神と妖、半妖と

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1:annri:2012/02/13(月) 22:27 ID:2kw

ぬらりひょんの孫と少年陰陽師の夢小説です。(混ぜています)
鯉伴と首無と高於の神の物語です。
よろしくお願いします。

2:annri:2012/02/13(月) 22:41 ID:2kw

第一話   貴船

 「いやあ。素晴らしいね。そうは思わんかね。諸君。」
清継が声を漏らした。その言葉に昌浩も頷く。
千年前と同じように、ここ、貴船は神気があたりに満ち、すがすがしい風が吹きつけてくる。
「昌浩。蛍、早く見たいね。」
彰子の言葉に昌浩が笑顔を作る。
「そうだね。楽しみだ。」
「だが、昌浩よ。その前にここへ来たことを告げておいたほうがいいんじゃないか。」
「それもそうだ。すっかり忘れてた。」
「おい…。」
「冗談だよ。そうでなきゃ、俺がたたられる。」
そんな軽口をたたき合っている昌浩たちから少し離れたところに、首無が立っていた。
リクオ達が貴船に行くと行ったときに、思わず久しぶりに行きたいと言ってしまったのだ。
それを聞いた雪女が首無を清継達に、従兄ということで紹介してしまったのだ。
「久しぶりだな。貴船は。」
ここに来れば、なぜだかあの事を思い出してしまう。
鯉伴をどなる毎日。あの時はストレスがたまったが、いまではいい思い出だ。
そう、それは。
山吹乙女と共に、鯉伴が生きていたころの時。

3:annri:2012/02/14(火) 21:29 ID:dIU

第二話   江戸時代

 「おい、鯉伴!どこ行ってたんだ!江戸中駆け回って探したんだぞ!!少しはこっちの身にもなれ!!!」
屋敷に戻った瞬間、これだ。鯉伴は軽く肩をすくめた。
「貴船に行ってたんだ。あっちのほうが涼しいからな。」
こともなげに言う鯉伴に、首無は思わずうなずいてしまう。
「そうか。貴船に行っていたか。あそこは涼しいし、今なら蛍も見ごろだろうな。って、ちょっと待て。
貴船だと!?もしかしてあの貴船か?あの貴船だな?道理で見つからなかったわけだ!!!」
その騒ぎを聞きつけて、妖怪が集まってきた。
「二代目。どこ行ってたんですかい?」
「ちょっと貴船にな。」
「鯉伴様。お帰りになられたのですね。」
澄んだ声がしたほうを見ると、山吹乙女が立っていた。
「首無がどこにもいないというから、心配しておりました。」
「おう。今帰ったぞ。それとな、山吹、土産におもしろい話をもってきたぞ。聞くか?」
その言葉に、山吹乙女は笑顔でうなずいた。
「はい!」

4:annri:2012/02/15(水) 15:36 ID:iVA

感想、お待ちしております!!!

