私のセカイと君のセカイ。

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1:姫♪:2012/08/17(金) 17:55 ID:5y6

まぁ、荒らしは禁止、アドバイス感想大歓迎、批判は一切受け付けない。
雑談は控えるようにお願いします。
んじゃあ、短い短い前置きは終わりましょう。
START!です!

2:眞璃亜:2012/08/17(金) 17:58 ID:LIo

頑張ってください!!応援してます♪

3:姫♪:2012/08/17(金) 18:04 ID:5y6

プロローグ



―――人間って、なんなんですか?

己が欲望のためには他人を蹴落とし傷つける。

最低な下等な生き物だと思いませんか?

“愛情”なんてくだらない。

そんな生き物を作る意味なんて、あったんですか?

ねぇ、神様。

なんで人間の性別を分けたんですか?

性別なんて無ければ、みんな同じであれば。

みんな同じ思考で、みんな同じ顔で、みんな同じ体で。

そうすれば争いは起こらなかったと思いませんか?

ねぇ、神様。

答えてくださいよ、私のささやかな質問にくらい。

みーんな同じだったら、みーんな仲良くハッピーエンドだと思いませんか?

みーんな同じだったら、みーんな楽しく過ごせたと思いませんか?

ねぇ、神様。

あと一つだけ聞かせてください。

性別どうたらどうでもいい。

―――なんで人間なんて生き物、作ったんですか?

4:姫♪:2012/08/17(金) 18:06 ID:5y6

>>眞璃亜様
さっそくの書き込みありがとうございます!
頑張ります!

>>来てくださった皆様
申し訳ありません、プロローグに人間の事をものすっごくひどく書いてあります。
これは主人公の子の考えなので、気にしないでください。
申し訳ありません。

5:姫♪:2012/08/17(金) 19:37 ID:5y6


「俺と付き合って下さい!」
「消えてください」
高等学校の中庭。精一杯の告白を蔑まれた男子生徒が沈みながら帰って行く。

私の名前は絢沢由愛(あやさわ ゆめ)。
自称学校1可愛くない女子。他人から見て学校1可愛い女子。…らしい。
正直そんな肩書どうでもいい。そんなものがあるせいで自分は壊れた。

嗚呼、今日もすべてが壊れる音が響く。

―――バシッ

いじめっ子の手が私の頬をはじく。ちょっともてたりする位でこれだ。
まぁ、派手な音の割に対して痛くない。だから平然と黙っている。
「…なんで何も言わないの!?」
ヒステリーを起こした女子がぎゃあぎゃあ騒ぎ出す。私は平然と言葉を返した。
「…全く痛くないから」
途端に女子がそうだな、マンガとかで例えるなら『ビキッ』なんて効果音が似合いそうな表情をする。
「この…!」
―――ドカッ
「…ッ」
鈍い音が中庭に響く。女子の足が私の腹に食い込む。
「これは痛いんだぁ?」
女子が私の前髪をわしづかみにして、顔を上に向ける。
「…ッ。触るな…汚れる」
「…この野郎…!!」
思いっきり私を突き飛ばす女の子は、私を残してどっかに消えてった。


続く。

6:眞璃亜 ◆upPI:2012/08/17(金) 19:39 ID:LIo

頑張ってください(`・σ・´)
小説上手いですね!!文才を分けて欲しいです…
タメ口okですか??私はokです♪

7:姫♪:2012/08/17(金) 20:39 ID:Y2s

>>眞璃亜様
頑張ります!
いえいえ、私なんかの文才もらったら逆に下手になりまする。
OKです。が、私はこのまま通させてもらいます!

8:姫♪:2012/08/18(土) 10:22 ID:wiQ


「…つまらない」
そう、何もかもつまらない。
勉強は常にトップ。自分の容姿を可愛くしようとも思わないから磨かない。
いじめられても何も感じない。寧ろ可哀そうだと思う。
「…馬鹿らしい」
制服を脱ぎもしないでベッドに横になると、そのまま眠ってしまった。

私は今、一人暮らし。家族はいない、天涯孤独って言うやつ。
普段はお手伝いさんが来てくれて、身の回りの世話している。
生活するための費用は親や親戚の生命保険。
生命保険だけであと数十年は生きれるだろう、と思う。
住んでいる家は西洋風の屋敷。土地から家まで私の家のもの。
だから家賃とかはゼロ、お金はほとんどかかんない。
ただ税は取られるけどね。


朝の学校はとんでもなくさわがしい。耳をふさぎたくなる。
「…今日の放課後、中庭ね」
「…嫌。面倒くさい」
いじめのお誘いは丁重にお断り。大したことはされないだろうけど、傷がついたら困る。
「いいから来い。来なかったらどうなるか分かってるよな?」
「…行くわけないでしょ」
「いいから!」
あー…もう強制ですか。はぁ…面倒くさい。

昔からの貴族の一人娘だった私は、小さいころから英才教育を受けてきた。
貴族、なんて非現実的だけど、昔の日本には普通にある制度だった。
平民とは180度異なる対応を受け、天狗になっていた馬鹿ども。
それが日本の貴族だ。
…話がずれたけど、英才教育のおかげで授業は普通に分かる。
だから、面倒くさい。授業は受けなくてもテストは常に上位キープ。
必要ないことはしたくない、時間の無駄。
つまんないつまんないって言うなら、楽しいこと見つければいい。
そんなに簡単な事じゃないんだよ。

「…来たけど、何この男」
結局放課後、来てしまった私。別にいじめなんて怖くないけど、面倒くさいのは嫌だ。
「ちゃんと来たのね、えらいじゃん」
「…何その上から目線」
「うるせぇ馬鹿女」
中庭には、3人の女子と5人くらいの男。はぁ、何されるんでしょうね、今日は。
―――ガッ
思いっきり壁に押し付けられる私。派手な音が中庭に、空間に響く。
「お前、マジでむかつくんだよ!」
「…知らないよそんな事」
私が知るわけないじゃん。あなた達の苛立ちなんて。
「…いいよね、喜怒哀楽」
「は?」
「…何でもないわよ」
「…もうやちゃって」
「うっす」
私を突き飛ばして、後ろに下がる女子に代わって、男子が私に近づいてくる。
…ニヤリと気持ち悪い笑みを浮かべて。
「そっち抑えといてー」
「了解ー」
男たちが私の体を取り巻き、触り始める。それで分かったかも、今からなにされるか。
…これは世に言う、レイプって奴だ。
「触るな…汚れる」
静かに冷酷な声で言い放つ。そんな私に一瞬仰け反る男だけど、すぐにまた体を触り出した。
はぁ…人の体にべッタベタ触りやがって、気持ち悪い。
ほぼ無抵抗な私のブラウスに、一人の男が手をかけた時、私は言葉を出した。
「…あんた等も対外可哀そうだね」
「…あ?」
「こんな奴らに踊らされて。可哀そうだし、馬鹿らしい」
こんな奴ら、と言って女子たちに視線を向ける。男は一瞬女子を見て、また私に向き直った。
「なにが言いてぇんだよ?」
「…別に。いじめなんて楽しいのかなって。そんなくだらないことで、人生の100分の1は無駄にしてるんじゃない?」
「な…」
「ただでさえつまらない人生を、くだらないことで無駄にして。羨ましいね、そういう風に生きれて。
…つまらない人生を楽しく生きてる。…馬鹿みたい」
長い言葉を言った後、男たちの手が私から離れた。
それを見た私は、平然と立ち上がって中庭を後にした。


続く

9:彩花:2012/08/18(土) 14:21 ID:BqE

初めまして。
面白いです!この小説。
不思議なのは、そんなに大きな表現は無いのに、主人公の気持ちや行動がよくわかるところ。
それが姫さんの文才だと思います。
私も眞璃亜さんと同じく、文才を分けてほしいぐらいです。

これからもたくさん読んで、たくさんコメントをします。
応援しています!

