戦国姫物語

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1:annri:2012/02/03(金) 21:24 ID:IqE

これはオリジナルです。
主人公は死人姫(しにびとひめと読みます)。本名は永華。小さいながらも一国を治める大名の姫として生まれました。
―あらすじ―
まだ日本の中で、国と国とをめぐる戦が激しかったころ。
各地でおきている戦乱の中に一人だけ、美しい少女がいた。
ありとあらゆる技で敵の首を討ち落としていくその様は、風のようで、尋常ではないその動きを見た人達から少女が
触れたものは、死ぬ。
という話が広まった。
そして、人々は皆彼女のことをこう呼んだ。
「死人姫」と。

2:annri:2012/02/03(金) 21:44 ID:IqE

第一話   

 ある日、父に教えてもらっていた剣術で兄を負かしたのだ、と誇らしげに父に言った。
とても強くて、優しかった兄に手加減なしで勝ったんだと。
それが嬉しくて。
けれど、妹に負けた兄は皆からののしられた。
―妹に、まだ幼くてあられる姫君に負けるなど。この国の名に傷が入るのも時間のうちですな。
兄に向けられた言葉。それは、深く兄を傷つけた。
三日後、まだ剣の腕前も不完全であるというのに、兄は父について戦に向かった。
妹を超えるための手柄を立てるために。
戦い、そして、死んだ。

大切なものを守るために教わった剣術は、

大切な人を、殺してしまった。

あの時、兄に勝たなかったら大切な人を、殺さなくて済んだのだろうか。

3:瑠璃:2012/02/03(金) 22:22 ID:rls

凄いですね〜
戦国時代ですか?

小説面白かったですー!!
いれてください☆
瑠璃です♪
タメ&呼び捨てOK!です

4:annri:2012/02/03(金) 22:34 ID:IqE

第二話  一つの疑問 

 風が唸る。刃が滑り、敵を切り裂く。一瞬にしてあたりに血の匂いがたちこめる。少女が地を蹴った。
生き残っていた敵の上から襲いかかると一気に息の根を止める。敵はばたりと倒れた。
「どうして、私は人を殺している…?」
ふと、疑問がわきあがる。しかしそれの答えが見つからない。唸っていると、人の気配がした。短剣の切っ先
を鋭く向ける。そこに聞いたことのある声がした。
「私に向かって刃を向けるなど。貴様を雇ったのは私だぞ。つまりはお前の主なのだ。」
「誰にも従うつもりはないわ。お前が天下統一を目指すというから力を貸しているだけのこと。」
間髪いれず言い返し、鋭く睨みつける。その視線に、男は少しひるんだように後ろへ後ずさった。
「とにかく。働いてもらうからな。金は渡しているんだ。」
それには無言を通すと、静かに目を伏せた。

 私は一体何をしているんだろう。

少女の心に浮かんだ疑問に少女自身が答えれなかった。

5:annri:2012/02/03(金) 22:43 ID:IqE

瑠璃へ
コメントありがとうございます。
まったくの想像なのでとても難しいのですが
これからも書いていきたいと思います。
よろしくお願いします。
それと、ほかにも少年陰陽師とぬら孫を混ぜた夢小説を書いて
います。そちらもよろしくお願いします。
題名は「あやかしと陰陽師」です。でも、今書き込みエラーで
書きこめていないので、すみません。どうやったら、書き込めるのか…。分からない。
長々と書いてしまいましたがこれからもよろしくお願いします。

6:瑠璃:2012/02/03(金) 22:57 ID:rls

想像物でも凄いです〜(´▽`)

あやかしと陰陽師…ですか
今度行ってみます!!

