たった1つの出会い

葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧 [書き込む] Twitter シェアする? ▼下へ
1:兎鎖:2012/02/21(火) 17:25 ID:ez-PYI

魔王と堕天使の恋愛小説をだらだら書きたいと思います
読んでくださった方が居たらアドバイス、感想をお願いします

2:兎鎖:2012/02/21(火) 17:35 ID:ez-GQc

第1話「魔王、リヴァイヴ」

---------

俗に言う人間と言う種族が暮らす人間界の少し下の空間に存在する魔界。
そんなドロドロとした暗い世界で愚痴を零す悪魔が居た
「あーぁ!!まったく暇、暇、暇なんだぞ!!…だいたいせっかく魔王になったって言うのにろくな仕事の1つもないじゃないか!!」
魔界の奥に存在する城の大きな一室でソファに座りつまらなそうに文句を垂れるこの男…
魔王リヴァイヴ・F・フォスター、最近彼の父が魔王を止めることになり新たな魔王へと君臨した悪魔だ
魔王とその正妻の実子にして長男、その上魔力も極めて高いリヴァイヴが魔王に君臨したのは最早当たり前であった
リヴァイヴ自身も自覚はしていたし寧ろ王となることへの期待感も大いに抱いていた…のだが…
「魔王になってもやることはデスクワークばっかり!!何だいこれつまらないにも程があるんだぞ!!」
そう言ってバサッと机の上にあった大量の書類を放り出す

3:兎鎖:2012/02/21(火) 19:06 ID:ez-Kyg

「やってられないぞ…こんな事…」
はぁ…とソファに寝そべりぶつぶつと文句を零す
この世には天界、魔界、人間界の3つの世界があり人間界の人間が死ねば魂は天界か魔界かのどちらかへ移り、天使か悪魔に生まれ変わる
また逆もで天使や悪魔が死ぬと人間界へ移り人間へと生まれ変わる…その繰り返し、だ
魂が死なないかぎりその繰り返し…魂が死ぬと新たな魂が生まれるためどちらにせよこの世はループなのだ。
魂を回収し悪魔、天使のどちらに転生させるか決めたり死亡者リストにないのに死んだ人間の処理やそれによって起きた誤差を正す…そこらへんだ
魔王の仕事はその死亡者リストの整理つまりはデスクワーク…どちらにせよリヴァイヴの柄ではないのだ
「どうせ…死んだってループなんだからこんな事する必要ないんだよ」
つまらない、この世はループ…ループ…ループ…耐えられない

4:兎鎖:2012/02/21(火) 20:06 ID:ez-hUQ

「こうなったら…人間界か天界にでも遊びに行こうかな…?」
ふと、思いついた事を口にしてみる…まあ、人間を間違えて殺してしまったら面倒だしここは無難に天界だろうか…
天界は規律やらやなんやらに厳しい場所だが俺は魔王なのだ間違って見つかったとしても強く咎められることはしないだろう…
「じゃあ…」天界の何処へ行こうか、と考えを巡らせる
決めたのなら遅くとも部下の上級悪魔が来る前に抜け出さなくてはならないのだから
「天界で面白そうな場所…かぁ…うーん…」

5:鴉弥那:2012/02/21(火) 23:42 ID:o8U

読ませて頂きました!!
アドバイス…いいえ、私が貰いたいくらい文章力(?)があって羨ましいです!

続きがたのしみです。
では、失礼しました♪

6:兎鎖:2012/02/22(水) 00:36 ID:ez-Hlg

>>5

感想ありがとうございます!頑張って書かせて頂きます
いや…文章力全然ですよ;

7:兎鎖:2012/02/22(水) 03:36 ID:ez-bI6

天界に暇つぶしになるような場所があっただろうか…と考えを巡らせていると1つの場所を思い出した
「…地下牢!!」
リヴァイヴはソファからガバッと起き上がると思い出したと言うように手を叩いた。
まあ、普通なら何故そんな所を選ぶのかと思う所だが、
リヴァイヴは部下である上級悪魔が話していた地下牢に捕まって居るという堕天使には前々から興味があった。
「確か…罪を犯して堕天した天使達が居るんだよな?堕天使には会ったことないし我ながらいいアイデアだぞ!!」

8:リヴァイヴ:2012/02/22(水) 15:59 ID:ez-Fnw

確か…部下が書類を取りに来るまで時間はあまりないはず……
まあ書類は半分もやって居ないし引き止められることは決定事項な為、ここは魔法でも使ってさっさと逃げることが得策だろう
と魔王らしからぬ事を考えつつリヴァイヴは魔法陣を出現させる
「…うーんと…空間移動魔法は場所間違えないようにしないとな、」
そう呟きつつ呪文を唱えれば魔法陣が紫色にカッと光り、リヴァイヴが半透明になっていく
「よし!!いざ天界の地下牢へ、だぞ!!」
そう叫ぶと同時にリヴァイヴの体はヒュッと消えてしまった。

9:兎鎖:2012/02/22(水) 19:37 ID:ez-rpI

第2話「白い羽の堕天使」
----------

ヒュンッと言う音と共に降り立ったのは如何にも奥に牢屋があると言うようなコンクリートでできた薄暗い廊下だった
「ふぅん?…天界って綺麗な場所のイメージなのにここは魔界みたいな場所なんだな」
カツン、と埃がたまった冷たいコンクリートの地面を革靴で軽く叩いて呟いた声は以外にもあまり響かなかった
「さぁて…やっぱり最初は奥から見ていくべきだよな…」
何時もとは違う潜めた声で所々にある扉には視線も寄越さずずんずん奥へとリヴァイヴ進んで行く
「一番奥に閉じ込められてるのは一番悪い奴って相場は決まってるんだぞ」
なんて、自分的理論を誰に言うでもなく呟き興味津々と言うように笑みを浮かべる

10:リヴァイヴ:2012/02/22(水) 22:52 ID:ez-Etg

そのまま進んで行くと更に薄暗い開けた空間に出て、その奥には鉄格子が見える
「一番の罪人ってどんななのかなー…確か羽が黒く…て…?」
ゆっくりと歩を進め鉄格子の中の人物を視界に入れた瞬間―…時が止まったような感覚がした。
「………ぇ…?」
喉奥から絞り出したのはそんな言葉。
…牢屋に居ると言うことは罪を犯した堕天使と言うことになるそうでなくては牢屋に居てはいけない、なのに…なのに……
鉄格子の奥で死んだように宙を見るのは、"黒い羽の罪人"ではなく純真無垢とでも言うような真っ白な羽の天使だった

11:兎鎖:2012/02/23(木) 01:01 ID:ez-GQc

…その真っ白な羽の天使はリヴァイヴの輝きのない真っ黒な髪や瞳とは正反対とも言える輝く金の髪と空を切り取ったようなスカイブルーの瞳をしていた
悪魔の自分とは違う白い羽…性別はどちらとも言えない中性的な顔立ちではあるが
自分とは全てが正反対の容姿が穢れなき天使だと言っているようで魔王の俺はここに居てはいけないのではないか…
と時間が止まったと錯覚を起こして鈍くなっている脳で思っていると凛とした言葉が沈黙の空間を裂いた
「…ぁ…れ…?」
いや…言葉と言うより音、と言った方が明確なのかもしれない。
その小さくて聞き取るには難しい音は聖水のように透き通って自分の耳の中へと入って来た
音が目の前の天使が発した物だと数秒かかって自覚するとハッとしたように左右に頭を振って音の元となる人物へ視線を投げる

12:兎鎖:2012/02/23(木) 04:59 ID:ez-Hlg

鉄格子の中の天使は、先程の死んだような瞳ではなく、不思議そうにスカイブルーの瞳を輝かせてこちらを見ていた。
「…き、みは……」
「…だぁれ?」
問いたいことが多くて纏まらず、言葉をつまらせる俺に続けるように天使が口を開いた。
「え?あ、俺…俺かい?俺はー…リヴァイヴ、…リヴァイヴ・F・フォスターだぞ。」
此方から先に問うつもりだったのだが、先に疑問を投げられてしまい戸惑いながらも、自らの名前を口にする。
「…りばい…ぶ…?」
まるで最近言葉を覚えた赤子の様に、名前を復唱する相手がますます罪人になど見えるわけもなく、柄にもなく更に戸惑ってしまう。
「……そうだぞ、リヴァイヴ…君、の名前は?」