10:眞璃亜 ◆upPI:2012/08/18(土) 17:39 ID:LIo

姫♪さん
わかりました(^^)/なら、私も敬語でいきます^^
小説、とても面白かったです!!!!もう、私がが、主人公をそのまま見ているような感覚に陥りました!!
姫♪さんは、文才のある方ですね…!!

11:姫♪:2012/08/20(月) 07:35 ID:IYQ

>>彩花様
そ…そんな私なんかにはもったいないお言葉をありがとうございます…!
主人公の子の気持ちは、自分に置き換えると分かりやすく表現できるかもしれません…。
いいえ、文才なんてありませんよー…!
>>眞璃亜様
了解です。
ありがとうございます…!
お二人のような言葉をかけてくださる方がいるからこそ、がんばる気になれます!
これからも宜しくお願いします…!

12:姫♪:2012/08/20(月) 14:40 ID:g5U



「はぁ…」
―――ドサッ
自分の部屋に入り、ベッドに寝転がる。
今日は危なかったな…。危うくレイプされるところだった…。
「…明日、学校休もうかな…」
どうせなら、死んじゃおうかな。どうせ生きてても意味ないし。
…どうやって死のうかな。

インターネットで死ぬ方法について調べてみたけど…グロイな。
飛び降り自殺とかは最高にグロイ。死んだあとが見てられない。
…やっぱリストカットか睡眠薬、かな。
でも何回リストカットしても死ねないし。
…睡眠薬にしよう。

「…あった」
死んだ母が不眠症だったから、睡眠薬は大量にあった。
…とりあえず10粒くらい飲んでおこう。死ねるのかな、それで。

そしてなにも考えずに10数粒、口に含んで水で流しこんだ。



「―――…ん」
目が…覚めちゃった。
でも家じゃない。…天井が白い。病院…?
「あ…目が覚めましたか、由愛さん」
「…美雪さん…?」
美雪さん、というのはうちのお手伝いさん。…そういえば今日は、あの時間から来る日だったっけ。
「はい、倒れてたから救急で運んで来たんです」
…余計な事を…。死にたかったのに…。
「とりあえず良かったぁ…」
…なんなんだろ、この人は。人間なんてみんな同じなのに…。

「とりあえず今日は検査入院です。私は一度帰りますね、お大事に」
「…」
美雪さんがでて行って、私は一人病室に居る。もう…死にたかったな。
…はぁ。私は…死ねばよかった人間。生まれてこなければよかった人間。

…なのになんでまだ生きてるの?

13:姫♪:2012/08/20(月) 21:32 ID:1wU



「採血の時間ですよー」
「…はい」
検査入院中の私は、採血の時間。採血、下手な人がやるとめちゃ痛いもんな…。
上手な人であることを祈る…。


10分後。
「…痛ぁ…」
…案の定、下手な人だった。あーもう、ブッスブス刺されたよ…。
「次はレントゲンでーす」
「…はいはい」
いつ終わるんだろう、この面倒くさい検査。


結局、何やっても異常はなし。明日には退院できるそうだ。
…別に退院しなくてもいい。寧ろ面倒くさいことになるなら、退院したくない。
溜息をつきながら、病室に戻ろうとする。

「―――…ッ」

…一歩踏み出した時だった。息をのんだのは。
…一歩踏み出した時だった。動けなくなったのは。

…後ろから視線を感じて。振り返ったのが間違いだった。
あいつの視線に囚われてしまった…。


まぁ、このころはそんな認識なかったけど。
「…お前…初めましてだよな?」
「…そうですね」
格好良かった。とにかく格好良かった。
高い花も、大きい茶色の瞳も、薄い唇も。長めの黒い髪も。すべてが整っていた。
「…名前…は?」
「…絢沢由愛」
「…俺は水城新喜(みずき あらき)」
水城…新喜…。

…私の人生を、大きく変える男。

14:姫♪:2012/08/21(火) 09:23 ID:Igs



「水城くんは…どうしてここに?」
「んー…俺心臓病なんだ。由愛は?」
「睡眠薬の大量服用で倒れて検査入院」
人間なんて大ッ嫌いなのに。話しかけられても普通に拒むのに。
なんでこいつだけは拒めないんだろう…。
「じゃあ、そろそろ私帰るから」
「おう、また明日」
また…明日…。
それが来るのか来ないのか。…来ないでほしいよ。退院するかもしれない日なんて。
まあどうでもいいけど、ね。


「なにこれぇぇ!?」
病室にこだまする看護婦の声。甲高い。耳を劈くような声。
まぁ気持ちも分かる。だって私の病室は血の海…といっても比喩じゃないくらい血が飛び散っている。
そして私の手にはカッター。左手の手首には…

こぼれおちる真紅の鮮血。

「…」
あー…頭がぼーっとする。別に傷は痛くないし…これで死ねるかな…。ならそれで…いいか…。
「先生!先生ッ!!」
バタバタとかけて行く看護師。全く騒々しい。
あー…死ねる…か…な…。
遠のく意識の中に、かすかに水城くんが浮かんだ。

15:眞璃亜 ◆upPI:2012/08/21(火) 17:19 ID:LIo

死なないでください〜。゜(。´д`゜。)゜

16:姫♪:2012/08/21(火) 17:30 ID:Igs

>>眞璃亜様
大丈夫です!死にません!
…………多分。

17:眞璃亜 ◆upPI:2012/08/21(火) 17:50 ID:LIo

多分ですか!!?

18:姫♪:2012/08/21(火) 18:53 ID:Ze6

>>眞璃亜様
…………多分です。

19:湖音南☆:2012/08/22(水) 14:44 ID:gxY

姫ェ〜来たよ!
って今いないか・・・。
帰って来たらメール&返事くれよ(≧∀≦) 

皆璃亜さん、初めまして!
湖音南です!
これからお願いします。

20:姫♪:2012/08/22(水) 17:25 ID:UgA

>>レオちゃん
ちょっと…レオちゃんに様つけるのなんか絶対無理だから…ちゃんで。
ありがとうー、来てkれて!

