LALA STORY  

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1:憂愛:2012/06/09(土) 19:52 ID:I..

見上げれば絶望の月。

見下ろせば暗い深い海。

見渡せば黒い黒い夜空。


私は出れない。


永久に。

2:憂愛:2012/06/09(土) 20:07 ID:I..

―――パルセナ海岸にて


「9・・・・10・・・11っと!」

サザラは、祖母に言われて星くず拾いをしていた。

この星くずは、祖母の作る秘薬の重要な材料となるのだった。

星くずとは、月に一度だけやってくる、セイリア流星群の破片だった。

キラキラと輝いていて、ひんやりしている。

サザラは、今月初めて星くず拾いを任されたのだった。

サザラの祖母はとても用心深い人で、いくらサザラが星くず拾いをさせてくれと頼んでも、

なかなか首を縦に振ってはくれなかった。

もしも星くず拾いをしているところを見られたら、

それはそれは大変なことになるのだった。

「誰に見られちゃ困るんだ?」

サザラは出かける前に、祖母に尋ねた。

祖母は渋い顔をして、声を潜めた。

「――パルセナ城の亡霊にだよ。あやつは星くず拾いをしているやつを、うんと恨んでるからねぇ」

「何で?」

「それ以上は話せないよ。まぁ機会があったら、話してやっても良いかもねぇ――。さぁ、早く行っといで。」

そういってサザラは、追い出されるように星くず拾いに出かけたのだ。

3:憂愛:2012/06/09(土) 21:15 ID:I..

パルセナ海岸の、西に聳え立つ、黒い城。

名を、『パルセナ城』という。

この城は、古代からそのままの形で残っている。

この城には、呪いがかかっており、亡霊がすんでいるという。




古代、この城では『魔女狩り』と呼ばれる儀式がさかんに行われていた。

『魔女狩り』。この儀式は、いわゆる『殺人』だ。

昔は、女はすべて魔女だと信じられてきた。

魔力を利用し、男をとりこにする。

そして、食べてしまうのだと信じられてきた。

そのことを危険に感じた古代の王は、女はすべて殺してしまおうと考えた。

それが、『魔女狩り』だ。

王は、女はすべて釜にいれ、毒を注ぎ、火であぶり殺してしまった。

自分の妃までも、殺してしまった。




『パルテナ城の亡霊』。それは、夫に殺された妃の怨念が魂となってこの世によみがえり、

城に呪いをかけたのだといわれている。

亡霊は、妃の怨念なのだ。


この城の中に入った者は、生気を吸い取られ、2度と戻ってこられないのだという。


サザラは、本当にそうなのか、興味があった。

しかし、祖母には絶対に中に入るなと念を押されていたので、入ることはできなかった。

4:KING:2012/06/09(土) 21:17 ID:ZH6

亡霊!?ですか。こわそう。
楽しみにしてます!

5:憂愛:2012/06/09(土) 21:36 ID:I..

呼んでいただきありがとうございます^^

じぶんはファンタジーのつもりで書いているつもりですが・・・w

またこれから面白くなるようにがんばりますのでよろしくお願いします!

6:KING:2012/06/09(土) 21:44 ID:ZH6

あ、0kです☆こちらこそ..♪

7:憂愛:2012/06/10(日) 09:33 ID:I..

祖母から魔女狩りの話を聞かされたとき、サザラはまだ9歳だった。

いまは15歳。

魔女狩りの話は、しっかりと理解できる。

理解できるからこそ、魔女狩りがいかに恐ろしい儀式なのか、手に取るようにわかった。



星くずを集め、家に帰ろうとしたときだった。


「歌が・・・・聞こえる。」

気のせいではない。

誰もいないはずのパルセナ城から、たしかに歌が聞こえてくるのだ。

それは悲しくて、切ないメロディーだった。

声は細く、繊細な声。

どこか、声を押し殺して歌っているようにも聞こえた。

サザラは立ち止まって、その歌に聞き入っていた。

(なんて悲しい歌なんだろう。)

しかし、誰が歌っているのか。

それは、サザラの好奇心をくすぐった。

(中に入ってみたい。)

その考えが、あたまにぽっと浮かんだ。

(いや、だめだ。)

頭をぶんぶんと振って、その考えを取り消そうとした。

(中に入ってしまえば、俺は生気を吸い取られて、死んでしまう。

 家では、ばーーちゃんが俺と星くずを待ってるんだ。ぐずぐずし

 ちゃぁいられない。帰らなきゃ。)


しかし、サザラの足はそこに張り付いて、動かない。

もっとこの歌を聴いていたい。

歌っている人を見てみたい。

パルセナ城の中に入ってみたい。

考えるのは、そのことばかりだ。

8:憂愛:2012/06/10(日) 12:11 ID:I..

