∞モノクロリサーブ∞

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1:心音 ◆g58U:2012/09/15(土) 09:43 ID:Ai.




白と黒が共同する世界…。少女は唯1人、灰色の世界に住んでいた。





…かっこつけてみた。暇なので書いてみるでふ←
更新ちょーーーー遅いですが、頑張ってみるのですよ!←

応援よろしくなのです!

2:心音 ◆g58U:2012/09/15(土) 10:30 ID:Ai.



ナンパを助けるということは後で後悔するものらしい。

「そこのカス男、止まりなさいよ!」

「止まれって言われて止まるバカがどこにいるんだよ!」

俺、鳥居那月。只今、女子高生に追いかけられ中。
人によっては「女子高生に追いかけられるなんて萌えじゃないか!」とかいうバカなやつ(例えば、俺の席の後ろにいる金髪チャラチャラ男子とか)がいるかもしれないが、これは萌えの域じゃない。殺気の域だ。

「大体、俺がナンパした訳じゃないのになんで追いかけられてる訳?!」

「あんたが人の初ナンパを邪魔するからでしょうがァァアア!」

「そんなの知らねェェエエ!!」

そう、俺は助けただけなんだ。チャラ男にナンパされて困っていた女子高生を。

「この子、困ってるじゃねえか。やめてやれよ。」とか言って正義感で満たされてた俺の心を返してくれ!

「あった、出口だ!」

やっと狭い路地裏から逃げられると思い、元々走っていた足を早める。

…だが、先回りされた。俺の後ろを走っていた女子高生にではなく、巨大な狼に。

「電狼、そいつ黒焦げにしちゃいなさい!命令!」

後ろで女子高生が叫んでいるのが聞こえる。
と、思いきやいきなり狼が襲いかかってきた。

「うわあっ!!」

咄嗟に横によける。狼の牙が服をかすった。

「お気に入りの服がァアアア!!」とか嘆いてる場合じゃない。
これはやばい。やばい状況だ。ほら見て、狼さんの体から電気がほとばしってるよ!

「やっと追いついた!」

女子高生が狼の横に立つ。その顔は笑っているも黒いオーラが充満していた。

「あ、あひぃ…」

我ながら情けない声を出したと思う。でも仕方がなかった。だって怖いんだもん!

「人の初ナンパ邪魔したあげく、こんなに走らせて…覚悟はできてるんでしょうねぇ?」

ぼきぼきと拳を鳴らしながらこっちに近寄ってくる女子高生。

「死ぬ!」と思って咄嗟に目をつぶるが、しばらく経ってもなんの衝撃もなかった。

「え…」恐る恐る目を開けるが、目の前には驚愕の表情をした女子高生しかいなかった。
しかも俺の眼前すれすれの拳つき。

「な、なに…?!」女子高生が怯えたように俺の顔を見てくる。

「な、なにが…?」俺には訳が分からなかった。

「ちっ…」女子高生は舌打ちすると、拳をおろして俺に背を向けて歩きだした。

「え…」余りにも呆気なかったので、しばらくは呆然と去っていく少女の背を眺めるしかできなかった。

後に残ったのは1枚の紙切れと情けない俺の姿だけ。
紙切れを拾い上げて見てみる。

「今度会ったら絶対ぼこぼこにしてやるからな。
おぼえてろよ、バーカ。

            白壁百合」

ご丁寧に名前付きだった。しかも花の女子高生とは思えない暴言。

「百合ねぇ…。名前だけは可愛いじゃん。」
なぜだかは分からないが自然と笑みがこぼれた。

俺は紙切れを大事にポケットにいれて、自分の学生寮がある方向へと歩きだした。

3:心音 ◆g58U:2012/09/16(日) 09:11 ID:Ai.