これからもよろしくお願いしますっ

7:annri:2012/02/04(土) 14:48 ID:t52

第三話   大切なものを守るために

 ある日、死人姫は小さいけれど大名に呼ばれた。
「頼む。私にはお前を雇う金はない。けれど、お前の力を貸してくれ。でないとこの国が滅ぶ。そして、民が
苦しむ。」
頭を下げる大名に死人姫は目をむいた。大名が女に頭を下げるなどあってはならないことだ。
けれど、この大名は武士としての誇りより民の命を優先した。
「大名が民のため?」
「ああ。」
「そして、私に力を貸せと?」
「その通りだ。」
「私を雇っているものを知らないの?」
「知っている。」
「ならば、私を雇うことは風鬼を倒すことよりも難しいことは知っているでしょう。」
「知っているとも。そんなことは。けれどお前に頼むしかないのだ!風鬼がこの国を狙っている。ここが風鬼
の手に落ちたら、民が苦しむことになる。だからこそ、お前に頼むしかないのだ。死を招く人間の姫に。」
「なぜ私がお前の味方にならねばいけない。私を雇った者は風鬼。ならば貴様は私の敵で、ここで殺すことも
できる。」
「それでも、お前の力を借りねばならないのだ。」
「民のために?」
その時、声が間に入った。
「殿、失礼します。」
はいってきたのは青年だった。青年は大名に目を向けたまま、言葉をつづけた。
「風鬼が攻める手はずを着々と進めております。いかがなされますか。」
青年を見た瞬間、少女の瞳が音を立てて割れた。

 なぜここに…

8:annri:2012/02/08(水) 18:22 ID:3WE

第四話   誇りはいつしか

 青年がこちらを見る。
その目が大きく見開かれた。

 それは真実を知らないからこその、心。

その心に真実を与えたくはない。

いつもの無表情に戻る。死んだような目をした自分に。

「お前は…。永華?」

こちらを見たまま動かない青年に、笑みを忘れた顔で無理やり微笑みかける。
「誰のことを言っているの?」
青年の反応をいぶかしむ大名を見て、死人姫は告げた。
「これ以上話し合うつもりはない。帰らせてもらう。」
言いきると、死人姫はその場を去った。

 大名の言葉が蘇る。
「何が民のためよ。」
何かが引っ掛かる。
どうしてだか、その言葉が耳に張り付いて離れようとしない。
          
     
      それは、 遠い昔の誇り

9:瑠璃:2012/02/08(水) 21:47 ID:rls

永華??

どういうことだろう…!!

気になる!!
頑張れ〜ふぁいとぉー!!┗(  ̄◇ ̄)乂( ̄皿 ̄ )bいっぷぁーつ!!

10:annri:2012/02/08(水) 22:06 ID:fEQ

第五話   赤ん坊

 おぎゃあおぎゃあと泣き声が響く。
その声に少女は眉をひそめた。
「うるさいわね。」
けれど、なぜかそちらに足が向いてしまう。少女は道を外れて、そこに向かった。
そこには、一人の赤ん坊がいた。どうやら捨てられたらしい。
「かわいそうに。」
布でくるまれた赤ん坊に、少女は手を差し伸べた。しかし赤ん坊に触れるか否かのところでその手は止まった。
「なんで私がこの子を育てなければいけないのよ。」
 ぶつぶつと文句を言うが、それでも、どうしても見捨てることができない。
なぜだろう。赤ん坊など、どうにでもなればいいのに。今のうちに死んだほうがいい。そのほうが楽だ。
つらい思いをしなくていい。
 永華も、そうだった。どうしても捨てなければいけなかった。その理由は知っている。
けれど、いくら言い聞かせても、悲しみが襲ってくる。
あの時が、すべての発端だったのだろう。あの時、死を招かなければ、捨てられもしなかったかもしれないのに。
 刃を握りしめる。それを一気に振りおとそうとするが、殺すことが出来ない。
(私も馬鹿ね。こんな子供、誰も悲しまないのに殺すことができないなんて)
 赤ん坊が泣きやんだ。じっとこちらを見てくる。赤ん坊のまっすぐな目におもわずたじろいだ。
 
    赤ん坊の姿に自分が重なる。
 
その瞬間、後ろで気配がした。とっさに赤ん坊を抱き抱え、一気に跳躍する。茂みに着地すると、そのまま
家路に急いだ。
 邸に戻ってから、殺せばいい。そこでなら人の目もない。
 赤ん坊など、こうなる前に。
       決して、こうならないように。

11:annri:2012/02/08(水) 22:13 ID:fEQ

瑠璃さんへ
これから永華の過去は明かされていくはずなので(はず?)
こうご期待!!
  追伸
過去と現代をからめながら書いていくつもり
なので分かりにくいところも山ほどありそうですが
その時は質問としてコメントしてくだされば
お答えします。
感想、お待ちしています!!

12:瑠璃:2012/02/08(水) 22:23 ID:rls

捨てられた…
可哀相…

↑感想ですが…これじゃあダメですかね??


頑張って!!
annriさんの小説…あたし大好きなんで!!

