怪盗ジョーカー

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1:ブラックキャット:2012/05/26(土) 16:43 ID:QSQ

こんにちは。
ちょっと時間ないんで、さっさと済ませます。

登場人物…
岩本飛鳥(12)
中学1年生

紅本圭(12)
飛鳥の幼馴染。

おっと、時間切れ!

2:真結 ◆hN7g:2012/05/26(土) 16:45 ID:xqo

怪盗レッドのマネ?頑張れー

3:匿名さん:2012/05/27(日) 16:55 ID:QSQ

んー……たぶんほとんどパクリなんじゃないかな。

4:ブラックキャット:2012/05/27(日) 17:13 ID:QSQ

あれ、上のうちのです。


プロローグ


窓を開けると満月が雲から顔を出してた。
風がわたしの中を吹き抜けていく。
「圭、きれいな満月!ほらっ見てみなよ!」
「遠慮する。」
そんな即答しなくても。
わたし、岩本飛鳥。突然ですけど……
わたし、怪盗デビューしちゃいます!!!

5:匿名さん:2012/05/27(日) 19:15 ID:09I

二次創作のほうが良くないか?

6:ダレンシャン:2012/05/27(日) 19:20 ID:r5Q

ここでいいじゃん

7:匿名さん hoge:2012/05/27(日) 19:39 ID:09I

>>6

既在の作品を元にした小説は二次創作なんだけど.......?
二次創作との区別はハッキリした方がいいと思う。
なんで二次創作板があるのか考えて

8:咲:2012/05/28(月) 20:22 ID:95I

ひな 来ったよ♪
なつかしーなー ジョーカー。
ま、一応続き知ってんだけど……楽しみにしてます!
じゃ、あたしのスレにも来てね!

匿名さん、別にいいんじゃないんですか?
確かにレッドと似てるけど……内容はばりばり違いますよ。
レッドはレッド。 ジョーカーはジョーカーですから。
ね ひな!

9:ブラックキャット:2012/06/02(土) 18:32 ID:56k

あー……まぁそーゆーことで。

  怪盗ジョーカー  1  〜出会い〜

「おはよー」 「よーっす!」
あいさつが飛び交う朝の教室。
飛鳥は無言で机についた。後ろには一人の男の子。
「…ここが教室。」 「わかった。」
無表情で返事をする。
(はぁ……)
心の中でためいき。
あーやだやだ。

10:ブラックキャット:2012/06/02(土) 18:34 ID:56k

あー……まぁそーゆーことで。

  怪盗ジョーカー  1  〜出会い〜

「おはよー」 「よーっす!」
あいさつが飛び交う朝の教室。
飛鳥は無言で机についた。後ろには一人の男の子。
「…ここが教室。」 「わかった。」
無表情で返事をする。
(はぁ……)
心の中でためいき。
あーやだやだ。

11:ブラックキャット:2012/06/03(日) 17:57 ID:QSQ

あれ?2つも書き込みが……
すいません。

あーやだやだ。
机の横にはまだ男の子が立っている。
どうやら自分が座る席がわかっていないらしい。飛鳥は、教室を見渡した。
(えーっと……あいてる席は……)
運がいいのか 悪いのか。あいていた席は飛鳥の隣。
男の子はその間、興味なさそうに教室を見渡していた。
「とりあえず…そこ、座りなよ」
そう言って隣の席を手で示す。
「分かった」 そう言っていすに座った。

やることが無い飛鳥は、本を開く。
パラ……パラ……
ページをドンドンめくっていく。
カタカタカタカタカタカタカタカタ……
中学校の教室にはふさわしくないような音が聞こえる。

ここでちょっと説明。
飛鳥はちょっと遅生まれの中学1年生。
赤みがかった茶髪を背中の辺りまでのばしている。その髪を無造作にポニーテールにしている。
飛鳥いわく 「切るのがめんどくさくてのばしてたんだけど、邪魔だからしばったの。」 らしい。

朝のSHRで男の子の紹介があった。
「…よろしく」
紅本圭と書かれた黒板を背にして、圭が頭を下げた。
(紅本……圭……)
なんか知っているようで思い出せない……
そんな飛鳥を見て、圭が少し驚いた顔をした。

12:ブラックキャット:2012/06/05(火) 18:11 ID:QSQ

「ただいまぁー」
玄関のドアを開けて家に入る。
(誰もいないんだけど……)
なのにかかわらず玄関の鍵があいていた。
(おとうさんったら……また鍵をかけ忘れて仕事に行っちゃったんだ。)
まったく不用心な父親である。
ぶつくさ言いながら靴を脱いでると、背後でドアが開いた。

             ☆

「お…お父さん!?」
入ってきたのは飛鳥の父親、岩本雅彦(40)。
「なんで?いつもはもう少し遅いのに……」
雅彦は、きわめて平均的なサラリーマン。が、最近残業が多く、いつも夜遅くに帰ってくる。
飛鳥の質問に、雅彦は頷いた。
「お客さんだ。」
そう言ってドアを開けた。

「あっ…………」
「久しぶり、飛鳥ちゃん。」
現れたのは―――……

「お、おじさん!!」
飛鳥のおじ、紅本和雅。雅彦の弟。なぜ兄弟で名字が違うのか、聞いても、「いろいろね……」とごまかされた。

13:咲:2012/06/06(水) 18:36 ID:u9.

はは アスカがレーチになりかけてる。
読んだところで、あたしも書き足すか!

14:くま:2012/06/08(金) 19:57 ID:GPM

よー。
いいじゃん。
けっこお、おもろいね!

15:ブラックキャット:2012/06/09(土) 15:55 ID:QSQ

わぁっ!来てくれてありがと。
ほっとけぇ!これが飛鳥なんです。
ほんと!?ありがと〜
んじゃ、やりますか。


「おじさん!久しぶり!!元気だったの?」
飛鳥は和雅に抱きついた。
予測してなかった雅彦は、押し倒されそうになりながら飛鳥を支える。
「ああ。飛鳥ちゃん、相変わらず元気だね。」
力なくハハハ……と笑う雅彦。

その時、また背後から声がかかった。

「父さん……時間かかり過ぎ」
           
「ああ、ごめんごめん。圭」
飛鳥は自分の耳を疑った。
まさか……今日の転校生なわけがないと思いつつ、後ろを振り返った。








「…………やっぱり。」

16:くま:2012/06/09(土) 18:45 ID:GPM

よー。
飛鳥がすげぇ〜。
なんか、今のところ圭は、レッドよりも、無口じゃなくなったね。
じゃあ、ひとみのも読んでね。題名は、名探偵吹雪だからね!

17:咲:2012/06/10(日) 20:09 ID:yLA

おお すげぇ。
続きはよ書けよ〜
OK!
ひとみ、見てみます!
あたしのやつ見るの忘れんなよ!

18:くま:2012/06/11(月) 20:30 ID:GPM

よー。
続き書いて〜。

19:咲:2012/06/11(月) 20:47 ID:2is

ひとみ〜
小説板なら見れるんよね〜
さて、続きはいつになることやら………。

20:ブラックキャット:2012/06/16(土) 17:56 ID:QSQ

おいコラァ!
何かってなこといいよんやァッ

おーし、やっかぁ。



「…………やっぱり。」
飛鳥は小さく呟いたのに、相手には聞こえたらしい。
「……なにが『やっぱり。』だ。」
そこに立っていたのは、今日の転校生、紅本圭。

            ☆

「……いとこって、この人?」

21:咲:2012/06/16(土) 20:36 ID:wOE

ははん。
なるほどねえ。
そりゃ思うわあ。
えっと、ひなに伝言。
小説の、「脳内アクセス」っつーやつのぞいてね。
一応、あたしのスレだから。
じゃー

22:ブラックキャット:2012/06/18(月) 16:18 ID:QSQ

おー、のぞいてきたー。
さー、やっかぁ!


「……いとこって、この人?」
圭が飛鳥を観察する。
そして、口を開いた。
「…ぼくは、『この人』じゃない。」
(この人、絶対A型だ。)
そう直感で感じた。
「…だから、ぼくは『この人』じゃない。」
あくまでも譲らない圭。

      ☆


「………はい?」
「………だから、これから仲良く2人でやれよって。」

23:咲:2012/06/18(月) 17:23 ID:7qA

よっ。
はははははは 直感〜(おかしい。)
じゃ、これからアルソック・ホールの練習、行ってきまーす。

24:くま:2012/06/22(金) 19:39 ID:H2k

ばいばい〜

25:咲:2012/06/23(土) 08:39 ID:RkM

ばいばい〜
って、もう戻りました。
次は、日曜学校集中練習だあ。

26:ブラックキャット:2012/06/28(木) 18:19 ID:bAY

よー。
しばらくできんかったー。


「………はい?」
「………だから、これから仲良く2人でやれよって。
 引越してくるんだけどなぁ。部屋が足りなくてな。
 ま、頑張ってくれたまえ!」



 ……………………。



「ええぇーーーーーーーーーーーっ!!!!????」
圭が耳を塞いで、こう呟いた。

「……嫌な予感しかしない」

27:咲:2012/06/28(木) 19:46 ID:hKg

ほお。
ま、そりゃそうやろなぁ〜

28:ブラックキャット:2012/06/30(土) 12:38 ID:bAY

同かーん。

「そのベッド。」
(ううう………)
「あと机はそこ」
(ぐぐぐ………)
「あとパソコンつなどいて」

29:咲:2012/07/02(月) 19:31 ID:jjQ

なんや この命令口調!

30:ブラックキャット:2012/07/03(火) 09:28 ID:bAY

はいはい、すいませんね。

「あと…この本、そこに置いといて」

 ………。

「なんなのよあんたはぁぁぁっっ!!!」

飛鳥の叫びが部屋に響いた。

圭が耳を塞ぐ。
「……っさい」
それでも飛鳥は収まらない。
というかもっと騒がしくなる。

31:咲:2012/07/03(火) 17:56 ID:Bqw

あー これ、レッド圭のとーさんの予想になっとる。
アスカ、ファイト!

32:くま:2012/07/04(水) 17:10 ID:H2k

確かに。命令されてるね。

33:ブラックキャット:2012/07/04(水) 18:35 ID:bAY

はははー…

「ほんと、いい加減にしてよね!!」
圭は飛鳥をじーっとみている。

「なんなのよ!あの命令口調!」

じ〜っ

「…ていうか、自分の本ぐらい自分で片付けてよね!」

じ〜〜っ

「……というか、女の子に力仕事なんてやらせないでよね!」

じ〜〜〜っ

「………彼女できないわよ!」

じ〜〜〜〜っ

「…………いい加減にしろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!!!」

34:咲:2012/07/04(水) 20:33 ID:PIs

最後の台詞、アスカ? ケイ?
ま、どーでもいいか。

35:ブラックキャット:2012/07/05(木) 17:21 ID:bAY

一応飛鳥の。

怪盗ジョーカー 2  〜始まり〜

「ふぁぁ…」
飛鳥は大きな欠伸をした。
「…ひっでー顔」
「悪かったわね!」
その瞬間、頭を叩かれた。
―パコン!
「「いったぁ……」」
上を見上げると、教科書を丸めて持った先生が立っていた。
「静かにしてくださいね?」
「「……はい」」

有無を言わさぬ迫力に、2人は頷くしかなかった。


         ☆

「ただいまー」
玄関の鍵を使って中に入る。
テレビがついている。
『…この事件について、警察はどう対処するのでしょう?』
『そうですね。 警察も全力を尽くす事でしょう。』

(………ん?)

飛鳥はテレビの前に移動した。
そこには圭が座っている。

『では、次に気象情報です。 岩田さーん、お願いしまーす。』

「あ、終わった。」
「ちぇっ」


2人は知る由も無かった。
まさか自分たちがこの事件に巻き込まれることになるなんて―…

36:咲:2012/07/05(木) 20:04 ID:gg.

ちょっと、あたしとひなのやり取り入ってんじゃないの!
ったく……。
アスカ、ケイ、ファイト!
なんとかなるよ!

37:ブラックキャット:2012/07/06(金) 18:11 ID:bAY

ははは…

「ねぇねぇ、今の事件って、何のこと?」
飛鳥は圭の背中にむかって疑問をなげつけた。
「………………。」
(む、無視か…)
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ………
圭の指がパソコンのキ−ボードの上を忙しくまわる。


「…行くぞ、飛鳥。」
突然圭が立ち上がった。
そのままスタスタ歩いていく。
「え、え、ちょっとぉ! 待ってよ!」


          ☆


「あ、圭。 飛鳥ちゃんも。どうしたんだい?」
和雅がニコニコしながら問いかける。
飛鳥はポッカーとしている。

その時、一人の男が近づいてきた。
「紅本警部、ちょっといいですか?」

38:咲:2012/07/06(金) 18:41 ID:K/w

はあ? 警部?
わ、わけわからん。
じゃ、あんたのスレ探してくる。

39:ブラックキャット:2012/07/07(土) 11:24 ID:bAY

だぁかぁらぁ。
圭の父さんが警部なの!

「「…警部?」」
飛鳥と圭の声が重なった。
「警視庁に勤務してたのは知ってたけど… 
 警部だったのか」
(えええっっ!!?)

飛鳥はぼっけーとしている。
そんな飛鳥を見て、圭が呟いた。
「変な顔」
「っさいわね!
 っていうか、悪かったわね!!」
圭が耳栓をこっそり装着したのも気づかないまま、飛鳥は圭に言う。
「だって、警視庁に勤務してたのも知らなかったのよ?
 誰だってびっくりするわよ!」

40:咲:2012/07/08(日) 06:32 ID:eCw

あ そうでした。
ぬああ ケイ!
なんか、あたし言われてる気分。

41:くま:2012/07/08(日) 18:45 ID:H2k

あのさ〜。
飛鳥の
「わるかったわね!」っていうの小松っちゃんがいいそう。

42:咲:2012/07/08(日) 20:31 ID:kJg

あー 言うわ。
でも「悪かったわね!」が大久保で、「悪かったね!」がひな&ひとみだよ。
区別〜

43:ブラックキャット:2012/07/09(月) 20:36 ID:bAY

あー、分かる!そーそー。


「だからって騒ぎすぎ。本当うるさい」
むぅぅっ…とむくれる飛鳥。
そこで、和雅が本題に入った。
「で、圭…
 あの株式会社の横領事件の事だけど」
横領? と首をかしげる飛鳥。
「何のこと?」
知らないのか? と半ば呆れたような目で圭が飛鳥を見る。
まぁ実際飛鳥は知らないが。

44:咲:2012/07/09(月) 21:01 ID:s92

知るわけないよ あのアスカが。
知ってたら病院つれてかなあかん。

45:くま:2012/07/12(木) 20:47 ID:H2k

そーだね。すぐ、びょういんいきだね〜。

まっ、小松っちゃんもだけどね。
ハハハは〜

46:ブラックキャット:2012/07/13(金) 21:44 ID:bAY

きょほほほ〜 どうかーん。




「証拠は? かなり前から調べてるんだろ?」
すると、和雅は、ちからなく笑った。
「痛いところ突いてくるな。圭は…
 実はねぇ… 証拠はまだ見つかってないんだよ。
 かなり前から調べているんだがね…」

「「……はい?」」

飛鳥と圭は声をそろえた。
「まだ見つけてないの?」
「思ったより無能だな」
(ちょっと、圭! 無能って…)

「…分かった。
 僕たちで調べるから。」
そう言うと、圭は立ち上がった。
「あぁ…頑張れよ。圭、飛鳥ちゃん。」
そう言って和雅は微笑んだ。
「あぁ…」 「任せて!」








和雅は、携帯電話を取り出した。
ピリリリリリリ…
「…もしもし?」

『順調に進んでいるか?』

「あぁ…二人とも張り切った様子さ。」

『そうか。 上手くいったらいいのだが。』

「大丈夫だよ。 僕の計算では、二人ともはまってくれる。」

『…飛鳥は?』

「…毎回聞いてくるね。 大丈夫。まだ気づいていないよ。
 それにしても、本当にする気かい?」

『あぁ…いまさら返ることはできない』

「………それは、覚悟を決めろって事として受け取っていいのかな?」

『…あぁ。 そういう事だ。』


二人は会話を終えた。

47:咲:2012/07/14(土) 07:54 ID:v4A

うわ 雨ひでぇ。
警報出とるし。
なんやねん 無能て。
おまけに謎の会話。
さて、いつか謎は解けるのか?

48:咲:2012/07/14(土) 12:19 ID:v4A

告知です!
あたしの超能力ガーディアンUに、アスカ達登場させてます。
怪盗ジョーカーからお手伝いの知らせ!
おとりとしての仕事中に、なにやら嫌な予感。
超能力ガーディアン緊急出動?
そして怪盗ジョーカーのほうは思わぬ事態に大ピンチ!
ガーディアンとジョーカーのタッグ、どうなる!?
っていうね。
よろしく〜

49:ブラックキャット:2012/07/14(土) 13:51 ID:bAY

部活が中止になった〜
えーとね。すぐにその謎とけるけん。


「ねぇねぇ。゛怪盗って、信じる?」
飛鳥は、隣にいる圭に声をかけた。
「………さぁね。」
ぼそっと圭が呟く。

(さぁね。って…)

「………………………………。」

その瞬間、圭が飛鳥の顔を見た。
「ど、どうしたの?」
圭は、飛鳥の顔を見ながら、こう言った。
「おまえ…『怪盗になって横領事件の証拠をつかもう!』……なんて考えてないよな?」
飛鳥は、圭の視線から逃れるように笑った。
「え…あ、あはははは…」
「……いや。いいか。」
圭はパソコンを起動させ、なにやらカタカタしはじめた。

カタカタカタカタカタカタカタカタ…

「え?え?」
飛鳥は状況が飲み込めていない。
次の瞬間、圭は立ち上がった。
なにやらブツブツ呟きながら歩いていく。
「圭?どしたの?」
「……。」
(む、無視か…)
なおもずんずん圭は進んでいく。


         ☆


「圭?」
何度目かの問いかけに、やっと圭が答えた。
「…何?」
飛鳥は圭の顔を見て驚いた。
圭の目に、鋭さがあって、いつもは半分以上閉じてる目も、パッチリ開いている。
「…け、圭…?」
「飛鳥、怪盗になるか?」

「……はい?」 

飛鳥の目が点になった。
「怪盗…に、なる…?」
「そうだけど。」
圭がさらっと言った。
「嘘、嘘嘘!」
飛鳥がそういうと、圭がムッとした顔になった。
「…嘘じゃない。
 で。 どうだ?やるか?」

飛鳥は、にっこりと笑った。
「もちろん!」

50:咲:2012/07/14(土) 15:20 ID:ixM

はいはい がんばってくださいね。
あー やっぱ中止か。
警報出たかんなぁ。

51:ブラックキャット:2012/07/16(月) 20:46 ID:bAY

「もちろん!」
飛鳥はにっこり笑った。
「…そう。 よかった。」
最後は呟くような声だったが、飛鳥は聞き取っていた。
「なにが、よかった。なの?」
「え、あ、 …別に」
圭は気を取り直して、作戦を飛鳥に伝えた。

「楽しみだね、圭!」
「遊びじゃないから。」

  
       ☆


ここで最初の場面。
月の光の下―…
飛鳥はあるビルの下にいた。
圭はこの近くのビルの屋上にいる。
なんだかドキドキするなー…。
なんて飛鳥の思いを読んだかのように、圭がすかさずつっこんだ。
『だから、遊びじゃない。』
「分かってるてばー。」
『本当かよ』
「本当だって。」
圭のため息が聞こえたが、飛鳥は気にせず続けた。
「圭、大丈夫?
 なんか不安なんだけど……」
飛鳥の不安を打ち消すような、圭の自信満々の声が聞こえた。
『心配するな。
 俺の計画通りなら、なにも心配ない。』
(け、い…?
 なんだかちょっと不思議だけど、まぁなんとかなるよね。)

52:ブラックキャット:2012/07/17(火) 20:46 ID:bAY

「じゃ、いくよー」 『あぁ。』
そう言って、飛鳥は数歩後ろに下がった。
「…っせーのっ」
一気にダッシュして、壁を蹴り上げる。
「…よっ… と。」
くるり、と回転して、地面に着地する。
『休んでる暇は無いからな。』
「分かってるよぉ。」
(ちょっとは心配してくれたっていいじゃん。)


            ☆


飛鳥は、【社長室】と書かれている部屋に入った。
そこは……

『「……うわ、趣味悪。」』

金色の鏡、金色のデスク、金色の窓…… 金色の、金庫。
「あれでいいんだよね?」
『あぁ。 間違いない。』
飛鳥は、ウエストポーチから針金を出す。
大きく深呼吸して、一歩を踏み出した。

53:ブラックキャット:2012/07/18(水) 21:14 ID:bAY

「圭、これ悪趣味。」
『…確かに』
金庫を開けた飛鳥の目に入ってきたのは、札束の山。
(ざっと10億円ぐらい?)
その奥に潜んでいたのが、紙。
会社の取引の記録用紙。
『…なるほど、売り上げをごまかしていたのか』
「ふぅーん」


          ☆


たたた…
飛鳥はビルの中を走り回っていた。
「もぉ、なんなのよぉーっ!」
『いいんじゃないか。 面白い。』

そうなったのは、つい2、3分前…

「さ、かえろー」
そう言って歩き出した瞬間…
『ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリィィィッッッ!!!』
「え、え、なに!?」
すると、全然反省した様子無く圭がさらりと言った。
『おもしろいから、いいだろ』
「どぉゆぅ神経してんのよ、あんたはぁぁっっっ!!!」



警備員と飛鳥の鬼ごっこ、スタート!
(べつにそんなの嬉しくなぁーいっ! by飛鳥)

54:ブラックキャット:2012/07/21(土) 14:49 ID:bAY

『そこ、通風孔あるから。』
飛鳥は圭の言いたいことが分かった。
「ワイヤーを引っ掛けろ…」

ぱしゅっ

「…でしょ?」
『当たり。 よく分かったね』
「ま、こんなの余裕余裕♪」
小さなため息が聞こえたけど、飛鳥は無視した。


        ☆


「待てぇ―っっ!!!」
ぼそっ
「そんなこといわれて待つわけ無いじゃん。」
『そんなこと言ってないで早く隠れて。』
「分かった」
飛鳥はそう言って、目に入った『事務室』に入った。
「うっわー。なにここ。」
『事務室。 ちゃんとプレートが掛かってただろ。』
そこは、事務室はみかけで、たくさんの宝石が並んでいた。
『………盗んだ宝石を、闇ルートで売ろうとしてたんだな。』
飛鳥はひとつの宝石を手に取り、うなずいた。
その瞬間―………………






「見つけたぞ!!!」
怒鳴り声が部屋に響いた。
そこには、会社の社長…(光武)とたくさんの警備員。
光武は、宝石を持って立っている飛鳥を見て、表情を変えた。
「き、貴様… なぜお前がそれを持っている!!!」
「何でって言われても… ねぇ。」
『飛鳥、さっさと帰るぞ。 かまってる暇はない。』
「りょーかい」

飛鳥は声色を変えて、光武に言った。
「そこ、どいてもらえるかしら。 私、もう帰るから。」
そう言って扉へと歩いていく。
光武は、叫んだ。
「お前は誰だ!? 名を名乗れ!!」
(よーし…!)
「名前? そうねぇ…」
飛鳥はそう言って、光武をビシッと指差した。
「私は正義の泥棒怪盗ジョーカー! 
 あんたたちの不正の証拠、ちゃーんと盗み出させてもらったわ!!」
光武は、ポカーンとしていた。
『………くくっ』
圭が笑った。
『まさか… 怪盗ジョーカーと名乗るとはね…』
「な、なに?」
フッ……と圭は笑った。
『僕も怪盗ジョーカーがいいと思ってた。』

55:咲:2012/07/21(土) 15:56 ID:cEA

サクっとがちゃーんとになっとる。
ジョーカーの2人、変わらんなぁ。

56:咲:2012/07/21(土) 15:58 ID:cEA

さて、どーしよーかなぁ……。

57:くま:2012/07/22(日) 10:18 ID:H2k

あれ?
これ、はきるんじゃないの?

58:ブラックキャット:2012/07/26(木) 20:52 ID:bAY

ふぇ? 違うよ?


怪盗ジョーカー 3  〜はじまりのはじまり〜

「…ふぇ?」
『ふぇ? って。  …ほら、さっさと逃げる。』
振り返ると、警官の大群が迫ってきていた。
「「「「待てぇぇーーーっっ!!」」」」
「おーおー。」
張り切ってるねぇ。 とため息をつく圭。
「よーし。じゃぁ、行こうか!」



           ☆


ガチャ
飛鳥と圭は、忍び足で家に入った。
「お帰り。」 「お疲れ様。」

ぎくぅっっ

「おと…お父さん…!」 「…とう、さん…」
二人を出迎えたのは、和雅と、雅彦だった。
「怪盗ジョーカー、初仕事だな。」
「あぁ。かなりいい線いってたよ。 圭、飛鳥ちゃん。」


きり悪いけど、終わりっ!

59:ブラックキャット:2012/07/31(火) 17:16 ID:bAY

さぁ、コンビ結成!!



「「………はぃ?」」
お。 見事にそろった。 一人感心する圭。
「ど、どどどういうこと!!!??」
「飛鳥、落ちつけ。ちゃんと説明してやるから。 な?」
雅彦は飛鳥を座らせた。
圭は勝手に座った。
和雅が、ゆっくりとした口調で話し始めた─…

「僕たちの家系はね、代々怪盗の家計だったんだ。
 自分たちの子供が事件に遭遇したら、その怪盗の名を受け継いでね…
 え? あぁ…僕は兄さんとコンビを組んで仕事をしたよ。
 確か…20歳ぐらいのときにね。

 飛鳥ちゃんたちのコンビが一番最年少だよ。
 すごいね。 内緒にしてたのに、自分たちでやっちゃうんだから…
 正直ものすごいビックリしたよ。
 
 ……怪盗の名?
 んー…
 …《ジョーカー》。 怪盗ジョーカーだよ。」



はい。 第一章終了!短かった…

60:ブラックキャット:2012/08/02(木) 18:56 ID:bAY


第2章 〜春の訪れ〜

「おはよー」 「よーっす」
あいさつが飛び交う朝の教室。
圭はいつもの通り荷物を収めた。
「…飛鳥、いい加減来たら?」
呆れた目で見る先には、飛鳥がいる。
「……だ、って」
圭は、そんな飛鳥の呟きを完璧に無視した。
―ぎゅっ
「いいから来いよ。」
―ぐいっ
「ふ、ふぁぁっ」
飛鳥は抵抗できず引きずられて教室の中へ。
その瞬間、クラス中が沈黙に包まれた。

「「「わぁ!? 飛鳥ちゃん、どうしたの?その髪!!」」」


           ☆


「圭〜っ」 「嫌。」
飛鳥は雅彦に捕まっていた。
「お父さん、ちょっとなにするのよぉ〜」
すると雅彦は、ニヤリと笑った。
「飛鳥の髪を切るんだよ!」
―ジャキンッ



(はぁ。長いのはチクチクするけど… 短いと首がスースーする…)
飛鳥の髪は、雅彦の手によって、ショートヘアーとなっていた。

61:咲:2012/08/03(金) 08:30 ID:Zrs

あー やっちゃったねえ。
気持ちわかる。
飛鳥がショートカット……か。
みてみたい。
ひなー 今度描いてねー

62:ブラックキャット:2012/08/04(土) 19:40 ID:bAY

「「かわいい!!」」  「「以外に美人だったんだな!!」」
(う〜… これは嫌な予感…)
すると、急に手を引っ張られた。
「…………飛鳥。(怒)」
「な、な… 何起こってるの!? 私、何か悪い事した…?」
圭は怒った顔で、ボソッと言った。
「…来い。」
本当に小さな声。 でも飛鳥は聞き取った。

63:ブラックキャット:2012/08/05(日) 21:06 ID:bAY

飛鳥は圭に屋上に連れてこられた。

「圭?どうして怒ってるの?」
「…別に。」
ぷい。とそっぽを向く圭。
その頬は、すこしだけ紅にそまっていた。
だが、誰も気付かない。


       ☆


「行くぞ。 ………飛鳥?」
「待って…け、い…」
―ガタン!
飛鳥は床に倒れた。
そして、意識を失った。

64:ブラックキャット:2012/08/06(月) 13:45 ID:bAY

ー圭視線ー

「飛鳥! 飛鳥!?」
意識がない…。
熱でもあるのか…?
そう思って額に手を当てると、熱い。
見ると、飛鳥の顔も赤かった。
…とにかく。
「運ぼう。」

65:咲:2012/08/06(月) 16:27 ID:tEk

圭〜 あんたぁ、飛鳥のこと好きになったね〜?
まーた大変なことに……。
あ。
圭、あんた飛鳥持てる?

66:ブラックキャット:2012/08/06(月) 16:37 ID:tEk

「運ぼう。」
…そう言ったのはいいけど、ね。
フラフラ、ヨタヨタ。
そういえば、僕、あんまり力無かった。
持ち上げるのは無理か―――……

「よっ、いっ……しょっと。」

あ、やっぱり駄目だ……
「ごめん。少し我慢してて。」
ズルズル―――ッ


        ☆

『保健室』……
ここは昔から苦手なんだよなぁ。
消毒液のにおいというかなんというか……

67:ブラックキャット:2012/08/06(月) 20:58 ID:bAY

「失礼します。」
保健室に入ると、消毒液のにおいが、よりにおってきた。
「う゛………」
「あら?今授業中のはずだけど「先生。」
僕は先生の言葉を遮った。
「飛鳥……いや、こいつをベッドに寝かせてください。
 熱があるんで。」
「あら、そうなの? じゃ、ちょっと待ってて。」


           ☆


僕は、あの後父さんに電話して迎えに来てもらった。
「仕事だから」って、今週はおじさんと父さんは帰ってこれないって。
だから、飛鳥の世話は僕がする事になってる―……
……んだ・け・ど。

「ん、…………け、い…」

時折聞こえる飛鳥の声が、気になる。かなり。
なんだかおかしい。 僕、何か変なものでも食べたのか?

68:ブラックキャット:2012/08/07(火) 20:05 ID:bAY

ー飛鳥視線ー

「飛鳥?」
圭の声がする。
「こっちに来れば?」
そう言って、手を差し出だす圭。
私は圭の手を取ろうとした。 すると、私の手は圭の手をかすめた。
そのまま―…
「じゃあね、飛鳥。」
「待って! 待ってよ! ねぇ、圭! 圭―っ!!」

―ガバッ

「……はぁっ、はぁっ」
だめだ。
風邪のせいか、悪夢を見ちゃった……。
―ガチャッ
ドアの開く音がする。
「飛鳥? 目が覚めたのか?」
「…圭?」
さっき見た夢を思い出す。
寒気がしてきた。
体は熱い。 でも、寒い。
「……寒い。」
「じゃぁ、布団かぶっとけよ。」
そう言われて、 ぼふっ と布団を掛けられた。
………苦しい。
やっとのことで顔を出した突端、 べしゃっ と濡れたタオルを頭にのせられた。
………つめたい。
でも、口から出た言葉は…
「気持ちいい…」
そういって、私は にひゃり と笑った。
あの夢が本当だとしたら―……
もう一緒に入れなくなる―……
心が不安に駆られる。

嫌。
絶対。
絶対に嫌。
ずっと一緒にいたい。
ずっと、ずーっと、一緒に……

気付くと、こう言っていた。

「そばにいて…」

すると圭は、驚いた顔をした。
…そりゃそうか。
無理に決まってるよね。
「ぁ、ごめん… 変なこと言って「別にいい。」
遮った。珍しく。
………って、え?
「そばにいてやるよ… 飛鳥がいいのなら。」
そう言ってそっぽを向いた。
その時、気付いた。

圭の頬が紅い。

それにつられた私の頬も紅くなっていく。
………熱くなってきた。
だめだ。
なんだか圭の顔がまともに見れない…
なんか変なものでも食べたのかな?
いや、風邪のせいかも!
いや、そうだ。
きっとそうだ。
風邪、早く直しておかないと……

そう思って、私は布団にもぐりこんだ。

69:ブラックキャット:2012/08/09(木) 07:42 ID:bAY

「げほっ、ごほっ…」
全然治らない……
圭は居眠り中。
あーあ。
これじゃ、当分ジョーカーはお預けかぁ……
ひまだったから、パソコンで検索。
えーと……
『怪盗ジョーカー』っと。
カタカタカタカタ……
おっ?

『怪盗ジョーカー危うし!! 名探偵登場!!』

……………。
名探偵?
どんな人だろ……
カチカチッ
クリックすると、そのニュースが詳しく出てきた。
『怪盗ジョーカーをライバル視する、名探偵が現れた!!』
ふーん。
『彼は自信満々に「簡単に捕まえて見せますよ。」とコメント。』
へー。

「ライバル登場か?」
そだね。 でも、こんな奴には負けないよ。
……って。
「圭!?起きてたの?」

 

70:ブラックキャット:2012/08/10(金) 17:02 ID:bAY

私がそう言うと、圭は耳を塞いだ。
「……うるさい。」
「えへへ… ごめん。」
でも、ライバルかぁ………
「対決は、まだ当分先だな。」
ぬぁっっ!!
ま〜た人の夢を壊して!!
「いつ、僕が飛鳥の夢を壊したんだよ。……それに。」
……?
「…それに?」
「風邪が治ってないだろ。 まずは早く治せ。」
う゛…
そう言われると弱い……

71:ブラックキャット:2012/08/10(金) 21:30 ID:bAY

次の日―……
「ふぁぁっ………」
私は大きなあくびをした。
「ん゛〜っ…」
「…ひっでー顔。」
圭が呆れた目で見る。
「なによ!悪かったわね!!」

べ〜っ だ!!

「子供(ガキ)かよ…」
…そんなに呆れなくてもいいじゃない!
「……別に。」
会話が成り立ってない。

……今気付いた。

「……寝てる?」
圭はいびきで答えた。
「…くーか …くーか」
規則正しい息遣い。
……かわいい。

カアアッッ 

だめだ。 体温が上がってきた。
おかしい、ものすごいおかしい!!
まだ風邪が治ってない……
「寝てる顔はものすごい素直なのにねぇ……」
私が呟くと、圭はうっすらと目を開けた。
「……悪かったな。」
「け、圭! 起きてたの!?」
びっくりしたぁ……
「飛鳥、具合は?」

72:ブラックキャット:2012/08/10(金) 21:42 ID:bAY

ー圭目線ー

目を開けると、飛鳥がいた。
(ぅわぁっ!!)
………。
びっくりした。
「飛鳥、具合は?」
自分で聞いておきながら、大体の見当はついていた。
…まだ顔が紅い。
熱が下がってないのか……?

―ぴとっ

「ひゃぁっ」
おでこに手を当てただけで、そんなに驚くな。
「まだ熱は下がってないのか…」
僕がそう呟くと、飛鳥は首を振った。
「ううん、もう熱は下がったと思う。
 ね、どこかに行こうよ! ちょうど連休なんだしさ!」

……はい?

「よーし、きょうはショッピングモールに行こっ! ね?」
押し切られそう…
「風邪は? 大丈夫なのか?」
「大丈夫 大丈夫!」
何を根拠にそんな自信が……
反論してやろうと思ったら、もう飛鳥は着替える服を出していた。
「ほら、早く 早く!  おいってちゃうよ?」
1人で行っても、つまんないだろ。
「はい はい。」

……結局押し切られた。

          
             

73:ブラックキャット:2012/08/11(土) 15:34 ID:bAY

「圭、まだ〜?」
「待てよ、少しくらい。」
ったく……。
―ガチャ
僕は部屋のドアを開けた。
「もう、遅いよ。」
「…悪かったな。」


       ☆


『次は、○×駅〜 ○×駅です。お出口は…』
…次か。
「圭…。」
「…何?」
呆れられてるような気がする。
「何で、電車の中でパソコンなんかするのよ?」
……………。
「……悪かったな。」
電車の中で、パソコンしたら駄目っていう法則なんか、ないだろ。
「う゛っ…そ、そりゃーそうだけどさ…」
ほらな。

74:ブラックキャット:2012/08/12(日) 18:42 ID:bAY


怪盗ジョーカー 4 〜ライバルは名探偵!!〜

「飛鳥、ちょっとトイレ行ってくる。」
「分かった。」
……ふぅっ。

ここは市内で一番大きい、ショッピングモール。
だからなのかな……
人、多すぎ!
しかも、世界最大のサファイア(?だかなんだか知らないけど。)
があるらしく、いつにも増して人が多い。
「ぅげっ……」
椅子に座ってぼんやりしてたら、人ごみの中から、1人の少年が出てきた。
なんだかものすごい具合が悪そうだけど……


「すいません… 隣、いいですか?」
「あ、はい。」
私は、彼を観察した。
……どっかで…
彼は白いワイシャツに、ネクタイを締めて黒いベストを着ていた。
銀縁のめがねに、いかにも頭がよさそうな顔。

………あ。分かった。

「……黒本 遥さん、ですか?」
すると彼は、驚いて私を見た。
「…あ、テレビで見たんですか……」
そう産屋いて、顔を上げた。
「はい、探偵の黒本 遥です。
 ……えーと、お名前は…」
あ、いけない。 自分が名乗ってなかった。
「私、岩本 飛鳥です! 普通の中学1年生。」
「そうなんだ! 僕は中学2年生。飛鳥ちゃんの1つ先輩だ。」

遥さんは、私を友達のように扱ってくれる。
その時、後ろから声を掛けられた。

「飛鳥。」

「ぅひゃぁっ!?」
後ろにいたのは圭。
「何間抜けな声を出してんだ。
 ほら、行くぞ。」
……なんて偉そうに。

75:ブラックキャット:2012/08/13(月) 11:44 ID:bAY


上の訂正です!
”そう産屋いて、” → 『そう呟いて、』
…どうやったらこんな漢字になるんでしょう…(呆)

では、続き…


……むぅっ!
…とかなんとかむくれている飛鳥。
「…その酷い顔どうにかしろよ。」
「悪かったわね! どーせ酷い顔ですよーだっ!」
…子供かよ。
ふと見ると、飛鳥の隣に“アイツ”がいることに気がついた。
向こうも僕に気がついた。

「…圭君?」
……………。

「久しぶり、遥。」

僕はにこりともしなかった。
……。
「圭? どういうこと?」
「どういうこと…って。 こういうこと。」
僕は意地悪に答えた。

……あれは僕が幼稚園の頃―…
「圭君、おはようっ!!」
同じクラスだった遥。
「…おはようございます。」
僕とは正反対で、友達がたくさんいて、皆とも仲がよくて。
…まぁ、僕は興味なんてなかったけれど。
小学校に上がる頃、僕と父さんが引っ越して、ここに来る前。
クラスの皆で、お別れパーティーをやって…
……ただそんだけ。

別に特別仲がよかった…ってわけでもないし。
「…飛鳥ちゃん、圭君と仲がいいんだね。」
「うぇっ…? ま、まぁ…そうだね。」

……そういえば。

「遥君てさ、探偵なんだよね。」
…ふーん。
「よかったら、二人とも見る? 世界最大と言われる、サファイア。」

「どうする、飛鳥?」
「見るよ! もちろん!!」

76:ブラックキャット:2012/08/14(火) 13:07 ID:bAY


……なんか。
「やけに張り切ってるな?」
そう言うと、飛鳥はくるっと振り返って、ピースした。
「あったり前じゃん! 次に狙うのは、これなんでしょ?」
遥には聞こえないようにする。
「……そうだけど、どうして分かった?」

「……カン?」

………………………………。
「期待した僕が馬鹿だったよ。」
「え〜っ! なになに?期待してくれたの?」
……。
僕はそっぽを向いた。
「さぁね。」


          ☆


月がの光が僕たちを包む。
あれから1週間。
あの、世界最大と言われるサファイアを盗み出すため、
飛鳥と僕はビルの屋上にいる。
「飛鳥? 大丈夫か?」
「大丈夫だって。 心配しないでよ☆」

ふぅっ…

息を吐いて、飛鳥は柵を越えた。
「じゃぁ… 行って来るね。」
「あぁ。 気を付けろ。」

監視カメラの映像をすり替えていく。
おかげで、まだ気付かれていない。
『圭、展示室にに入るよ?』
「あぁ。ドアに警備員が2人、中には15人だ。」
『りょーかい』
カタカタ……
ピタリ、と指が止まる。
………うん。

やっぱり、そう来たか…

77:ブラックキャット:2012/08/15(水) 10:03 ID:bAY


私は、催眠スプレーを出した。
う〜ん…
「圭、どうやって使うんだっけ?」

―ズテッ

なんて聞こえそうな感じがした。

『おまえ… これ、前にも使っただろう?』

怖い怖い怖い怖いッッ
「圭、声が怖いっ!」
『それは飛鳥が怒られるような事を、言ったからだろう?』
だから怖いって!

―すると。
「ジョーカー!! 見つけたぞ!」
警備員ッ!?
うそ… 予定よりも早い…
何人もの警備員がこっちに走ってくる。

『……強行突破だ。 いけるか?』
もちろん!
『無理はするな、いいな?』
わかってるって!
『覆面が取れないようにな。』
気をつけるよ!
『遥には見つかるな。』
分かってるって! 

…………。

はぁぁぁっっ!!?
「うそ、来てるの?」
『気付けよ。』
「わるかったわね!」

…なんてのんきにやってたら、警備員が迫ってきてた。
「んじゃ、行くね。」
『……あぁ。』

「せーのっ!」
シールをはがして…

プシュ―ッ

「おぉっ!でたでた!!」
人がどんどん倒れていく。
おもしろいっ!

78:ブラックキャット:2012/08/17(金) 17:48 ID:bAY

「ふぁぁ…」 「ね、眠…い」
警備員がバッタバッタ倒れていく。
その間抜けな姿を見て、私は大笑いしていた。
「キャハハハッ! あはははっ!! おかしいっ…」
『飛鳥、うるさい。』
だってさぁ、笑えるんだもんっ… ハハハッ

「どうしたんだい、怪盗ジョーカー、そんなに大きな声で笑って。」

どこかで聞いた声。 えーっと……
声色を変えて向き直る。
「……あら、黒本 遥君…だったわよね?
 そんなに大きな声で笑っていたかしら。
 まぁ、こんな間抜けな姿なんだもの。
 笑ってしまうのも無理はないでしょう?」
挑発するように話す。
けれど、遥は挑発に乗ってこなかった。 チェッ

79:ブラックキャット:2012/08/20(月) 17:49 ID:bAY


『飛鳥、無駄に時間を使うな。』
え〜、そんな事を言われても……
ま、いっか。 ようは早く帰って来い。でしょ?
『分かってるならさっさとしろ。』
むぅぅっ!! えらっそうにぃ!
「何を騒いでいるのかな? ジョーカー。
 悪いけど、僕はもう眠いんでね。 早く捕まってくれるかい?」
……………。
「あら、かなり余裕があるようね…。
 それとも、ただ時間が無くなって焦っているだけかしら?」
遥もこれにはカチンときたみたい。
「おしゃべりはここまでにしよう。
 さぁ、早く捕まってもらおう。」
……………。

「……悪いわね。 捕まるわけにはいかないのよ。 探偵君。」

そう言って私は闇に姿を消した。



        ☆


「いやー、疲れたっ! ワイヤーで体を持ち上げるのって、以外に疲れるんだね。」
『…あぁ。』

そう。
私は圭の指示に従って、遥に気付かれないように、ワイヤーを打った。
通風口って言うの? そこに。
で、圭のカウントダウンに合わせて一気に上昇。

「っていうか、ちゃんと掃除しようよ。
 ものすごい汚い……」

80:ブラックキャット:2012/08/21(火) 16:49 ID:bAY


外に出たときには、もう服は真っ黒。
ついでに外も真っ暗。
「あーあ。 帰ったら洗濯しなきゃね。」
『…そうだな。』
なんておしゃべりしながら、私は塀を乗り越えた。
―とんっ
「ふぅっ…… 無事着地っと。」
「……おつかれ。」
後ろから声がした。
振り返ると、圭が相変わらずの無表情で立っていた。
「け、圭っ!?」
もぉ、驚かさないでよね。
「体調は?」
圭は急に話しを変えた。
「え? …あぁ。大丈夫、もうすっかり元気だから!」
……びっくりした。 話題転換が急だよ。
……ん?
「もしかして、心配してくれたの?」

私の何気ない一言に、圭の頬が紅く染まった。

………ような気がする。
そして、圭は慌てて首を横に振った。
「ち、違ぇよ! 変な勘違いすんな。」
「別にそんなムキになんなくてもさ…。」
ちょっと傷ついたぞ。
「ほら、さっさと帰るぞ。」
「はいはい、分かったよ。」

―そう言って二人は、横に並んで帰った。

81:ブラックキャット:2012/08/21(火) 20:34 ID:bAY


「飛鳥、起きろよ。」
圭が飛鳥の体を揺さぶる。
飛鳥は一向に起きる気配がない。
「はぁ…… もうそろそろ準備しないと遅刻するんだけど…。」
『遅刻』という言葉が出た瞬間、飛鳥はがばっと起き上がった。
「え、うそ? 今何時?」
飛鳥の声にニヤニヤしながら、圭は時刻を告げた。
次の瞬間、飛鳥のドタバタという足音が家に響き渡る。
「ふぇ〜っ!! 圭、何で起こしてくれなかったのよぉっ!」
「何回も起こした。 …ほら服。」


           
         ☆



キーンコーン カーンコーン…
チャイムが鳴り終わる頃には、飛鳥と圭は着席していた。

「「セーフッ…」」

二人で顔を見合わせて笑う。


〜あっという間に放課後〜
「起立ー、礼ー」
「「「ありがとうございましたー。」」」
教室は、あっという間に話し声に包まれる。
飛鳥は、圭を見た。
「今日の予定は?」
「特にない。 …飛鳥。」
圭は飛鳥のほうを見ないまま言った。
「……どうしたの? なんか機嫌が悪いけど。」
圭の機嫌が悪いのは、もちろん理由がある。

〜HR前(圭目線)〜
「紅本ー、ちょといいか?」
クラスの中の男子に呼ばれて、廊下に行く。
「……何?」
すると、差し出されたのは一通の手紙。
「……何?」
僕はさっきと同じ答えをした。
男子は、顔を赤くしながらこう言った。
「これ、岩本に渡してくれねぇかな?」
僕は硬直。 何でかは知らない。
「じゃ、頼むな!」
そう言って男子は去っていった。
…………中は見なくても分かる。
飛鳥宛のラブレターだろう。
イラついてる。 何でかは知らないけど。
結局、その手紙は飛鳥に渡した。



            ☆



「父さん……?」
今日あったことを報告しているうちに、父さんに聞いてみたいと思った。
あの、イラついてた訳。
「…………………………………。 まぁ、こういう訳なんだけど、分かる?」
父さんは、相変わらずニコニコしながらこう言った。
「それって、ほかの男の子でもあてはまるのかな?」
「……え?」
あまりよくわからない。
「ほら、飛鳥ちゃんが、他の男の子と楽しそうに話しているのを見たときとか、
 優しくされているのを見たときとか、さ。」
………。

「…何で分かるの?」

父さんは、にっこり笑ってこう言った。
「そりゃ、圭の親だからね。」
(そういうものなのか…?(呆))
父さんはさっきと違って、何かを確信したような感じがする。
……真相を見抜いた探偵は、もったいぶるよね。
でも、目には不思議な光が宿っている。
…ような気がする。
ニヤニヤしながら父さんは言った。

「圭も、まだまだ子供だねぇ。」

………。(・д・)…ハイ?
そりゃ、まだ僕は子供だけど。
中一だよ、まだ子供だよ。
「子供って……どういうことなんだよ? 分かんないよ、父さん。」 
すると、父さんはまたニヤリ、と笑った。
「大丈夫、その内分かるよ。 …もうすぐ。」

……………。
もっと分かんないよ、父さん。

82:ブラックキャット:2012/08/27(月) 15:38 ID:bAY


怪盗ジョーカー 5 〜バトルは豪華客船で!〜

「ふぁぁっ……」
私は、ベッドの上で漫画片手に伸びをした。
もうそろそろ9月だぁ…。
何かあったっけ、9月って。
…考えても思いつかない。
―…うーん。ない! と思う。
「…飛鳥、おじさんが呼んでる。」
お父さんが?なんだろ。
「ありがと、圭。」

居間に行くと、お父さんが買い物袋を持って立っていた。
「飛鳥、買い物に行ってきてくれ。」
え〜っ?今、漫画がちょうどいいとこなのに。
「まぁまぁ、そう言わずに。 あ、あと。」
しぶしぶ私が買い物袋を受け取ったとき、お父さんが財布を出した。
「これ、福引券。今やってると思うから。」
え、福引?やったぁ!
私は、福引券を受け取って、圭にも声を掛ける。
「ほら、行こ。圭」
「……そうくると思った。」
そう聞いて、私は笑った。
あはっ、わかってんじゃん。
そう聞いて、圭はため息をついた。
「じゃ、行ってきまーす!」



         ☆



「よしっ… 買い忘れはない。」
よーし、じゃぁ福引へレッツ・ゴー!

「そういえば、圭ってくじ運いいの?」
ふと思ったんだけど。
私は悪いよ。お正月だって、『凶』連続13年。
「…さぁ、知らない。」
お正月は?
「『大吉』が連続13年。」
アイスのくじは?
「あまり買わないけど。 今まで外れた記憶がない。」
…何かの懸賞は?
「あまり応募しないけど。 このあいだ最新のパソコンが当たった。
……福引は?
「ハワイ旅行が当たった。 他にも、台湾とか、ロンドンとか。
 …行ってないけど。」

…………………。

つまり、くじ運は最強か。
いーなぁ。

なんて言ってたら、福引の屋台(?)が近づいてきた。
「よーし、おじょうちゃん! 彼氏の為にこいつはどうだい?」
か、彼氏!?圭が?
…落ち着こう。 
福引のおじさんが指差したのは、『豪華客船 2日間のクルーズ』。
ご・う・か・きゃ・く・せ・ん……
わぁっ! これいいな!
「ね、圭! 豪華客船だって!」
「…ふーん。」
もぅ!もうちょっとくらい返事に気を使ってよ。
そう思いながら、私は券をおじさんに渡した。
「おじょうちゃん、こりゃー“補助券”だ。あと1枚あるか?」
へっ?
うーん…どうしよ。ないんだけど…
悩んでいると、横から手が伸びてきた。

「おじさん、これでいい?」

け、圭!?
「おぅ、いいぞ! 良かったな、おじょうちゃん。いい彼氏じゃねぇか。」
だから、違うんだってば!
もぅ……
「とりあえず… ありがと、圭!」
そう言って私は、福引の箱の前に行く

ゴソゴソ…

手に握った紙を開く。
『特賞』
それを見て、おじさんがベルをガランガラン、と鳴らした。
「大当たりぃ! 豪華客船クルーズに招待だぁ!!」

え?

圭もポカン、としてる。
「えぇぇぇぇっ!!?」

83:ブラックキャット:2012/08/28(火) 19:09 ID:bAY


「お父さん、お父さん、お父さーんっ!!!」
私は、家に入るなりドタバタ、と家中を走り回った。
トイレから、お父さんが出てくる。
「何だ、飛鳥…… 近所迷惑だぞ。 それに、どうしたんだ? そんなに騒いで。」
えへへっ… 聞いて驚かないでね!

〜省略〜

「へぇっ… すごいね、飛鳥ちゃん。」
えへへ〜… それほどでも…
「でも… どうする?雅彦兄さん…
 僕たち、2人ともその日は仕事だよ?」
すると、お父さんは、ニカッ、っと笑った。
「あぁ。大丈夫だ! 飛鳥と圭で行って来ればいいだろ! な!!」
お父さんの爆弾発言に、私と圭は硬直。
おじさんはというと…
「な、何言ってるんだよ、兄さん! 年頃の2人が…2日も2人っきりなんて…!」

………………………。(呆)

おじさん… ハア…
「大丈夫だって! おじさん、そんなに心配しなくてもいいからさ!」
すると、お父さんはまたまた爆弾発言。

「あぁ! 大丈夫だよ、和雅! いざとなれば、結婚すればいいんだからさ!」

はい?
え、ちょ…
ちょっと待ってよ。 
いとこ同士でも、結婚ってできるの? (そこかよっ!)

「「「そうだけど。」」」

お父さん、おじさん、圭の声が重なった。
え? そうなの? 知らなかった…
あ、こら圭! 笑うなぁ!!

84:ブラックキャット:2012/08/30(木) 20:49 ID:bAY


…っとと。 話を戻して。
「で、お父さん。行っても良いよね?」
この言葉には、“逆らったら、どうなるか、分かるよね?”
…といった脅しも含まれている。
お父さんは、顔を引きつらせながら、許してくれた。

その後、圭が「その船には、今回のターゲットがある。」って言って。

旅行のはずが、仕事のための船旅に…
(あーあ、残念…。)


でも、私たちは知らなかった。
この船旅で、とんでもない奴等と出会う事になる。
……何者なんだろ?









暗闇の中―… (ある人目線)
私が、ドアをバタン、と閉める。と同時に、鍵もかける。
「…じゃ、始めようか。」
「「了解〜」」
そこにいる二人には、緊張感がまったくない。 ま、自分もだけど。

「今回のターゲットは、これ。」

私は、パソコンを立ち上げ、ファイルを二人に見せる。
「うわ、ヘタクソ。」
「ほんまじゃね〜、これ、絶対安いじゃろ。」
ところが残念。…とニヤリ、とする。
「何言うてんの。 これは、時価5000万円!」
「えぇっ!?」
「うっそー!」

……あーうるさいうるさい。

85:咲乃:2012/08/30(木) 21:16 ID:B6o

あ、これ、怪盗レッドの、パクリ?っぽいね☆よかったら友達になろう!
怪盗レッド大好きなんだよね〜〜!!
紅月飛鳥・紅月ケイ
ケイかわゆいよね〜〜〜〜^^

86:ブラックキャット:2012/08/31(金) 21:26 ID:bAY


続いて暗闇の中―…

私はパソコンを閉じて、3枚の紙を出す。
「これ、“豪華客船 2日間のクルーズ”のチケット。」
一人が苦笑いして言う。
「……の偽造?」
「あはは、当たり。」
「笑い事じゃないじゃろ。」
…こいつに突っ込まれるとイラッとする…
「ま、とにかく。 ここにターゲットがあるから。
 ……準備はいいよね?」
「「もちろん。」」
OK。 それじゃ。


「怪盗シャドウ、出動。」

「「了解!」」

87:ブラックキャット:2012/09/02(日) 19:46 ID:bAY

「ふあぁっ… やっと着いたぁっ…!」
私は大きく伸びをする。
手首と足首を回して、いつでも走れるようにする。
………っていうのをやれ。…って言われました。 (お父さんに。)
隣で、圭がボソッと言った。
「…寝すぎ。もう少しで遅れるところだった。」
「別にいいでしょ! っていうか、寝すぎじゃないわよ!」
「あーうるさいうるさい。」

くうぅぅぅぅっ…!!(怒)
ムカツクッ……



その時。
1人の男が走ってきた。
女の人が涙目で叫んだ。
「通り魔よーっ! 誰かそいつを捕まえてーっ!!」
腕に当てている手から、赤い血がとめどなく流れている。
よく見ると、男の手には包丁。

―ベットリと、赤い血がついている。
「飛鳥!」
圭が声を掛ける。
飛鳥は、その声と同時に走り出した。
「ほいっ…と!」
ジャンプして、顔面に蹴りを一発。
その直後に、男の頭から鈍い音がした。

―ドサッ

男は地面に倒れた。
完全に気絶している。
…目を覚ますまでには、まだまだ時間が過かりそうだ。



「ちょっと、やりすぎじゃない?ひな!気絶しちゃってるよ?」
「大丈夫でしょ。 死にはしないって。」
「「そういう問題じゃない!」」
「…ったく。 うるさいな。」
ふと見ると、女の子3人が立っていた。
真ん中にいる―“ひな”と呼ばれていた子に声を掛ける。
「もしかして…あなたがしたの?」
すると、その子は「そうだけど。」…とぶっきらぼうに答えた。
眼鏡掛けてて、なんか賢そうな顔。
頭はぼさぼさ。…なんか圭みたい。雰囲気似てる?

