スクエア・ゲーム

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1:咲:2012/08/01(水) 09:33 ID:/Y6




 大きくなっても二人は一緒
 ずっとずぅーっと変わらない
 もしも二人が引き裂かれても
 お互いのことは忘れない



そう誓った、あのとき。
そう歌にした、あのとき。
おれ達はまだ知らなかった。
あの瞬間にはもう、運命の歯車は廻りだしていたことに――――――。

2:咲:2012/08/01(水) 11:48 ID:/Y6

FILE1 記憶
「彼方様ー」
「彼方様ぁー どこにいらっしゃるんですかぁー?」
………。
「彼方様ぁー」
「どうしました? 桂子さん。僕なら、ここにいますけど。」
「彼方様! いったいいままでどこにいらっしゃったんですか?」
「自分の部屋にいましたよ。」
「そうだったんですか。おさわがせして、すみませんでした。」
「いえ、大丈夫です。 それで、何かあったんですか?」
おれは優しく微笑み、改めて聞いた。
「そうじゃないんですけど、あの、旦那様がお呼びです。」
「お父様が?」
「はい。なんでも、新しいボディーガードが決まったから、大広間にこい。と……」
ああ、そのことか。
「わかりました。すぐにいきますと、伝えておいてください。」
「かしこまりました。」
ふう。
これだから、お金持ちは困る。
おれの名前は、一ノ瀬彼方。(いちのせかなた)
世界にその名をとどろかせる一ノ瀬グループ(一ノ瀬財閥ともいう)の一人息子だ。
家の中では小さな存在だが、庶民にとっちゃあめちゃくちゃ大きな存在らしい。
つまり、金持ちはいろいろ大変だってことだ。
でも、おれには裏の顔がある。
いや、表かな。
おれの喋る口調と、心の中の声の口調が正反対なのは、おれが猫をかぶっているから。
ま、それについては、後で詳しく話すよ。
「失礼します」
いつのまにか大広間についていたらしい。
「ご用でしょうか。」
マニュアル通りの答えを返す。
「彼方、広間の中央へ移動しろ。」
命令が下る。
操り人形のように、おれは移動した。
「紹介しよう。 新しいボディーガードだ。」
カーテンの奥から現れたのは、1人の女子。
彼女はおれの前にひざまずき、笑った。
「佐倉伊吹、13歳。これからよろしくお願いします。」
ほがらかな声。
おれの脳裏に、ある記憶がよみがえる。
「彼方?」
「あっ はい、よろしくお願いします。」
彼女……佐倉伊吹(さくらいぶき)が笑った。
「彼方、部屋に案内しなさい。」
「はい。」
「よろしくお願いします。」
佐倉伊吹が礼をする。
目があった。
その瞳には、強い意志が宿っていた。

3:アリス pmp3:2012/08/01(水) 23:02 ID:vs2

来たよ♪うーむ…これって恋愛小説!?

4:瑠香:2012/08/01(水) 23:08 ID:i-rPc

面白い小説やな!

