暇人大学生の気まま小説

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1:綾雫乃理:2011/03/02(水) 17:02

暇なんで、適当に書いてみます。
とりあえず実話で。

2:綾雫乃理:2011/03/02(水) 17:13

ーー始まりはいつも突然だ。

「ちきしょう、ちきしょう、ちきしょう!一体全体なんだってんだ!」
疾駆する。ただ広がる虚空に言霊を響かせながら疾駆する。
「なんの因果だ?俺が一体何をやったっていうんだよ!ちきしょう!」
月夜が支配する薄暗い路地裏。闇を裂くような速度で青年は疾駆する。水溜まりを蹴り上げ、泥を巻き上げ、制服を汚してしまっても、止まることはない。
皆無なのだ。そんなこと全く気にならないのだ。制服を汚したとて、起こる事象は鬼婆の拳骨ぐらいだ。痛いが死にやしない。(いや、わからない。死ぬ場合もあるかもしれない)
でも今は目先の危機だ。後に来る死の危機より、今の危機だ。
絶え絶えの息の中。そう確信する。
そう、青年は現在、生まれてこのかた十七年という若さにして、人生最大と言っても過言でない危機に直面しているのだ。それも尋常でない。

3:綾雫乃理:2011/03/02(水) 17:29

路地裏を抜け、テイムズ沿いの直線路に出る。直ぐ様川の流れに逆らう方へと進路をとった。
辺りを見回すが人影はない。辺りは不気味なほど静まり返っている。
そして、青年は何故かその歩を止め、ーーちらりと後ろを振り返ってみる。
そんな余計な動作に費やす余裕なんてないはずなのに、振り返った。いや、振り返ざるを得なかった。神の見えざる手に導かれるかのように、意識とは裏腹に、である。
やはりそうだ。追ってきやがる。青年は再度肯定する。
そこには伝説が。
神話が。
物語が。
そして、まごうことなき奇蹟が、奇跡が。
再び走り出して、叫ぶ。
「箒って一体なんだよ!そんなもんでどうやって移動してんだよ!箒ってのはお掃除に使うもんだろうがーーーーーっ!」
それはまことか。そこには彼女がいた。
伝説上の彼女がいた。物語の彼女がいた。
しかも、その彼女は青年を追跡している。優雅に、そして上品に。読書なんぞをしながら追いかけてくる。
箒の上の彼女。
とんがり帽子の彼女。
古風な装い。漆黒のロングドレスに純白のシースルーのケープの装いの彼女。
間違いない。間違いねえ。あんなベタベタな格好。幼稚園児だって間違えねえ。間違えるわけがねえ。あれは……あの女は……
「魔女だろーーーーっ!」
青年は舌を噛まぬように細心の注意を払いつつ、吼えた。

4:綾雫乃理:2011/03/02(水) 17:51

「失礼ね!私は魔女みたいな野蛮低俗極まりない人種じゃなくてよ!私は魔術師よ!ま・じゅ・つ・し!」
「何がどう違うんだ!変わらねえよ!」
後方より聞こえてくる声。パタンと本を閉じた彼女から声が聞こえてきた。それは青年にとって心底どうでもいい返事であった。
「閉塞に来ましたのよ?いい加減に捕まってくれませんかしら?」
「嫌だよ!絶対に嫌だよ!ってか何なんだよ!お前!」
泣き出しそうな顔をしつつ、全力疾走の青年は叫ぶ。
「だから魔術師だと言っているでしょうが!ま・じゅ・つ・し!」
「そんなこと聞いてるんじゃねえよ!」
泣いた。清々しいほど的はずれな答えが反ってきて、青年は泣いた。
そんな様子を見た彼女は、「はあ」とため息をつく。
「貴方この状況わかっていらっしゃる?人払いの結界を張っているから助けは来ませんし、第一、私が本気を出せば貴方なんて赤子の手を捻るより簡単にとらえることができますのよ?今私がこうして貴方のことを追いかけているのは、出来るだけ手荒なまねをせず、傷つけず、貴方の体力が尽きるのを待って、平和的かつ友好的に捕らえようとしているだけなのですよ?それなのに小一時間も逃げ回るなんて……呆れてものが言えませんわ」
「どっちが!」
その水っけは、汗か涙か。わからずただ洪水のように溢れてくる水分を飛ばしながら、それでも青年は逃げるのであった。