21:彩花:2012/08/22(水) 23:17 ID:mx6

怖い・・・
次どうなるんだろう!?

22:姫♪:2012/08/23(木) 07:56 ID:HPo


ボヤ〜っと消えていく意識の中で、かすかに水城くんの姿が浮かんだ。


「由愛!」
…水城くんの…声…?なんで…。
「由愛…!大丈夫か!?」
「…だい…じょ…ぶ…」
…本当は精神的に大丈夫じゃないけど。…また死ねなかった。
「何でリストカットなんて…」
「…言った…でしょ…入院理由…」
「…睡眠薬の大量服用?」
「…そう…。なんで…だと思う…?…死ぬため…だよ…」
切れ切れに。だけど淡々と。悲劇の内容を口にする。
水城くんは、というと、唇をわなわな震わせてる。
「…だ…から…あたし…もう死ぬから…かかわらない…で…」
―――パンッ
…今なにが起こったの…?派手な音と共に頬に走った激痛。水城くんは目に涙をためながら手を振り上げていた。
「ちょ…なにするの…」
「簡単に死ぬとかいうなよ!」
急に水城くんが声を張り上げた。その事に対しての感想はまぁ『うるさいな』と『ここ病院…』だった。
「…簡単だよ…死にたいと思えば…死ぬし…」
「…俺は生きたい。生きてぇよ…!でも…でも…余命あと半年って言われてんだ!
重い心臓病で…あと半年生きられるかどうかって言われてんだよ!まだ…生きられるお前が死ぬとかいうなよ!」
…そんな…熱く語られても…。死にたいのは本当なんだけど…。
「もう…こんなことすんなよ…?心配で心臓止まるわ…」
「…保証は…できない…けど…できるだけ頑張る…」

…人間なんて嫌いなのに。今までなにを誰に言われても動じなかったのに。
こいつに言われたら少しだけ、「生きてもいいかも」って思えた。

その後、私は手首の傷からの大量出血のおかげで3日くらい退院が延びた。

退院する時、水城くんは見送ってくれた。「また見舞いに来いよ」って言って。
「うん」って言ったら「でも入院はすんなよ」って言われた。
…最後まであたしの心配か。…変な奴。


「水城くん…」
「…由愛!見舞いか!?」
「うん…」
そのあと、ほぼ毎日毎日、病院に通った。お見舞いのために。
…このあたしが人のために病院に通うことになるとはなー…。

23:姫♪ ◆F4eo:2012/08/25(土) 08:31 ID:pz.


「水城くん、来たよ」
「あ、由愛」
今日も病院に通う。学校ではいじめられて、家に帰っても孤独感が襲うだけで。
水城くんに会いに来てしまった。
…最近、おかしいんだ。胸の奥らへんがもやもやして、感じたことがない感情が生まれた。
それが何かはまだ分からないけど。
「由愛、その冷蔵庫の中に色々ジュースあるから飲んでいいよ」
「え、ありがとう…」
…それでも人間不信は克服できてないし、水城くんの前でも笑えない。
でも水城くんはそんな私を優しく包み込んでくれる。笑えなくても優しく見守ってくれる。
それが嬉しい、なんて私どうしちゃったんだろう…。


次の日も、その次の日もその次の次の日も―――
毎日毎日病院に通った。水城くんと他愛のない話をして、それが少し楽しくて。
私の凍った心を、優しく溶かしてくれているみたいだった。

でも日に日にいじめは酷くなっていった。
呼びだしなんて当たり前で、空き教室に閉じ込められたり水かけられたり。
助けてくれる人なんてだれも居ない。そんなの当たり前のことだけど。
水城くんにはその事は言っていない。心配させちゃいそうだから。
だから言わないつもりだった。…でも気付いちゃうんだね水城くん。

「…由愛、なんかあったか?」
「…え?」
「俺でよければ何でも聞く。由愛が苦しむ顔、見たくないんだ」
…どうして気付いちゃうんだろう。そんな風に言われたら私、隠せない。
「…実は私…親も親戚も居ないの」
それから今までの事、包み隠さず話した。
親や親戚が死んでいること、いじめられていること、レイプされそうになったこと、生きてても意味ないと思って死のうとしたこと。
全部を話し終わったとき、なぜか水城くんは泣いていた。
「…これが私の過去。そして今」
「…由愛、強いな」
「…強くない」
「強いよ。一人で孤独に耐えながら戦ってる。…でもさ、俺は由愛の味方だから」
…こいつの言葉は一つ一つ心に届く温かさを持っている。上辺だけの言葉じゃなくて本当の言葉。
私の凍った心を少しずつだけど、溶かしてくれる。


過去と今は紙一重だ。
過去も今も苦しむ事しか知らない。
だから未来だけは温かければいいな、なんて思ってしまうあたり私らしくない。

24:姫♪ ◆F4eo:2012/08/25(土) 09:01 ID:pz.

>>彩花様
すいません…なんかグロくて…。
大丈夫です、由愛はこれから明るい子になって行く…………おそらくですが。

25:姫♪:2012/08/25(土) 18:05 ID:0mU



「最近絢沢、調子のってるよね…」
「一回しめようか」
…物騒な会話。


―――コツコツコツ
病院の廊下は音が響く。別に響いたって関係ないから気にしないけど。
「…水城くん」
「由愛…!」
…?いつもより顔色が悪いような…。…気のせいかな。
「水城くん、大丈夫?」
「…あぁ…大丈夫…」
明らかに大丈夫じゃないでしょ。言葉がいつもより重いし、何より息切れしてるし。
「気にすんなって…大丈夫だから…」
「…信じていいの?」
…私、どうしちゃったんだろう。人間なんて信じないって決めてたのに。
信じていいのかなって聞くなんて。私おかしいよね、最近。
「…あぁ…大丈夫…」
「…分かった」

…馬鹿なのかな私。ここで信じなければきみが遠い世界に行く前にもっと一緒に居れたのに。
もうきみの命は長くないのに。私はなにを信じたんだろう。

―――ざわざわ
ざわついている教室は、あり得ないほどうるさくて。私にはあわなかった。
読書をしている間だけは自分の世界に浸れた。だから私の傍らにはいつも本。
「…わ…沢…絢沢…絢沢!」
うっるさい女の子の声が私にまとわりつく。でも、私をいじめている奴の声だから無視。
―――バッ
急に本を取り上げられた。ゆっくりと顔を上にあげる。
「無視すんじゃねぇよ!!」
「…煩いな」
「いいから来いっつってんだよ!」
「離して汚れる…」
いつも通りの口調で手を振り払う。女子はと言えば歯を食いしばってわなわなとふるえている。
「来いって!」
あー…引っ張られていくー…。今日はなにされるんだろうねー…。