5:annri:2012/02/16(木) 16:42 ID:je2

第三話   とある神

「貴船にちょくちょく行っていたんだ。それでな、今日も行ってたんだが、すごいものに会ったんだ。」
そういう鯉伴の目は子供のように輝いている。

「とある神に出会ったんだ。」

「神に!?」

隣にいた首無も山吹乙女も異口同音に叫ぶ。
畳に腰かけている鯉伴と首無、山吹乙女の他には妖怪一匹もいない。

「それは…。凄いのに会いましたね。」

「だろう。しかも、それまた足がすくんで動けないほど凄まじい神気を放っていてな。声をかけられた時は、
文字通り飛びあがったぞ。」

「神が近付いてきたら分かるんじゃないのか?」

「それが俺のいるとこ目指してきたらしく、分からなかっんだ。」

「その神とは一体…。」

「ん…?それは秘密だ。」

一拍置いて、神に出会ったいきさつを話し始める鯉伴に、二人は耳を傾けた。

6:annri:2012/02/19(日) 16:11 ID:cxU

第四話   名を呼ぶ権利

 「毎年夏になると、貴船にちょくちょく行ってたんだ。で、いつものように足を浸していたんだ。」

 一人で考えたくなる時はいつも貴船の川のせせらぎを聞きながら考えた。

今日も、足を浸していると、声をかけられた。

「おい。そんなにここが気に入っているのか?」

「うわっ!!…何だ?心臓が止まっちまうじゃねえか。あー、心臓に悪い…。」

「お前の心臓が止まってもかまわんがな。」

「なあなあ、お前、ここの神か?」

「お前呼ばりとは…。妖の血をひいているくせに…。なかなかに肝が据わっているな。」

「ここの神ってことは、貴船の祭神だよな?」

高於は無言で返す。

「俺は鯉伴。奴良組二代目だ。」

「奴良組などは知らんが、お前が相当の変わり者ということは分かった。」

「変わり者?おいおい、それ、ひどくねえか?」

「妖風情が貴船に来るなど。まあ、人の血も引いているようだがな。」
高於はにやりと笑った。

「気に入った。この高於にそのような口のきき方をするなど…。あの二人しかおらんかったからな。
そのうちの一人も死んだし、もう一人もどこに行ったかわからんのでな。
退屈していたところに、お前のような奴が来た。
退屈しのぎに見物させてもらうぞ。」