5:咲:2012/08/02(木) 13:15 ID:VMY

アリス、どうでしょうねえ。
ま、これからのお楽しみ。
瑠香さん、はじめまして。
おもしろいかな。

6:咲:2012/08/02(木) 14:49 ID:VMY

「で、ここが伊吹さんの部屋です。」
「………」
「すぐとなりが僕の部屋なので、なにかあったら……」
「しっつれいしまーす!」
って ええええ!
いきなりおれの部屋に入るのかよ!
「あー 疲れた。」
そう言って、伊吹はベッドに倒れこんだ。
「うわっ このベッドめっちゃふかふかやん! 気持ちええわぁ〜」
かっ 関西弁?
「ほら、あんたもこっちきいや。」
……なんだその態度は。
でも、反抗するのもめんどくさい。
ぐいっ
えっ
伊吹に手を引かれ、ベッドに押さえつけられた。
「なっ………」
「そろそろ変装を解いたらどうや。」
「変装?」
まさか、こいつ……
「とぼけても無駄や。 あんた、猫かぶっとるやろ。」
………。
ばれたか。
「いつ気付いたんだ?」
「あんたと最初に目ぇ合ったときや。」
「……意外と鋭いんだな。」
「当たり前。うちをなんだと思っとん?」
そう言われ、おれは伊吹の目をみつめる。
………。
「何者なんだ? お前は。」
「どーゆーことや?」
「まず、お前の服装。」
伊吹が自分の服を見まわす。
上半身はセーラー服のリボンなしの七分袖。襟以外灰色。
それに、真っ黒の指出し手袋。
下半身は真っ黒で、二ヶ所織り目がついてるひざ上スカート。
黒の短いバックル付きブーツを履いている。
「これがなんなん?」
「そこじゃねえよ。お前の顔。」
「顔?」
「黒い口元の覆面、同じ色の左目を隠す網素材の三角形の眼帯。 これをどう説明するんだ?」
伊吹が黙る。
目を伏せた。
「どうなんだ?」
「………火事にあったんや。幼いさい(ちいさい)頃。」
火事?
「いきなり炎が燃え上がって、うちも、弟も、妹も、みんな炎に巻かれて、生き残ったのはうち一人。」
………。
「そのうちも体中に大やけどを負い、いままでの生涯すべて治療。」
………。
「退院して1年、この仕事をみつけた。 そして、あんたに会ったんや。」
………。
「なるほど。」
「納得した?」
「ああ。でも……。」
「でも?」
伊吹が不思議な顔をする。
「お前は、この名前を知らないか? 桐谷栞という名前を。」
「桐谷……栞?」
彼女は、不思議そうな顔をした。

7:咲:2012/08/03(金) 10:01 ID:Zrs

「桐谷栞(きりたにしおり)……桐谷グループ(桐谷財閥ともいう)の社長令嬢。」
「それなら知っとる。兄姉妹弟(きょうだい)の末っ子やろ?」
おれはうなずいた。
「それに、栞は、おれの幼なじみでもある。」
伊吹が目を見開く。
「……言われてみればそうやな。同じ財閥同士、仲良うやるパターンもあるわ。」
納得したらしい。
一回息をつくと、おれは過去を振り返りながら語りだした。
「栞と初めてあったのは、生まれた5日後。 そのときもうすでに結婚が決まっていて、もう2人の未来は約束されたようなものだった。」
「うへぇ……」
「なにがうへぇだよ。仕方ないじゃないか。」
金持ちは大変なんだよ。
「それからは1週間に3回は会ってた。栞か、おれの家でかけまわって遊んでた。」
「ちっちゃい子ってよくするわあ。」
まあな。
「でもあの日、すべてが壊れた。」
伊吹の顔に、緊張が走る。
「3歳のとき、栞の家が放火された。」
「放火……?」
「被害は広範にわたり、栞の部屋も全焼した。」
「………」
「栞は逃げ遅れて、助からなかった。」
伊吹が目を伏せる。
「栞だけが助からなかったんだ。 そしてなぜか、遺体もみつからなかった。」
伊吹は、うつむいたままだ。
そこへ、おれは疑問をぶつけた。
「お前の姿……栞にそっくりなんだよ。」
栞も、おれの猫かぶりをすぐ見破ったし。
「……違う。」
伊吹がつぶやいた。
「うちはあんたの言う栞とちゃう。うちは佐倉伊吹や。ようみてみぃ。」
目をみつめる。
その瞳には、心の中を見通すような気迫が宿っていた。
ついさっきは、強い意志のこもった瞳。
そこもそっくりなんだけどな。
「じゃ、改めてよろしゅうな。彼方。」
………。
いま、彼方って……。
ふっ
「こちらこそよろしく。伊吹。」
彼女はにやりと笑う。
ここも、そっくりなんだよな。