…今日は水かけと閉じ込めですか。うーん…どうやって出よう?
ここは3回。飛び降りたら間違いなく重傷。下手したら死ぬ。
―――♪♪〜♪〜
「…メール?」
携帯を手探りでポケットから取り出して開いてみる。…水城くん?
『件名・無題
 本文・いつも来る時間だけど、今日は来ないの?大丈夫?』
…大丈夫?って…。何かおかしいって勘付いてるんだ。心配かけたくないな。
『件名・大丈夫だよ
 本文・なにもないから気にしないで』
送信ボタンを押して、携帯を閉じる。さて、どうやって出ようかな。
理科準備室に横になる。あぁ、眠くなってきた。
―――ガチャッ
急に扉が開く。そこには…
「お前、誰?」
知らない男の子だった。
「…そっちこそ」
「俺は1年の桐崎愛斗(きりさき あいと)。お前は?」
「…1年の絢沢由愛…」
「お前びしょぬれじゃねぇか!家近いか!?」
「…30分はかかる…」
“ね”を遮られた。桐崎くんは私の言葉を遮って私を姫だきした。
「ちょ…!?なにするの…!」
「いいから!黙ってろ!うち近ぇから!」
ちょっと…どうなってるの…?なんで私は姫だきされてるの…?
もうわけが分からないんだけど…!?


「ついた…。悪ぃ、うちアパートだから狭いけど…」
「…はぁ」
「とりあえずシャワー浴びて来い!風邪ひくぞ!」
「…着替え…」
「俺の貸すから!はやく行って来い!」
「…はい」
なんか圧倒された。とりあえずこのままだと本当に風邪ひきそう。
シャワーだけは借りよう…。

「…出たけど…ぶかぶか…」
私が着ているのは大きめのトレーナー。膝下まで隠れるからいいけど…。
「…」
「…?」
桐崎くんが、顔を真っ赤にして俯いた。
「いや…ごめん、可愛すぎて…」
「…は?」
私が可愛い?何言ってんだこいつ。…わけわかんない。
「とりあえずシャワーは浴びましたけど、服乾いたらすぐ帰りますから」
「…あっそ」
はぁぁぁ…。面倒くさい、人にかかわりたくない。だけど…風邪は引きたくない。
「…へっくち…!」
とりあえず健康第一だ。服乾くまでは居させてもらおう。
「…絢沢由愛、聞いたことある」
「…はぁ」
「学校1可愛い女子として有名だよな」
「私としては逆さまだと思いますけどね」
「でもお前に告白した男子はみんな振られている」
「そうですね」
…なんでこいつそんなことまで知ってるんだろう。ストーカーかよ…。
「…ちなみに俺もその一人」
「…え?」
「ちなみに中学の時な」
「…」
「…同じクラスだったのに…。覚えられてないとか…」
…私、過去にこいつと会ってる?そしてかかわってる?
…そして、告白されてる?それで振ってる?

…わけが分からなくなってきた…?

26:姫♪:2012/08/25(土) 18:11 ID:0mU

誤字発見。
>>25
「ここは3回」×
「ここは3階」○

27:姫♪:2012/08/27(月) 14:32 ID:IBk

長すぎて書き込めなくなったので削りました…。
なので文法がおかしかったりしますがきにしないでください…。

28:彩花:2012/08/28(火) 19:15 ID:L0Q

>>24
いいえ、そんな変な意味で言ったんじゃありませんよ。
書き方がおかしくてすいませんでした。

そうか。由愛は明るくなっていくんですね。
よかった!

29:姫♪ ◆F4eo:2012/08/29(水) 15:13 ID:EpY

>>彩花様
いいえ、こちらの理解力不足です。
おそらく、ですがね。

30:姫♪ ◆F4eo:2012/08/31(金) 11:12 ID:pgk


「…まぁ気にすんなよ、絢沢」
「…気にしないわよどーでもいい」
相変わらず人と関わるということが大っ嫌いな私は、トレーナーに顔をうずめて冷静なフリをしていた。
…そう、“フリ”を。心の中は難しい感情でいっぱいだった。
振られたのにかかわってくるこの男。桐崎愛斗。…のちに私を苦しみから救う男。
「…服、いつになったらかわくんですか?」
「乾燥をかけて1時間くらいかな」
電気をつけても薄暗い、アパートの一室。これで雨でも降ってきたら最悪だな…。
―――ポツ…ポツ…ザァァァ―――ッ
…最悪の事態が起きてしまった。雨…この強さだと雷とかもあり得るのでは…?
「…あー、降ってきたな」
「…そうです…ね」
―――ピカッ
「…光った」
…ということは…。…ドッカーン…!?
―――ドッカーンッ
「きゃぁぁぁッ!!」
…来た、雷…!私、この世界で二番目に雷が嫌い。…一番は人間だけど。
派手な悲鳴を張り上げてしまった私に、桐崎くんは驚いているみたい。
「…絢沢、もしかして雷駄目なの?」
「ち…違うわよ。音が煩い…だけ…」
「…あっそう」
強がる必要はなかったんだけど、なんか強がってしまった。弱みを見せたくなくて。

必要以上に強がって。必要以上に人を遠ざけて。
そうやって生きてきた私は、人の愛情も温かさもなにも知らない。


―――ピカッ  ドーンッ!!
「…ひゃぁッ!」
さっきより近くに落ちたみたいで、床が揺れた。
トレーナーに顔をうずめて震える。怖い…怖い…怖いよ…。
「…絢沢さぁ」
急に人の名前を呼ぶ桐崎くん。呼ばれたことは分かってても怖くて顔を上げられなかった。
「…そうやって人を遠ざけてたら、いつまでも同じだぜ?」
「…」
「いつまでもなにも分からずに苦しみながら生きてくのかよ?」
「…」
「…絢沢はさ、自分に自信を持てよ」
「…」
「いつまでも逃げんなよ」
…その発言は私の理性をぶっ壊した。
「煩い…!煩い煩い!あなたになにが分かるっていうのよ…!!」
「…絢沢?」
急に大声を出した私に、彼は怯む。そんなことを気にも留めず、私は続ける。
「私がいるせいで家族は壊れた!私が生まれたせいで父親は出て行った!
それを全部私のせいにした母親は私のせいで不眠症になった!…それで私は何度も殺されそうになった!
…そんな気持ちが、あなたに分かるの!?」
はぁ、と息を突く私を桐崎くんは見下ろす。背が高いから、私を見下ろす形になるだけだけど。
「…俺にだって気持ちは分かる」
「…は?」
桐崎くんの口から出たその言葉に、私は一瞬言葉を失った。