(少しだけ・・・・少しだけドアを開けてみよう)

サザラは決心した。

そして、家へと向かっていた足をくるりと反対方向に向けると、

城に向かって歩き出した。

サアッっと、歩くたびに砂浜の砂が舞い上がる。

海はきらきらと月明かりで輝いているが、深く、黒く、入れば飲み込まれそうなブラックホールだった。


城に着いた。

見上げれば、月にまで届きそうな大きい城だ。

暗闇に溶け込んで形はよく分からない。

だが、古代から残っている、古い感じはあった。

重たい扉を、そっと手で押してみる。

冷たくてひんやりとしている。

そっと押しただけではあかなかったので、星くずを入れたバスケットを足元において、

両手で押してみた。

グッ・・・・力を入れる。


キィィィィィィ―――――・・・・・・・。


音を立てて、扉が少しずつ、少しずつあいた。

ギィィィィィィ―――――・・・・・・・。

扉は、サザラが入れるくらいの隙間ができた。

サザラはキョロキョロと辺りを見回して誰もいないのを確認すると

開いた隙間に体を滑り込ませた。

9:憂愛:2012/06/10(日) 12:13 ID:I..

お知らせです

「LALA STORY」

の感想を書くスレを作るので、今度からはそこに感想を書いてください。

ここのすれに、感想は書かないでください

よろしくお願いします☆

10:憂愛:2012/06/10(日) 14:30 ID:I..

――――パルセナ城内にて

バンッ!!!!

後ろでドアの閉まる音がした。

と、同時に、ホコリがぶわっと舞い上がる。

(ドア開けるだけって言ったけど・・・・中入ってきちまった・・・・

 生気・・・・・吸い取られないよな?)

いつの間にか、歌は聞こえなくなっていた。




中はとても広かった。

上を見上げれば、かなり高いところに立派なシャンデリアが釣り下がっている。

いまはほこりをかぶって綺麗には見えなかったが、昔はさぞかし立派なシャンデリアだったのだろう。

地下に通じる階段と、上に通じる階段がある。

扉を開けたところは、おそらくロビーだ。

サザラは、恐る恐る進んでいった。

あたりは真っ暗だったが、きょうは満月。

月明かりが中を照らして、なにかに躓くことはなかった。

くるりと見回すと、両方の壁に、4つずつ、扉がついている。

サザラは右側の壁の、一番手前のドアに手をかけた。

そーッとそーっと扉を開ける。


キィーーーっ

中に入ると、そこは衣装室のようだ。

さすがにドレス類はなかったが、大きなロッカーと、大きな鏡は残っている。

サザラは、鏡をのぞいてみた。

鏡を見てようやく気がついた。

「やっば・・・。星くず、外においてきちまった。」

(あちゃぁーー・・・。でも、まぁいっか。城に近づくものは、いないだろうし。)

家で自分を待っている、祖母のことを思い出した。

胸がぎゅっと苦しくなって、切ない思いがこみ上げてきた。

(早く帰ろう。もう、いいや。)

その部屋から立ち去ろうとしたとき―――――。

11:憂愛:2012/06/11(月) 15:19 ID:I..

ラン――ララ・・・・・

「っ!?」

ラン――ララララ・・・

(気のせいかっ?)

いや、気のせいではない。

たしかに聞こえる。

さっき聞こえなくなったはずの歌が、聞こえるのだ。

(あぁ・・・・やっぱりいい歌だ。)

サザラは立ち止まって、しばらくその歌に聞き入っていた。

そして、鏡に目をうつしたそのとき―――


「っぎゃっ!?」

サザラはあわてて視線を落とした。

(大丈夫。何もいない。何もうつってない・・・・絶対見間違いだ。きっとそうだっ!)

左胸に手を置いて、心を落ち着かせ、もう一度鏡を見た。

「っっっ!!!!???」

言葉にならない悲鳴が出た。

見間違いなんかではない。

その鏡にはうつっていたのだ。

見てはいけないものが。

絶対見てはいけないものが。

しかし、うつってしまっていたのだ。


――――鏡の中から、こちらを恨めしそうに見ているみている亡霊が・・・・・・・

12:憂愛:2012/06/12(火) 21:45 ID:I..