「飛鳥、遅れるぞ。早く。」
圭が呼んでる。
時計を見ると、搭乗手続きの時間があと少し。
「ヤバッ! あ、それじゃ!」
一応声を掛けて走り出す。


「いい船旅だと良いですね。」
さっきの子が、そう言ってのを、私はもちろん知らなかった。

88:アリス pmp3:2012/09/02(日) 19:50 ID:dRY

ブラックキャットちゃんじゃん!!
咲、、元気してるー、、?

89:咲乃:2012/09/03(月) 17:24 ID:VHw

ブラックキャット>>>>>

無視しないで!!!

怪盗レッドに似てるけど2次創作…まぁいっか。いいよねwww

面白いです!続きハよ書いて〜〜〜〜^^

((o(★・ω・)人(・ω・☆)o)) ナ・カ・マなロ!

90:ブラックキャット:2012/09/03(月) 20:56 ID:bAY

あ、アリス。
咲なら元気だよ。 学校で「いもけんぴ〜」って騒いでた。

咲乃さん
無視はしてませんけど…
時間が無くて。すいません。
似てるけど違うんで。
……別にいいですけど。

91:咲乃:2012/09/03(月) 21:31 ID:VYM

ブラックキャット>はい。分かってる(笑)
いや、いいんだよ。あともし時間が有ればウチの所にも来てくれませんか?よければで良いんですが

ここです
http://ha10.net/novel/#N3

92:咲乃:2012/09/03(月) 21:32 ID:VYM

KAERAって、私ですので!

さっき宣伝した小説書いてるの私です

93:ブラックキャット:2012/09/05(水) 20:30 ID:bAY

見て来ました… 面白いと思います。



「あの、お願いしまーす…」
大丈夫だよね。 ちゃんとした搭乗券だし。
偽物な訳ないし。
女の人が、にっこり微笑んだ。
「はい、特別招待のお客様でございますね。
 どうぞお進みください。」
その言葉で、私はホッ…とした。
「よ、良かった〜…」
「子供だけじゃ駄目」って言われるかと思った…
かなりドキドキしたんだし。



            ☆



『ピ―ッ』
カードキーを差し込むと、ランプが青に変わった。
ジョーカーでやり慣れてるけど、やっぱりドキドキするなぁ…
「何してるんだ? さっさと入れよ。」
圭はすでに中に入っている。
荷物は両手で持って。
もう…そのぐらい、片手でもてるでしょ。普通。
「飛鳥の普通は異常なんだよ。」
今、聞き捨てなら無い言葉が聞こえてような……
まぁ、いっか。

それじゃ、今回のターゲットを見に行こうよ!
なんか展示してあるらしいし。 せっかくなんだし。
「…分かったよ。」
うんうん。 素直なのが一番だよね!

94:咲:2012/09/07(金) 19:06 ID:3yU

はい、お疲れ。
シャドウ出動かぁ……。
めっちゃ楽しみ!
飛鳥、圭、じゃますんなよ。
で、えっと、ひ じゃねえ! ブラックキャット(ああめんどくさい……)、飛鳥と圭が、どんどんあ1た1さ2た1た2の分身に……。
ま、現実でもそうですけど。
でもいーなぁー。
人ふっとばせたんじゃん。
あたしもやりたい。
あ、でも、このあと……(汗)
ま、がんばってください。
あと、メッセージ。
な2た2や3あ3ば2は2ま1だ1った1ら1だ4わ3わ1か3だ1さ1あ2
ちょい長いけど、がんばって解け!

95:ブラックキャット:2012/09/07(金) 20:55 ID:bAY

疲れました。ほんと。
分かった。(すぐ解けたよ。)

96:ブラックキャット:2012/09/07(金) 21:10 ID:bAY


私と圭が部屋を出たら、声が聞こえた。
「ちょっと… 大丈夫なの?2人とも!」
「…もう駄目」
「…静かにしろ。 ……うるさい。」
あ。
さっきの3人組が、1人は荷物を3つ持って。
もう2人は、フラフラになっている。
うわ…顔が真っ青。大丈夫なのかな…今にも倒れそうだけど…
私はハラハラと見ていると、1人がフラーッとする。
「―あぁっ!」
思わず手を伸ばすと、ギリギリセーフ。

97:ブラックキャット:2012/09/16(日) 17:05 ID:bAY

「…………………。」
え?え?
私が助けた女の子は、まったく動かない。
「おーい、ひとみー?」
「…船酔いで気絶すんのか。……すごいな。」
え? 気絶? うっそぉ!!
「大丈夫なんですか?」
私がそういうと、「大丈夫、大丈夫! なんとかなるよ!」って言われた。
うーん…。
そんなお気楽でいいのかな…?
まぁ、私はその子達に何の関係も無いから、その場を後にした。



           ☆


私と圭は、廊下を歩きながら今回のターゲットの話をしていた。
「今回のターゲットは、“砂漠の星”って言う絵画。」
絵画?
「それって高いの?」
圭が、パンフレットを見せてくれた。

………。
「800万ぐらい?」
圭に聞くと、呆れた顔をされた。
「時価5000万円。 …書いてあるだろ。」
ここ、と指さすところに、ちっちゃく書いてあった。
「あ、本当だ。」
へぇ……。5000万円ねぇ…
おっと。肝心な事を忘れていた。
「盗む理由は?」
これって、一人一人違うんだよね。
家庭の事情か、偽物ってことが一番多いけど。

―圭の顔が、暗くなった。
「それは…………。」
俯いて、黙りこむ。
「………圭?」
圭がこんな顔するのは滅多に無い。
「……母さんの。」
圭のお母さん…?
「……母さんの、ペンダントが…」
とぎれとぎれに言う。
圭のお母さんは、私のお母さんと一緒に事故で亡くなった。
お父さんが、夜な夜なお母さんの写真を見てること、知ってる。


「―…その絵画に、入ってる。」
私は、多分口がポッカーってしてた。
絵画に入ってる? ペンダントが?
お母さんの…ペンダントが?
「その絵画は偽物だ。 
 それに、ペンダントを狙ってる、盗賊がいるって言う噂もある…」
そこで、圭は顔を上げた。

「本当は、やらせたくなかった。
 …危険極まりない、この仕事は―…」
圭の目は、まだ迷ってる。
ふぅっ…
私は微笑んだ。
「でも… やるって決めたんでしょ? 
 だったらやろうよ!私は…」
圭が、でも…と呟く。




「私は、圭のこと、信じてるから。」
ねっ?
圭が、私に向かって微笑み返した。
頷きながら言う。
「あぁ。 …そうだな。」

98:ブラックキャット:2012/09/18(火) 17:37 ID:bAY


「さ〜って!パーティーだぁっ!!」
今の私は、すっごいゴキゲン!
今日は、パーティーがあるって、チケットに書いてあったんだ!
でも圭が、思いっきり呆れた目で私を見る。

「でも、僕たち、ドレスとか持ってないだろ。」


………………。
あ。
あぁぁぁぁぁっっ!!!
そーだぁっ! どーしよぉっ!
「じゃぁ、パーティー行けないなぁ……。」
なんかショック…。



なんて落ち込んでたら、圭がまたあの思いっきり呆れた目で私を見る。
「ほんとに気付いてないよ…
 目、ものすごい悪いのか…?」
なんてボソボソ呟いてるし。

99:ブラックキャット:2012/09/21(金) 22:05 ID:bAY

「な、なんなの?
 っていうか、私は、目はいいんだけど!」
なんて言ったら、圭は。

「目“は”かよ。」
なんて言うしっ!
…む、むかつくぅっ!
ほら、なんて言っちゃって、圭が差し出したのは。
「ファッションショップ…?」
「そ。チケットについてたぞ。」

―え。
「う、うそっ!あったの!?」
圭は、はぁぁっ…、なんてため息をつく。
わ、悪かったわね!




            ☆




「「「「いらっしゃいませ!」」」」
女の人が、一斉に頭を下げる。
ここは、船の中のファッションショップ…っていう所。
正直、どういう所かよく分かんないんだけど……
あ、圭はもちろん男の人用の所。

「これらは如何で御座いましょうか?」
女の人が、10着くらいのドレスを持って来た。
わぁぁっ…!すごい綺麗っ…
えーっと…じゃぁ……。


よしっ、これにしよっと!

100:ブラックキャット:2012/09/21(金) 22:10 ID:bAY

え〜と、100いきそう…っていうか、いくよね?
それじゃ、おめでとうございます、…っと。

101:ブラックキャット:2012/09/22(土) 14:27 ID:bAY

―シャッ

と、カーテンを開く。
外に出ると、圭が思いっきりくつろいでる格好。
圭は、真っ黒のスーツ。
まぁ、ちゃっかりネクタイは赤。
歩いて来た私を、上から下まで興味なさそうに観察する。
「で。…どう?」
私が選んだのは、赤のワンピース。
頭には、なんかキラキラした石が付いてる髪留め。
…こういう事、あんまりよく分かんないから、説明なんて駄目だけど。

「…いいんじゃない。」
聞こえるか聞こえないかの、小さな声。
へ、と顔を見ると。
「転んで、ドレスの裾、破るなよ。」
飛鳥なら有り得そうだ、なんて言う。
な、なぁっ…!
「そんな事、しないわよ!」



         ☆



会場の近くに近づいていく。
それと同時に、ざわめきも、人も増えていく。
「わぁっ… すごい人…!」
何人いるんだろ…
周りには、ドレスやタキシードを着た大人の人たちが、喋っている。
パーティー会場も、ものすごい広い!
体育館よりも広い、よね…
広すぎて、奥が見えない…。
分かるのは、奥にステージがある事。
天井には、大きくて、キラキラしているシャンデリア。
…………すごい、としか言いようが無いや。
圭も、驚いた顔をしている。
でも、こっちに来て耳元でボソッと呟いた。

「…今夜の仕事、覚えてるよな?」
「うん。 …大丈夫。」
ちょっと心配なんだけど、大丈夫。

私と圭の横を、あの3人組が通り過ぎた。
身長の高い子は、青いワンピース。
1番低い子は、ピンク色の。
もう一人は……あれ?
真っ黒のタキシード。あれ?女の子、だったよね…。
「飛鳥?」
圭の声で、我に帰る。

102:ブラックキャット:2012/10/07(日) 17:18 ID:bAY

「え、あ、あぁ圭!」
こりゃぁまぁ、なんともぎこちない。
「……どうした?」
圭が、思いっきり変な顔をした。
「ううん、何でもない!」
私は笑顔で誤魔化す、っていうか、本当にたいした事じゃないしね。
今度は私が圭の前に立つ。
「ほらっ、行こっ!」
手を差し出すと、舐めんな、とばかりに睨んできた。
「…自分で歩ける。」
かわいくないなぁ、なんて冗談で言ってみたら、今度は本気で睨まれた。
(あー恐。)



           ☆



「…それじゃ、あとは頼んだぞ。」
「任せて!」
私はジョーカーのコスチュームに身を包み、船の部屋から出る。
ただいま午前1時。
夜更かししてる人以外は、皆寝てるはずの時刻。
展示室は、と歩き出すと、圭が冷静な声を発した。
『展示室じゃない、船長室だ。』
え?
『……やっと尻尾をつかんだ。 展示室にあるのは、よく似た偽物。
 クルーズの後、あれを売って、金にしようとしてたらしいな。』
え?でもさ…
疑問を圭にぶつけてみる。
足は船長室へ。
「船に偽物があるのに、どうして本物があるの?」
1つだけでいいのに。
『船に乗せるのに、検査があったんだろうな。
 盗まれて、偽者に摩り替わっていないかどうか。
 まぁ、偽物はダンボールの中か、予備の額の中にでも入れておいたんだろう。』
それと、と付け加える。
『母さんのペンダントは、偽物の額の中だ。間違えるな。』
へぇ、なるほど。


私は、船長室のドアを開けて中へ忍び込んだ。
前の社長室とは違う、居心地の悪さ。
―あ。
金庫の扉が開いている。
うそ……
慌てて、展示室へと走る。



鍵は開いていた。
―閉まっているはずなのに。閉まっていなきゃ駄目なのに。
嫌な予感が背筋を撫でる。
中へ入ると、蹴りが飛んできた。
屈んで避けた後、今度は宝石が頭の上から落ちてくる。
美術品なのに、こんな風に扱っても大丈夫なのかな…?
『飛鳥、落ち着け。』
圭の声は震えてた。
…………………。

103:咲:2012/10/08(月) 21:28 ID:V.A

ピンクじゃねぇーよオレンジだよっっ!
一番低いって……てめぇと3センチしか違わねぇだろーが!!
くっそがぁ!
あー もう……。
うけまくってたらこれかよ。
しかも一部ぱくりだし。
ふーん……あ1た1さ2ら1のほうが一足早かったんか。
ごくろうさまです。ジョーカーさん。
でも、いいバトルだわ。うん。
ジョーカーVSシャドウってさ、結局は2か2わ1か4なんよね。
リベンジ戦あったらおもしろそうやな〜
なーんて。
あ、1つ質問。
これって、シャドウの探偵君出てくるん?

104:ブラックキャット:2012/10/13(土) 21:39 ID:bAY

宝石の雨が止んだ後、私は……


廊下へ避難。
圭に説明を求める。
「ちょっと、何あれ!
 宝石を頭の上から落とそうなんて考える!?普通!
 バカみたい!」
ギャンギャン言ってると、後ろから声がした。



「―悪かったなぁ!
 まぁ、うちバカなのは認めるけど?
 っていうか、人の仕事中に入ってくるあんたが悪いやろ!
 ったく……
 めっちゃひやひやしたわ。」

105:ブラックキャット:2012/10/26(金) 21:59 ID:bAY

「誰!?」
慌てて振り向くと、そこには人影が2つ。
「背丈の差、ありすぎ…」
その言葉はぽろっとこぼれた物だけど、相手には聞こえたみたい。

「あんたっ…
 人が1番気にしてる所をっ……!!」

あれ、そうなんですか。
でも、実際頭1つ分の差が合るのは事実。

106:咲:2012/10/28(日) 00:05 ID:Kdc

くそっ こんガキャ……!
飛鳥もだけど、ひ……ブラックキャットも同罪!
頭1つ分て……まあそうだけどさ。
ひとみとあたしの差すごいもんね。
あたしとあんたは3センチしか違わんけど〜
で、宝石の飴 じゃねえ 雨って、ダミー大量に降らせたとか?
本物はシャドウの手の中〜ってね。

107:ブラックキャット:2012/10/28(日) 19:16 ID:bAY

うん。だから書いたんだよ。
え〜とね、本物の宝石だよ。そこら辺にあったのを、ドバーっと。

108:ブラックキャット:2012/10/28(日) 20:00 ID:bAY

…とりあえず、謝っておこう。
「どうもすいませんでした。
 ……そんなに気にしてるとは思わなくて。」
「一言余計じゃ!!」
間髪入れずに噛み付かれた。
相当気にしてるんだなぁ。

『飛鳥。
 さっさと終わらせろ、そいつ等に構うな。』
了解。
「…そういえばさ、」
そう切り出したのは、人影の内のもう一人。背が高い子。
「……誰、あの人。どう見ても普通の人じゃないし。」
……………ま、そりゃ、まぁ。
今、私は変な格好をしている。普通の人が見たら。
相手も似たような格好をしているんだけど。
その後、しばらくの間があって、背が低いほうが言った。
「…え?怪盗?…あれが?」

あれってどれよ!
っつーか、人を物扱いするか!?よりによって“これ”かよ!
ええい! ここまで来たら名乗ってやろうじゃない!!
『飛鳥っ…!』
圭の声は、私を止めようと焦っている。でも。

そんなんじゃ、私は止まらない!
「そう、私は怪盗!聞いたことくらいあるわよね?
 私(達)は、怪盗ジョーカー!!」
腰に手を当てて、ビシっと指差す。

109:ブラックキャット:2012/10/30(火) 14:28 ID:GV6

圭がボソッと呟いた。
『……なんか、かなり変な人だ。』
うっさい!
聞き捨てならない言葉にはしかっり噛みついておく。
「さぁ!私が名乗ったんだから、あなた達も名乗ってよ!」
「じゃぁ名乗ってあげましょうか〜」
背の低いほうが言う。

「えっとぉ……
 あたしたちは怪盗シャドウ!」

えっとぉ……って何!?そこ悩むとこ!?
背の高いほうが取り次いだ。
「広島の泥棒だから、あんま聞いたことないよ。ねぇ?」
あ、いや、そこ聞かれても…
素直に答えておく。
「あ、はい。今まで知りませんでした。」
「まぁ、知らなくて正解よ。
 ここ東京なんだから。広島ではかなり有名だけどね。」
ちゃっかり自慢?
何かムカつく…

110:咲:2012/10/30(火) 14:30 ID:GV6

自慢してねーっつーの!
ったく、飛鳥は……。
ヒートテックの怪盗相手にむかついてどーすんだって。

111:咲:2012/10/30(火) 18:02 ID:GV6

………ちょい、まて。
本物?
ダイヤじゃないと割れるぞ。

112:ブラックキャット:2012/11/01(木) 19:04 ID:bAY

ん?本物。
大丈夫だって、多分。

113:ブラックキャット:2012/11/02(金) 06:04 ID:bAY

圭が低い声で言った。
『―飛鳥、』
この声。…怒ったときの声だ。
構うな、と言いたかったであろう。圭の台詞をぶった切る。
「分かってるよ、もうそろそろ片付ける。」
そう言って私は中へ入った。


えーっと、砂漠砂漠……
ゆっくり歩いて、見落としが無いように見る。
―見つけた!
カメラの付いたゴーグルで、圭に確認する。
「これで合ってるよね、圭。」
『あぁ。これだ。』
圭に確認が取れたところで、絵をショーケースから出す。
手に重みが乗っかった。
額縁を手で探る。不自然な場所を見つけたら、引き剥がしてみる。
意外とあっけなく外れた。

―ビンゴ!

そこには、ペンダントが2つ、鎖が交差するように収めてあった。
手に取って、立ち上る。
絵を戻し、ショーケースも元通りにする。
そして、部屋を後にした。


        ☆


船室に戻ると、圭が「お疲れ」と言った。
お風呂に入って、体を沈める。
溜息がこぼれた。

―疲れた…
温まって出ると、圭はベッドに寝転がっていた。
取ってきたペンダントを開いている。
「これ、ロケットペンダントだ。」
ロケットペンダント?何それ?
「ロケットペンダントは、中に写真が入れられるんだ。
 ―ほら。」
そう言って、圭は金色の鎖の分を私に差し出した。
「飛鳥の分だ。…自分で開けたいだろ。」
目をそらしながら言う圭は、珍しく…照れていた。
「ありがとう、圭!」

114:咲:2012/11/03(土) 14:59 ID:lOM

たぶんて……。
割れたら責任取れねーよ。シャドウ。
ロケットペンダントの部分ぱくってるし。
まあいいや。

115:ブラックキャット:2012/11/07(水) 18:09 ID:bAY

隣のベッドに寝転がって、ロケットペンダントを見る。
パカッと開くと、若い頃のお父さんとお母さんの写った写真があった。
封じていたはずの思い出が一気に膨れ上がって、脳裏を駆け抜けた。


6年前―
「飛鳥っ!」
お母さんの声がして、私はお母さんの元に走った。
そこには、圭のお母さんもいた。隣に、圭もいた。
「なーに?お母さん!」
お母さんは私の手を引いて歩き出す。
「もう、買い物だって言ったでしょ? 飛鳥ったら、テレビに夢中になっちゃうんだから。」
「…ごめんなさい。」
しゅんとして謝ると、お母さんは私の頭を軽く叩いた。
その手は、いつもと同じで相変わらず優しかった。

大きな通りに出ると、人がいっぱいいた。
お母さんは、圭のお母さんと話していた。
その時、一台の車が走ってきた。
「……危ないわね」
「…えぇ。」
お母さん達はそう言って、通りの端に寄った。
確かに、その車はフラフラしていた。
そして―

こっちに突っ込んできた。
お母さんは私を抱き上げて、反対側へ走った。
でも、強く投げ出された。
「飛鳥、……バイバイ」
そう聞こえた瞬間、車がお店に突っ込んだ。
―圭のお母さんと、お母さんを巻き込んで。
「……ッ お母さんっ!!」
私の意識は、そこで途切れた。


「―ッ……」
ふと目を開けると、圭が私を覗き込んでいた。
「…どうしたの、悪夢でも見てた?」
え、と動揺すると、
「うなされてたし、……涙の痕、付いてるぞ。」
慌ててバスルームに行く。
「あっちゃぁ……」
顔を洗って、タオルで顔を拭く。
戻ると、圭が「着替えたら?」と言ったから、圭を部屋の外に出す。
服を着て、外に出る。
もう既に荷物はまとめてある。今日が最終日だ。

116:ブラックキャット:2012/11/08(木) 06:21 ID:bAY

まずは朝ごはんを食べに行く。
レストランがある1階まで降りる。客室があるのは3階だから、ちょっと遠い。
ドアを開けると、チリンとドアに付いているベルが鳴った。
案内されて、椅子に座る。なんだか落ち着かない。
注文をし終わって、なんとなく余裕ができた。
「そういえばさ、」
圭が私に向かって言った。
「飛鳥、あのペンダントは?」
へっ?
慌てて探るけど、無い。
あれ?どこにやったんだろ?お母さんの…
大事な物なのに……
今すぐ探しにいこうと腰を上げると、圭が手を掴んだ。
ポケットをゴソゴソやってる。
取り出して私に渡したのは、ペンダント。私の。

「な、何で圭が持ってるの!?」
圭は、頭を掻きながら言う。
「ほっぽり出してあったぞ。…多分、ベッドから落ちたんだろうな。」
ほら、と差し出す。
もう一度開いてみる。
お母さん達の写真。次を開くと、圭のお母さん達の写真。
……あれ、もう1つ入るところがある。
……誰の?

………………。
急に黙った私を、圭が驚いたような目で見る。
「…ねぇ、圭。ここって、誰の写真を入れるの?」
圭は、即答した。
「僕と飛鳥だろ。」
なんだか、気持ちが落ち着いたような気がする。
私は、きっと笑顔なんだろうな。
「圭、帰ったら、一緒に写真をとるよ!」
圭は投げやりに言った。
「…どうせ、嫌だって言っても無理やりにやるだろ。」
もちろん!

117:ブラックキャット:2012/11/11(日) 19:33 ID:bAY

圭視線。

僕は先を行く飛鳥の背中を見ていた。
その首には、僕は銀色 飛鳥は金色の鎖がかかっている。
飛鳥は悪夢を見たらしい。母さんたちの、あの事故を。
あれはしょうがなかった、父さんはそう言った。

居眠りだったんだ、しょうがないよ―

そういったときの父さんの顔は、今でも覚えている。
帰ったら、僕と飛鳥で写真を撮ると言った。
実は、少し楽しみなんだ。
母さんと父さんと同じになれる。
空を見ると、雲が一切無かった。空が蒼い。


見てる、母さん。
見てた、僕のこと。
僕、父さん達の跡を継いだよ。
飛鳥は危なっかしいけど、信頼できる相棒だ。
僕は、飛鳥の相棒に合っているよね、絶対。
“絶対なんてこの世には無い”?
無いなら作るよ。僕が。

118:ブラックキャット:2012/11/13(火) 21:42 ID:bAY

圭がぼんやりと青空を眺めている。
きっと、
「……お母さんの事、思い出しているの?」
そっと声をかけると、圭が驚いた顔をした。
その顔が、圭のお母さんと重なって、圭のお父さんと重なった。
それを振り払うように首を振る。
「……なんで、分かった?」
切れ切れの声で、私は悟った。

―圭、思い出したんだ。お母さんの事。
涙が声に混じっている。現に、圭の目にはうっすらと涙が溜まっていた。
圭は後ろを向いて、ぐしぐしと目を擦った。
「………なんでもない、行こう。」
本当に何もなかったような声を出した圭に、今度は私が泣きそうになった。


強がんないでよ、馬鹿。
そう声にしたら、圭が振り向いた。
口元を緩ませて、ふ、と微笑んだ。
珍しい、優しい顔で。
「飛鳥もな。」
普段の圭では考えられないくらいの優しい声。
馬鹿、余計泣きそうじゃん。

119:ブラックキャット:2012/11/15(木) 21:16 ID:bAY

圭は私の横に並んだ。そのままずんずん歩いていく。
ちょうどそこで、靴紐が解けた。
……どうしよう、後もう少しで部屋に着くけど…こけそうだし。
しゃがんで紐を結ぶ。
―その時。


―ガッ
ハンカチで鼻と口が覆われた。
「………ッ!」
視界が暗くなっていく。脳が信号を発している。“寝たら駄目!絶対危ないから!!”……
腕も、足も押さえられていて、動かせない。
「あす、か……」
聞き覚えのある声が聞こえて、横を見ると、圭が床に崩れ落ちた。
「けっ…「大人しくしてるんだな。」
私の声を遮って、男が言った。大人しくしてろって事は、私が騒げば。圭が。
分かった。そういう意味で、私は意識を手放した。

120:ブラックキャット:2012/11/17(土) 21:15 ID:bAY


目を覚ますと、視界に映ったのはまず圭の顔。その背景に、天井。
私はどうやら倒れているみたい。
「飛鳥!……良かった」
起き上がろうとしたら、後ろ手で手が縛られていた。
何とか起き上がる。
そこで、やっと私と圭の状態を理解する事ができた。
ここは……地下室?
私に一人、圭に一人見張りが付いている。その男が持っている拳銃の銃口が、頭に当たる。
「―大人しくしてろよ。」
自分か撃つと思うだけでも、吐き気がするのだろうか。…というか、そんなので見張りが勤まるの?
圭は、私の隣に移動した。
「大人しくしてろ、飛鳥が暴れると困る。」
同じ台詞が2回も続くと、なんか傷付いた。
私は、ふてくされた顔で頷く。


―カツ
遠くで靴音がした。

―カツ、カツ
段々と近づいてくる。

―カツ …カツ
この部屋の前で止まった。
圭が険しい顔をして、ドアを睨みつけている。



―ガチャ
ドアが開いた。
見張りの男が隅に移動する。……って事は、リーダー?
「…よう、こいつらが人質か?」
無精ひげの、いかにも暴力を振るう人です。みたいな人。
「はい、逃亡の恐れはないと思います!」
直立不動で答える部下に、無精髭は笑った。
「そうだな!こんなひ弱な腕じゃ、俺は投げ飛ばせないなぁ!!」
そう言って、無精髭は私を見て、圭を見た。こちらに歩いてくる。


私の目の前で立ち止まり、顔を近づけてきた。


「ふーん…ずいぶん貧弱そうだしよぉ……ちゃんと運動してんのか?」
いまだ体感した事の無い恐怖が、脳内を支配する。
体がガタガタと震えている。
「おいおい震えてんじゃねぇか。」
ニヤケ顔のそいつに髪を捕まれて引き上げられる。
声が大きい。耳が痛い。
無精髭は、震える私を見てまた笑った。
「お前が死んでも、誰も悲しまねぇんじゃねぇか!?なぁ、そうだろ!!」
ゲラゲラ笑いながら部下にふっかける。
圭は、どうやら通信機のスイッチを入れたみたい。声が聞こえた。
『まだ、待ってろ。』
―怒ってる。
もう聴き訳ができるようになった圭の声。聞き覚えのある低い声。
『俺たちを人質に取ったって事は、身代金を要求するだろう。』
無精髭は私を床に叩きつけるように離すと、携帯を取り出した。
そのまま、まるで予定を話すみたいな気軽さで話し始める。
「えー、聴こえるな?警察の諸君、まぁお疲れ様だ。1度しか言わないからよく聴くように。」
……始まった。
「知ってるように、俺達は人質を取っている。子供が2人だ。…あぁ、一応無事だ、今のところはな。要求は、
 ―今から20分以内に、10億円用意しろ。」


周りの反応など気にもかけず、無精髭は淡々と続ける。


「受け渡しは20分後、この船のヘリポートで行う。こちらは既に1人待機させている。ってな訳で、ヘリから
 落としてくれ。偽札だの発信機だのはやめておくように。そんな真似をしたら人質が吹っ飛ぶからな。」
…冗談じゃないよ、そんな理由で殺されたら。
「まぁ、金を受け取ったらすぐに退避するように。俺たちが船から脱出するからな。ちなみに、追跡だのなん
 だのもやめておくように。人質は置いていくが、爆弾をこの船に仕掛けている。そんな真似をしたら、即爆発
 させるから、そのつもりで。…あ、時間に遅れたり、人質を先に渡せとか言ったり、まさか金が用意できなかった
 なんて事があったら、人質2人の命の保障はしない。以上だ。なんか質問はあるのか?」
無精髭はそう聞いておいて、返事を待たずに通話を終えた。

「さぁて……どんな最後を迎えるかが楽しみだなぁ、ガキ共よ。」
この男、人の命をなんとも思ってない。
こんな奴に私と圭の命が握られている思うと、なんとも不安になる。
この男なら、暇つぶしに人殺ししそうだもん。


……でも。あの口調は、何か絶対に逃げられる自信があるように聴こえた。
まぁ、私たち人質をどうにかするなんて言ったら、警察は人質の安全を最優先するはずだけど……
ぬぐいきれない不安が私の体にまとわりつく。

121:咲:2012/11/18(日) 12:38 ID:dOU

ったく。やだな。あーもう。馬鹿らしい。
どんだけカゲロウデイズ&怪盗シャドウWに染まってんだよ。
ああ、あと怪盗レッド5。
おまけにぃ……おまけにぃ……。
あー もういいや。
シャドウここでやってもいいかなって思ったんだけど、だめだわ。うん。
本名公開することになるし。あー つまんね。
あ、そうだ。
これだけ言っとくね。

―――怪盗シャドウW、完成。

122:ブラックキャット:2012/11/18(日) 15:04 ID:bAY

えぇっ!?まじで?
あ、でもね、最後は違うもん。うん。

123:ブラックキャット:2012/11/18(日) 15:33 ID:bAY

沈黙のまま5分が過ぎた。
壁に掛け時計があるのが救いだな、時間が分かるほうがいい。
その間も無精髭はウロウロしていた。
「あー、この時間つまんねぇなぁ。何かねぇかなぁ。」
知らないし。
見張りの人は、そんな無精髭を宥めている。
2人居る見張りの内、一人の若い方がそわそわし始めた。
恐る恐るといった感じで、無精ひげに声をかける。


「……すいません、…用を足しに行ってもよろしいでしょうか…?」


…要するにトイレか。
私がふと隣の圭を見ると、圭の目がキラン、と光ったような気がした。
『チャンスだ。』
短い言葉だったけど、喜びがにじんでいる。
「あぁ、どうせなら2人まとめて行って来い。後でめんどくさくなるからな。」
不精髭がそう言った瞬間に、多分私の目も光っただろう。


―いけるっ!!


ドアが閉まり、相手が無精髭が1人だけになった。
『縄抜けできるな?』
その言葉の返事のために、無精髭に見られないように手首を自由にする。
足は元から縛られていない。この油断が命取りだ。
見ると、圭は既に縄抜けしていた。
『…こいつをぶっ飛ばすために、』
一呼吸置いて、圭はとんでもない事を言った。

『―俺がこいつにわざと捕まる。』

圭っ!?
既に圭は無精ひげに向かって歩いている。
「…何だお前」
「帰らせてもらう。」
不精髭は圭を鼻で笑った。
「はっはっは!無理だろ!!」
次の瞬間、無精髭は後ろに倒れこんだ。


「…お前、性根腐ってるよな。」


圭が不精髭に回し蹴りをくらわせた。
首に足が当たったらしく、首を押さえている。
うわ、かわいそ……
「飛鳥」
逃げる、という事なのかな?
無精髭の横を通り過ぎようとすると、足を掴まれた。
見ると、拳銃を突きつけられていた。
「飛鳥ッ!!」
圭がこっちに来るのを、拳銃を突きつけて止める。
「お前っ……!」
「おっと、こっち来るなよ?こいつが吹っ飛ぶぞ!?」
再び頭に突きつけられる。痛い。
不思議と私は恐怖を感じなかった。
「こうなりゃ人質に着いて来てもらうしかねぇな!」
……私、絶対絶命?

124:ブラックキャット:2012/11/18(日) 19:39 ID:bAY

怪盗ジョーカー 6 〜ジャック犯VS怪盗〜

「飛鳥を離せ。」
圭の言葉に、無精髭は笑った。
「はっはっは!!離せって言われて素直に話すわけねぇだろ!?」


意識を集中させる。


私は体を半回転させ、無精髭に向き合う。
手を軽く引いて、目を閉じる。


「―ハァァッ!!!」


ドゥ、と音がして私の拳が、無精ひげの鳩尾にヒットする。
これは確実に効いたらしく、無精髭は膝から床に崩れ落ちた。
「怪盗を舐めんじゃないわよ、監獄にでも一生閉じこもっとけっての!」
ちょうどその時、ドアが開いた。
縛られている無精髭と、私と圭を交互に見比べる。
その反応は全く持って遅い。
私と圭が間合いを詰めて、拳を叩き込んだのはほぼ同時だった。
2人とも縛り、柱に括り付ける。


「完了…か。」


明らかに疲れた表情をした圭が呟いた。
私はその言葉が合図になったかのように、急に力が抜けた。
座り込みそうになり、慌てて膝に手をつく。
圭がこっちに駆け寄ってきた。
圭が私の手を握る。ぎょっとした私にお構いなく、そのまま手を引っ張られる。
「飛鳥、行くぞ。……まだ相手はいる。」
圭の眼は、まだ光っている。
言いたいことが分かった。


「怪盗ジョーカー、出動。」


圭の言葉に、私は微笑んだ。
大丈夫、私と圭なら。
―なんとかなるよ!


「了解!」

125:ブラックキャット:2012/11/20(火) 21:40 ID:bAY

圭は、かなり入り組んでいる道をずんずん進んでいく。
「ねぇ、圭…」
「………何」
短く答えた圭は、いつもの圭だった。なんとなくほっとする。
「ここ、どこ?」
私の質問に、圭は思いっきり呆れた顔をした。
「飛鳥……知ってるわけ無いか。しょうがないな。」
………。
何気に失礼なことを言ったよね?さっき!
「気のせいだろ、空耳だ。」
「何言ってんのよ、私は目と耳だけは良いんだから!!」
「…“だけは”かよ。」
う、うるさぁーいっ!別にそこ、反応しなくてもいいじゃんかっ!
むぅぅっ……
なんだか自分で自分にとどめを刺したみたいだ。ここで自分の馬鹿さ加減に無性に腹が立つ。「飛鳥を離せ。」って言ってくれた時、ちょっと嬉しかったのに。

そこまで考えた時、廊下まで出てきた。
「あれ、あそこって、操縦室の近くだったよね?」
そこだけ分かったんだけど…
圭が頷いた。
「あぁ、あそこは操縦室だ。…多分、あそこに残りが集まっているだろうな。」
カードキーをかざして、鍵を開ける。
部屋に入ると、圭はパソコンと、ヘッドフォンと、いつもの白衣を取り出した。
白衣は、おじさんがくれたらしい。ジョーカーの仕事の時は、いつもあの白衣を着ているんだよね。
私は、服を持ってバスルームに駆け込む。
着替えを手早く済ませて、部屋に戻る。
すると、圭はベッドの上に道具を取り出していた。
「催眠スプレー。ゴムボール。催眠ガスの入った玉。改良しておいたICレコーダー。改良しておいたゴーグル。ペンライト。ジャックナイフ。ロープ。連絡用の小型無線機。…これくらいか。」
……多っ。
でも、圭がポーチに入れたら不思議と納まるんだよね。全部。それに、すごく出し入れしやすいんだよね。
「飛鳥、早くしろ。」
「分かってるって。」
鏡の前で、もう1回髪を結びなおす。いつもと違った結び方してたの忘れてた。
ゴーグルを着けて、スカーフを口元まで上げて、顔を隠す。
「圭は、どこにいるの?」
「……そうだな、この部屋にいるよ。」


「分かった。この部屋に戻ってくればいいんだね?」


そう言った私を、圭が驚いて見つめた。
…な、何?
けれど、圭は首を振った。いらない考えを追い出すように。


「―あぁ、絶対戻って来いよ。」


私はその声に押されるように、部屋を後にした。

126:咲:2012/11/21(水) 16:22 ID:gpw

お疲れっ
ああ……ますます似てくる……
まあ、あたしならこうするだろうしね。
……内臓破裂させないようにしないとな……。
………あ。
「飛鳥を離せ。」っつった直後の無精髭の台詞、おかしくなっとるよ。
「離すわけ」が「話すわけ」になっとる。

さて、スレ探しするかぁ――っ

127:ブラックキャット:2012/11/21(水) 19:58 ID:bAY

うん、疲れた。
……あ。ほんとじゃ。
んじゃ、訂正ね。

128:ブラックキャット:2012/11/23(金) 22:10 ID:bAY

廊下を走る。
今の時刻は、午後3時50分。
あっという間だったような気がするんだけど、以外に時間が経っていたみたい。
『そこを右に曲がって、通風口に上がってくれ。』
了解っと。
角を右に曲がる。足を止める。
ワイヤーを、通風口の蓋に引っ掛ける。
予想はしてたけど、埃が大量に積もっていた。
「うぇっ……!やっぱり汚いっ…」
『しょうがないだろう、誰もそこは掃除しないと思うぞ。』
はいはい、そうですね。
這って進んでいると、方向感覚が無くなるんだよね。だから、圭のナビ無しだと迷ってる。
しばらくすると、操舵室の真上まで来た。


「金は用意できたのか!?後5分で時間だぞ!」


かなり大きい男の声が聞こえた。
様子を窺うと、サングラスをかけた男が、おそらく警察の無線であろう物に怒鳴っている。
相手の声は、ぼそぼそとしか聞こえない。
サングラスの近くに、1人の男。
船員らしき人たち数十名は、皆後ろ手に縛られていた。その人たちに、3人の男が拳銃を突きつけている。
眼に涙を浮かべている女の人もいる。そりゃ、怖いよね。
でも、後5分か……
「圭、大丈夫?」
心配になって圭に聞いてみると、『よし』と聞こえた。
『―あぁ、大丈夫だ。
 この船のシステムにハッキングした。あの男が部屋を出る瞬間を狙うぞ。タイミングを合わせて下におりて、制圧する。飛鳥、いけるか?』
もちろん!任せてよ!
『狙うのは、3人の男がそれぞれ持っている、3丁の拳銃。チャンスは一瞬だ。』
了解!
深呼吸して、呼吸を整える。
ゴーグルを暗視スコープに切り替えて、いつでも飛び降りれるように構えながら、下を窺う。
「後1分か……もうそろそろだな。おい!行くぞ!!」
「は、はいっ!」
―きた!
『飛鳥、2人が部屋を出た瞬間に、照明を落とす。いいな?』
2人の男は、ゆっくりとドアに向かって歩き出した。
ドアノブに手をかける。
眼を閉じて、蓋を少しずらす。圭の声だけに意識を傾ける。


『行くぞ。……3,2,1……GO!』


―バチンッ、と操舵室の照明が落ちて、真っ暗になる。
それと同時に、私は通風口を突き破って下に着地した。
「何だ!?どうした!」
男が喚く。突然のことに反応できていない。


―その隙を逃さないっ!


近くにいた男の銃に狙いを定める。
「はぁっ!」
足を振り上げ、銃を弾き飛ばす。
その勢いで、もう1発蹴り!
「ぐぁっ!」
男は人質と離れた床に倒れこんだ。
それを確認して、もう1人を見る。
銃を構えている。その先には、人質の人達!
させないっ!
催眠ガス入りの玉を弾く。
―パンッ、と間一髪で玉が割れた。真後ろにばったり倒れる。
あっけにとられている最後の1人の鳩尾に、拳を突き出す。
男は膝から崩れ落ちた。
―これで、よしっ。


「ふざけるなぁっ!!」


聞こえた声の方角を見ると、さっき出て行ったはずのサングラスの男が、銃をこちらに向けていた。
―!!
戻ってきた!?
『飛鳥!!』
「貴様が何者だか知らんが、許さんぞぉ!!」
そいつは、怒りに体を震わせている。
いつ引き金を引いてもおかしくない状態だ。
私が弾をよけたら、人質に当たってしまう。
一か八か、一気に間合いを詰める?
………。
やるしかないじゃん!
一瞬のうちに考えを固めて、一歩を踏み出すと。


「……お前のしている事の方が、許されないと思うんだけどな。」


サングラスの持っていた拳銃が弾き飛ばされた。
そして、もう一発の蹴りを食らう。
「………これで良し。」
ぽけっとに手を突っ込んで、倒れているサングラスの男を冷たい眼で見下ろす、


―圭。


サングラスをかけて、フードを被って顔を隠している。
「…怪盗ジョーカー、参上だ。」
圭は、ボソリと呟いてジョーカーのカードを、サングラスの男の胸ポケットに入れた。
そして、人質の人たちに向き直ると、声色を変えて言った。
「…すぐに警察が来ます。なので、事情の説明、お願いします。……それじゃ。」
私に目配せをして、圭は部屋を出た。
私は、慌てて人質の人達に頭を下げて、圭の後を追うように部屋を後にした。

129:ブラックキャット:2012/11/24(土) 13:42 ID:bAY

部屋を出てドアを閉めた私は、悲鳴を上げそうになった。
「け、圭っ!?」
そこには、圭がフードを取って立っていた。
私の様子を見た圭は、呆れた顔をした。
「…驚きすぎだ、飛鳥。」
そしてスタスタと歩き始める。
慌てて隣に並ぶ。
「ねぇ、圭。」
返事を待たずに、私は圭の前に回りこむ。
「ありがとうね、圭!圭のおかげで、私、一か八かの勝負に出なくてよかったから。」
圭は、視線を逸らしながら「あぁ。」と言った。
そして、私は質問を投げかける。
「どうして、圭が操舵室に来たの…?」
「…来なかった方が良かった?」
そういうわけじゃないっ!
「……部屋を出た2人が戻ってきて、5人対1人になったら、飛鳥が不利だろう。まぁ、戻ってきたのは1人だけだったけど。」
圭は、そこで言葉を切った。


「“飛鳥が心配だった。”…これだと駄目か?」


駄目じゃない。絶対。
「ありがと、圭。」

130:ブラックキャット:2012/11/24(土) 13:53 ID:bAY

圭は、操舵室に来る前に警察に連絡を入れたらしい。
連絡を受けた警察は、時間になると船に降り立ち、犯人達を連れて行ったって。
クルーズから帰ると、まずは事情聴取。
大人相手だと緊張するだろう、って言ういらない御節介で、相手は中学生探偵、黒本遥。
別の意味で緊張するって!
圭は、しれっとした顔で嘘を吐くし。
私はしどろもどろ。
遥は遥で、ニコニコしながら目が笑ってないし!
もうやだよぅ…

131:ブラックキャット:2012/11/24(土) 18:57 ID:bAY

怪盗ジョーカー 7 〜ドタバタな学園祭〜

10月に入ると、学校はもう“学園祭モード”。
私が通っている学校の学園祭は、地域の人たちがかなり来るらしい。
一応各クラスで出し物をするらしいけど……。
正直言って、私はあんまり興味が無い。圭に至っては、もう無関心。
どうでもいいなぁ……。なんて言いようが無いのが、私がいる、この1−B。
クラス委員が『学園祭なんだから皆でひとつになって頑張ろうよ』的な女子。
担任が『夕日に向かって走ろうぜ』的な教師。
…ようするに、“熱血”クラス。


―しかし、『平穏な日常が一番』な私にとっては、学園祭は、もはや関心が無いに等しくなっている。


「圭、それでどう?」
「…だから、ここは警備員が3人で…」
ただいま、怪盗ジョーカー作戦会議中です。
というか、圭の作戦の確認なんだけどね。
ちょうど席が隣だし、一番後ろだから最適の場所なんだよね。
「はい、それでは、我らが1−Bの出し物は演劇をすることになりましたー!」
割り込んできた大きな声に、私の肩は跳ね上がった。
前を見ると、クラス委員の川野 沙耶がきらっきらの顔で教室を見渡している。
隣の圭は、こっそりタッチ式の携帯をいじっている。
つんつんつつくと、圭はムッとした顔で私を見た。
「……何」
「圭、聞いてる姿勢はしときなよ。川野さん、しつこいから。」
そのあいだにも、川野さんやクラスメイトは、何の劇をするかを話し合っている。
「ロミオとジュリエット!」 「刑事ドラマ!」 「恋愛ドラマ!」


「「…ドラマかよ。」」


私がこそっと突っ込むと、圭と声が重なった。
隣を見ると、圭は肘をついて前を見ている。本当に興味なさそう。


「怪盗がハートを盗んじゃうなんてどうっ!?」


一際大きな声が上がった。ギョッとして見ると、その声の主は一番前の席の女子。
1−B影のボス、なんてコソコソ言われている夏野 美奈。
えーと……ピンク大好き、フリル大好き、可愛い物大好き。…私の苦手なタイプ。
圭もそれは同じらしい。前にはなしかけられた時、かなり引いてたもん。
「あら、良いわね!」
え、川野さん、決定ですか。
「それじゃ、まずは役割を決めなくちゃね!!」
あ、決定してるよ。
「えーと…じゃぁまずは…」
「で、圭。そこに警備員が…2人?」
私が聞くと、圭は私の頭を軽くはたいた。
「3人だ。…何回言えば分かるんだ?」
うぅぅ…そこまで言わなくたって…

132:ブラックキャット:2012/11/25(日) 17:28 ID:bAY

「……で、そこで遥が来るだろうから、裏口か屋上。できれば裏口のほうがいいな。」
「ダミーはどうする?」
相変わらず私と圭は作戦会議中。
「ダミーは一応置いていけ。警備員の目くらましになる……まぁ遥は騙されてくれないだろうけど。」
「そうだね。」
私が頷いたところで、前の席の女子が私を呼んだ。
「あの、岩本さん…」
慌てて圭が携帯を見えないように隠すのが分かった。
「早く行かないと、川野さんが怒りそうです。」
「…はぁ…」
まったく状況が飲み込めてないんだけど…
すると、圭がボソッと呟いた。
「……姫約を決めるらしい。……飛鳥はやめといたほうがいいけれど。」
余計なお世話だよっ!
圭の言葉にはしっかり噛み付いておく。
席を立って教卓の近くに行くと、案の定川野さんに「遅いよ、時間無いんだから。」と文句を言われる。
一応謝っておく。そうしないとうるさいからね。
「で、考えたんだけど…」
川野さんが言うと、かなりの確立で決定する。聞くまでも無いと思うんだけどな……


「私と、美奈ちゃんで姫役をやろうと思うんだけど…」


…2人?
………あぁ、午前と午後に1回ずつ。
「いい?」
夏のさんがぐるりと見回す。誰も首を振らない、頷くだけ。
1人輪から外れて、おまけに無反応な私をみた夏野さんはこっちに来た。
「岩本さんは?」
「…別にいいですけど。」
私の答えが気に食わなかったらしく、手を腰に当て、顔を寄せてきた。

133:ブラックキャット:2012/11/28(水) 19:55 ID:bAY

「岩本さん」
こういう時は、圭のキャラが役に立つんだよね。
「……何ですか」
あくまでも口数を少なく。余計なことは言わない。
「…あのさぁ、前から思ってたんだけど、岩本さんってさ、孤立しすぎじゃない?」
本当は聞き流したいところなんだけど…まぁ、一応返事をする。
「……はぁ」
いらついた様子を隠そうともせず、更に顔を近づける。それに合わせて私は半歩後ろに下がる。
「文化祭なんだからさぁ、皆で協力しよう、とか思わないの?」
正直言って思いませんけど。…なんて言えたらどんなにいいか。
「っていうか、そういう感じ、もしかして紅本の真似?」
思いっ切り話が変わって、私は面食らう。
……うわ、そうくるか。
そこで、川野さんがとんでくる。
「うそ、岩本さんて紅本が好きなの!?」
…だから、何でそうなるんだ。
………あ、そうか、私と圭がいとこだって言ってなかったな。
なんて私が思っている間に、川野さんと夏野さんとその他中心的存在の女子が騒いでいる。
―曰く、


「紅本ってさ、暗いよね」
「そうそう!って言うか、私話したこと無いー!」
「あ、分かるー!もうさ、話してる所なんてあんまり見ないよね!!」
「1回話したことあるんだけど、もう怖かった!」
「そうそう!もうさ、目合わせないよね!口もあんまり開かないしさ!」
「暗い!とにかく!!いつも何してるんだろ、パソコン?」
「あー、パソコンだけが僕の友達って?」
「アハハハハッ!ありそう!!」
「あ、それにね。テストはいつも満点ばっかりなんだって!」
「うわっ、何それ!なんか羨ましい!!」
「がり勉キャラ?もしかして」
「うわー!ひくわ〜」
「もうさ、人間は嫌い!とか言ってそうじゃない?」
「あ、ありそう!!騒がしいし頭は悪いし?」


私は、無意識のうちに近くの机をぶっ叩いていた。
騒がしかった教室が沈黙に包まれる。
いつもの私にはあり得ない行動に、圭以外の人は皆、ポッカーンとしている。
私は息を吸って、怒鳴りつけるように言う。


「―圭はそんなんじゃない!!」


その言葉で、教室にざわめきが戻った。
夏野さんが、挑戦的な目を向けてきた。
「そんなんじゃないって?何それ。」
私は、そんな夏野さんを睨む。
「そうやって、人を勝手に否定すること。それが夏野さんや河野さんの悪いところなんです。…圭は、人が嫌いなんじゃない。人付き合いが苦手なだけです。それに、圭が賢いのは、たくさん勉強したからです、小さい頃から。圭のせいじゃない!」
まだまだ言ってやろうかと思った、私の口が塞がれた。
「飛鳥」
身長は圭の方が少し上だ。そのまま抱え込まれる。
「…もういい。―ありがとう」
圭は、夏野さんを見た。怒っていないし、笑っているわけでもない。無表情で、夏野さんを見る。
「…飛鳥の言っていることは本当です。……今日は早退します。」
いつの間にか持っていた私の鞄を私に放り投げて、圭はスタスタと歩き出した。

134:咲:2012/11/28(水) 23:56 ID:E6I

絶対、ね。
きたか……H田。
あ、I藤かもな。
おまけにK岡……。
熱血クラスって……G藤だったら1組だな。うん。
こっちは熱血どころか……はぁ。
うん。まぁ、あたしもぶっ叩くだろうね。
飛鳥がやって、壊れないのが恐い……。
でも、飛鳥もすごいねぇ。ちゃんと抑えられるんだ。
あたし無理だわ。
絶対に男子口調になる。全部。敬語とか、ないっ。
「圭はそんなんじゃねぇ! そうやって人を自己解釈で否定するとこが、てめぇらの悪いとこだろうが!
 人が嫌い? 違う。人と接するのが苦手なだけだ。……幼いさい頃から、今、これからもずっと。
 無駄に賢いのは、ちゃんと勉強をしたから。あたしやお前らみたいに、やらずにできーんって
 言ってるんじゃないからだ。 これが圭だよ。ちゃんと知りもしないくせに、好き勝手なこと言うんじゃねぇ!!」
って、涙目(もしかしたらほんとに泣くかも。)&悪すぎる滑舌で言うんだな。
で、暴言まで吐いて、先生に怒られる。あーあ。
……むぅぅ。身長差ぁ……
そりゃまあ、あんたの方が上ですけどねぇっ!
ふぅんだ!
たった3センチのくせに……。
……一瞬早退がうらやましくなってしまった。はは。

えーと、新スレね。
題名が……めっちゃシンプル。そのまんま。適当。
「双子ミステリー日記」
最初「双子日記」だったのを改良したんだよっ!
笑うなぁっ!