31:姫♪ ◆F4eo:2012/08/31(金) 15:31 ID:pgk


「…俺にだって気持ちは分かる」
「…は?」
桐崎くんの口から放り出されたその言葉に、言葉を失った。
「俺、昔虐待されてた」
「…!?」
いきなりの虐待発言に私はなにも言葉を出すことができなかった。
「…ほら、この傷」
そう言って、桐崎くんは制服の袖を捲って腕にある大きな切り傷を見せてきた。
「…これ…」
「親にやられた。包丁で抉られた、って言ったほうがいいのかな」
「ッ…」
思わず口を押さえて言葉を飲み込んだ。私よりもひどい…。
「だからさ、俺には気持ちが分かるんだよ」
「…ありがとう…気持ち分かってくれて…。…でも…もう遅い」
「は?」
「私はもう誰も信じない。親はいないし死んでるし。天涯孤独で一人で生きてく」
―――パンッ
桐崎くんの手が私の頬をはじいた。…最近私殴られすぎじゃない?
「もっと人を頼れ。そうすれば誰かが助けてくれる」
「…誰も助けてくれない」
「助けてくれる!」
「助けてなんかくれない!!」
だって…今まで助けてくれた人なんていなかった。苦しめるばっかりで、傷つけるばっかりで。
私のことを本気で考えてくれた人なんてだれも居なかった。
―――これからもそうだと思ってたのに…。

「俺が助ける!!俺は今でも絢沢!お前が好きなんだ!」

…なんか流れで告白された。いつもいつも、されてる告白とは違う。
色々言われた後だから、他のとは違うと感じる。…心に届く。

「…ありがとう」

…やっぱり心に届く言葉は違う。いつものは何も感じないのに、今回だけは少しだけ何かを感じた。

私の凍った心を溶かしてくれるのは…水城くんと桐崎くん、どっちなんだろう―――?

…それでも人間は信じない。なにも信じない。
だから…つき放す。
必要もないのに突き放し、孤独に孤立して。

それが私の悪循環なんだ―――。

32:彩花:2012/08/31(金) 18:10 ID:n5I

シリアスな展開で、ドキドキしながら読んでました!
続きが楽しみです。

33:姫♪ ◆F4eo:2012/09/03(月) 07:23 ID:rnU

>>彩花様
ありがとうございます…!
私なんかの駄作ですが、これからもがんばって行きたいと思います!

34:姫♪ ◆F4eo:2012/09/03(月) 16:06 ID:212



―――ピカッ ゴロゴロゴロ…
「ひゃ…っ」
やっぱり雷は無理。あのゴロゴロって音がなんとも苦手。一生かかっても克服できない。
「…絢沢、やっぱお前怖いんだろ?」
「ッ…!そ…そんなわけないでしょ…!」
そんなわけあるんだけど。
桐崎くんに名前を呼ばれると、さっきの告白を思い出して顔が少し熱くなる。
これは何なんだろう―――…?


「…いつまで…降ってるの…!?」
かれこれ1時間くらいは経過。まだ雨は降りやまず、雷も鳴り続けている。
黒い、黒い雨雲がかかる灰色の空。私の心をそのまんま映し出している鏡のようだった。

「…飯食ってく?」
不意に桐崎くんがそんなことを言った。確かにお腹は減ってるしありがたいけど…。
「…いい」
ここは遠慮しておこう。
桐崎くんに迷惑かけらんないし、ね。
…でも私のお腹は正直で、黙るってことを知らなかったみたい。
―――ぐぅぅ…
「ッ!」
…恥ずかしっ!…今度腹の辞書に「黙る」って言葉をつけ足しておいてやろう。
「やっぱ腹減ってんじゃん。遠慮せずに食ってけよ」
「…しょうがないから食べてってあげます」
「ナ・ン・だ!その上から目線は!」
「…上から目線でしたか?自覚ゼロです」
…というような会話が続き、結局食べていくことになった私。…なにを食べるの?私。
「なに食いてぇ?」
「…ハンバーグ」
冗談交じりに軽く無茶を言った私。普通この状況で、自分の食べたいもの言う奴いないよね。
普通の男子だったらここで幻滅すんだろうな。…でも桐崎くんは違ったみたい。
「ハンバーグ、な」
…だって嫌な顔一つせずに、無茶で言ったハンバーグ作ってくれるんだもん。
優しい人なんだね、桐崎くんは。


時間がたってハンバーグが完成。
…男の子とは思えない手際の良さで、ぱっぱと美味しそうなハンバーグつくっちゃった。
「口に合うかは分からないけど、どうぞ」
ほかほかと湯気が上がっているハンバーグを私に差し出して桐崎くんは小さく笑った。
「…ありがとう」
箸を上手に使って口に運ぶ。…普通に美味しいんだけど。
「…どう?」
「美味しい…」
「ホント!?よかった…」
私の言動一つで喜怒哀楽して、本当に私のこと好きなんだって伝わってくる。

…、でもだからこそ、突き放しておかなきゃ。
…私の心がとけきる前に―――

35:姫♪ ◆F4eo:2012/09/05(水) 18:13 ID:zUM



「…やっとやんだ…」
ふぅ、と一つ息を吐いて制服を着なおす。もちろん桐崎くんは部屋の外に追い出した。
「なんで俺の部屋なのに俺がでなきゃいけないんだよ!?」
…とまだ文句を言っているけれど。
「しょうがないじゃないですか。外で女の子に着替えろって言うんですか?」
…と、ねじふせるんだけど。
とりあえずさっさと制服を着てお暇しよう。雨がやめばここに居る意味もないしね。
―――きぃ…
扉を少しだけあけて、外に居る桐崎くんに声をかける。
「着替え終わりましたので、お暇します」
「…え、もう帰んの?」
「…えぇ、もういる意味もありませんから」
こうやっていつもみんなを突き離して、孤独を作る。
それが自分が望んだこと。それが自分で作り上げたセカイ。

―――これは私だけのセカイ―――


「やっぱり俺、絢沢のこと好きだから」
不意にきりだされた告白の言葉。私に初めて、少しだけ届いた言葉。
…やっぱりこいつに言われると、少しだけ心が動く。

「…ご」
「返事はいつでもいいから。いまは聞かない」
“ごめんなさい”の言葉を遮られ、少し不思議そうな顔をしてみる。
「…何で?」
「今聞いたら、絶対振られるから。もう少し男磨いてからもう一回告白する」
…なんつー根性…。私の心を動かすことができるのは、今はこいつだけなのかもしれない。

―――…だからこそ突き放す。

「…無理ですよ」
吐き出すように、小さく、でも冷たく発せられた言葉。
桐崎くんはその言葉に息を飲み込む。
「…今はな。いつか絶対振り向かす」
「…せいぜいがんばってください。私の心は溶けませんから」
……じゃあ、と言ってカバンを肩にかけて部屋から出ていく。
「あ、おい絢沢っ!」
「……」
柔らかい髪を揺らして、振り向かずに去っていく。

…溶かされる前に。溶けきる前に。…すべてを取り戻す前に。

…すべてを抹消してやる。

36:椿:2012/09/05(水) 21:01 ID:/CE

由愛ちゃん、可愛い(*^^*)

姫♪さん頑張って!!

37:姫♪ ◆F4eo:2012/09/05(水) 21:06 ID:t1c

>>椿様
椿様…っ!
このような駄作に…来ていただけるなんて…っ!
頑張りますっ!