13:兎鎖:2012/02/23(木) 16:46 ID:ez-mWc

「…僕…?」
ゆっくりとそう問えば、かち合った視線を逸らして宙を見てから、きょとんと此方を見返してくる。
「そう、君の名前。名前ぐらいあるだろ?」
足音を立てないように歩を進めては、鉄格子の前でしゃがみ込んで相手と視線を合わせる。
見れば見る程、話に聞く堕天使とかけ離れそこら辺の天使よりよっぽど白い羽が様になっている。
「…僕、ね…ユーリィっていうんだって」
まるで他人の事のような言い回しで、話せばにっこりと微笑む目の前の天使。
…心から笑っていない作り笑いと言う言葉がぴったりだけれど、それでもこの天使は天界に居るどの天使よりも美しく見えてしまう。

14:兎鎖:2012/02/23(木) 19:06 ID:ez-rpI

本当はこんな場所に、魔王の俺が長居して良いはずがないのだけれど、それでも聞きたいことはまだあってまた口を開いてしまう。
「…ねぇ、ユーリィどうして君は…「誰だ!?」
問おうとした言葉は此処に存在するはずの無い、俺以外の男性特有の低い声に遮られハッとして後ろを振り向く。
「フォスター卿…!?」
そこに居たのは、前に居る天使とはまた違う金髪をした天使で、しまった…と声が漏れてしまう。
見張り役、と言うにはかなり上級の天使だ…
が、問題そこではなくは想定はしていたものの、その通りに俺が此処に居ることがバレてしまった事だ。
「…、やあ、誰かと思えば大天使、デュノア・オルディオじゃないか。」

15:兎鎖:2012/02/23(木) 22:01 ID:ez-Kyg

大天使、デュノア・オルディオ…
天界での神様の所謂お気に入りと言う奴で、魔界と天界との連絡係。
そして、転生する魂を天使にするか、悪魔にするかと言う選別をも行う多忙なる大天使だったはずだが…。
何故その彼が、只の堕天使が入れられるこの地下牢に居るのだろうか?
「…誰かと思えば、はこっちの台詞何だけどねー…後、大天使じゃなくて愛の天使とでも呼んでくれないかな?フォスター卿。」
肩を竦めながらも、そう口にしてはへらりと笑う大天使…ではなく愛の天使。
何を考えているのか予想できないその笑みはまるで詐欺師のそれだ

16:兎鎖:2012/02/24(金) 00:10 ID:ez-mWc

「俺は、久しぶりに天界に遊びに来ただけなんだぞ!!…ま、"こんな"場所に君が来るとは思わなかったけどね。」
此方も肩を竦めては、詐欺師のような笑みを浮かべる相手へ会わせるように、あからさまな作り笑いで返答してやってからユーリィに視線を向ける。
「…遊びにきた?またまた〜…、仕事バッくれて逃げてきただけでしょうよ。」
彼は魔界と天界を繋ぐ連絡係としての仕事上、何度か俺とは面識があるせいか妙に馴れ馴れしく、その態度に少しながらも苛立ってしまう。
まあ、潔白な天使とは違い悪魔達の魂は元は罪を犯しただった人間の魂が転生したのだから、それで魔界の種族を下と見ているのもあるのだろうが。

17:兎鎖:2012/02/24(金) 02:41 ID:ez-Kyg

「…君は前から思ってたけど、嫌な奴だな。俺がどんな理由で此処に来ようと君には関係ないだろ?」
苛立ちが抑えられなくて、頭を掻きながら少々投げやりに相手に問う。
「まー…確かに魔王サマが何時、何処で仕事をバックれようが俺には関係ないんだけどー…」
呆れたように話していた言葉を、一度区切り俺の後ろできょとんとしながら様子を、窺っている天使に視線を向けてからリヴァイヴに視線を戻す。
「其処の咎人と仲良くお話しちゃうなら話は別かな?」
にっこり。そう擬音がつきそうな笑みそれでいて有無を言わせないような口調でデュノアは言い放った。

18:兎鎖:2012/02/24(金) 15:38 ID:ez-po2

第3話「存在その物が咎」

---------

「…咎人?でもこの子は堕天してないじゃないか…一体なんの罪なんだい?」
一番の疑問、堕天はしていない証拠の純白の羽を持ちながらも何故、この天使は幽閉されているのか…。
「…それこそ、魔界の魔王サマには関係ないでしょうよ?それに、その咎人に情でも移されたら困るんだよね〜」
相変わらず癪に障るようなへら、とした笑みで純粋な問いを口にするリヴァイヴに返答する。
「確かに俺には関係ないけどさ…、俺がこんな所に幽閉されてる堕天使に情なんか移す訳ないだろ?」
立ち上がり鉄格子に背を預けながら鼻で笑い言い放つ。
しかし、それでも目の前にいる天使は、へらりと笑ったままだ。
本当…気に入らない

19:兎鎖:2012/02/25(土) 01:43 ID:ez-632

「え〜…?仲良くお喋りしてたのは何処の誰よ?」
信用ならない、と言うように目を細めて言った後、早く帰ったらどうです?魔王様。
とわざとらしい敬語で言われてまた苛立ちがつのる。
「仲良く、に見えたなら君の瞳は節穴だな…言われなくても帰るよ気分が悪くなったしね」
あからさまに嫌な顔をして返答してやる。
…まあそんな事をしても相手には通用しないのだけれど。
こんなのをお気に入りにしている神様の気が知れない、なと考えていると後ろから声がした。
「…リヴァ…かえるの?」
声の発信元はユーリィで、首を傾げながら此方を見ていた。
「…ぅ…うん、帰るよ…」
俺達の会話を先程の俺のように嫌そうな顔で見ている自称愛の天使が居るため居心地が悪いし、
ユーリィは真っ直ぐ此方を見てくるため返答しづらくてならない。

20:兎鎖:2012/02/25(土) 16:41 ID:ez-5uM

「…はい、ストーップ言われなくても帰るんでしょ?早くしたら?」
咎人なんかとベラベラ話してないでさ、とデュノアは続けた。
相変わらずヘラヘラとした表情だが口調は刺々しく余程俺達が会話するのを避けたいらしい。
…これは興味が湧いてきたな、と頭の隅で考えてから魔法陣の準備をする。
「…ふぅん?俺達には会話してほしくないんだな…まあ、いいや今日は帰ってやるんだぞ。」
にこ、と皮肉めいた爽やかな笑顔をデュノアに向けたリヴァイヴは此処に来たときと同じように、ヒュッと消えてしまった。

21:兎鎖:2012/02/26(日) 06:29 ID:ez-GQc

-魔界城内廊下にて-

あぁ…イライラする頭痛もするし、きっと今日は最悪の厄日に違いない。
俺、魔王直属の部下にして上級悪魔のブラッド・アティンダークは早足で廊下を歩いている。
何故か、と言う理由は簡単であのクソガ…彼の有名な魔王リヴァイヴ・F・フォスターが俺が目を離した隙に、重要書類を床にぶちまけて仕事をバックれやがってくれたのだ。
お陰で会議は先送りになるわ、ぶちまけられた書類は半分も終わってないせいで仕事は進まないわ、直属の部下である俺の監視不届きとして最上級悪魔には責められるわ…
本当に散々だ、キリキリと胃が痛む。只でさえ最近は人間の死亡者が多くて魂回収や転生準備なんかで下級の悪魔や天使達はバタバタし、魔界では連続で会議が行われているというのにあの魔王は…!
「…クソッ…!」
乱暴に行方不明な上司の部屋の扉を開けたはずなのだが…
「…げっ…!」
「…なぁッ…!?」
俺の厄日の元凶にして、行方不明中の魔王リヴァイヴは何故か部屋の中に居た。

22:兎鎖:2012/02/27(月) 12:14 ID:ez-po2

城内を探しても見つからなかった相手の存在に数秒間呆然とするも、空間移動魔法でも使ってここへ直接飛んできたのだろうと理解するとカッと頭に血が上る。
「あんたなぁッ…!今の今まで何処に居やがった!?」
ずかずかと部屋内に入り相手に掴みかかる勢いで問いかける。
本当なら一発殴りたいところだが、そんな事を"仮にも"上司のこの男にやったら俺の首が飛びかねないのだから短気の俺に残った塵のような理性と冷静さをかき集めて寸前で踏みとどまる。
「久しぶりに天界に遊びに行ってたんだぞ!!」
だが、その直前にやっと集めた理性と冷静さを粉砕するような言葉を、爽やかな笑顔で言い放った相手にブチン、と脳の奥の血管が切れたような感覚がする。
最早首になってもいいから殴りたい。と言うかこの状況なら殴っても構わない気がするきっと殴っても俺は悪くない。