血の気のない顔。

ぼさぼさののび放題に伸びた髪。

黒いドレス。

うつろな目。

半透明な体。

まちがいない。パルセナ城の亡霊だ。

サザラは、ゆっくりゆっくり振り返った。

もしかして、鏡に映っているのは、俺の見間違いだけなのかもしれない。

いや、そうであってほしい。


しかし―――

(いるっっっ!!!!!)

見間違いではない。

本当にいたのだ。

扉の前に、ひっそりとたたずんで、こっちを見ている亡霊。

―――生気を吸い取られる!!

「オ前・・・・ドコカラ入っテキタ・・・・」

しわがれた声で、亡霊は言った。

しゃ・・・・、しゃべれるのか・・・・・

「ココハ、人間ハ、呪イガカカッテイルト恐レテ、ハイッテコレナイハズ・・・・・」

「おっっ、俺はそんな呪い怖くなかったんだっ」

さっすが俺!亡霊に言い返した!おれ、グッジョブ!

・・・・・じゃなくて!!!

サザラはごくりと唾を飲んだ。

「ナラバ・・・・・」

「コロスマデ。」

13:憂愛:2012/06/13(水) 16:12 ID:I..

亡霊は、片手に持っていた剣を振り上げた。

俺、あれに貫かれて死ぬのかっ!?

くっそ・・・・こんなことになるなら、城の中になんか入らなきゃよかった。

星くずを集めて、早く家に帰ればよかった。

サザラを、激しい後悔の波が襲った。

とにかくっ―――・・・・

サザラは後ろに一歩下がると、一気にドアまで走った。

亡霊が、振り返る。

「マテェェェ!」

「はっ。この状況で待てって言われて待つやつがいるかよ!!!」

俺は扉を開けて一気に外に出た。

そして外から鍵をかけて、亡霊を閉じ込めた。

「ざまぁみろっっ!」

ふぅと一息ついたそのとき―――

すぅーーと亡霊が、扉を通り抜けて出てきた。

「そんなのありかよっ!?」

「オ前バカダロ。ワタシハ亡霊ダ。扉ナンテ、カンタンニ通リヌケラレルンダ。」

亡霊がニヤッと笑った。

「今度コソ・・・・・!」


亡霊が剣を振り上げた。

絶体絶命。もうだめだ―――。

サザラはそう思って、ぎゅっと目を閉じた。


そのとき――

14:憂愛:2012/06/19(火) 15:51 ID:I..

ガタンッ

隣においてあった、よろいが動いた。

え?よろいがうご・・・・・

ドッシャァーーーーン!!!!!!!!!!

よろいは、耳をふさぎたくなるような音を立てながら、亡霊の上に倒れた。

「助かった・・・・・」

でも、しょせんは亡霊だ。

また、復活して動き出すに違いない。

その間にここから出なきゃ。

サザラは辺りをぐるりと見回すと、一目散に扉に駆け出した。

しかし・・・・・

「ハハハハハハ。今度コソ逃ガサナイゾ。」

亡霊がふわりと、扉の前に現れた。

あぁ、これだからもう嫌なんだよっ!

俺はくるりと方向を変えると、無意識に上へとつながる螺旋階段を、

必死に登っていた。

ホコリっぽくて、暗くて、月明かりでわずかに下が見えるだけ。

ほかは真っ暗だった。

この上に、あの歌を歌っている人がいるんだ。

・・・・・・・人だと良いんだけどな。


もしかしたら、亡霊がおってくるかもしれないと思ったサザラは、さっきのよろいについていた剣を

腰につけていた。

きくかどうかは分からない。

でも、ないよりましだ。


長い長い螺旋階段を上りきった先には、薄汚れた扉があった。

この先に、歌っていた人がいるんだ。

胸がドキドキと高鳴った。

亡霊は、サザラがここにいるとは知らないのか、必死に下を探し回っているようだ。

サザラはふぅと一息つくと、

扉を開けた。

15:憂愛:2012/06/20(水) 17:03 ID:I..