38:星 0612:2012/09/08(土) 15:38 ID:dII

睡眠薬・・・・
由愛さんもいろいろかかえてるんですね・・・

39:姫♪ ◆F4eo:2012/09/08(土) 15:46 ID:hDM

>>星様
由愛ちゃんもいろいろ、悩みを持っているんですよね…【←お前が言うな】

40:姫♪ ◆F4eo:2012/09/08(土) 18:09 ID:hDM



「ただいま」
誰もいない家に、だだっ広くて使い道のない家に、静かに私の声が響く。
それだけで、少しだけ胸が痛む。
少しでも人間らしい心が戻ってきたのかな…。


「…はぁ」
なんだったんだろう、今日は。
はじめて心が動かされそうになった告白。…本当に初めて。
親が死んでから、少しも感情を感じなくなっていたけど…。
はじめて感じることができた。
…それはそうとして腹が減った。ピザでもとろっかな。

―――ピーンポーン
「…はい」
さっきピザを頼んだから、配達の人が来たんだろう。
「ピザの配達でーす」
案の定、やっぱりそうだった。
…少しは期待外れの事があってもいいじゃない。
天涯孤独のはずの私に生き別れの兄弟がいたとか。
…なわけないけど。



―――ザワッ
私が教室に入って行くと、教室の中が途端に静まる。
長い髪を揺らして席に着くと、男子が集まってくる。
「昨日桐崎といたって本当ですか?」
…本当だけど、こいつらには関係ない。
「あなた方には関係ない」
冷たく言い放つと、座ったばかりの席から腰を浮かせる。
「どこに行くんですか?」
「…散歩」


「水城、くん」
「…由愛!?」
まだ学校に居るはずの時間に顔を出した私に、水城くんは驚いた顔をする。
「学校は!?」
「…抜け出してきたの」
水城くんが心配で、なんて思ったわけじゃないけど。
あの空間には居たくなかった。

41:姫♪ ◆F4eo:2012/09/10(月) 17:40 ID:hew


「―――ふ〜ん、由愛、さぼりなんてするんだな〜」
今まであったことを話した後の水城くんの反応。…そんな以外かな。
「…そんな以外?私がさぼり」
「別に?」
クスッ、と笑う水城くん。つられて口角が少しだけ上がった…かもしれない。

「…早く笑えるようになるといいな」
ぼそ、と呟いた水城くん。…なぜか胸が、チクリと痛んだ。
「…うん、そうだね」
小さく、きっと本心にもないことをつぶやいたんだ。
だから、小さく少し胸が痛んだんだ。


「…は〜ぁ」
青空を見上げながら、小さくため息をつく。
深いマリンブルーに染まった綺麗な空に、少しだけ白いもやがかかっている。
…私の心は、真っ黒に染まっている。この空とは正反対だ。

もういっそこの中に溶け込んでしまえたらいいのに―――


―――とんっ
上だけを見て歩いていたせいで、前から来る男の人5人組にぶつかった。
…あー、面倒くさいことになる前に逃げよう。
「…すいません」
そう一言言うと、すっと男たちの間を縫って逃げるつもりだった。…ま、そんなの…
―――ガシッ
…無理なんだけど。
案の定腕をがっちりつかまれている。
いっちばん警戒してたパターンじゃん…。
「なんですか?」
それでも冷静さはかかずに尋ねる。ここで冷静さを失ったら終わりだから。
「ん?俺たちにぶつかっといて挨拶もなしか…って」
「謝りましたよね?」
「俺たちの世界の責任とるってことは違うんだなー」
…はい、ナンパ決定。どこ連れ込まれることやら。…ていうか鬼やばいんですけど。


「なーな、名前なんてーの?」
「これ、名門阿須浜校の制服じゃん」
…私の通っている高校は阿須浜高等学院(あすはまこうとうがくいん)。都内屈指の名門校だ。
私は抵抗する気力もなく、ただされるがままになっていた。

「…お前ら、何やってんの?」
…そこに現れた一つの影、低いトーンの声。…男?

42:姫♪ ◆F4eo:2012/09/11(火) 17:22 ID:wtk



「…お前、何やってんの?」
腕を掴まれても動じず、逃げるための隙を狙っている私の前に現れた黒い影。
低いトーン、聞き慣れた声。…、うん、彼だな。
「…なにって…お前に関係あんの?」
「…あるんじゃね?」
…そう、彼―――
「…桐崎くん」
桐崎愛斗くん…。
なんで来るのよ。来なくてもいいのに。
…来たら、凍ったままの心が溶かされそうで、怖い。

「そいつ、離してくんない?」
「え?ヤダ」
「離せっていってんじゃん」
…あたしを間に挟んで口論しないでくれるかなー。
自分が原因で話しているのに、あくまでも一番冷静な私。
「…第一、お前この子のなんなわけ?」
…あぁ、面倒くさい決まり文句。ベタすぎるでしょ。

…桐崎くん、なんでそんなこと言うの?

「俺はこいつの彼氏だけど?」
「…ハッ?」

…思わず私が声を上げた。だって、彼氏っていったよね今。
…いつ私がこいつの彼女になったよ?
「…っち、彼氏持ちかよ」
そそくさ、と逃げていく男たち。…次から絡まれた時、彼氏またしてるって言おう。
「…大丈夫?」
「…別に」
まった愛想ないいい方しちゃったよ…。ま、別にいいか。
「…次絡まれたら、俺の事呼べよ?」
「…え、ヤダ」
「…ひでぇな、絢沢」
「いつもの事でしょ」
淡々と会話を進めていく私。桐崎くんはそんな私にあきれ顔で苦笑い。

43:星 0612:2012/09/11(火) 19:49 ID:dII

彼氏・・・ニヤ
早く次読みたいな^^

44:姫♪ ◆F4eo:2012/09/11(火) 23:11 ID:Aqs


「絢沢、お前は自分の容姿にもっと自覚を持て」
「…ハッ?私そんなにナルシストじゃない」
「うっわ可愛くねー」
「本望よ」
うわ、本当に可愛くない私。別に可愛いなんて思ってほしくないからいいけど。
「…お願いだから、一人で抱え込むな…」
―――きゅ
桐崎くんが、私を抱きしめる。優しく、そっと。
宝物に触れるみたいに、柔らかく。
「…離してよ…」
冷たく突っぱねた…つもりだった。
でも…、でも、声は震える。

今だから言えること。
桐崎くん、私あのとき、本当はすごくうれしかったんだ。
自分にも見方がいて。本当に。


「…離さない」
「…ヤダ…離してって…」
軽く暴れてみる。でも、桐崎くんも男の子。私がなにしたところでびくともしない。
「…絢沢、好きだ」
「…それ何回も聞いた」
また不意に告白をする桐崎くん。じっと私の瞳を捕らえて離そうとしない。
「…好き…」
―――ピリリリリッ
…空気読めよ。
シリアスな雰囲気を引き裂いてけたたましく鳴り響いたのは私の携帯。
ポケットから携帯を出して、耳にあてる。
「…はい」
『絢沢由愛さんですか!?』
「…はい」
…誰?この女の人。私の知り合いには居ない声…。
不思議そうな顔をしている私に、桐崎くんも不思議そうな顔をする。
…その顔が一瞬にしてこわばった。
―――カシャ…ッ
私の手からすり抜けて、地面に落とされた携帯電話は通話中の画面を保つ。
まだ女の人の声が小さく聞こえる。…けどそんな声、耳に入らない。