13:annri:2012/02/10(金) 21:37 ID:vW2

瑠璃さん。
ありがとうございます!!!
自分で書きながら言うのもなんですが、
永華、かわいそうですね。
これはどうにかしてハッピーエンド
にしてやらねば…!
と思い始めたころです。
どうなるんでしょうかねえ。
まあ、とりあえず永華がんばれ、
といったところです。
いつもいつも、コメントを書いていただき、
感謝です。
これからもよろしくお願いします。

14:annri:2012/02/10(金) 21:57 ID:vW2

第六話  知られたくはない  

 風鬼の国に建つ邸に、死人姫は住んでいた。
その邸の中を赤ん坊がちょこまかとせわしなく歩きまわっている。
少女はため息をついた。何度殺そうとしても、出来なかった。
そして、思うのだ。
 
 命を育てて。
 
 その命に死を招こうとしている。
 なんと自分は滑稽なのだろう。
 それでも

 育ててみたいと、思ったのだ。


 青年は、感覚を研ぎ澄ませる。だが、気配をとらえることはできなかった。
だれも居ない茂みをじっと見つめる。確かに、気配はあった。そして、その気配を知っているのだ。

 あの少女を、見たことがある。
 笑っているところも、
 声を聞いたこともある。
 涼やかな声をしていた。
それなのに、どうして。
あれほどに凍てついた瞳を、しているのだろうか。
それとも、似ているだけで別の姫なのだろうか。
まだ、十歳ぐらいだった。
あの姫も、今はそれぐらいの年だろう。
似ている。瓜二つだ。
けれど、あれほどに凍てついた瞳の姫は、
  知らない。


 知られたくない。あの人にだけは。
 知られたら、きっとあの人に不幸が襲いかかるだろう。
 だから、知られては、困るのだ。
 だから、永遠に隠し通すのだ。

15:annri:2012/02/11(土) 13:00 ID:3JY

第七話   風の知らせ

 死人姫の耳に、ある知らせが届いた。

 風鬼軍がほぼ全滅という知らせを。

 突如として現れた人間が風のように軍を崩壊させていった。

 そして、もとの状態に戻すには、

 少なくともあと十年はかかるということも。


 死人姫の口元にうっすらと笑みが滲む。
腕の中で寝息をたてながら穏やかに眠る赤ん坊を見る。

「おい、我が風鬼軍をこれほどまでにした者を即刻見つけ出し、血祭りにあげよ。」
「断る。あいにく私はその者を探すなど、手間がかかることはしないつもり。やってほしければ、
その者をさっさと見つけ出すことね。」
「貴様…。」
鬼のような形相でこちらを見る風鬼家当主に、冷たく言い放った。
「それに、私は今忙しいの。だから、これ以上つまらないことで呼んだら、私の手によって、また風鬼軍が滅
ぶわよ。」

そう、あと十年。
この子が十歳になったら、また戦が始まる。
そのためにも。


 姫は、遠い昔の誇り、
 けれど、たったひとつの誇りで、
 ここまで、強くなったのだから。

16:annri:2012/02/13(月) 22:24 ID:2kw

八話   契約

死人姫はまた、とある邸を訪ねていた。
 「十年間の間なら、雇われてあげる。」
その言葉に、小さな国の大名は、目を見張った。
「真か。」
声を張り上げる大名に、少女は頷いた。
「しかし、お前を雇う金が、ない。」
「それなら、これを使えばいい。」
そう言って、前に置かれたのは。
布に包まれた、金だった。
「ふふ。今のところ、生活できてるから。ただし、ちゃんと返してもらうわよ。」
大名は深く頭を下げた。
「すまない。」