んじゃ、手紙書いてこよーっと。

135:ブラックキャット:2012/11/29(木) 19:35 ID:bAY

私達は、家までの道のりを黙々と歩いていた。
圭は平然としているんだけど……
私、こういう沈黙って、苦手なんだよねぇ。


なんてぼんやり考えていたら、あっという間に家に着いた。
鍵を開けて、中に入る。
お父さん達は、今日は忙しいらしく、帰ってくるのが遅くなるかも、って言っていってた。
部屋に入って、2段ベッドに寝転がる。制服のシワは気にしない。
しばらくすると、ノックが聞こえた。圭だ。
「入るぞ。」
「いいよー。」
圭は机に鞄を置いて、パソコンを取り出した。
私は、やりたいことも無かったし、口は開かない。
再び降りる沈黙。


「…飛鳥」


突然呼ばれたことにすごい驚いた私は、「な、な、な、なに!?」と間抜けな返事をしてしまった。
グッ、と音がした。
圭は、こっちにわざと背を向けて座っている。その肩が、震えている。
頬が熱くなるのが分かる。
「け、圭っ!そんなに笑わなくてもいいじゃない!」
私が怒鳴ると、圭の肩の震えが収まった。けど、まだこっちを向かない。
「圭っ!」
2回目の怒鳴り声に、圭はやっとこっちを向いた。目を伏せて。
「……悪い」
即座に噛み付く。
「目を伏せて言っても効果ないから!あーもう、何でそんなに笑うのよぅ!」
「だから悪いって、ごめん。珍しいから。」
「一言余計よっ!」
あーもう、何なのよ。
圭はもう無表情を決め込んだらしく、仮面をつけたみたいな顔になっていた。
「…で、飛鳥」
真面目な圭の声に、私は上半身を起こした。
緊張しながら返事をする。
「…何?」
「今日の仕事、覚えてるか?」
圭の言葉に、私はキッカリ10秒固まった。


……………忘れてた。

136:ブラックキャット:2012/11/29(木) 21:16 ID:bAY

雲の無い真っ黒な空に、三日月が浮かんでいるのが見える。
ある大きな豪邸。
私は門から数メートル離れている場所に身を隠している。
『いけるな』
もちろん!
通信機も調子はOK。
『まさか仕事のことを忘れているとは思わなかった』
「そこ、まだ根に持ってるの!?もう、いい加減忘れてよぅ……」
溜息を吐く。圭は気付いていない。
一回深呼吸して、気持ちを落ち着ける。
「行くよ」
『―あぁ。』


圭の声に押されるように、私は門の前に立った。
警備員はいない。ここ、住宅街だしね。目立ちたく無いんだろうな…

この大豪邸の持ち主、鈴峰家は、いろいろなジャンルにも大きく貢献している、かなりのお金持ち。
その鈴峰家会長、鈴峰 元保は2年前イギリスで盗まれた宝石を、ある人から預かったらしい。
でも、その前も元保は盗品の売買を行っていたんだって。
と、いうわけで。その宝石を盗んで、不正の証拠を奪おう!ってなったんだ。
……ま、さっきの説明は圭の情報なんだけどね。

塀を越える。2メートルくらいだから、楽勝。
上から覗くと、下には芝生。そして圭の一言。
『赤外線せんさーが張り巡らされている。…落ちるなよ』
分かってるって!…最初聞いたときはびっくりしたんだけど。
「A班、異常なし」
男の声がした。
そっと覗くと、警備員が無線に向かって話している。
無線機越しに聞こえる声は……探偵、黒本遥!
『…やっぱりいるか』
圭の言葉が終わらないうちに、私は塀の上を駆け出した。
『お、おい飛鳥!?』
「探偵君の登場よ。…見つかるわけには行かないわよっ…と」
私は塀から下へと飛び降りる。
「誰だ!?」
警備員が叫ぶ。
遥はまだ気付いていない。…なら、行くよぉ!
私は開いていた窓から、豪邸の中へと足を踏み入れた。


廊下を歩いていると、通信機から、いきなり溜息を吐かれた。
『お前は感覚で動く癖をどうにかしろ、考えは脳まで持って行け』
「開口一番失礼千万なんだけど!」
『頼むから!』
めったに聞かない圭の怒鳴り声に、私は飛び上がった。
『警備員3人以上いる所を無茶して走って突破しようなんて考えるな!何のために俺がいるんだ!俺が安全に入れるルートを考えてたことくらい察しろ!』
その怒鳴り声に、反論しようとした声が喉の奥に入り込んだ。やばい、本気で怒らせた。本気で怒ったということはつまり本気で


―心配させた。そういうことになる。


「―ごめん」
間をおいて、答える。
「圭の存在自体、忘れてた」
『お前って奴はっ……!』
「えぇ、何で!?すごい真面目に謝ったんだけど!?」
真面目な謝罪が仇となり、小言はかなり長引いた。思わず身を縮こませる。
もういい加減済んでくれという飛鳥の願いが届いたのか、時間が少なくなったからなのか、ようやく小言がやんだ。
圭は相変わらず不機嫌な声のままだけど、一応ナビが復活。
『…でも飛鳥のカンは侮れない。今回はカンが当たって良かった』
圭の呟きを、微妙な表情で聞く。
『…そこを左だ、警備員が3人。眠らせろ』
了解っ
両手で催眠ガス入りの玉を弾く。2人に命中、残りの1人は…
「…くそっ無線が………」
あの警備員の無線は、すこし前にいただきました。
もう1個を握って、弾く。
「…ぅぐっ……」
倒れたのを確認してから、3人が立っていたドアの前をおそるおそる通る。
そのまま、廊下の天井にある通風口から、天井裏へとあがる。やっぱり埃だらけ。


展示室の真上まで来た。

137:咲:2012/11/30(金) 00:23 ID:lHE

わ、忘れて……たぁ?
いや、いくらあたしでもそこまで抜けてないよ。うん。
あーあぁ……圭が怒ったぁ……。
謝るの無線機越しでよかった。
面と向かってたら絶対涙声になってる……どうにかせねば……。

じゃ、更新してきまーすっ

PS ……やっぱいいや。登校中言う。

138:ブラックキャット:2012/12/01(土) 10:12 ID:bAY

チラっと見ると、警備員がうじゃうじゃいる。
「うぇぇ、何この人数……」
あらかじめ圭から人数の検討は聞いてたんだけど、やっぱり実際に見ると…。うん。
『何人いる?』
言われて、音を立てないように移動しながら人数を数える。
1,2,3……
「えっとね、13人、かな」
『…遥はいるか?』
圭が言った瞬間、まるでタイミングを見計らったみたいに遥が入ってきた。
「入ってきた。…でも、ずっといるつもりは無いみたい。」
遥は、警備員の内の1人と短く言葉を交わして、また出て行った。
…何するつもりだろう?
『何をするつもりか、まだ分からないが…。
 まぁいい。俺がタイミングを合わせて、飛鳥が降りた瞬間に屋敷全体を停電させる。復旧するまで、おそらくは2分程度かかるだろう。照明が復旧するまでに天井裏にもどれ。』
了解!
1回深呼吸すると、カウントダウンが始まった。
『いくぞ。…3,2,1……GO!』
バチン!と音がして、部屋が真っ暗になる。
静かに着地。警備員の後ろを抜ける。
「何だ!?」「早く復旧させろ!」「落ち着け、動くな!」
いろんな怒声が飛び交う中、私はショーケースの鍵を針金で開ける。複雑な造りになってるみたいだけど、何とかクリア。
目当ての宝石は、すぐに見つかった。
手袋をして、持ち上げる。手にずっしりと重みが乗っかる。
すぐにウエストバッグから“アレ”を出し、代わりにおく。通信機から圭の声がした。
『残り15秒。』
う、ヤバッ!
まだ騒がしい中を、走って抜ける。
『…3,2,1、0。』
照明が戻った。
私は、天井裏で息を吐いた。
そのまま寝転がりたい衝動を必死に押さえる。ここは汚い、それに。


―まだ終わってない。

139:ブラックキャット:2012/12/01(土) 12:17 ID:bAY

5分くらい経った。
物置のドアを開ける。古いのか、立て付けが悪いのか、ギイィ…と音がした。
そっと周りを確認する。
『OK、誰もいない』
そっと抜け出すと、周りは相変わらず真っ暗だ。
忍び足で歩き出すと、不意に声をかけられた。



「やっと見つけたぞ、ジョーカー。」


心拍数が一気に上がった。声を出さなかっただけ上出来だ。
振り返ると、見覚えのある影が立っているのが分かる。
「……やっぱり、騙されてくれない、か」
振り返ると、遥が立っていた。
相変わらず、仕事のときは気難しそうな顔をしてる。
「あぁ。これは偽者だな?…かなり本物にそっくりだが」
そう言って遥が取り出したのは、私が現場に残したターゲットの偽物。
圭が作ったんだけど、かなり似せてあって、パッと見では、区別がつかないほど。
私は得意気に笑った。
「でしょ?かなり大変だったのよ、それ作るの」
『作ったのは俺だけどな』
あ、余計なことは言わないで。
「……まぁいい。今日こそは捕まってもらうぞ、ジョーカー」
私は小さく首を傾げた。意味が分からないよ、と言うように。
「さぁ、どうかしら?」
遥との間合いを一気に詰める。
不意打ちだったから、遥の反応はかなり遅れた。


―いっくよぉ!


遥に向かって突っ込んで、直前に跳ぶ。
空中で1回転。後ろに着地すると、遥が振り返った。
「ジョーカー!」
私は立ち止まって、口元に笑みを浮かべた。
「これは、私が元の持ち主に返しておくわ、探偵君。…任せてもいいんだけれど、遅いのよね。貴方達警察は。個人の持っている物に代わりは無いの。同じ物を買っても、失った物に籠もっていた思い出は戻らないのよ。」
口が滑った。見ると、遥は怪訝な顔をしている。
『…飛鳥?』
怪訝に思っていたのは、遥だけじゃないみたい。圭もだ。
「何を言ってるんだ…?」
私は思わず口を塞いだ。何言ってるの?私は。
「な、なんでも無いっ」
私はそう言い置いて、後ろも見ずに走った。


その後、圭は私の言葉に何も突っ込まなかった。

140:ブラックキャット:2012/12/01(土) 16:24 ID:bAY

「はぁぁ……」
私は今日何度目か分からない溜息を吐いた。
圭はそんな私の様子を呆れた目で見ている。
「…悪かったよ、昨日は。」
圭が謝っているのは、昨日の教室での騒動の事。
「大丈夫だよ、もう気にしてないもん。…でも」
私はもう気にしていない。しかし、クラスでの反応はどうだか……
うだうだやってる内に、教室の前に到着した。
ドアを開けると、教室に居た全員の視線が飛鳥と圭に集まった。
何も気にしてないフリを装って、席に着く。
でも、視線が痛い。
コソコソと聞こえる私の名前。
チャイムが鳴るまで、私は落ち着く事ができなかった。


授業が始まる前の休憩時間。川野さんと夏野さんが机まで来た。
「ねぇ、岩本さん」
明らかに偽物だと分かる笑顔で、私に話しかけてくる川野さん。
あえて目を合わせない私に、早くも苛立ったみたい。
「紅本と付き合ってるの?」
私は、飲み込む間もなく「はぁ?」と言ってしまった。
「付き合ってる?私と圭が?なんですか、新手の嫌がらせですか?」
遠慮なく言った後、私は口を押さえた。
やばい、こうなると……
頭の悪い私に予想できた流れを、圭が考えないはずも無く。
隣でガタン、と音がした。見ると、圭が私の頭に手を乗せた。
「…変な事を言わないでください。飛鳥が混乱します。」
下から見上げる私には、圭が夏野さん達を睨んだのは分からなかったけど、睨んだらしい。
ビクッとしたかと思うと、そそくさと離れていった。
圭の雰囲気はまだふて腐れている。私は恐る恐る圭を見上げる。
「……圭、ごめん。ありがとう」
相変わらずそっぽを向いていたけど、小さく頷いた。




      ☆




「それでは、役を発表します。じゃぁ、まず怪盗役は、紅本圭君。姫役は私と、夏野さん。あと……」
怪盗役の名前が言われたとき、クラスが一瞬ざわついた。
私はぽっかーんとしてたし、圭も驚いてる様子だった。
台本を渡されたときも、表情が無表情にしてるつもりなんだろうけど、少し引きつってたし。
私は、裏方役。私にはその方が向いているし、まぁいいかなって。
一番心配なのは、圭なんだけど……


『アリサ姫……少し遅くなってなってしまいましたが、予告どおり参上いたしました。』
“か、怪盗プリンス!?どうやって此処に?”
『あの程度の警備では、私をとめる事はできませぬ。この激しく燃えるたいまつの炎のように、どんなものでも焼き尽くして見せましょう…』
“おもしろいのね、貴方。だけど、私を此処から連れ出す事はできるかしら?”
『やってみせましょう、貴方のためならば…』


台本の一部を見せてもらったんだけど…何これ?
圭が……これを?言うの?ステージの上で?
「ねぇ、圭…大丈夫?」
「台詞は全部覚えた。……でも」
圭の言いたいことは分かった。
怪盗と王女のラブストーリー、か。


―いいなぁ。


脳内に突然現れて点滅したその感情。
何がいいの?圭が羨ましいの?それとも、姫役の夏野さんと川野さんが羨ましいの?
どうして?なんで?
頭の中で疑問符がぐるぐるする。頭がパンクしそうだ。
圭はというと、練習で注意されまくっている。そりゃそうだよ、圭が急にあんなこと言ったら…びっくりするよ。
学園祭、かぁ…

いつの間にか始まった準備。
いつの間にか取り残された私。

これ、寂しいって言うのかな?どうなんだろ。
よく分かんないや。圭も、自分も。

141:咲:2012/12/01(土) 22:54 ID:RzY

う、ああ。
ああああ。
け、圭がぁ……。
怪盗プリンスって……王子じゃねえか。
飛鳥、それはね、妬いてんだよ。うん。
まあ、ほっときゃいいよ。それは。
最初そうだったもんなぁ。
わけわからん感情だったから、とりあえずココロ探究。
(よし、母さんが上がった。)
そしたら妬いてるっていう感覚に当てはまったんだっけ。
なぁーつかしーぃ。
ま、飛鳥がんばれっ。
この後の展開、おもしろいしね。(←ネタバレ注意。)

142:ブラックキャット:2012/12/02(日) 15:10 ID:m/s

悪かったなぁ、名前のネタがなかったんだよ。
…頑張らせるよ、はいはい。

143:ブラックキャット:2012/12/02(日) 15:27 ID:m/s

「―――飛鳥?」
圭の声で私は我に返った。
不意打ちだったので、肩が跳ねる。
「え、何、圭?」
「僕じゃなかったら、誰なんだ?」
あ、そりゃそうか。
圭はまだ不審そうな顔をしてたけど、椅子に座った。そして、練習の風景を黙って見ていた。
私は暇だから、圭の台本を読んでいた。
うぇぇ…何この鳥肌の立つ台詞の連続……。
私はきっと冷めた眼をしているんだろうな、と予想する。段々圭に染まっていくよ。
その圭はというと、練習に参加。注意されるんじゃなく、注目されている。


……しょうがないよね。圭だもん。


そう納得した途端、何かが私めがけて飛んできた。反射で叩き落とす。
これ……
「――台本?」
「わりぃ、岩本!俺の席に投げようとしたら飛びすぎた!!」
両手を合わせて謝る彼は、野球部部員。そりゃ、飛びすぎるでしょ…
「大丈夫、怪我してないし。気にしないで?」
「本っ当悪ぃ!」
大丈夫、と笑いながら落ちた台本を拾う。
「はい、練習頑張って」
「あ、ありがと」
そそくさとその場を離れる彼。

144:咲:2012/12/02(日) 17:51 ID:m/s

なんっか台本飛んできたときの圭の心理がわかるんですけど……。
飛鳥妙に優しいでしょ? 野球部員に対して。
これから圭視点出たりして……って、ネタバレするっ。

145:ブラックキャット:2012/12/02(日) 19:38 ID:bAY

ああぁぁぁぁっ!!!
ったく、あんたはいっつも人の心を先読みしてぇっ……!

146:ブラックキャット:2012/12/02(日) 21:31 ID:bAY

 〜圭視線〜

1人の男子が台本を投げた。そいつの席は飛鳥の斜め前、僕の前。
さすが、野球部員。台本はスピードに乗って、飛鳥に向かって一直線。


―危ない!


一歩踏み出したのと、飛鳥が台本を叩き落したのが同時だった。
…そうだ、飛鳥だ。そう簡単にやられはしないか、心配のしすぎだな。
そうホッとしたのもつかの間だ。
飛鳥が渡した台本を受け取った彼は、少し顔を赤くして練習に戻った。
………しょうがないよな、飛鳥はクラスでも美人の部類に入るから。
あんな顔で微笑んだ顔を自分に向けられたら、そりゃ顔が赤くなるだろう。


胸が不快にざわついた。


自分の中にこんな感情があるとは分からなかった。
…何だ?
僕は、何なんだろう。
自分の心の中身が分からない。
周りの人も分からないことだらけだ。飛鳥も。
ひとつだけ確かなのは、僕の性格は周りの人からしたらかなり面倒くさいって事、か。
昔、そう言われた事はまだハッキリと思い出せる。
飛鳥はどうなんだろう?僕の事、どう思ってるんだ?

ひとり、真っ暗な迷宮に取り残された気分だ。
ひとり、僕はこの迷宮の中だ考え続けるのか?

僕は初めて思考を放棄した。
分からないし、これ以上考えたら泥沼にはまって、出られなくなるような不安が心を支配しそうになったからだ。
もう、いいか。今はこの劇に集中しよう。

147:咲:2012/12/02(日) 22:46 ID:Hcg

だめ?
よし、正解っ。
待て待て待て待て。
飛鳥が美人なのはわかるよ。
でも、飛鳥のモデルさん誰だっけ?
美人か? いや違うだろう。(全力で否定。)

148:ブラックキャット:2012/12/04(火) 19:48 ID:bAY

うん?
だってさー、前に「かわいいっ!」って散々騒がれたじゃん?
しょうがないでしょ。
美人じゃないけどさ、モデルは。

149:ブラックキャット:2012/12/04(火) 21:05 ID:bAY

「“か、怪盗プリンス!?なぜ、貴方が此処に!?”」
「『…姫も昔のように呼んでくれないのですね。私です、―マリア』」
「“レイっ!?レイなの…?どうして、レイが…”」
     
     ・
     ・
     ・

私は欠伸をかみ殺した。暇だ…
今日から学園祭準備期間、練習は体育館で始まった。

「“レイ、私を外に連れて行って!誰の目にも届かないような遠くへ…!”」
「『分かった。…行こうか』」

あ、終わった。
慌てて、照明のスイッチを操作する。
―フェードアウト。
次の瞬間。


『良かったよー!!!!!』


おそらく体育館にも漏れ聞こえているであろう音量で、マイクを通して声がした。
『もうすっごい良かったよー!もう完璧っ!!感動だよ!!』
体育館の奥でブンブン手を振っているのは、岡崎里奈。この劇の脚本、監督役。
1−Bのボス、川野さんと夏野さんのパシリ。でも、クラスのリーダー的位置。
「本当!?私の台詞変じゃなかった?」
岡崎さんの元へ走っていったのは、川野さんと夏野さん。一応友達みたいに振舞ってるけど、嫌いなのが分かる。気付いてないのは岡崎さんのみ。鈍いみたい。
「大丈夫、もう完璧だよ!!」
ニコニコの笑顔で話す岡崎さん、無表情に近い表情でグサグサ言う私。

私は照明係になった。ジャンケンで負けて、しぶしぶ。
裏方の仕事では一番重要だと思うんだけど……
圭にかなり呆れた目で見られながら教えてもらったら、かなり上手に出来る様になったんだ。
こういうときは圭に感謝だよ。

「飛鳥、…」
圭が、ステージから舞台裏まで降りてきた。
何か言いたそうだったけど、結局黙り込んだ。
…まぁ、言いたかったことは分かるんだけどね。
「大丈夫、上手だったよ?」
「…なんでそこで疑問形になるんだ」
嘘だって、上手だったよ。本当に。
圭はなんか不満そうだったけど、納得したみたい。
岡崎さんが集合をかける。
私と圭は眼を合わせて歩き出した。

150:ブラックキャット:2012/12/05(水) 19:56 ID:bAY

「紅本ぉー!飛鳥ちゃんも早くー!」
岡崎さんが怒鳴る。私が足を速めると、圭もついてきた。
「もう、遅いよ2人とも。」
じろっと睨んでくる夏野さんに、私たちは同時に肩をすくめた。
床に座ると、川野さんが話し始めた。
「えっとぉ…それじゃ、里奈。見てて気付いた事とかある?」
「あ、うん!えっとねぇ、まずは……」
そこから先は聞いていない。
もう夜になって、外は真っ暗。懐中電灯の明かりが見えた。


―5人。


警備員は居ない。この学校にはコンピュータ制御システムがある。
私たちのほかにも残っているクラスはある。警備員が居たとしても、全員が帰った後に見回りは行うはず。
圭も気付いていたようで、そこに注意深く視線を向けている。
ふと気付くと、人影の中に知っている影があったような気がした。スルーしかけて慌ててもう一回見ると、もう5人の影はなくなっていた。
圭も何事も無かったような顔をして前を向いている。眼の焦点あってないけど…。
多分、考えてるんだと思う。さっきの影の事。
私は、気付かれないように小さく伸びをした。
考えるのは圭の仕事。私はそれを実行する事が仕事。

151:咲:2012/12/06(木) 20:34 ID:tbQ

まあね。
髪切ったときだっけ?
マリアって……てきとーすぎだろ。
思い浮かんだの付けたって丸わかり。
あと……レイ?
いろんな人とかぶる……

152:ブラックキャット:2012/12/06(木) 22:34 ID:bAY

私はむくり、と体を起こした。
布団から出るのに5分くらい苦戦する。だって寒いんだもん。
まだ眠いけど、一階に降りる。
いい匂いが漂ってきた。見ると、お父さんが家を出るところだった。
「お父さん!もう行くの?」
「あぁ、…なんか部長に呼ばれてな。もしかしたら、今日は遅くなるかもしれないから、学校帰りに買い物にでも行っておいてくれ。」
「分かった。今日は…ハンバーグにしよっかな。」
私がそう言うと、お父さんは心配そうな顔になった。
「…おいおい、あんまり無駄遣いするなよ?」
「分かってるって!任せてよ!!」
もう、心配しすぎなんだよ。お父さんは。
私はお父さんを見送って、作って行ってくれたご飯を持ってテーブルに着く。
今日は機嫌が良かったのか、トーストにジャムがついている。
テレビを見ながら食べていると、圭も降りてきた。
「おはよ、圭」
「………おはよ」
圭は朝が弱い。寝起きはいつもグラグラ揺れている。
圭もトーストを持ってきて、もぐもぐ食べ始めた。




    ☆




「ねぇ、そこ違うよー!」
「もう一回、最初からね!」
「ねぇねぇ、これってこうで良いの?」
「そこさー、もうちょっとこっちに寄って!」
「えぇー、こう?」
「違うよ、もうちょっと右!!」
「そこ、ずれてるよ!タイミング合わせて!!」

…朝から元気ですね、皆さん。
私はというと、机が撤去されているから窓際にもたれかかっています。
だって、照明は体育館じゃないと練習できないからね。…まぁタイミング合わせて、って言われるけど、圭が大丈夫って言ってくれたから。自信がついてるんだ。
「飛鳥ちゃん!ちょっとこっち手伝ってー!」
その声で我に返る。慌てて作業を手伝いに行く。
走っていくと、そこには主な役の人が集まっていた。もちろん圭は居るはずなのに居なかった。
「えっと、じゃ発表しまーす。」
……何を?
そう突っ込んだところで、ドアが開いた。
振り向くと、川野さんがドレスを着て入ってきた。その後ろに、圭。
「これが、姫役のドレスでーす!で、これが怪盗役の衣装ね!」
ドレスは、フリルが何段にもついた、どピンク。キラキラ光ってるのは、所々についているビーズ?頭にはシルバーを主にしているクラウン。そこから白いベールかかっている。
………えーと。すごい、…なんていうか…派手、だね。うん。
多分私は呆れた目で見ているんだろう。通信機がザザッ、と騒いだ。
『随分派手だなぁ。……なんて思ってるんだろう?』
当たりよ、圭。チラッと見ると、圭は白を主に使ったデザインだ。
白いシルクハットに巻きついてるみたいな黒いリボン。仮面もするみたいで、手に持っている。白いタキシードみたいなんだけど、ネクタイは黒で、シャツがグレー。マントもある。これも白。
「…なんか圭はオセロみたい。白と黒。」
『余計な一言だ。それは』
ムッとした声の圭。
…嘘だって。
私は小さく笑って言った。


「かっこいいよ、圭」

153:ななこ:2012/12/07(金) 14:07 ID:HHE

二次創作板でお願い致します

154:咲:2012/12/07(金) 18:21 ID:vNU

ななこさん、それはどういう意味ですか?
これは、怪盗レッドじゃありません。怪盗ジョーカーです。
キャラクターも、名前が同じだけでちゃんとしたモデルがいます。
中身も少々似ているけど、作者はちゃんとこれからどうしようかなと考えて作っているんです。
人の作品を勝手にパクリ呼ばわりしないでください。

155:咲:2012/12/07(金) 18:24 ID:vNU

確かにオセロっぽいっちゃオセロっぽいけど……。
………。
似合いそうだけど似合わなそう……あ、でも似合うか……?
まあ、かっこいいに変わりはないんじゃない?

あ、そういやクロウの衣装どうしよ……。
デッサンやった?

156:ブラックキャット:2012/12/08(土) 08:13 ID:bAY

ね?オセロみたいでしょ。
うん、かっこいいのは変わんない。

あ、やってない。どうすんの?

157:ブラックキャット:2012/12/08(土) 13:03 ID:bAY

「かっこいいねー、紅本君!」
後ろからの突然の大声に、私の肩が跳ねた。
振り返ると、岡崎さんが立っていた。あ、そういえば…さっき居なかったな。
「ね、かっこいいよね。飛鳥ちゃん!」
何でそこで私に話を振るのかな。私は曖昧に頷きながら、「はぁ…」と返事をした。
岡崎さんは、私の返事を聞く前に夏野さんと川野さんの元へ行った。
「わぁっ!沙耶のドレスかわいい!!メッチャ似合ってるよ!!」
「本当!?ありがとー!」
「ほらね、私の言ったとおりだったでしょ?」
圭はというと、そんな3人から距離をとっている。そうとう苦手みたい。
そっと圭に近づいて、肩を叩く。
「……もう、学園祭休みたい」
私の発言に、圭は私の頭を叩いた。
「それ、僕が一番言いたい事だ」
そうとうダメージを受けてるみたい。あの3人が恐ろしい事を改めて思った。




    ☆




「それじゃ、今日はここまででーす。明日は前日だから、通し練習やって、直しをして、早めに終わろうと思いまーす。」
教室で、川野さんが叫んだ。その言葉を聞いて、「えー、まだやりたーい!」「嘘、もう終わりかよ!」などいろんな声が聞こえるけど、大半が“終わるのが惜しい”って言う声。
催眠術だとしたら、この効き目はすごい。ここまで操られるのもすごいと思うけど……。
そこで、担任が入ってきた。
「どうだー?準備の出来は。明後日が本番だぞ?」
それには夏野さんが答えた。
「大丈夫ですよ、先生。もう完璧ですよ!本番、見てくれますよね?」
「あぁ、完璧か。………おぉっ?」
そこで先生は、圭が怪盗役の衣装を着ていることに気付いた。上から下まで眺めると、こう言った。
「…これが怪盗プリンスか。なんか…紅本、王子様みたいだな。」
言い終わって、ニヤニヤ笑って先生は爆弾を放った。


「…あぁ、そうか。紅本を王子役に任命した奴、紅本が好きなんじゃないか?」


一斉に、視線が川野さんに向いた。まずは男子が騒ぎ出す。

「川野、もしかして紅本が好きなのか?」
「あー、そうかもな。任命したの、川野だよな。」
「うわー…度胸がすごいな。」
「もしかして、学園祭が終わったら本当に自分の王子様にするつもりだったんじゃね?」
「あ、確かに!」
「“私の王子様は紅本だけなの!”…みたいな?」
「似てる!在り得る!!」
「おい、川野!そうなのか?」
「そうなんじゃね?」
「だよなー!!」

男子どもが騒いでいる間、川野さんはずっと俯いていた。


「おい、川野!紅本の所行けよ!王子様なんだろ?」


そう言われた瞬間、川野さんが泣き崩れた。
うわああ、って大きく泣き声をあげながら。
「いい加減にしてよッ……私は確かに紅本君の事、好きだよッ……でも、でも…ばらさなくたっていいじゃんかぁッ!…ッそれに、それに……決めたのは私じゃないっ…言い出したのは、美奈だもんっ…!」
その言葉で、視線が夏野さんに集まった。
「ちょ、ちょっと…な、なんで私なのよ?」
傍から見ても分かる。夏野さんの顔が赤い。そこに目敏く気付いた先生が、まだニヤニヤ笑いながら言った。
「顔が赤いぞ?図星だろ!」
その言葉で、夏野さんは「うるさい!!」と怒鳴った。
やっぱり目に涙を浮かべながら、今度は岡崎さんを指差した。一体何人続くんだろう。
「最初は里奈だよ!私に言ったんだよ、“怪盗役は紅本君で良くない?”って!絶対私じゃない!!」
「えぇぇっ!?私?」
やっぱり顔が赤くなっている。


今回の事で知ったんだけど、圭ってモテるんだね―…


まぁ、当の本人は全然興味なさそうに立っている。というか、むしろ迷惑そうな顔をしている。
「圭…」
私は圭にそっと声をかけた。
すると、圭は私のほうを見ないままボソッと言った。
「…これ、着替えてきていいか?」
…え?あ、あぁ……
「うん、良いと思うよ?」
「…分かった。着替えてくる」
圭はするっと教室を出た。ちなみに、誰も気付いていない。なんかすごいと思う。
まったく話を聞いていなかった私を現実に引き戻したのは、岡崎さんの声。


「…私じゃないよ!最初は飛鳥ちゃんだよ!!」

158:ブラックキャット:2012/12/08(土) 13:29 ID:bAY

私は、かなり怪訝な顔をしているんだろう。
どんな理論の飛躍だ。まったく理解不能。


―バンッ


荒っぽく開いたドアは、騒がしかった教室を一瞬にして静まらせた。
そこに立っていたのは。



「―圭」


圭は、着替えてきた衣装を隅の椅子に放り投げ、先生と向き合った。
先生はの頬に、冷や汗が流れたのを私は見た。おそらく、圭は先生を睨んでいるんだと思う。オーラが真っ黒。
「先生、下校時間を大幅にオーバーしてます。いくら作業時間が長いからといって、ここまで伸びるのは駄目ですよね。校長が呼んでいます。早く行った方がいいと思いますが。」
先生はドアまでダッシュ。ガラッと開けて、大声を発した。
いわく。
「早く帰れよ!俺が怒られるだろ!お前らも心配だからな!早く帰れよ!いいな!5分後また来るけどまだいたら追い出すぞ!いいな!早く帰れよ!!絶対だぞ!!」
先生は言いたいことを言ったら、今度こそ外へ出た。
私は圭と一緒に、鞄を持ってまだ時間が止まっているような教室を後にした。



外の月が、一瞬だけ紅く見えた。

159:ブラックキャット:2012/12/08(土) 17:13 ID:bAY

私はほぼ寝不足の頭を抱えて、教室へと入った。
昨日の夜、パソコンをいじってたら熱中しちゃって…気付いたら日付が変わってて……
まぁ、圭は私よりももっと遅くに寝たみたいなんだけど。
もう、これは慣れるしかないよね。慣れたら駄目なんだけど…
今日はね、もう本番。昨日はちょっとギクシャクしてたけど、何とか終了。
学校全体はもうテンションが上がりっぱなし。下がるのかが不安になるくらい。もう少し落ち着いてもいいと思うんだけど。
教室に入ると、もう準備が整っていた。
「紅本!遅いよ!!」
早速声をかけてきたのは、岡崎さん。
「ほら、早く着替えて!!早く、時間無いからさ!」
圭は1分もしないうちに教室の外へと押し出された。
「…大丈夫?圭」
「……どうだろうな」
そんな圭の様子を見た私は、ちょっと笑ってしまった。慌てて口を押さえるけど、圭はじとっとした目で私を見る。
罰として、圭が呟いたと思うと、圭が鞄を私に持たせた。
「笑った罰だ。持ってろ」
「はぁっ!?ちょっと待ってよ、何でよ?」
「だから罰だって」
「意味わかんない!」
ふて腐れていた私は、ふと圭の鞄に違和感を感じた。何か硬い。何が入ってるんだろ。
『「あ、馬鹿っ…飛鳥っ!」』
圭の焦った声は、通信機と近くで聞こえた。
それにも驚いたけど、鞄の中身にも驚いた。
中には、筆箱とお財布と、パソコン。
一応傷が付かないようにはしてあるけど……パソコン?
「ねぇ、圭……これってさ、校則、余裕でアウトだよ「分かってる!」
私の台詞をぶった切った圭は、急いで鞄を閉めた。


「…誰にも言うなよ」


え、あ、うん。
それにしても…圭、いつも持ってきてるの?
「…んな訳ねぇだろ!……今日は、ちょっと」
伏せていた顔を上げて、私を見る。その眼差しに、思わず後ずさる。
「とにかく、いつ持って来ようが俺の勝手だ。他言無用だぞ、いいな」
そう言うと、圭はスタスタと歩いていってしまった。
まぁ、着替えるからね。私は圭に付いて行く訳にもいかず、教室に入った。

160:咲:2012/12/09(日) 11:53 ID:eUg

は――…… はーあぁ……
爆笑してました。はい。
だめだ。笑える。
ってか、何で飛鳥?
現実世界混ざってるし……。
原案でさ、「怪盗役圭でいいんじゃない?」って言ったのあたしだったよね?
はは……はぁ……。
言うかっ!
あたしだって持っていきたいし……

161:ななこ:2012/12/09(日) 14:24 ID:HHE

貴方の言い分も分からないことはないですが、依存のキャラを使って有るのは二次創作のルールなので、お願い致します

162:咲:2012/12/09(日) 17:14 ID:eUg

依存のキャラではありません。
名前が同じなだけです。
それに、二次元創作版に移動するかを決めるのは作者です。
私が意見を言える立場ではないので。

163:ブラックキャット:2012/12/09(日) 19:21 ID:bAY

…?あ、あぁ。うん。
いいでしょ、別にさ。
っていうか、何で笑える訳でございましょう?

164:ブラックキャット:2012/12/09(日) 19:24 ID:bAY

ななこさん
依存のキャラと言われましても…
まぁ、確かに名前の参考は怪盗レッドですけれど。
内容は、全く似てないと思うんですが。そこら辺はどうなんでしょうか?
というか、登場人物も違うし、名字も変えたんですが…
私は、これは自分のオリジナルだと思っています。

165:ブラックキャット:2012/12/09(日) 19:49 ID:bAY

カーテンを閉めた体育館は、驚くほど外の光を遮って、中を暗闇に包んでいた。
あと3分……
舞台裏にスタンバイしている皆は、口を噤んで黙っている。
私はというと、台本を握り締めている。
「…大丈夫。大丈夫…うぅぅ…」
なんてボソボソ呟いて。
圭はそんな私を心配そうな顔で見ている。
岡崎さんは、「大丈夫、飛鳥ちゃんなら出来るよ!」と小声でエールを送ってくれてる。緊張を高めるエールを。
心臓が激しく動いて、緊張している事を嫌でも思い知らされる。
…なんで、私が。


夏野さんと川野さんの代わりをして、ステージに立たないといけないのよぉっ!!


そう、これは先生の余計な一言からの出来事だ。




     ☆




「あと30分……」
教室の時計を見上げて、クラスの誰かが呟いた。
それを聞いて、岡崎さんがウロウロしていた足を止め、「もうっ!」とぼやいた。
「何で来てないの!?しかも2人とも!もう、このまま来なかったら出来ないのに…」
そう。学園祭が始まっても、川野さんと夏野さんが来ていないんだよね。私たちの劇は、学園祭が始まって30分後。
今来ていないってことは、遅刻なんだけど……
先生は、家に電話をかけているけど、つながらないって。
…まぁ、2人の親は両方共働きらしいし。つながらないのはしょっちゅうあるって。
「あぁっ!もぉ、どうしよう……」
岡崎さんは今にも泣き出しそうな顔をしてしゃがみ込んだ。
すると、先生が「岡崎、任せろ。俺にいい案がある」と親指を立てた。
「本当ですか、先生!」
「あぁ。代役を立てればいい。そして、それの適任者は……」
先生は眼を閉じた。わざとらしい、さっさと言えばいいのに。
指を伸ばし、その矛先を……


―私に向けた。


「岩本!お前だ!!」


『犯人はお前だ!』とばかり。
先生は重大な任務を果たしたかのような達成感を顔いっぱいに咲かせ。
岡崎さんは花が咲いたようなオーラをまとい。
クラスの皆は「自分じゃなくて良かった…」と安堵の溜息を吐き。
圭は「観念しろ」と言って、肩に手を置いた。
「大丈夫だ。岩本なら出来る!」
「頑張って、飛鳥ちゃん!!」
「俺達の未来のために!」
「大丈夫、私達が付いてるよ!!」
「一緒に頑張ろう!!」
……………。
口々に勝手なことを言って、次々親指を立てるクラスメート。
私は、心底このクラスが嫌いになった。
もともと好きじゃなかったんだけれど、ね。

166:咲:2012/12/09(日) 21:42 ID:B3.

同感。

167:咲:2012/12/09(日) 21:44 ID:B3.

いや……あのね?
どんな無茶振りをさせてんのかな?
せいぜいドレスの裾踏んでこける始末だよ。飛鳥は。
別に意味で緊張するわ。

168:ブラックキャット:2012/12/12(水) 17:44 ID:bAY

え?ま、いいんじゃない?
まぁまぁ、これからだよ、本番は!

169:ブラックキャット:2012/12/12(水) 18:24 ID:bAY

「それでは、1−Bの皆さんです!」
アナウンスと共に、幕が上がる。
私は、窓に見立てたダンボールの近くに立っている。
大丈夫、ちゃんと出来るはず……!
深呼吸して、手に持っている一枚の紙を掲げる。
「“今夜7時、マリア姫を頂戴する。  怪盗プリンス”」
紙を下ろす。
「“あーあ!この予告上のせいで、外に出られなくなっちゃったわ。つまんない…、今夜は私の誕生日なのに…。お父様も、お母様も忙しいから、ちゃんと話せるのは今日だけなのに……。もう!いつもより早いけど、もう寝ようかしら。”」
ステージ上の光が消え、スポットライトが私に当たる。
小道具のベッドは、意外にフワフワで、これを貸してくれたのが夏野さんだったのを思い出す。夏野さんはお金持ちだ。
「“こんなにつまらないのなら、いっそ盗まれたほうがマシよ…”」
ガチャ、と音がする。足音もして、結構リアル。
「『お眠りでございますか?マリア姫。』」

   ・
   ・
   ・

そこから、私の記憶はとんだ。何にも覚えてない。
もう最初のステージは終わっていた。
「良かったな、大きな失敗もなくて。」
圭がそう言って、頭の上に手を乗せた。
「良かったぁ〜……」
私は緊張がひいていくのを感じた。すると、岡崎さんが集合をかけた。
「皆良かったよ!この調子で、午後もお願いね!」
皆が散らばっていって、私たちも行こうかと思ったとき、岡崎さんが私を呼んだ。
「あすかちゃん、本当ごめんね。それで、あの……ここだけの話にしてほしいんだけど……」
ただならぬ雰囲気の岡崎さんの声に、私は体を近づけた。


「……美奈ちゃんと沙耶ちゃんが誘拐されたんだって。」


一瞬頭が真っ白になった。
誘拐…?夏野さんと川野さんが………?
「それでね、飛鳥ちゃんには本当申し訳ないんだけど、学園祭の姫役、代わりじゃなくて、お願いしてもいいかな…?お願い!」
断る事なんて出来ない。でも、それ以上に。
…誘拐って、2人とも大丈夫なの…?
私の疑問は、岡崎さんの表情を見た瞬間、喉の奥に引っ込んだ。
そんなの、分かんないよね。信じることしか出来ないよね。


………普通なら。


「…分かりました。任せてください、絶対に成功させますから。」
私の言葉に、岡崎さんは泣き笑いのような表情を浮かべた。
「うん。ありがとう。」
私は、外にいた圭を捕まえて、事情を説明した。
圭は「分かった、すぐ調べる。」と言って、1回教室に戻った。
体育館の裏に座って、パソコンを立ち上げる。
圭の顔が段々険しくなって、指の速さが増していった。

170:咲:2012/12/12(水) 23:14 ID:lmw

だね。
なんとかなったっぽいけど……おもしろくなってきたな。
現実でもそうなればいいのに―――……
ま、シャドウは出動せんけどね。めんどくさ。

171:ブラックキャット:2012/12/14(金) 21:35 ID:bAY

なんじゃそりゃ、おもしろいとか言っといて。
あーはいはい。

172:ブラックキャット:2012/12/14(金) 22:10 ID:bAY

「……なるほどな」
呟いた圭は、画面をスクロールさせて私に見せた。
「…このニュース、知ってるか?」
指差している画面には、『警察官、麻薬疑惑!!』と大きく書いている。
ニュースなんて見ない私は、いまいちピンと来ない。
私の知識の量を私よりも知っている圭は、口を開いた。
「最近話題のニュースだ。警視庁の刑事が、麻薬を国内だけじゃなくて海外でも広く売買していたことが分かったんだ。まぁ、この事件は川野さん達の誘拐とは直接関係はない。だけど」
画面を下にスクロールする。見えたのは、あるインタビューの記事だった。
えっと……『犯人の上司である、川野さん』?
―川野?
え、うそ、まさか……
圭は頷いた。


「あぁ。犯人の上司は、川野さんの父親だ。…そして、解決した張本人だ」


うそ、本当に!?
あ、でも…それじゃ、夏野さんは?夏野さんは関係ないでしょ?
「おそらく、ついでの可能性が高いな。それか、身代金目当てだろうな。」
だが、と圭は顔をしかめた。
「奴等の本当の標的が分からないな…。どちらも可能性があるからな」
「何言ってんの!やる事は決まってるでしょ!」
私は圭を見た。
圭も私を見た。
「…目的が分からなくても、やる事は決まってる。そうでしょ?」
「あぁ。もちろんだ」
即答するとは思っていなかったから、かなり驚いた。
でも、これで決まり。



怪盗ジョーカー、出動。

173:ブラックキャット:2012/12/15(土) 15:24 ID:bAY

夜の学校。
もう先生たちはすっかり帰った様子。どこも電気が付いていない。
もちろん、今ここには誰もいない。


―私たち以外はね。


いやー、本当真っ暗だね。ここら辺は街頭とか無いからね。夜になるともう真っ暗。
「飛鳥、体調は?」
「大丈夫。万全だよ!」
圭は、私が倒れたのを気にしているのか、仕事の前には必ず体調を聞く。
心配しすぎだよね。圭は。
「そういう圭は?大丈夫なの?」
私が聞くと、圭は頷いた。無言だけど。
「…行くぞ」
圭が門に向かって歩き出した。慌てて後を追う。
セキュリティは既に圭が解除済み。
今回は、圭も一緒だ。
圭いわく、
「2人も人質をとったんだ。人数はかなりいるはずだ」
…だそうで。
私としては、1人でも何とかなる、って言ったんだけど…圭が以外と頑固で、結局押し切られちゃった。
「何してるんだ?」
ボーっとしてると、圭が顔を覗き込んだ。
フードを被っているけど、サングラスはしていない。


私は圭の眼が苦手だ。逸らすと、変な目で見られた。


「何でもない、行こうよ」




     ☆




怪談って夜の学校が舞台なのが多いけど、その理由がなんとなく分かったような気がする。
不気味な雰囲気は、幽霊のステージ。
昼間の様子を知っているから、尚更不気味に感じる。
今歩いている廊下も、すぐそこから出てきそう。
私はそういう系の物はあまり怖いと思わないんだけど、これは…ちょっと……
「で、どこに行くの?」
気を紛らわしがてらに圭に声をかけると、「シッ」と言われた。
物陰に隠れる。
そっと見ると、圭が校長室を指差した。
小さい、本当に小さい光が見える。


カラカラ、と音がして、ドアが開いた。

174:ブラックキャット:2012/12/16(日) 06:18 ID:bAY

中から出て来たのは、懐中電灯を持った人影だった。
しかも、その懐中電灯に布を被せている時点で、かなり怪しい。
まぁ、誰もいないはずの学校に電気も点けないで何かをする人なんて、まともな人にはいないでしょ。
「…よし」
人影はそう呟いて、私たちがいる方向とは逆に歩き出した。
確かそっちは…
「C棟だな」
うん、そうそう。
確か……

1階に職員室、靴箱、給食室、2階に図書室、3階に音楽室と美術室があるのがA棟。
1階に保健室、校長室、事務室、玄関、2階に教育相談室、放送室があるのがB棟。
1階に金工室、木工室、2階に第一第二理科室、3階に調理室、被服室があるのがC棟。
1階に3年1,2組、ホール、特別支援学級、2階に3年3組、2年3組、生徒会室、3階に2年1,2組、ホール、4階に1年1,2,3,4組があるのがD棟。

……だったよね?
一応覚えてはいるんだけど、やっぱり圭には敵わない。
人影は、階段を上り始めた。
私達もついて上る。
人影は、ちょくちょく後ろを見るような仕草をしたけど、何とかセーフ。
2階に上がった。すると、人影は突然ダッシュした。


―気付かれた!?


圭が「くそっ」と吐き捨てた。
「気付かれてたか…まぁいい。行くぞ、走れるな?」
「もちろん!じゃ、行くよぉ!!」
私達は、人影を追わずに反対方向へ走った。先回りしようって事。
サングラスに、地図が映し出される。その上を移動する、赤い点。これが私達。青い点が、人影。
この速さは歩いているみたい。撒いたと思ったんでしょうけど、その油断が命取り!
私は、目の前にあった目的地のドアを開けて、中に滑り込んだ。

175:ブラックキャット:2012/12/16(日) 16:35 ID:bAY

紙のにおいが充満するここ、……図書室。
「本当にここで当たってるの?」
圭は私の問いを無視して「飛鳥には言われると思わなかったな」と失礼極まりない言葉を言った。
どーせ私は馬鹿ですよ!ふんっ
私は本棚に近寄って、何冊か抜き取る。
どれも読んだ事無いものばかり。まぁ、私は本なんて読まないしね。
「ねぇ、圭…」


―ガッ


口を塞がれて、カウンターの中に無理やりしゃがみ込まされる。
私の口を塞いでいるのは、圭。
オーラは真っ黒。
眼は私を睨んでいる。
えーと、怒ってる…よね。うん。
その間に、足音が近づいて、素通りした。
ドアが閉まった。途端に真っ暗闇に包まれる図書室。
「圭……?どうした、の?」
口を塞いでいた手が離れ、口の周りがほんのりと熱を持っているのを感じた。
「どうした、じゃない」
しゃがんでいる体制は、圭のほうが頭の位置が高い。
いつもよりも低い声。少し聞き取りにくくて、顔の位置を少し上げる。


「侵入してドアを開けっ放しにする馬鹿がいるか、この馬鹿」


………………………………。
きっかり5秒固まって、「え?」と聞き返すと「馬鹿」と言われた。
馬鹿馬鹿って、そんなに連呼しなくても……
「うそ、開けっ放しだった?」
「あぁ。閉めようと思ったら入ってきた。お前、閉めとけよ」
閉めとけって…後に入ったのは圭だよ?
「後に入ったのは俺だが、普通は先に入った飛鳥が俺が入って瞬間に閉めるだろ。というか、俺言ったよな?」
う゛……
「そ、そうだっけ?」
頭をはたかれた。痛い。
「ごめんなさい」
謝ると、「まぁいい」と不機嫌な声で許された。

176:ブラックキャット:2012/12/18(火) 21:46 ID:bAY

不機嫌な声で許されても、なぁ。…なんていう私の不満を感じ取ったのか、圭が「許さないでいいなら許さないけど?」と明らかに笑みを含んだ声で言った。
「飛鳥は隠そうとしてもだだ漏れだからな。探る必要がいらないから、楽だ」
それって、褒めてる…のか?
首を傾げると、圭は笑いながら言った。
「褒めてる褒めてる。単純な方が良い」
それ、絶対褒めてないでしょ。悪かったわね、単純で!
「悪い、いじりすぎた」
素直な圭に私は驚くよりも、心臓が高鳴った事に驚いた。


私の気持ちを圭は一言で上げたり、下げたり。


やっぱり私って単純なんだな…
私は目の前に開いていた穴に足を踏み込んだ。





     ☆




私と圭は、真っ暗な通路を歩いていた。そんなに狭くない。
2人でも端には余裕がある。
「本棚でカムフラージュか…詰めが甘いな。誰かがいると思ったんなら、ちゃんと塞いでおかないとな」
「でも、中にいる状態じゃやりにくいんじゃない?外した棚を戻して、本をその棚の板の上に置かないといけないから」
私の言葉に、圭が頷いた。
「あぁ。って事は、ここから入るのは夜間か…」
圭の言葉は、一番高い確率だけど。


だけど。


私は何かが引っかかった。
え、ちょっと、えっと……
圭は立ち止まって、私の言葉を待った。
こういう時はなんか気が利く。優しい、っていう事だよね。
私は圭の優しさに頼って、何とか思考を落ち着ける。

えっと……言葉が見つからない。
ものすごいもどかしい。言いたいことの形は分かっているのに。
「…岡崎さんは、昼前に私に言ってきた。」
…っていう事は、朝の時点では分かっていなかったっていう事だよね。
両親は、朝に子供達を見送った、って言ってたらしいから。…誘拐されたのは、登校中って事。
えっと、だから…えっと……
「なるほど?連れて来られたのは学校だ。2人は学校の中にいるっていう事は分かっている。で、隠し場所がこの通路の先にあるだろう部屋だ。でも、今日は学園祭だ。朝早く来ていたであろう生徒や教員に見つからないでそんな作業をできるのか、って事か?」
そう!それが言いたかったの!

177:ブラックキャット:2012/12/19(水) 14:54 ID:bAY

引っかかっていた何かが取れてスッキリした私は、目の前にあったドアにぶつかった。
ゴン、と音がする。痛い。
「…ったぁ……」
頭をさすりながら見ると、それはごく普通のドアだ。
これはちゃんと閉まっている。
中から、かすかに話し声らしきものが聞こえた。
「………から、…………さい」
「…さ、…には……い」
「………よ!」
耳をぴったりつけても、聞き取れたのはこれくらい。
ドアノブをひねって、少し隙間を作る。
「私達を、どうするつもり?この状態が続けば、誰か気付くわよ」
「あぁ。もうだれかが気付いて捜査しているかも、しれないな」
「かも、じゃないわ。先生は絶対気付くわよ、気付かなくても、クラスの誰かが……」
「誰か?…くくっ、そんなんじゃ誰も助けになんか来ないぞ?神頼みなんかじゃなぁ」
「そんなこと無い!絶対っ……!」
犯人は3人。夏野さんは犯人に食ってかかっている。川野さんは、疲れてしまったのか、黙っている。
柱に括り付けてはいないけど、かなりきつく縛ってありそう。
足も手も縛ってあって、そう簡単には立ち上がれないようにしている。


「…煩いガキ共だ。こうしないと落ち着かないのか?」


奥に立っていた男が2人に近寄り、ホルスターに手を伸ばした。
その手に握られていたのは、黒光りする

拳銃。


2人はガクガクと震え、眼に涙がたまっているのが分かった。
「…あいつ等っ……」
私が拳を握ると、圭が「落ち着け」と言った。
そして、ポツリと呟いた。
「どうやら、身代金要求が目当てじゃなさそうだな…」

178:咲:2012/12/19(水) 15:17 ID:yWE

――まあ、これも事実かな。
本当にあったらいいのにね……隠し扉。
別に言えば、カムフラージュ本棚。
おもしろい、おもしろい。

179:ブラックキャット:2012/12/19(水) 16:39 ID:bAY

まぁね。あったら秘密部屋にするよねぇ〜。
どーもどーも。

180:咲:2012/12/19(水) 20:18 ID:vrI

んで、ひまなときこっそり入ってたり……(笑)
……それ、あたしがおもしろいおもしろいっつったから2回言ったろ。

181:ブラックキャット:2012/12/21(金) 14:33 ID:bAY

いーよねぇ…
え?あ、うん。
2回きたら、2回返すでしょ。普通。

182:ブラックキャット:2012/12/21(金) 14:53 ID:bAY

「え、どゆ事?」
私が首を傾げると、圭は呆れた眼をしながら説明してくれた。どうせなら、ここで呆れた眼が無かったら満点なんだろうけどな。
「誘拐は、警察が場所を突き止めるまでの時間に、いかにして証拠を渡さず身代金を取るか、だ」
少し考えて、私は頷いた。
あぁ、そっか。目当てのものを取る前に捕まっちゃったら意味ないね。
あれ?でもさ…
「誘拐って大概失敗するよね。」
私の言葉に圭は頷いた。
なんかニュースか何かで聞いたんだけど……
「あぁ。身代金受け渡しの時が一番捕まってしまう確率が高い。だから、誘拐したらすぐに身代金の要求するのが普通だ。その方が親への脅し文句も聞くだろうしな」
へぇ、と頷きかけると


ガチャ、と音を発しながらドアが開いた。

183:ブラックキャット:2012/12/21(金) 18:12 ID:bAY

「…ん?何だ、お前等。何で此処に居るんだ?」
拳銃の標的をウロウロさせ、
それを、


私に向けた。


他の2人も出てきた。
「お前等が誰だろうがどうでもいい。とにかく、捕まってもらうぜ」
銃口を私に向けたまま、私の方へ向かってきた。
「…止まりなさい」
私の声は、真っ暗な通路に響いた。
犯人はもちろん、圭も驚いた顔をしている。
息を吸って、吐いて。


「私だけを捕まえなさい、もう1人は返して。1人だけでもいいでしょう」


私の言葉に、すぐ反論したのは圭だった。
「何でだよ!俺が捕まればいいだろう!?」
「いいから行って」
犯人は私達のやり取りを呆然と見ている。


―チャンスは今しかない。


私は圭の背中を押した。入り口の方向へ。
「行って」
圭は抵抗するけど、私には勝てない。
「待てよっ……!」
「待てないわ、ごめん」
こんな事、口に出してなんか言えない。
だから、クチパクで勘弁してね?