―――…水城新喜くんの容体が急に悪化して、今夜持つかわからない。


さっきの電話の内容はこうだった。電話の相手は看護婦。
急に水城くんの体調が悪化して集中治療室で治療を受けているらしい。


『…由愛さん、あなたに渡したいものがあるの。今から新喜くんの病室まできてくれない?』
通話中の携帯電話から、かすかに聞こえたその声に、ハッとすると私は携帯を拾った。
「今から行きます」
そう告げて、通話を終了させた。
長く感じた時間も、話し終われば2分たっていなかった。

45:星 0612:2012/09/11(火) 23:22 ID:dII

わっ
どうなるの〜

46:姫♪ ◆F4eo:2012/09/11(火) 23:34 ID:Aqs



―――タッタッタッ
大きく走る。汗が頬を伝うけど、気にしない。
どうしてかわからないけど…水城くんが死ぬかもって思うと、じっとしてられなかった。
「…はぁっ…はぁっ…」
そして私は、原因の分からない涙をあふれさせながら、病院についた。


―――コン、コン
軽く病室の扉をノックする。いつもだったら水城くんが「どうぞ」って言ってくれるのに。
今日はさっき電話で聞いた、あの女の人の声で「入って下さい」だった。
「…失礼します。絢沢由愛です…」
ガラ、と扉を開けて足を踏み入れる。
いつも水城くんが寝ているベッドが、今日は空っぽだ。
「…これを渡しておきたくて」
近くに寄ってきた看護婦さんが、私の手に手紙を渡した。
「…手紙?」
「ええ。新喜くんから、由愛さん宛の」
「…水城くんから私宛の?」
思わず復唱。…何なんだろう?…何だかわからないけど、胸騒ぎが私を襲う。
「…新喜くんの事があるから、私は失礼するね。由愛さんはそろそろ家に帰った方がいいんじゃない?もう8時よ」
看護婦に言われ、ハッとする。そうだ、とりあえず家に帰って落ちつこう。
精神安定剤があったはず。
胸騒ぎが納まらず、落ち着かない精神をなだめるように、私は病室を後にした。


―――カサ…
自分のベッドに寝転がり、手紙を開いた。
男の子とは思えないくらい綺麗な字で、私宛の文章がつづられている。

【由愛へ
俺もう、長くは生きられない。自分でもわかるんだ。もう、1週間も持たないって。
その間に由愛に伝えられるかが分からないので、今手紙でつづります。
…俺はきっと、初めて会った時から由愛に惹かれてた。
だから最近もやもやした気持ちがあったんだ、って納得できた。
…俺は由愛が好きだ。なにがあっても変わらない。たとえ俺が死んでも、大好きだ。】

一枚目を読み終わったとき、なぜか両目から涙があふれた。
…もやもやした気持ちが好きって気持ちなら、私は…私は…?

もう一枚、あった手紙を見た。
そこにはたった一行、
【生きてる間に由愛の笑顔が見てみたかったな】

…余計に涙があふれた。
こんなに率直に思いをぶつけてくれる人を私は失った。
…生きていて初めて感じた“心”が痛んだ。


そして胸が張り裂けそうな痛みを伴いながら私はしったんだ。

私は水城くんの事が好きだったんだって…―――

47:星 0612:2012/09/11(火) 23:45 ID:dII

そっか・・・
悲しいね

48:姫♪ ◆F4eo:2012/09/11(火) 23:46 ID:Aqs

>>47
…切ない…←お前が言うなw

49:星 0612:2012/09/11(火) 23:56 ID:dII

アハハッ^^

50:姫♪ ◆F4eo:2012/09/12(水) 15:34 ID:c1s

祝50〜。

―――チュンチュン
気がついたら夜が明けていた。スズメの声が耳にしみる。
水城くん、どうなったんだろう…。
今日も病院、行ってみよう…。


―――コンコン
学校はサボり、水城くんの病室まで来た。ノックをするけど、反応はない。
それだけで少し苦しくなる。
「…由愛さん?」
「ッ?」
背後から感じた気配に、咄嗟に構える。でもそこに居たのは、昨日の看護婦だった。
「どうしたの、由愛さん?」
不思議そうに私の顔を覗き込んでくる看護婦さん。
その顔から、小さく顔をそむけてしまう私。
「…水城くんの事…気になって」
小さくつぶやくように口からこぼれた言葉に、看護婦さんは顔を曇らせる。
そして、残酷すぎる言葉を口にした。

「…新喜くんは昨日の深夜、亡くなったわ」

その言葉に思考停止状態の私。
だって、だってだって、亡くなったって…!
「え…!?」
声を振り絞ってやっと出た声が、これだった。
震えて掠れて、聞き取れないような声だったけれど、聞こえたみたい。
「…最善はつくしたんだけれど…ごめんなさいね」
悲しそうに、本当に悔しそうに唇かむ看護婦を見て、私は相手を責める気にもならなかった。
普通の女の子だったら泣き叫ぶはずのこの状況、私はあくまでも冷静に、
「…そうです、か…」
と言っただけだった。


やっと自覚した気持ちも儚く散って。また振り出しに戻って。
やっとわかった感情もまた闇に紛れて。
苦しくて苦しくて、気がついたら視界が滲んでいた。

51:星 0612:2012/09/12(水) 16:28 ID:dII

えー死んじゃったの・・
辛いね

52:姫♪ ◆F4eo:2012/09/12(水) 16:59 ID:c1s

…死んじゃった…。

53:彩花:2012/09/12(水) 17:04 ID:PPY

私も由愛ちゃんみたいに誰かの前では泣き叫ばないかな。
でも、一人だったら一日中泣きそう。

今後の展開が気になります。

54:姫♪ ◆F4eo:2012/09/12(水) 17:06 ID:c1s

>>彩花様
彩花様お久しぶりですっ。
感想ありがとうございます!

55:りっこ:2012/09/12(水) 17:52 ID:kuo

審査結果


とても面白いです。

ですが、アドバイスする所があります。



まずは擬音を使いすぎない事です。

全く使うなとは言いませんが、ある程度控えめにしたほうが良いかなと思います。

使いすぎてしまうと、どんなに小説が上手でも、安っぽくなったり、手抜きっぽく見えてしまう事も。


それ以外はカンペキです!

私が言えた事ではありませんが。

てか姫♪さんに上から目線過ぎましたね…

すみません。


以上です。

ご依頼ありがとうございました。

56:姫♪ ◆F4eo:2012/09/12(水) 17:59 ID:AG.