流石にここまで来ると、歌は大きな声で聞こえた。

サザラはひんやりとしたドアノブに手をかけると、一気にまわして扉を勢いよく引いた。

中にいたのは、

サザラと同じくらいの背の女の子だった。

ぼさぼさの、のび放題に伸びた真っ黒な髪の毛。

いろんなところでもつれ合って、足まで伸びていた。

ぼろぼろの服からのぞく手足は細くて、白くて、傷だらけで、哀れだった。

くるりと振り向いてサザラを見た顔は、

やせこけていて、目だけが大きく開かれていた。

いま歯汚い格好をしているけど、綺麗にすればかなりの美人だ。

16:憂愛:2012/06/20(水) 19:36 ID:I..

少女は驚いた顔でサザラを見た。

大きな目がしっかりとサザラを捕らえて、離さなかった。

サザラはちょっと気まずくなって、下を向いた。

「あの・・・今の歌、君が歌ってたの?」

少女は不思議そうな顔で、それでもサザラをしっかりと目でみつめながら言った。

「えぇ。そうよ。あなたは――」

「俺の名前はサザラ。海岸沿いの家にすんでる。」

「どうしてここに・・・・・」

サザラはいよいよ気まずくなって、ぽりぽりと顔をかきながら言った。

「歌が聞こえて、歌に誘われてここまで来たんだ。その・・・君が歌っている歌にさ」

「亡霊には、見つからなかったの?」

「もちろん見つかったさ。でも、俺ここまで振り切ってきたんだぜ。」

へへへっとサザラは笑った。

変わった子・・・・

少女は思った。

「追いかけてこねぇかなぁ・・・・亡霊・・。」

ぽつりとサザラは言った。

ドアをじっと見る。

今にも扉から亡霊がするりとすり抜けてきて、サザラを捕まえてしまいそうで恐ろしかった。

少女はクスリと笑った。

「自分の城に入ってきたねずみを、亡霊はほうっておく分けないでしょうね」

「君は、いったい何者だ?」

「・・・・・・・・・・・」

少女は黙った。

サザラは、何かいけないことでもきいてしまったのかとあわてた。

そして、あわてて質問をそらした。

「君、名前は?」

「・・・・・・名前なんてないわ。」

少女は悲しそうな声で言った。

「でも、亡霊は私のことを『シンデレラ』と呼ぶわ」

「シンデレラ・・・・・いい名前じゃん」

「っぷ」

急に少女が、くっくっクックッと笑い出した。

「ばかね。シンデレラは、『灰かぶり』って意味なのよ。」

カァ・・・///

サザラは耳まで赤くなった。

そんなこと、知らなかった・・・・・。



この子・・・・・可愛いな。

サザラは、少女の笑顔を見て思った。

でも、この子はいったいここで何をしているんだろう・・・・・?


「ん?」

サザラは、少女の体で1つ、変なところを見つけた。

それは、『首』だった。


この子・・・・、首輪をつけられているっ!

と、言うことは、この子・・・・

亡霊につかまっているのか?


その首輪はよくみると、10個の穴が開いていて、何かがそこにはまりそうだった。

でも、何をはめるんだ・・・・?

サザラはじっと考えこんだ。

「サザラ。」

不意に少女が呼びかけた。

サザラは名前を呼ばれたのがうれしくて、恥ずかしくて、そして照れくさくもあった。

「えっ・・・あっ、うん、。どした?」

少女はちょっとためらってから、きっぱりといった。

「私をここから出して。」

17:憂愛:2012/06/22(金) 16:49 ID:I..

え?

少女を、ここから出す?

少女はうつむいて悲しそうな顔をした。

「私・・・・ね。亡霊にここに閉じ込められているの。

こんなところ、早く出たい。お願い。私をここから出して。」

たしかに、少女は体中あざだらけで、傷もあって、

どうも好きでここにいるわけではなかった。

「でも・・・・どうやって・・・。」

サザラも、どうやって帰ろうかと迷っていた。

下まで降りていけば、亡霊に見つかってしまうだろう。

かといって、秘密の抜け道なんかもありそうになかった。

どうしたらいいのか・・・と、部屋をぐるぐると回って考えていた。

すると、あるものが目に付いた。

それは、『窓』だった。

この部屋には、大きな窓がひとつだけあった。

窓枠にサザラがたっても、もう1人分くらいのスペースがある。

「なぁ・・・君。」

「君って言うの、やめて欲しい。」

少女がきっぱり言った。

「う゛・・・じゃぁ・・・・。」

「じゃぁ?」

サザラは耳まで顔を真っ赤にして、ぼそっっと言った。

「ララッっていうのは・・・」

「え、何?聞こえない。」

くっそぉ・・・・とおもって、サザラは少女の顔を見た。

あっ・・・、こいつ・・・。


「おまぇ・・・っ、、笑ってるだろっ!!!!!」

ムキーーッ!こいつ、俺のこと面白がってるだろっ!