不幸というのは1日1回で済むわけではないらしい。


「なっ…なんじゃこりゃァァァアア!!!」

現在、俺の前には一週間分の食料を食いあさる幼女の姿がある。

「ふいはえふん。おははふいへはほほへ」

「何て言ってるか分かんねぇよ!」

もごもごと口を動かしながら喋る幼女にノリつっこみ?をいれた俺は、目の前に見知らぬ幼女がいることよりも一週間分の食料が食べられたということの方が重大だった。

「やべぇよ…全財産500円しか持ってない…」

親からの一週間ごとの仕送りによって生活をしている俺としては、非常にやばい事態だ。

「…ごくっ…お気を強く持ってください、お兄さん。」

生肉を丸々口に飲み込んだ少女がスプーンで頭を叩いてきた。

「痛い痛い!」

「おや、これは失礼」

絶対謝る気ねぇだろ…と思いつつ頭をさすって立ち上がる。
改めて見ると本当にすごい有り様だった。

冷蔵庫の前には食べ物の残骸が散らばり、それが少女の座っていたテーブルor椅子までつづいている。

他にも、手を洗いたかったが届かなかったのか洗面所はびちょびちょになり、ベランダから侵入したのか洗濯物が地面に無残にも落ちていた。

「え、えへっ」

少女のほうを恨みがましく見ると、なんとも純粋な笑顔で返された。

4:心音 ◆g58U:2012/09/17(月) 07:59 ID:Ai.



「で、お前誰なわけ?」

そうだ、これが一番聞きたかったことじゃないか。食材なんてどうにでもなる。

「あ、私ですか?私はですねー…」

しばらくカバンをごそごそしていた少女は、目的のものが見つかったのかぱあっと顔を明るくさせる。

「あったあった!名刺です!」

そう言って差し出された紙に目を通してみる。

「クロエ…性別女…年齢18…これが?!」

ばっと顔を上げて少女もとい幼女を見る。
ありえない…どう見ても10歳ぐらいの小学生に見える。

「む…なんですか」

少女…クロエはバカにされてると思ったのか頬を膨らませてこっちを睨んでくる。

「いや、なんでもないです」

なんか怖かったから名刺に視線を戻した。

「趣味は読書と魔法の勉強…タイプは優しくてかっこ良くて声が良い人…合コンかァァァアア!!!」

びりびりっと名刺を引きちぎる。「Σああ!!」という声が聞こえたが気にしないでおこう。

「不法侵入で通報だな」

「Σええ、ちょっ…待ってくださいよ!」

電話の受話器を取ろうとした俺の手が掴まれ、捻り上げられた。

「痛い痛いいたい!!」

「わわっ、すみません!」

クロエはぱっと手を離す。くそっ…なんていう馬鹿力…。

5:心音 ◆g58U:2012/09/30(日) 15:37 ID:Ai.

「で、お前はなんなわけ?」

結局通報するのを諦めて少女に質問ならぬ職務質問をすることにした。

「ですから、名前はクロエ性別は女で…「何しに来たのかって聞いてんの!」

「…人の話遮るなんて最低なのです」

「うっ…すまん…」

なぜか冷たい目にさらされて風邪をひきそうだった。

「まあいいのです…。
…私はあなたを守るために雇われたエージェントなのですよ」

「チェンジで」

「Σ即答ですか?!」

訳分からない話をし出すので咄嗟に否定してしまった、素直だな俺。

「なに自画自賛してるんですか…」

「あれ、聞こえてた?」

「ばっちり。」

少女はこくっと頷く。くそっ…我ながら恥ずかしい…。

6:心音 ◆g58U:2012/10/13(土) 08:13 ID:Ai.

「とりあえずなんでもいいので、守らしてください」

深々と頭を下げられた。っていうかとりあえずって…。

「大体、俺が何から守られなきゃいけないんだよ。
別に襲われたことなんてない…ないな、うん」

ふとあの少女を思い浮かべたが、あれは襲われたことには入らないはずだ…そうしておこう。

「そりゃあもちろん悪の組織からですよ!」

俺が悶々と考えていたことを打ち消すようにクロエは叫ぶ。

つか悪の組織ってなんだよ…。

「悪の組織!それは那月さんの力を悪用しようとしている悪い奴らです!」

…なんか力説された。

「安心しろ。俺に力なんてねぇよ」

「あるのです!那月さんが気づいていないだけで、私や私がいる組織はアンテナがビンビンです!!」

アンテナかよ…。

「だからねぇって。俺は魔法も使えないただの平凡な男子高校生です」

「いつもムラムラしている?」

「そうそう…って違うから!ΣΣ
そういうこと考えてる奴もいるかもしんねぇけど俺は違うから!;」

冷や汗を垂らしながら弁解する俺を、冷たい目で見る幼女。
やめて…風邪ひきそう。

7:ゆゆ:2012/10/13(土) 09:53 ID:Bn2

あははwwめっちゃ面白いw
頑張ってください!