“信じてるから圭の事。”

184:ブラックキャット:2012/12/23(日) 19:17 ID:bAY

私はおまけに微笑んで、駄目押しにもう1回圭の背中を押した。
「行って」
「…分かった」
圭が振り返って、クチパクで言った。


“絶対、帰って来い。”


あんなにハッキリ読み取れて、自分で自分にびっくり。
深く頷いて、犯人達を振り返る。
圭が走って行く足音がする。それは段々遠ざかっていき、やがて消えた。
ちょっと寂しい、私?
ぶんぶんと首を振る。
…駄目駄目。圭は信じてくれているんだから。裏切らないで、家に帰る!
息を吸って、相手を睨む。


「…さぁ、ショーの始まりよ。準備は良い?」


その言葉を合図に、犯人の1人との合間を詰める。
動きが鈍っている内をついて、パンチを1発。
「うぐっ…」
間をおかずにもう1人に向かう。
途中で催眠ガス入りの玉を弾く。
倒れたら、最後の1人!
1歩踏み出すと、そいつはニヤリと笑った。
「おいおい、これでも俺に手が出せるのか?」
手には拳銃。


銃口を押し付けられているのは、川野さん。


「………ッ!!」
動揺した私を見て、またニヤリと笑った。気持ち悪い。
「そうだよなぁ、俺に攻撃したらこいつは吹っ飛ぶよなぁ。」
川野さんも、夏野さんも震えている。
コイツッ……!
今すぐぶっ飛ばしてやりたい!!
ギュッと拳を握る。
すると耳元で、機械音が聞こえた。想ってた人の声と一緒に。


『反撃だ。準備は良いな?』

185:ゆう:2012/12/25(火) 10:58 ID:WRU

いや、家に帰る! て……。
何か間抜けに聴こえる……。
あかんわ飛鳥ぁ。
学校の6時間目みたいに思えてきてん。
アホらしい……。

あんねぇ、膝もう何もしとらん。
包帯も、ガーゼも、絆創膏も。
思いっ切し瘡蓋晒してますよ。はい。
曲げてるし。
めっちゃ違和感あるし!
階段とか……階段とか……

えーっと、シャドウのこと何ですけど……。
基本PC使えなくなるから……っつーか、母さんがおるときは。
つまり、シャドウが書けなくなるわけね。
だから、もし母さんが平日家におるようになって、完璧書けなくなるかもしれないから、ちょっと変更します。
PCのが書けないときは、ノートを使って書きます。
でも、ノートにXを書くわけじゃないんだなぁ。
怪盗シャドウ 〜怪盗シャドウに魔法の夜を〜
普段のシャドウと違い、完全オリジナルストーリーです。
ちなみに、夜はナイトと読みます。
まあ、小っちゃな番外編みたいなもんだ。
できたら見せるね〜

あともう1つ。
明日部活ないよね?
予定なかったら遊ぼう。
手紙も渡したいし。

186:ブラックキャット:2012/12/25(火) 12:50 ID:bAY

家に帰るって言うたら帰るんよ。

ん、じゃあ歩けるんか。
瘡蓋が取れるまで頑張ってー。

番外編?
早く書いてねー
月の夜ねぇ…頑張ってー。

了解。

187:ブラックキャット:2012/12/25(火) 13:10 ID:bAY

反撃…?っていうか、圭!?
「ちょっと、今、何処に居るの?」
『何処って…さぁな、何処だろうな』
な、何それ!ちょっと、ハッキリしてよぉ!!
『ハッキリしようがしまいが、俺のやる事は決まっているだろう?』
うっ……
そこまでハッキリ言われると、もう反論する気が無くなるよね。
『とにかく、』と圭が話を戻す。
『あいつは短気だ。イライラさせて、銃口が飛鳥に向くように仕向けろ。そしたら、後は…説明は良いだろう?』
………はあぁぁ!?
「ちょ、ちょっ…待って、それってほとんど私に丸投げじゃない!圭!!」
私の叫びも、圭には届かない。


『俺はこの部屋の入り口に居る。飛鳥がピンチになったら、俺が何とかするよ』


ズルイ。そんな事言われたら、引き受けるし無いじゃん。

「圭の馬鹿」
『飛鳥に馬鹿って言われるとはな。』


…駄目だ、圭には勝てない。



私と圭とのやり取りを、ポッカーんとして見ていた犯人は、突然大声を張り上げた。
「何ゴチャゴチャしてんだ!?さっさと…」
あれ、もしかして構われたいのかな?…いや、子供じゃあるまいし、それは無いか。うん。
私が勝手に納得していると、男はイライラした様子で銃口を私に向けた。
…あれ、


これってチャンス?


私は地面を思いっきり蹴った。
「覚悟しなさいよっ…!」
「う、うわぁっ!!!」
拳銃を弾いて、顔面に1発蹴りを入れる。
「う、うぐぅ…」
そう言ったかと思うと、バタンと倒れた。
あっけなく倒れた。
「…弱っ」

思わず呟いてしまうほど。

188:ゆう:2012/12/26(水) 08:39 ID:19A

勝てるわボケぇっ!
ぬうう……。
ま、確かに弱いわな。
っていうか、学校でジャックするくらいならこっちの攻撃くらい読めるだろうに。

ま、瘡蓋取れなくても何ら問題はねえ。
でも朝階段スムーズに降りれたこととか、普通に歩けたこととかめっちゃ感動した!!
あ、でもまだ走ってはないや。

頑張りますっ!
あ、でもPCできんときに書くけえ、更新するスピードは遅い。
おまけに完結できるかわからんし。(おいっ)

今日はひとみ呼んでないけえね。
ゆきも遊びに行くらしいし。

189:ブラックキャット:2012/12/26(水) 14:50 ID:MpQ

ゆうになってるわ、バーカ。
って、走って無いんかい。
休み明けの体育、どうすんの?
走ってなかったら困るよ?

190:ブラックキャット:2012/12/26(水) 15:17 ID:MpQ

川野さんが私を睨む。
「あんた、誰?」
あらー、あんたと来ましたか…
一気に助ける気がダウン。そのまま回れ右して帰りたくなった。
あーでもなぁ…そんな事したら……


「変な事考えてないで、さっさと縄を解け」


圭の声が耳元で聴こえた。予測してなかった私は、「うわぁっ!!」と飛び上がった。
「……うるさい、もう少し抑えろ」
手を押えて私に文句を言う。私が飛び上がった時、圭の手をぶっ叩いてしまって様で………
いろんな意味で圭に謝る。
「ごめん、……アハハ……」
「アハハ、じゃない。あ…じゃない。お前に叩かれると本気で痛い」
「エヘヘ…ごめんね?」
呆れた眼で見られて、身体が縮こまるのが解かる。
ううう………やっちゃった……


「馬鹿な話はいいから、さっさと解いてくれない?」
夏野さんが睨みながら言ってくる。
私は欠伸をして無視。本当は帰っても良いと思うんだけどなぁ……
「…帰っても良い?相手するのが嫌になってきた」
私の言葉に、圭も頷く。
「……俺もそう思う」


「「……ちょ、ちょっと!待ちなさいよ!!」」


「「何か、文句でも?」」
それに続いて、圭が続ける。
「警察を呼んである。それまでの辛抱だな。……じゃ、行くぞ」
「了解!」
私は頷いて、圭の後に続いて部屋を出た。

191:ゆう:2012/12/26(水) 23:01 ID:HU.

緊急連絡。
今母さんたちが洗面所にいて、当分こっちにはこないから書いてる。
遊んだとき、ゆきおったじゃんか。
キイロウに包まって寝とった黄色い卵の中身。
それがね、今日3回ぐらいトイレで吐いてたらしくて、今は寝とる。
最悪ノロかもしれんって、父さんが言っとった。
あたしは今んとこ大丈夫じゃけど、ひなは?
気を付けて。

192:ブラックキャット:2012/12/27(木) 10:01 ID:bAY

まぁたゆうになっとるって。
…マジすかぁ……
今ん所はうちも大丈夫じゃけど…

193:ゆう:2012/12/27(木) 10:03 ID:kVw

緊急連絡。
ゆき病院行ったんで、病名が判りました。
感染性胃腸炎。
そう。感染性。
昨日も書いたけど、あたしは大丈夫。
ひな……大丈夫?
手洗いうがいをしっかりして下さい。by病院

あたしはまだだけど、感染する確率が高いから、ゆきが治るまで遊べない。
あくまで自己判断だけど。
感染っても(かかってもと読みます。)いいんなら、遊ぶよ。
いいならね。

194:ブラックキャット:2012/12/27(木) 10:23 ID:bAY

あぁぁ…やっぱりそうか……
感染症……
あぁ、うちは大丈夫。
あんたもね。感染ったらうちが困る。

良くない。うん。
じゃ、治るまで、ね。

195:ブラックキャット:2012/12/27(木) 10:39 ID:bAY

「……疲れた」
『僕もだ』
私は、ドレスを着替えながら呟いた。
今日は学園祭の最終日。夏野さんと川野さんは事情聴取で警察。
噂によれば、駆けつけた中にあの探偵君がいたらしい。
……先に帰っといて良かった…って本気で思ったよ。うん。

あの2人がいないから、当然代役は私に回ってきて。……最悪
『まだか?早くしろよ』
「うそ、もう着替え終わった?早っ!」
『飛鳥が遅い』
うぅ、相変わらず容赦ないなぁ。
もたもたしてたらまた怒られるから、私はさっさと着替えを終わらせる。

ドアを開けようとすると、話し声が聞こえた。
手が止まり、体が硬直する。
そのまま出て行っても良いと思うだろうけど……
これは、ちょっと……。


『私、紅本君が好きなの!』
この声……夏野さん。
『……それで?』
これは…圭。
『それで、あの…私と、良かったら……』
そこで途切れた。耳を済ませると


『私とお付き合いしませんかっ!!』


おー、すごいね。
……そっか。

私の胸がチクン、と痛んだ。
夏野さん、圭が好きなんだ。そっか…。
圭は、どう答えるんだろ。「良いよ」って、言うのかな。
圭がそう言ったら……私は………


『……ごめん』


………圭?
『…僕には、僕の好きな人が居るから』
『…それって、……岩本?』
夏野さんは、食い下がる。



『そうだよ』

196:ブラックキャット:2012/12/27(木) 14:51 ID:bAY

 怪盗ジョーカー 8 〜怪盗ジョーカーとエスパー・ガーディアン〜

『クリスマスが近づいてまいりました!という訳で…』
―ブチッ
私はテレビの電源を切った。カレンダーを見ると、今日は12月22日。…明日は天皇誕生日、か。

白いカーペットの上に寝転ぶ。
「…何にもやる事「宿題はやったのか?」
圭………。


「もう終わらせたよ!すごいでしょっ!!」


えっへん、頑張ったんだから!
圭は平然として
「1週間前から分かってるんだ。普通は終わっている」
…だって。まぁ、確かにそうなんだけどさ。
「でもさー、本当に暇だよねぇ。何か無いかなぁ」
「何かって何だ?」
…あ、そこは突っ込まないで?

「それより」
圭が私の方を向いた。
「な、何…?」
思わず緊張してしまう自分が居て、動揺する。

顔に血が上ってきたのが分かった。駄目だ。
「飛鳥、顔が赤いけど…大丈夫か?」
手を伸ばしてくる圭を見て、思わず肩が強張った。
けれども無視して、圭は手を伸ばす。
「…熱は無いな、どうした?」
「何でも無いよ、大丈夫!」
笑ってごまかす。私の顔、引き攣ってないかな?

言えるわけ無いじゃん、圭の馬鹿っ!!

197:ブラックキャット:2012/12/27(木) 17:48 ID:bAY

あるビルの屋上。
私と圭は、遥と向き合って(睨み合って?)いる。

「今日は珍しいな、2人居るのか」
遥が私から視線を外して圭を見る。
私は微笑んで、1歩踏み出した。
「…そうよ。私の相棒、よろしくね」
「会ったばかりで申し訳ないが、捕まってもらおう。その方が2人まとめてだから、都合が良いな」

圭が「フッ」と笑った。えと、失笑ってヤツ?
「確かにはじめましてだが…俺もこいつも、そう簡単には捕まらないぞ?それは君がよく知っている事だと思うんだがな」
……圭、挑発してる?
『その方が面白いだろう?』
お、面白いってねぇ…!

視線を遥に向けると、平静を装っているつもりの遥。頬が引き攣ってるよ?
「面白い、言ってくれるな」
……遥って、以外に単純?というか、感情的?

「何ボーっとしてんだ、行くぞ」
「え、あ、うん!」
圭は既にフェンスに手をかけて、脱出の準備万端。

「それじゃ、また」
私も飛び越えようとした時


グキ、と嫌な音がした。


「……ッ!?」
その時既に私は空中。
地面に着地していた圭も、私の異変には気付いたみたい。
ついでに言うと、ここは47階建て。
このままだと、私、確実に死ぬ…よね。


どうしよう?

198:ブラックキャット:2012/12/27(木) 17:57 ID:bAY

〜エスパー・ガーディアン陣 【愛田 薫】【愛田昴】視点〜

あたしは、“怪盗ジョーカー”っていう怪盗がどんな物なのか、向かいのビルで昴と一緒に観察していた。
「―まんまと盗んじゃったね、あのルビー」
昴はあたしの言葉に反応しないで、「ん」と言った。
視線を向けると


ジョーカーの1人が地面に向かって一直線


「!!!」
(昴!)
(薫!)
一言だけのやり取りで、あたしと昴は服の襟をつかんだ。

199:ブラックキャット:2012/12/27(木) 18:10 ID:bAY

〜元に戻って、飛鳥視点〜

「―……」
私がルートを組み立てていたら、体の落下が止まった。
誰かが私の体を受け止めたんだ。
でも、景色はまだビルの途中。


…どういう事?


上から声が降ってきた。
「―ったく…危なっかしいんだから」
……はぁ?
その子は女の子で、活発そうな雰囲気。
髪は前の私のようにポニーテールにしている。
女の子は、横に話しかけた。
「昴!宝石は?」
「……ちゃんと持ってる」
…もう1人居た。
男の子。…雰囲気が圭に似ている。
その子は、今回の仕事の標的を持っていた。あれ、落ちてた?

…………。
ちょっと待って。
このやり取りは、空中。
景色は、さっきから全然動いてない。
「…………浮いてる?」
私の問いに、彼女は笑顔でこう言った。


「そうよ。あたし達、エスパー・ガーディアン!」

200:ブラックキャット:2012/12/27(木) 18:11 ID:bAY

えっと…200、です。
何とか年内に行けました……
やった!!

201:ブラックキャット:2012/12/28(金) 20:39 ID:bAY

「ありがと、助かったよ!」
私は、彼から宝石を渡してもらった。返してくれなかったらどうしようかと……。
本当は、壁を蹴って近くの屋根に移動しようかと思ってたんだけどね。
圭が近くに来た。

「飛鳥、手は?」
えと……
「…だ、大丈夫!」
と言った瞬間、圭が私の手首を掴んだ。痛みが走る。
「……ッ!」
我慢しようと思ったけど、顔が歪んだ。
怒られると思ったら、笑われた。
「飛鳥は嘘が下手だからな。下手して誤魔化そうとか思うなよ?」
……べ、別に笑わなくても良いんじゃないのぉ!?
私がむくれていると、彼女が「…ッあー苦しッ」と言いながら私の肩に手を置いた。


「…ふふっ……彼、素直じゃないんだね。くくっ……心配してるから、怒らなくても…ッ良いんだよ?…くくくっ」


顔が一気に熱を持った。
見ると、圭の顔も紅くなっている。
それを見て、もっと熱くなった。


…なんか、ちょっと…いや、スッゴイ、嬉しい。


……なんて自覚したら、心臓もドキドキ鳴り出したよぅ。

「「おーい」」
男の子が、頭に付けていたゴーグルを外しながら「いい雰囲気で、もうちょっと見てたいんだけど…」と言った。
渡されたのは、小さくて黒い物。
「小型マイクよ。いつでも連絡してね」
女の子がそう言ってウインクした。
「ありがとう!」

「…ありがと。……それより、僕達まだ名乗ってないけど」
圭の一言に、3人で「「「あ」」」と言った。
まずは私から!

「岩本飛鳥。よろしくね!」
「…紅本圭。どうも…」
「あたし愛田薫!よろしくっ」
「……愛田昴。よろしく」


しばらく話して、解散した後。
薫と昴は、帰りながら話していた。
「なんかさ、飛鳥ちゃんと圭君ていかにも“正反対です”って感じがしない?」
薫の問いかけに、昴はほとんどノータイムで「うん」と答えた。
「「…くしゅんっ」」
飛鳥と圭は、同時にくしゃみした。でも、笑い合いながら家に帰った。

202:ゆう:2012/12/29(土) 21:00 ID:dgE

200お疲れっ

ゆきね、もうばりばり元気っぽい。
一生寝込んでてもよかったんだけどなぁ。
あ、あたしは結局どうもなってない。
まあ、今日のあれで風邪ひいたり……しないか。

薫と昴かぁ……なつかしいや。
あの2人今も浮いてたりしてね。
っていうか、何っかいかにも自分の考えたキャラです的な書き方してない?
一応まんがの方の台詞乗せただけでしょーが。
おまけに、ほぼあたしの考えたやつだし。
ま、薫は一言だけ違うけど。
………ちょい待て。
見返して思ったけど、薫&昴が双子だって言ってないだろ!
こっちは解かり切ってるからいいけど、読者がね……。
あと襟掴んだ理由の詳しい説明は何だ?
こんな風にめっちゃ抜ける理由もわかるけど……うん。何とかしませんか。
あたしだって何とかしようと頑張ってんだぞ。おい。
とまあここまで突っ込みまくってきましたが、もう1つ。
薫と昴をまた登場させるんなら、あたしに言ってよ?
台詞考えるからさっ。

エスパー・ガーディアン3書いてもいいな……って、まだ完結してないだろうに。

203:ブラックキャット:2012/12/29(土) 21:05 ID:bAY

 怪盗ジョーカー 9 〜探偵君とガチバトル!〜


 |―――――――――――――――――――|
 |     親愛なる白本遥様。     |
 |                   |
 |次の満月の夜、“月の石”を頂戴する。 |
 |精々、警備を厳重にしておくんだな。  |
 |                   |
 |                   |
 |それでは、また。           |
 |          怪盗ジョーカー。 |
 |―――――――――――――――――――|


「………何か、かなり上から目線じゃない?」
私の言葉に、圭はパソコンの前でムッとした顔になった。
「上からって言われてもな…飛鳥が言ったんじゃないか」
ぅ…………。た、確かにそうだけど…。
うなだれた私は、圭の表情を盗み見する。

と同時に心臓が鳴った。
……悔しい、けど


格好良かった。


「飛鳥?」
圭の声で我に返る。
「…最近、よくボーっとしてるが…体調は大丈夫なのか?」
……そ、
そんなの、圭のせいじゃんかぁ!!

………なんて言えないし。言えないしっ!!
「圭の、馬鹿」
「……なんで僕が飛鳥に馬鹿って言われなくちゃいけないんだ?」

204:ブラックキャット:2012/12/29(土) 21:13 ID:bAY

えっと、↑の予告上っぽい紙の囲いなんですけど。
うあぁ…せっかく揃えたのに…
本当は、奇麗になってたんですけどね…
|―――――――――――――――――――――|
|    親愛なる白本遥様。        |
|                     |
|  次の満月の晩、“月の石”を頂戴する。 |
|  精々、警備を厳重にしておくんだな。  |
|                     |
|  それでは、また。           |
|            怪盗ジョーカー。 |
|―――――――――――――――――――――|

……出来てる、かな?

205:ブラックキャット:2012/12/29(土) 21:15 ID:bAY

うぅぅぅっ…また出来てないし…
もう良いか。疲れそう。

206:ブラックキャット:2012/12/29(土) 21:19 ID:bAY

疲れたっ

いえいえ?薫と昴はゆうのキャラクターでしょ。
あぁ、うん。薫の台詞、ちょっと変えたんよ。
………あ、うん。……あははっ
うん、後で説明しよう。

分かった。後1回は出番ほしいんだよね。9が終わったらクライマックスだしさ。
10でもう1回ほしいな。

207:ブラックキャット:2012/12/29(土) 21:28 ID:bAY

【説明】
えっと、8で出てきた愛田薫、昴の説明です。
苗字で分かるような気もするんですけど…まぁ一応。

薫と昴は双子です。似てないけど。
薫が姉で、昴が弟。
薫はいつも外で遊んでいて、昴は本ばっかり読んでる。
2人は“宙に浮く”っていうのと、“テレパシー”の、超能力を持った子供。
その力を使って、エスパー・ガーディアンとして活動しています。
主に、自殺を食い止める、みたいな活動。(飛び降りが多い)

襟を掴んだのは、服の下にユニフォームが下にあるから。
……伝わったかな?
あの、戦隊物のヒーローみたいに、バッ!ってやったら変身している、みたいな。

以上ですっ

208:ブラックキャット:2012/12/29(土) 21:57 ID:bAY

「さーて、とっ」
私は多分、顔ニヤケテいるんだろう。圭が溜息を吐きながら『遊びじゃないんだからな』って言った。
分かってるよ。

『行くぞ』
圭の声が切り替わった。
その声で、私の頭にスイッチが入って切り替わる。
「行くよ」
『あぁ。行って来い』
その声に安心を抱きながら、私は走り出した。




     ☆




ガラスケース前に立った私は、針金を取り出す。
鍵開けはかなり得意なんだよね。家の鍵は5秒で開くから、針金はかなり便利なんだよね。
『…飛鳥には鍵は通用しないな。気をつけないとな……』
え、ちょっ…人の物、勝手に見たりしないって!見ようと思わないし!!
『まぁな。飛鳥ならそう言うと思った』
……何か、どういう意味かよく分かんなかった。
……まぁ、いいか。


―カチャ


開いた。
『よし。良いな?』
「うん」
標的に手を伸ばし、掴んだ。
よし――…


『ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリィィッ!!!』


……っ!!?
一瞬で私の頭はパニックに陥る。
『トラップっ…!?くそ、こんな情報は無かったのに……』
圭の焦る声で、思考は混乱する。
馬鹿、馬鹿、馬鹿。落ち着いてよ。落ち着きたいのにっ…

209:ゆう:2012/12/30(日) 00:15 ID:ZnU

ふぅん。あと1回ね……。
ストーリー決まったら教えてくださいな。(←ずるい。超ずるい。)
ま、そんな説明でいいんじゃない?
3行頭文字全部薫だけど。
似てないのは認めるよ。うん。
薫茶髪なくせに、昴黒髪だもんね。
絵じゃ塗ってないけど。
飛び降りが多い。そりゃあまあね。
あ、でもすんげー高いとこで首吊りしようとしてる人の救助もありかな。

見間違いじゃなければ、これシャドウWだよな。
予告状の文章考えんのめんどくさかったのね。はい。
それはよぉく分かりますよ。
ものすごく。

PS かな。
そろそろ音信不通になるね。
年末年始特有の。
でも此処の小説は更新するでしょ?
あたしも出来るだけ此処来るから、ついでで伝えんにゃいけんことは書いてね。
……って、言われなくても分かるか。
あと、デジタルレッドガールのイラスト描いとくから、次会ったら渡すね。
ヘッドライトアフターデイズ、そろそろクライマックス&フィナーレです。
お楽しみに。

210:ブラックキャット:2012/12/30(日) 10:43 ID:bAY

ん……これ、ちょっと短いと思うんだよねぇ。どうしようか。
うん。似てないし、色は塗ってないし。本当、大雑把だったよねぇ。
すんげー高いところ……くくっ(鉄棒に縄を括り付けて、首吊りしようとしている所を想像した人。)

……そこはスルーで。

あぁ。うん。出来れば来るつもりなんだけど、ばぁちゃん家行ったりしたり、神社行ったりするから、来れない確率が高いんじゃけど…
あれ、もうクライマックス?
はやいなー。

211:ブラックキャット:2012/12/30(日) 11:30 ID:bAY

〜圭視点〜

飛鳥が宝石を取った瞬間、非常ベルが鳴り響いた。
思考が一瞬だけストップする。
「トラップっ…!?くそ、こんな情報は無かったのに……」
いつもなら、こんな事は言わなかった。


飛鳥がパニックに陥るのが分かっているから。


言ってしまった時点で、俺は十分罠に嵌められていた。
「罠は無い、って嘘の情報で油断させて、宝石を動かすだけでベルが鳴るように仕掛けたんだ。くそ、やられたっ!!」
悔しさが頭の中で渦巻いた。


そこで耳を貫いたのは、飛鳥の怒声だった。


『ちょっと、圭!?早く言ってよ、警備員が来てるのよ、何ボーっとしてんのよ!?』

我に返ると、乱暴な足音が近づいて来ている。
ルートはすぐに出来た。

それより。
飛鳥がパニックになっている。
ここで、俺以外に誰が助けてやれる?

それだけ頭に刻み付けて、俺はルートを飛鳥に説明し始めた。

212:ゆう:2012/12/30(日) 12:09 ID:GOw

そうそう。めっちゃ雑じゃった。
あー なるほどね。

はいはい。

今のとこあたしは、広島のおばあちゃん家&似島のひいばあちゃん家行くぐらい。
さて……今年は従兄弟たちいるんでしょうか。
おまけにまだ行く日決まってないしさ。

早いでしょ。
今薫視点で書いてる通り、薫さんの身の回りのことがいろいろ出て来ます。
薫さんの素がよぉく分かるよ。
それが現実かどうかはご自分で判断を。

213:ブラックキャット:2012/12/30(日) 14:01 ID:bAY

ん――、うちは…どうじゃろう。
明日の大晦日は、ばあちゃんたちと従兄弟の家族が来るらしいけど。
よく分かんないし。

でも、来ないのは母さん方のばあちゃんたちじゃけぇ、多分2日か3日には行くと思うよ?
4日からは部活だしさー。

214:ブラックキャット:2012/12/30(日) 14:28 ID:bAY

〜元に戻って飛鳥視点〜

相変わらず思考がグチャグチャだったけど、私が圭に怒鳴った事は分かった。
その瞬間、すぅっ…と頭が落ち着いて、いつも通り働くようになった。
『…悪い』
…そ、
「そこまで素直になられると、逆にこっちが気まずくないっ!?」
『……悪いか』
そう言った圭の声は、思いっきりふて腐れていた。
でも、と付け加える。
『来てるぞ、逃げなくても良いのか?』
…………あ。




     ☆





「…本当に此処で良いの?」
私の問いに、圭は明らかにからかっている口調で言った。
『…飛鳥に心配されるとはな。そんなに心配なら、自分で考えたらどうだ?俺は何もしないから』
「あ、御免なさい御免なさい!許してっ!!」
私にそんな頭はないって!
圭は通信機の向こうでクスクス笑っている。
うぅぅ……

『…もうそろそろ良いだろう。』
「了解」
私は目の前のドアのドアノブに手をかけた。
ガチャ、と音がすると思ったら


――ゴン!


と痛そうな音がした。
「えぇっ!?」
叫んで顔を覗かせると「……ったぁ……!」としゃがみ込んでいる影。
それがドアの近くに居るから、ドアが開かない。

「ちょっ…大丈夫、ですか?」
居ても立っても居られなくなり、思わず声をかけると、圭が『っ……マジかよ』と呟いたのが聞こえた。
「あ、大丈夫です…アハハッ」
そう言って立ち上がった人の顔を見て、私は上がりかけた悲鳴を抑えるのに苦労した。


―――――――――何で、

215:ブラックキャット:2012/12/30(日) 18:00 ID:bAY

「…………ッ!?」
黙り込んだ私に対して、ニコニコ笑っているのは


遥。


「…やっぱり来たね、怪盗ジョーカー。1度、君とゆっくり話してみたかったんだよ。」

そこで、圭が『なるほどな』と呟いた。
『警備員が来るまでの時間にその部屋から逃げられるのは分かってる筈のに、あえて展示室から遠ざけた位置に配置していたんだ。それが引っかかっていたんだが…なるほど、そういう事か』
え、そうなの?気づかなかった……
あ、でも、妙に警備が薄いような気がしてたんだよね。
なるほどね、そういう事かぁ……。

遥が後ろ手にドアを閉める。私が後ずさりをすると、背中が廊下の壁に付いた。
「…私と1対1で話をしたかったから警備員を遠ざけたって言うの?そんな融通が利くのかしら。」
遥は「利きますよ」と余裕の表情で頷いて、「というか、」と付け加えた。
「今回のコレは、融通を利かせてもらったんじゃなくて、僕が嘘を言ったんだ。…まぁ、1回くらいは良いと思うし」
そう言って、遥は笑った。

私は圭にこそっと言う。
「…遥って、以外に…なんていうか…」
『悪ガキっぽいだろ』
うん。なんか、探偵とは違う印象を受ける笑顔だったもん。

「それで?私と話したいって、何を話すのかしら?」
まさか、『お前の正体は?』とか言い出さないよね?
「あぁ、えっと……」
思わず身構えた私に、遥は「そんなに緊張しなくても良い。今日、僕はお前を逮捕するつもりは無い」と笑った。


――――タイホスルツモリハナイ?


『妙だな…何を考えているんだ?』
圭の言うことも尤も何だけど、それより。
私は、遥の眼の迷いの色が気になった。
「……どういう事?」
私の問いに、遥は弱弱しく笑った。こういう時にでも決して弱みを見せないんだからなぁ。


「…どう考えても、お前に頼るしかないんだ。………でも、」


遥の言葉に、私は笑った。安心できるように。
「大丈夫よ。そう言われたら余計聞きたくなったわ。…教えて」
遥も、決心したように頷いた。

「…ある学校に、犯行声明が届いたんだ」
学校に、犯行声明?
「学校をジャックする、…ってな。」
『…学校をジャックする?……目的が分からないな』



「その学校は、私立桜丘学園」

216:ゆう:2013/01/03(木) 11:23 ID:KTc

ご挨拶は改めて言わせてもらいましょう。

ジャック……ねえ。
大丈夫、大丈夫。
あの双子が何とかしてくれるよ。(←ネタばれ警報発令。)
……ん?
あれ? あの話ってこっちのまんがであったんじゃなかったっけ?
んじゃ借りる?
多分あるはずだよ。探せば。

217:ブラックキャット:2013/01/04(金) 14:55 ID:bAY

あぁ、うん。
でもね。今回はちょっと改良をして、登場人物がかなり多くなるんだよね。
あーあ…めんどくさ。
まぁ、結末は似たようなものだしね。

218:ブラックキャット:2013/01/04(金) 15:12 ID:bAY

昨日は眠れなかった。
少し寝ては起きて、少し寝ては起きて。おかげで、時間が経つのが遅くて。
私は、重たい頭を抱えて校門をくぐる。
昨日から圭は考え込んでるから、邪魔したら悪いし、話し掛けていない。
一方の私は、遥の話と、もうひとつの問題に悩まされている。
溜息を吐くと、「どうした?」と圭が聞いてきた。慌てて「大丈夫だよ、うん」と答える。
…偽物の笑顔は上手く出来ていたかな。
本気でそんな事を心配する。馬鹿らしいけど。


もうひとつの事って言うのは、圭には言っていない事。


―――いじめ。


あなたなら言える?
主に女子から受けているものは、「紅本君に近づくんじゃないわよ、ブスの癖に!」……っていう理由。
…もう分かったかな。
私がいじめられているのは、圭と一緒に居るから。
そんな事、圭に言える訳、ない。
私は教室のドアを開けた。

219:ブラックキャット:2013/01/04(金) 18:35 ID:bAY

 〜圭視点〜

教室に入ろうとすると、飛鳥の背中が若干固まった。
それもそのはずだ。視線が一斉に向いたんだから。
一瞬の後、飛鳥は歩き出した。…気のせいか?いつもより早いぞ。
そういえば最近、飛鳥の様子がおかしい。嘘が上手じゃないんだ、飛鳥は。
どこかで話を聞こうと思ったら、飛鳥は大勢の女子に囲まれていた。
いつの間に、と思うほど。
…無表情にはなってないぞ、口が引きつってる。
耳を澄ませると

「飛鳥ちゃん、この後の休憩に中庭ね!昨日の続きをするから、楽しみにしてて!!」
「…すいませんけど、行きません」
「えぇ?どぉしてぇ?別にさぁ、用事なんてないんでしょぉ?」
「…用事が有るんで行けません」
「そんなの、他の人に頼みなよぉ。皆引き受けてくれるって!駄目なら紅本君にでも頼めばいいじゃん?」
「……自分じゃなきゃいけない用事なんです。これで良いですか、チャイムが鳴ります」

こんな会話が聞こえた。
飛鳥は疲れた表情で、机に伏せた。
僕も自分の席に着く。
……あの女子達、どういうつもりだろう。
昨日といえば、確か飛鳥は「先に帰ってて」って言って、何処かに行ったけど。

どういうつもりだろうな。


嫌な風が開いた窓から入ってきた。

220:ブラックキャット:2013/01/04(金) 21:48 ID:bAY

1時間目の数学。
「起立、礼」
日直の言葉で、授業が終了した。
既にチャイムが鳴っていたこともあって、廊下はざわざわしていた。
僕は机の横の鞄に教科書を押し込んで、飛鳥が居る方向を向いた。
女子に囲まれていて、飛鳥の姿は見えなかった。
反対方向のドアを見て


目を擦った。

221:ブラックキャット:2013/01/05(土) 17:30 ID:bAY

教室の端に居る僕にも、その声は届いた。
「あ、居た。圭」
そう言って手招きした遥は、いろんな人に見られているのを自覚しているのかすら怪しい。
僕は遥の居る所へと近付いた。


「…何の用?」
僕の問いかけには答えず、遥は僕の後ろに声をかけた。
「飛鳥、ちょっと時間良い?」
女子に連れて行かれそうになっていた飛鳥は、速攻で頷いて「良いよ!」と言った。
飛鳥が立ち上がって、こっちに駆け寄ろうとしたところでチャイムが鳴った。
遥がクスリ、と笑った。
「…じゃぁ、また放課後。2人とも部活に入ってる?」
NO.
「じゃ、放課後。此処に来るから、待ってて」
言い置いて、遥は走って行った。
その背中が遠ざかるのを見届けて、僕は席についた。

222:ブラックキャット:2013/01/05(土) 22:01 ID:bAY

考え事をしていたら、あっという間に放課後になった。
遥が来るのを待っていた私は、女子に囲まれていたことに気づかなかった。
見上げると目が合うから、目は上げない。


「ねぇ、岩本さん」
「黒本さんと知り合いなの?」
「紅本君とだって仲が良いのに、黒本さんとも仲が言い訳?」
「ねぇ、どういう経緯なの?」
「っていうか、呼び捨てだったよねぇ」
「えー?何々、友達以上ってことぉ?」
「そうなんじゃなぁい?」
「でもさぁ、それってさぁ……」
「調子乗ってるよねー。ムカツク」
「あたしもそう思う!ムカツクよねー」


……この人達、部活はどうしたんだろう?
……………………。
最初は私に向かってだったけど、段々私の存在が薄れていっている。
……それが一番良いんだけどね。私の事は忘れてもらっても良い。

グラウンドでサッカー部の人達が走り回っている。
頬杖をしていた右手が痛くなってきた。



左手に変えた時、教室のドアが開いた。

223:ブラックキャット:2013/01/06(日) 15:56 ID:bAY

ガラ、と言う音に、教室に残っていた女子の視線がドアへと向かう。

きゃあっ、と軽く悲鳴が上がる。

遥が軽く引いたのが分かった。あっという間に女子に囲まれて、身動きが出来なくなる。
慌てている遥の様子がおかしくて、少し笑ってしまった。


…何しろ、あの黒本遥だもんね。騒ぎにならないほうがおかしい。
ふと見ると、圭は机に伏せて寝ていた。…起こさないと駄目だよね?


圭をつつく。
「……ううぅ…」
起きた…かな?
「…ふぅぅ……」
寝返りを打ってまた寝ちゃった。
あのね…此処、一応学校なんだけどなぁ。

今度は体を揺する。
「けーいー、起きてよー?」
しつこくグラグラ揺すると、やっと圭が目を開けた。
「あす、か…?」
あ、起きた。

「遥、来たよ。寝癖ぐらいは直しなよ?」
「……余計な、お世話だ…」
頭には寝癖が付いてて、お世辞にも格好良いとは言えない。


けど、私の心臓は簡単に高鳴る。


…なんか悔しい。
まぁ、良いよね?


さて、遥の学校案内を始めようか!!

224:ブラックキャット:2013/01/10(木) 19:44 ID:bAY

「此処が図書室。…その先にあるのがトイレね。あとは……」
指差しで歩いていく私。


さっさと終わらせてさっさと帰ろう―――
と思っていた。


それはあまりにも突然だったんだ。



「「飛鳥」」
見事な二重奏で呼ばれた名前。
圭と遥が物陰に隠れる。私もそれに習ってしゃがむ。
どうしたの、と聞きたかったけれど、2人の眼が険しくなっているのが見えた。
脳裏によぎったのはひとつ。


『来た』

225:ブラックキャット:2013/01/11(金) 21:34 ID:bAY

認識した瞬間、


―――ガシャン!!


目の前にシャッターが下りた。
さっきまで見えていた景色が遮断される。
呆然と固まっている私。
頭上の校内放送用のスピーカーが、ガガッとノイズを発した。私たちの目が同時に向く。



『この学校はすでに我々が乗っ取った。グラウンドに出ている者はすぐに校舎内に入れ。自分のクラスの教室に入るように。…逃げようと思うな』



早口にまくし立て、放送はぷつりと切れた。
スピーカーから視線を戻すのも3人同時だった。

沈黙が降りる。

それが痛くて、私は沈黙を破った。
「……取り敢えず…行こうか」
頷いて、歩き出す。


ある顔がふと浮かんだ。
私は、通信機を制服の襟の影に付けると、小走りに追いかけた。

226:ブラックキャット:2013/01/12(土) 10:23 ID:bAY

「此処でお別れ、だな」
遥は笑った。
「…無茶はするな」
圭の言葉に

遥は頷かなかった。

「出来るだけ努力はするさ。…それじゃぁな」
手を振って歩き出す。
遠ざかっていく遥を、見送る私の表情はどんなだったんだろう。
圭は「行くぞ」と短く言った。

そしてかなり言いにくそうに「…俺の傍から離れるな」と言った。

227:ゆう:2013/01/12(土) 22:28 ID:B0U

えと、急いでるからコメントはなしねっ。

塾でさ、Mーちゃんから聴いたんだけど、明日M坂でとんどあるんだって?
誘われたよ。もちろん。
行きたいんだけど……どう? 行く?
午前中部活だったら、午後。(結構無茶か。)
まあいいや。とりあえず、明日帰ったら電話ください。

あ、結構時間出来たな。
ちょっと更新するか。

228:ゆう:2013/01/13(日) 13:03 ID:/NA

Mーちゃんたち知っとる人がおらんかったけえ今あたしん家におる。
さっきSレールにひなが乗っとるの見て、手ぇ振ったらしいけど気付いてもらえんかったって。
……(ちょっと変な目してます。)
行くの? 行かないの?

229:ブラックキャット:2013/01/13(日) 17:21 ID:bAY

教室の前の廊下は、静まり返っていた。聞こえるのは、自分の足音と、圭の足音だけ。
教室のドアの前には机と椅子が放り出されていて、男が立っていた。
男は私達に気が付くと、近付いて来た。
「…1年生だな?」
頷くと、腕をつかまれて引っ張られていく。

荒っぽくドアを開ける。
教室の中には、多分、1年生全員が入っているんだと思う。

…かなり窮屈そうだなぁ。
私はこっそり溜息を吐いた。

大して広くない教室に居る人達は、皆ガムテープで手が後ろ手で縛られている。でも、口と手は塞いでいない。
「手を後ろ手組め。…声は出すなよ」
頷いて、手を組むと、ガムテープが巻かれる。なんかくすぐったい。

床に座らせられた場所は、教室の端だった。隣には圭も居る。
その事に安心して、胸を撫で下ろす。
私は目立たないように、そっと顔を伏せる。…圭は気づいたみたいだけどね。
苦笑しながら、通信機を口を寄せる。……声は極力出さないように、囁く。


「……問題発生。協力してくれるかな?」
相手はいきなりの事に面食らったみたいで、機械の向こうが騒がしくなる。
簡単に状況を説明すると、相変わらず元気な声が聞こえた。



『当ったり前じゃん、飛鳥!!ね、昴!?』

230:ブラックキャット:2013/01/14(月) 15:26 ID:bAY

「…ありがと、よろしく」
『任せといて!』

その返事に安心して、顔を上げる。
見回すと、皆怯えた顔をしている。……そりゃそうか。

リーダーらしき人は此処には居ない。男は全部で1,2…
…数えなくても良かったよ、2人だ。で、ドアに1人か…
……どうしようかな、なんて考えてる暇があったら体力温存しとこっか。


きっと、あの2人が暴れて私達を解放してくれる―――



そしたら、今度は私と圭が暴れ回る番だからね。

231:ブラックキャット:2013/01/15(火) 19:59 ID:bAY

カチ カチ カチ カチ ……

閉めた窓の外で、陽が暮れようとしている。
さっきから時計の針ばっかり見ているからか、いつもより時間のスピードが遅い。
見張りの男も、さっき欠伸を噛み殺していたしね。


…にしても、遅いな。


中学校だし、部活もあるからまだ親は騒いでいないはず…
でも、とっくに要求を話していても良いような気がするんだけど……

考えながら欠伸を噛み殺す。圭が私を見て苦笑したのが分かった。
「…我慢しろよ」なんて言われたみたいで。
なによぅ、圭こそ目が半分ぐらい閉じてるくせにっ!
視線を窓に向けたら、


何かが飛んで来て、跳ね返った。


……………え?
自分で見た物が信じられなかった。
え、
ちょ、
え、
だって、
普通、
有り得ないよね、
通信機が、


―――薫の通信機が飛んで来るなんて。

232:ブラックキャット:2013/01/17(木) 19:50 ID:bAY

ドウタイシリョク、っていうらしいんだけどね。
私は、ずば抜けてそれが良いんだって。圭が言ってた。
だから、なのかな?
たまに、ボールとか、車とか、かなり速い筈なのに私には止まって見えちゃうんだよね。

それで、今回も。
飛んできたのは、小さいブロックみたいに四角いもの。ジョーカーが使うのは、バッジみたいな形だから、すぐに分かった。

それに―――
ご丁寧に、ちゃんと『K』って書いてあったんだよ?
何か、呆れを通り越して感心するよ。うん。


―――なんて冗談はほどほどに。
今は、反撃のチャンスを狙ってウズウズしてます。


―――――圭が笑った。



それが合図だったかのように、窓ガラスが割れた。

233:ブラックキャット:2013/01/17(木) 19:58 ID:bAY

陶器のお皿を10枚ぐらい割ったらこんな音が出るんだろうなぁ……。
なんて思ってたら、手の緊張が解けた。
見ると、後ろには昴。その手にはロープ。
「…大丈夫?」
その言葉は、おそらく私と圭に向けられたものだと思う。
窓に一番近かったのは私達だしね。
「大丈夫、ありがと!」


昴にお礼を言って立ち上がる。
後ろを振り返ると、明らかに校則違反のものが入っている鞄を、圭が取った。
――――――よし。



「圭、行くよ!!」

234:ブラックキャット:2013/01/19(土) 15:42 ID:bAY

女子トイレから出ると、薫が其処に居た。
「あれ、圭と昴は?」
「あ、屋上に居るよ。それより、大丈夫?」
私は指の先が出る手袋を嵌めながら頷いた。リストバンドも着ける。
よし、準備完了!


「それじゃ、薫と昴は2年1組に行ってくれる?探偵が―――黒元遥が、其処に居るから、逃がして。あぁ、そうそう……」
そこで、私はニヤリと笑った。


「――――――手段は選ばなくて良いよ」


一瞬、口が開いた薫も、笑った。
「任せて!それじゃ、行って来る!!」
薫は走って行かず、窓を開けて飛び降りた。
フワフワと浮いているのが見える。

急に速度が上がって、私の方が驚いた。

235:ブラックキャット:2013/01/20(日) 09:04 ID:bAY

俺は、ドアに背中をつけて座っていた。
眠くて、欠伸を噛み殺した。


――――――その時、窓が砕け散った。


――――夢、なのか?
砕けたガラスの向こう、それは


……浮いていた。


子供っぽいけれど、頬をつねる。


………痛い。


それじゃ、これは現実か…。
溜息を吐く。
すると、手の縄が解かれた。
「ボーっとしてないで!貴方、探偵でしょ!?早く行かないと、間に合わない!」
見ると、見張りの男達は床に倒れている。気絶じゃなく、寝てるだけだ。


後ろに居る女子は、ジョーカーと似たような格好をしていた。


「何者だ……?」
そいつは、笑って首を傾げた。
「何者って……そうね、何者だと思う?」
「それじゃ、質問した意味がないだろう。」
俺の抗議は、笑って受け流された。


「まぁ、良いじゃない。私達が何者であろうと、貴方は貴方のする事が有るのでしょう?」

236:ブラックキャット:2013/01/21(月) 19:51 ID:bAY

真面目な顔になったそいつは、俺を教室の外へと連れ出した。
「えーっと…面倒くさいから途中は省こっか……」
省くなよ。

尚もブツブツ呟いているそいつは、前触れもなく飛び上がった。
「び、びっくりしたぁ〜…」
びっくりしたのはこっちもだ。
そいつは、首に巻いたスカーフを摘まんで話し始めた。

「何、びっくりしたよ!……え?あ、探偵さん?…居るよ、替わろうか?……え、遠慮しなくても良いと思うんだけど……あぁ、そっか。え、じゃぁ昴は?……遅いよ、もう言っちゃったよ。…え、替わる?…ま、まぁ、有名人だけど…その扱いはどうかと…」
ボソボソ会話していたそいつは、俺にスカーフを突き出した。
警戒態勢。
「…何だ?」
すると、そいつは吹き出した。
「…あっ、有り得ないっ……!ぅわ、こんなキャラで探偵って…!どう、どうなの!?スカーフごときで警かっ…ぉ、お腹いたっ…」
顔が熱くなる。


「〜〜〜ッやかましいッ!」


殴った俺の掌も痛い。くそ、こいつっ…!

落ちたスカーフを拾って、耳を近づける。
気配でも感じたのか、ノイズが入る。
次の瞬間、向こうから男子の声が聞こえた。


『――――姉さん、頭固いよ?手、大丈夫?』

237:ブラックキャット:2013/01/22(火) 21:20 ID:bAY

「姉さんっ…?」
思いがけない言葉に驚いて、間抜けな声が出た。
今度は、向こうからも『っ…くくっ……』という含み笑いが聞こえた。
スカーフをぐしゃぐしゃに握りつぶして、窓から放り捨てたい衝動に駆られる。が、押さえ込む。

聞きたい事はたくさんある。でも、まずは。
「…誰だ?」
『えーと、僕は…エスパー・ガーディアンだよ、君の後ろに居る者もね。で、僕は……これ、本名言っても良いの?……そりゃ、…うん、だって、僕達は悪い事してないし。……え?うん。分かった』
こいつもボソボソと話しているが、1人じゃない。
……誰か居るのか?

………………。
……考えても、データが少なすぎる。
しょうがない、もう少し待つか。
結論がまとまったところで、また話し出した。

『…まずは、自己紹介するよ。分け分かんなくなりそうだからね。』
そこで、一旦言葉を切る。
不思議に思ったところで、後ろから肩を叩かれた。
振り返ると、俺を連れてきた女子が「まずは、私からね」と言った。

深くお辞儀すると、ポニーテールの髪が揺れた。


「はじめまして、エスパー・ガーディアン NO,01、愛田 薫です。よろしくね」


今までの行動からは考えられないような口調にドギマギしていると、『次は僕だね』と聞こえた。


『…はじめまして、エスパー・ガーディアン NO,02、愛田 昴。…薫の双子の弟です。よろしく』


薫と、昴……
うん、大分分かりやすくなったと思う。

「俺は、黒本 遥。よろしくな、薫、昴」

238:ゆう:2013/01/24(木) 19:33 ID:RZk

あの。 いいですか?
昴、薫のこと姉さん何て言わないよ?
普通に呼び捨て。薫って。
このタイミングで言うのもどうかと思うけど……一応。

あたし明日中ずっと死んでると思うけど、放っといてね。

239:ブラックキャット:2013/01/25(金) 20:43 ID:bAY

え、そうだっけ?
あーでもなぁ……このタイミングだもんなぁ………
まぁ、良いよ。今までのは本名が出せなかったと言うことで。

240:ブラックキャット:2013/01/25(金) 20:57 ID:bAY

『それじゃ、僕そっちに行くから』
え、行く……?
すると、3秒も待ってないのに薫が「あ、来た」と言った。
薫が見ている所を見ると、1人の男子が窓の外に浮かんでいた。
「―――ぅ、えぇっ!?」
俺が声を上げると、2人から「「うるさい」」と突っ込まれた。

「え、いやあの……え、浮いてっ……えぇっ?」
頭がゴチャゴチャで、分けが分からない。
薫が困った顔をした。

「昴、……こういうのが、面倒臭いんだよね。どうする?」
「薫、……しょうがないだろ、人間が浮くなんて普通は有り得ないんだ」

こう見ると、確かに2人は双子だな。息が合っている。
普通―――が当てはまらない人も居るんだな、と思った。
しょうがないだろ?怪盗何だの、探偵何だの―――――


こういうのって、物語の世界だ。


悲しい事に、今は解決しなければいけない事が有る。
今は、それに集中しようか。
しかし―――


ジョーカーは何処に居るんだ?

241:ブラックキャット:2013/02/03(日) 15:00 ID:bAY

「…っ…くしゅっ」
急に鼻がむずむずして、耐え切れずに小さくくしゃみをした。

そういえば、くしゃみで思い出すのは……
…誰かが噂してると、噂されている人がくしゃみするんだよね。
良い噂だったら2回、悪い噂だったら1回、……だったかな?
今が1回だったから………
………………。
ま、まぁ、そんなの噂に決まってるよね!ただの噂!!


私は足音を忍ばせてあるドアに近づいた。
プレートには、『保健室』の名前がある。
思ったとおり、カーテンが閉められている。
此処って、遮る物が何も無いから門が見張りやすいんだ。
一番門に近いのは体育館なんだけど、其処は部活で使ってたから仕方なく此処、って事かな?此処は誰か居たとしても、生徒か先生だからね。


ドアに耳をつける。

242:ブラックキャット:2013/02/03(日) 18:01 ID:bAY

『飛鳥、どうだ?』
圭は屋上に居るけど、私は首を振った。
「駄目だぁ、くぐもって聞こえない。私、耳、良いのに」
『飛鳥の聴力がずば抜けて良いのは知ってる。……聞こえないとなると…じゃぁ次は……』


圭がブツクサ言っているのを聞いていると、私の肩に手が乗った。
予測してなかった物に、叫び声を上げそうになって、直前で自動的にストップが掛かる。恐る恐る振り返ると、遥が其処には立っていた。
小さく息を吐く。
「探偵君か……誰かと思った。あまり驚かさないでほしいんだけど?」
いや、なんだかすごい上から目線だよ!?と自分で自分に突っ込みを入れる。
遥も嫌な顔せずに謝った。こういうところは素直なのにねぇ……。
「今はお互い話したい事があるだろうが、来てくれ。少し面白そうなものを見つけたんだ」
遥はそう言うと、スタスタと歩いて行く。『来てくれ』って言っといて、先に行くってどうなんだろう、って思ったけど、遥に言ってもものすごい普通な顔で「……それで?」とか言われそうな気がする!!有り得る!!
などと1人でごちゃごちゃやって、遥に付いて行った。


     ☆


付いて行った先は、圭の居る屋上だった。
遥を睨み付ける。
「……どういうことかしら、黒本遥」



屋上に入って私が眼にしたのは、警察の制服を着た男に捕まっている圭達だった。

243:ブラックキャット:2013/02/03(日) 20:45 ID:bAY

遥が笑った。
「まんまと引っかかってくれて良かったよ。時間をかけて準備した甲斐があったよ。あそこまで上手くいくと、なんだか怖いくらいだね」


何が怖いだ!
私達を1人で捕まえられねぇくせに!
ふざけんな黒本!


多分、今の私には真っ黒なオーラがうようよしているんだと思う。内心、怒りが渦巻いているのが分かる。

圭が捕まっているから?―――確かにそうだけど、他にもある。
騙されたから?―――――きっと、それが一番の理由だ。


「――――――騙したのね、信じてたのに」


遥は、はっきりと傷付いた顔をした。こういうところを見ると、許しちゃいそうになる自分が嫌だ。お人好し過ぎるよ、私。
「信じたのは、君達の勝手だろう?僕は、確実にジョーカーを捕まえる方法を考えただけだ」
そこから、3秒間の記憶が私から飛んだ。


―――――――パンッ


「あっ……ジョーカーッ!?」
圭が叫んだ。そこでふっと我に返る。
けれど、私の掌がジンジンと熱いのと、遥が左頬を抑えて呆然とした顔で私を見ていることから、私は遥を右手で殴ったんだと理解した。
「平手かな?グーだったらごめんね」
けろっとした顔の私は、えへっとかわいこぶった。似合ってないよ、私。……自分で言うのもどうかと思うけど。


「ふざけんじゃないわよ!信じたのは君達の勝手だろう?じゃないわよ!分かってんの!?あんたは私達の信頼を裏切ったのよ!?信頼するって言う事が、かなり苦労することを、知りもしないくせに…ッ!」


―――――――――確かに、信じたのは私達だ。けれど、遥はまだ知らない痛みを私は持っている。


「信じてたのに、裏切られる痛みを、知らないくせに……ッ!」


視界が滲んで来た。けど、構ってられない。
警官が近づいてくる。
私は、遥を睨んだまま動かない。



遥が口を開いた。

244:ブラックキャット:2013/02/03(日) 21:10 ID:bAY

「…んなモノ知ってるよ!」
噛み付いた遥の顔は、悪いけどとても難事件を解決した、っていう探偵の顔に見えなかった。
私はその隙に警官に攻撃を加えた。

1発。
2発。
3発。
4発。
5発。

次々と攻撃が決まって、立っている警備員はゼロ。圭が薫と昴に帰ってもらった。しょうがないよ、2人は何の関係も無い。
圭はスカーフで顔を半分以上隠して、フードを被っている。
圭のまとっているオーラがいつになく黒い。怒ってる証拠だ。―――怖い。


「知っているんだよな、俺達の正体を」
えっ、と圭を見ると、遥は頷いた。
「あぁ。声質とか、体格とか…決め手になったのは、髪の毛だけどな」
嘘、髪の毛落ちてた!?え、あのDNA鑑定とか!?うわ〜〜……気を付けてたのに……


「そうだよな、怪盗ジョーカー。…いや、岩本 飛鳥、紅本 圭」


私と圭の拍手が、雲の間に吸い込まれていった。

245:ブラックキャット:2013/02/04(月) 14:05 ID:bAY

突然の拍手に、驚いたのは私達だ。私と圭は顔を見合わせた。…まぁ、まさか、揃うなんて思ってなかったからね。
遥はと言うと、嬉しそうに照れている。………いや、そういう意味じゃないんだけど……?
「いや、本当の事を言うと、本当は飛鳥達じゃないか、って形の予想があったからこそ、こんな事が出来たんだけれどね」
確かに、と圭が呟いた。
「……遥に、俺達が何処に通っているのか教えたな」
あぁ……分かったような、分からないような。
イマイチ理解できてない私に、圭は「説明が面倒くさいからしない。別に知らなくても良いと思うし」と言った。いや、教えてよ!
遥も、「飛鳥の頭には新たな知識も必要だと思うよ?今のままじゃ……有り得ないけど留年するよ。かなりの確立で」などと失礼極まりない事を言う。
圭も頷くし。2人の馬鹿ァ!
圭が息を吐いて、説明を始めた。

「まず、俺達が、っていう予想があったら。年齢も知っているし、学年も知っている。学校の予想はすぐに立つ。だとすれば、どうやって正体を暴くか?簡単だ。」
圭は其処で言葉を切った。


「―――――事件をその学校で起こせば良い。」


表情が凍りついたのが分かった。そんなの。


――――私達が此処に通っていたから、この学校が使われた?

246:ブラックキャット:2013/02/05(火) 21:14 ID:bAY

私の表情が読めたのか、遥は首を横に振った。
「飛鳥達が居ても居なくても、ここの学校は使うつもりだったんだ。校長とは面識があって、ある程度知っているからね。…まぁ、校長が「何処かの学校を使うのなら、うちを使ってほしい」と言ってたんだけど」


「―――はぁ?」



呆れすぎたのか、飲み込む間も無く声が出た。
―――な、
何なのよそれぇ!?