 十年後。
 水鬼軍が、動いたとの情報が、死人姫の耳に伝わった。

17:annri:2012/02/13(月) 22:30 ID:2kw

十年後、水鬼軍が動いたというのは
未来のことですので、
今のところは気にしないでください。
感想、お待ちしております。

18:annri:2012/02/14(火) 21:42 ID:dIU

第九話

 それは、兄が死んでから一年がたったある日のことだった。
「姫君は剣術の腕に恵まれておりますな。成長が待ち遠しいですぞ。」

その言葉は嬉しかった。皆が言ってくれる。
だから、その期待に添いたかった。

「愛しきわが子。お前は大切なものを守れる強いものになりなさい。」

「大切なもの?私はこの剣術で、大切なものをなくしたよ。」

「だからこそです。だからこそ、強いものになりなさい。民を守れるほどに。」

「守ってばかりだったら、攻められても、守るばっかりになっちゃうよ。」

「攻めは、お前の父に任せなさい。そして、お前は守る。そうすれば、この氷鬼家を、この国を永遠に、守り
続けることができる。」

「だから。」
と、母は言った。

「いくらあなたの心が冷え切ってしまっても、希望に向かって進みなさい。自分を守るということは、人を守る
ということなのですよ。」


 その言葉は、頭には残っていなくても、
  心には、残っている。

19:annri:2012/02/14(火) 21:44 ID:dIU

感想、お待ちしております!!

20:annri:2012/02/15(水) 15:47 ID:iVA

第十話   成長

 五年後、あの時の赤ん坊はすくすくと成長し、今ではかわいらしいことでこのあたりでは有名だ。
あどけない笑顔を見せる子供の心は優しく、あらゆるものを思いやることのできるいい子だった。

「ねえ、永華。」

「何?」

「今度はいつお仕事いくの?」

「いつでしょうねえ。」

「あんまり行かないでね。」

「努力してみる。」

「でも、永華の仕事では、永華のこと、欠かせないんでしょう。無理は言わない。」
驚くことに、この子は永華の仕事のことを知らないためか、そこらへんにある仕事だと思っていたようだ。
努力するという言葉も、戦を無くせば仕事に行かなくてもいい。だからそういう意味で言ったつもりだったのだが。

「ねえねえ。ほら。こんなにきれいに縫えたんだよ。」

布を見せてくる子供に永華は微笑みかけた。

いつもいつも、仲のよさそうな家族を見ては、うらやましいと思っていたのだ。
いつか、家族を持ちたい。と思っていたのだが、それが叶わぬ夢だということも知っていた。
その夢が、このような状況でかなうとは、思ってもいなかった。

あと、五年。風鬼がまた力をつけ始めたら、次はどうやって叩きのめそうか。

21:annri:2012/02/17(金) 15:04 ID:W1o

感想お待ちしています!!

22:annri:2012/02/17(金) 17:56 ID:W1o

第十一話   誇り

 「死人姫よ。感謝する。お前のおかげで戦火は免れた。」

「礼はいらない。風鬼が民のためではなく自分のために天下統一を目指していたから。だからあなたの味方に
なった。」

「死人姫でもだまされることはあるのか。」

「ないわ。」

「ではなぜ?」

「あの目をみて民のためと本当に信じる人がいたら、その人はある意味かわいそうね。
ああいう男はいつかぼろを出すのよ。だからその時を待っていた。」

「死人姫はなにか信念か誇りがあるのか?」

「さあ。」

「そうか。気のせいか。」

「は?」

「いや、姫には何かの信念か誇りがあるような気がしてならないのだ。それに、会った時よりも、
晴れやかな顔つきをしている。なにか、いいことがあったのか?」

「この時代に、いいことなんてめったにないわ。」

「だが、死人姫に何かの誇りがあるとしたら、それはどんなものなのだろうな。」

それは私が聞きたいぐらいだ。なにかが思い出せそうで、思い出せない。
そう、それは。

 忘れることはないと。
 決めたのに。
 生きるのに必死で、忘れてしまった。
 忘れてはならないのに。
 だって、それは。
   
     遠い昔の誇りなのだから。

23:annri:2012/02/18(土) 21:26 ID:U3w

第十二話   髪飾り

「ねえねえ。市でね、これ、買ったの。だから、あげる。」

差し出されたのは、淡い水色の珠がいくつか連なっている、清い湖を連想させる髪飾りだった。
「永華の髪、きれいだから。永華には、水色が似合いそうだからね。それ、買ったの。」

髪飾りを受け取ると、それを見つめる。高価そうなものだった。

「どうやって買ったの?」

「隣の家とかのお手伝いをして稼いだの。」

「そんなことをしなくても、言ってくれれば渡すのに。」

「自分の稼いだので買うの!そんなことしたら、贈り物の意味がなくなっちゃう。」

永華はまだ五歳の子供がぱたぱたと、この邸のほかに、掃除などをしているところを想像してしまい、
微笑んだ。
子供の頭をくしゃりと撫で、
「あの人との間に、あなたのような子が生まれたら、さぞかし楽しかったでしょうね。」