8:心音 ◆g58U:2012/10/13(土) 11:09 ID:Ai.

ありがとうございます…!
地道に続けていくつもりなのでこれからもよろしくお願いしますw
>ゆゆさん

9:心音 ◆g58U:2012/10/14(日) 14:46 ID:Ai.

「つか、魔法って特別な奴しか使えないんじゃなかったけ?」

はて?と首を傾げる俺。

「だーいじょうぶです!私の手にかかれば例え無力の那月さんだって魔法を覚えることなんてちょちょいのちょいですから!」

「無力言うなや…」

ガッツポーズをして頼もしいことを言う幼女に脱力してつっこむ。
結構傷つくんだぞ…。

「Aランクの俺がSSランクにいけるとでも…?」

Aランクとは、認めたくないが力…能力が全くない平凡な人間のことをさす。
逆にSSランクとは、有り余る程の能力をもち実力を兼ね備えた超人間(スパヒュー)のことを示す。

もちろん、俺はAランクだ。

「那月さん…あなたは気づいてないだけですよ。自分がどれ程の力をもっているのか…」

クロエが慰めるように俺の手を握る。

「…さっき俺のこと無力って言ったよな」

「細かいことは気にしない!」

なんていうやつだ…。自分の都合のいいように考えをころころころころと…。

「とにかく、私に任せておけばいいんです!那月さんを全力で守らして頂きますから」



楽しそうに微笑むクロエは童貞の俺には女神様みたいだった。

10:心音 ◆g58U:2012/10/15(月) 13:55 ID:Ai.

朝、目が覚めると誰もいない閑散とした部屋を眺めるのが日常だった。

けど今は…

「…重い」

白い足が俺の頬を遠慮なく押しつぶしている。

「こいつはなんでこんなに寝相が悪いんだ…」

ため息をついて起き上がり、カーテンを開ける。
日の光が眩しかった。

「おい、そろそろ起きろ…ってうわあああ!?ΣΣ」

クロエを起こすために振り向いた途端、目にはいってきたのは惜しげもなくさらされる白い肌と…ブラ。

「おおお俺は何も見てない!見てないぞ!;」

冷や汗をたらしながら傍にあったタオルケットを急いで被せる。
危機感とかねえのかこいつは…。

「ん…」

もぞもぞと被せたタオルケットが動いて眠そうな顔が現れる。

「那月さん…?」

寝起きのせいかぼんやりと俺を見て微かに微笑むクロエ。

その顔に少しドキリとしてしまった。

11:薫:2012/10/15(月) 16:40 ID:uQ.

心音ちゃーん←←

来ちゃった、テヘh((殴

面白いね〜
文才あって羨ましいね〜…

くっそ…((ぉぃ

更新頑張って!

12:心音 ◆g58U:2012/10/15(月) 16:43 ID:Ai.

薫殿ぉー←

見つかっちゃった、テヘh((蹴

お世辞は受け付けませんぞ(o • v•)ド-ン←

頑張りまふwwww

13:すず:2012/10/15(月) 18:44 ID:Abw

うまい!

14:心音 ◆g58U:2012/10/15(月) 20:30 ID:Ai.

まじですか。ありがとうございますw
>すず様

15:心音 ◆g58U:2012/10/16(火) 13:56 ID:Ai.


