天地遊覧者

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1:Cosmos:2012/09/13(木) 17:37 ID:jtk

天地遊覧者~プロローグ~

天地勤覧者とは、テンゴク ジゴク 地上 を自由に見る事ができ、
異変があるとそれぞれの管理者・リーダーに知らせる仕事。
私は、この仕事を受け継いだ、一族の残りの一人。
つまり、私は一人ぼっちなのだ。友達は......。

2:Cosmos:2012/09/13(木) 21:46 ID:jtk

私は天宮 桜華(あまみや おうか)。よく変わった名前だと笑われた。
今でも信じられないが、私はれっきとした天地勤覧者だ。こう見えてもテンゴクとジゴクははっきり視える。
今日も仕事だ。学校側には事情を伝えてある。天地勤覧者は伝説の仕事で、国からも、依頼を受けている。
でも、毎日視てばかりで、体力的には結構きつい。テンゴクならまだしも、ジゴクはどんな悪念が地上世界に
来るか分からない。だから入視手続きがとっても長い。ジゴク者を特別な場所に移さなければならないからだと
私は聞いている。今日は一件。国から地上のラングラム諸島という島の状況について視て欲しいと言われた。
テンゴクジゴク以外にも、地上も視えるので、いい風に利用される。もちろん、向こうからもこっちは
見えているので、手続きは国がしてくれている。私は複雑でめんどくさい仕事をまるっきり投げられた気分に
なることもある。
私には友達が一人いる。犬寺 真咲(いぬでら まさき)君だ。彼は犬寺神社の後継者で、たまに遊びに行っている。
この仕事を続けていられるのも彼のおかげ。さて、紹介はここまでにしてそろそろ視てこようかしら?
私は鏡の前に立った。巨大な鏡。魔力が詰まっている魔法の鏡。
「地上へ届け、魔法の歌。ラングラム諸島を視せて、魔法の鏡。Take me to Ranglose Island.」
これで呪文は終わり。さてと...。
桜華は鏡に向かって手を伸ばした。そして複雑な模様を描いていく。
鏡にその模様が映し出される。そしてみるみるとラングロス諸島の様子が視えてきた。

3:Cosmos:2012/09/13(木) 23:15 ID:jtk

>>2 の下あたりのラングロスをラングラムに訂正します。
Ranglose は Ranglame の訂正します。
お手数おかけした申し訳ございません。以降、気をつけます。

4:Cosmos:2012/09/14(金) 07:00 ID:jtk

「今日も相変わらず誰もいないわね。」
大きな鏡は桜華の部屋の隣の特別室にあった。天井の高さは半端じゃない。家具は一切なく、置く事も許されていない。よって、桜華は三時間ほど、立っていなければならない。
この仕事も疲れるわ〜誰か能力を持った人いないかしら?
そう思った時、向こう側に人影が視えた。あら、今日は人がいるわ。報告内容を変えなくちゃ。ちょっと挨拶して行きましょ。桜華は人影に近づいた。そしてハッっと息を呑んだ。
人影は時空の中の人、つまり天地勤覧者だった。挨拶...。
「こんにちは。あなたは誰に依頼されたの?私は王によ。」
「......。Who are you? Sorry, I don't speak Japanese. But I know. I come from Germany.」
外国人だ....
「Oh, I'm sorry too! I didn't know that you don't speak Japanese.Then, good-bye.」
早速別れを告げた。気のせいか、少しにやっとしていたような...。考えるのがめんどくさい。ほおっておこう。さてと、残りは...。半分も残ってる。急がなくちゃ...。

5:Cosmos:2012/09/14(金) 16:12 ID:jtk

「Go back。」
帰る時はこれだけ。王に報告に行こうと思う。
王室に来たら、王は不在だと言われた。だからペンを借りて報告書を書くことにした。
Wラングラム諸島 Ranglame 報告書
人 : 一人 動物 : 多数 環境 : とても良い
人のことだが、鏡を等して見ていた模様。ドイツ人だと言っていた
天地勤覧者を装っているが、違うと見られる。おそらく、天地遊覧者。
ー以上ーW
と書いた。
めんどくさかったと言ったけど、どうしても気になる。あの人は確実に笑っていた。あの人は本当に魔力を持っただけの天地遊覧者なのだろうか?私の勘はNOと言っている。もう一度行ってみよう、ラングラム諸島へ。
「地上へ届け、魔法の歌。ラングラム諸島を視せて、魔法の鏡。Take me to Ranglame。」

6:Cosmos:2012/09/15(土) 21:06 ID:jtk

「Hello.」
私はラングラム諸島で無事会えたドイツ人に挨拶をした。
「Oh!! Nice to meet you again! (またお会いしましたね!)」
「Who are you? What is your business?(あなたは誰?職業は何なの?)」
「Why should I tell you?(なぜあなたに教えなければならないの?)」
「Because I want to know.(知りたいからです。)」
「I am….(私は…。)」