サザラはジタンダを踏んだ。

少女は、くっくっくっくっと、肩を震わせて笑っていた。

「で?私の名前、決めてくれた?」

少女はまだ笑っている。

サザラはふぃっと横を向いて、真っ赤になっていった。

「ララッてのはどうだ・・・・・?『歌姫』っていう意味だけど・・・・」

「なんで、歌姫?」

少女はさらに聞いた。

「さっき・・・お前が歌ってた歌が・・・綺麗で・・・歌姫みたいだったから・・・・」

18:憂愛:2012/06/24(日) 11:13 ID:I..

「ふぅ〜ん・・・・・・」

少女は、うつむいて考え込むと、にっこり笑っていった。

「いい名前・・・。」

サザラの顔がぱっと明るくなった。

「じゃぁ、ララって呼んでいいんだなっ?」

「うん。」

サザラは飛び上がるほどうれしかった。

「で、話を戻すけど、」

「うん。」

「ララは、高いところへいきか?」

「もちろん。だって、ここに住んでるんですもの。」

「あ、そっか・・・・。」

「あの・・・・さ、」

サザラは言おうかどうか迷ってから、もごもごといった。

「夜の海に飛び込む、勇気はあるか?」

「え?」

ララの顔に、『?』が浮かんだ。

どうやら、理解できなかったらしい。

「えと・・・、つまり、ここから出るために、夜の海に飛び込むってこと?」

「まぁな。」

サザラは苦笑した。

「いいよ。」

「え?」

答えは意外にあっさり出た。

「だって、私ここから出たいから。」

「そっか・・・・・。」

サザラは窓を前回にすると、窓枠の上に立った。

見下ろすと、ブラックホールのような海が広がっている。

入れば、たちどころに飲み込まれそうだ。

ゴクリと、息を飲む。

サザラは、ララに手を差し出した。

ララは、その手をぎゅっと握った。

(冷たい・・・・・・)

ララの手はひんやりしていて、冷たかった。

ララは足にぐっと力をいれ、窓枠の上にストンとのった。

「じゃぁ、行くぞ。」

ララが隣で、こくりとうなずいた。

サザラはララの体をぎゅっと抱きしめ、体制を低くして、思いっきり窓枠をけって、

夜の海に飛び込んだ。

19:憂愛:2012/06/29(金) 19:27 ID:I..

耳元で、風がうなり声を上げている。

体はぐんぐんと落ちて、もうすぐ海に到達しそうだった。

―――落ちる!


サザラはぎゅっと目をつぶると、覚悟を決めた。


バシャァァァぁーーーン!!!!

サザラと、ララの体が、水しぶきをあげて夜の海に落下した。

20:憂愛:2012/07/04(水) 21:12 ID:I..

ごぼごぼ・・・・・・

水の音が聞こえる。

サザラはララの体を抱いたまま、水面へと上昇していった。

チャプッ

「ぷはっっ」

顔が、水面に出た。

夜空は真っ暗で、無数の星キラキラと光り輝いていた。

ぴゅぅっっと、冷たい夜風が頬をなでた。

サザラはすぅっと息を吸うと砂浜へと泳いでいった。

21:憂愛:2012/07/13(金) 21:18 ID:I..

――――パルセナ海岸にて


シャリ。

砂浜を踏みしめる音がした。

「どうやら、俺ら無事にいきてるみたいだ。」

サザラが言った。

「うん・・・・。」

ララが、疲れた声で言った。

「どうした?」

サザラがララの顔を心配そうに覗き込んだ。

「ちょっと・・・疲れちゃって・・・・。」

ララは、弱弱しい笑顔で微笑んだ。

もうちょっとだから、がんばろう。


サザラはララにそう声をかけると、パルセナ城へと足を急がせた。

「ちょっとまって、いまさら城に、何しに行くの?」

ララが、サザラを引き止めた。

サザラはくるっと振り返ると、忘れ物、とだけいって城へと向かった。

22:憂愛:2012/07/14(土) 12:05 ID:I..