此処まできたら、校長がうちを使えって言うのは多分知名度を上げるって狙いなんだろうって言うのは分かる。……でも。
「まぁ、だからと言ってそれは理由にはならないな。一部だけでも、生徒をパニックに陥れた、その事実は動かない。……そうじゃないのか?遥」
圭の言葉に、遥は頷いた。
「あぁ、僕もそれは反省している。――――だが、この反省は怪盗ジョーカーを捕らえて、示すつもりだ」
それって、結局は私達は捕まるって事じゃない?
……まぁ、そうか。遥はジョーカーの逮捕が第一の目的なんだから。


     ☆


相変わらず、私達は屋上で睨み合っていた。
日は沈み、一番星が頭上で光っているけれど、今の状況では素直に観賞できないのが悔しい。
なんだか、いつも以上にきらきら光ってるんだもん、もうちょっとゆっくり見たいよね。


足音が、屋上のドアの向こうで聞こえた。

247:ブラックキャット:2013/02/09(土) 22:44 ID:bAY

「どうして私が気付いたのに、圭とか遥とかが気付かないんだろうね?」と。
前に圭に言った言葉を思い出した。
あの時、確か圭は―――――
「破壊的な能力を持っている飛鳥と比べるな。僕達が至って普通なんだからな。あ、僕達って言うのは、飛鳥を含んでいない方だよ」
………………思い出した。あの後は、確か圭に一発パンチを食らわせたんだ。グーで。

―――――………。
どうして、今そんな事を思い出したのかは、まぁ、今まさにそういう状態だからって事です。ハイ。
足音は、徐々にこっちへ近づいてきているのに、圭も遥も気付いていない。
いつドアが開くのか、それを私は待っていた。



―――――――ガチャ


ドアが開いた。

248:ブラックキャット:2013/02/10(日) 12:34 ID:bAY

「誰だ!?」
遥の切羽詰った声とは裏腹に、私と圭は溜息を吐いた。…どうして来るかなぁ。
其処に立っている2人は、遥の声と顔が面白かったらしく、笑いを堪えている様子。


「誰だ、だって。昴」
「…僕達はちゃんと名乗ったから。もう1回名乗れ、って言うのは無しだよね、薫」


遥が驚いた顔をした。
私を見て。薫を見て。圭を見て。昴を見て。
「………え?」
薫が遥に近づいた。肩を叩いて、ニッコリと笑った。


「―――――私たちを騙したんだってね?遥」


遥の顔が一瞬にして青くなった。体に悪いね、大丈夫かな?
「あ、いや……「言い訳は無用。潔くしたら?」



数日後、薫が電話で『遥はキツク叱って置いたから、もうああいう事はしないと思うよ!それじゃぁね!!』と言ってきた。
その日は遥が妙に優しくなって、私も圭も笑いを堪えるのに大変だったよ。

249:ブラックキャット:2013/02/14(木) 22:26 ID:bAY

怪盗ジョーカー10 〜標的はチョコレート!?〜

2月14日。
聖バレンタイン。

この話はその日の少し前―――2月9日の話。
そして、私たちの関係が変わろうとした日でもある。

―――――
『ご覧ください!このバレンタインのコーナーの広さ!1日でどれくらいの人が訪れるのでしょうか?』
『そうですね…大体…500人くらいでしょうかね』
『500人!すごいですね…以上、市内の大型ショッピングセンターからでした!』


「ハ…な――にがバレンタインだ…くっだらね――…」


テレビを見ながら呟いたのは、なぜか私達の家に居る遥。
「皆お菓子業界の企業戦略に乗せられてるだけじゃねーか…」
遥の愚痴らしきものはまだまだ続く。正直、私はそれほど興味が無い。けど、一応返事らしきものを返した。
「でも、貰う方は嬉しいんじゃないの?チョコ、おいしいし。―――まさか」
言っている途中で、頭の中にピカン、と光るものがあった。まさかまさか。


「遥、貴方チョコが貰えないからって僻んでるんじゃな「んな訳あるか、阿呆ッ!!」


思いっ切り怒鳴られた。耳が痛い。
階段から足音がして、圭が姿を現した。
「……まぁ、遥の言う通りだね。呑気にチョコ、チョコって恋愛ゴッコしてるのはこの日本だけ…。聖バレンタインの元となったバレンティネス司教が、拷問の末に撲殺されたなんて知らずにね」
圭の説明に体温が下がるのを感じた。
「…ば、馬鹿、そんな話しないでよ、冬なんだから」
遥も、「そういえば」と話し始めた。
「血のバレンタイン(ブラッディバレンタイン)…カポネ一家が、敵対するモラン一家の7人をガレージの前に立たせてマシンガンで銃殺した1929年の2月14日…」
あ――もう、


「圭も遥も馬鹿っ!そんな話しないでってば!私はその手の話が大の苦手なんだって知ってるでしょ!?もう、馬鹿っ…」


呆気に取られた顔をしていた圭は、しばらくして「悪い、そんなつもりじゃなかった。ごめん」と言った。遥も、圭の後に続く。
「……もう、良いよ。別に、謝ってほしくて、言った訳、じゃない」
あれ、どうしたんだろう、私。声が上手く出ないし、圭達の姿がぼやけて見える。
何かが頬を伝って落ちたのが分かった。遥の焦った声が聞こえるけど、止まらない。もう、本当に馬鹿だよ、2人とも。

「ごめん、部屋に戻る」
私は2人の声を背にして部屋に入った。

250:ブラックキャット:2013/02/15(金) 21:59 ID:bAY

―――机の一番上の引き出し。


鍵が掛かるこの引き出しは、私にとって嫌な物が入っている場所で、滅多に開けようと思わない。
そんな場所には、お母さんの日記が入っている。
御葬式の時、お父さんに渡された物だけど……
もう何度も見た表紙は、何時も変わらない、くすんだ黄緑色。
2月14日のページを開く。
何度も見た筆跡。
何度も見た文。
脳内に焼き付けるように見ると、私は日記を閉じた。


「…それ、おばさんの日記?」


「ひゃいっ!?」
勢い良く振り返ると、後ろには圭が立っていた。危うく、頭が当たりそうになった。
「え、あ、あ――……圭」
「……もしかして、来たら駄目だった?」
眉を動かして、圭が言った。
いやいやいやいや、そういう意味じゃなくてっ!
「ちがっ…そういうんじゃなくて、あの……」
私は、慌てて後ろを向いて目元を拭う。
前を向くと、圭は首を傾げている。あーもう、鈍いんだよぅ!
「だから、」
此処で気付かない私はやっぱり馬鹿だった。


「―――圭に、泣いたところなんて見せらん無いでしょ!格好悪いのにっ」

251:アリス pmp3:2013/02/15(金) 22:21 ID:Hgg

ブラックキャットちゃん!?うわあん!
久しぶりすぎるっ!咲は?くまはっ!?

もーみんな、いじめ板来てくれないから心配で• • •。、また来てくれる!?

てか、小説途中からしか読んでないんだけど、、、結構書けてるね!また来るね!

252:ブラックキャット:2013/02/16(土) 19:54 ID:bAY

あー、アリス。久しぶり。
咲はね、母親からパソコン禁止令が出たから、…しばらく来れないと思う。多分。
くまは、最近元気だよ。風邪引いてないから大丈夫。

あー…行けたら行くよ、月曜から試験週間だから行けたら今日。

ありがと。

253:ブラックキャット:2013/02/16(土) 22:42 ID:bAY

「――――は?」


圭の顔は混乱している顔だった。滅多に見れない顔に、私は頬が緩むのを感じた。
「…何でもないよ、圭の馬鹿」
そう言って、部屋の外に出ようとすると、圭が私の腕を掴んだ。
いつもと違う圭に、私は戸惑う。何、どうしたの。

「今回の仕事の事だけど」
圭の言葉に、私は頷いた。そっか、遥に聞かせる訳にはいかないもんね。
圭は服のポケットから、1枚の紙を取り出した。コピー用紙だ。
その紙は、市内にある大型ショッピングセンターのチラシだ。
えっと……『バレンタイン限定! チョコレートアートの実演開催 是非、ご来店ください!!』?


「今回の標的は、チョコレートだ」


次の瞬間、私の口は圭の手によって塞がれていた。まぁ、叫びそうだったけどさ。
「…叫ぶなよ?」
やっぱり、私が叫ぶのを警戒したみたいだ。
「ふぁ、ふぁいほうふふぁふぁふぁ!ふぁ、ふぁふぁひへっ」
…な、何を言ってるのか分かんない……。訳すと、「だ、大丈夫だから!は、離してっ」だよ。

「……何を言ってるのか分かんないけど。まぁいいや。―――だから飛鳥」
私の口を塞いだまま、圭が私に顔を近づける。
ちょうど壁際。逃げようとも思わないけど、心臓がバクバクしてる。
「決行日は2月の13日。3連休だから、…月曜日にでも、下見に行ってくれる?」
え?

「へふぃふぁ?(訳:圭は?)」
「バレンタインの特設コーナーにあるんだ。僕が行けるとしても、ショッピングセンター内までだ」
…あぁ、そっか。

「へふぉ、ふぁふぁひふぁふぁむはいふぉ?(訳:でも、私分かんないよ?)」
「その点は大丈夫。ちゃんと隠しカメラも、盗聴器も飛鳥に付けるから」
た、確かにそうなんだけどっ、違うよ、圭!

「へふぃもふぃっほふぃふぃふぇ!(訳:圭も一緒に来て!)」
「でも、ショッピングセンター内までだけど。……それでも良いのか?」
圭の質問に、電光石火で答える。
「良いのっ!」
圭が居ないと不安なんだから、なんて言わないけどね!

254:ブラックキャット:2013/02/17(日) 17:03 ID:bAY

僕は飛鳥を解放した。飛鳥は、チャンスとばかりに部屋を逃げ出す。
飛鳥を見送った僕は、自分のベッドに腰掛けた。
大きな溜息を吐く。


―――だから、駄々漏れなんだってば。


どっちが馬鹿なんだ、まだ僕の方がマシだろう?学習しない飛鳥よりは。

『圭が居ないと不安なんだから、なんて言わないけどね!』……か。
飛鳥にそんな事を呟かれる度に、勘違いしてしまいそうな自分に歯止めが利かなくなる。……こうやって考えると、僕もかなりの馬鹿だな。
一応付いて行く事にしたのは……理由を聞かれると……答えられない、というか、答えたくない。
自分の中にあるまだ名の無い、よく分からないものに近寄りたくないんだ、弱い僕は。

また溜息を吐く。
考えるのが馬鹿らしくなってきた、ここら辺で終わろう。

僕は部屋を出た。

255:ブラックキャット:2013/02/17(日) 18:48 ID:bAY

飛鳥と遥の居るリビングに降りると、飛鳥が何かを隠したのが見えた。
「……あ、圭」
追及する気は起きないけれど、なんだかモヤモヤする。

僕が半分ヤケで「…邪魔だったかな、部屋に戻る」と言うと、飛鳥が飛んで来て僕の腕を掴んだ。
「違うから!全然違うから!良い!?何か勘違いしてるみたいだけど、断じて違う!」
まくし立てる飛鳥を横目で見ながら遥を見ると、遥は肩をすくめた。
「飛鳥の言う通り、何か勘違いしてるみたいだけど?圭」
2人がそんな事言っている時点で、何か隠してるのは明白だろう。

何だかモヤモヤする。イライラする。気持ち悪い。
何も言わない僕を不審に思ったのか、飛鳥が「ねぇ…圭ってば」と僕を揺さぶる。


「――――うるさい、離せ」


僕のその言葉だけが部屋に、やけに大きく響いた。

256:ブラックキャット:2013/02/17(日) 18:54 ID:bAY

呆然と立っている私の横をすり抜けるように、圭は部屋に入ってドアを閉めた。
遥が「あ――……やっちったなぁ…」と頭を掻いた。
私は、金縛りにあったかのように動けない。ただ、圭の言葉が耳の奥で繰り返し響いているだけ。
圭を


怒らせたんだ。

257:ブラックキャット:2013/02/17(日) 21:23 ID:bAY

俺は、圭の所へ行くわけにもいかず、飛鳥に言葉を掛ける訳にもいかなかった。
2人が喧嘩しているのなんて、間にいる俺はどうなるんだ、って話だ。

圭が居ない今なら、


――――飛鳥の気持ちが俺に向くかもしれない。


俺は飛鳥が好きだ。…けれど、飛鳥は圭が好きだ。圭も、飛鳥が好きだろう。
元々は叶う筈の無い俺の想い。だけど俺は――――……

……とんでもない奴だな、俺は。
苦笑しながら、その考えを頭から追い出す。
今しなきゃいけないのは、まずは2人の仲をどうにかする事だ。
それから、ジョーカーも……。

俺は立ち上がって、飛鳥の肩を叩いた。

258:ゆう:2013/02/18(月) 18:06 ID:cBU

まず、1つずつ突っ込んでいくよ?
覚悟しとけ。

1:裏切られる痛みを知らないくせにっ……!!
まあ、正解ってる。(あたってる。)
ごめんね、飛鳥。
ジョーカーとしての貴女がこんな痛みを知ってるのも、すべてあたしのせいだね。

2:嘘、髪の毛落ちてた!?
落ちない訳がない。
あたしどんだけ抜け毛するってんだ。

3:遥はキツク叱って置いたから……
ありがとう、薫、昴。
我がキャラながら立派な仕事振りだったよ。
お疲れ様。

4:圭に、泣いたところなんて見せらん無いでしょ!
んまあ、そうだが。
でもちょっと違うな。
飛鳥――あたしは見せられないからじゃなくて……意地かな?
絶対見せるもんか!! っていう。
でも無理に泣かせようとしたら―――いくら圭――ひなでも、ただじゃおかないよ?

5:金縛りにあったかのように動けない
ま、そこは元の飛鳥だな。
あたしじゃ意地でも動いて腕掴んでやるけどね。

6:俺は飛鳥が好きだ。
ものすごく微妙な心境です。はい。
架空人物にね……うん……ああ……
飛鳥と裕歌が分離しそう。まずい。

……とまあ、こんな感じですかね。
んじゃ、シャドウ頑張って書いてきますっ。

259:ブラックキャット:2013/02/18(月) 21:13 ID:bAY

あ、やっと来たね。
ちゃんと試験勉強してんの……って。聞くだけ無駄だ、やってる筈が無いな。

あ―――……
いろいろ突っ込まれた…けどさ、言ったじゃん?うちの話の進め方は全部ノリだって。
遥と圭はさー、やっぱり……ね?そーでしょ、その方が面白いじゃん!

…ん、分かった。

260:ブラックキャット:2013/02/18(月) 21:28 ID:bAY

「…おい、飛鳥?何時までそうしてるつもりだよ」
「…………分、かんない」
俯いた飛鳥の顔は、苦しそうに歪んでいる。
今はそっとしておこう、と決める。俺が此処に居ても、邪魔になるだけだろう。
「……そろそろ日が暮れるな…じゃぁ、俺帰るわ。圭にもよろしく…言えないか」
苦笑しながら俺は鞄を拾い、玄関に向かった。

「おじゃましました―……っと」
一礼して、ドアを閉める。家に帰っても暇だな……さて、どうしようか。

RRRRR RRRRR

携帯が鳴っている。……誰だ?
「――――まじかよ……」
ディスプレイに表示された名前、それは。


『紅本 圭』



――――何気に息が合ってんだな、怪盗ジョーカーさんよぉ!
多分、これは嫉妬……かな?

261:ゆう:2013/02/19(火) 17:58 ID:SlA

おいおい……ひなのテンション入ってんじゃねえか。遥。
つか、誰が嫉妬すんだろうね。

はい。やってませんよ? それが何か?
あー うん。聞いた。
でもまあ……うん。いいや。もう。
面白いけどさ、その為だけにあたし犠牲になんのね。はあ。

262:ブラックキャット:2013/02/19(火) 21:18 ID:bAY

え、あぁ…。まぁ、良いじゃないか。
さぁねー、誰だろうねー。

そこ、断言するところじゃねぇし。
まぁまぁ、良いじゃないの。面白いから。

263:ブラックキャット:2013/02/19(火) 21:37 ID:bAY

「もしもし、圭か?」

携帯の向こうの圭は、何時もより不貞腐れているご様子。
『…僕じゃなかったら、誰なんだよ?』
いやいや、其処まで本気にすんなって。冗談だって。
圭は軽く溜息を吐いた。…俺、そこまで馬鹿な事言ったか?

『……まぁ良い。それより、これから…空いてるか?』
圭の言葉を聞いて、俺は怒りにも似た、喜びにも似た、何とも言えない美妙な感情を感じた。
思わず、口が歪む。
――――なるほど?
「…恋愛相談なら、受付しておりませんが?」
俺がそう言うと、『……違う、と思う』と珍しく何時もの自信が欠けている様子で圭が言った。
その声で機嫌が直ったのを感じて、苦笑する。
俺、かなり性格悪いなぁ……。

「分かった。……空いてるけど、俺の家来るか?」
俺の返事に、圭は『遥の家か…まだ、行った事無いな。分かった、今から行くよ』と返事が来た。
「OK、待ってる」

圭との通話を終え、携帯を閉じる。家まではすぐそこだ。携帯を収めなおすのも面倒臭いな、持っておくか。

PPPPP PPPPP

メールの着信音。……誰だ?
「――――まじかよ……」
……ってか、何分か前にもこのやり取りやったよな?

ディスプレイの名前は、ここ数年会っていない人からだった。
……そりゃそうだ。俺は3年前に引っ越して来たんだから。



『櫻川 紫苑』

264:ゆう:2013/02/20(水) 18:26 ID:77M

成程。
今朝言ってたK音さん的な人ってこいつか。
読み、さくらがわしおんで合ってる?

断言するよ。
ま、今はやってるけどな。
「へー 珍しい」
「……頭でも打ったか?」
とか思ってねえだろうな? ああ?
仕方ねえだろ。塾で提出物全部見せないといけねーんだから。
ま、答え写しまくりだけどな。(特に数学。)

あ、そうだ。
V……そーぞーの結末っつうか、手紙の中身、知りたかったらノートに書いて。
多分、答える。
多分、な。

265:ブラックキャット:2013/02/22(金) 19:25 ID:bAY

あぁ。消したと思ったんだが…。残ってたか。

でも、皆終わってるんじゃないのか?
……答え写すのは、意味が無いだろう。というか、だから点数が低いんだよ。

多分、か。分かった。

266:ブラックキャット:2013/02/22(金) 22:00 ID:bAY

『 遥君、久しぶり。私の事、覚えてるかな。
  …もう3年経つんだね、遥君が私の隣から居なくなってから。
  
  遥君が通っている学校って、確か中高一貫校だったよね?
  伯父様の仕事の都合で、遥君の居る町に引っ越す事になったの。
  それで、私の我が儘……聞いてくれる?
  
  正式に通うようになるのは、連休明けなの。
  それで、明日学校に行くんだけど……。伯父様が仕事で行けなくなっちゃって。
  一緒に来てくれないかしら。ボディーガードも兼ねてのお願いで…。
  
  急でごめんね。返事待ってます。 』

本文を読んだ後、俺は軽く息を吐いた。


――――紫苑さん、か。


紫苑さんとは、父親同士が仲が良くて、よく一緒に居た。
その後、紫苑さんの両親が亡くなったのと同時に俺達一家は引っ越した。
……確か、紫苑さんは桜川家の次の当主だったな。
忙しいそうだな。


…………あれ?


「何やってるんだ、遥」
「ぅわあぁっ!?」
後ろからの声に、変な声が出た。……穴に埋もれたい。
「…どうした?」
圭の不思議そうな顔は、まったくいつも通りで、羨ましい限りだ。まったく…
「な、なんでもねぇよ!じゃ、行こうぜ!!」

267:ブラックキャット:2013/02/23(土) 17:42 ID:bAY

「ただいまー…」
予想的中。誰も居ない。
「……広いな」
まぁ、…そりゃ……どうも。
圭を部屋に通すと、「……探偵の部屋、か」と呟かれた。プレッシャーかけるなよ!普通の物しかねぇよ!?

台所に下りて、ジュースと………何にしよう?圭って何食べるんだ?
しばらくウロウロして悩む。取り合えず、と棚を見ると大福があった。母さんが買い置きしている奴だ。
………まぁ、いいか。貰おう。
お盆にジュースと大福を乗せる。

ドアを開けると、圭は部屋の中をウロウロして見つけたらしい、事件のファイルを眺めていた。
「……何やってるんだ?」
しばらくの沈黙。
やがて、圭がボソッと言った。
「……見つけた。……これ、かなり古いのもあるんだな。親父さんのか?」
圭の言葉に、俺は頷く。
「…あぁ。父さん、もう要らないから持っとけ、って言って俺に渡した。…まぁ、暇潰しには面白い」
俺の言葉を聞いた圭は、「ふーん……」と薄い反応。

ファイルを戻して、圭が座り直した。
俺は、ジュースと大福を薦める。
「まぁ、どうぞどうぞ。母さんのだけど、気にしなくていいから」
「……そう言うのなら気にしないけど。…なかなか微妙な組み合わせだな」
まぁ、ジュースと大福だけど。気にするな。

「それで……何の話なんだ?」
圭がムッとした顔になった。
「遥…お前、何の話か知ってて言ってるだろ」


――――あ、バレた?


…圭だって俺の気持ち、知ってるんだろ。
「だってよ…圭。……お前だって」
知ってるだろ。

268:薫 カエル:2013/02/23(土) 21:49 ID:DMQ

こんにちわ 突然ですいません
この話を読ましていただいたのですがハマってしまい
私も入れてもらいたいと思い書かしてもらいました
良かったら私も入れて下さいお願いします

269:ブラックキャット:2013/02/23(土) 23:25 ID:bAY

薫さん
こんばんわ
おぉぉっ…!な、なんかめっちゃ嬉しいです。
はい、どうぞです。こちらからもよろしくお願いします。

270:ブラックキャット:2013/02/24(日) 09:42 ID:bAY

僕と遥は2分弱睨み合った。
遥の視線は、真っ直ぐに僕を貫く。

逸らさない。逸らせない。
動かない。動けない。

口を開いたのは、遥の方だった。
「……睨み合ってても意味ないな。圭の訊きたい事は分かるけど…どうする?」
「…分かってるのなら良いだろう」
そう答える僕の声は、自分でも分かるくらい不貞腐れている。
「飛鳥は、何も言ってない。……まぁ、自分が悪いって思ってる顔だ。様子を見てれば、大丈夫じゃないか?」
―――確かにそうだ。けど、


仕事はどうする?


1週間は様子見に使うだろう。下見は明後日だ。―――どうする?

どうする?
どうしよう?
どうしたい?

勿論、止めるわけにはいかない。怪盗ジョーカーが犯罪を見逃すわけがない。
ならば、


―――――いつも通り、するしかないだろう?

271:薫:2013/02/24(日) 15:36 ID:DMQ

話は違うのですが
今私の学校はテスト週間で勉強しているんですが
まったくわかりません勉強の仕方を教えてください

272:ブラックキャット:2013/02/24(日) 17:15 ID:bAY

あー…うちの通ってる学校月曜から試験です………
勉強の仕方ですか………。
…応用の問題って配点高いから、基礎を理解出来てないといけないと思うんですよね……あんまり自信ないけど。
これ、先生の言葉なんですけどね。
「塾で習ったやり方だと、すぐに解けるけど、テストは何回も何回も捻った問題出すからね!基礎を理解する事が大事!」
…って言ってました。あと「健闘を祈ります、じゃ、頑張って!」って去って行った。(笑)
……ノートとか教科書の問題を解きまくる!ですかね。自分は。
答えも、写すだけじゃなくてどうなったらそうなるのか、って押さえとかないと解けないと思います…多分。

あ―――すいません、偉そうでした!頑張ってください!自分を信じて…!

273:ブラックキャット:2013/02/24(日) 19:04 ID:bAY

カーテンの隙間から、朝日が射している。
私は、重たい体を起こした。
「……月曜日」
今は朝の7時。普通は飛び起きるところだけど、今日は休みだ。
「…うん、二度寝しよ――――ってああぁぁぁぁぁ……」
私の叫び声は萎んで、消えた。
圭、起きたかな………って、圭のベッドを覗くと。


「………何、やってるんだ。飛鳥?」


圭が目を開けて私を見た。
え―――……圭って、こんな眼、してた?
「……あ、あ…あの、えと……」
圭の真っ直ぐな視線は、私の視線を捕まえている。逃げられない。
落ち着かない。
どうしよう。


ごめんなさいって。
こめんねって。
言わなくちゃいけないのに―――……


「飛鳥。………この前は、悪かったな」
先を越された。

274:ブラックキャット:2013/02/24(日) 20:57 ID:bAY

圭の言葉に、私の声が裏返った。
「べ、別にっ!あれ、は…私が、怒らせた、から……」
…どうしよう、泣きそうだ。声の震えを懸命に抑える。
「私のせいだもん、……っ、」


だからごめんね。

275:薫:2013/02/24(日) 22:00 ID:DMQ

この話に出ている薫さん
名前が同じで運命を感じます
私もあんな能力がほしいです

あのタメ語でいいですか?

276:薫:2013/02/24(日) 22:18 ID:DMQ

この話に出てくる薫さん
名前が一緒で運命を感じます
私もあんな能力がほしいです

277:ゆう:2013/02/24(日) 23:01 ID:Ut2

ふあああああ。
もう夜遅いな。まあいいか。

うぅ……るさいっっ!
そりゃ皆のことですからね、終わってますよ。あのMーちゃんも!
点数低くて結構ですっっ。

試験勉強用暗記BOOKと、本計4冊……どっちがいい?

278:ブラックキャット:2013/02/28(木) 21:24 ID:bAY

薫さん
ですよね!うちも初めて見た時、吃驚しましたもん。
重力を無効化ですよー。いいですよねー…。

どうぞー。こちらこそ、タメでもいいですか?


ゆう
まぁ、塾でやったんでしょ。終わってなかったら……。
明日国語が返って来るよ。さぁ、どうなることやら……。

答える間もないわ、んなもん。
本計4冊。当たり前だろ。

279:ブラックキャット:2013/02/28(木) 22:47 ID:bAY

「ご、ごめんなさぃっ……っく、ぁうっ、」
泣き声を我慢するのって、こんなに難しかったんだ…。と実感する。
相変わらず目から零れる水を拭いながら、ふと部屋の異常な静けさを感じた。


その時、顔に何か―――圭の匂い。


「……何泣いてんだ。というか、顔がグシャグシャだぞ」
顔を上げると、圭の服の袖が私の顔に当てられていた。


―――――あぁ、


私、圭が好きなんだね。
分かった。

圭の言葉に沈められる。
圭の言葉に浮き上がる。

私は、圭が好きなんだ。
理屈抜きで、ただ。

280:ブラックキャット:2013/03/02(土) 18:45 ID:bAY

「け、いっ……」
「気にしてない。…いいから、泣くな。僕が悪かった、だから泣くな」
うぅ、と小さな声が口から漏れた。


―――あぁ、もう駄目。もう嫌だ。


少しだけ、と心に言い訳を残して、圭の胸元に顔を埋める。
圭は驚いたけど、頭を優しく撫でてくれた。

一人は嫌だ。
一人は怖い。
一人は寂しいよ。
一人は苦しいよ。

圭が居なくなったら、なんて怖くて考えられない。
闇に飲み込まれそうで。

失いたくないの。
傍にいてほしい。

私独りじゃ何も出来ないよ。
だからお願い。今だけでも。



君の、温かさに触れていたいの。

281:薫:2013/03/02(土) 21:54 ID:DMQ

じゃぁタメで

思うんだけどこの話ちょっと悲しいよね

282:ブラックキャット:2013/03/03(日) 17:45 ID:bAY

改めてよろしくね、薫。

あ――…。でも、最終的には……え?言っちゃ駄目か。そうか。
でも、なんか人間関係ってこんな感じじゃない?
訳分かんなくて、ゴチャゴチャになっちゃって……みたいな?
共感してくれる人が居たらな――…的なノリで書いてるからね。

283:ブラックキャット:2013/03/03(日) 20:21 ID:bAY

電車が目的の駅に着いて、ドアが開いた。
改札を通って、駅の中を歩く。
急に、横を歩いていた圭の足が止まる。
「圭っ?どうした…の……」
圭の視線の先には、


遥と、綺麗な女の子。


2人は、楽しげに話しながら此方へと歩いてくる。
…誰だろう?
圭に聞いてみようと顔を向けると、圭は口の中で小さく呟いた。
「……櫻川…紫苑…」
……さくらがわ…しおん…?
とにかく、今見つかったらかなり面倒臭そう。
圭と一緒に、先にあった階段の陰に身を隠す。
会話が段々近づいてくる。

「へぇ〜…チョコレイトに麻薬……」
「えぇ。証拠はまだですが、今日中に何か掴めれば、と思っています」
「……それって、売っている品物じゃないわよね…どうやって調べるの?遥君」
「任せてください、紫苑さん。情報も着々と集まっていますから、取引の前に抑えられれば良いんですよ」
「それは…そうよね。そうね…取り敢えず、今日、私と一緒に居る限り、無茶な事はしないでね。一応私のボディーガードとして来ているんだもの、突然居なくなっちゃったら困るわ」
「大丈夫ですよ、捜査はついでですから」

――――……。
会話は通り過ぎ、やがて遠くなって行った。
服に付いた汚れを叩いて、立ち上がる。
「遥達、行ったね」
あの人、誰なんだろう…もしかして、遥の彼女さんかな、親しそうだったし……って、圭?

圭は、立ち上がろうとせずにしゃがんで何か考え込んでいる。
「圭、どうしたの?」
と訊くと、圭はぼそりと呟いた。
「……まずいな、これ」
え、何、どうしたの?何がまずいの?


「遥―――俺達と同じ目的地に向かっているな」

284:ブラックキャット:2013/03/04(月) 21:32 ID:bAY

同じ目的地……って、えぇぇ!?
私は、圭に詰め寄る。
「どういう事か、説明は有るよね、圭?」
圭は頷いて、「歩きながら話そうかと思ってたんだけど」と前置きして話し始めた。


 バレンタイン特別企画――――
 
 パリから来た有名菓子職人の作る「チョコレイトタワー」の展示が9〜14日まで行われる。それが展示されるのが、今俺達が向かっているショッピングセンターだ。
 標的を探してて、それに関する面白い情報を見つけた。
 有名菓子職人は3人居るんだが、それの1人『スーダ・マーヴァリー』という女性が居る。その女性が、チョコレイトに麻薬を隠し入れて取引しようとしている――――という情報だ。
展示された後のチョコレートタワーは、職員が手分けして食べるらしい。ビルの3階くらいの高さだからな、大変なんだろうな。
 だが、法律違反の麻薬だ。俺達が見逃す理由は無い。
今回の俺達の仕事は、取引を失敗させて、そいつも相手も警察に渡す事だ。

 …勿論、遥はその情報を何処からか掴んだんだろう。


「―――――まさか、櫻川 紫苑まで連れて来るとは思わなかったけどな」


 圭は、そう言って息を吐いた。疲れた顔をしている。けれど、私は、さっきから気になっている事を訊いてみた。
「ねぇ、圭…。櫻川 紫苑って、誰…?」
 圭の顔に、ハッキリと苦悩の色が浮かんだ。話したくない、って言う顔だ。―――――って事は、


「遥の幼馴染で……櫻川グループの次期当主だ」

285:ゆう:2013/03/05(火) 15:35 ID:C0Q

15:10
あと5分で6時間目終了〜
こらこら、殴らないの。

今になっちゃあ+2冊だけどね。
明日渡すよ。
………。
吃驚したって……(呆)
「私たちも吃驚したのよ〜 最初は!
 でも段々面白くなってきて、わあ、ラッキー! みたいな?」 by愛田薫
「真っ先に病院での身体検査の予約入れようとしたの薫だろ……」 by愛田昴
「あぁのねえ、そんなネタ提供されても意味ないの! こっち側は困るの!
 記録係の心境をもっと考えなさーい!!
 つか服変えて? 薫といい昴といいベタすんのが面倒で面倒で………」 byエスパー・ガーディアン作者
「「知るか(っっ!)」」 by愛田家双子……エスパー・ガーディアン

何か飛鳥さんすっっごい見透かされてる様な気がする……
まあ、合ってないという訳でも無いんだけど。
あそこまで酷くないっちゃあ、そう。うん。
うあ。紫音と被る……

ああ、そうだ。
M見に訊かれたんでしょ? あたしのこと。
留守電に入ってた。(2件目。)
しかもさあ、昨日の朝明日病院行くから休むっつったのに、あれ覚えてねえんだよ!!
1件目の留守電でまだ学校に来てないんですけど〜って、阿呆ぅぅぅ!!
ちゃんと言っただろーが!! あああああっ!!?
って電話相手に叫んだよ。ったく。
とゆーことでまあ、一応。
ご迷惑お掛けしました。
この様なことが二度とありません様わが社一同努めて参りますので、これからも何卒、宜しくお願い致します。

286:ブラックキャット:2013/03/07(木) 21:51 ID:bAY

……電話相手に叫ぶって…どーよ、それ。
朝会中だよ、吃驚したよ、皆見るし!
わが社一同――――じゃねぇよ!?どこのせぇるすまんだよ!

突っ込みどころ満載だな、ほんと。

287:ブラックキャット:2013/03/07(木) 22:11 ID:bAY

圭の言葉に、私は驚いた。
「遥の……幼馴染!?…っていうか、櫻川グループ!?」
―――――何て、


「櫻川グループって、何?」


圭は一瞬で表情を仮面にした。無表情。何も無い。
まずい――――と思ったら、遅かった。
耳元で、そっと囁かれる。静かな、低い声で。


「―――――まずは、常識を身につけようか、飛鳥」


耳を押さえて、地面にへたり込みそうになった。
怖い――――怖い怖い怖いっっ
怖いよ、圭!
「煩い。常識だろ、知らない方が……阿呆だし、馬鹿だ」
う、うるさぁーい!阿呆と馬鹿って…2つ言わなくても良いじゃん!
――――あぁもうっ!!



バクバク鳴っている心臓は、誰のせいなんだよ、圭の馬鹿ぁっっ!!

不意打ちで、
自覚してすぐに、
もう何かすっごい恥ずかしいじゃん!

288:ゆう:2013/03/08(金) 19:13 ID:MiA

いや、シンタローか?
おまけ(?)にせぇるすしてないし。(そーいやO賀商店にもせぇるすの電話掛かってくんだ。うざったい程。)
突っ込みどころ満載だなって台詞、ORBAラジオのレン兄か。
パクりまくってますねぇ。

酷っ 酷っ 酷ぉぉぉっ!!
あたしだってもうちょっと抵抗するわ!! 殴るとか!!
覚悟しなさい………

289:ブラックキャット:2013/03/09(土) 15:04 ID:bAY

いえいえ、違うで御座いますですよ?
いや、うん。それ、しょうがない。
パクリじゃねぇし!違ぇよ!?

殴るな!ついでに言うと蹴るな!――――反抗するな!とにかく!
いや――いや―――い―や――――

290:ブラックキャット:2013/03/09(土) 16:06 ID:bAY

「いらっしゃいませー」
27回目。
お店に入ってから、何回言われるんだろう?…なんて考えたのが間違いだ。
ちなみに、入店5分です。っていうか、


――――別にそんなのどうでも良いじゃん!


「…だったら、最初からやるな。時間の無駄だ」
私の中で結論が出た後、圭は私を引っ張って行く。

「…………あぅ」
第一声、これ。
私は圭を振り向くいて、出来るだけ可愛くお願いしてみる。
「帰っても良いです『駄目に決まってるだろ』
……瞬殺されました、ハイ。
「圭〜っ、何この人数!多すぎるってばぁ!」
『しょうがないだろう。バレンタイン目前の休日だ。学生だの、家族連れだのが沢山居るだろうな』
「分かってるってば。じゃぁ、行って来るね」

私は足を一歩踏み出す。
見渡す限り、人、人、人、人、人、人、人、人、人!しかも、皆女性。
圭は私より離れた場所で待機している。手にはパソコン。暇潰し、って事だろう。

説明しなくても解ると思うけど、此処は店内のバレンタインコーナーの端っこ。
ターゲットの下見です、勿論。
………まぁ、それとは別の目的も在る訳なのですが。
まぁ、私も一応お年頃の“女の子”ですから?買いますよ、本命チョコ。
下見だという事が頭から落ちて行くけど、何とか止める。
えーと……チョコレイトタワー…チョコレイトタワーはっと…。

そのまま足を進めると、大きな人だかりを見つけた。それぞれ、カメラや携帯を手にしている。
………って事は。
人を掻き分け、進む。
近づくにつれ、濃くなる匂い。
ドキドキするのは、どうしてだろう?
一番前に出る。



―――――見つけた。

291:ブラックキャット:2013/03/09(土) 20:23 ID:bAY

とにかく――――大きい。
私は勿論だけど、普通の大人の人よりも高い。
良くこんな物作ろうと思ったなぁ……。
呆れてしまったけれど、まぁ、社長さんか誰かが言い出したんだろう。
軽く溜息を吐いて、周りをグルリと1周する。手には小型カメラ。
眺めている振りをして、気付かれない様にさり気なく写真を撮りながら。

ゆっくりと歩いて、最初の位置に戻る。
何も見つからなかった……って事は、上に手がかりが在るって言う事なのかな?うぇぇ…これを上るのぉ?
今度は大きな溜息を吐いて、視線を上に向ける。


――――――ん。


私の目に映ったのは、大きな鉄製の梯子。
きっと、上の方を作ったのに使ったんだろうな。と納得しかけて、


一点に視線が釘付けになった。


梯子の下。本当に根元の方―――チョコレイトがベッタリ付いている。
あんなとこ、普通は付かないよね――――
何かあるのかな……?調べてみようか。
近くにしゃがみ込んで、観察して見る。
手を伸ばしかけて、
肩を掴まれた。


「何をしているんですか?可愛らしいお嬢さん」


慌てて振り向く。
立っていたのは、外国人の女の人。
着ている服の胸に、“スーダ・マーヴァリー”と書かれた名札がある。

スーダ・マーヴァリー……今回の標的の持ち主で、一番会いたくなかった人。

「あ、え、あっと……あの………」
しどろもどろの私に、彼女は笑顔を崩さない。
優し過ぎるくらいの声音で、私にやんわりと注意する。
「申し訳御座いません。此処は、器具などがあって、一般のお客様は入れない様になっているの。見るのは、もう少し後ろになるのよ」
知ってます。立て札があったから。

ここは一応言い訳を――――
「チョコレイトが、美味しそうだなって………すいません!」
勢いよく頭を下げる。彼女は、「まぁ…それは嬉しいわね。あっちに試食のコーナーがあるの、是非来て下さいな」と笑った。
私は、笑顔で「はい!」と頷いて、走ってその場を去る。


―――――なぁにがチョコレイトが美味しそうだったから、よ!馬鹿じゃないの!?

292:ゆう:2013/03/09(土) 23:03 ID:KDs

そぉれはどうかなぁ。
けっけっけ。
気が向いたらやめてやるよ。(上から目線。)

チョコレートぉ……さっき食べたよ(嬉)
塾終わって死んでたからね。
教材重ー お腹空いたー 絶賛嘔吐感真っ最中ー
ってな訳でね。

23:01……っておわあああ。
11時過ぎたぁああああ。

293:ブラックキャット:2013/03/10(日) 19:32 ID:bAY

その上から目線如何にかしやがれ馬鹿野郎。

あぁ…土曜だから授業日だったか。
嘔吐感ねぇ……無いわ。うん。

294:ブラックキャット:2013/03/10(日) 19:43 ID:bAY

私は、人ごみから抜け出す。狭い狭い、避けてよ!
「――――はぁ……」
一応目当ての物は見たし。……よぉし!

私は、足を進める。

周り360度全てがチョコレイト。
高いチョコレイトに、手作り用のキット。さらには、お煎餅なんて物も在る。
「美味しそうだなぁ……あー、でも高いなぁ…」
ブツブツ呟きながら、一つを手に取る。そして、もう一つ。
圭と、遥の分。
そこで、忘れていた所が浮かぶ。
「あ、そうだ…。お父さん達のも……」
お父さん達には、遥と同じ物で良いかな。美味しそうだから良いよね。

全てを籠に入れ、確認する。…自然と笑みが零れる。


――――喜んでくれると良いな。


ガッカリされると…かなり、凹んじゃうなぁ。
そんな事考えて、苦笑する。
そんな事考えて凹んでも、今更止まる様な私じゃないね。残念ながら。

私は、軽い足取りでレジへと向かう。

295:ブラックキャット:2013/03/10(日) 22:03 ID:bAY

風が私を貫く屋上。――――冷たいな。
私は、腰に巻きつけているロープの結び目を確認する。これだけは、入念にしとかないといけない。
『…風が強いな。煽られる危険性が在るが――――いや、良い。飛鳥には関係の無い話だったな』
え、ちょ、圭っ!それ、何気に私を馬鹿にしてるでしょ!
『別に、違う。飛鳥の事を…………信頼しているとでも考えてくれないか』
考えた、考えた!?そこ、考える!?
圭は煩そうに顔を顰めた様な気がした。見えないけれど。
『煩い。そろそろ時間だ、準備は良いな』
勿論!いつでもOKだよっ!
『――――言うと思った。……行くぞ』
了解!
手すりを乗り越え、下を覗く。……かなり高いなぁ。
寒気を押さえ込んで、圭のカウントダウンを待つ。
『3、2…1……GO!』
私は、空中に一歩踏み出した。

窓ガラスをくりぬいて、鍵を開ける。警報アラームの音は聞こえない。
どうやら、侵入成功みたいですね。
「――――――………」
「どうしたんだい、ジョーカー?」


―――――黒本 遥!!


……如何して居るの?
「圭、もしかしなくても……知ってたよね!?」
私の抗議にも、圭は涼しい顔ならぬ涼しい声で答えた。
『もしかしなくても解るだろう?…黒本遥の情報なら、俺には全部筒抜けだ』
怖ぁっ!!?

「それよりジョーカー……油断しておいて良いのかい?」
遥が私に近付きながら言った。かなり近い。
――――気付かなかったっ!?
逃げようと体を横にずらすと、腕を掴まれた。

そのまま壁に背中がぶつかる。
逃げ場無し。
絶体絶命。
「………ッ!!」

離せ――――ッ……!!
有りっ丈の力を込めて、遥の体を投げ飛ばす。遥は床に叩きつけられる。
腕がジンジンする。そっと叩く。…うん、異常なし。

遥を見下ろして、微笑む。
「油断してたのはどちら様?探偵さん」
遥は、床に寝転がったまま私を睨む。こういう時でも、視線の強さは揺るがない。


少しだけ――――羨ましい。


「……まぁ良いわ。少し大人しくしていて欲しいんだけれど?」
私の言葉に、遥は「無理な申し出だな、そんなの受けると思っているのか?」と口を歪めた。
『……今日の探偵は、何かと余裕そうだな』
圭の言葉に頷く。何か勝算でも在るのだろうか。

296:ゆう:2013/03/11(月) 16:04 ID:tIQ

出来るもんならとっくにしてるよ。
ま、やろうとはしてないが。

はい。でも今週から月水です。
ってことで5時になったらPC切り上げて塾の宿題〜ってーの。

夜咄ディセイブ聴いた……っつーか、聴いてるよ。
こんな曲を自分と重ねて、「ああ、ぴったりだ」とかね。
上のこんなって良い意味と取って下さい。
んでまあ、いつもの現象が起こってます。
頭ん中フレーズで溢れ返ってるよ。
もうすぐで脳外に溢れ出す。 さて、これをまとめようか。

297:ブラックキャット:2013/03/11(月) 18:21 ID:bAY

やれよ、俺が死ぬ。………違う、いや、良いや。

あぁ、分かった。直?
………さて、本当にするのか?

…何格好良く言ってるんだ?似合わないぞ。

298:ブラックキャット:2013/03/11(月) 19:32 ID:bAY

気になることは聞け――――これは、私と圭との間での暗黙のルールだ。
圭は、探偵君に話し掛けられないからね。
「黒本 遥。………貴方、なんだか余裕そうな表情だけど…何か良い事でもあったのかしら?」
「何時もみたいに呼んでくれないのか?」
「黒本「いや、冗談」
私がそう言うと、探偵君は大げさに肩を竦めた。
私は握った拳を収める。

「質問に答えなさい、探偵君。――――次は顔ね。手加減は無しよ、時間が無いの」
少しだけ声を荒げると、探偵君は笑う。
「痛いのは苦手なんだよ、手加減してくれないのかい」
する訳無い。

あの日以来、多少ギクシャクしていた関係も、元に戻り始めていた。
学校でも、放課後も――――
だけど、あれだけは譲れない。


――――誰にも譲れない。


どす黒い、真っ黒な霧が心の奥に渦巻く。
この台風は、私の理性を吹き飛ばす。


何時も止めてくれる圭が居ない――――居ない?


「ジョーカー、聞いているのか?」
気が付くと、遥の顔が目の前にあった。手は両手ともがっちりガード。
何時の間にっ………!!
「“油断していたのはどちら様?”」
探偵君の態度に腹が立ち、膝蹴りを食らわせる。蹲る探偵君。
「じょ、冗談…前置きが…長かった……だけだよ………」
段々言葉の間が長くなる。ダメージはあったみたいだ。

圭の声が聞こえた。
『飛鳥、さっさと用件を聞き出せ。遅くなるのも良いが、夜明けまでには出られるようにしろ』
「……………え、どういう事?」
夜明けまでって……あと、5時間はあるよ。
『此処には探偵しか居ない。警備員も、店員も、誰も居ないんだ。――――邪魔はされない、時間はある』
あぁ、…そうなんだ。
「どういうつもり、黒本 遥。一体何を企んでいるの?」
「それを今から言おうと思っていたんだが――――」
苦笑する探偵君。
ふつふつと湧き上がる怒りを抑える。…うん、私は成長した。


「実は、事件の証拠を掴んで欲しいんだ――――――」

299:ブラックキャット:2013/03/13(水) 16:36 ID:bAY

探偵の言葉に、私はフリーズ。
そんな私を見て、探偵は恐る恐るといった風で、私に言葉を掛ける。
「……ジョーカー、どうした?」
その言葉で、我に返る。

「…………ちょ、ちょっと!?え、本題って言っても、唐突過ぎない!?」
「質問して来たのはそっちだろうが」
あ――――…それは…そう、だけど、さぁ……。
「く、詳しく説明しなさい!っていうか、事件って何の――――」
何の…?って、まさか…………!
頭の中に浮かぶ、一つの可能性。
探偵は、まるでそのタイミングを読んでいたかのように、頷いた。
「…見当が付いているんじゃないのか?それを暴くために此処に来たんだろう?」
暴くためって、
「じゃぁ、やっぱり……」
『麻薬の情報は確かだったか』
圭の言葉に頷く。探偵も、その情報を掴んでいたんだ、圭の言った通り。
『あぁ、だろうな。だが、何考えてるのか分からないな、警戒を怠るな』
分かってる。一言返して、向き直る。

「…だから、何?証拠を掴んで欲しいって、何企んでるのよ?」
「まぁ、説明は手短にしようか…。何処まで掴んでいる?」
覚えてる限り復唱すると、探偵は「俺も同じくらいだ。あと、これは知ってるか?」と言った。
「チョコレイトタワーに仕掛けられているとは限らない。と言っていたが、隠されているのはタワーだ。これは間違いない」
へぇ――――……。まぁ、そんな気がしていたけど。

「じゃぁ、さっさと探しましょうか。あと4時間切ったし…私の手も開放して欲しいし?」
私がそう言うと、探偵は笑った。


「勘違いするな。開放する訳無いだろう―――――?」


取り出したのは、月の光に反射して光る、――――――手錠。
「―――――――――ッ!!」
暴れても、簡単に抑えられる。くそっ、離せっ…!
銀の輪が目の前に迫る。
目を瞑ると、いろいろな顔が脳裏を駆ける。



圭――――――ッ………!!

300:ブラックキャット:2013/03/13(水) 16:37 ID:bAY

300ですっ……!
読者が居るのか、と聞かれると泣きそうですが…。
何とか完結まで持っていくので、よろしくお願いします!

301:ゆう:2013/03/14(木) 16:58 ID:xgU

嫌ーだ。

うっさい!!
だってフレーズがさ……こーゆーときってこーゆーテンションになるじゃん。
え。分かる?

成長……したのかね。

おめでとっ!
ええと、英語でなんてゆーんだっけ?
three……うああ。変換出来ねえ。

302:ブラックキャット:2013/03/14(木) 19:47 ID:bAY

分かんねぇ―――……

したよ、多分。

知らねぇ―――…。あーもー、この後が面倒臭そうなんだよね…。

303:ブラックキャット:2013/03/14(木) 20:05 ID:bAY

カシャンッ……


――――静寂。


そして、


「お前っ…何をしている……ッ!」
――――遥を睨む、圭。


「怪盗ジョーカー…か。何って勿論、手錠だよ。って、…ぅああっ!?」
手錠の輪は、探偵の片腕に嵌っていた。
「何時の間にっ……!?」
遥の言葉に、圭は意地悪く笑った。
「気付くのが遅いな。本当に探偵なのか?」

圭の挑発。
乗っかった遥。
2人の間で、火花が散る。

何だか、不味い状況だって言うのは分かるんだけど……。
オロオロしていて、不意に、沸々と怒りが沸いてくる。
「いい加減に……」
大きく息を吸う。



「…しなさいよおおぉぉ――――っっ!!!」
かなり大きく、私の叫びが響いた。

304:ゆう:2013/03/15(金) 19:12 ID:.uI

あ―――っ!!
何やってんだ飛鳥っ!!
一応仕事中なの忘れんな!!

してないでしょ。
子供だし。子供だし。子供だし。

ま、頑張って〜
シャドウもシャドウだけどね。

305:ブラックキャット:2013/03/15(金) 22:55 ID:bAY

沈黙。


私の声の残響がだけが、残っている。
「お前もお前だ、好い加減にしろよ。自重をしろって言った筈だが?」
圭の笑みがこれ程怖いと思った事は無い。――――真っ黒だ。
圭は、真っ黒なオーラのまま、遥を振り返る。声にならない悲鳴を上げる遥。

「さぁて、探偵君……」


ニッコリと微笑む圭。
肩を揺らす遥。
恐らく涙目になっているであろう私。



「―――――始めようか」

306:ブラックキャット:2013/03/15(金) 22:57 ID:bAY

んな事言ってもな…。飛鳥だし、ねぇ。

してるよ。
妙な所だけな。

紅も進まないし…。
あの後如何しよう!?

307:ブラックキャット:2013/03/15(金) 23:08 ID:bAY

「じゃぁ、まずは…1階からな。やっぱり」
柱に凭れ掛かって圭がパソコンを操作している。
そんな圭の姿をぼんやりと眺めていて、私は何かが頭の隅に引っかかった。

えーと……何だっけ?

私の記憶力は当てにならないのは自分でも自覚しているつもり――――なんだけど。
「その前に、これ。…外してくれよ」
床に座り込んだ遥が、手錠を前に差し出す。
圭がその姿を見ないまま言う。
「鍵は?」
「…無い。さっきから探してるけど、ポケットにも入っていない。…まさか、盗っていないよな?」
その言葉に、


怪しげ光る、眼。


歪む口元。


――――圭の答えは明白だ。
圭がパソコンを閉じて、遥を見る。


「そのまさか………だな」


白衣のポケットに手を入れる圭。
その手には――――

308:ブラックキャット:2013/03/15(金) 23:27 ID:bAY

――――鍵は無い。


遥は勿論、私も驚いた。
「えー嘘!盗ってなかったのぉ!?」
私の言葉に、圭は不機嫌そうに答えた。
「盗ろうと思ったら、無かった。どうせ、落としたか何か、したんだろう」
へぇ――――……

何だか面白い事になりそうだ。
「な、何だよその眼は!」
案の定、遥が私の顔を見て噛み付いて来る。私はニヤニヤするのを抑えられない。
「探偵君なのに?手錠の鍵を忘れ「――――っせえええぇぇぇぇ!!!」
殴られた。痛い。
「何すんのよー、痛いじゃん!」
「っせえ!その顔をどうにかしろよ、何かスッゲー腹立つ!」


「―――――……自重、しろよ?」


圭の言葉が、耳元で聞こえた。
――――――――ぅ、ああああぁぁぁっっ!!?
叫びそうになるのを、必死に堪える。耐えろ、私。
「圭、圭っ、圭――っ!!」
「煩い」
一言でやっつけられた!酷い!

「ほら、立て。時間が無い、急ぐぞ」
遥の言葉で我に返る。――――え、嘘っ
ただ今、午前…1時40分。5時までにしても……3時間20分?
「うわ、本当だ――……。急ごっか…」
「さっきからそう言っている。圭、場所は?」

遥が圭を見ると、圭は不敵な顔で笑った。
「……探偵君が案内するのかと思ったが」
「折角怪盗がいるんだ。良いだろう、これ位」
遥も笑う。……片手に手錠嵌ってるけど。

「――――こっちだ」
圭がスタスタと歩いていく。あ、ちょっ、これじゃ私の意味が無いじゃん!
私も、遥と圭の後に付いて行く。

309:ブラックキャット:2013/03/16(土) 11:35 ID:bAY

 完全に闇に包まれている1階。其処を、私達は遥の懐中電灯を頼りに、歩いていく。
…暗いなー。
「ねぇ、圭…」
話し掛けようとした私の脳裏に、昼間の出来事が蘇った。


 あっ……!
あの梯子――――

 私は、慌てて圭に声をかける。
「ねぇねぇ、圭、圭!」
圭は足を止めないまま、短く「何」と答える。
「私、見たよ、標的隠してそうな場所!」

 前を歩いていた圭が、驚いた顔で私を見る。遥も驚いているのが分かる。
「…本当か?」
私を見てくれてる、って事が嬉しくて、私は大きく頷く。
「まだ確認はしてないけど…。でも、可能性は高いと思うよ」
私の言葉に、圭は少し――――心配そうな顔になった。

 「……その根拠、まさか」
その『まさか』って言うのが分かんないけど、勢いで言う。
「調べてみようと思ったら、スーダ・マーヴァリーに声、掛けられた、から……」
途中で声が萎んでいったのは、圭の纏うオーラの色が変化したからで……。

 ――――やばい。
圭に、まだその事話していなかったんだっけ。

 圭が、笑う。冷や汗が落ちるのを感じた。
「何で、それを先に言わなかった?」
ほら、ほらほらぁ――ッ!!
背中の辺りが寒い。圭、どんだけ怒ってるの!?
「ぅぁああっ!御免なさい御免なさい御免なさいっ!」

 遥が私と圭の間に入る。
「…け、圭?急ごうぜ、時間が…」
すると、圭は通常のテンションに戻った。…………すごい。
小声でお礼を言う。
「遥、ありがとっ」
「…本当、恐いな。あいつ……」
遥は苦笑して、肩を竦める。

 「飛鳥?場所、覚えているか?」
圭の近くに行って、パソコンに写された地図を見る。
「確か……チョコレイトタワーの近く。関係者以外立ち入り禁止だった筈だよ」
遥が苦笑する。
「…関係者以外のところ、よく入ろうと思うな」
う、煩いな!何か気になるじゃん!
その間にも、圭は座り込んでカタカタしている。


「………見つけた」

310:ブラックキャット:2013/03/16(土) 17:45 ID:bAY

 圭がパソコンを閉じて、立ち上がる。


「……行くぞ」


 私と遥は一瞬顔を見合わせて、視線を前に戻す。
 目指すは、圭の左肩。追いついて、ポン、と手を置く。圭が振り向く。
「私も怪盗ジョーカーなんだから。……追いて行ったら恨むよ?」
と、軽く睨むと、圭は困った風に笑った。
「分かった。……我儘だな、飛鳥は」

 圭は顔を前に戻して、「……あんまり下らない事を言うな。緊張が解ける」と言った。
下らないって言い方は……刺さるけど……。
 私の顔がにやけるのを止められない。遥に気付かれないように、慌てて顔を伏せる。


 小さく呟く。
「……我儘でも良いよ」
ただ、君の隣に居られるなら――――――……

311:匿名さん:2013/03/17(日) 09:49 ID:5jU

はじめまして、月です。
ジョーカ、面白いですね!続きも頑張ってください♪

312:ブラックキャット:2013/03/17(日) 15:30 ID:bAY

はじめまして。月、さん。ブラックキャットです。
有難う御座います!期待にお応えできます様、頑張りまーす。

313:ゆう:2013/03/17(日) 15:40 ID:c2I

母さん昼寝中。
5時ぐらいまでなら……大丈夫かも。

変な眼で見てません?
思いっ切し。

妙?
ふうん。そうなのか…… (自分で全く心当たり無く。)
嘘は未だに下手ですけど。
あっ もしかして、腕力とか?