7:Cosmos:2012/09/16(日) 21:28 ID:jtk

「I am Pangolina Marlon,とでも名乗っておきましょうか。」
「なっ!!!」
なんと男性だと思っていたドイツ人は、女性、しかも日本語がしゃべれている。
戸惑っている桜華に、パンゴリーナ・マーロンと名乗った人は
「あなた、本当は天地勤覧者、やめたいんじゃないのかしら。」
と言った。桜華はその一言を聞いて、我を忘れたように嘆いた。
「私は天地遊覧者になんかならないわ!!あんたたち脱落者と一緒にしないで!!!確かにめんどくさいと思っていたわ。でも仕事に誇りを持ってるの!!!!!」
と。
「Oh, sorry。ごめんなさいね。泣かせるつもりじゃなかったのよ。ただ誘いたかったのよ、あなたのような素晴らしい能力を持った方にね。」
悪魔を連想させるような微笑みが桜華の背筋を凍らせる。
何なの、このひと...。
ゆっくり、ゆっくりとマーロンは桜華に近づく。
逃げなきゃ。呪文を唱えなきゃ!!
「Go back!!!」
しかし鏡の風景は消えない。
助けて、嫌っ、助けて!!
「誰かっ助けてよ!!!!!」
バン‼誰かが入ってきた。
「Go back!」
謎の人物が呪文を唱え、桜華に声をかけてきた。
「大丈夫か?」
桜華には白馬の王子に見えたのだった。
赤面しながら桜華はお礼を言った。
「ありがとう、王子。あっ‼」
私ったら何を?!
慌てて口を抑える。相手は相当驚いたようだ。
「何で俺の名前を知ってるんだ?」

8:Cosmos:2012/09/16(日) 22:14 ID:jtk

「俺はオウジ ヒカルっていうんだ。桜に司会の司で桜司。ヒカルは輝いて流れるって書いて輝流さっ。そっちは?」
「へっ?」
しまった!!見とれていたら…私はこんなキャラじゃなかったはず!冷静になるのよ、自分!よしっ。
「私は天宮桜華。天の川の天に宮城の宮で天宮。桜華は桜に難しい方の華(はな)だね。」
ああ〜、いつもは天気の天って言うのに〜私のバカっ!!
クスクス
え?
「だねって…。自分の名前の確認かよ…。桜華ね。よろしくっ!!」
笑いをこらえながら桜司が言った。
かっこいいなぁ。
「うん…よろしく。」
赤くなってしまった顔を見られたくなくて下を向いて言った。
「ところで、よく知ってたね、呪文。天地勤覧者?」
顔の赤みが引いたころ聞いてみた。そうだといいな…。一緒に仕事が出きるって良い…!
だが返ってきた答えはあまりにも残酷だった。
「いや、俺は_覧者だよ。」
えっ…?そんなバカな〜。
「もう一回言ってくれる?よく聞こえなくて。」
「俺は天地遊覧者だよ。」
…嘘。桜司くんが…?脱落者の…あれ、桜司くんが2人…3人だ…脱落者が3人…。
「桜華!!!」
…桜司君が…私を呼んでる…?行かなく…ちゃ……待っててね…。

そして眠っていた伝説が起きてしまった。これからの人生の行方を隠すために…。
2人に悲しみを与えないために…

9:Cosmos:2012/09/17(月) 18:16 ID:jtk

...あれ...ココはどこ?あたしは...どうしたんだっけ...。
確かドイツ人に会って、鏡が戻らなくて...誰かが来て...誰だっけ?お礼言いたかったのにな...。
そのとき、ガチャっと音がして、人影が入ってきた。
「桜華!!大丈夫か、貧血だったのか?心配したよ、いきなり倒れ...」
「あなた、なぜ私の名前を知ってるの?私の知り合い?」
桜華は桜司の言葉をさえぎって聞いた。しかし内容はまたしても残酷なものだった。
桜司は驚きを隠せず、オドオドしながら名乗った。
「俺は...俺は...。桜華、俺だよ!!天地遊覧者の桜司輝流だよ!!!」
そう説明する声は、泣きそうで、とても悲しそうに虚しく部屋の響いた。
ドアが音を立て、医師が入ってきた。桜司は、半分つっかかるようにして医師に桜華の様子が変だと、どうしたんだよと嘆いた。
「落ち着いて聞いてください。天宮さんは、ショックによる記憶障害だと思われます。一的なものだと思いますので、そばに居てあげてください。」
そこまでたんたんと厳しい現実的な言葉を残し、悠然と出て行った。くそっ!!とベッドを叩く桜司。
いつショックなんて受けて...そういえば、桜華は俺の自己紹介を聞いて、顔色を変えたんだったな...所詮、全ては俺のせいだったのか......俺はそばにいてはいけないってことか...。現実はそう甘くかいか...。
「せっかく見つけたのに...。 ...好きだったよ、桜華。」
そう言って眠っている桜華のほっぺに桜司は、そっとキスをした。