23:兎鎖:2012/02/27(月) 18:35 ID:ez-PYI

「っざけんなテメェ!!最近忙しいの知ってんだろ!?なのに仕事ほっぽりだして遊びに行ってんじゃねぇよ!!」
とりあえず殴らずに怒鳴るに留めた俺を誰か褒めてほしい。
本気でコレが魔王じゃなかったらボコボコにしている、絶対。
「だって仕事つまらなかったんだもん。」
瞬間、ぐらりと目眩がする。
もんじゃない、百年は生きている彼の魔王がもんじゃない。損なことをしてもまったく可愛いくないしと言うか逆に憎い。
なんでこんなのが上司で魔王なのか…と本気で悩んでしまう。
「魔王がそんなんじゃ魔界の奴らに示しがつかないだろ!?」

24:兎鎖:2012/02/28(火) 04:50 ID:ez-hUQ

説教じみた言葉で怒鳴りつける俺にリヴァイヴは呆れたような顔をしながら口を開く
「ハイハイ、そんな事よりブラッディ聞きたいことがあるんだけどー…」
「…ッ頼むから…話を…聞けッ!!」
理性の限界が訪れた俺はビュッと握った左の拳を相手の顔目掛けて振り下ろした、のだが…
「まったく、君は相変わらず貧弱だな」
力いっぱい殴りつける気だった拳は簡単にリヴァイヴの右手の平へとすっぽり埋まる。
この時ばかりは女みたいに背が低くて細い俺と平均的な男より少しデカいリヴァイヴとの体格差を忌々しく思う。
憎しみを超えた殺意さえ浮かぶ。意外とこいつは魔力以外の力も強いのだから魔王としての器には充分だ
後は真面目に働いて欲しい切実に。
「君さ、天界には仕事上何度も行ってるし知り合いも少なくないだろ?ユーリィって堕天使の事…知らない?」

25:兎鎖:2012/02/29(水) 04:08 ID:ez-PYI

あえて、この好奇心旺盛な憎たらしい魔王には伝えていない名前にはた、と冷静になる。
「…ユーリィってユーリィ・ファルメ・ティノーチ、か?」
俺が知っている中で堕天使のユーリィなど1人しか出てこない。
「…ユーリィ・ファルメ・ティノーチ?そんな長い名前だったのか…ブラッディ。君どこまでその子の事知ってるんだい?」
何時もの、爽やかな笑顔の奥の威圧感。
これは、明らかに職権乱用と言う奴じゃないのか?
「…詳しくは知らねえけど、存在その物が咎の堕天使の事を知ってあんたは何がしたいんだ?」
冷静を装うも、内心は面倒な事になったと舌打ちする。
彼のことだ爽やかな笑顔の裏でよからぬ事に興味を持っているのだろう…また仕事をサボらなければいいのだが…いや無理かもしれない。
本当…キリキリと胃が痛む。

26:兎鎖:2012/02/29(水) 19:39 ID:ez-Fnw

第4話「咎の理由」

---------


「何も?ただの好奇心だよ。天界でその子の事聞いたからさ」
爽やか、あくまでも爽やかな笑顔で問いかけてくる。
魔王には似合わないその笑顔と好奇心が厄介なのだ。
一度、興味を持てば飽きるまで続ける面倒な性格のコイツが天界の咎人に興味を持つことは避けておきたかったのに…。
「…チッ…天界の奴等め…」
ぼそりとつぶやたのは本音。これではきっと只でさえ進まない仕事が更に進まなくなる。
「…天界への愚痴なら後で聞くよ。だから教えて早く、…ね?」
まだ年の割に幼さが残っている顔を傾げ、俺の左手を握る力を強めてくる。
ミシミシ、と骨が軋んだような感覚と痛み
「…いッ…っ…」

27:兎鎖:2012/02/29(水) 19:39 ID:ez-mWc

第4話「咎の理由」

---------


「何も?ただの好奇心だよ。天界でその子の事聞いたからさ」
爽やか、あくまでも爽やかな笑顔で問いかけてくる。
魔王には似合わないその笑顔と好奇心が厄介なのだ。
一度、興味を持てば飽きるまで続ける面倒な性格のコイツが天界の咎人に興味を持つことは避けておきたかったのに…。
「…チッ…天界の奴等め…」
ぼそりとつぶやたのは本音。これではきっと只でさえ進まない仕事が更に進まなくなる。
「…天界への愚痴なら後で聞くよ。だから教えて早く、…ね?」
まだ年の割に幼さが残っている顔を傾げ、俺の左手を握る力を強めてくる。
ミシミシ、と骨が軋んだような感覚と痛み
「…いッ…っ…」

28:兎鎖:2012/02/29(水) 19:40 ID:ez-mWc

うわ…ミスった…

29:兎鎖:2012/02/29(水) 21:32 ID:ez-GQc

「わかった!!話す!話す!!話すから手やめろ!!」
とんだ馬鹿力だ俺なんかでは下手したら折れてしまう。
「…いいよ。」
パッと手を離され痛みから解放される。
好奇心に煽られて加減を忘れるなどまるで子供だ。
「…ユーリィ・ファルメ・ティノーチ。確か…生まれたときから牢屋で育った堕天使らしい。年はまだ17だな。」
天使や悪魔の死期や成長時間は様々だ。
人間の様に早く成長して早く死ぬ奴や、俺やこの男の様に100年以上生きても見た目は青年のままで500年、長くて1000年は生きる奴。
まあ、悪魔や天使が全員100年以上生きていたら魂のループが追いつかないから、らしいが。
そしておそらくその堕天使の成長時間は人間と同じタイプ。
まあ、死期も同じか、だとか老化も早いのか何て物は結局神でもわからない。
神も全能ではない。これは当たり前にして仕方のないことだ。
死亡者リストだって魔王や神が"整理"するだけで順番は誰が決めるでなくリストに表示される。
俺だって3日後にはリストに名前が記載されるかもしれないのだ。

30:兎鎖:2012/03/01(木) 01:40 ID:ez-61I

人間界ではリストに載っていない人間が居たりするがまあそれはまた別だ。
「…で?ユーリィの咎の理由は?」
腕を組んで静かにリヴァイヴ問いかけてくる。
俺はひんやりとした机に手を乗せてゆっくり口を開いた。
「…単なる天使側のミスだ。罪人だった人間の魂を、回収した上級天使が報告ミスで天使へと転生させちまったらしい。事実が発覚したのはユーリィが生まれて1ヶ月後、異例として生まれたのに堕天していないユーリィを天界側はその事実を隠すために幽閉した。」

隠すため、などと言っておきながら上級の天使や悪魔には既に知られてしまっているが…。
まあ重要なのは2つ異例なのに堕天していない。そして上級天使と確認を取らなかった天界側に汚点がある。
もっとも天界が隠そうとしているのは確実に後者の事実だ。

31:兎鎖:2012/03/01(木) 01:47 ID:ez-Hlg

規律や潔白に守られた世界…天界。
その天界の出してしまった規律違反は天界での上の階級の者…それをうまく濁して"あくまでも"前者を理由に幽閉しているらしい。
噂では後者の部分を魔界側の汚点と言うことにしようとしている輩もいるようだ。
「…随分な身分だな。規律や潔白?馬鹿みたいで笑えてくるね。」
ひやり、と空気が目の前の男が発した言葉で凍りついた。
瞬間、天界について考えていた俺の頭は危険信号を鳴らす、マズい…厄介な相手の地雷を俺は踏んでしまったかもしれない。

32:兎鎖:2012/03/01(木) 03:28 ID:ez-Fnw

目を細めて冷たい空気を纏っているリヴァイヴ。
何故、彼が今怒っているのかまったく検討がつかない。
確かに、彼は元から魔界の人間を下に見る奴が多い天界を嫌ってはいたが…だからと言って今の説明で怒る程沸点が低い奴でもない。
「…つまりその子はさ、死ぬまで牢屋生活ってコト?」
感情がこもっていない冷たい声。
勿論、この怒りが俺への物ではないのは理解しているが、こんなのでも流石魔王と言ったところか…声を聞くだけで恐怖を感じる。
視線を相手から外せない抗う事が、嘘を吐く事が…できない。
「…ッ……多分、処刑され…るんじゃないか、?」
苛立つ、なんて情けない声を出してるんだ俺は…喉からやっと絞り出したような少し裏返った声。