さあね。
ま、どっちみち頑張って〜

314:ゆう:2013/03/17(日) 15:41 ID:c2I

っと、忘れてた。
あのねぇ、Mーちゃんがねぇ、昨日ねぇ。

あんたのことH子ちゃんって呼んどったよ〜


けけ。

315:ブラックキャット:2013/03/17(日) 15:42 ID:bAY

 しばらく歩いて、圭が足を止めた。
もう少しで、圭の背中にぶつかりそうになって、慌てて立ち止まる。
「ぅわっ!吃驚したぁ……。圭、如何したの?」
「シッ」

 圭が指を立て、私の前に立つ。すると、遥も私の前に立った。
その眼が鋭い視線を帯びているのが見えて、前を見る。
「……ッ!?」


……え、何で、どうして。


 呆然とした様な、遥の呟きが聞こえた。

316:ブラックキャット:2013/03/17(日) 15:44 ID:bAY

昼寝してるだけで、5時くらいまで大丈夫なのか……。どんだけ寝るんだよ。

妙。
ホント、妙な所だけね。

あーはいはい。頑張りますよー。

317:ブラックキャット:2013/03/17(日) 16:06 ID:bAY

 目の前の光景が、脳裏に焼き付いていく。
何で、どうして。
 数十メートル先で、彼女が手を振る。
「遥君!」


――――お前が居るんだ?


 ……何て言える筈が無く。

 彼女――紫苑さんが、此方へと歩いて来る。
隠れろ、と言おうとしたら、圭達は既に居なかった。
自然と笑みが毀れた。
「……流石、だな。飛鳥、圭」

 俺達は、月の光が届く場所に移動する。
「こんばんわ、遥君」
 俺の前で紫苑さんが微笑む。
彼女が微笑むだけで、周囲が華やかになる様な気がする。……あくまでも様な気がする、だ。
「こんばんわ、紫苑さん。深夜1時を廻っていますが、如何して此処に居るんですか?」
 俺の質問に、彼女が軽く手を振った。困った風に微笑んでいるのが見える。
「…えぇ。此処に遥君が居る、って聞いたからなの。何だか、昼間此処に来た時も、考え事してたみたいだから……」


「――――……嘘でしょう?」


 冷たさを含まないように、問い掛ける。
「え……?」
彼女の驚いた顔が見える。
「俺、紫苑さんと別行動でしたからね。……紫苑さんは、バレンタインコーナーに行っていたんでしょう?」
 俺は、ずっと警備の人達と話しをしていた。その時、彼女は傍に居なかった。
「あ、あぁ……そ、そういえば、そうだったかしら…」
「えぇ。もう一度、訊きます」
 眼が細くなるのを感じた。彼女の顔に怯えが浮かぶ。
自然と、彼女を睨み付けている格好になる。


「――――貴女は、如何して此処に居るんです?」

318:ブラックキャット:2013/03/17(日) 18:52 ID:bAY

 俺の声が、冷たく響く。
「どうして、って……」
彼女が無理に笑顔を取繕うとしているのが分かる。
「今、深夜です。紫苑さんは、大財閥の一人娘です。……外出の許可が下りるとは思えませんね」
明らかに、子供が外出する時間じゃないでしょう、と言うと、彼女は「子供じゃないわよ」と、怒った様に頬を膨らませる。

「気を取り直して……」
コホン、と小さく咳払いする。

 彼女を睨む事は躊躇はしない。今更。
「如何して此処に居るんです?」
俺の質問を笑いながら聞く彼女。
「それ、言っちゃったら面白く無いわよ?」
「面白いとか、そういう問題じゃないでしょう」
「じゃぁ……」


 唐突に――――首を傾げる。


「何か、不味い事でもしていたの?」


 もろに動揺が顔に出たのか、彼女は笑いながら俺の左手首を指す。
「どうして、探偵さんなのに手錠が嵌っているの?」
先ほどとは一変して、余裕の表情。
 彼女が、口を開く。
「もしかして――――……」


 一瞬の風。



 静寂。


「……油断大敵?」
「何で其処で疑問形になるんだよ」

 月の光を受けて、逆光で見えない表情。だけど――――……
「飛鳥、圭……?」
 圭が振り向く。その腕の中には、紫苑さんが居る。

 飛鳥が珍しそうな顔で近寄る。
「へぇ―……綺麗な人だねぇ…」
 飛鳥は、俺の視線に気付いたのか、手を振って笑う。
「あ、そんな変な事はしてないよ。ちょっと睡眠薬を……」
そう言って、ハンカチをひらひらと振る。
……やめろ、本気で。
「…っつーか。もう、あっちに行ってるのかと思った」
 それに、圭が答える。
「何が目的だったか知りたかったからな。悪いが、全部録音させてもらった」
そう言って、録音されているであろうペンを振る。
…………。

 俺は、こっそりと溜息を吐いた。

319:月:2013/03/17(日) 21:14 ID:5jU

こんにちはぁ〜♪
私、毎日学校から帰ってきた後に、怪盗ジョーカーを見てまぁす#
質問いいですか?小説版(怪盗レッド)の飛鳥は圭の事、好きなんですかね?
[恋愛として]
では、続き頑張ってくださいっ!!
月→(ルナ)っていいます

320:ブラックキャット:2013/03/18(月) 20:09 ID:bAY

こんばんわー、ルナさん。良い名前ですね。ルナって、月の女神の名前でしたっけ?(間違ってたらすいません)
おぉ……っ!有難う御座います。……あ、でも、たまに、来れなくて更新出来ない時がありますけど……。

あ〜……。好きですね、ハイ。

はい、頑張ります。有難う御座います。

321:ブラックキャット:2013/03/18(月) 21:27 ID:bAY

 “関係者以外立ち入り禁止”――――
 看板の前に立つ3人。

「…禁止って言われると」
「入ってみたくなるのが」
「――――探偵の性、ってか?」

 最後の遥の言葉に噛み付く飛鳥。
「探偵って……!私と圭は怪盗よ、数的に“怪盗の性”って言う物じゃないの!?」
「俺探偵だし。……何で怪盗でもないのにそう言わなきゃいけねぇんだよ!?」
冷静に返したかと思ったら、最後は逆ギレに近い様な気がするのは俺だけだろうか……。
 飛鳥はと言うと、ニヤニヤしながら遥に詰め寄っている。
「どう、今からでも趣旨変えない?」
「誰がっ!調子に乗るなよ!?」
下らない口喧嘩に付き合っているほど時間は残っていない。
 俺は床にしゃがんだ。

 梯子の根元。
試しに、指で突付いて見る。
「乾いてるな……」
呟く俺の後ろから、飛鳥がにゅっ、と顔を出す。言いたい事が分かったから、手で制す。喋るな……。
「何よ、圭っ!別に良いじゃないのよっ、美味しそうなんだから!」
ですよね――――……。
 予想通りの答えに、怒る気力も無い。疲れる事はしたくない。

 そこで遥が、言い難そうに俺の横に座る。
「けどさー……此処を調べるには、チョコレイト、剥がさなきゃ……駄目なんじゃね?」
……此処で言うか、それ?内心毒づきながら飛鳥の顔を盗み見る。
 溜息を吐く。額に手を当てそうになって、抑える。
……予想通り、喜びに満ち溢れていたよ。
これ以上見ると、寿命が縮んでしまう……と訳の分からない理屈で自分を納得させ、遥を手で制す。

「分かってる――――……皆まで言うな、飛鳥の顔面が崩壊しかけてる」
 顔面が、崩壊ッ……!?と、俺の言葉に納得したのか、遥は明後日の方向を向いた。
その肩がくつくつ震えている事から、ツボに嵌ったな。と納得。

 飛鳥が同時に俺達の首の後ろをぶっ叩く。
運悪く左手側の俺は、悶える。
「痛てぇ……酷ぇ……」
 遥も床に手を付いている。
 この野郎ォ……。
恨みがましい視線を飛鳥に送ると、飛鳥はベェ、と舌を出した。



反則、だろ。



 今の表情、絶対駄目だろ。
顔が火照るのを止められなくて、堪らず顔を伏せる。……見られてないよな?
「あぁ――――……」
声にならない溜息は、闇に溶けた。
絶対、誰にも見られたくない、今さっきの飛鳥の顔は。

322:ゆう:2013/03/21(木) 18:59 ID:TQo

うーん。どうかな。
母さんそれくらいが基本だし。

で、結局何処?
妙なとこって………

323:ゆう:2013/03/21(木) 19:08 ID:TQo

どっかで見た様な……え、あたしこんなことした?
あ、いや、呆けじゃない。
まあどっかでやった様な気も……うあ? へぁ?
もしかして昨日のでかガーナ?
いや、違うか………

324:ブラックキャット:2013/03/22(金) 19:46 ID:bAY

まじですか……。
何処だろうね、何処でも良いじゃん。

ん――――?
どーだろーねぇ。うん。書いた本人がちょっとアレだって……。

325:ブラックキャット:2013/03/23(土) 06:52 ID:bAY

 まだ痛む首を庇いながら床に座り込む。
 ポケットからナイフを取り出して、黙々と作業を進める。
「どれくらいかかるー?」
「………さぁ」
俺の返答に興味を無くしたのか、飛鳥は周辺を捜索し始めた。

 しばらくして、飛鳥が何十回目になるのか分からない欠伸をした時、最後の欠片が取れた。
遥が近付いて来て、指で突付く。


 カタン、と音を立てて、小さな穴が出来た。


 遥が呆気に取られた顔で、穴を覗き込む。
「………何だ、これ」
その言葉と共に引っ張り出したのは、小さな紙袋だった。

 その紙袋から出した箱をを前に、座り込んで話す。飛鳥は周辺をウロウロしている。
「遥、これはどうする?開けるか?」
「……これ、何か……綺麗に包装してあって、麻薬に見えないのは俺だけだろうか……」
「いや、俺もそう思う」
俺がそう言うと、だよな、と遥が頷いた。
 だが、開けないと分からないし…………。
俺が悩んでいると、ええい、と紙袋を遥が掴む。その気合の入れ方、可笑しくないか……?
 ゆっくりと開ける。



 現れたのは――――

326:ゆう:2013/03/24(日) 16:23 ID:b5g

誕生日おめでとう。

327:ゆう:2013/03/24(日) 16:46 ID:b5g




教えてあげる。


でも、君が決めて。




現実 or 架空?

328:ブラックキャット:2013/03/25(月) 19:34 ID:bAY

有難。

329:ブラックキャット:2013/03/25(月) 19:54 ID:bAY

「……チョコレイト」
 現れたのは、小さなブロックの形をしたチョコレイト。


 違う。


 ――――麻薬じゃ、ない。


 飛鳥が遥の手元を覗き込んで、小さく笑った。
「……もしかしたら、さ」
 箱を取り上げて、丁寧にリボンを結ぶ。
飛鳥の口から、独り言のような言葉が零れる。


「スーダ・マーヴァリーも、バレンタインの贈り物を届けたかったのかもしれないね。――――大切な人に」


 帰ろう、と飛鳥が言った。
反対する理由なんて無いから、頷いた。

330:ブラックキャット:2013/03/25(月) 20:10 ID:bAY

 朝の学校。2月14日。
皆そわそわしてて、隅で固まって騒いでいる女子のグループも居る。


 そんなの――――私には関係ないや。


 私、岩本飛鳥は鞄を机の上に置いた。自然と溜息が零れる。
圭が「具合でも悪いのか?」と訊いて来る。首を振って答える。

 心配されてるのは嬉しい。
 でも、何となく寂しい。

 圭の机の中には、既に幾つか入っていたみたいだ。
鞄の中に入れている圭の姿を見ながら、また溜息を吐く。


 ――――心が痛い。

331:ブラックキャット:2013/03/25(月) 21:57 ID:bAY

 そんな重たい一日は過ぎて、夕方。
遥と圭と一緒に、私の家を目指して歩く。

 遥が口を開いた。
「見たか?今日のニュース」
私は首を振り、圭は頷く。
そんな様子を見て一言、「そうか……そうだな」と納得した様子の遥。

 取り敢えず遥を小突いて、話の続きを促す。
「それで、どうしたの?」
「あぁ……それがさ……ある社長の疑惑なんだけど」


 省略。……だって、よく分かんないんだもん。


 靴を脱いで、2階の部屋へと駆け込む。
引き出しを開けて、中の袋を出す。
中には、4つ。
――――ひとつだけ、袋が違う。

 確認して、1階へと駆け下りる。
リビングの椅子に、2人は腰掛けていた。
 遥が私を見て、笑った。
「……どうしたんだ?何だか随分騒がしかったけど」
「あ、あはは……そんなに響いてた?」
笑って誤魔化して、深く息を吸う。いざとなると恥ずかしい……。

「あ、のっ……これ、あげる」
ポイポイッ、と投げる。そして、眼も合わせられずに俯いた。
 しばらくテレビの音が部屋に響いていた。
「あ――……俺、帰るな。あ、有難う。飛鳥」
 遥が立ち上がって、玄関に向かう。
「おじゃましましたー」と、ドアの閉まる音が聞こえた。


 気まずい沈黙。


 先に口を開いたのは、圭だった。
「……有難う、飛鳥」
手作り?と訊かれて、頷く。
「お口に合えば良いのですが……」
と言いながら圭を見ると、圭は一つ目を口に放り込んでいた。
 ――――いっ……幾らなんでも速くない!?
 恐い。美味しくない、とか言われたら……。


「美味しい」

332:ゆう:2013/03/26(火) 09:38 ID:uNs

あー 結構懐かしいね。
でも固かったろ。あれ。

うぅん。どうかな。
ひな手紙選んだろ?
会える暇無いかもだし……ねえ。
長々と書くかも……ぅああ。
あ、やっぱPCで書いてコピーするわ。
その方が楽。

多分、靴箱の中の右足の靴の中に入れときます。

333:ブラックキャット:2013/03/27(水) 15:27 ID:bAY

うん。固かったけど美味しかった。

右足だったか覚えてないけど入ってた。
面白いかどうかは……微妙だけど。

334:ブラックキャット:2013/03/27(水) 16:05 ID:bAY

 怪盗ジョーカー 11 〜過去のブラックボックス〜

 月の光を背中に受け、遥――――探偵は笑う。哂う。
「怪盗ジョーカー、お前に捕まってもらうまで僕は寝られないんだが」
 私は遥を睨み、叫ぶ。
「好い加減にしなさいよ。何時まで偽っているつもりなのよ!?」
 暗転――――

 目を覚ますと、何時もの天井が見える。
夢、ね……。
 体を起こして、溜息を吐く。
あれ……話、噛み合ってないように聴こえるのは私だけじゃないと思いたい。
……まぁ、いいか。
 勝手に解決させて、窓に視線を向けると、朝日が隙間から見えた。眩しい……。
今、何時だろう……。
 横に合った時計の文字盤を見て、私はもう一度寝ようかと考えた。

 何時もより早い時刻だからじゃない。
――――夢だと思いたかったからだ。

 けど――――
足音で分かる。圭がやって来た。
 布団に包まって、最後の悪足掻きをする。
布団の上から、圭が容赦無く揺さぶる。
「起きろ。何時まで寝てるつもりだ、後10分だ」
「……夢じゃない?」
「……そうだな。夢だったら良いな、確かめさせて貰うとするか。――――飛鳥の頬で」
 そう言って、圭が手を伸ばす気配がする。


 ――――させるかっ!


 跳ね起きて、圭の手首を掴む。
「……捕まえたっ」
私が微笑むと、圭の笑顔に影が指した。
「……起きたな?」

335:ブラックキャット:2013/03/27(水) 18:12 ID:bAY

 ――――慣れって、偉大だよね。

 ふとそんな事を感じたのは、教室に入ってからだ。
梅の蕾が膨らんできて、少しづつ暖かくなって来たとは言え、まだ肌寒い。
 女子の皆さんの冷たい視線に耐えられる様になった私に、自分で拍手を送りたいと思います――――……
前は俯いていたけど、今では圭と話しながらスルー出来る様になった。


 其れは御見通しという訳か……


「岩本さん」
後ろから掛けられた声に振り向くと、
「ちょっと、良い?」
…………こりゃまた、大勢で。

 クラスのリーダー格、夏野さんと河野さん、岡崎さんは勿論、他にも2,3人。
影を含んだ笑顔で夏野さんが笑う。
「少し、お話があるの。来て!」
 可愛く首を傾げ、手を取り、走って行こうとして
――――一足速く、圭が私の手を掴んだ。

「……話なら、此処ですれば良いんじゃないですか」
 岡崎さんが後ずさりそうになりながら言った。
「女の子のお話なの」
……如何にもな理由で。
 圭は一瞬、手に力を込めて、離した。
『気を付けろ』と言われた様な気がして頷くと、圭は微かに微笑んだ。

336:ブラックキャット:2013/03/29(金) 15:41 ID:bAY

 やはり、嫌いな人と手をつなぐのは気持ち悪いんだろう。教室を出ると、荒っぽく手を離された。
「……ったく、里奈! 里奈のせいで、紅本君に怒られたじゃないのっ」
 川野さんが岡崎さんに詰め寄る。夏野さんも、頷いて同意。
「御免って。沙耶、美奈!」
「しょうがないなぁ……。まったく、里奈ったら♪」
「本当、ドジなんだから」
 ……突込みどころ満載過ぎる。
 内心緊張をしてたけど、こんな人達だ。


 心配要らないよね――――……


 そんな気持ちは、数十秒後にぶっ壊されるのだった。


 誰も通らない学校裏。
 「キモイよ、自覚してる?」
 言葉攻めですか。在り来たりの。
これは、無視に限る。……という訳で。
「…………」
「何とか言えってんだよ!」
 夏野さんが被っていた猫を剥ぎ取り、手を出す。――――文字通り、手を。
少し避けて、急所には当たらない様にする。

 次は川野さん。足を出す。――――文字通り、足を。
少し避けて、脛は守る。弁慶の泣き所、だよ?

 最後は岡崎さん。手を後ろに回し、ニヤリと笑った。
「わぁ……、これ重たぁいっ!」
嫌な予感がして、避けたけど、


 ――――バッシャァ!


 避けたけど、遅かった。
頭から諸に水を被って、髪の先からぽたぽたと滴が落ちる。
冷た……。

 梅の蕾が膨らんできて、少しづつ暖かくなって来たとは言え、まだ肌寒い。
誰だ、こんな事言った奴!――――私だ!
見ると、私を囲んでいた人達は既に居なかった。逃げ足、速いなぁ……。

「……まぁ、私には適わないか」
 苦笑しながら、ハンカチで水気を取る。……あんまり変わらない。
 “肌寒い”から、『寒い』へ。
あ、でも……。このままじゃ教室に入れないね。保険室には入りたくないしなぁ……。
「――――馬鹿だね、私。圭に言われたのに、やられちゃったよ」

 悔しい?
きまってるじゃん。悔しいよ――――……
 水に紛らせて涙を流す。
此処には誰も来ないから、見られたりはしない。

 しばらくするとチャイムが鳴って、話し声は消えた。
どうしよう……。水が乾くまで待っとこうか。
 結論が出ると、私は地面に座った。スカートの汚れは構ってられない。

「はぁ――――……」
 体操座りした膝に、顔を伏せる。冷たい。
 圭、今どうしてるんだろ。
私が居ないのに気付いてるかな?
気付いて、来てくれないかな。我儘だけどさ、
「一人は嫌いだよ……」



「――――だから、言っただろうが」

337:ブラックキャット:2013/03/29(金) 19:12 ID:bAY

 圭の声が聞こえた。
……様な気がした。疲れてるのかな?私…。


「…飛鳥。僕だよ」


 まだ聴こえる。…夢、かな。眠いし。


「おい、飛鳥」


 寝よう。寝て、頭をスッキリ――――……


「顔を上げろ、飛鳥」


 その声に釣られて顔を上げると、居てはならない人が――――
「……圭?」
「僕じゃなけりゃ、誰だ」
いや、まぁ……そうだけど。

 圭のペースに巻き込まれると、気になる事を訊きそびれてしまう。
「何で此処に居「まずはこっちだろう。質問するのは」
台詞ぶった切られた……。


「何で濡れてる?」
「水を掛けられたから……うぅ、寒っ」

「油断してたのか?」
「うん。……いや。まさか、とは思ったらさ、ほら……。遅くって」

「他に、何かされたか?」
「それ程の事じゃないから、大丈夫。怪盗ジョーカーの名は伊達じゃないからね」


 圭は、それから黙って、私の横に腰を下ろした。
頭の上に、何かが乗る。見ると、圭のセーター。
「一応……体、冷えたら駄目だから。……まぁ、馬鹿は風邪を引かないって言うけど」
「最後の一言は余計だッ!」
 ……折角、何か格好良かったのに。一言多いって、こんなに損するものなのね――――……。
「何か言ったか?飛鳥」
いえいえ、何も。
 真っ黒のオーラを纏った圭は、誰よりも恐い。


 ――――格好良いけど、さ。


 そうこうする内に、一時間目終了を告げるチャイムが鳴った。

338:ゆう:2013/03/29(金) 19:25 ID:Aes

やっぱ固かったんだ。
そりゃあ美味しいよ。
ガーナ溶かして変形させて固めただけだもん。

右足入んなかった。
もっと大きい靴買っといてね。今度は。
じゃないと入んない。
あれひなが靴箱に来る直前に入れた、と思う。
音楽部の男子先輩が出て来てたから、そうかと。
つまんないっちゃあつまんないよね。
宿敵がおらんのんじゃけえ。
おったらいいのになー。
でぇもねえ〜
「お嬢様の命令」、使おっかな〜 なんて。
覚悟しててね。(妖しい笑顔。)

あ―――…… うん。
今回は逆、かな……
ええと、火曜と水曜、かな。部活で。
S石さんとY奈泣かせちゃった……
なっ、何もやってないよ!?
S石さんはグーチョキパーでグー出しちゃっただけだし、Y奈はあたしがダブルスのルール知らなかっただけだし……ねぇ。
日曜日HとみとMーちゃんとK澄ちゃん(未定)が来るんだ。
ひなも来て〜 部活休みでしょ〜
そのとき詳しく教えてあげるから。
Fンタジスタやりたくないの〜?
K澄ちゃんが来るかもって聴いて、(見て?)不機嫌にならないの。
絶対むすってしてるね。ふふふ。
ひな来てよ〜 昼飯食ったら。
来ないとあたしK澄ちゃんに取らちゃうよ〜?

339:ゆう:2013/03/29(金) 19:28 ID:Aes

あーっ タイミングずれた。
っさいなぁ!! どーせ馬鹿だよぉ!!
まあ恰好良いけどさ。

あっと、れが抜けた。
「来ないとあたしK澄ちゃんに取られちゃうよ〜?」

340:ブラックキャット:2013/03/29(金) 19:44 ID:bAY

 先に言ったのは、どっちだろう?

「帰るか」
「帰ろう」

 …………。
 圭の顔が見れなくて、顔は前に向けたまま。
「……面倒臭くなったし、ね」
圭は無言で頷いた。(様な気がした)

 太陽は頭の真上。
影が二つ――――


 仲良く手をつないでいましたとさ。

341:ブラックキャット:2013/03/29(金) 19:46 ID:bAY

日曜さ、うち歓迎演奏のリハあるんだけど。午前中。
遅くなるけど。

342:ブラックキャット:2013/03/30(土) 17:06 ID:bAY

「飛鳥っ!」
 玄関のチャイムを鳴らさずに入ってきたのは、遥だった。
時計を見ると、今は昼休憩の筈だ。
 慌てて、遥の居る1階へと階段を駆け下りる。
「遥っ?ど、どしたの、まだ昼休憩じゃ……」
「明日から春休みだぞ。今日は修了式」
あ、そっか。
次は2年生か――――……あれ?
 何だかとんでもない事を仕出かした様な気がした。漫画だったら顔に縦線が入っているところだ。

 後ろに圭が居たので、恐る恐る訊いてみる。
「ね、圭…。もしかして今日さ……」
其処まで言いかけた所で、圭があぁ、と頷いた。
「……成績表か。それなら、僕が飛鳥の代わりに貰ってる」

 何処から出したのか、圭の手には私の名前が書かれた成績表。
け、圭――――ッ!?

 遥を押し退けて、慌てて奪い取る。
「ま、まさか中身…「あぁ……見た。酷い有様だな」
見てないでしょうね、と訊こうとしたら、そんな必要なかった。圭だ、見るに決まってるじゃん!
 ひ、酷いっ!人の成績表っなんで勝手にっ……!

 口をパクパクさせて反論する私を見て、圭は笑う。
「何となくだ。これ以外に何かあると思うか?」
 圭はしれっと返す。ムカツクっ……!!
だよな、と同意する遥も遥だ。


 ――――後で2人まとめて打っ飛ばす!


 そう決心して、部屋に駆け込む。
 恐い物見たさでチラッと覗くけど。……駄目だ、これ。
鍵の掛かる引き出しに仕舞い、鍵は秘密の場所に隠す。
……まぁ、すぐにばれるんだろうけどな、圭も、遥にも。
――――2人とも頭が良すぎるんだよ!
 溜息を吐いて、部屋を出る。

「…はい、黒本です。
 あ、紫苑さん。はい、……あぁ……今、友達の家に居るんですよ。すぐには……」
 遥が携帯を耳に当てて話している。相手は、多分あの 櫻川 紫苑 って言う人だろう。
「……え?分かりました、出来るだけ急ぎます。……はい。それじゃ」
遥がポケットに携帯を仕舞う。何だか……表情が苦しそうだった。

「……ちょっと呼び出しくらっちまった。それじゃ、急がないとヤバイし、今日はこれで。じゃぁな」
「あ、うん!頑張ってね」
 遥が玄関へと向かう。

「おい、遥」
 圭が遥を呼び止めた。
遥が振り向くのを待たずに、圭は続けた。
「お前、何しに来たんだ?」
「飛鳥が水を被った、って聴いたからな。教室まで言ったら居ねぇし、サボったんだなーと思ってさ」
サボった、の所で遥は圭を見て意地悪く笑った。圭は、その視線を見事なまでに流している。

「じゃぁな、また明日来るから」
 そう言って、遥は玄関のドアを閉めた。窓から覗くと、走って行った遥の後姿が見えた。遠い。
「遥って、足速いんだねぇ」
 ポツリと呟いたら、圭が答えた。
「……飛鳥の足の速さが異常、なんだろ」


 何となく圭の声が不貞腐れて聞こえたのは、気のせいだろう。

343:ゆう:2013/03/30(土) 17:54 ID:.wc

ね、え……
今思ったんだけどさ、遥のモデルって……宙音さんだったりする?
なんっか……そんなやり取り、したし……ぅえ?
それと、あたし鈍足だよぉっっ!!
馬鹿にすんな、馬鹿にぃっっ!!

午前中は、あるか。
来てね〜
CDGET! ですっ。最後の一枚ぃぃぃ……(感動・感激)
あとね、リンちゃんなう! がノベライズ化してた(汗)
ボカロ……何やってんのぉ。
勿論買ったよっ
読み終えたら貸す〜

探偵ポーカーフェイス、出動――――――。
頑張ってよ。イオっ!

344:ブラックキャット:2013/03/30(土) 21:50 ID:bAY

おう。良かったね。
あ、そうそう。「ロスタイムメモリー」出てるよ。Youtube。

見てきた。破棄んないようにね。

あと、4月の8日(月)。
悪いけど、7:30集合なんだよね。入学式だから。
うちらは入学式が終わるまでは教室行かないから。クラス編成は見に行くけど。

……ってな訳で。御免ね。初っ端から1人だね。

345:ブラックキャット:2013/03/30(土) 21:52 ID:bAY

付け足し。
遥のモデルは、断じて違う!……筈。

346:ブラックキャット:2013/03/30(土) 22:15 ID:bAY

 急いで、待ち合わせの駅へと急ぐ。
走っているスピードは落とさないまま、時計を見る。
「……上出来」
 ジョーカーを追う様になって、少しタイムが上がったか?
そんな事をぼんやりと考えていると、足が止まってきた。ヤバイヤバイ。
 俺は黙って、足を前へと押し出す事に専念する。

 其処に、彼女は既に立っていた。
満面の笑みで、手を振って。
「遥君―!」
俺も笑い返す。息切れてるけど……。
「すいません、遅くなりました」
「ううん、大丈夫。そんなに待ってないもの」
 一応形の挨拶は済ませた。
――――本題だ。

 俺は、紫苑さんの隣に移動した。
「それで、紫苑さん。用事って言うのは……?」
電話口では、『今は言えないの』としか聴いて居ない。
 彼女は、少しもごもごしながら言う。そんなに言いづらい事なのか?
緊張しながら、彼女の言葉を待つ。


「家に、怪盗ジョーカーの予告状が届いて……」


 そこで、俺のテンションは上へと上昇。ジョーカー!?
「家の、『人魚の涙』って言う宝石を盗むって」

 其処まで聴くと、大体頼みたい内容は決まってくる。俺が探偵なら尚更だ。
「分かりました。俺の仕事は、その宝石の警備で良いんですよね?」
俺がそう言うと、彼女は顔を輝かせた。
「ありがとう!警察の方達は呼んだんだけど、やっぱりなんか頼りないように見えて……」
 その発言を聴いて、俺は呆れるより感心してしまった。
警察をそう言うか、普通。
さすが、恐い物無しの櫻川グループ……。

「今日はちょっと用事があって、都合が悪いから。明日、家のほうに来てくれるかしら」
 返事を仕掛けて、少し考える。
飛鳥達には、来て貰った方が楽になるかもしれないが……。
いや、でも……
あ、でも俺はこの人と一緒に居るのは苦手なんだよな……。
……………。


「あの、友達を1人、連れて行っても良いですか?」

347:月:2013/03/31(日) 03:47 ID:5jU

久しぶりのコメ書きました!
あぁーもうちょっとで、中学か・・・。
嫌だなぁ〜。あ、質問?なんですが、最後は「HAPPYエンド」で終わるんですか?(まだまだ、続いてほしいです!)

348:ゆう:2013/03/31(日) 16:13 ID:y/s

あ、そう。

あーい。見て来ます。

えー
むぅ――……
まあいいや。仕方ない。
あんね、変な夢見たんだ〜
ひなが1組(またかよ。)で、あたしもだって。(夢ん中でひながそう言った。)
もし予知夢だったら同じクラスだよ!
でも宙音さんは……4組。
Hとみは知らね。
予知夢だといいなあ……でも宙音さんも一緒がいい……
まあ、8日を楽しみにしてる。

349:ブラックキャット:2013/03/31(日) 16:42 ID:bAY

あれ、ルナさんって6年生ですか?
自分は、中1です。もうすぐ2年生ですね……はは。
あー……そうするつもりです。出来る限り続けますので。よろしくお願いします!

うん。
ぅえ、また1組?同じクラスだといいねぇ、2人とも。
まぁでもさ、今回はうち1人になりそうなんだけど……。
良いか。

350:ブラックキャット:2013/03/31(日) 17:16 ID:bAY


 大きな門。
 表札には、“櫻川”の文字。
 脇には、警備らしき人。
 俺の隣には、むすっとした圭。

「……何で僕なんだよ」
 圭は何とも言えない眼で俺を睨む。
いやぁ、と俺は出来るだけにこやかに微笑む。
「飛鳥よりも、圭の方が頭良いだろ。それに……」
 罪悪感と言う物か、胸が痛い。
それに?と訊いて来る圭は、既に見抜いている顔だ。こいつはムカツク。


「……ジョーカーのナビだろっ」


 やけくそで呟く。口元を歪めながら圭はまぁね、と頷く。
直後、その眼は笑いを失う。
「……でも」


 ――――探偵が怪盗をサポートするのはタブー、何じゃないのかな?


 ……顔が笑ってないぞ、圭。
俺は圭を宥めながら、インターホンを押す。

 しばらくして、返事があった。
『…黒本様で御座い居ますね』
「はい」
『其方の方は、お友達でしょうか』
「はい」
『……畏まりました。すぐに門を開けさせます。どうぞ、お入りください』

 カチャ、と多分ロックの外れた音がした。
俺と圭は門をくぐり、敷地内を歩く。

 成る程な、圭が呟く。
「ロックにしても、人が外す様にしてるのか」
「機械での誤作動が恐いから、じゃないか」
だろうな、と圭が若干不貞腐れて返事をする。
 そんな様子を見て、やっと分かった。

「……プライドが有るのは分かるけどさ」
 俺の言葉に、圭は驚いたような顔で俺を見る。分かり易いねぇ、圭も。


「――――今回だけ、特別だ」


 ニヤリ、と笑う。
 圭はと言うと、負けず嫌いの性格に火がついたのか。
「……別に良い。いらんお節介だ」
……なんて言って、そっぽ向いてスタスタと歩いていく。


――――素直じゃないんだ、2人とも。


 なんて言えば怒られるのは目に見えているし、言う必要も無い。
俺は圭の後を追う。
「良いだろ?……今回だけ、だ」

 囁けば、分かってくれる。
飛鳥と違って、察しが良い所は良いんだけどなぁ……。
「……分かった。今回だけだ」
 圭は玄関のドアに手を掛けた。

351:ゆう:2013/04/01(月) 17:04 ID:5AI

だってひなが言ってたんだもん。
なんかね、T坂脅して訊き出したんだって。
え。何で? 何でぇ?
N家が言ってたとか? 予知?
神様に甘えてみたい。
せめてクラスの中では、2人きりにさせて下さい=\――――――。
あたしはあたしで……K岡(1組の方ね。)と一緒になりそうな気がする。
あとM田。

ああ、正解。
圭だと思った。
飛鳥はその間寝てたりして。
本っ当素直じゃないよねぇ。けけ。
察しが悪くて悪かったなぁ―――――!!
次会ったら殴ってやる………

………そういや、どれくらい会ってないんだろ。
いーち、にーい………(涙目)
5日ぁ――――っっ!!?
………何なんだ……あたしって………(呆)

352:ブラックキャット:2013/04/01(月) 17:10 ID:bAY

え?そいつ、昨日から居ないんじゃ……
違ぇーよ、自分の館。
おーおー、そりゃまた面倒臭そう。

多分ね。寝てるんだろうね。ねぇ?
うーわ、殴られる!家から出れねぇよっ

1週間だろ。
まぁ、あと1週間か?

353:ブラックキャット:2013/04/01(月) 17:55 ID:bAY

 ――――でかい。


 圭の口から零れた言葉は、高い天井に届く前に消えた。
 彼女――――紫苑さんが微笑む。
「学校の敷地と同じぐらいか、少し大きい程度よ。そんなに驚く所じゃないわ」
……櫻川財閥恐るべし。

 圭に彼女を紹介して、彼女に圭を紹介する。
「紅本 圭です。……はじめまして」
「櫻川 紫苑です。よろしくね」
 圭の顔は表情が無く、警戒を隠しているんじゃないか、と思った。


 ――――違ったけど。


 さらに歩いていくと、何だか怪しげな部屋に行き着いた。
「此処が保管室よ」
 紫苑さんがドアを開ける。
圭が中を覗き込み、紫苑さんに問い掛ける。
「…警備員、居ないんですね。警察の方達を雇ったと聴きましたが……何処かに待機させているんですか?」
「夜になったら、赤外線センサー張るから。今は、別室に」
これから行く所よ、と言い、彼女は部屋のドアを閉めた。

「……気に入らないな」
 そう圭が唐突に呟いたのは、その別室とやらに着いて、ソファに座ってからだった。
「何が?……というか、どうした?」

 圭が携帯を取り出した。横から覗き込むと、「見るな」と肘で横腹をど突かれた。痛ェ……


「――――此処からは俺の領域だ」


 そう言う圭の眼には、ジョーカーとしてのプライドも、仕事と言う気持ちも無い。
――――紅本 圭、という少年の好奇心だけだ。

「……探偵が見るのはフェアじゃないだろ」
 後から付け足されたのが丸分かりの言葉は、俺を笑わせるのには十分だった。
「本ッ当、素直じゃねーな」
今でも十分に不貞腐れている圭は、堪忍袋の尾が切れ掛かったのか、脛に蹴りを入れた。痛い。

 圭が携帯を操作して、俺はそれを横から覗き込んでいる。
「これが、こうか……いや、違う……?…あ、そうか……」
独り言をブツブツ言いながら、すごいスピードで計画を纏めて行く。
それはそうと……。
「この屋敷の見取り図、何時手に入れた?」
「2週間前」
 予告上を出す前か……。
圭の用意周到な計画のおかげで、飛鳥は安心できるんだろう。


 俺は、直感で走るタイプだったな。――――


 何だか走馬灯っぽいものが流れる。
どれも、俺にとって苦い思い出ばかりだが――――


 あれは、俺の中のブラックボックスに仕舞った。

354:ゆい:2013/04/01(月) 18:01 ID:muE

わおおおお!!
おもしろずぎ!

こういうストーリー大好きw
がんばって!!

355:ブラックキャット:2013/04/01(月) 20:35 ID:bAY

うわわわ、吃驚しました。

有難う御座います、ゆいさん。
ご期待に応えられる様に頑張ります。

356:ブラックッキャット:2013/04/01(月) 21:14 ID:bAY

 櫻川家の家。
僕は借りた部屋の奥にある、ベランダに出た。
 携帯を取り出して、飛鳥の番号を呼び出す。只今午後10時過ぎ。
……まぁ、飛鳥の事だし、起きているだろう。
2コール目で出た。

 僕が言葉を発する前に、飛鳥の声が耳を貫いた。
『ちょっと、圭!?今何処に居るのよ、何してんの!?今日、私がどんなに大変だったか分かる!?朝起きたら圭は居ないし、書き置きはあったけど一行だけだし!お父さん達は仕事で遅いし、いくら今日は学校が休みだからって……!ずっと1人だったんだよ!!圭からの連絡待ってても全然掛けてこないし……』
 飛鳥の声が萎んでいくのが分かって、直感した。……これ、ヤバイ。
『ずっと1人で……待ってたのに……』
飛鳥の声が涙で濡れる。


『寂しかったのにっ……』


恐らく必死に抑えていたであろう嗚咽が、僕の耳を打つ。
 慰めたいけど、電話の向こうまで僕の声は届かないだろう。

「悪い。ちょっと忙しかった」
『いっつもそればっかりじゃん。圭の馬鹿』
「謝ってるんだけど」
『それ、泣いてる私に言う言葉なの?』
「それ言われると弱い」
『本当、寂しかった』
「相変わらず子供だな」
『圭なんかもう知らない、切る』
「……ちょっと待て。仕事だ」
『それ先に言って』
「悪い」

 今日は、月が綺麗だ。
『ねぇ、圭……月が綺麗だよ』
知ってる、と返すと、不満気な声が返ってきた。
『何で知ってるの』
「僕も見てるから。……それより、次の標的の事だけど」

 一応全部の説明は終わった。
飛鳥にも分かるようにしたから、理解は出来てる筈。
『……た、多分、分かった。……筈』
 その返事を聞いて、少し安心する。

「……分かった。じゃぁ、もう遅いから切るぞ」
 もう少しだけ話したいけど、11時前だ。
睡眠は取らないとと翌朝が大変になる。……特に飛鳥が。
『え、あ、ぅ……』
 珍しくもないが、飛鳥の歯切れが悪い。
如何した、と訊くと、何時もよりつっけんどんな声で


『明日は帰ってきてよ!』


と一方的に告げ、飛鳥は電話を切った。
 分かった、と返事する間も無い。ツー、ツー…と機械の音が耳に痛い。
 携帯を収め、アラームをセットする。
寝る支度を整えて、僕はベッドに潜り込んだ。

 枕が変わると寝られない、と言うほどではないが、何時もと違う布団は、なかなか僕を夢へと連れて行ってくれない。
だが、寝ないとヤバイ。最近は殆ど寝て居ない。
「……仕方ない」
 鞄の中から小さな箱を出す。
その中の1つを手に取り、口に放り込む。この薬はあまり好きじゃない。


 しばらくして、僕は眠りに落ちた。

357:ブラックキャット:2013/04/02(火) 13:10 ID:bAY

 騒がしいノックで目が覚めた。

 寝ぼけたまま返事をすると、ドアの向こうに居る遥が「早く出て来い!」と怒鳴る。
一気に目が覚めて、布団から抜け出す。
 ドアの鍵を開けて、外に出る――――中に押し戻された。
「……どうした?」
 其処には、息を切らした遥が立っている。只事じゃないとは思ったけど、何だ……?


「人魚の涙が盗まれた」


 遥の一言は、衝撃、の一言だ。
ジョーカーじゃないのは分かっている。僕は指示なんてして居ないし、飛鳥は勝手に動かない。
……というか、この屋敷の場所すら教えて居ないから、来る筈無い。
 すぐに首を横に振る。そんな筈は無い。
「予告日は明日だ。僕達じゃない」
言い終わると、遥はやっぱりそうか、と呟いて考え込んだ。
「……状況は?」
遥は頷いて、話し始めた。


「朝、俺が管理室に行くと、ドアの前に眠らされた警備員が倒れていた。ドアを開けようとドアノブを捻ると、鍵が掛かっていた。警備員のポケットを探っても、管理室の鍵だけが無い。警備員は3人居たんだが、その3人共だ。其処に通り掛かった紫苑さんから鍵を借りて中に入ると、ケースは開けられていて、中には何も入っていなかった。ジョーカーかと思って調べたが、カードは無い。ケースの鍵は、刺さったままだった。今は取り敢えず、この屋敷の中を捜索中だ」


 そこで一旦言葉を切ると、遥は珍しく心配そうな顔付きになった。
「宝石は、この屋敷から見つからない可能性がある。だから、部外者である俺と圭は手荷物検査を受けなければいけない。圭がばれる様なドジ踏むとは思って居ないが……一応」
手荷物検査か……。別に怪しいものは入っていない筈だ。
 鞄を漁ると、一番其処に、硬い物。
――――まさか。
手に取り、眺める。
「…………」


 ――――そうか、こう来たか。


 数十秒観察して、遥を呼ぶ。
「……遥、俺の言う事を信じるか?」
「え、あ、あぁ……っていうか、どうした?」
「神に誓ってもか?」
「何で其処に神が出てくるのかさっぱり分からないが、まぁ、誓ってでも」
「いまいち信用ならんな、本当か?」
「本当だよ!ったく……」
これでもか、と遥は呟いて、跪いた。
……これは気分が良い。
 飛鳥のために写真でも撮るか、と携帯を出すと、遥が掴みかかって来た。あっさりとかわされて項垂れる遥。
「……冗談だ」
「圭がやると冗談に見えねぇ」

「で、何なんだ?」
 遥が身を乗り出す。
俺は、手に持った宝石を遥に見せた。
遥の目が見開かれる。
「これ――――……!」


 決して俺でも、飛鳥でもない。
が、俺の鞄に入っていた、


「――――人魚の涙だ」

358:ゆい:2013/04/02(火) 13:28 ID:muE

いえいえ
続ききになるなあー

うちも
小説かいてるで!!
見てくれる?

359:ゆう:2013/04/02(火) 14:06 ID:eYQ

え、まじ?
春休みの間は居るんじゃなかったっけ?
あ、これHとみの情報。
………あ。
そう言うことか。うん。
T坂脅したって言ったの、夢ん中だかんね?
勘、ね。
ねー 面倒だよ。
ほら、今日だって………ごめん。関係無い。
知らないでいい。

そのうち出なきゃいけんときが来るわ!
ヒキニートになるか?
……そういや、ニートキャラで新種発見、だ。うん。

あれ、そうだっけ。
…………やっぱ殴る。絶対。

惜しいな。
今の位置から180度視点をずらして、少し奥に踏み込めば完璧に正解ってる。
360度ずらしても、だけど。
うっさいな。この前起きたときは11時過ぎてた。
普通に睡眠薬って書けよ。紛らわしい。
えーっと。
シャドウじゃないよね? あの双子でも無いよね?
まさかクロウじゃあるまいし。
Fンタジスタ(あんたんとこの方)は無い。と思う。

360:ブラックキャット:2013/04/02(火) 19:59 ID:bAY

ゆいさん、有難うございます。
あ、はい。勿論!後で見に行きますね。


いや、3月31日まで。新しい先生も見た。女性、若かったよ。
……今気付いた、館じゃねぇ、勘だ。
部活?訊かないで良いのなら訊かないけど。

いや。NO.無理。ニーとはヤダ。
やっぱじゃねぇ、殴るな!

…………。何がだ。
まじでか。うちでも5時30分だぞ。
えー、何かさ、……何となくだ。うん。
不正解。見てからのお楽しみ、っつー事で!

361:ブラックキャット:2013/04/02(火) 20:57 ID:bAY

「おいおい…まじかよ」
 手袋を嵌めて、宝石を持つ遥。
「何で、っつーか、誰が……!?」
 流石に俺でも指紋の持ち主は特定できない。時間が掛かる。


 でも。


 犯人の狙いは、まぁ僕だったんだろうな。


 そうか、そうか――――


 口が歪む。
怒り? ……とんでもない。

 歓迎してやろうじゃないか、怪盗ジョーカーを敵に回したんだ。
その人間に敬意を表して、徹底的に潰す……

 などとぼんやり考えていると、遥から声を掛けられた。
「圭ー。顔が恐いぞ、何考えてんだ?」
……危ない、何だかとんでもない事を考えてた様な気がする。

「いや…何でもない」
「そうか……? なら良いけど。荷物纏めろよ、すぐに行くから」
 遥は颯爽と部屋を出て行った。少し風が吹いた、様な気がする。
 軽く息を吐いて、荷物を纏める…と言っても、多くない。
小さな鞄一つに、パソコンやら何やらが入っているだけだ。……中学生が持って歩くには怪しいだろうけど。

 にしても。
「これ、ど−すっかな……」
そう。人魚の涙を何処に隠すか、が問題だ。
 俺が居ない間にこの部屋は捜索されるだろうから、此処には隠せない。
荷物に紛らせておいても……アウトだろ。
 しばらく、座り込んで考える。

 突然、携帯が震えた。
着信は、『岩本 飛鳥』。
 飛鳥は怒ってるのだろうか、どうだろうか。
「……飛鳥?」
『……圭』
 飛鳥の声は不機嫌なのか、低い。嫌な予感が背中を撫でる。
「どうした?」
『……今日、珍しくニュース見た』
 嫌な予感が膨らむ。それ、在り得るけど在り得ない筈だ。

『櫻川家宝石、盗まれる! 怪盗ジョーカー参上か!? ……っていう見出しだったよ』
 何が参上だ、正義の味方のつもりかよ。と突っ込みながら、もう1つの携帯でニュースサイトを検索。
……これか。
 派手な記事で、派手な見出し。
俺やってねぇよ、って言っても聴こえないんだろうなぁ…と呆れる。
『ねぇ圭。……これ、どう言う事?』
 俺も良く分かってないんだが、と前置きならぬ言い訳をして、説明を始める。

『ふ――――ん……』
 飛鳥が不適に笑っているだろう雰囲気が、電話口から漏れている。

 ……飛鳥はこの仕事に誇りを持っている。
多分、潰すだとか考えているんじゃ――――……


『…良い度胸じゃない、そいつ。先攻がそいつなら、後攻は私達ね。歓迎してあげようようじゃない、圭。…ふふ、後悔させてあげるわ。私たちを敵に回した事を――――……」


 ……うわやべぇこいつ。俺よりやべぇ。
 …俺より怒ってる。
『ねぇ、圭?』
黒いオーラが漏れている。怒らせるとおっかないな、飛鳥は。
「あぁ、そうだな」
 一転し、普通のテンションに戻った飛鳥が提案した宝石の隠し場所は、危険で、安全だった。
『私はそっちに行けないから……頼むね、圭』


 ――――まぁ、良いか。


「……任せとけ」
 自信満々に通話を終え、部屋から出る。
外の廊下には、遥が待っていた。
「……決まったみたいだな」

「OKだ。何時でも良いぞ」
 そう言い、手に持った宝石を振る。途端に不安そうになる遥。俺はそんな遥に笑い掛ける。
「俺を信じるんだろ?…任せとけ」
吹っ切れた様子の遥は笑った。
「頼んだぞ」

 肩を叩き、前を歩く遥の背中は頼もしかった。

362:ゆう:2013/04/03(水) 14:50 ID:EOQ

ああ、うん。
あんねぇ、Hとみが頭の天辺だけ髪あるおっさん見て馬鹿受けしてた(笑)
あたしもだけどね。
あと、MーちゃんとK澄ちゃんも。(文頭の文字全部あだ……)
訊かないでいいんじゃなくて、絶対的に訊くな。
お嬢様の命令!

とが変換されてないぞ。
嫌なの? ふうん。
もう殴ったもんね。遅い。

飛鳥と圭の電話場面。
あと時間も違うね。
あー もう惜しい区間飛び出てる。
はいはい。楽しみにしてますよ。

363:ブラックキャット:2013/04/03(水) 15:10 ID:bAY

 黒本君! と遥に声を掛けたのは、太った男性だった。
遥が俺を振り返り、その男性を紹介する。
「俺が良くお世話になっている、一之瀬警部。……警部、俺の友達の紅本 圭です」
 俺が頭を下げると、一之瀬……警部は俺に向き合った。特徴のない顔立ちだ。
「悪いなぁ、来て貰って。じゃぁ、荷物は預からせて貰うわ」
 荷物を渡すと、彼は去って行った。
途中で振り返り、「向こうで身体検査やっとるけんの!行ってくれ!」と叫ぶ。手を上げて応える遥。

 彼の言う“向こう”に歩いていると、遥が唐突に言った。
「で?」
……は?
 遥が溜息を吐く。
「だから、人魚の涙は!? このまま行くとアウトだぞ?」
……あぁ。それなら――――


「あの警部さんのポケットの中だ」


 沈黙。


「あぁっ!!?」


「はあぁぁっっ!?」


「あぁぁっ「煩いな、怪しまれるぞ」
 ぴしゃりと言うと、遥は黙った。
でも、まだ唸っている。

「…そんなに納得いかないか、飛鳥の案に?」
俺がそう言うと、遥は首を振った。
「いや、そうじゃないけど…。あの警部、意外と鋭く「いいんじゃねーの?」
 それでこそ警部だろ、と言うと、遥は笑った。
「そーだなー。見つかっても、俺じゃないって言うのは信じてくれるだろうからなー」
 余裕そうな顔がムカついて、ポケットの中の携帯を出す。
呆気に取られている遥の目の前で飛鳥のアドレスを呼び出す。
「おい、まさか……」
……そのまさかだ。


『遥が飛鳥の案を否定してるぞ。どうする?』


 送信。


 すぐに返信が来た。


『構ってられない、続行に決まってるじゃん!』


『PS 遥、帰ってきたら覚悟しててね?』


 遥は撃沈。ご愁傷様。
手を合わせ、歩いていく。

 警官が集まっていたから、目当ての場所はすぐに見つかった。
「黒本さん! お疲れ様です!」
出口の近くの警官の声に、殆どの人が振り返った。遥は見られるのは慣れているらしい。
「こんにちわ。それじゃ、早速検査に行きましょうか」
遥が俺を押して中に入る。

 数分後、俺はその場所を抜けた。
「疲れた……」
「おぅ、お疲れー」
遥が俺に紙コップを渡す。中身はお茶だ。
「屋敷の中は全部封鎖しているらしい。さて、荷物は……」
 ぐるりと辺りを見回すと、さっきの警部が鞄を持って走って来た。
「悪いねー、遅くなった! それじゃ、今日はここには入れないからもう帰りなさい」
そう言って荷物を渡し、走っていった。
「…よし、帰るか」
「あ、あぁ……」


 ――――あの警部さん、鋭いって事は本当みたいだな。


 俺の手の中、人魚の涙。





 ――――発信機、盗聴機付きの、偽物。

364:ブラックキャット:2013/04/03(水) 15:14 ID:bAY

来てるかなーと思ったけど、ちょっと遅かった。

あーあー、そのおっさん可哀相。
え、そう来る。まぁいいや。

殴られた。痛かった。

うん。楽しみにしといてー。
一応、意外な人物……な筈。

あーと言うかねー。
新しいネタが浮かんだ。ジョーカーの。次話は決まってるけど、その次。
…忘れそーだけど。

んじゃ、以上報告!

365:ゆう:2013/04/03(水) 16:20 ID:EOQ

塾の宿題いらつきながらしてたよ。
んで、ええい!! もう行く!! ってなって、来た。
遅いよぅ。

まあね。
命令は絶対、だからね?
えっとね、これもHとみ情報。
ひなが見たの、多分美術の新先生だよ。
そんな感じって聴いた……筈。

痛かったの?
軽力だったんだけどな。
別にグーでもよかったんだけどね。今回はやめといた。
でも次はグーだからね? 覚悟しててよ?