5:綾雫乃理:2011/03/03(木) 20:31

しかし確かに彼女の言う通りだった。この逃走はあまりにも不毛で、馬鹿馬鹿しい行為だった。彼女が本気を出せばこの程度の距離あってなきが如し。易々自分をとらえることができるのであろう。それは小一時間逃げ回ったことから理解した、あまりにも悲劇的な事実だった。
自分自身の首を真綿でジワリジワリと絞めているようなものだ。
でも、だからといって止まるわけにはいかない。だって止まったら……
青年は再びちらっと後方を見る。
宙に浮いて、微笑を浮かべている碧眼の彼女。
「…………」
俺がいくら女子が好きだからって……美女が好きだからって……
汗と涙を振り撒き、キッと前を向き、速度を上げる。
「あんな変態に捕まるわけにいくか!」
あんなのに捕まるぐらいだったら、俺は一生彼女とかつくらねぇよ!……まあ作りたくても作れないのが現実の冷たいところなんだが。
青年の決心はやや固かった。

6:綾雫乃理:2011/03/03(木) 20:37

とか、時間縫って書いてみましたが、どうでしょうか?
全く中途半端もいいところなのですが、ここらで意義苦言感想苦情直訴等をお伺いしてみたいと思います。
暇人とかいいながら、なんか暇でなくなってきたもので。
スレを立てた責任とでも申しましょうか?
需要がないようでしたら、ここらで打ちきりということで。

お待ちしています。

7:匿名さん:2011/03/06(日) 13:46

おもしろいです!

8:綾雫乃理:2011/03/06(日) 17:29

>>7 ありがとうございます。それじゃあぼちぼち続きを上げれるだけ上げていきます。
頑張りますんで、どうか温かい目でご支援ください。
あ、酷評は随時お受けしてますので、拙著(?)を読まれた方はバシバシ私めをしばいてください。

それでは続きを。下より。

-・-・-・-・-・-・-

はあ。
聞こえてきたのは後方よりの再びのため息だった。彼女のため息だ。
「そうですか……そうなんですか。その向こう見ずな覚悟、ひどく立派です。流石サムライの国の若者といったところですね」
な、なんつう冷めた声色だ。青年はそう思った。
「ならばもう、こちらも手加減は無用ですね。貴方のその愚かな覚悟に敬意を表して全力でいかせてもらいますわ」
青年は躓きそうになる。敬意だと?要らねえよそんなもん!俺じゃなくてどぶねずみにでもくれてやれよ!青年は心の底からそう思った。

そしてそれは、まさにその時であった。

「Soil」

「えっ?」
何もなく、ただ一直線だったはずの道に突如壁が出現する。

「Water」

行く手を塞がれた青年をさらに囲うように、テイムズから大量の水が溢れだし、壁と成す。

「いかせてもらいます」

逃げ道を完全に塞がれ右往左往青年の真横。水壁に一瞬空間ができた。

「なっ!」
彼女だった。
いや、おそらく彼女だった。と形容するのが正しい。
その速さゆえ、認識する余裕すら、ない。
衝撃が走る。
青年は己の肺にたまっていた空気が逆流するのを感じた。呼吸が……停止する。
青年はその肉体を月夜の倫敦に舞わせた。

9:綾雫乃理:2011/03/06(日) 18:12

そんな青年を水壁は優しく包み込んで、他の物体に衝突せぬように守ってくれた。
「かはっ」
青年はその場に倒れこむ。遅れて痛みがやって来る。
「くっ、うっぐっ」
声にならない声。肋が数本持ってかれちまった。青年は嘗てトラックに衝突され、肋骨を折ってしまった時の感覚を思い出して、そう悟った。

「チェックメイトですわ」

その声に反応して、額に大量の脂汗を浮かべた青年はゆっくりと顔を上げた。
そこにいたのはやはり美しい女だった。いや少女……であろうか?美しく微笑む彼女がそこに立っていた。
帽子がとれ、流れるような金髪を露にした彼女。月の光を受け、燦然と輝く髪、否。彼女は圧巻だった。まるで何か。そう。一個の偉大な芸術品のような、そんな美しさだ。

「それでは楽しい楽しい修学旅行中に大変申し訳ありませんが、暫く貴方の身体を拘束させていただきますね」

彼女は青年にそう告げる。
「お、おい。ちょっと待てよ」
青年は苦しげに反論する。明日には、明日にはもう日本に帰っちまうんだぞ……今日しか……今日しか高校二年の楽しいロンドンナイトを過ごす時間がねえっていうのに……パブが……英国美女が俺を待っているんだぞ……