33:兎鎖:2012/03/02(金) 02:38 ID:ez-hUQ

「…そう、か…ふぅん…」
俺の言葉を聞けば明後日の方向を見ていたリヴァイヴの顔が不快そうに歪んだ。
其処で俺の頭の中に1つの推測が立った…いやでも…まさか、な…
「…リヴァ、お前その堕天使に会ったんじゃないだろうな?」
一番最悪で最低の推測…頼むから会ってないと言ってくれ…頼む…!
「…な、に言ってんだい?会ったことなんかないよ」
その言葉を聞いた瞬間に訪れる安堵。
良かった…魔王が処刑間近の堕天使に好意を持ってしまったなんて推測にしても笑えない冗談すぎる。
ありえないだろう、この男に限ってと馬鹿な事を考えた脳を叱咤する。

34:兎鎖:2012/03/02(金) 05:51 ID:ez-PYI

-リヴァイヴside-

一瞬、ギクリとしたのは事実だ。
だって仕事をバックれた先が堕天使の収容される地下牢だなんて言ったらこの口うるさい部下に何時間と説教されるかわかったもんじゃない。
でも、なんだろう…そんなことよりもやもやする。
あの子がいつかは処刑されると、死亡者リストに名前が載るのはそう遠くないんだと知った途端、自分でも驚くぐらいに怒りを覚えた。
おそらくこの感情は、相変わらず身勝手な天界に対しての怒りだろうれど意外にも俺は怒りっぽいようだ。…目の前の部下には負けるけれど
「…俺、が知ってるのはこれだけだ。もう良いだろ早く仕事しつくれよ」
酷く切実な声色。
そりゃあそうだろう、俺に対して怒りをぶつける事を恐怖してできない父さんの部下であった俺なんかよりずっと年のいった最上級悪魔達は何かあると、すぐ俺ではなくブラッディに怒りをぶつけるんだから。

35:兎鎖:2012/03/02(金) 06:00 ID:ez-8zw

と言うか…恐らく魔界の悪魔の中で俺を真っ正面から怒るのなんかブラッディぐらいだと…思う。
魔王の実子で長男な俺は腫れ物のように扱われて来たし、父さんは俺には興味もないらしく放置。
母さんに至っては時期魔王の俺は部下に任せて弟達を可愛いがっているらしく顔も見たことなんかない。
只、城内に縛られれて名前も知らない上級悪魔達から魔法やら死亡者リストの整理の仕方を教わって
母さんから唯一の繋がりとしてたまにくる馬鹿みたいな量のプレゼントを楽しみにして…今思えば退屈過ぎるよね俺の子供時代ってさ
よく当時は耐えていたよ本当。褒め称えたいぐらいに
「あー…ハイハイやっとくから早く出てってくれよな」
まあ…きっとブラッディって言う暇つぶしが居たから我慢できていたんだろうけど…

36:兎鎖:2012/03/02(金) 19:18 ID:ez-8zw

「…なんでお前がそんな上からなんだよ!?居なくなったら仕事やんないだろ馬鹿ッ!!」
ほら、また怒った。
魔王に対してタメ口も大概だけれどこんな真っ正面から馬鹿呼ばわりなんて本気でこの部下だけだ。
「うるさいな…」
口うるさい相手が居なくなりそうもないので仕方なしに机の上の整えられた書類に目を通す。
大量字の羅列を見てるだけでも嫌になって来るんだけどなぁ…
「…はぁ、なんで俺が怒られてんだよ。」
忌々しそうにした部下の舌打ちは聞かなかった事にしておく

37:兎鎖:2012/03/03(土) 00:26 ID:ez-Etg

だって可哀想なぐらい性格のせいで知り合いは居ても友達が居ない彼なのだからストレス発散が必要だろうしな。
うん、流石俺とっても優しいんだぞ!!
しかし彼はとことん不憫なようだ死亡者リストには上級悪魔の名前が数個
「…ブラッディ。なんだが上級悪魔の名前がリストに記載されてるけどさまた君の仕事が増えそうだな」
そう言ってケラケラ笑ってやる
優しくしてあげてるんだしこれぐらいは許されて当然なんだぞ!!
「…そうだな、挙げ句の果てにこんなのが俺の上司だしな」
げんなりとした表情で皮肉る彼に笑いがこみ上げてくる
本当…面白いなぁ…

38:兎鎖:2012/03/03(土) 08:03 ID:ez-Hlg


第5話「溢れる。」

--------

ユーリィに出会って、3日程たった。
書類を終わらせなかった俺は3日間最悪の部下ブラッディに城へ缶詰めにされていたんだが…
はっきり言おう…ブラッドがとてつもなくうざかった。
そして、体を動かさず3日間缶詰めは俺にとって死ぬ思いだった…と言うかこれ以上は死ぬ。
と言う事で、偶然今日はブラッディは魂回収で人間界でいない。
そんなまたとないチャンスな訳だし…3日前のように脱走するんだぞ!!

39:兎鎖:2012/03/03(土) 10:33 ID:ez-632

さて…今回は何処に逃げてしまおうか、と考えたら1番最初に思い浮かぶ純白の天使。
ブラッドに聞いた所正確な性別は無いと言っていたが…体は女の子の方に近いらしいし彼女、でいいだろう。
「…彼女、今日もあそこに居るのかな…」
そう口に出したらなんだが感情がざわついた。
話しかけるまで死んだようにしてた瞳だとか、日の光が当たらない埃っぽい牢屋内だとか…
「…なんだかとっても嫌なんだぞ」
そんな風に、そんな場所で彼女が独りきりで居ることがとても気に入らない…理由は、わからないけれど。
「…よし、会いに行けばいいじゃないか!!」
思い立ったら即行動、だ。気になるなら会いに行くそれが1番だろう。

40:リヴァイヴ:2012/03/03(土) 13:43 ID:ez-Umw

静かに目を閉じて魔法陣を出現させる。
今回こそはどっかの大天使に見つからないようにしなければな…と考えながら魔法発動の準備をする。
「今日は直接あそこまで飛ぶんだぞ!!」
カッと光る魔法陣に訪れる移動魔法使用時の独特の浮遊間。
…しばらくして瞳を開ければ、ユーリィの牢屋がある所の近くにあった廊下に俺は立っていた。
カツン、と小さく足音を立て少し進めばそこは3日前と同じように少し開けた所に出て…奥の鉄格子の中に居るのは…
「…ユーリィ…」
彼女は3日前と変わらず、日の光が当たらないこの場所で、死んだように宙を見ながら独りきりで其処にいた。

41:兎鎖:2012/03/03(土) 17:23 ID:ez-Umw

「…ぁ、…リヴァ…?」
宙を見ていた瞳が俺を捉えて笑った。…笑った
前の作り笑いじゃなくて、嬉しそうに普通に…ユーリィが笑った。
それを頭が認識すると、胸の奥で何かがドクリ、と溢れた。
「…や、やあ…ユーリィ」
「…あいにきて…くれたの?」
そう言って彼女は笑う。
…ぅ、わ…なんだ、コレ…彼女が笑っただけで何かが溢れる。
不快じゃないけど、嫌…じゃないけどこんなの知らない。こんなゆっくり…暖かく溢れる物なんて知らない…。
暖かくて、溢れて、溢れて…心臓が壊れちゃいそうだ…。

42:兎鎖:2012/03/03(土) 20:15 ID:ez-Kyg

「…う、うん…暇だったからね」
そう言って鉄格子の前に座る。
ユーリィは奥の方に居て近づいては来ない。ただ、スカイブルーの瞳を此方にむけてくるだけだ。
「…そっか、ぼくもひま…おはなし、しよう?」
首を傾げて此方をじぃッと見つめてくる。
あんな目で見られるのは慣れていないから無意識に視線を逸らしてしまう。
「…いいよ、何の話をしようか?」
そう言えば少しだけ近づいてくるユーリィ。どうやら俺に話したいことがあったらしい…なんだろ?