ララは、もう城には行きたくないから、といって、砂浜で待っていた。

サザラは、足を急がせた。

「あっった・・・・・。」

忘れ物とは、サザラが城に入るときに、おいていってしまった星くずだった。

星くずは、かごの中でキラキラと輝いていた。




サザラはララのところに戻ると、家へと向かった。

「この先に、俺の家があるんだ。ばぁちゃんがいる。話は、そこでしよう。」

ララは黙ってうなずくと、サザラの後に続いた。



かみの毛から水滴が、ぽたぽたと零れ落ちる。

口の周りをなめると、しょっぱい塩の味がした。

家には明かりがともっていた。

家を出てから、かなり時間がたっている。

ばあちゃん・・・・・心配しているだろうな。

怒られるのを覚悟で、サザラは家のドアを空けた。

「ただいま・・・・。」

「サザラッ・・・」

祖母は、机の上に本を広げて、何かを作っていた。

サザラを見るなり、真剣な表情が緩んで、クシャッと崩れた。

「心配したんだよこのばかっ・・・・・こんなびしょぬれで・・・いったい何やってたんだい。」

「ごめん・・・・」

サザラは苦笑いを浮かべた。

祖母の目が、サザラの後ろに隠れているララに移った。

「サザラ・・・そのこは?」

「あぁ。」

サザラはララの前からどいた。

ララの目はおびえていた。

「話はまた後で。とりあえず、綺麗にしてやらないと。」

「お嬢さん・・・名前は?」

「・・・・・・・ララ。」

ララが、消えそうなほどの小さな声で言った。

「ララ。では、こちらにきなさい。」

祖母がにこっと笑った。

「サザラ・・・」

ララは、サザラに助けを求めた。

「大丈夫。ララ。ばあちゃんは悪いやつじゃないから。」

サザラはにこっと笑った。

あ、やっぱり、この人たち家族だ。

ララは思った。

笑顔が・・・・似ている。


「サザラ、そのこタオルで体を拭いておきなさい。」

祖母が、むこうの部屋から怒鳴った。

「へーい」

サザラは気のない返事をすると、ララの体を押した。

「ほら、ばあちゃんまってるから言ってきな。後で、なんか食べよう。」

ララはうなずくと、祖母のいる部屋へと入っていった。

23:憂愛:2012/07/22(日) 17:02 ID:I..





「これで体を拭きなさい。湯はそこにためてあるから、つかって、体を温め。

 これを着て出てきなさい。分かったね、ララ。」

「はい・・・・。」

ララは、持っていたタオルで、思わず顔を覆った。

初めてだった。

こんなに優しくされたのは。

「うっ・・・うう・・・・っ」

出たのは、泣き声。

こらえようとしても、後から後から出てきて、止まらなかった。

サザラの祖母が、心配そうにこちらを見ているのが分かった。

ララはすんっと鼻をすすると、

「ごめんなさい・・・。」

と小さくつぶやいた。

サザラの祖母はにこりと笑うと、背中をさすってくれた。

「大丈夫。何があったかは知らないけど、辛いときは泣いていいんだよ。」

呪文のように、祖母が言った。

その声が暖かくて、

背中をさすっている手が暖かくて

ララの体の中から、なにか熱いものが込み上げてきた。

ララは、今度は我慢せずに、

大声で泣き出した。

サザラの祖母が、ずっと背中をさすってくれていた。

ララはわっと祖母に抱きつくと、

落ち着くまでずっとなき続けた。

祖母は、優しくララを受け止め、

「大丈夫。大丈夫」

と、繰り返していた――――。

24:憂愛:2012/07/28(土) 10:45 ID:I..

「おばあちゃん、あのね・・・・」


ララは落ち着くと、浮かない表情で祖母に言った。

「どうしたんだい?」

祖母も、不思議な顔でたずねた。

「・・・・あのね」

ララは言おうかいわまいか迷っていた。

でも、どうせはばれてしまうことなんだから、言った方がいいのかもしれない・・・・

ララは覚悟を決めた。

「これを見てください。」

25:憂愛:2012/08/22(水) 11:50 ID:I..

ララは、服の紐をそっとほどくと、
背中を祖母に見せた。

その背中にあったものを見て、祖母は息を呑んだ。

「これはっ・・・」

26:憂愛:2012/08/26(日) 13:21 ID:I..

そこにあったのは、羽の跡。
方のしたあたりから、黒く紫色の羽の跡が残っている。

ララはそっと服を着ると、祖母に向き直った。

「わたし・・・、天使なんです。」


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