「問題なければ一瞬で終わりますから」
しかしながらというべきか。当たり前というべきか。彼女は青年の言葉などに耳を傾けることなく、むしろ塵屑であるかのように扱った。
そして懐より銀のペンダント……らしきものを取り出す。

10:綾雫乃理:2011/03/07(月) 15:10

「おいおい。これは夢なんかじゃねぇんだよな?原監督が見てる夢の続きなんかじゃねえんだよな?」
眉間にシワを寄せながら、強がって青年は言う。わかってる。この痛み。じとつく汗。現実の痛み不快感そのものだ。夢であるわけがねえ。
「ハラ……カントクですか?聞いたことない名前ですね。日本人なのですか?」
彼女は素でそんなことをいい、聞き流し、何やら熱心に念じている様子であった。
「ただ一つ言えることは、今起こっている一切合切の出来事はすべて現実のものです。夢ではありません。空飛ぶ箒。水壁。そしてそれらを統べる貴方から見たら極めて異質な存在もふくめて、ね。」
さらに彼女は続ける。
「まあ、これらのことは『こと』が済んだら全て忘れていただきますが」
青年はこの時、完全にキレた。恐怖という感覚ではなく、憤怒と形容するに近い感覚に支配されていた。なんだよなんだよ。なんて自分勝手なやつだ。ふざけんじゃねえよ。忘れさせりゃそれで何してもいい理由になんのかよ。
「……ふん。『魔女』さんは随分と御都合主義なんだな。てめえの都合だけで人様のことを振り回しやがって。それじゃまるでーーーー」
青年はそこで話すことをやめた。いや、やめざるを得なかったのだ。
青年の怪我した脇腹に、彼女の蹴りが。
「っつつつつーーーーーーー!」
悶絶。ただもがき苦しむ。青年は地をのたうち回る。そんな青年の様子を彼女は冷めた目で見下していた。
「一つだけ言わせてください。もう二度と私のことを魔女などという不浄な呼び名で呼ばないでください。本気で怒りますよ?どうなっても知りませんよ?」
「知ったことかよ。怒りてえのはこっちだ……」
そう反論するのが精一杯の青年だった。

11:綾雫乃理:2011/03/08(火) 12:09

「やっと静かになりましたね」
彼女はそう言葉を紡いだ。「まあ、平和的解決……とはいきませんでしたが」と苦笑して。
「まあ、でもそろそろ始めさせていただきますね。ここにいたるまでに予想外に時間をとられてしまったんで早くしないと夜が明けてしまいます」
苦しみ、息も絶え絶えな青年。もうどうとでもなれ。諦めの境地に達していた。
いろいろ考えてみたが手詰まりのようだ。俺にはもう行動を起こすだけの気力も体力もねえ。
大の字に倒れこんだまま、青年は彼女の顔を見た。
輝く彼女。やっぱり彼女は美しかった。月を眺望している彼女は本当に、美しかった。
こんな美女に会えたんだから、結果的にはよかったのかな。
目を閉じて、そんなことをこの状況で考えはじめる青年。そして気がついたのはその時だった。

何かが、聞こえる。
微かながら。いや、さっきより段々と明確に聞こえる。
これは、歌か?

彼は目を明け、彼女を見た。
歌っていたのは彼女だった。

それは聖歌。それは鎮魂歌。
透き通る声。高貴で美しく安らかな歌。

彼女が口ずさむその歌。
青年はただ圧倒された。高揚感。浮揚感。魂が体から離れていくような。
空白。
青年の意識はまさしく白色に、混じりけのない白色へと変化していく。
痛みも。怒りも。恐れも。恨みも。何もかも忘れ、白く。
何も考えられず。
見つめるしかなかった。
抑圧されることを知らず、無垢で、純真で、絶対的で、神聖にして不可侵な王女であるかのような、そんな雰囲気を醸し出す彼女を。
瞬きもせずにただ見つめた。

12:綾雫乃理:2011/03/08(火) 12:16

そして、
「 」
突如青年の身体中が脈打ち始める。
何故だかわからない。彼女が諳じるその歌は、聞いたこともない、はたまた聞いたこともない言語であった。いやあるはずだった。青年には一語も理解することができないはずの言語であるはずだった。
しかし、何故か。
体の中に、言葉が入ってくる。
彼女が一体何を言っているのか。ただ理解できる。ただ全身で感じられる。

何故か。血が、騒ぎ出す。

13:匿名さん:2011/05/05(木) 13:00

続きはないんですか?


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