43:兎鎖:2012/03/05(月) 08:54 ID:ez-mWc

「あのね、そら…ってなにいろなのかな…?」
リヴァは知ってる?とユーリィは首を傾げた
「……そら?」
…気づくのにしばらくかかってしまった。
…そうだ、この子は生まれてすぐ幽閉されてしまって居るから知らないんだ空が何色か、だとか太陽の暖かさだとか…。
こんなに真っ白で空を飛ぶための翼を持っているのに…きっと一度も青空を飛んだことなんか―…
「…天界の空はね、いつも綺麗なスカイブルーなんだ。…君の瞳と同じ」
空を切り取ったようなスカイブルーの瞳をしているのに…ユーリィのその瞳は青空を見たことなんてない。

44:兎鎖:2012/03/05(月) 13:04 ID:ez-mWc

「…ぼく、の…眼…?」
なんだか、今度は冷たい何かが溢れた感覚がした。
今日は、なんだか体の調子が変みたいだぞ…。
「…そっか、みてみたいな…」
そうやって彼女が笑えば溢れる何かはまた暖かくなった…急がしいな俺の体…。
「…きっと君に似合うと思うよ、青空。」
でも、やっぱり嫌な感じはしなくて自然と俺も笑顔になっている…と思う。
「ね…じゃあ、お母さんと、おとうさんってどんな人…かな…?」
きっとまともな扱いを受けていない彼女は誰かと話す事自体が新鮮なんだろうユーリィの目が輝いている。
…でも、その質問に俺はどう答えたらいいんだろう―…

45:兎鎖:2012/03/06(火) 12:36 ID:ez-632

普通にありがちな親の話をすればいいのかな…?
「うーん…」
…ありがちな親とか普通の親ってどうなんだろう…。
首を傾げながら考えてみるけれど、漠然とした答えしか思い浮かばない。
「…優しくて、暖かくて味方になってくれる人ー…かな?」
うん、自分ながらアバウトって言うか適当って言うか…
「…ぼく、のおとうさんとお母さんもそうなのかな?」

46:兎鎖:2012/03/08(木) 08:26 ID:ez-hUQ

「…そう、かもね…」
…実際の所は当たり前ながらわからない、咎人を生んでしまったと言う事実が公にはされていないだろうけど…
ティノーチ家は記憶が確かなら中級の天使の家だった筈だ。
上級天使の失態に生んだのは中級天使…ますます、天界にとっては隠したくてたまらないような状態であることが明確すぎて笑えてくる。
…妙に天界の奴等はプライドと言う奴が高いのだ。
だからこそ気に食わない部分がありはするが、こういう事があった時に責任転換に勤しむ様は面白くて仕方ない。
…まあ責任の矛先を魔界側に押しつけるのは全力でやめてもらいたいが…。

47:兎鎖:2012/03/08(木) 17:07 ID:ez-GQc

第6話「独りぼっちの魔王様。」

――――――

「…じゃあ、リヴァのおとうさんとおかさんもそんな人?」
首を傾げながらなんの悪気もなく聞いてきた問いに言葉が詰まる。
「……そうだね、父さんは味方だけど、優しくもないし、暖かくもないと…思うよ」
父さんとは顔を合わせたのも、会話をしたのも、100年以上生きておきながら20回無いと思う。
知っているのは興味の無い奴はゴミだとでも言うような瞳とそれから冷え切った感情の無い声。
きっとこの俺が会話してるだけで怖いと思うなんてあの人だけだ。
「…母さんは暖かくて優しいんじゃないかな…。沢山贈り物をくれるんだぞ、でも…顔を見たこともないや…」

48:兎鎖:2012/03/12(月) 14:23 ID:ez-Img

本当は、ブラッドに対して可哀想なぐらい友達が居ないなんて俺が言える立場じゃない。
ブラッドより知り合いの数だとか、友達の数は俺の方が絶対少ない。
それを魔王だから、なんて理由をつけて逃げるつもりはないけれど…
それでも時たま
"魔王の息子じゃなかったら"なんて馬鹿な事を考えたりもする。
「…リヴァ…独りぼっち…さみしい…?」
いつの間に動いたのかユーリィは俺のすぐ隣に居た。
何を考えているかわからないビー玉みたいな瞳で此方を見ている。

49:兎鎖:2012/03/12(月) 17:22 ID:ez-wrc

「…そんな訳ないよ…」
そうだ、そんな訳、ない。
俺は魔界を統べる偉大な魔王だぞ。
何百って言う部下達が居て、何人も妹や弟が居る。
そんな俺がさみしいなんて…有り得ない。
そりゃ友達なんかいないけど俺が独りぼっちなんて認めない。
「…リヴァ、ぼくもね…独りぼっちさみしかったよ、でも…いまはリヴァ居るさみしくないよ…だから」
泣かないで?と彼女は静かに言った。

50:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/18(日) 14:13 ID:ez-IEA

その言葉にハッとしたように自分の頬に触れたが、当たり前のように其処は濡れてなんていなかった。
「…何、言って…?俺は泣いてないんだぞ」
この言葉に嘘はない、だって俺の瞳からは雫なんて零れていないんだから。
むしろおかしいのはこの目の前に居る天使だ。
「ううん…ないてるよ…さみしい、ってないてる。ぼくもずっとさみしかったから、分かるよ…心がないてる。」
……心、が泣いてる?
「馬鹿馬鹿しいよ、君。悪魔の俺が…寂しくて心で涙を流してるって?有り得ないね」
さっきも考えていた通り俺は魔界を統べる偉大な魔王なんだ。
その自分が悲劇の主人公でも語るように心で泣いてる、だって?
いくら彼女が牢屋から出たことがない無知な子だとしてもこの冗談はジョークにすらなりはしない。

51:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/21(水) 17:26 ID:ez-IEA

「…大丈夫だよ…?大丈夫…」
…大丈夫?何が?彼女は本気で何を考えているか俺には理解できない。
そりゃ、種族に性別、生きてる時間さえ全くと言っても良い程に合致しない彼女の考えなんて理解できないのが普通なんだろうけど…。
「…君はよくわからないよ」
正反対。まさにソレだ彼女とは何から何まで全て違う。
「…そう?」
当の本人はと言えば首を傾げ不思議そうな顔をしている。
どうやら自分が冗談にしては笑えないことを言った自覚がないらしい。

52:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/25(日) 15:34 ID:ez-Yuc

「(まあ、俺の4分の1も生きてないんだから当たり前か…)」
俺は今もなお、この彼女を"咎人"だとか"堕天使"と言うカテゴリに入れることができない。
見た目は全く他の天使とは変わらないし、性格だってこの通り見た目の割に幼いが悪意など持たない質の輩だ。
第一…"彼女はまだ堕天していない"のだ
「…ねぇ、君はどうして此処にいるんだい?」
この質問を出した理由はと言えば
何故、咎人なんて者の彼女を生まれてすぐ処刑せず"堕天使"にカテゴリし、生かして幽閉しているのかと言う素直な疑問やそれから起きる違和感からだ。

53:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/25(日) 15:44 ID:ez-Yuc

天使だなんて名前だけの集まりだ、"まだ堕天使していないし可哀想"だなんて理由で彼女を生かし、
こうやって俺や上級悪魔に事実を知られるリスクを彼女の為だけに天界側が背負う程馬鹿には思えない
…つまりはそう言う事、
"彼女には天界側がリスクを背負ってまで直ぐに処刑できない理由がある"
「…わからない、よ…気づいたらここにいた」
「…ハズレか」
「…え…?」
まあ、8割は彼女自身がその理由を自覚していないだろうと思っていたから予想通りなのだけれど。
何にせよ、天界側に秘密があるらしい暇つぶしには丁度良さそうな秘密が

54:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/25(日) 21:33 ID:ez-V5Y

かと言ってもその秘密がなんなのかなんて検討もつかない。
「…いや、何でもないんだぞ」
俺は最近魔王になった魔界の悪魔で天界の奴らの事なんて仕事上必要な知識を上級悪魔達に教えられただけで当たり前に何でも知ってる訳じゃない。
「…リヴァ、は全部くろいよね?ぼくとは違う」
「俺は悪魔だからね。君とは違くなきゃいけないんだよ」
「そうなの…?」
「うん、そうだぞ?…あ、君聖書とか読んだりしないのかい?」
神の作った規律の書かれた聖書ならば、何か情報がとも思ったのだが…
「…せいしょ?」
…彼等が咎人の彼女に聖書など渡すわけもないか…。

55:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/25(日) 21:53 ID:ez-Img

やはり、自分で天界にある大図書館に行き調べるしかないか…
自分でもよくわからないが、彼女がこのまま幽閉されてるのが気に入らない。
「…さて、俺はそろそろ行くよ」
スッと立ち上がりそう告げると彼女の表情が不安気に曇った。
「…行っちゃうの?」
「あー…うん。また来てあげるんだぞ」
目的と言うか暇つぶしも見つかったし、第一長居してまた誰かに見つかったらかなり厄介だ。
「本当に?」
「…本当だぞ。必ずまた来るから」
「…そっか。じゃあまってる、から…またね…?」

56:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/27(火) 17:26 ID:ez-qkg

「うん…また」
そうとだけ告げればまた空間移動魔法の準備をする。
魔界にはまだ帰らない。
天界で1番の大きさを誇る大図書館へと少し寄っていく為だ。
…そろそろ口うるさい上級悪魔が俺が居なくなったと連絡を受けて俺を探しに来そうな感じもするが…まあ、そうなってしまったらそうなってしまったで彼の長い小言を聞かなければならないんだろうが…。
「…面倒くさいけど暇つぶしにはもってこいなんだぞ。」

57:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/29(木) 01:07 ID:ez-IEA

第6話「大図書館。」

----------

リヴァイヴは先程の考えを実行し、天界一の大図書館の前へ立って居た。
大理石のようなツルツルとした白い床を歩きながら図書館ではなく、神殿なのではないかと言ってしまいたくなる建物へと向かう。
「…城に住んでる俺が言えることじゃないけど…これはデカすぎるんだぞ。」
大図書館には、聖書に魔術書、それから天界の歴史を記した物に人間界に関する情報や、魔界に関する物、神話に絵本…と様々な書物が保管されている。
その本は合計200万冊だとか言う噂が出る程の量があり、人間界の図書館とは比べ物にならない大きさになるのは致し方ない事ではある。
「…だからってまるで神様が住んでるみたいな豪華な建物にする必要はないんだぞ…」

58:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/29(木) 02:59 ID:ez-V5Y

図書館の入り口付近に立って居た、
中級か下級であろう天使に軽く視線を向けて中へ入る。
俺は魔王として顔は多くの者に知られているから悪魔だが、
簡単に天界の図書館へも入ることができる。
「…相変わらず中身もデカいなー…」
…大図書館になんて入るのはいつぶりだっただろうか…。
めんどくさいような細かい調べ物なんて全てブラッドに任せているから、大図書館に入る機会は久々だ。

59:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/29(木) 03:27 ID:ez-Img

「…うわ…」
大きな建物内の天井近くまでの壁一面に並ぶ本、本、本。
そして、建物内全域にも無数に並ぶ本棚…
入り口から200メートルほど進んだ先には本棚はなくその変わりに大きなテーブルが数個とそれに合わせたイスがある。
…まあ、とりあえず全てが規格外のサイズだ。
「…200万冊とかそう言うレベルじゃないんじゃないかい?」
改めて見るとそう思う。
それ程に量があるのだ。
「…最初は聖書かな…」

60:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/29(木) 03:34 ID:ez-vQ2

…しらみつぶしに探すには無理がありそうな気もするが…。
とりあえず、咎人と聖書に関する本を見繕って読むとする。
魔王が来るのは珍しいからか、ちらちらと此方を見てくる下級〜上級のさまざま悪魔や天使の視線を無視して、
入り口近くの右側にある受け付けの更に右側へ展開された15〜20程の魔法陣へ向かう。
「…やっぱり、検索をかけないと自力で探すのは無理だよな」

61:あしゅりー ◆SJiw:2012/03/29(木) 03:39 ID:Rc6

>兎鎖さん

1から読ませて頂きました!
とても面白くて、もうはまってますvv
てか魔王の伽羅が好きd((ぁ。
私なら痛い話に暴走させてしまうのですが…そういう感じが全く無くて好きでs((連呼し過ぎ、
良ければこれからも読ませてもらいますっ((

62:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/29(木) 03:42 ID:ez-qxc

しらみつぶし、と言ってもこの大図書館では限度がある。
その為、図書館内の本を探すために作られている便利な魔術、検索用魔術の魔法陣の上に立つ。
「…検索ワードは…"聖書""天界""規律""咎人"の4つ…冊数はまあとりあえず7かな。」
そう呟けば、検索を始めた魔法陣が淡く光り出す。
俺は魔王だから、下級や中級では検索しても出てこないより深い機密や内容が書かれた
上級書物もおそらく出てくる筈だ。(貸し出しは不可能だが)
「…まあいきなり、調べたい内容は出てこないだろうけど。」

63:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/29(木) 03:44 ID:ez-hsg

>>61

ありがとうございます!!
リヴァのキャラは適当です←
い、痛い内容になってないですかね…?
本ッ当にありがとうございます!!頑張って書きますね!!

64:あしゅりー ◆SJiw:2012/03/29(木) 03:50 ID:Rc6

>>63

いや、全然w
寧ろ、分かりやすいですよ?胸を張っても良いかと。
Σなぬ…いやいやでもデレたら絶対かわいi((変態か、

いえいえこちらこそ!よませていただきます←

65:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/29(木) 03:55 ID:ez-vQ2


そんな事を考えながら受け付けの天使やら、
視線を向けてくる面識のある悪魔たちに表面上は爽やかなな笑顔を浮かべて視線を返していると、
魔法陣と同じ淡い光を纏った分厚い本が4冊、
俺の手を目指してふらふらと奇妙な動きで浮遊しながらやってくる。
「!…っと…。」
淡い光が消える前に受け止めればバサリ、と音を立てて4冊分の重みが両手に掛かる。
「…残り3冊、はまだ検索中かい?」

66:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/29(木) 04:46 ID:ez-qkg

>>64

いやいや…誤字脱字の嵐に文面おかしくて後悔してます…

リヴァイヴがデレる事は少ないかと…←

67:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/29(木) 04:55 ID:ez-.gE

…検索用魔術は便利なのはいいが、時間がかかるのが難点である。
そりゃあ自力で探すよりは何百倍も早いのは確かだ。
しかし、魔法陣の上で数分と言えど突っ立っているのはつまらない。
その上、いつあの口うるさい部下が来るとも限らないと思えば、多少イラつきもする。(これは自業自得なのだけれど)
「……あ……」
コツコツとつま先で床を一定のタイミングで叩いていると、
残り3冊の本が先程と同じくふらふらと漂いながらやってくる。
「…はぁ…、やっとかい。早く読むんとするかな」
ため息を吐いてその本達を空中で受け止め、本を読むためのテーブルへと歩を進める。

68:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/29(木) 15:06 ID:ez-3UM

なるべく回りに誰も居ない所を探し
ドサッと7冊の本をテーブルの上に乗せて、イスへと座る。
「…最初は…って最初から聖書かい…」
天使とはなんたるか、天使としての規律、そして神の教えが書かれた聖書。
確か、もっときちんとした聖書が天界の天使には1人1冊所持しているらしい。
更には、大天使や最上級の天使はこの分厚い本を暗記していると言うのだから、とても魔界の物の俺には真似はできない。
勿論、悪魔と言えど似たような規律、教えはあるが天使のように厳しくはないし、聖書も魔界には存在しない。
「一、天使は人を愛してはならない…違うな、もっと後ろ…」
パラパラと捲りながら咎人に関するページが無いかを探す。

69:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/29(木) 16:00 ID:ez-mpE

「(…天使は人の命を救ってはならない…情を移してはならない。…か)」
…この聖書に書かれていることでは収穫は好きなそうだ。
未だ半分程しか見ていないが内容はつまらない規律の事ばかり…。
「…おや?魔王様じゃないですか。珍しい」
ふと、俺対して言葉を投げられて仕方なしに前方へと顔をあげる。
「……………。」
「こんにちは、ですかね?魔王様。」
くるくると癖のついた柔らかそうなハニーブロンドの髪にペリドットの瞳。
少し小ぶりに思える白い羽は光の加減で薄桃色にも見える…身長は160cm程だからブラッドより小さく小柄だ。
確か…名前は―…。
「…あぁ、こんにちは。リベルア・オルディオ」
…名前の通り彼は大天使デュノア・オルディオの弟だ。
「名前、覚えてくれてるんですね…魔王様って仕事サボる無能だって兄様が言ってたから覚えてらっしゃらないと思いましたよ!!」

70:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/29(木) 17:57 ID:ez-A3Y

訂正
収穫は好きなそうだ

収穫はすくなそうだ

71:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/29(木) 23:47 ID:ez-mpE

…今の言葉でわかるだろうが、上級血族オルディオ家にはろくな奴が居ない。
大天使長男デュノアを筆頭とした4人兄妹で、リベルアは確かその末の弟にして上級天使。
…だが屈託の無い笑みから吐かれる毒は兄や姉よりも手に終えない。
「大天使や上級天使達の名前ぐらいは覚えてるつもだぞ、性格の悪い奴が多くて区別がつきにくいけどね。」
「…えー?悪魔のあなた達に比べれば性格はいいですよ。」
「へえ。魔王の俺を"無能"だなんて罵倒する奴が性格いいなら、性格悪い奴なんて存在しないんじゃないかい?」

72:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/30(金) 06:22 ID:ez-IEA

「だって、あなた達の性格が悪いのは事実じゃないですか。」
「…なら君達の性格が悪いのも事実だぞ」
「………。」
「………。」
数十人と言う天使や悪魔達が居るからこそ、
その声でかき消された悪口と皮肉の言い合い。
俺は早く調べ物に一区切りつけて口うるさい部下に見つかる前に帰りたいのに。
「…まあ、いいや。で?魔王様は何を調べてるんですか?」
返す言葉が見つからなかったのか、
一瞬顔を逸らし嫌そうに歪めた後また此方を見て微笑んでから問いかけてくる。
その一瞬の動作その物が俺にはわざと見せつけられているようで、なら話しかけてくるなと言いたくなる。
「…別に。君には関係ないだろ?」

73:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/30(金) 20:07 ID:ez-vQ2

「…確かにそうかもしれないですけど、教えて下さってもいいじゃないですか!!」
…はっきり言ってしまうと今、リベルアの存在は鬱陶しい。
本人もわざと嫌がらせとしてやってるのかも知れないが、
このままではろくに調べ物が進まない。
素直に言うのが得策なのだろうが…なんだかそれはそれで癪に障る。
「………………。」
「…無視ですか?酷いなぁー…」

74:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/30(金) 20:16 ID:ez-Img


第7話「部下の逆襲。」
---------

「あー、もうッ!!君って本当に…、」
うるさいな、と言おうとした時だった。
ドドドドド、と遠くから何かが迫ってくる音がして
回りの天使や悪魔達も音を聞こえたのか首を傾げたりしながらざわついている。
「?地響き…誰かの魔術ですかね?」
「…この大図書館の近くで魔術を使う馬鹿が居ると思うかい?」
地響きのような低い音がだんだんと明らかに此方を目指して迫ってきている。
しかもこの音はどこか足音にも聞こえる。
まるで誰かが凄い勢いで大図書館を目指し走って来ているようだ。
「…嫌な予感がする」
「?…え?何故です?」

75:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/31(土) 15:50 ID:ez-Qj6

何だか確証はないが寒気のような悪寒のようなものを感じて椅子から立ち上がると、
地響きの音何もなかったかのようにふっと消えてしまった。
「…何だったんでしょうか?」
皆急に消えた音を気にしながらも、読書を再開しだしている。
「………。」
一抹の不安を未だに覚えながら俺も
気のせいか、と思いもう一度座ろうとテーブルに手を置いた途端、
よく知る魔力の気配とそれから…




―…俺の視界には赤と黒が広がっていた。

76:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/31(土) 16:03 ID:ez-Qj6

本能が不安が的中したのだと気づいき咄嗟に顔の前にクロスさせた両腕を出す。
避けるとかそんなの考えていられないぐらいのスピードで魔法陣が展開された気配がして次には…
「…ッ…!!」
ドゴォッ!!と俺が息を飲むのとタイミングを合わせたみたいに、
轟音と両腕にビリビリとした衝撃、それから骨が軋むような感覚を感じながら
俺の体は後方にある本棚が設置された壁まで勢い良く吹き飛ぶ。
「…魔王様!?」
リベルアやら回りの奴らがざわつく音を遠くから聞きながら、
ゴスッ!!っと本棚へ背中から激突する。

77:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/31(土) 17:45 ID:ez-qxc

「…ぃッ…つ…!」
衝撃をモロに食らった腕は勿論、本棚から分厚い本がいくつも落ちてくる物だから体中が痛い。
今日の俺はついていないらしい、リベルアには絡まれるしどうやら、
"厄介な方"の直属の部下が俺を探しに重い腰を上げたらしい。
「…仕事に戻って頂けますか?フォスター様。」
痛みが酷い顔を上に上げれば、案の定…
魔法陣展開させた長い足を地に下ろしている
直属の部下の2人目、ディクター・アティンダークが居た。
ついでに、ブラッドと同じ直属の部下にして2人の妹ルメロナ・アティンダークもその隣に居る。
「…最上級悪魔と上級悪魔…アティンダーク家が勢揃いじゃないか。」

78:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/31(土) 17:54 ID:ez-Qj6

…勢揃いと言うのは勿論ブラッドも此方へ近づいてきている気配がするからだ。
「に、兄さんやり過ぎです!!相手は魔王様ですよ!?」
必死でディクターを追いかけてきたのか汗をかきながら俺の方へ
身長140cmにもみたないルメロナが駆けてくる。
2人はブラッドとは所謂腹違いの兄妹と言う奴で似ているのは特徴的な赤髪のみ。
性格も全く違う。
「すみません魔王様!!大丈夫ですか…?」
「…あぁ、なんとかね…」
「甘やかすんじゃありませんルメロナ。その方がしているのは立派な職務怠慢ですよ。」
長い前髪を掻きあげ、フレームの無いメガネをポケットから出しカチャリとかけてはピシャリとディクターは言い放つ。

79:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/31(土) 19:20 ID:ez-A3Y

「…相変わらず手厳し過ぎるんだぞ、俺が下級の悪魔だったら首から上が吹き飛んでるよ…。」
俺は前髪が短いから邪魔になることはななかったが、
いつの間にか汗をかいたらしく額に張りついて気持ち悪い。
「下級の悪魔にあんな事致しませんよ?魔王(あなた)様だから加減なくやったんです。」
「兄さん!!い、いくら職務怠慢だからって魔王様を蹴り飛ばしたなんて他の最上級悪魔が…」
腰まで長く毛先が真っ直ぐ切りそろえられた赤髪をいつもはきっちりと後ろで高く縛っているのたが
その結んだ髪が乱れるほどにルメロナはあわあわと慌てながらしどろもどろに言う。
「…大丈夫ですよ。許可はとってありますし…天界側の大天使様も、少々暴れてでも魔界へ連れ帰れと言って居ましたからね。」

80:あしゅりー ◆SJiw:2012/03/31(土) 21:02 ID:Rc6

>>66
私なんか誤字のレベルがオワター

Σでれるんだあああああry←

81:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/31(土) 23:01 ID:ez-hsg

>>80
いやきっと私の方が酷い…

ユーリィ相手ならデレるかm((ry

82:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/31(土) 23:08 ID:ez-qkg

「一応聞くけど…その大天使って?」
息切れをしながら入ってきたブラッドを視界の端に入れながら、
履いている黒のスラックスについた埃を片手で軽く払って立ち上がり問いかける。
「…で、デュノア・オルディオさんです」
おずおずと名前を言ったルメロナの言葉にやっぱりかと思う。
「…ちなみに大図書館へ向かったお前を見たのもお前だ」
…あのクソ大天使め…。
つくづく俺に不利な事ばかりやってくれる。
額を濡らす汗を乱雑に拭い、肩にかからない程度で真っ直ぐに切られた髪を耳にかけては帰るぞとブラッドが促す。

83:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/31(土) 23:13 ID:ez-QLo

訂正;;
「ちなみに大図書館へ向かったお前を見たのもお前だ」

「ちなみに大図書館へ向かったお前を見たのもデュノア・オルディオ氏だ」

84:兎鎖 ◆3Mio:2012/03/31(土) 23:28 ID:ez-V5Y

…ブラッドの用に"口で"正当に怒らず、口では礼儀正しく
しかし、その代わりに暴力を使うディクターがこれ以上何かしてきたら困るので
仕方なくブラッドの言葉に従う事にする。
「直属の部下が3人ってやり過ぎじゃないかい?」
「…あなた様が逃げるからでしょう。とりあえず本日は監視をつけますので」
メガネを拭きながらざわつく周りを気にせずスタスタと歩いていくディクターに深すぎるため息が出る。
「…ため息吐きたいのはこっちだ。仕事が全く進みやしねぇ…」
「…そ、そうですよ…書類がたまってしまって居ます…。」
「…………あ"ーー!!わかったよ帰ったらやればいいんだろう?や・れ・ば!!」
「逆ギレすんな馬鹿!!」
思わず叫んだ俺へ間髪入れずに罵声を浴びせてくるブラッド。
…確かに自業自得だが散々だ…。