>>55
とても面白いは余計です(びし)

擬音ですか…。
文章の中に混ぜてみたりしてみますねっ!

完璧!?どこの誰がでありますか!?

57:匿名さん hoge:2012/09/12(水) 18:29 ID:ez-H.M

>>56
褒められて有頂天になるな
ありがとうございますで審査してくれた人の言葉を真摯に受け止めなさい

58:姫♪ ◆F4eo:2012/09/12(水) 21:06 ID:0Kc

>>57
なってません。
認めたらここで自分が止まるじゃないですか。
止まらないように進むために自分に対しての賞賛コメントは否定しているんです。
このレベルで止まりたくないですから。

59:椿:2012/09/12(水) 21:11 ID:i-Lw2

姫♪さん!
気にせずまた頑張って下さい゚+。(*′∇`)。+゚

いつまでも応援していますんで!私は。

60:姫♪ ◆F4eo:2012/09/12(水) 21:20 ID:0Kc

>>椿様
椿様…っ!!
椿様は心の支えです……っ!!!←

61:椿:2012/09/12(水) 21:26 ID:i-Lw2

姫♪さんの小説は、私の人生の喜びです!!

62:姫♪ ◆F4eo:2012/09/12(水) 21:27 ID:0Kc

>>61
またまた…他の人にも言ってるんでしょう?←ww

63:椿:2012/09/12(水) 21:33 ID:i-HL2

いえ、ここで初めていいました(´∀`)

64:姫♪ ◆F4eo:2012/09/12(水) 21:44 ID:0Kc

>>椿様
またまた御冗談を←w
雑談になると困るのでフリトにいきましょう。

65:姫♪ ◆F4eo:2012/09/14(金) 18:00 ID:aPo



タタタ、と走る。溢れそうになる涙をこらえながら。
家までの道を全速力で駆け抜けた。

「ただいまっ!!」
思いっきり扉を開けて家の中にはいる。静まり返った家の中が空しい。
おなかすいた…。
冷蔵庫を開けてもなにもない。あるのは卵と牛乳。なにも作れないよ。
…はぁ、どうしよう。

結局コンビニに買いに来た。
棚に並んでいるおにぎりを適当にとってかごに入れる。ついでにお茶も買っておく。
「…お願いします」
ぼそっと呟くようにそういうと、少ししか入っていないかごをレジに置く。
「はい、合計980円になります」
愛想良く対応する店員に、何か分からない感情を感じながら外へ出た。


「新喜!」
帰り道、不意に聞こえてきた声につい反応してしまった私は、どれだけ水城くんに支配されるのだろう。
「新喜、駄目じゃない。ちゃんと付いてこなきゃ!」
「ごめんなさーい」
小さい子供とお母さん。仲よさそうに肩を並べて歩く。
…水城くんはもう、死んじゃったんだもん。いるわけないじゃん。
なに反応してるの私…馬鹿じゃないの?


はじめて分かった感情は苦くて苦しくて。
“初恋は実らない”の意味がやっとわかった。
私の初恋は、相手との死別で幕を閉じたんだ―――…。

66:彩花:2012/09/14(金) 18:15 ID:xFY

とても切ない気持ちになりました。

67:姫♪ ◆F4eo:2012/09/14(金) 18:32 ID:aPo

>>彩花様
ありがとうございます。
切ないのが目的の話なので…。

68:ウッティー☆:2012/09/18(火) 20:01 ID:n5o

もう1つの小説とゎ
また違った感じでいいですね((☆ω☆///
感動して泣いてしまいます><

69:姫♪ ◆F4eo:2012/09/18(火) 21:02 ID:gtk

>>68
ここまで分かったのか…!
なんという観察眼…!!←

70:ウッティー☆:2012/09/19(水) 20:16 ID:n5o

いやぁ
全部読んでたら
途中に「見てくれると嬉しい」って
あったから…
興味もっちゃって…((笑

71:( ◆FaJY:2012/09/20(木) 22:25 ID:zlw

長すぎかもよ…

72:読者:2012/09/23(日) 11:26 ID:jtk

これ、終わりですか?

73:姫♪:2012/09/23(日) 22:14 ID:3rQ

まだ続きます

74:読者:2012/09/23(日) 22:37 ID:jtk

やった〜♪っていうか良かった❤この小説すっごく読み応えあります!!

75:姫♪:2012/09/23(日) 22:47 ID:3rQ

読者様
やったーって…。
たいしたものじゃないです。
自分てはまだまだだと思っています。

76:読者:2012/09/23(日) 22:49 ID:jtk

そうですか?では成長楽しみにしています。😉

77:読者 ◆QhQs:2012/10/04(木) 21:20 ID:jtk

>>73 更新待ってます

78:姫♪ ◆NLsI:2012/10/05(金) 17:43 ID:vNQ



…もう、水城くんはいないんだ。
それをやっと理解できたのは、水城くんの死から3週間後。

「あ、ちょっと」
教室には言った瞬間、声をかけてきたのは知らない女の子。
綺麗な黒髪がツヤツヤストレート。くるりとした目が愛くるしい女の子だ。
「…なに?」
自分でもわかる。冷たい言い方したんだろう。
だって女の子は、体を震わせている。
「う、うち!昨日転校してきた作井杏子(さくい あんず)って言うんよ!
うち、あなたと友達になりたいねんけど…あかん?」

…は?いきなりなにいってんのこの子?

別に友達なんていらないから、友達になる必要ない。
「嫌だ。友達なんていらない」

作井杏子、と名乗る女の子はくるりとした目をパチクリさせている。
「え、なんであかんの?」
柔らかい、ふわりとした声色で問いかける作井杏。

…な、なんでって?
友達がいらない、それだけですけど。


…かすかに、本当にかすかにだけど。
私の中がふわりとした。

79:星 0612:2012/10/05(金) 20:34 ID:mMI

うん。うん。
悲しいよね
友達なんかいらないか・・・

80:陽実 ◆NLsI:2012/11/25(日) 15:16 ID:bSI

上げておきます。
また更新しようと思います。

81:読者:2012/11/25(日) 22:00 ID:jtk

マジですか?! 待ってます!!!!!

82:陽実 ◆NLsI:2012/11/26(月) 16:45 ID:IM2


「…あの、なんですか?」
怪訝そうに振り返る私を、笑顔で見つめる作井杏子。

「だって友達になりたいんやもん!!」

ストレートなその言葉が、心に響く…はずもなく、ただ鬱陶しいとしか感じない。
「私に友達は必要ない。もう話しかけないで、以上」

そう言ってさっさと消えていく私に、唇を尖らせた作井杏子はまたしても話しかける。

「ええやんっ!友達になろぉ?」

「嫌」

愛想0%でそっぽを向く。


そもそも、友達なんて必要ないと思うんだよね。
だって、人間なんて裏切るためにいる生き物でしょ?

なのに、信じるなんて馬鹿馬鹿しいとしか思わない。

そんなひねくれた考えを捨てきれない。
捨てる気もないけど。


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