8:咲:2012/08/07(火) 16:21 ID:G/g

FILE2 油断
誰かがおれの名前を呼んでいる。
「彼方様、彼方様」
たぶん、家政婦(あれ、メイドだったかな)の桂子さんだろう。
でも、返事はしない。
する必要もない。
「どうしましょう……」
「桂子さん、どうかしたんですか?」
伊吹だ。
「彼方様がまだ寝てらっしゃるみたいなんです。」
「……ふぅーん まだ寝てるんですかぁー」
ガチャ
「ほんとだー まだ寝てる」
……嫌な予感。
「早く起きないかなぁー」
ぐいっ
いきなり腕を引っ張られ、背中に押し付けられた。
「いぃててててててて!」
「あー やっと起きたぁー」
「ちょ、ちょっと伊吹さん!」
桂子さんが仲裁に入った。
「もう起きられたことですし、やめておいたほうが……」
「そうですね。 ところで、この部屋にいつまでも居ていいんですか?」
「あっ 朝食!」
ぱたぱたと駆け出す。
「………いったいんだよ! そろそろ離せ!」
「あ ごめん」
ったく……。
「で、なんでまだ寝とったんや?」
「………言わなくても、検討ついてるんだろ?」
「あったりまえやん! 話したろか?」
勝手にしろ。
「返事すんのめんどくさー思ぉて、寝たふりしたんやろ? うちもようやるけえ、すぐ気付いたんや。」
「そうだと思った。同じ子供だからな。」
「そうそう、その子供や。 子供なら、平日どこ行かなあかんねん?」
「学校……あっ!」
忘れてた!
「い、いま何時?」
「8時5分。 さあ、急がなあかんでぇ。あと25分で遅刻や!」
「桂子さん? いますぐ車を用意するよう、鈴木さんに伝えてください!」
家内電話で桂子さんに伝えると、おれ達は大慌てで準備を始めた。

9:咲:2012/08/24(金) 09:04 ID:1.s

おれの視界の中で、桜の花弁がひらひらと舞う。
その中に混じる、1人の女子。
口から出てきたのは、一言。
「何してんだよ。」
「何してんだよ? どーゆー意味?」
「そのままだよ。」
「そらそーやろ! うちはあんたのボディーガード。学校でなんか起きたらどないすんの?」
………。
「どうもこうも、ここは学校だぞ。セキュリティが万全なはずだ。」
「あ、「はず」言うた(ゆうた)な。 はずは、万全ではないっちゅーことやろ?」
うぐっ
「つぅーまぁーりぃー、うちの手助けが必要になるときもくるかもしれんっちゅーわけや。」
………。
「そのために、うちはやとわれとるんやで。」
………。
「わかった。でも、お前この学校に通うのか?」
「あったりまえやん! もう転校手続きもしてはる。じゃ、教室行っくでぇー!」
「あっ おい、待てよ!」

10:咲:2012/08/27(月) 15:51 ID:dHc


        ☆

「ここが教室。」
「へぇー 1年1組なんやぁー」
興味津々な伊吹。
「1個1個部屋に、何人もの人が入って、一斉に勉強するん?」
「そう。」
「えー うち嫌。帰る。」
えっ
「うち嫌って、今までずっとそうだろ?」
「忘れたん? うち、学校来たことないんやで?」
あ、そうだった。
今までずっと病院だったとか……。
「さぁーて、入ろう。」
勝手に扉を開ける伊吹。
おい!
「伊吹、やめ……」
「みんな、はじめましてぇ! うち、じゃない、わたし、佐倉伊吹! ここにいる一ノ瀬彼方のボディーガードで……」
「きゃあぁぁ―――!!」
………来た。
「彼方様ぁ――――!」
教室の入り口に押し掛ける女子の大群。
そのいきおいで、伊吹は吹っ飛ばされた。
標的のおれも吹っ飛ばされる。
「か、彼方、こいつらなんなん!?」
「なぜかおれに付きまとうめんどくさい女子。」
「あ――――……」
何か考えてる。
「そーゆーこと。」
伊吹はにやりと笑った。
……?
「疑問みたいやな。」
「そりゃそうだ。」
「つぅーまぁーりぃー、あの女子群は、あんたのこと好きなんや。」
……は?
「冗談?」
「ちゃうちゃう! ほんまのことやってん!」
………。
「こっちはすごく迷惑なんだけど。」
「そらそうや。そーゆーもん。」
はあ。


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