徐々に距離を詰めようとしたら中村君が振り返り私の姿を確認した。一瞬目があった。「やべっ」と中村君が呟いた様に見えた刹那、一目散に逃げていく。
私は中村君の足の速さを熟知しているので追い掛けることを諦める。追い掛けたところで逃げ切られるのは目に見えていたからだ。無駄な体力は使いたくなかった。私は足が余り速くない、寧ろ遅い方で到底敵わない。


野良猫が私の前を横切る、黒猫だった。黒猫を見るとラッキーだったか、アンラッキーだったか忘れたが何となくアンラッキーな気分になる。

3:戴宗 ◆q2W2:2011/01/20(木) 01:34

日が暮れて来た所で鬼ごっこは終了し、各々が家路に着く。私は自転車に跨がりペダルを踏む。9月下旬だというのに日中は最高気温は真夏日にまで上がることがある。日が暮れても尚暑さが身体に纏わり付く。

「ただいま」
玄関の扉を開け、居間にいる母に対して言う。午後7時前、母はテレビを観ながら「おかえり」とこちらを見ずに普段通りの調子で返す。テレビ画面では明日の天気予報が流れている。明日の最高気温は31度。真夏日。

「ご飯、8時頃でいい?」
と母が私に問う、今度はちゃんと顔を見て。夕食の時間は我が家では取り分け決まっていない。母の都合次第で決まる。だから、6時の時もあるし、9時の時もある。私の母は殆ど料理をしない人で、出来合いのものを買ってきて皿に盛るだけだ。することといえば、米を洗いご飯を炊くこと位だ。それ以外は何もしないと言っても過言ではなかった。
「良いよ」
私は母に逆らうような真似は出来ないのでいつも了承する。

4:戴宗 ◆q2W2:2011/01/24(月) 17:39

珍しくいつもより早くに目が覚めたが、二度寝する。仕方ない。眠いから寝てしまう私の性。

私の家では朝食を採らない。両親も姉も私も。これが普通になってしまっているから、何とも思わないが空腹感は正直ある。給食の時間までの辛抱だと常に自分に言い聞かせている。
さっと身仕度を済ませて家を出て、学校へと向かう。徒歩で15分程の道のりをただひたすら歩く。周囲には同じ学校の生徒がちらほらと見える。まだまだ半袖の生徒が目立つ。
私はいつもぎりぎりに学校に着くように家を出るので、教室に入る頃には殆どのクラスメートが教室内にいる。遅刻は今まで一度もしたことがない、それが私のちょっとした自慢。

自分の席に座ると丁度チャイムがなる。朝の短いホームルームが始まり、担任の教師が教室にやってくる。
「はい、皆席に着いて」
山田先生はいつもの如く促すと、渋々といった感じで席に座る者もいるが教師には従う。


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