10:Cosmos:2012/09/17(月) 18:18 ID:jtk

そして部屋を後にする桜司の目には、涙は耐えることなく溢れ続けた

11:Cosmos:2012/09/20(木) 17:17 ID:jtk

同じ頃、“桜華”は至る所に訪れ、必死になって桜司を探していた。
「知らないわ。市役所の戸籍に載っていなかったの?」
68軒目にして、有力な情報を手に入れた。
そうだわ、戸籍!市役所を回れば…。よしっ。
桜華はこの市の市役所に向かって一直線に、力強く踏み出した。

桜司は力なく座った。ここは病院の屋上だ。
「桜華、お前が俺を認識できなくなったのは辛すぎるんだ。せめて、最後くらい嫌いにさせてくれよな。好きになりたくない…もうこれ以上は……。」
桜司は手すりをまたごうと足を振り上げた。が、足は届かず。
クソッ、こんなときでさえ俺は惨めに生きていかなきゃいけないのかっ!早く…死にたい。
そう思ったとき、
「女ごときで死ぬの、バカらしくないのかな?」
ぅわ、誰だよ!!もう…えっ…。
そこには“桜華”が立っていた。
「えっ、桜…華?桜華…桜華!!俺が誰だか分かるか、桜華!!俺だよ、桜司 輝流だよっ!!!」
俺はこの時、桜華が来てくれたっ!自殺も止めてくれたっ!!と、舞い上がっていたのかもしれない。覚えてくれているかもしれない、という期待は一瞬にして砕け散ってしまうのに…。
「知らないわ。」
……足元がふらつく…頭が痛い…くらくらする。苦しい、苦しい。助けてくれ…。
「私は桜華ではないもの。でも、生きていたらきっと、“桜華姉さん”に会えるわ。だから死なないで。希望を持って、生きるのよ。」
そう言って、娘はニコッと微笑んだ。俺は、マンガによく出るセリフを言った。
「キミは一体何者なんだ?」
俺はできる限り、やさしく、そっと聞いた。
「私は……私は桜華と双子で妹のメグムです。天宮 恵夢(めぐむ)です。」
妹がいたのか…。わずかな希望に賭け、俺は、病室にいたのはキミかい?と訪ねた。娘は頷く。だとしたら…桜華は…。
「桜華は記憶喪失でもなんでもないということか!!天宮、桜華は無事なのか?!」
「…あなたを探しに、旅へ出たわ。もう飛行機が出るわ。」
「!!!?」
桜司は恵夢の隣を駆け抜け、下りていった。

足音が聞こえなくなると、さっきのやさしい表情の恵夢はもういなかった。目はつり上がり、端の下がった口。それは大人びた表情だった。いや、そこにいるのは紛れもなく恵夢ではなく、“大人”だった。
「おろかな天地人め。」
謎の言葉を残し、恵夢と名乗る女性は屋上から去っていった。

12:Cosmos:2012/09/23(日) 22:13 ID:jtk

すみません。あげます

13:Cosmos:2012/09/28(金) 18:39 ID:jtk

なんかあの人、桜司君に似てるかも。髪形とか…。あっ、こっち向いた…
「桜司くん…。」
やっと会えた。
桜華はほっとすると、ぺたっと座り込んでしまった。
「大丈夫か?」
桜司が話しかけると、桜華はびくっとして、下を向いてしまった。
この声…“俺は天地遊覧者だよ。”あの時と同じ…。
桜華ははっとして、顔を上げた。桜司はすぐそこまで来ていた。そして優しい声で話し始めた。
「桜華、俺さ…実はお前が…。」
桜司はそこで言葉を“切られた”。次の瞬間、桜華の口から発せられた、信じがたい言葉によって、言えなくなったのだ。
「私は好きじゃない。天地遊覧者みたいな脱落者を好きになるはずないじゃない。」
桜華は心の中で必死に謝った。
ごめんね、桜司くん。本当はそんなこと思ってない。ただ掟は守らなくてはならないの。誰であっても…。許して…許してね。
桜華はそう思いつつ、その場を去ろうとした。だが、桜司はそれを許さない。わらにもすがる様な思いで桜華の手をつかんだ。
待てよ!俺はまだ何も言ってない!俺の事探してたんじゃないんのかよ?!俺のこと…どう思ってるんだ…なんてなぁ。言えるわけないだろぉ。くそっ!こんなときでさえ俺は無力だ…。
「用が無いなら帰るわ。もう会いに来ないで。」
その一言に、俺はとっさに“待てよ!”と言った。そんな感情的になってしまった俺とは対照的に、桜華は冷たく“待てと言われて待つと思う?”と言い放った。同時に、俺の長い長い初恋の舞台の主役が消え去っていった。

オキテヲヤブレバテンバツガクダル

14:Cosmos:2012/10/04(木) 21:23 ID:jtk

あげます。更新なくてすみません


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