85:あしゅりー ◆SJiw:2012/04/02(月) 22:50 ID:Rc6

>>81
そんなことは絶対無い。何故なら、文章事態が私の場合変わry

よしユーリィ、脱獄しろ。
羽で飛ぶか魔法を覚えるSPECを使うんだああああああry((無理があるってp`

86:兎鎖 ◆3Mio:2012/04/04(水) 01:32 ID:ez-mpE

>>85

いやいや私の方が酷いです…

wwwなんて無茶をwww

87:兎鎖 ◆3Mio:2012/04/04(水) 01:42 ID:ez-Yuc

第8話「最強の悪魔」
---------
男2人に両腕を掴まれ引きずられるようにして、俺は魔界の城の前まで帰って来ていた。
俺は一応俺は魔王なのに扱いが酷すぎるんじゃないか?
蹴られて只さえ痛い腕は強く掴まれて痛みが増したような気がする。
「監視の悪魔はあなた様の部屋で待っていますからお早く」
「書類も待ってるからな。」
仏頂面の男がそう呟いてズカズカ歩き、その後ろを無言で眉を八の字に曲げた少女がついてくる。
言ってしまえば、
アティンダーク家の直属の部下3人に魔王が囲まれ、城内まで半ば拉致するように引きずられる。
と言うシュールな絵面のまま彼達は俺の部屋を目指して行る。
断じて言うが俺だけは目指していない。と言うかできるなら逃げ出したい。

88:あしゅりー ◆SJiw:2012/04/04(水) 01:42 ID:Rc6

>>86

>>85のコメからみすってる私←

でれろリヴァ。
でれさせろユーリィww((

89:兎鎖 ◆3Mio:2012/04/04(水) 17:14 ID:ez-47c

>>88

もっと話が進めばデレるかも…←

90:兎鎖 ◆3Mio:2012/04/04(水) 17:26 ID:ez-V5Y

「…そう言えば俺の監視役って?」
未だに城内の廊下をずるずると引きずられながら問いかける。
部屋で待っていると言うことはこの中の3人ではないのか…
「…部屋はもう直ぐですから、中に入ればわかりますよ。」
その言葉に視線を改めて上に投げると確かにすぐそこに俺の部屋の扉がある。
「…どうせ上級悪魔かなにかなんだろ?」
俺が逃げ出さないようにする監視役なら下級や中級では間に合わないだろうし。
では直属の部下の残りの3人か何かだなと憶測を立ててガチャリ、と扉を開ける。
「…んァ?…よォ随分遅かったじゃねぇか。」
魔王を出迎える、と言うにはあまりにもデカい態度でソファに座る男…
見た目は人間の年齢にすれば48〜53あたりと言ったところか。
灰色の短髪と金色の瞳が特徴の身長170cm弱の悪魔…
名前は思いだそうとしなくてもすぐに出てくる。
昔は最強の悪魔と言われていた(らしい)最上級悪魔、シザード・オルガンス。
彼が俺の監視役とはあまりにも厳重ではないだろうか…。

91:兎鎖 ◆3Mio:2012/04/04(水) 19:40 ID:ez-vQ2

「…申し訳ありません。探すのに苦労致しまして」
メガネのブリッジの部分をカチャリ、と押し上げて皮肉混じりにディクターが呟く。
「クククッ…魔王さんは、数分もかけねェで天界まで飛ンじまうからなァ…。」
それに対してシザードは、自らの顎に手を添え喉を鳴らすように笑ってから、
そりゃ苦労して当たり前だと俺に視線を向けてくる。
「…そんな事シザード、君にだってできることなんだぞ。」
「あァン?…まあそりゃそうだが…魔王さんと違ってあんなに早く移動できやしねェよ」
ニヤニヤと上司に向けるような笑みではない顔で呟く。
「…あ、あの…私達、仕事があるので…し、失礼しますね…魔王様の事よろしくお願いします…。」

92:兎鎖 ◆3Mio:2012/04/05(木) 18:11 ID:ez-3UM

魔王と最上級悪魔の会話へと割って入るのに勇気が必要だったのか、
半ば泣きそうな顔で、おずおずとルメロナが申し出て終始無言だったブラッド、それから無表情なディクターと共に部屋から出て行く。
「では、私共は仕事に戻りますので…暫くすれば一部の書類を取りに下級悪魔を此処へ行かせますから」
「…それまでには一番上にある書類だけでもすませておいて下さいね。」
仕事に必要な事だけをディクターは早々に述べると失礼致しました。とだけ残し部屋の扉を閉める。
面倒な部下が去って行った事に内心安堵しながら、
シザードに視線を向けため息をついてから奥の椅子へ座る。

93:兎鎖 ◆3Mio:2012/04/06(金) 02:28 ID:ez-mpE

「……………。」
仕方なく、本当に仕方なく書類に取りかかる。
デスクワークなんて俺の柄ではないのに机の上は書類の山、山、山だ。
勿論、自業自得なんて言われたらそれまでなのだが…頭痛がして来る。
「……なァ?」
「………なんだい?」
ふと、紙の擦れる音しかしなかった室内にシザードの声が響いた為、
書類に視線を向けたまま声のみで返答する。
「…火ィ、持ってねぇか?」
火…?ライターか何か必要なのかと顔を上げれば、口にタバコをくわえ此方を見るシザードが居て思わず、げんなりする。
「此処は俺の部屋、俺はタバコなんて吸わないから禁煙なんだぞ。」

94:兎鎖 ◆3Mio:2012/04/11(水) 14:13 ID:ez-A3Y

「…ンな堅ェ事言うなよ。」
「はぁ…、……君はそれでも最上級悪魔かい?」
「お前さんに言われてもなァ?」
その言葉には反論できずにぐっ…と押し黙り
また少し書類の音しかしなくなる。
が、やはり沈黙を破るのがシザードは好きなようで…。
「お前さん…咎人に、会ったんだって?」
沈黙の破り方は
唐突過ぎる話題だったが、
真剣な声色で問われ、無意識に体がビクリと揺れる。
「…本当、か?」
「誰にそれを聞いたんだい?」
問いには答えない変わりに此方も問いかける。
まあ、あの時見られたのは"自称愛の天使"のみなのだから、
聞くまでもなくシザードに言ったのは
そいつなのだろうけれど…
そいつは本当に俺には不利な事しかする気がないようだ。

95:兎鎖 ◆3Mio:2012/04/11(水) 23:50 ID:ez-Yuc

「デュノアだ。わかってンだろ?…それで?今日の脱走の原因もソレなのか。」
ポンと何もない場所からライターを出してはタバコに
火をつけ此方に視線を向けて来る。
…ライターを出せるなら最初からそうすればいいのに。
「…そうだ。って言ったらどうするんだい?」
「何が目的だ?まさか魔王のお前さんが、咎人を好きになったか。」
突拍子も無い理由を言ってきた相手に、少なからずも俺は動揺する。
「なッ…!!あり得ないんだぞそんな事!!」
意外にも大きな声を発しては、
バンッ!!と机を左手で叩く。
何を言って居るんだこの悪魔は…俺がユーリィを好きになっただって?

96:兎鎖 ◆3Mio:2012/04/17(火) 01:25 ID:ez-IEA

「…自覚は無し、か…じゃあなリヴァイヴ、お前は咎人をどうしたい?」
ふぅ…と白い煙を吐きながらまた食えない笑みでシザードは此方を見てくる。
「…青空…ユーリィに本物の空を見せたい。空を飛ばせてあげたい」
ただ、それだけだ。
彼女にはあんなちっぽけで暗い牢屋なんかより
太陽が光った青空の方が何百倍も似合う。
前世がどうのとかそんな理由で彼女が処刑されるのを
この俺がただ指をくわえて見てるだなんて
そんなのごめんだ。
「ククッ…お前さん咎人にそんな事させるっつうことは…」
「…うん、いつかユーリィを自由にさせてみせるだぞ」
できないなんて思わない。
なんたって俺は魔王だから、望んだ物は手に入れるのが当たり前なんだ。

97:兎鎖 ◆3Mio:2012/04/18(水) 03:17 ID:ez-IEA

第9話「覚悟」

―――――――

「…じゃあよォ、お前さんその覚悟はあんのか?」
「…覚、悟…?」
また何もないところからシザードは灰皿を出しては
吸い終えたタバコをぐしゃりと潰すように灰皿へ押し付ける。
「…そう。確か天界には咎人は処刑しねェと災いが起きるっつう言い伝えがある…つまりだ」
俺がその言い伝えの事に関して考えていると
その思考を止めるように
カツン、とシザードが床を叩いた靴音は静かな室内へとけ込むように響いた。
「…何もかんもそいつの為に賭けて、聖戦でもおっ始める覚悟はあんのか?」
聖戦―…天界の奴等はきっと自分達の犯した失敗を
なかった事にするためとその言い伝えの為に必ず、彼女を…を処刑する。
「牢屋からだして空を見せてェなら…世界を1つ敵に回して戦う勇気と覚悟はあるか?リヴァイヴ。」


書き込む 最新10 サイトマップ