「?」

首をかしげる子供に、首を振った。

「あなたがいてくれて、良かった。ここのところ、嫌なことを思い出して憂鬱だったもの。
お前を見ていたら面白すぎてそんなこと、すっかり忘れていたわ。」

「嫌なこと?」

「ふふ。厄介なことになっちゃったのよね。どうしようかしら。」

永華の脳裏には、ある男の姿が浮かび上がる。
笑みとは裏腹に、瞳は静かな光をともしていた。

24:annri:2012/02/18(土) 21:46 ID:U3w

第十三話   噂

  氷鬼家の姫が、どこぞの大名のもとに嫁いだとの話じゃ。

  それは真か。

  あの、兄を打ち負かし、そして死を招いた姫か?

  ああ。

  死を招く人間の姫、か。そんなものが嫁いでくるなど。大名も悲しきことよ。

  一体どのような姫なのだろうな。美しき姫ならば、まだましというものじゃが。

  噂では、この世とは思えないほどの美しさじゃそうだ。

  だが、いくら美しきからと言って、得体の知れないものを正室とするなど。その者も結構な変わり者じゃ。

  仲も良いそうだぞ。

  まあ、恐ろしき姫には変わり者が妥当だろうて。


 そのような言葉を聞いてしまった妻は、青ざめた顔をして、小さくつぶやいた。
 何と言ったのかは分からなかったが、妻が泣き出しそうな顔をしていたのは分かった。
 妻といってもまだ幼く、子供だった。けれど、何事にも聡いのだろうと思うほどの目をしていた。
  だから、あの時も。
   きっと、何かを。
    悟ってしまったんだろう。


   あの姫が死人姫と呼ばれるようになったことなど、知りはしなかった。

25:annri:2012/02/18(土) 21:54 ID:U3w

舞台は日本なんですが、織田や徳川、豊臣は出てきません。
代わりに、今のところ、巨大な勢力を誇っているのが風鬼家ですね。
それに続き、水鬼家。
氷鬼家も勢力を誇っていたのですが、戦に負けてしまいました。

 以上が、この舞台の説明です。
感想、お待ちしております!

26:annri:2012/02/19(日) 16:21 ID:cxU

第十四話

 「母さま。母さまはどうして庶民のような話かたをするの?」

 「お前はどうして庶民のように話すのです?」

 「国は民がいるからこそ成り立つもの。だから、私達も民の心を理解するため、でしょう。
  でも、私もいつか嫁ぐんでしょう。その時にこんな話かただったら…。」
 
 「心配には及びません。民の心を理解できる者のところに嫁げばいいのです。そうは思わない?」

  心配そうに見てくる子供に、微笑みかける。
  子供は小さくうなずいた。

  その時、悪い知らせが入った。

27:annri:2012/02/19(日) 16:47 ID:cxU

第十五話

 「緊急事態です!水鬼家が攻めてきました!!」

 一気に邸内が騒がしくなった。

 「私が奴らを引き受ける。みな、民の逃げ道を確保し、無事に逃がせ!!」

  氷鬼家当主が声を張り上げる。しかし、反発の声が次々に上がる。

 「殿が逃げないのならば我らもお供いたします!」
 「氷の方!姫様!急ぎ邸の外へ。我らがお守り申し上げます!!」

 兵たちは二つに分かれた。
 一つは殿を守る兵。
 もう一つは氷の方や姫を守る兵。

 氷鬼家は部下や農民からも慕われている。
 この日もまた、農民の男でも武具を身につけ、すでに女や子を先に逃がし終わっていた。
 そして敵の前に立ちはだかる。
 もしものことがあってもすぐに戦えるように日頃から訓練されていたからだ。

 やるべきことを良く理解している。
 それが氷鬼家の治める国。

 この国はほかの国よりは大きく、大きな国よりは小さい。
 けれど、日本のなかで勢力を誇っているのも、氷鬼家のおかげだ。
 主を信頼し、部下を信頼する。
 この国は一つの家族のようにまとまっていた。


 「姫!?何をおっしゃるのです?」

 驚きに声を上げる小姓に、姫はもう一度繰り返した。

 「私も戦う。」

28:annri:2012/02/19(日) 16:49 ID:cxU

氷の方は(ひょうのかた)
と読みます。
少し分かりにくく変ですが、
ご容赦ください。

感想、お待ちしております!


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