ふうん。
意外……ね。

あたしはあたしで新しい物語が浮かんじゃった。
どーしよーかなー 新スレ作るかなー
なんかね、Оンラインとリンちゃんなう!のDIVAの話掛けた様な奴。
未来都市だよ。ふふふ。
んじゃ、えーと……9日? の朝話してね。
飛鳥さんの責任が……(嬉)
忘れるんじゃないぞ。面白く無い。

じゃあ塾行って来るね〜

366:ブラックキャット:2013/04/03(水) 16:52 ID:bAY

知らん。

いや、美術の先生じゃなく、間違いなく音楽の先生。(うちの目の前で自己紹介したんだ。間違いない)
美術の先生は、髪形違うから。

いや、グーは無しでしょ。痛い。

ん、忘れんかったら。

いってらっしゃい。

367:ブラックキャット:2013/04/03(水) 17:52 ID:bAY

 遥が俺の手の中を覗く。
「あ、盗ったんどほぉ」
 腹を殴って黙らせる。崩れ落ちる遥。
阿呆か、と遥を見る。

 携帯のメール画面に文字を書く。
『これ、偽物だ。盗聴器も付いてるから、迂闊に喋れない』
 遥の顔色が変わる。
「あー、そういやぁ、面白いゲーム買ったんだ、今から家でやろーぜ」
「良いぜ、やろう」
……さすが、アドリブは得意みたいだ。

『それ、如何すんだ?』
『如何するも何も……捨てるしかないだろ』
 今日は水曜日か……。何だったけ、不燃ごみだったっけ。
ごみ収集車の荷台に、人魚の涙を放り込む。

 走り去っていくごみ収集車。
いってらっしゃい、そして二度と帰って来るな。
「あぁっ!?」
 遥が叫ぶ。
「……っ どうした、遥?」
「捨てて良いのか?」
「捨てなきゃいけない。しょうがないだろ」
「いや、あんな末路……可哀相に」
「知らねぇ」

 家の前で遥と別れ、玄関のドアを開ける。
「圭――――っ!!」
 ぶつかって来た物体。避けきれずに受け止める。
「飛鳥……?」
「圭、お帰りーっ お帰りお帰り――っ!」
頭が痛い。飛鳥って、こんなキャラだったか?
「あ、おい飛鳥……入らせろ」

 1日ぶりの家の中は、何も変わって居ない。
珈琲を淹れて座る。飛鳥は僕の向かいに座った。
「それで?どういう状況なの?」
昨日言ったのは、と訊くと、今日新たに分かったんでしょ?早く!とせがまれた。
 ……分かったというか、既に解決したんだけど。今日のは。
とりあえず説明すると、飛鳥の笑顔に影が差した。
「ふふふ……やるじゃない、警部さん」
 飛鳥の笑顔が妖しさを増していく。




「徹底的に潰すわ、覚悟しなさい――――」

368:ブラックキャット:2013/04/03(水) 20:57 ID:bAY

 通信機の調子は良好。
天気も上々。
私は気持ちが高ぶるのを感じた。

「絶好の怪盗日和、だねっ圭!」
 通信機の向こうから呆れた声が帰ってきた。
『阿呆、何が怪盗日和だ。馬鹿なことを言うな』
阿呆と馬鹿って言われました、終わったら叩きのめす!
 気を取り直して、と小さく咳払い。


『準備は良いな?』
「いつでもOK」
 私の言葉を聴いて、圭が満足そうに頷いた。様な気がする。


『それじゃぁ行くぞ』


 ――――怪盗ジョーカー、出動。





 それにしても、大きな屋敷……。
 私は「管理室」と言う所に向かっている途中。

 その時、通路の向こうから足音が聞こえた。
私は身を硬くする。……誰?
『大分夜遅いし、封鎖されている。此処に居るとすれば、警備の人間だと思うが』
思うが?
 圭の言葉を待ちながら、手近な部屋に潜り込む。
『不正解、だ。警備の人間じゃない』
「え、じゃぁ、探偵君? それとも、此処の屋敷の人間?」
私としては、探偵君のほうが可能性が高いと思うけど。


『――――櫻川 紫苑、だ』


 …………え、うそ。
え、あ、あの、この屋敷の人間、だよね?
 私がうろたえていると、ドアが開いた。
物陰から伺うと、櫻川 紫苑が立っている。手には何やら光る物を持っている様子。
 圭が言う。
『あれだ』
 正解。
「――――了解」

 私は彼女の前に立った。
「こんばんわ、お嬢さん」
「だ、誰? こんな時間に……それに此処は「貴女が言える事じゃないはずよ、それは」
彼女の言葉を遮り、微笑む。


 刹那、


 部屋の照明が点いた。




 私を取り囲む、


 ――――警察官。

369:ブラックキャット:2013/04/03(水) 21:14 ID:bAY

 私は笑う。
誰かに向かってじゃない。自分に向かって、だ。
「これ、私って人気者?」
『ある意味でだな』
圭の的確な突込みを聴いて、そうだね、と同意する。

「怪盗ジョーカー、観念しなさい。君に逃げ場はありません」
 きっとこの場では一番トップらしい太った男性が私を見る。


「……子供には、こんな所から逃げ出せないでしょう?」


 ブツッ、と何かが切れる音がした。


 湧き上がる黒いモノ。


 ――――上等だ。


「『やってやろうじゃねぇか』」
 笑う、哂う。
 人差し指を彼に向ける。
「一之瀬警部、だったわね」
 表情が何故知っている、と問い掛けるけど、無視!
ニヤリ、と口が歪む。


「怪盗ジョーカーを馬鹿にした事――――」



 後悔させてあげる。


 照明が落ち、圭の合図が出た。
彼との間合いを詰め、宝石を盗る。
方向転換して、紫苑さんの元へ向かう。
彼女の口を塞ぎ、飛ぶ。

「しばらく、大人しくしてて貰うわね」
縄で手足を縛り、口を塞ぐ。
「ジョーカーっ!!」
 ……来た。
私は彼を手招きする。


「いらっしゃい、探偵君」

370:ブラックキャット:2013/04/04(木) 16:07 ID:bAY

 2人を部屋に入れ、ドアの鍵を掛ける。
探偵君はと言うと、気まずそうに私からも紫苑さんからも視線を外している。
「大丈夫よ、取って食おうって訳じゃないんだから。もう少し落ち着いたら?」
「これが落ち着いてられるかっ!」
……激しく突っ込まれた。
 探偵君は、しばらく息を吸ったり吐いたりを繰り返していたけれど、大分落ち着いてきたみたいだ。
もう良いよね?心の準備は十分にさせた筈。

「……じゃ、本題ね」
 私の言葉に、紫苑さんは驚いた顔で私を見て、探偵君は肩を揺らした。
 まず、と前置き。盗った宝石を見せる。
これ、


「――――盗品よね?」


 部屋に落ちる沈黙。

 私は紫苑さんの口を開放し、訊く。
「これ、本当に貴女の物?」
「えぇ、間違いないわ」
彼女はきっぱりと頷いた。

 探偵君に訊く。
「これは、貴方の物。…そうよね?」
「あぁ、そうだ」
彼もきっぱりと頷いた。

 見合わせる顔。
 疑いの眼差し。

「……それは、私がお父様から貰った物よ。どうして、遥君が自分の物だって言うのよ?」
 彼女は何故か私に訊く。……面倒臭い、本人に訊いてよ。
 私は振り返り、探偵君を見る。
「私が言うより、貴方が言った方が良いんじゃない?」
しばらくの沈黙の後、探偵君が顔を上げた。
「……お前には、全てが見えているのか?」
 少しピント外れな質問に、苦笑で応える。
当たり前じゃない、こっちには圭が居るんだもん。分からないものは無いでしょ。……なんて言えないしね。
 探偵君は頷いて、話し始めた。


 俺がそれを貰ったのは、親戚の人からだったんだ。誕生日に、って。それからずっと持っていたけど、3年前。それが無くなった。盗まれたんだ、……ジョーカーに。
かなり探しても、見つからなくて。それを捜すのを探偵の仕事と両立していた。けど、紫苑さんと出会って、見つけた。
何で持ってるんだ、って思ったし、返して欲しい、とも思った。
だから、紫苑さんの部屋に入り、それを捜していた――――


 探偵君は言葉を切った。すると、紫苑さんが言葉を継いだ。


 部屋に入ると、遥君が其処に立っていた。声を掛けると、その場に立ち竦んだ。どうしたんだろう、って思って近くに行くと、彼の手には私の人魚の涙が握られているのが見えて……。
彼は懸命に説明してくれた…。けど私、言っちゃったの。「遥君の事、信じられない」……って。
それ以来、遥君は目を合わせてくれなくなった。


――――出来れば持って行ってほしいの、ジョーカー。……その宝石を。

 私は立ち上がった。
さて、持ち主の許可は貰ったし…。
 通信機の向こうに話し掛ける。
「圭、帰ろう?」
『え?…あの2人は如何すんだ?』
…鈍いんだなぁ、圭。


「大丈夫だって。もう仲直りしてる」





 ――――これで良かったよね。

371:ブラックキャット:2013/04/04(木) 17:28 ID:bAY

 怪盗ジョーカー 12 〜圭の失踪〜

『身代金は5億円だ』


 突然の言葉に、私は受話器を落としそうになる。
身代金? 5億? 何言ってんの、それって――――


『あぁ、言い忘れていた。紅本 圭は誘拐した』


 誘拐? 幽界? 融解?
 ――――圭が行方不明になって5日。




 誘拐されてました。

372:ブラックキャット:2013/04/04(木) 17:48 ID:bAY

 そんな私の混乱を悟ったのか、電話の向こうの誘拐犯から心配された。
『おい、大丈夫か?』
誘拐犯に心配されて如何すんの、私!
「あ、いえ、……大丈夫です、はい」
 受話器の持つ手に力を加える。今は、この電話が頼りになる。
『そうか? なら良いが。ちゃんと聴いとけよ、メモしても良いんだからな』
「あ、はぁ……」
なんと親切な誘拐犯なんだろう。母親みたいだ。

 メモを用意して、犯人の言葉を待つ。
『今日の夕方5時、近くに児童公園があるだろう。其処の砂場に金を入れた赤い鞄を置け。時間は絶対だ』
5時、児童公園、砂場、赤い鞄……あっと、時間厳守、っと……
 電話の向こうで犯人が言った。


『お前、女だな?』


 突然の質問に一瞬反応が遅れる。……女?
「え、あ、はい。女、です…」
『なら、お前が持って来い。目印は…そうだな、赤い服にするか。お前、赤い服は持っているか?』
本当、何処まで親切なんだろう。
「ありますよ」
『そうか、ならそれを着て来い。……もう一度言うが、時間は厳守だ。絶対だぞ』
「はい」
凄む様な声。やっぱり迫力が違うね。

 一方的に切れた電話。
私は一瞬で気持ちを固める。


 ――――やるっきゃないでしょ!


「そうと決まれば……」
 携帯を取り出し、番号をプッシュする。
相手はすぐに出た。
『もしもし』
 何してたんだろう。少し不機嫌そうな遥。
まぁ良いや。
 ここは警察へのコネをフル活用して貰いましょう。



「遥? あのね、ちょっと協力して欲しいんだけど――――」

373:ブラックキャット:2013/04/04(木) 19:51 ID:bAY

 赤い鞄、赤い服。
鞄の中の5億円は、重たい。

 目的の、公園。時計を見ると、4時58分。何とかギリギリ。
砂場に行く。残りの2分、する事が無いので砂を睨みつける。


 圭が「知人のところに行く」と言って家を出たのが5日前。
電話が繋がらなくなたのが3日前。
脅迫電話が掛かって来たのが今日。


 何で気付かなかったんだろう。


 私は圭の相棒。
一番近くに居る存在。……少なくとも、私にとって。
はっと気付くと、5時まで後30秒。
 やばっ……!
 慌てて鞄を持ち、砂場の前へ。
秒針と睨めっこしながら待つ。


 3,2,1……


『――――GO!』
 ――――圭の声が聞こえたような気がした。

 待つ事数分。やっと来た。
砂場に近付く、1人の男。
日は沈み、もう子供すら大人も居ない。
「……如何した、お譲ちゃん。そんな所に隠れてないで、お話しよーぜ」
 気付かれてた。

 その男は、背が高い。鍛えているのか、かなり強そう。
「それで、お譲ちゃん。あんな所で何をしていたのかな?」
惚ける様に笑う。
「…別に、貴方には関係の無い事だと思うのですが」
 そいつは首を傾げた。わざとらしく。
「あれ、違うのか? 関係大有りだろうよ」
 口の端を捲らせ、ニヤリと笑った。

「紅本 圭って言う坊やの…従兄弟だったかな。お譲ちゃんは」
「……えぇ、まぁ。名前は知ってるの?」
「勿論。岩本 飛鳥ちゃんだろう?」
「情報を掴むのが得意みたいね、御宅」
「これが俺の仕事なんでね」

 不毛な会話は一番疲れる。さっさと本題に入ろう。
「圭は? 何処に居るの? というか、何もして無いわよね?」


「……やっと訊いた」




 ――――――私が最後に聴いたのは、そんな言葉だった。

374:ゆう:2013/04/04(木) 21:43 ID:gAk

今自殺行為真っ最中です。
母さんがいる家でPCしてるっていうね。

それらの話昼間したね。
んじゃ、カット。

赤い……服?
あたし持ってたっけ?
あるっちゃああるが……着れねえよ。もう。
効いたって漢字こうでしょ?
質問した訳……ではあるか。
警察のコネ、ね。
よくやることだ。
掠るってさ、何処をだっけ?
出来れば右の二の腕がいいな。

更新出来ないのが辛い。
でもまあ、バレるに越したことは無いので、そろそろ。
じゃあね。

375:ブラックキャット:2013/04/05(金) 14:21 ID:bAY

うわー、度胸あるなー。

え?何か持ってそーだなーって思ったんだけど。
似たような物だし。
それまだ決めてない。でもさ、其処って何か掠り難いと思うんだけど…。
あーでも服が破けて血が出た、ならあるか。

376:ブラックキャット:2013/04/05(金) 14:39 ID:bAY

 ――――お父さんの声が聴こえた。
目を開けると、お父さん達の顔が映り、次に家の天井が映る。
 圭の姿を捜しても、居ない。

 あれ……? 私、どうして……
頭が痛い。何があったんだろう。
 体を起こすと、おじさんが水を持って来た。
「飛鳥! お前、家の前で寝てたんだよ!」
寝てっ……!? って、家の前?
 お父さんの顔を見つめる。……うん。至って真面目な顔だ。

 問い詰められてのは言うまでも無く。
っていうか、私も殆ど分かってないから答えられない。
ポケットの中に違和感を感じて、取り出す。それは、小さな機械だった。
 スイッチを入れると、小さな地図が現れた。
――――あ、そうだ。


 発信機、入れてたんだ。


――――
「発信機を内蔵しといた。けど、コレを使われる訳にはいかないから、決着を付けるのなら今日中だ。俺も手伝おうか、って言おうと思ったが……その必要は無さそうだな」
 遥はそう言って笑った。

 思い出した。
 私は、近くにあったジョーカーのユニフォームを取る。
おじさんが顔色を変える。
「飛鳥ちゃん! まさか……」
……そのまさか。
「御免ねー。犯人に渡したの、偽札なんだよね」
 けろっと笑い、ベッドから抜ける。
トイレで着替えて、目立たない服を身に着ける。



「――――じゃ、行って来るね」

 救出作戦、開始!

377:ゆう:2013/04/05(金) 17:56 ID:gRQ

しょーがねーの。
思ったより譜読みに時間掛かって、ピアノの前に来れなかったんじゃけえ。

……すぐ思いつかん。
そう? あたし的には一番掠り易いとこかなって思ったけど。
あ、二の腕よ?
ドラマとかでよくあるし。
服は破けるよ。普通。
ほんまに撃たれてもいいけどね。
腕に弾丸埋まるとか。うわあ。
偽札……(呆)
警察のコネ言うからめっちゃ用意すんのかと思ったけど、日本造幣局との連携かい。
拍子抜けっちゃあ拍子抜け。
でもこれからが面白いかな。

378:ブラックキャット:2013/04/06(土) 15:55 ID:bAY

あ、成る程。

いやいや…弾が埋まるのは…せ、せめて貫通?
まぁまぁ、良いじゃないか。
ご期待に応えられます様……社一同頑張ってまいりますので!はい!…みたいな?

379:ブラックキャット:2013/04/06(土) 16:52 ID:bAY

 辿り着いたのは、大きな廃工場。
さっさと救出しよう――――
 探知機を見ると、


 握られていた筈の右手には、無い。


 慌てて全身のポケットを探るも、無い。
――――え、え、うそ。



 どうやら、無くしてしまったみたいです。


「マジですかぁ……?」
泣けてくる。いや、本当に。
 自慢じゃないけど、私は方向音痴だ。ハッキリ言って。
どうしようどうしよう……?
 何も出来ずにウロウロする私の耳に、圭の声が聞こえた様な気がした。


『このまま、諦める訳にはいかないだろう』


 これは私の気持ちであり、圭の言葉でもある。…筈。
「うん。…そうだよね」
決意を固め、顔を上げる。


 私は薄汚れた扉を開き、中に入った。

380:ゆう:2013/04/06(土) 23:37 ID:BaA

埋まったっていいじゃん。
どうせ手術で取り出されるよ。
埋まるでも貫通でも串刺しでもなんでもいいけど、あたしは掠るよりいいかな……なんて。

あのね!
あたしは方向音痴じゃないですよぅ!!
運動音痴だよ。運動!!
方向音痴はあんただろうがっっ!!
運動音痴はあたし。方向音痴はひな。音痴はMーちゃん&Hとみ。味音痴はY真さんって決まってんの!
その通りにしなさい!! (そう決めた人。)
お、ま、け、に、んな大事なもん失くさねーよ!!
いくらあたしでもなぁ!!
嘗めやがってくれましたね、このへっぽこ。(誰かの妄想台詞のパクり。)
次は吹っ飛ばすか。

これはネタの相談。
岡西ケイ君さ、本気モードのとき自分の呼び名どうしよっか?
あ、普段は僕よ。当たり前。
……あ。こっちの方が難題かも。
小松アスカさん、どうしますかね。
普段あたしですがね。本気も? っつか普段を変える?
あーっ でも時間ねえや。更新したいし。
投稿時間……見たぁ?
母さんやっと寝てくれたよ(疲)
明日昼寝しないらしいし、貴重な時間ですから更新したいです。
うあ。うあ。うああ………えーい!!
アスカの普段はあたしでいいっっ!!
本気もそれでっっ!!
でっ!? ケイどーすんのっっ!?

381:ブラックキャット:2013/04/07(日) 14:35 ID:bAY

掠り傷、って決めましたー。

ぅお、言うなこの野郎。
いやいや、勝手に決めるなよ。うん。
え、いや…。そんな大事な物ほど無くしそうじゃん。

どっちでも良い。どっちかてーと、…変えるか?
登校時間…じゃない、投稿時間?
あぁ、みたみた。うちはその10分くらい前に寝た。

382:ブラックキャット:2013/04/07(日) 14:50 ID:bAY

 中は意外と手入れが行き届いていた。何か掃除でもしてたのかな?
あの犯人ならやりそうだなー、何て考えて歩いていく。
 壁には1、と書かれていた。フロアの数? 番号?
まぁ良いか、と気に留めず歩く。

 何だか見覚えのある景色で立ち止まる。
嫌な予感。冷や汗が背中を滑り落ちる。


 ――――壁には、1と書かれていた。


 体中の息を吐き出す勢いで溜息を吐く。
1周しましたよ…。
部屋なんて無かったですよ…。

 そう。私が見た限り、部屋なんて無かった。
全部見たけれど、何人かが固まって入る所なんて無かった。




 何だか猛烈に怒りが沸いてきた。

 こんな場所に来た犯人。
 見つけられない自分。

そして、
 誘拐された圭。

「いや…圭は関係ないか」
 声に出すも、怒りは消えない。
何かに八つ当たりしたい。
何か、何かに――――








 私は近くの壁に拳を叩き込んだ。









 呆気なく崩れる壁。

 私はその向こうに見たんだ、圭の幻影を。
圭は口を開き、懐かしい声で、私を呼んだ。



「ジョーカー……」

383:ブラックキャット:2013/04/07(日) 19:24 ID:bAY

 ――――誰も居ない部屋に、君は居た。


 手を後ろで縛られ、体操座りで壁に凭れていた。
走り寄りたい衝動に駆られるけど、


 可笑しい。


「誰よ? 出てきたらいいじゃない」

 そう言うと、ゆらりと現れて人影は全部で5人。
皆それぞれ武器を持って、ニヤニヤ笑いながら私を見る。
「お譲ちゃん、こんな所に何の用かな? 怪我しないうちに逃げた方が良いぜ」

 声を聴くと、電話で聞いた。
 その姿は、公園の砂場で見た。

 ――――その手には、生々しく光るナイフ。

 私は笑った。
怪我しないうちに? それはこっちの台詞ね。
「知らないの? 私の事。お譲ちゃんじゃないわ、怪盗ジョーカーよ」
その言葉に、周りの男達はざわついた。

 手に力を込め、弾を連続で弾く。

 男は倒れ、残りはリーダーらしき男だけ。
「どう? 降参して大人しく捕まってたら良いんじゃない?」
「そういう訳いにはいかねーんだよ…っ」


 飛んできた物に反応が遅れ、血が飛んだ。


 痛みと熱を感じ、何ともいえない。
手で触ると、部屋の電灯に照らされた血がより一層赤く、紅く見える。
ふぅ、と息を吐く。
「まぁ肩の荷が下りたかな……」

 そう呟くと、男が口の端を捲りあげて笑った。
「そうだよなぁ! もうじきお前は此処で俺に殺されるんだもんなぁ! まぁ安心しろよ。すぐに逝かせてやっからよ――…」


 ナイフを振り上げる男。


 ――――まぁ、その姿は私の眼中に無いわけだけど。


 男に落ちる影。振り返るけど、――――もう遅い。
ぱさり、と落ちたのは自由を奪っていたようでそうでなかった物。


 立ち上がった圭の眼には、確かな怒りの色。


「――――触るなよ」
 ドガッ、と痛々しい音。床に沈んだのは男の方だ。
男は目を回して倒れている。
 私は残りを縛り上げ、警察に通報した。
床に飛んだ血痕は入念に拭き取り、ナイフも回収する。偽札の入った鞄も回収。


 ――――もうすぐ夜明けだ。


 工場の外はもう朝日に照らされつつある。
私は振り向いて、圭を見る。
 向き合って、しばらくの沈黙。
先に口を開いたのは、圭からだった。


「久しぶり、飛鳥。 ……絶対来るって、信じてた」
「久しぶり、圭。 ……絶対助けるって、決めてた」


 私達は笑いあい、家へと急いだ。

384:ブラックキャット:2013/04/07(日) 19:38 ID:bAY

 スローモーション。


 全ての景色が、色が、モノクロで。
 でも、

 ―――――やけに君だけが紅いんだ。



 鉄の匂いが君の香りと混ざり合う。
 足が竦んで動かない。

 空の青と、白と黒と、紅と。

 焦げ臭いブレーキの跡。
 朝日に照らされた君の体。
 血で汚れた路面。
 その色合いが、くっきりと脳裏に焼きつく。

 男の人が慌てた様子で君に駆け寄るけど、よく分からない。
 遠くでサイレンも鳴っている。

 君の傍によっても、もう誰だか分からない。
 赤い紅い、何かだ。

 ぽたぽたと落ちる水滴は、路面に痕を付ける。
 声が出ない。
 口がパクパクと開くだけで、声が出ない。

 圭、ねぇ圭。
 何でそんな所で寝てるの?
 圭、どうしたの?
 ねぇ圭…っ

「圭―――――ッ!!!」

 叫ぶ事しか出来なかった。君の名前を。
 祈る事しか出来なかった。君の命を。

385:ブラックキャット:2013/04/07(日) 19:42 ID:bAY

 怪盗ジョーカー 13 〜ギプスとイヤホン〜

 夢を見てた。
 僕が死ぬ夢を。

 視界が一転して、紅く染まって。
 痛みは感じる事が出来なかった。
 飛鳥の姿だけが見えた。




 飛鳥の姿だけ。

386:ブラックキャット:2013/04/07(日) 20:52 ID:bAY

 私は圭の姿を横で眺めていた。

 体は包帯だらけ。
 傷だらけ。

「圭、すっかり、ミイラ男だね…」
 そんな冗談が言えるようになったのも最近の事で。
でも、私の目には涙が溜まっている。

 一命を取り留めたものの、怪我が酷く、普通に歩ける様になるかどうか怪しい、と言われた。
学校に行く気にもならず、毎日休んだ。此処に来て、圭の姿を見るのが週間となった。
 お父さんもおじさんも、私の事は知っている。
だからこそか、黙ってくれている。


 あの日、家に帰る途中、角で私は車の前に飛び出した。
圭は私の名前を叫び、手を伸ばした。
ものすごい力で腕を引かれ、地面に倒れた私の目に飛び込んできたのは、血で染まった圭だった。


 圭の目が開いた。


「あす…か……」
 幼げな、苦しそうな。胸が痛い。
「圭! 圭っ……」
 圭の手を取り、握る。
次々とこぼれる涙は、嬉しさよりも申し訳なさ。


 ――――圭の怪我は、私のせいだ。


「圭、ごめんなさっ…私のせいで……っ」
 声にならずに、後から漏れるのは嗚咽だけ。
やっと落ち着いたのを見計らってか、圭が口を開いた。


「…この、阿呆が」


 え、と言葉を詰まらせる。
やっぱり圭、怒ってる……

 涙は枯れ、もう出ない。
けど、此処には居たくなかった。
 立ち上がると、圭が慌てた様子で言った。
「わ、ばっ…座れ! 怪我人に無茶させるな!」
怪我を盾にされると何も言えない。
 圭は軽く溜息を吐いて言った。
「……飛鳥を守れなかったら、僕は一生後悔してた。 父さん達にも合わせる顔が無かった。だから、


「――――絶対飛鳥のせいだとか思ってない」


 ハッキリと言う圭。
ほっとした気持ちと、そんな圭が好きだと言う気持ちが膨らむ。

 涙はとうに枯れたけど、シーツに顔を押し付けた。


 圭の匂いがした。

387:ゆう:2013/04/07(日) 23:02 ID:grM

はいはいお疲れさん。
でも予想と違ったなー。

そりゃそーですよ。
あたしはにこにこ笑って接することしか出来ない他の奴等とは違いますからっ!
いいの。事実そうだから。
失、く、さ、ねっつの!!

疑問形やめて。悩む……
んじゃ変えるよ? いい?
寝たの。あ、そ。
でもひなにしちゃ遅いね。何してたの。

これ結構前にシチュエーション決めたよね。
懐かしー
ま、ちょっと変わったけど。
笑い合ったって時点でさ、結構圭像崩れてるよね。
こっちもこっちだけど。
思い出すなー 薫。
こんな感じに表したっけー
何とか言えるよっ!
怪我関係無いわ! 動きたきゃ動け嫌ならやるな!! そんだけだ!!
どーせ阿呆ですよ。どーせ、どーせ、どーせぇぇ!
むっすぅ……(機嫌悪)

今夜は寝れそうにないです。

388:ブラックキャット:2013/04/08(月) 14:19 ID:bAY

あーまぁ、うん。

うーん…。それ、うちも含まれている様な気がするような気もする。

父さんがねー、本をねー、4冊ねー、持って帰ってきたのよー。
それをね、3冊目までで12時過ぎてさ。その翌日部活だったし。

圭がね……かなり崩れてきた。補修せんといけん。

あーもう、何で殴るかねぇ。
周りの目線がめっちゃ怖かったで。

389:ブラックキャット:2013/04/08(月) 14:43 ID:bAY

 久しぶりに教室のドアを開けると、机が移動していた。
真ん中の、前から3番目。
「………」
視線は減る事無く、私を貫く。
 席替えでもしたのかな、と教室を見回すけど、圭の机は見当たらなかった。
……あれ?
隣は違う。

前は、運の悪い事に岡崎さん。
後ろは、運の悪い事に夏野さん。
夏野さんの机を一個挟んだ隣が川野さん。

 何気なく夏野さんの隣に目をやると、――――あった。
私の視線に気付いたのか、川野さんが近付いてきた。
「岩本さん、一ヶ月も休んでたもんねー。その間に席替えしたんだよ」
薄ら笑いで夏野さんも私を見る。
「残念だったわねー、隣になれなくて。まぁ、心配しなくても紅本君の世話は私がやるしー。貴女は黙って見てなさいよ」


 ――――そっか。


 私は椅子に座り、机の中のプリントの量にうんざりする。
圭ならすぐに片付けられるんだろうなー、と考える。
……病院に行って、圭に手伝って貰おう。
 鞄にプリントを収め、圭の机をチラッと見る。
圭の分のプリントも持って行こう。その方が効率良いし。

 チャイムが鳴って、皆自分の席に戻る。
来なくても良かったかな、と思うけど、来なくちゃいけなかった。
「明日、か……」
ポツリと呟いてみる。

 ――――明日、圭はこのクラスに復帰する。
やっと検査も終了し、医師の了承も出た。
……まぁ、まだ歩けないから車椅子なんだけど。
 その車椅子の補助は、私がする。
やりたかった、というのが一番の理由だったし、私なら大丈夫だろう、って言うお父さんたちの意見もある。
 圭は澄ました顔で頷いた。
「……飛鳥の馬鹿力なら、落ちそうになっても大丈夫か」
余計なお世話だッ!
ちゃんと噛み付いておいたけど。

 今日の空は蒼く、雲が流れている。
飛行機雲が伸びていき、目で追う。
――――圭も、見てるかな。

390:ブラックキャット:2013/04/08(月) 17:58 ID:bAY

「……おい、飛鳥……」
 圭の顔が窓から覗く月に照らされる。
「どしたの? 圭」
私の顔は笑っている。……不自然じゃないくらいには。
 圭は手を伸ばした。痛みのためか、顔を顰める。
圭の手が私に向くけど、立っている私には届かない。
諦めたのか手を下ろして、圭は私を睨んだ。
「……行くのか」
「私を止める?」
止まらないだろう、と吐き出して、耳にイヤホンを嵌めた。
 じろりと私を見上げ、目を閉じた。


「確かに、お前の気持ちが分からん事も無いが――――」


 分かるのなら良いじゃない?


「私が動く理由は、それだけで十分よ」


 窓を開け、飛び降りる。
月の光を受け歩き出す。

 きっと圭は、パソコンを隠し持っている筈だ。
屋上にでも出て、ナビしてくれる。
ねぇ、圭。


「ジョーカー引退なんて……しないよね?」
『する訳ない』


 そんな返事が聴きたかったわけで。
口元が緩むのを感じながら、目的地へと急ぐ。

 


 警報の鳴り響くビルの中を疾走する影が一つ。
 それに遅れながら疾走する影が一つ。
 それにかなり遅れながら走る人影が………幾つも。


 数分前、私はある部屋に降り立った。
鼻歌交じりに手袋を嵌める。
 見渡すと、金庫らしき棚はすぐに見つかった。
ポケットにあるカードキーを取り出す。
『……罠の様な気がするんだが』
心配性だね、とからかうと、圭は怒った様な声で反論する。
「……まぁ、悩んでないでやってみよう」
 一歩踏み出して、間違いに気付いた。


 警報が鳴り響いた訳で。


 警報に混じって至近距離でする物音。
反射的に顔を向けると、反対から光の輪が顔を照らした。
「…………!?」
 手で目を覆う。眩しい。
このッ……!
手でカードキーを弾いて、私の顔を照らしていた物を破壊する。
 一瞬で落ちる暗闇。
「うわっ」
「何だっ」
「照明は!?」
「はやくしろ!」
出来た隙間を狙ってダッシュする。
 逸早く察知して追い駆けて来たのは、やっぱり探偵君。
後ろを振り向かずに問い掛ける。
「意外に早いじゃん! 何か機械でも持ってるの?」
手っきり暗視スコープでも持ってるのかと思ったんだけど。
帰ってきた返答は、かなり意外だった。

「―――猫目舐めんなよ!」

……あ、そっすか。
 脱力したけど、何とか持ち直す。

391:ブラックキャット:2013/04/08(月) 20:43 ID:bAY

 圭の呆れたような声が聴こえる。
『だから言ったのに…あ、そこ。警備員がいるから、強行突破だ』
「もぉ、煩いなぁ。了解」
しつこいんだよー、圭は。
 そのまま走り去ろうかと思ったけど、警備員が私の姿を視界に捉えるのが先だった。
レシーバーを手に取ったのが見えた。……させるかっ!
 追い抜きざまに急ブレーキ。
足を振り上げて蹴って、探偵の所に飛ばす。
 着地して、走り出す。
探偵に当たったのかなんて知りたくない。此処はさっさと逃げたいのです。


 背後の殺気が倍増した。


「……やば」
 呟くと、圭が慌てたように疑わしそうに『何やったんだ?』と訊いて来た。
誤魔化そうにも、どうせ後で遥が圭に言うんだもん。意味無いし…。
「トランシーバーを……」
『トランシーバーを?』
「蹴っ飛ばして遥にぶつけました。……アハ☆」
『蹴っ飛ばして遥にぶつけました。……アハ☆ じゃねぇよ、こんの阿呆!』
怒鳴り声は苦手ですよー、と通信機を無理やり切る。
帰ったら怒られる量は2倍だ。……恐ッ!

 遥は黙々と殺気を殺して追い駆けて来ている。
何とか窓には辿り着いたけど、階段を通り過ぎてしまいました。
 幸いにも、探偵は階段を駆け下りて行った。
だからと言って、階段を後から下りるのもリスクが高いし……。
「あぁ、早くしないと……!」
半ばパニックに陥りながら、窓を開け放つ。

 足を掛け、体を外に出す。
 足が


 ――――引っかかった。


 姿勢が崩れて、頭が下になる。
ヤバイヤバイヤバイ!

 空中で半回転して、着地。
「………ッ!!」
足首が捩れ、地面に衝突。
 立ち上がろうとしても、痛みのせいで力が入らない。
騒ぎを聞きつけた探偵が上から顔を出す。


 目が合った。


 顔がものすごい速さで引っ込み、足音が聞こえる。
恐怖が体を支配する前に急いで立ち上がる。
痛みに顔を顰めながら、足を引きずる。

 運良く逃げ切れたのは、本当に偶然としか言えない。

392:ゆう:2013/04/10(水) 15:28 ID:klw

バカだなー。
あんたは猫でしょ?
周りの奴等は本心だもん。

―――――……。
幸せだね。ひなは。

別に周りの視線なんてどうでもいい。

なめるが……飴になってる。
嘗める。だと思う。
あーあ。飛鳥さん。
っつか、性悪だねえ。あいつら。
現実でもだけど。
――――あ。
面白いの思いついた。
明日、話すね。

393:ブラックキャット:2013/04/13(土) 08:49 ID:bAY

お前にバカとか言われるとは……
放っとけ。

幸せ、かな?
お金が無いんです。はい。

うちは其処まで強くない。

え?あ―――…あぁ、ほんとうだ。
明日、っても、もう土曜だぞ。
あ、そだ。秘密警察持ってたよね?貸して。まだ読んでない。

394:ブラックキャット:2013/04/13(土) 09:12 ID:bAY

 玄関から入るのも億劫だけど、屋上からは無理だ。
病院の前に立つ影――――私は溜息を吐いた。

 ……怒られるなぁ。

 これだけは確信に満ちていて、私の足を止めている。

…やけに子供っぽい理由だけど、怒られるのは嫌いだもん。
そりゃ、あれはわざとじゃないって言っても強引だったけどさぁ…。

「……でも、顔ぐらい見せないと……」

圭の顔は見たい。
怒られるのは嫌だ。

「私、我儘だなぁ…」
 呟いても届く筈無くて、冷たい風が言葉を吹き流す。

 心の中は荒れ模様。
空に光が広がったのが見えて、さらに病院の前で右往左往して、結局家に帰った。

395:ブラックキャット:2013/04/13(土) 12:24 ID:bAY

 怪盗ジョーカー 14 

 カーテンの隙間から朝日が覗く。
うっすらと目を開けると自室の天井が視界に映る。
時計を見ると、6時前。窓の外はもう明るい。
「…起きるか」
 手元に置いた杖を握り、床に立つ。
ふと気になって飛鳥の顔を覗き込んでみると、飛鳥はまだ起きる気配は無い。

 階段を下りて、電気が点いている事に気付く。
足音で気付いたのか、父さんが振り返った。
「おはよう、圭。…早いな、ちゃんと寝れた?」
「……あぁ。おはよ、仕事か」
あぁ、と父さんが頷いた。
 僕の杖を見て、「あまり無理はしない様にな」と言い、出て行った。

 テレビの電源を点けると、新学期だからか筆記用具の特集をしている。

 4月――――新しい出会い。

 僕はあまり興味が無いし、正直言って人付き合いが苦手だ。
「それに……」
今年はそんな事言ってられない。


 あれから2年が経って、僕達は中3になった。
 まだ歩くには杖が必要だが、もうじき要らなくなる。


「怪盗ジョーカー、再始動……」


 少し前までは、『活動停止』、『引退』などと芸能人みたいな騒ぎ様だったが、今はもう落ち着いている。
 不謹慎だが、探偵も待っている。
 今、僕がやるべき事は、早く直す事だ。ナビ無しじゃ飛鳥は動けない。

 おじさんのらしき足音で僕は我に返った。
「おはよう、圭。……早いね」
「おはようございます、おじさん」
飛鳥を起こしに行ったのか、半そでのシャツから出ている腕に引っかき傷がある。
「…飛鳥、起きました?」
 僕の質問に、おじさんは朝食の準備をしながら首を横に振った。
「時間が無いんだがなー……」
いやぁ、まいったまいった、と笑っているおじさんに苦笑いで返し、2階へと上る。

 ドアを開けて、飛鳥の眠るベッドへ近付く。
もぞ、と動いたが見えて、溜息を吐く。
 起きてるなら降りて来いよ……。
 掛け布団に手を置いて、握る。布団の中の飛鳥は縮こまっている。
バッ、と勢い良く布団を引き剥がして、飛鳥と目を合わせる。
「……おはよう、圭」
「…おはよう、飛鳥」
 おはよう、とまで言っといてまた布団に包まろうとしている飛鳥から布団を取り上げる。
情けない声を上げている飛鳥を後ろから急かし、1階へと降りる。

「おはよう、飛鳥」
「おはよう、お父さん」
 飛鳥は時計を見上げて顔色を変えた。
既に着替えた僕には関係ないが、今日は早めに登校する様になっているらしい。

 朝食を大急ぎで口に詰め込んだのは飛鳥だけじゃなく、僕も例外ではなかった。

396:ブラックキャット:2013/04/13(土) 18:59 ID:bAY

 下駄箱に張り出された紙。
皆一喜一憂し、各自移動して行く。


 私――――岩本飛鳥も、例外ではないのです。


 A組……B組……C組……D組……
順に見て行って、私の名前はD組。全員の名前を見る――――
「………居た」
 自然と口元が緩んで、輪から離れている圭を見る。
「圭っ、ほら居たよ! D組、一緒だよ!」
手招きすると、一瞬嫌そうな顔した後、やっぱり気になるのか近付いて来た。

 しばらく眺めた後、ぼそりと圭が呟いた。
「………夏野さん達も居るな。いらん事起こすなよ」
余計なお世話だっ!

 もう一度だけざっと眺めて、私と圭はその場を後にした。


 結果はどうであれ、中学最後の年を一緒のクラスになれて良かった、と思う。
 私だけ――――じゃない、筈。


「…如何した、飛鳥?」
 圭が足を止めた。
煩い心臓を押さえつけ、笑う。
「ううん、なんでもない。……ほら、行こっ」




 ――――――どうか、何も起きません様に。

397:ゆう:2013/04/14(日) 16:31 ID:Hk.

母さん買い物に行ってる……(恐)

だってバカじゃん。

金の問題じゃなくて。
幸せだよ。
こっちはあたしの本見ただけで嫌な顔するのにさ。

……いや、投稿したの水曜だからね?
話したのも木曜の朝だよ。
了解。明日持ってく。

398:ブラックキャット:2013/04/14(日) 18:16 ID:bAY

度胸あるなー。

バカじゃん。 って言われてもなぁ…。

そりゃぁ…。こっちは父さんが本好きだかんねぇ。
そう考えたら幸せなのかね。

うん。知ってる。
え? そーだっけ?

399:ブラックキャット:2013/04/14(日) 19:13 ID:bAY

 時計を見た先生が、教室で騒いでいる皆に声をかける。
だけど、そんな声は届かず、結局川野さんが大声を張り上げた。

 今日は入学式。それと同時に、始業式や就任式も行われる。
皆でぞろぞろ体育館に歩いて行く。
 …蟻の行列はこんな感じなのかな?
ふと疑問に思って、圭に言ってみようかと思ったけど、距離があって言えない。
少し残念に思いつつ、体育館の中へとを踏み入れる。

 体育館の中は、カーテンが閉められていて、照明が無いと苦労しそう。
吹奏楽部が入場・退場の演奏をするらしく、30人くらいが座っている。
その前を通り過ぎ、自分の席に座る。

 3年D組は、在校生の一番後ろ。
親達の席に近く、後ろでカシャカシャ、とシャッターの音がする。
落ち着かなくて後ろを向くと、親達の後ろの吹奏楽部の先生を目が合って、無言で注意された。
肩をすくめて前を向く。


『新入生、入場――――』



 教室に戻ってきてから、やっと意識が覚醒した。
記憶がぼんやりとしていたけれど、問題無し。

私は女子の中で出席番号1番で、席は廊下から2列目の一番前。
圭は男子の中で8番目。席は廊下から3列目の2番目。

 圭の席が近い事に感謝しつつ、視線を前に向ける。
担任の先生は、まぁまぁの年齢。予想は30代。それで、女性。
「今年、新任です。分からない事だらけなので、皆さんに教わりながら頑張っていきたいと思っています。これから1年、よろしく!」
……元気の良いことで。
拍手が起こり、私も音の無い拍手を送る。
 何だか嫌な予感だらけで、溜息を吐く。



――――ほんの些細なトラブルは、すぐに起きた。

400:ブラックキャット:2013/04/14(日) 22:03 ID:bAY

祝、400です。
いや、本当に此処まで続くとは思って無かったですね。正直。
これからも頑張りましょう。

401:匿名さん:2013/04/14(日) 22:59 ID:5jU

お久しぶりデス!!
中学入ったら、時間が無くて・・・。
えと、『400』おめでとうございます!!
面白いです。これからも、頑張って下さい ☆ミ

402:ゆう:2013/04/14(日) 23:03 ID:mIY

それ前も言ってなかった?

認めりゃいいのよ。そーゆーときは。
そしたらこっちも機関銃みたいに台詞繰り出してあげるわ。

前はうちだって普通にしてたよ。
でも変わるんだな。日常は。(なんかネタ出来そう。)

ああ、覚えてないのね。
それならそれでいい。

30で新任って……相当のバカかよ……(呆)
現実の担任でも新任じゃあねえよ。
もしそう言ったなら言葉の使い方が違う。
飛鳥をマイナス思考にさせないでね。
圭は何も知らないでいいんだから。
後から問い詰めても、ちょっと面白いし。

403:匿名さん:2013/04/16(火) 20:27 ID:5jU

400おめでとう御座います!
相変わらず、面白いですね♪
これからも『怪盗ジョーカー』、頑張って下さい☆ミ

404:ブラックキャット:2013/04/17(水) 16:51 ID:bAY

ルナさん、ですよね?
有難う御座います。これからも頑張ります。


言った。

えー…認めたくないけど、まぁいいか。

別の学校から来ました、も新任だったよね?
うちのクラスは新任だし。
何か知らないとナビの意味が無いでしょうよ。

405:ブラックキャット:2013/04/17(水) 21:58 ID:bAY

 朝日の御陰で、今日は圭に起こされないで済んだ。……ドアの前に圭が立っていたけど。
朝ごはんを食べて、着替えて、歯磨きして……
準備を終えて、まだ時間がある事を確認する。
 遥に電話してみようと思って携帯を出すと、チャイムが鳴った。
圭が出る訳にも行かないから、私がドアを開ける。


「…久しぶり、飛鳥」


 ――――遥。
其処に立っていた遥は、黒い学ラン姿。
中学はブレザーだったため、何だか新鮮。
「久しぶりー、遥。 高校は如何?」
「忙しい。本っ当、やってらんねーよ」

 遥を招き入れ、時計を確認。大丈夫、まだ余裕。
驚いた顔をした圭は、「…よぉ」とだけ言った。
遥が、圭の持っている杖に視線を移す。
「……これじゃぁ、まだ時間は掛かるか。調子はどうだ?」
「全快だ。……多分」
「なら良いや。どうせろくに寝てないんだろ」
遥が笑う。圭も笑った、様に見えた。

 遥と一緒に駅まで向かう。
他愛無い世間話に花を咲かせ、圭のスピードに合わせて歩く。

「高校かぁ――――……受験って、難しいんでしょ?」
「そうだな……圭はともかく、飛鳥は無理だろうなぁ」
「なっ…! わ、私だって頑張れば出来るわよ!」
「どうだろうな」
「あぁ、圭っ!? 裏切り者ぉっ!」
「まぁ良いんじゃないか? 俺も手伝ってやるし」
「……僕だって手伝う」
 圭の不貞腐れた様子を見て、遥は意味深な笑顔を浮かべて走り去って行った。
さ、爽やか〜……。
 後姿を見送って、私は圭を振り向いた。
すると圭は、息を吐いて、歩き出す。



何時もより、速い速度で。

406:ゆう:2013/04/18(木) 18:41 ID:30U

何故かPCのコードが無い……ってな訳で、バッテリー使っちゃってます。
一時間が限界で、あと28分。
……28分?
やっべ 急がねえと!

アホ。

此の学校では新任です。ならなんとかなる。
でも普通は違うね。
業務関係はなっ
圭鈍いからね。心情は読めないよ。

あ、そうか。
遥元中2だったんだっけ……忘れてた。
学ランね。あっそ。ふうん。
嫌味かっ!?
頑張って出来る自信が無いけどね。
母さんに行けって言われてるとこがありまして。色々と。
んじゃ今度教えてね。
連立方程式が解けねえのよ。
ちょっとレベル上がったのなら解けたんだけどさー。
全く数学って奴は………

さあてと。
メモ通り立てて来るよっ

407:ブラックキャット:2013/04/19(金) 20:38 ID:bAY

ア、アホォ?
正直へこむわぁ……。

しらねぇ――…。

忘れんな。
嫌味じゃないですよ、はい。
行けって言われて行けるもんなら苦労はしねぇよ。
学校で習ったら、ね。連立方程式……。
普通逆だろ。普通。

見てきた。こっちには来ない?

408:ブラックキャット:2013/04/20(土) 06:26 ID:bAY

 机を運ぶ。
 箒で床を掃く。
 机を運ぶ。
 箒で床を掃く。
 机を――――

 同じ動作を繰り返して行う内に、何だかロボットになった気分がする。
 今は掃除時間で、掃除をしている。男子は勿論、女子も殆ど動いて居ない訳で、私は果て無い様な動作を続けている。
 圭はと言うと、「杖があって動くのも大変だし…」なんて言った先生のお節介で教室の隅に立っている。勿論、同じ班の川野さん達に余計な心配される始末。
 
 チャイムが鳴って、見計らったようにぞろぞろと人が帰ってくる。
 先生が教室に入って来て、私と、私の動きと、皆を見た。
 …やっぱり、このやり方じゃ時間が掛かるか……。
 先生に怒られる事を想定して、私は無言で先生から視線を外し、慌てて動き出した班の皆を眺めながら机を運ぶ。


「大変だねー! ほら、皆手伝ってあげて!」


 だるそうに動くみんなの中に、要注意人物を発見。夏野さんが圭の机を持ち上げた。

 落ちた、1枚の紙。
 私にも見えた文字が、他の人が見えない訳が無くて。
 圭にも分からない筈が無くて。
「……え」
 私はその場に凍りついた。



 川野さんの手には、ジョーカーの予告状――――

409:ブラックキャット:2013/04/21(日) 14:54 ID:bAY

 夏野さんが川野さんの隣に行く。
「ちょっと、沙耶! 何よ、それ?」
「美奈…これ……」
 川野さんが文字を見終わるのに、そう時間は掛からなかった。だって、カードだもん。それに、止せば良いのに、読み上げる。


「 貴方の所持する宝石は、偽物だと判断します。
  来る満月の晩、その宝石を頂戴すると致しましょう。…
  精々言い訳を考えておく事ですね。
  怪盗ジョーカー ……」


 困惑した顔の川野さんと夏野さん。その周りに、クラスメイトは集まる。皆の視線がカードと圭の間を右往左往する。
 私は圭に囁いた。
「……如何言う事?」
「ああ言う事だ」
「意味分かんないわよ、馬鹿」
「だから成績上がんないんだよ」
「絶対打っ飛ばすからね」
「うぁ、勘弁」
 圭は歩き出した。皆の視線を受けながら、近付く。

「紅本っ…何だよ、これ!」
「怪盗ジョーカーだろ!? うわ、すっげー」
「これ本物だよな、持ってるって事はさ―…」
「え、まさか」
「紅本の家にジョーカーが来るのかよ!」
「もしかしてさ、紅本がジョーカーなんじゃねぇのか?」
「あぁ!? それは有り得ねぇだろ! 中学生だぜ!」
「でもさ、仕事の手伝いしてるとかは?」
「親がジョーカーって事か!」
「すっげー! 会って見たいな!」
「満月は…3日後だったよ」
「じゃぁ行ってみるか!?」
「行こうぜ!」
「っしゃぁ!」

 ――――勝手な事を言ってくれるね、皆さん。
 私が静かにじゃないかもしれないけど怒っていると、教室のドアが勢い良く開いた。皆の視線が向く。
 其処に立っていたのは、担任を含め、学校で偉いとされている地位の人達。……多分。
「紅本 圭君。……話は聞きました。校長室へ来なさい」
 顔を覚えるのが苦手な私でも知っている校長が、圭を呼んだ。圭は当然、ついて行くしかない。
 歩き出した圭を見ると、私は圭へと走り寄った。驚いた先生に向かい、私は一気に捲くし立てる。
「私は圭の従姉妹です。圭は見ての通り杖を使っていますし、手伝いをするように彼の親からも言われています。彼の親も呼ぶんでしょう? だったら私も行きます。どうせ私の親も来るでしょうし、それなら私も行った方が良い筈です。圭の机から落ちたのがジョーカーの予告状で、圭に一番近いのは私。私を置いて行く理由が分かりませんので、其処の所宜しく御願いしますね」
 不審に思われる前に一気に攻める。じゃないと圭だけになってしまう。なんて言われ様と、私と圭は2人でジョーカーなんだから。

 校長はしばらく考え込んだ後、「まぁ良いでしょう」と言った。
 私が圭に親指を立てると、圭は呆れた顔で溜息を吐いた。
「……考えは有るから、飛鳥は黙って話を聞いておけ。くれぐれも喧嘩を売らない様にな」
 やっぱりムカついたけど、押さえ込んで頷く。
 圭は微笑んで、歩き出した。

410:ゆう:2013/04/21(日) 22:50 ID:U7Q

だぁーかぁーらぁーね?
認めるの。
アホですよーって。

知りなさい。

苦労って打ったらクロウになる(笑)
しょうがない。
此れがあたしだ。

来ない訳無いじゃんバカっ!

よく噛まなかったな。あたし。
うん。面白くなって来た。
中学生だねー。そうだねー。
いや居るんだよ。小学生の怪盗とかさぁ。
有り得るんだよねー。此れが。
校長室のソファってめっちゃふかふかで気持ちいいんだよね。
ちょっとラッキーじゃん。
んで?
如何回避するの?
………まさか決まって無いとか……無いよね?

411:ブラックキャット:2013/04/22(月) 16:33 ID:bAY

嫌ですー。絶対嫌ですー。

ま、まぁ…。しょうがないのさ、うん。

うん、同感。
あれ、そーだっけ?まぁいいか。
普通と違いすぎるよねぇ。

えーとですねぇ。
一応決まってる、うん。うん、大丈夫。

412:ブラックキャット:2013/04/22(月) 18:32 ID:bAY

 初めて入った校長室は、空調完備。ちょうど良い温度で、ちょっと……かなり、羨ましい。
 先生の速度に合わせていたせいか、圭の息が少し荒い。
「……大丈夫?」
「このくらい大丈夫だ」
 なら良いけど。

「少し待っていてください」
 そう言われて、担任の監視つきでソファに座る。めっちゃふかふかしてて、すっごい羨ましい。
「ねぇ、圭。これ欲しいね」
「いらない。置く場所が無いだろ」
 つれないなー、と唇を尖らしても、圭は無視。ムカツクッ……!

「お待たせいたしました」
 ドアが開いて、視線を向けると、お父さんとおじさん、遥が立っていた。
「「遥、何で」」
 私たちの問いに、遥は肩をすくめて答えた。
「…俺はお前等と仲が良いからな。驚いたぜ? いきなり携帯がなるし、飛鳥からの着信だったのに出ると知らないおじさんだし……いや、知ってるか」
 アハハ、と笑って誤魔化す。しょうがないじゃん、先生の貸せって言われたんだもん。

 一人席に座った校長は、私と圭を睨むような視線を送っている。寒気は無いけど。
「さて、本題ですが。紅本 圭君の机から、このようなカードが発見されました。見覚えはありますか、黒本探偵?」
 手袋を嵌めて本気モードに見える遥は、カードを眺めて言った。
「ジョーカーの予告状です。ほぼ間違いないと思われますが……」
 そうですか、と校長が頷く。その顔の影に何か見えたような気がして、観察してみる。 ―――異常なし。見間違い……?


 話が終わって、圭の尋問。

「これに見覚えは?」
「ありません」
「昨日は入っていたのかな?」
「知りません」
「心当たりはあるのかな?」
「いいえ」
「何で言わなかったのかな?」
「気付いていませんでした」
「君はジョーカー?」
「いいえ」
「ジョーカーの助手?」
「いいえ」
「本当は?」
「いいえ」
「本当に?」
「いいえ」
「神に誓っても?」
「いいえ」

 ……後半なんか、いいえ、しか言ってない。
 傍から見ててもイラついてる先生の様子が分かって、居てもたっても居られずに遥に近付く。
「……これ、ヤバイよね?」
「……黙秘に黙秘、否定に否定、か……やるな」
 下らない事を言っている遥に蹴りを一発入れて、圭の様子を見守る。

 圭、大丈夫かな。

413:ゆう:2013/04/23(火) 18:39 ID:5UA

ちょっと待て。
そーだっけ? じゃねえよ。
シャドウ小6だろぉぉぉっ!?