「ちょっと待てよ。見物ってどういうことだよ。」
それをきっぱりと無視すると、高於は驚く鯉伴を見て、口角を上げた。

「お前に、高於の名を呼ぶ権利をやろう。」

言い終わると同時に、高於は本性の龍に戻ると、天高く飛び立っていった。
「おいおい、えらい一方的じゃねえか。」
龍神を見送りながら、鯉伴は呟いた。

7:annri:2012/03/04(日) 16:44 ID:Auw

第五話   見ている者は

「というわけだ。」

「すごいものに好かれたな。だが、その神は誰なんだ。」

先ほどの話で、高於の名は伏せて、どこぞの神ということで話を進めたのだ。
鯉伴がわからないのに、その場にいたわけでもない首無がわかるわけがない。

「そう言えば、この組ではない妖怪が、人に手を出した妖怪限定で退治されているそうです。
組の者が言ってました。」

「そうなのか?」

「ああ、正体がわからないからどうしようかと悩んでいたところだ。鯉伴、どうするんだ。」

「このままほっといても、組のものがやられたら困るからな。そいつが何者かを探っとけ。」

「その後は?」

「何が目的かも知りたいし、組のもんに手を出すことのないように言い含めとかんとな。まあ、脅すかもな。」

その様子を見ている一人の女がいた。
「あれが、高於がお気に召した男か。」

8:annri:2012/03/06(火) 20:58 ID:2l6

第六話   会話

「ほう、いつから知ってたんだ?」

「高於が名を呼ぶ権利をやる前の日。夢で見た。男の前に姿を現している高於が。そこから推測した。」

「相変わらず頼もしいな。だが、行方知れずだったお前が急に訪ねてくるとは。何があったんだ?」

「何もないわよ。高於の新たなお気に入りの顔を見に来ただけ。でも…。」

「でも?」

「江戸に、人に手を出す妖が出没しだしてる。これからが大変だ。しかも、奴良組という妖集団もいるようだ。
その大将が高於のお気に入り。厄介なことになったな。」

女の口調から、男の口調に変わる。
一見少女に見える女から、ほのじろい焔がわずかながらも立ち上ったように見えた。

9:annri:2012/03/10(土) 10:35 ID:owI

第七話   

「もう少し抑えたほうがいいのではないか。暴走するぞ。」

「高於、本当に腹が立つんだぞ。妖を大量に作り出している奴がいる。しかも人間を殺すことをなんとも思っていない。」

「そういう人間もいるということだ。」

「月華、また妖気を感じる。」

その言葉一つで、影が動いた。あたりを見回してもその姿はいない。
 もう、その妖気にたどりついているだろう。頼もしいこと限りない。

「!?」

「どうした?」

「妖気が一気に高まって、月華の神気も爆発した。」

少女はくるりと背を向け、呟いた。
「風神、召喚。」

10:annri:2012/03/10(土) 15:51 ID:owI

第八話

「高於、どうしたんだ?なにかあったのか。」

聞こえてくる声に、高於は首をめぐらした。

少女の入れ替わりに訪れたらしい。

「いや、妖気が一気に高まっていたようなところがあるらしい。」
よく意味のわからない高於の言葉に、鯉伴は頷いた。

「ああ、配下の奴に妖気を爆発させろって言ってんだ。正体の知れない奴をおびき出すために。」

「その正体の知れない奴を殺したら、私が貴様を殺してやろうか?」

「あんたの知り合いか?」

「前に言っただろう。この私にそのような口のきき方をする奴があと二人いたと。」

「ああ、その一人はすでに死んでいて、もう一人は行方知れずだと。」

「その通り。あいつはその行方知れずだったものだ。」

「ふうん。だが、俺とて奴良組を率いてんだ。もし、次に奴良組に手を出されでもしたら困るからな。」

「あの者はひとに手を出した妖しか手を出さない。まあ、お前が手を出したのなら、話は別だが。」

二人の間に、火花が散った。

11:annri:2012/03/10(土) 17:28 ID:owI

第九話

風と共に舞い降りたその影は、不安げに一つの名を呼んだ。

「月華?」

その瞬間、妖気が爆発した。とっさに結界を張り、身を守るが月華を見つけることができない。

「杏里、大丈夫だ。我はここにいる。」

「月華!良かった。」
月華は、藍色の髪を後ろで束ねた、深い青の瞳の男の姿となっていた。
手首には、昔、杏里がお守りとして自分で作った、これまた深い青の勾玉を垂らしていた。
狩衣のようでいて、狩衣ではない。動きを重視としたものを身にまとっている。

「お前は誰だ?」

「陰陽師とでも名乗っておこうか。」

杏里と呼ばれた少女の声が一気に低くなり、とげとげしくなった。

男は紐を垂らしており、巨大な妖気を放っていた。

「お前とそこの男。二人が妖怪を倒していた奴か?」

「そうだとしたら?」

「警告だ。これ以上妖怪を狩ってみろ。俺たち奴良組が貴様らを殺す。」

「言わせておけば!」

今にも掴みかからんばかりの月華を手で制す。

「お前、首がないのか?」

さも、今気づいたかのような少女に、男は首をすくめた。

「それに、私の目的はひとに手を出す妖を退治る。そして、お前達に手を出すつもりはない。」

「は?」
「お前の大将が知りたいことだろう。」

少女が、してやったりというように笑った。

12:annri:2012/03/11(日) 16:31 ID:GYA

第十話

「さて、どうしたもんか…。」

「どうした、鯉伴。そんなに悩んで。」

「おお、首無か。えらいぼろぼろじゃねえか。」

首無は、あちこちに傷を負い、満身創痍であった。

「油断しただけだ。だが、強かったことだけは認める。」

悔しげに顔をゆがませる首無に、鯉伴は頭をかいた。

「困ったことにな、そいつ、前に言った神のお気に入りなんだそうだ。」

「はあ!?」

「殺したらお前を殺すぞ、とか言ってるからな。きっと本気だぞ。」

「それだったら、どうすんだ。奴良組には手を出さないと言っていたが。」

「俺たちの考えを読んでいるみたいだな。だが、考えを読むことって、出来んのか?」

「なぜか知りたいのか?」

一つの声が間に入った。
腰まで届く長い髪を結い、一本の淡い水色のかんざしを挿し、残りの髪を垂らしている。着物も、黒のような物で
あるが、動きやすさを重視したつくりになっている。
その姿は、見とれてしまうほど美しいものであった。
そして、驚く鯉伴達を見、妖しげな笑みを浮かべていたのは、見た目は十五、六ぐらいの少女である。
首無に傷を負わせたものの一人が、ここに現れたのだった。


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