………成程。
こう来たか。
ま、正直に言ってるんだからいいでしょ。正直に。
圭ポーカーフェイス得意だからね。
何とかなるよ。
チャイム鳴るとかさ。

414:ブラックキャット:2013/04/23(火) 20:04 ID:bAY

あー…忘れてた。うん。

えっへん。
まぁ、正直っちゃぁ正直。
あー、どうしよ。

415:ブラックキャット:2013/04/23(火) 21:45 ID:bAY

 チャイムが鳴った。
 ……尋問タイム、終了。
 先生が舌打ちする勢いで顔を顰めた。恐いなぁ……。

 圭が立ち上がった。慌てて追いかける。
「圭っ? 如何したの?」
「帰るぞ、時間が無い」
 そういった圭の眼は、ジョーカーとしての鋭さを秘めていて……思わず、ぎゅ、と圭の服の袖を握る。
 いや……言ってる意味は分かるから。分かるけど。
 こそっ、と圭に囁く。少しの怒りを込めて。


「――――怪我、……もう全快、でしょ」


 圭の口元が緩んだ。その口元が、不敵な笑顔を作る。
「……お見事。遥にも分からなかったこの偽装を見破るとはな」
 ふんだ。このくらい、余裕ですよ。
 ……というか、何で偽装なんかしてたのよ?
 そう訊くと、圭は困った風な顔をした。理由を一言で言えって言うのは難しいみたいだ。其れは置いといて、とか何とか言ってたけど、まぁ今回は許す事にする。

 先生に早退届を出して、校門へと向かう。外に出て、圭の杖を奪うと、遥が驚いた顔をする。
「ちょ、飛鳥!? 何やってるんだ……ってまさか!」
 勢い良く圭に振り向いた遥は、項垂れた。
「悪いな、ちょっと色々と事情があってな」
「色々じゃねぇし!」
 遥の突っ込みも通常運転。なら大丈夫だね。
 私と圭が走り出すと、遥も溜息を吐きながら追いかけてきた。




 ――――飛ばすよ!

416:ゆう:2013/04/24(水) 23:49 ID:xLQ

ほ、ん、に、ん、が、わ、す、れ、る、なぁっ!!

結局チャイムで逃げるんじゃん。
……偽装してた理由、考えて無いな?
と、飛ばせないです。
体力が限界です。
無理です。無茶です。
結果、死にます。

417:ブラックキャット:2013/04/27(土) 09:30 ID:bAY

あっはは、すいませーん。

しょうがないじゃん。強行突破なんて出来ないしさ。
………。(図星)
大丈夫。飛鳥だし。
死にません。そんくらいで。

418:ブラックキャット:2013/04/27(土) 09:58 ID:bAY

 日は沈んで、暗闇の住民の時間。自然と口元が緩む。
 窓から離れて、圭を見る。圭は既に準備万端のご様子。何時もの白衣は、何だかかなり久しぶりで、やっぱり嬉しい。
 飛鳥、と掠れた声で呼ばれる。返事せずに近寄ると、圭は私を見た。


 その顔は、何だか少年で。
 愛しく思えたんだ。


 鳴り出した心臓を無視して、「どうしたの?」と訊いてみる。すると圭がボソリ、と呟いた。


「俺……楽しみなんだ」


 聴こえないように言ったんだとしても、こんな静かな部屋なんだ。聴こえてる。
「そうだね。……久しぶりだもん、しょうがないけど」
 圭の正面に回りこみ、人差し指を突きつける。
「不謹慎、だよ」

 ――――そう、不謹慎。
 だって私達は怪盗。理由はどうであれ、人の物を盗む、泥棒。でも、私と圭はこの道を選んだ。理由は忘れたけれど。
 楽しみな気持ち半分、私たちの立場は悪い人寄り。まぁいいか。


「ほら、行こう?」
 手を伸ばして圭の手を取る。圭は頷いて、ヘッドフォンを首にかけた。



 ――――君が居ればね、

 何でも良いや、って気持ちになるんだ。

419:ブラックキャット:2013/04/28(日) 16:46 ID:bAY

 怪盗ジョーカー 15

「――――よしっ!」
 私は問題集を勢い良く閉じた。圭が呆れた目で見る視線を受けながらシャーペンを収める。
 圭もパソコンを閉じて、こちらに体を向けた。眼差しも、何だか何時もより優しそうに感じる。
「……やっと終わったのか」
「うん。やっと旅行の許可が出るよ!」
 わーいやったーと踊る私を横目に、圭は携帯を手に取った。
 繋げた相手は、どうやらお父さんらしい。
「もしもし、圭です。……はい、やっと飛鳥の宿題が終わって。はい。…あぁ、飛鳥ですか? ……踊ってますよ。あぁ……大丈夫です。探偵だって、ゴールデンウィークくらい休みたいと思いますし。……はい、分かりました。失礼します」

 携帯を閉じた圭が私を見た。口元を緩めて、言う。
「荷造りしておけ、だって」



「やったぁー―――っ!!」



 その叫び声は、かなり響いたらしく、遥から電話が掛かってきた。

420:月 RED:2013/04/29(月) 21:18 ID:2Cw

そうです。月です!!なんか、名前表示に『月』って出ないんですよ・・・。
やっぱり、面白いです♪あ、小説の9巻って、いつ頃出ると思いますか?
(予想でもいいです)

421:ゆう:2013/04/29(月) 23:21 ID:rgk

だからバカなんだよ。

飛鳥は出来るよ。
………(呆)
飛鳥は死なないけどね。
あたしは死ぬ。
絶対途中で倒れる。

422:ゆう:2013/04/29(月) 23:24 ID:rgk

………忘れてた。

旅行ねえ。
夏休みだよ。いつも。
踊らないよ。そんぐらいで。
しかも遥ん家まで届くか?
あ、そうだ。
やっぱうめあげる。
小っちゃいの。

423:ブラックキャット:2013/04/30(火) 22:33 ID:bAY

どうも、月さん。
9巻…多分、5月6月当たりだと…。



煩いな。
分身の癖に。
そりゃぁ。届くでしょ。
えー…えー…えー…

424:ブラックキャット:2013/04/30(火) 22:52 ID:bAY

 窓から見える景色は、あまり高さは無いけれど緑があって、綺麗な方に入ると思う。
 私が圭の方を向くと、圭は呆れたような顔で私を見た。
「……ちゃんと座れ、飛鳥。幼稚園児か」
「煩いなぁ。いいじゃん、初めてなんだから。 …それにしても、すごいねぇ、このモノレール」


「「スカイレール」だよ」


 圭と同じタイミングで聴こえた声の持ち主は、茶色のブレザーを着て髪を結んで、縁無しの眼鏡を掛けた中学生くらいの女の子だった。
 圭は驚いて居ないのか、ブツブツと何か呟いている。


「……名称 スカイレール。
 スカイレールとは、ロープウェイのゴンドラの様な形をした懸垂式モノレール車両を、駅間ではワイヤーロープで、駅構内ではリアモニターを用いて駆動する方法の交通システムで、懸垂式モノレールとロープウェイを組み合わせたような物である。
 乗車定員25人、座席は8席。……日本の中では、広島にしかない乗り物、と言われているけど」


 長々と説明してくれたのは、横の髪を残して残りを後ろで結んだ、藍色の縁の眼鏡の女の子。その子も、茶色いブレザーを着ている。よく見ると、リュックも背負ってる。
 その子の後ろからひょっこり現れた、髪を二つに結んだ女の子。やっぱり、茶色いブレザーを着用。
「でもさー、もう乗り慣れちゃったよねー」 
 それ言うな、と二人から突っ込みが入る。
 藍色の眼鏡の子の眼が、キラリ、と光ったような気がした。


「――――で?」


 で?
 圭が立ち上がる。床が傾いた。




「怪盗シャドウ……!」

425:ゆう:2013/04/30(火) 23:08 ID:gSw

んべえっ
届かないよ。
受け取りなさいっ!

髪を、結んだ……(困惑)
うん。実際に日本に1つしか無いもんね。
描写はまあまあだと思う。(上から目線。)
お久しぶりですー 怪盗ジョーカーさん。
広島へようこそ。
折角だから広島弁出してよ?
後で用語辞典出しときゃいいしさ。
まあ、あたしは関西弁&滋賀弁&熊本弁&男子語が混ざるがな。

426:ブラックキャット:2013/05/03(金) 11:19 ID:bAY

え、やだ。

煩いなー。ったく。
う、あぁ、忘れてた。
……。何だよ、その在り得ない位の何処出身かもわかんねー様な方言のレパートリーは!?
っつーか、男子語はうちの範囲だっつーの!

427:ブラックキャット:2013/05/03(金) 11:44 ID:bAY

 怪盗シャドウ………?
 私は、前に立つ3人を見る。

 過去の記憶、といってもジョーカー時代はそんなに長くないわけで、すんなりと思い出すことが出来た。
 映像はフラッシュバックしないけど、確か、宝石の雨が頭に降ってきたんだよね。あれは驚いた。

 真ん中に立つ縁無しの眼鏡の子が笑った。
「お久しぶりやな、怪盗ジョーカーさん。……広島へようこそ」


 ――――タン、とパソコンのキーの音が響いた。


「あたしは裕歌。シャドウの実行担当じゃけ、会った事はあるよな」
「ひとみー。シャドウの実行担当。よろしく〜」
「………名無しで良i「良い訳ないじゃろ!」……雛子。ナビ担当。よろしくする気は無いけど、まぁ…うん」

 ……何だか、個性的な人達…だね。
 私は、間違えないように指差して確認する。

 身長の高いおっとりした子がひとみちゃん。
 縁無しの眼鏡の子が裕歌ちゃん。
 言っちゃ悪いけど目つき悪い圭みたいな無愛想の子が雛子ちゃんだね。

「「…聞こえてるぞ飛鳥」」
 見事な二重奏で怒られた。射す様な視線が恐くて、二人から視線を逸らす。
「…あれ?」
 ………そこで、ある事に気がついた。
 ドアの近くの天井、――――監視カメラ。
 仕事のせいか、顔は向けられないけど、これ多分、音声……

「あぁ、それなら大丈夫……映像は差し替えた。大丈夫だろ」
 雛子ちゃんがきっと校則違反のパソコンを操作しながら私を見る。その眼に非難の色が見えて、首を傾げる。
 彼女は向かいに腰を下ろして、溜息を吐いた。
「……ちゃん付けするな、気持ち悪い」
 アハハ、と誤魔化して圭を見る。すると、圭は無言で階段を指差した。



 微かに、微かに――――足音が聞こえた。

428:ブラックキャット:2013/05/04(土) 09:23 ID:bAY

「ひな……誰?」
「黙れ、偽装してろ。映像を元に戻さなきゃいけねーし」
「「了解」」
 圭はと言うと、何だか落ち着きの無い動作で辺りを見回している。
「………あ」
 ひとみが一言漏らすと同時に、裕歌が叫んだ。


「何であんたが此処に居るのよ――――っっ!?」


 この声は何処まで響くんだろう……。
 何てぼんやり考えていると、同じように大声で怒鳴り返された。
「お前だって何で此処に居るんだよ!? っつーか公共の場だぞ! 迷惑も考えらんねーのかお前は!?」
 そう怒鳴った人は、学ランにスポーツバッグ。裕歌たちと制服が違うけど、知り合いなのかな?
「良いのよ別に! この二人は知り合いなんだから!」
 ヒートアップしそうな場は圭には合わないらしい。顔の表情が消えていっている。…恐いよ、圭。

 ひとみは何が面白いのかニヤニヤしていて、雛子は段々不機嫌な顔になっている。何となく、直感でやばそうなオーラが漂っていると感じる。
「……透弥、ゆう。煩い」
 オーラに気圧されたのか、怒られるのが恐いのか、二人はしぶしぶと言った体で黙った。心の中で拍手。


「…………で?」


 唐突に圭が言った。
 皆一様に疑問符を浮かべるけど、ひとみの顔に納得の色が浮かんだ。
「あ〜、まだ紹介してなかったね。ほら、自己紹介。何なら裕歌がかわりにしてあげてm「ひとみ煩い!」
 ドツキ漫才みたいな事になってるよ、二人とも……。殴られたひとみに慰めの視線を向ける。
「……なんで俺が見ず知らずの他人に自己紹介せにゃいけんのんy「殴られたい?」やってみろや」
 まぁいいや、と彼は鞄を置いて私と圭に向き直った。


「俺は透弥」



 一言区切り、
「――――広島ではちったぁ有名な探偵じゃ。……んで」


 透弥が疑問の表情を私に向けた。けれど、反応できない。

 ……“探偵”? 今探偵って言った?

 遥以外の探偵。
 怪盗シャドウ。
 探偵――――

「……僕は圭。こいつは飛鳥。今、旅行で此処に来てて、住所は東京だ」
「へぇー、東京か、ええのぅ。………おいちょっと待て、東京?」
 透弥が裕歌達を振り返った。


「お前等、こいつ等と何時知り会うたんや?」

429:ブラックキャット:2013/05/04(土) 18:47 ID:bAY

 え? 何時?
 戸惑いを隠せない私と裕歌。ひとみも目をぱちくりしている。 その中で、圭と雛子が冷静に説明。
「ほら、あの……2年前のクリスマス。豪華客船」
「そこで、偶然」
 その説明で、透弥の顔が不機嫌になった。首を傾げると、ひとみがあぁ、と言って手を打った。
「あれじゃね! ほら、透弥が怪盗シャドウと対決した奴」
 そこで裕歌も頷く。
「あぁ、ジャックが起きた奴じゃね!」
 ――――そうそう、私と圭も苦労したんだよ。
 ……なんて考えてると、透弥が頭を抱えて呻いた。と思ったらいきなり立ち上がって呟く。


「あのなぁ! あれは俺だってかなり大変だったんだぞ!? ったく、人の苦労知らずにギャーギャー騒ぐんじゃねぇよ、怪盗シャドウ!」


 ――――呆気に取られる、って意味が分かったような気がする。只今私の頭の中は混乱中。圭もきっと不本意なんだろうけど、ポッカーンとしている。
 怪盗シャドウ……? 探偵の透弥が、正体を知ってる……?


「「……デジャヴ?」」


 知らず知らずのうちに呟いていた。私も、圭も。
 あまりにも――――似すぎでしょ!?

430:ブラックキャット:2013/05/04(土) 20:34 ID:bAY

 走り出したスカイレール。降りる沈黙。


 ……気まずい。


 ちらり、と圭を見ても、当の本人は全く興味の無さそうな顔で風景を眺めている。
 次に裕歌を見ると、裕歌は3人で何かを話している。

 沈黙を破ったのは裕歌の声だった。
「…あ――……透、弥?」
「何だよ、裕歌?」
 立っている透弥は、自然と裕歌を見下ろす体勢になる。裕歌が私達の方を指差して、気まずそうに言った。
「あの……飛鳥と、圭…」
 透弥は更に不思議そうな顔をする。
 裕歌が何を言いたいのか分かったけど、一つ目の駅に停車したから、まずは大人しくする。


 プシュ―――ッ……


 扉が閉まり、また走り出すと同時に、私は立ち上がった。けれど、車内が揺れるせいでバランスを崩して慌てて吊革に捕まる。
 圭が呆れた顔で言う。
「……こけても知らねぇぞ」
 う、煩いっ! そう簡単にはこけないもん!
 圭を睨んで、透弥に向き直る。

 圭を突付くと、不機嫌な顔で圭も立ち上がった。
 すぐに座り直そうとするので、服の袖を引っ張って立たせる。恨みの視線を向けられるけど、無視っ。


 いきなり何を、と言いたげな目を見て、私は言った。

「――――怪盗ジョーカー実行担当、岩本飛鳥」
「…………怪盗ジョーカーナビ担当、紅本圭」


 二人同時に優雅に礼。
 顔を上げて笑う。おそらく、と言うか確実に、圭も似たような表情をしていると思う。そういう人だから。



「「どうぞよろしく」」

431:ブラックキャット:2013/05/05(日) 20:13 ID:bAY



 止まる時間。


 落ちる沈黙。


 口が塞がらない、ってあるよね。呆れて、物が言えない、みたいな。

「マジかよ……?」
 ようやく漏れたのは、小さな呟き。
 私は頷く。マジです、はい。こんな嘘なんてつかないよ、普通。
「……ふぅん……成る程なぁ」
 小さく呟き、透弥が鞄を肩に掛けた。横顔は、確かに笑っていた。

 3つ目の駅に止まり、ドアが開く。
 此処から先は無いらしいので、外に出る。篭って生温かった空気殻解放されて、少し冷たい空気が気持ち良い。
 階段を駆け下りて、下で圭達を待つ。上から見ると、俯いてても表情が見えるから、その辺は便利だと思う。


 だって、透弥、


 笑ってるんだもん。


「…ニヤニヤ気持ち悪いよ、透弥」
「煩ぇ! そう言う飛鳥は如何なんだよ!?」
 えー、如何だろうね。圭に問い掛けてみると、無言で目を逸らされた。哀れなものを見る目で……って圭っ!? ちょ、さっきのはあんまりでしょ! ……後で殴り飛ばす。
 勝手に誓って、歩き出す。

432:ブラックキャット:2013/05/05(日) 20:18 ID:bAY


 無防備な飛鳥。

「……しょうがないなぁ」

 自然と口元が緩み、眼つきも柔らかくなる――――訳も無く。


 勝負。


 勿論、“辞退”の2文字は無いんだよね?


 と言うか、選ばせてあげない。そんな文字。

「……勝負、しようよジョーカーさん。今回は、探偵君も居るし、ね」

 そう呟いて、あたしはカードを飛鳥の鞄に、投げ入れた。

433:ゆう:2013/05/05(日) 22:52 ID:edg

≪427までは前読んだ。
でも時間無かったんでコメント書けなかった。

名無しでいいだと? 嘗めてくれんなよ。えぇ?
曲がりなりにも怪盗だろ。名乗れよ。
あの……あいつの台詞が爺さん臭いんですが……
まあたまにこうなるけどね。
あたしのあだ名無いね。完璧。
元から無かった様な雰囲気だ。
慣れねえ……(汗)
いやぁ、遥がいなくてよかった。マジ。
即お互いに逮捕されてるよ。怪盗さんたち。
でもまあ、面白いね。
≪432、あたし視点でしょ。ねえ。

勝負、しようよジョーカーさん。

434:ブラックキャット:2013/05/05(日) 23:22 ID:bAY

 装飾の豪華なドアを開け、ただっ広い部屋を見回す。二つあるベッドもやけにでかい。
「お、お父さん……これ、本当に私達が使う部屋、なの?」
「……お、俺にも分からん……」
 情けない顔で首を横に振るお父さん。するとおじさんが、にゅっと顔を出した。
「如何したんだい、二人とも?」
「雅彦! この部屋、で合ってるのか……? 何だか、えらい…広い……」
「兄さん、慌てすぎだって…。大丈夫だよ、此処で合ってるから」
 驚いてるお父さんの横をすり抜けて、私は部屋に足を踏み入れた。

 ざっと見ても、私と圭の部屋よりは広い。あちこち覗くけど、やっぱりそれぞれ家より広い。
 窓からの景色も、夜景だったら綺麗だろうなぁ、と想像できる。
「……飛鳥」
 圭の声。
 聴こえた方に行ってみると、ベッドの上に腰掛けた圭が私の鞄から一枚のカードを取り出した。
「これ。……見覚えは?」
 無い。首を振って、文字を読んで……硬直した。


  これを読んでるっつーことは、もう気付いたんじゃね。このカード。
  さてさて。ジョーカーさんの広島来訪、と言う事でや。
  
  勝負しません? 怪盗ジョーカーさん。
  勿論、“辞退”の文字は無いわ。まぁ、選ばせないけど。

  それじゃ、決行日は明後日。
  標的は……『ダブル・ボックス』。
  場所は御自分でお調べてね。


          怪盗シャドウ

435:ブラックキャット:2013/05/05(日) 23:24 ID:bAY

来てたっ!?

あー吃驚した。
怪盗だからこそ名乗らないんでしょ。
だってさ、皆名前なんだし。

勿論さ、シャドウさん。

436:ブラックキャット:2013/05/06(月) 17:02 ID:bAY


 私は馬鹿です。

 飛鳥は馬鹿だ。


 “勝負”なんて聴いて、負けられないよって笑うんだ。

 “勝負”なんて聴いて、頑張ろうよって目を輝かせる。


 まぁ、圭も人の事言えないよね。

 まぁ、俺も飛鳥の事言えないが。


 笑ってるよ、怪盗少年。

 笑ってるよ、怪盗少女。


 頼りにしてるよ、相棒さん。

 頼りにしてるぜ、相棒さん。



 さて――――……
 準備は良いかしら?

437:ゆう:2013/05/08(水) 01:29 ID:plk

来てないと思った?

いいのいいの。
怪盗はポーカーフェイスを名乗るの。

頼りにしてるよ、相棒さん。

438:ブラックキャット:2013/05/09(木) 19:28 ID:bAY

来ないと思ってた。

ポーカーフェイスねぇ……。
被るな。

439:ブラックキャット:2013/05/09(木) 19:39 ID:bAY


 心臓がバクバクする。これは、楽しみで仕方が無いからなのか?
 力強い高鳴りを抑えて、飛鳥を見る。

 視線が交差する。
 知らず知らずの内に、俺の口から当たり前の質問が零れた。
「……『辞退』の文字は?」
 これで帰ってくる回答が違っていたら、きっと俺は……。

 ――――けれど、飛鳥は期待通りの回答を言ってくれた。しかも、即答で。
「在り得ない! 勿論、受けるに決まってんじゃん!」
 拳を握り締め、目を輝かせて笑う飛鳥。
 きっと俺は、笑っていたんだと思う。



 ――――だから好きなんだ、飛鳥。



 口の中で呟いて、誤魔化すように窓の外を見る。
 飛鳥を横目で見ても、気付いた様子は無い。胸を撫で下ろして、パソコンを持つ。
「……さぁ、行くか」
 きょとんとしている飛鳥を連れて、僕は駅へと向かった。


 向かうはそう。
 標的の美術館。

440:ブラックキャット:2013/05/12(日) 16:02 ID:bAY

 うわ、何、これ。一体幾ら……って、17万? 何其れ、偽物じゃん。
 え〜、75万? ……やっぱり偽物じゃない? 此処の物って。ねぇ、圭も思うでしょ?
 ……これ全然高くないんじゃ………って、93724600円? えーと…いち、じゅう、ひゃく……きゅうせんさんびゃくななじゅうにまんよんせんろっぴゃくえん? うわー、読みにくっ……

「煩い、飛鳥…。もう少し静かに出来ないのか」
「出来ません。っていうか、ほら、圭も」
 飛鳥の眼が僕に問い掛ける。


 これ、やっぱり偽物?


 もう呆れるしかない。と言うか、僕もあまり興味は無いんだよね。
 無視して通り過ぎ、出口から外に出る。

 窮屈な人ごみから外れ、近くの草むらに腰を下ろす。
 いわゆる「男のマナー」で、女性が地面に腰を下ろすときにはハンカチを敷くのがマナーらしいが、別にどうでも良い。
「つっ……疲れたぁ〜」
 地面にへたり込んだ飛鳥が、そのまま寝転がる。流石に慌てて起こすと、不機嫌そうに睨まれた。
「何よ、圭。別に良いじゃん?」
「……良くない。とにかく起きろ」
 座り込むのはまだしも、寝てる奴の隣にいる奴の気も考えやがれ阿呆。
 尚も渋る飛鳥を強引に起こして、息を吐く。
 ………ったく。何でこうなる……



「――――あれ、飛鳥に圭! 何してんの? こんな所でさ」

441:ゆう:2013/05/13(月) 00:15 ID:VBM

何でそんなこと思うかなぁ。

いいのいいのー。

良いじゃん。寝てもさ。
考えないよ。んな面倒なことしない。
寝てる恰好の方があたしは楽なんだよ。

442:ブラックキャット:2013/05/16(木) 20:11 ID:bAY

よくない。

駄目だからだめだっつってんのに。
楽だろうけど駄目。

443:ゆう:2013/05/16(木) 23:03 ID:dgw

ルールは破る為にあるの。

444:ブラックキャット:2013/05/18(土) 13:57 ID:bAY

ルールは馬鹿が守らないから作られたの。

445:ブラックキャット:2013/05/18(土) 14:12 ID:bAY

 振り向かないでも分かる。この声の持ち主は、あいつ達以外知らない。
 ゆっくり振り向いて顔を確かめると、自然と笑みが零れた。優しさなんかじゃなく、挑戦的な笑み。
「……裕歌。雛子に、ひとみ」
 久しぶりじゃね、と手を振られるが、実際は昨日あったばかり。そんなに懐かしくは無いけれど…。
 訊かずには居られなかった私は馬鹿です。
「……なんでジャージなの?」
 瞬間、蹴りが飛んで来た。顔を動かして避ける。

 裕歌は上は普通のTシャツなんだけど、下がジャージという何とも……言えない……格好をしていた。
 ひとみも雛子も、普通の格好なんだけど……。
「う、うぅ煩いぃっ! 朝ひとみ達にも突っ込まれたんじゃけんね!」
 手をばたばたさせて良い訳らしき物を並べる裕歌に、私は微笑んで大丈夫大丈夫、と言う。
「私も似た様な格好して、圭に怒られるしねー」
 笑いあい、同盟を結ぶ。
「……で」


「――――下見かい? ジョーカーさん」


 唐突な話題転換。
 私はにやりと笑った。
「そっちもね、シャドウさん」
 数秒――――もしかしたら、数十秒? 私達は睨み合っていた。ふっと視線を緩めたのは、裕歌だった。
「楽しみにしとるね、良い勝負になると良いな」
 頷いて、後ろを向いた背中を見る。
 まぁ勿論、と声が聴こえた。


「勝つのは――――あたし等だと決まってるけどな」


 ムッ、とする。それだけは聞き捨てなら無い。
「勝つのは私達よ」

446:ゆう:2013/05/19(日) 11:05 ID:lMI

締め切りは破る為にあるの。

い、い、じゃ、ん、かっ!!
ジャージじゃいけん!? 駄目!?
あと、言い訳てこうね。
新しい服買ったんだから、突っ込むなっ!!

447:ブラックキャット:2013/05/19(日) 14:45 ID:bAY

締め切りは無理やりにでも守らないと作家生命終わる。

あ、新しい服買ったんだ。
ふーん……

448:ゆう:2013/05/19(日) 14:52 ID:lMI

大丈夫大丈夫ー
石ア先生(黒魔女さんが通る!!)のあだ名、知ってる?
締切破り常習魔≠諱B

? なあに?

449:ブラックキャット:2013/05/19(日) 15:25 ID:bAY

終われ。

何でもない。

450:ブラックキャット:2013/05/19(日) 19:06 ID:bAY


 宣言した。
 勝つのは私達だって、確信もある。
 けど、不安。
 其の元は――――

「ねぇ、圭。暇だよ、何か無い?」
『無い。後30分だから我慢しろ』

 ――――圭が居ないこと?

 頭を振って、其の考えを追い出す。そして、口元の通信機に囁いた。
「本当に来るのかな、怪盗シャドウ……」
 そう呟いた声は、風に流され消えた。此処から見えるのは、綺麗に光る星と、葉と、虫。寄ってくる虫を手で払いながら、心の中でぼやく。
 ――――普通草むらに隠れる!? 館内じゃないの!?
 イラつきのあまり近くの枝を一本、バキッ、と折る。
 さっきの呟きには答えを期待してなかったけど、圭は答えてくれた。一言だけ、あぁ、と。
『自分達の仕事にはプライドを持ってそうだったしな。来るだろ』
 ……それは私達にも言えるんじゃないかなー、と心の隅で思う。何しろ、圭は負けず嫌いなんです。……あぁ、勿論私もね? そう思ったら口元が笑ってしまって、如何しても顔がニヤニヤしてしまう。見えないから良いか、何て思って安心してたら、圭が遊びじゃない、と怒ったような声で呟いた。慌てて表情を戻す。
 相変わらず緊張感なんて欠片も無いようなやり取りをしていると、圭が来たぞ、と言った。一瞬で空気が張り詰める。

 不規則な足音。きっとそれは、身長差があって、複数だから。
 ひそひそと聴こえる声の合間に混じる、機械音のノイズ。通信機かな。
 姿を現そうか、否か。かなり迷った末に、私は黙秘を選んだ。
 遠ざかる足音。
 其れが完全に聞こえなくなる前に、私は聴いた。


 一人の悲鳴と、二人の関西弁を。

451:ゆう:2013/05/20(月) 23:02 ID:HEQ

酷いなぁ。



1人の悲鳴て………
あたし? Hとみ?
おまけに、ひな居んの?
ナビじゃん………

452:ブラックキャット:2013/05/22(水) 17:00 ID:bAY

酷くない。

其れは見てからのお楽しみ。

453:ブラックキャット:2013/05/22(水) 17:10 ID:bAY

「うわあああっ!?」
「あーもー、煩い奴っちゃなぁ。ほら、ひとみ!」 「ラジャー」
 スプレー缶を放り投げ、あたし達は館内へと入った。


 ――――勿論、入り口から堂々とね!

454:ゆう:2013/05/22(水) 17:28 ID:rS2

やっぱ更新されてたか。
あたしもして来たよ。
ネタ出来たし。(無理矢理。)

酷いです。

ふうん。
ま、楽しみにしとく。

455:ブラックキャット:2013/05/22(水) 19:57 ID:bAY

見てきた。

あれは……やっぱ短すぎたな。
うん。ご期待にお応え出来ます様我が社員一丸となって……何だ?

456:ブラックキャット:2013/05/22(水) 20:12 ID:bAY

 月が隠れ、辺りは暗闇に包まれた。これは、こっち側に都合良いや。私は、内心ニヤニヤする。
 約一分辺りの気配を探り、よし、行こう。と思って立ち上がると、人の気配を感じた。振り向かずに、音を立てずにまた座る。そのまま耳を済ませて、黙秘。

 ゆっくり、ゆっくり、確実に近付いてくる。
 ざっ、と草を踏みしめる足音は、私の横を通り過ぎた。
 ……シャドウは来てたよね? じゃぁ、誰だろう――――なんて好奇心の塊。抑えられる筈も無く、後姿を確認する。
 別に何の特徴も無いような背中だったけど、其の背中が強張った。まさか気付かれた!? 何て身を硬くしても、聴こえたのは「……っくしゅっ!」くしゃみ。
 けど、其の声に聞き覚えがあった。
「透弥……」
 無意識に呟いた名前は、相手には届かなかった。


 ――――広島ではちったぁ有名な探偵じゃ


 透弥の言葉が蘇り、思わず口が笑う。哂う。
 侮っては無い。
 ちったぁでも、凄い事だしね。

 ……まぁでも。
 探偵を此処に呼んだ奴の顔も見当がついているし、探る必要も無し。
 私の仕事は、ただ盗む事。

 侮ってない。
 ただ
 楽しみなだけさ。

457:ゆう:2013/05/22(水) 23:29 ID:hPo

御期待にお応え出来ます様我が社一同一丸となって頑張りますので、如何か宜しくお願い致します。
じゃない?

やっぱネタ無いのか。どんなバトルにするかとか。
止まってる筈だよー

458:ブラックキャット:2013/05/26(日) 17:30 ID:bAY

いや、もう面倒臭くなったんだもん。

ガリレオ見て、納得した。
うーむ、面倒臭い。

459:ブラックキャット:2013/05/26(日) 17:55 ID:bAY

 カメラが辺りを監視している。その数、およそ1つの階に100。こんな場所、誰だって通りたくないよね。
 其処まで考えて、思わず笑ってしまった。
 まぁ……そのカメラには、私の姿は映って居ないわけですが。
 勿論、仕組んだのは圭だよ。私にはそんな芸当出来ないしね、と、半ばやけくその様な呟きをもらす。
 すると、圭が叫んだ。


『飛鳥、止まれ!』


 反射的に息が止まった。
 足が急ブレーキを掛け、キュッ、と靴が鳴った。床に手は付かなかったけど、よろけてしまって危なかった。
 ……何さ、圭、と言う声は喉の奥に引っ込んだ。

 …………何、これ。





         怪盗ジョーカー様


  此れを見てるって事は、ちゃんと来れたんやな。取り合えず一安心や。
  探偵君には合ったかい? まさか追っかけられてる途中や無いやろな?
  まぁええわ。それより。
  あたし等優しいから、二つ用意させてもろうたわ。
  ルールは簡単。
  偽物と本物、どっちか。当てたらくれてやるわ、その宝石。
  まぁ、当てられたら、の話やけど。


  健闘を祈るな。


                              怪盗シャドウ




 グシャ、と手の中で紙が潰れた。もうそのままグシャグシャにする。
 ねぇ、圭――――
 ここまで馬鹿にされた事、私今まで無かったよ。本っ当、ムカツク!!

『乗るぞ』
「勿論」

 目の前の宝石に、私は手を伸ばした。

460:ゆう:2013/05/26(日) 23:12 ID:r5Y

ははっ 感情に任せて踊らされてやんのー。
流石あたしだね。面白過ぎ。
あと、健闘を祈るなって、如何いう………

461:ブラックキャット:2013/05/28(火) 19:35 ID:bAY

やかましい。
……否定的な意味では御座いませんよ。
そのまんま、健闘を祈るね。が、な。になっただけ。

462:ブラックキャット:2013/05/28(火) 19:53 ID:bAY

 ……どうも、シャドウのナビ担当です。

「……あれ、探偵君」
 ボソリと呟いた声は、向こうの人に届いたらしい。勢い良く振り向いた顔は、やっぱり探偵君で――――って。
「何でうちが追いかけられにゃいけんのんや!? 探偵!」
「煩ぇ! シャドウならナビ担当だろうが捕まえるんじゃい!」
 ああああ、ウザイ!!
 イラつきながらも、ワイヤーを適当にそこら辺の柱に向けて打つ。引っかかったのを確認して、ピン、と張る。ワイヤーの向こう側に立って、待ち受ける。
「観念したか――――ってぅわああっっ!!?」
 ズテン、と見事に転倒。見事なこけっぷりに、思わず逃げるのを忘れたくらい。


「御免。いつか詫びは――多分する!」


 多分かよ!? という叫びを無視して、角を曲がると何かにぶつかった。半ばパニック状態の頭を宥めて、パソコンの無事を確認する。
 ぶつかった何かに謝る。
「すいません……あ」
「こちらこそ……え」
 視線が交差した先に、驚きの表情の圭の顔が闇夜に浮かんでいた。

463:ゆう:2013/05/28(火) 23:06 ID:avI

喧しくてけっこーだっ!!
ふうん。ひな語だね。

ああ。あたしのネタ採用ー。
まあ頑張ってね。
一応ナビだからねー。
探偵君に捕まりでもしたら落第だよ?

464:ブラックキャット:2013/05/29(水) 20:54 ID:bAY

喧しい? って漢字こうなの?
何が。

落第? 試験じゃねぇし。

465:ブラックキャット:2013/05/29(水) 21:28 ID:bAY

 昼間とは違った片眼鏡に、白いジャケット。その下は真っ黒、としか表現が合わないシャツ。白いネクタイとズボンがやけに映えている。
 …何だか、怪盗っぽい。

「気合入ってるな、外見に」
「其処強調するな、あいつが勝手に頼んだんだ。なんでも、裏の世界で有名な会社らしいぞ」
「……へぇ。まぁ、俺は外見には興味が無い」
「それっぽい」

 ……睨み合って気付いたのが、雛子の目付きが悪いのは元々だった事。曰く、「一番楽な目の開き方が、たまたま目付きの悪い様に見えたらしい。……まぁ、関係無いな」 だそうだ。
 今は、飛鳥は特にピンチには陥って居ない。なら、ちょっと話してみよう、と思った。他人に興味を持つのは、何時以来だろう。同業者、と言うのもあるだろうが、多分、気になったんだと思う。


 どんなに馬鹿な子でも、見放す事の無い、馬鹿みたいな心情が。


 ……俺にも言えるな、それ。
 自分の言葉に苦笑し、雛子に変な顔をされた。何でも無い、と否定して、口を開く。
「それで? 勝算は?」
 
「有るに決まってんだろ、勿論。本拠地で負けたくは無いからな」
 片眼鏡を通しても分かる視線は、俺の闘争心を突付いた。メラメラ燃える其れを無視して、あくまでも冷静に話を進める。


「――――秘策あり、かな?」


「ノーコメント。……それは圭であっても答えられないなぁ。下手に喋って殴られたくないのさ」
 笑ってる眼を見て確信した。……秘策ありか。これは気をつけないと。

 もっと探りを入れてみようと思った矢先、カメラに反応があった。人じゃなく、物体。そう認識した瞬間、無意識に叫んでいた。
「飛鳥、止まれ!」
 カメラが文字を追う。
 全て読み終わったと思ったら、グシャ、と潰れた。
『ねぇ、圭――――……。ここまで馬鹿にされた事、私今まで無かったよ。本っ当、ムカツク!』
 飛鳥の気持ちは解る。それに、俺も馬鹿にしているのかと思ったくらいだ。

「乗るぞ」
『勿論』












「――――あーあ、乗っちゃった。
 ……いやしかし、圭があんなにプライド高いとはね……。ちょっと、いやかなり意外。きっと飛鳥を止めるもんだと思ってたし」


『あー其れあたしも思った! 感情に任せて踊らされてやがる。……ふふっ、流石あたしだね。
 ――――面白すぎ』


『こっちは準備万端だよ〜。あーでもさぁ、本当に大丈夫なんかねぇ? 飛鳥、怒ると恐いと思う。
 ――――まぁ、ひとみ等は負ける気ないんじゃけど』












 ――――こんな事言われてると知らずに。

466:ゆう:2013/05/29(水) 23:52 ID:GEQ

そうだと思うよ。
PCの漢字変換能力は結構信頼してるし。
健闘を祈るな。

シャドウもZ(7)で試験するよ?
レッドと同じ様に。
ナイトメアからが通知して来るんだっけな。

パクられた。あー。
でも此の台詞じゃ噛み合わないな。
感情に任せて踊らされてやがるまでは良いんだけど、そっからが。
流石あたしだねって………あたし飛鳥のこと言ったんだぞ。
自分のことじゃないよぅ。
其れじゃただのナルシストじゃん。
でも結局は同じかな。
―――――面白過ぎ。

467:ブラックキャット:2013/06/01(土) 17:34 ID:bAY

じゃぁ、祈らない。

今何処や。
さっさと書かんかい。

ならいいんじゃない?
どっちにしても、同じ事なのさ。

468:ブラックキャット:2013/06/01(土) 18:02 ID:bAY

 手を伸ばして宝石を取る直前に、圭からストップが掛かった。
『ちょっと待て、飛鳥。選ぶ、って言ったって、如何したら選んだ事になるか分からない。取り合えず、観察して映像を送ってくれ』
 分かった、と頷いたところで、握り潰して放り投げた紙の一点に眼が行った。無性に気になって、手に取って広げる。裏にひっくり返すと、『P.S. 怪盗ジョーカー様』と見えた。





     P.S. 怪盗ジョーカー様


   ちょっと言い忘れてた。
  言っておくが、選ぶ、の基準は、手に取る、だ。
  床にセンサーを仕掛けてもらった。宝石が床を離れると、当たりか外れか分かる仕掛けが作動する。
  と言うわけで、手に持って比べられないが、そっちには天才鑑定士が居るだろう? 見分けるの位朝飯前だろうな。


  それじゃ、これで。


                          怪盗シャドウ





 センサー……
 センサー、ね。
 流石だね、とあの3人を浮かべる。
『……カメラの映像を照合したんだが、結果として、照合率が高かったのは左だ。だが……』
 心配そうな顔が浮かぶような、圭の言葉。思わず笑みを浮かべる。
「大丈夫だって。仮に間違いを選んでも、本物を奪えば良いだけでしょ? 簡単じゃない?」


 そう言って、左の宝石を取った。


 視界が真っ白に染まり、鼻にも口にも、気体のようなものが入り込んで、咳き込む。


『飛鳥!』
「だ……いじょうぶ……げほっ……」
 辺りを見回しても、何も無い。ってことは、圭の言ったほうは偽物で、其れが煙か何かを吐き出した?
 視界も頭も真っ白になって、正常な判断が出来ない。その場に立っている事しか。頭をぐちゃぐちゃとかき回すのは、同じ思い。


 ――――何で、
 圭なのに。


 でもその思いの答えを見つけたのは、たった一言だけだった。












「――――あーあ、残念」

469:ゆう:2013/06/01(土) 20:15 ID:pFI

あっそ。

っとねえ……あぁ。
ひとみがK尻にタブレット渡したとこ。
スランプですねー。書けねー。

其処まで疑ってないよ。圭のこと。
やっぱひな知らないんだな…………

470:ブラックキャット:2013/06/02(日) 19:19 ID:bAY

そう。

おぉ。進んどるんか分からん。


なんのこっちゃ。

471:ブラックキャット:2013/06/02(日) 19:42 ID:bAY

 声が聴こえてきた上部に顔を向けると、一瞬だけ人の顔らしきものが見えた。窓を手探りで開け放ち、空気の入れ替え。
 外を見ても見えるのは空くらいだし、あんまり興味も無い。
 何て馬鹿な事を考える。だから、後ろから声を掛けられて、ちょっとだけ驚いた。

「大丈夫かいな…。あんた本当に怪盗?」
 ううう、煩いっ!
 失礼な言い草には、しっかり噛み付いておく。

 でもなぁ、と顔を見合わせた二人は、此処の怪盗。この人達のステージである此処だけど、だからと言って負ける理由なんぞ存在しないわけで。
「……どう言う事? 圭が選んだ方を取ったら外れ、なんてあるわけないじゃん。本物は? 持ってるの?」
 渡しなさい、と出した右手にひとみが右手を乗せ、『お手』。
 なんでやねん! と関西人顔負けの突っ込みをかまして、裕歌を見る。


 その眼は、明らかに私達とは違う色だった。


「何でー? 怪盗だからって、皆が皆馬鹿正直な訳無いじゃん。あたし達を、そっちの物差しで計らないでくれるかな?」
 その色に押されて、私は黙り込むしかなかった。
 そんな私を見て、裕歌とひとみは笑った。


 ――――ワイヤーを打つ音が聞こえたときにはもう遅かった。












「あーあ。折角苦労して作ったホログラム。出番無かったな」


「そうそう。飛鳥、追いかけて来ると思っとったのにー」


「良いんじゃない? 結局、勝負はあたし達の勝ちでしょ」


「そうだけどさぁ……」


「終わり良ければ全て良し、って事? 雛子」


「其れを訊くなら裕歌だろ。ひとみ」


「あ、そっかー。じゃ、如何? 裕歌」


「何か面倒臭いような事をしちゃった、かな?」


「「…………はぁ?」」

472:ブラックキャット:2013/06/02(日) 22:37 ID:bAY

「なぁ、飛鳥?」


「…………」


「おい、如何したんだよ」


「何でもないよ」


「…お前、変だぞ」


「何処が? 元気だよ?」


「そんなに悔しかったのかよ?」


「…違うよ」


「負けたからって、そんなに塞ぎこむ事は無いだろ」


「あの勝負は、関係無いの。違うの」


「おい、飛鳥――――」


「違うの」


「飛鳥」


「圭。私、馬鹿だよね」


「……そうだな」


「だから、嫌われてるよね」


「……誰に」


「圭に。お父さん達に。……裕歌達に」


「…何で」


「だって、私達と違う。違う色、してた」


「色?」


「私、きっと、彼女達に押し付けたんだ。上辺だけの、正義」


「上辺だけ?」


「そっちの物差しで計るな、って。確かに、そうだよね」


「飛鳥?」


「だってさ。怪盗は、元は泥棒なんだよ? 幾ら正義の怪盗だろうが、盗んでる事には変わりないの」


「そうだな」


「……圭は、思わないの?」


「何を」


「だって……如何して、悪の道に進んだんだろうって。
 何で、怪盗になろうって思ったんだろうって。圭は、思わないの?」


「飛鳥は、覚悟が出来てなかったのか?」


「覚悟……?」


「勿論、そんな事考えた上で、俺は飛鳥に提案した」


「それは……」


「だってそうだろう?
 お膳立てされた舞台の上で舞えるのは、フィクションだけであり、ノンフィクションじゃない」


「それは……」


「覚悟できてないのなら、止めれば良い。俺は特に止めない」


「圭」


「俺は一生怪盗として生きていく。例え其れが間違っていたとしても、俺は構わない。
 周りに流されるより、信じた道を突き進んでいく方が格好良いだろう?」


「…………」


「俺は止めない。だけど、飛鳥」


「……何?」


「俺は、飛鳥が、真っ直ぐな馬鹿だって事、知ってる」

473:ゆう:2013/06/03(月) 23:02 ID:1GQ

ちょっと進んだよ。
もうちょいでスランプ脱出ー

何のことだ? が結構なまっとるね。
良いの。知らなくて。
知らないで良かった。
あぁでもこれじゃあ、後で噛みついて来そうだな。
じゃあヒント。一言。
実験の意味だよ。

本っ当に、酷いね。
真っ直ぐな馬鹿て。酷い。
真っ直ぐなんかじゃないもん。十分捻くれてる。

474:ブラックキャット:2013/06/06(木) 22:34 ID:bAY

意味なんてあるのか。あれ。

そのまんまじゃないか? あんたの事、捻くれてるなんて思ったことないし。

475:ゆう:2013/06/07(金) 20:35 ID:Kg2

意味無きゃやんないよ!
やりたくないしっ。

知らない………
(拗ねてる。)

476:ブラックキャット:2013/06/08(土) 16:52 ID:bAY

じゃぁやるなよ。

知らん。

477:ブラックキャット:2013/06/08(土) 17:31 ID:bAY

 怪盗ジョーカー 16



 机の上に倒れ、問題集を放り投げる。見事な曲線を描いた「其れ」は圭に当たったみたいで、背後でガスッと嫌な音がした。
「……飛鳥? 何してるんだよ、痛いんだけど」
「じゃあ避ければ良かったじゃん? 一応怪盗なんだからさーって、痛ァっ!?」
 頭に鈍い痛みが走って、其処を抑えて後ろを振り向く。すると、其処には暗い光を湛えた眼で私を見下ろす圭が居た。
「そもそも投げるな、この阿呆が。響くんだよ、大人しくしてろ」
 あ、阿呆!?
 流石に其処まで言われたら殴るしかない――――と拳を構えたところで、滅多に無いくらいの笑みが圭の顔に張り付いた。寒気がする。


「へぇ。そうか、僕を殴るのか。ふうん」
 何を言い出すのか内心びくびくしながら圭を見る。
「な、何よ? 不気味だよ」
「不気味だよ。……僕を殴ったら、行けないね」
 行けない? 何処に?
「言う必要ないよ。飛鳥は行きたくないみたいだしね」
 ――――………!!
 声にならない叫び声をあげる。手をばたばたさせるも、圭は涼しい顔で私を見ている。


 まるで、私の心を見透かしてる、みたいな。


 かなり迷った末に、私は小さく呟いた。
「殴らない。だから、教えて」
「制限時間ギリギリだな。迷う心は直感を鈍くする」
 最後の一言は意味が分からなかったけど、まぁよしとする。
 携帯を操作して、着信メールを開く。


『差出人:黒本遥
  件名:遊園地行かない?
  本文:夏休み用事あるか?
     無かったら遊園地行かねぇか? あの、最近オープンした、海辺に近いところ。
     遊園地はついでなんだが、その近くに親戚がやってる旅館があるんだ。夏休みに行く約束なんだけど、一人じゃつまらないだろ?
     「友達も一緒で良い」って言ってくれたから、圭達も如何だ?

     旅館の手伝いもさせてくれるらしいぞ、飛鳥。
     それじゃ、よろしくな!                                                』


 圭が顔を上げた。
「…という訳だ。……如何する?」
 そりゃぁ勿論、
「行くに決まってんじゃん!」
 私、一回旅館の人やってみたかったんだよね! とガッツポーズする私を、圭は変な顔で見ていた。

478:ゆう:2013/06/11(火) 19:25 ID:U5M

うん。実験終了。
あんまり良い成果じゃないなぁ。

ばーか。

おいひな。
遥のメールの最後、かっこが無いぞ。
痛ぁのぁが……片仮名に………
意味ぐらいわかるわ呆けぇ!!
やっぱ殴ろうか!!

479:ブラックキャット:2013/06/12(水) 19:47 ID:bAY

ふぅん。
じゃぁ、その結果とやらが如何影響するのか。訊いてみたいんだけどね?

あるよ。ちゃんと見なさい。
え、分かった? 結構謎めいた台詞の筈なのに。

480:ブラックキャット:2013/06/12(水) 20:12 ID:bAY

 鞄を下ろして、肩に掛けた。

 圭は小振りなショルダーバッグ。
 遥はちょっと大きめのリュック。
 私は普通のショルダーバッグ。

 2人を見回してニッコリ笑ったところで電車が停車した。
 ドアが開いて、新鮮な空気を吸って――――



「はしゃぎ過ぎだろ、飛鳥」
「はしゃぎ過ぎて破目外すなよ」
 圭、遥、煩いっ!
 一応睨んで、黙らせる。

 でも、やっぱり楽しみにするのは良いよね、と豪華なくらいのプランを思い浮かべた。

481:ゆう:2013/06/12(水) 20:56 ID:OB2

ん――……
駄目。

ああ、あれね。
もうちょっと手前にしなさいよ………
あたしを嘗めてくれんじゃないわよ。

482:ブラックキャット:2013/06/18(火) 22:59 ID:bAY

 …………。
「きゃああああああああああっっっ!!!」
「ぎゃああああああああああっっっ!!!」
「いやああああああああああっっっ!!!」
「うわああああああああああっっっ!!!」

 …………。
「次、どれ乗る? 私はねー、アレが良い! あの、直角に落ちる奴!」
 飛鳥は先頭で歩き、周りをぐるぐる見回している。そして、「直角に落ちる奴」を指差す。
 僕は耳栓に感謝するが、遥はもうフラフラしている。……飛鳥の叫び声、恐るべし。
「あのな、飛鳥。もうそろそろ昼だし、飯を先に済ませないか……?」
「えー? じゃぁねぇ……」
 顔に手を当て、考える事数秒。飛鳥は爆弾を落とした。


「――――圭が乗ってくれたらね♪」


 はぁ? などと返す暇も無く、遥が僕の腕を取った。怪しいくらいの笑みを貼り付けて。
「圭。飛鳥の叫び声の威力、体験してみろよ。俺にばっか押し付けんなよ?」
 ……乗って居ない僕は、そう言われるのだが、だが。
 乗りたくない。
 なんか、酔う匂いがする。
 乗りたくな――――…………

483:ゆう:2013/06/18(火) 23:34 ID:YyE

へっ 酔っときなさいよ。
どうせ乗せるもん。

484:RUUKA:2013/06/19(水) 14:10 ID:KAg

これって角川つばさ文庫の「怪盗レッド」をイメージしてるんですか?

485:ブラックキャット:2013/06/19(水) 16:29 ID:bAY

今ズルズル引きずられているのさ。可哀相に……。


RUUKAさん
オリジナルです。

486:ゆう:2013/06/19(水) 16:36 ID:CJc

よくやった、飛鳥。
可哀相て……自分じゃん………

487:ブラックキャット:2013/06/19(水) 16:42 ID:bAY

 ゴオオオオオオオッッッ!! と風の音が響く。
 さっきから飛鳥の叫び声が耳に届くが、そんな事気にしてられない。


 景色が入れ替わり、ものすごい速さで通り過ぎる。
 一回転、それと一瞬の浮遊感。

 ラストスパートと言わんばかりの遅さでレールの頂上に向かう。
 カタ、――――
 ギュンッ
 風圧がすごい。目も開けられなくなり、眼を瞑る。
 うわあああああぁぁぁぁぁぁぁ…………



「楽しかったねー! それじゃ、お昼にしよ」
 マップを持ち、何処にする、と笑う飛鳥。
 飛鳥が行きたいのは何処でも良いらしいが。
 其れと、僕は絶賛酔い中。
 ジェットコースターでも酔うんだな……。
 もう二度と乗らない、と固く決める。

 フラフラしている僕を見て、遥はざまぁ見ろ! と笑った。勿論、膝蹴りを食らわせたが。
「圭は? 何処に行く?」
 そんなことを知らず、飛鳥は笑っている。


 ――――そんなところが嫌いで、好きなんだよなぁ。


 ……もう普通にこんな事思えたら、其れは良い事なのだろうか。

488:ブラックキャット:2013/06/23(日) 16:56 ID:bAY

 がんがん痛む頭を抱えながらご飯を食べに行くのだが。
 ……当然のどを通るわけが無く。
「気持ち悪い……」
 呟くと、遥が僕の顔を覗き込んだ。
 その顔には呆れの色があって、何が言いたいのかわかった。
「まだ酔ってるのかよ。……じゃぁ」
 飛鳥を手招きしてこそっと耳打ち。
 ムッ、とするのも束の間、飛鳥は立ち上がってどこかへ行った。

「……何言ったんだ」
 何も〜? と遥はお茶を飲む。
 ……そのニヤニヤ笑いが気に食わない。
 目が怖いぞー。とからかわれるのを適当に流しながら、僕の思考はどんどん迷宮に迷い込んでいく。

 しかし、僕はこんなにイライラするタイプではないのだが…。
 何かストレスでも溜まってたのか?

 そこまで考えたところで、飛鳥が帰ってきた。
「お待たせー。私のがこれで、遥のはこれ。圭のはこれ」
 そういって目の前に置かれたのは、

489:ゆう:2013/06/25(火) 18:28 ID:wSE

嫌いで、好きなの?
矛盾してるけど、それが一番合ってるのかな。
あたしは、逆よ。
続きはあの場所でね。

苛々するタイプじゃない?
いつもそんな感じじゃん。
Hはるにも、Hとみにも、Mーちゃんにも、あたしにも苛々してるでしょ。
あぁ、特に姫様とかね。
ストレス溜まりまくりだと思うけど………
なあに? あたし何持って来たの?

490:ブラックキャット:2013/08/25(日) 16:48 ID:xoE

かなり久しぶりですね。

これ、かなり中途半端なので、もう1つ新しいのを作りたいと思います。
主人公は、飛鳥と圭の子供達です。

(誰に言うのかわからないけど)よろしくお願いします。

491:ニーちゃん ◆WWlM:2013/08/25(日) 19:35 ID:qYg

続き書いてください!気になります。

492:匿名さん:2013/08/25(日) 19:59 ID:oSs

漫画の「怪盗ジョーカー」かと
思っちゃいました(^∀^*)
人の本名とか出しちゃうのは
なるべく止めましょうね
貴方達も堂々とこのスレを
見ている人々に友達が本名を
公開するのはあまり
嬉しくはないと思いますよ

493:ゆう:2013/08/26(月) 12:07 ID:KAY

to匿名さん
大丈夫です。ひなって本名じゃありませんから。

toニーちゃんさん
本人に言っておきますね。
まぁ……恐らくないと思いますが………
怪盗ジョーカー Uのことも宜しくお願いします。

494:ニーちゃん ◆WWlM:2013/08/26(月) 13:23 ID:qYg

了解です!


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