「んで、練習とやらはいつすんの?」

俺は目の前で食べ物を食いあさるクロエを見る。

「ふが、もごふががふ」

「何て言ってるか分かんねえよ…」

「…ごくん…っ、じゃあ今からはじめますか!」

「今から!?ΣΣ」

「もちろんですよ?腹ごしらえもしましたし」

満足そうに自分のお腹を叩くクロエを尻目に、休日でよかったー…とほっとする。
もし、平日だったら学校休ませてでもしそうだからなこいつ…。

「あれ、練習ってどこですんの?」

ふと思いついた疑問に首を傾げる。

「そこにぬかりはありません!しっかり用意していますよぉー!!」

「そうかよ…」

ひょっとしてひょっとするかも…と思っていたがさすがは守護神(エージェント)。準備がよろしいようで。

「まあどんな練習するのかも気になるしな…。一回ぐらいやってみるか」

なんとか逃げだそうとする心を押さえ込んで納得する。
嫌な予感がしないでもないが…。

「じゃあ早速行きましょー!」

「はいはい…」

ぬけるような青い空に「大丈夫だよな…」と呟き、元気にマンションの廊下を前進していくクロエを追いかける。


本日晴天。心の天気は曇り模様。

16:心音 ◆g58U:2012/10/22(月) 08:42 ID:Ai.



「那月さん、そこはもっと腰を引いて!!」

「ひいぃいぃいぃいぃ!!!!;」

予想していた通りクロエの練習は過酷以外のなにものでもなかった。

別に魔術を唱えるのは口で喋るぐらいだからできるけど、一番嫌なのはポーズだった。

「こんな公衆の面前で恥ずかしい…!ッ」

「もっと手を上に上げて!ぶつぶつ言わない!!」

「ほんとにこんなんで魔法とかできんのかよ!!;」

「できます!できると思えばできるんです!」

「なに、その理論!?;ΣΣ」

俺はちらりと歩道を見る。目が合ったおばあちゃんがそそくさと去って行った。

「ねえ、ママー。あれ何してるの?」

「見ちゃいけません!ッ」

無邪気な子供が母親に目を塞がれて連れられていく。

「は…はは…」

涙も出なかった。

「よし、ちょっと休憩しましょうか」

クロエが額の汗を拭ってポ○リを取り出す
…お前が練習してるみたいになっているけど俺だからな。実際に練習しているのは俺だからな。

「ん?何ですか?」

「なんでもねえ…」

17:心音 ◆g58U:2012/10/27(土) 09:03 ID:Ai.



「疲れたー……」

ぐてっとベンチに寝転がる俺。周りの目なんてもう気にならなかった。

「まだ練習量は大量にあるんですよねー…」

隣に立つクロエが紙をぺらりと捲る。
おそらく、何を練習するのか書いてあるのだろう。

寝転がりながらぼんやりとその練習とやらを思い出してみる。




「腹筋100回が終わったら背筋100回ですよ!休んでる暇なんかありません!」

「ひぃいぃいぃいぃ!!!」

「公園55週です!それから鉄棒で連続前回り30回!」

「無理だあぁあぁあぁあ!!!」



…思い出さなきゃよかった。

「なあ、ほんとに明日もやんのか…?」

「当たり前田のクラッカーですよ。学校が終わってからもやりますからね」

「まじかよ…」

古いし笑えなかった。

18:心音 ◆g58U:2012/11/03(土) 15:51 ID:Ai.


「なっちゃん、最近お疲れのようだにぇー?」

「ああ、まあな……」

終わりの会になり、前に座っている土屋(通称:変態)が話しかけてきた。

「なにかあったのかにぇー?もしや恋の悩みとか…!?俺をほってどこへ行く気だなっちゃん!?」

「どこも行かねえよ!」

なんか勘違いしているであろう変態をとりあえず殴っておく。

「…っう…、なっちゃんひどい…」

「それがさー、最近家に食物を食い漁る動物が居着いちまって…」

「無視!?Σ」

ぎゃあぎゃあ喚く変態をスルーして話を進める。

「そ、そうか…なっちゃんも大変だにぇー」

「だろ?食費がかかってほんとまいるよ…」

ここで、実は家には女の子もとい幼女が居候しているのですと言ったら確実に“ロリコン”というレッテルが貼られるのであえて、動物と例えておく。

19:心音 ◆g58U:2012/11/04(日) 08:56 ID:Ai.

「でもでも、その動物がメスだったら可愛くないかにぇ?」

女の子だったら動物だろうが地球外生物だろうがなんでもいい変態が問いかけてくる。

「あー…そうか?」

「そうだよ。女の子に飢えたなっちゃんならきっと……!」

「何を想像してる!?」

やっぱりこいつ変態だ…と呆れて首をふったところで下校のチャイムが鳴った。

「お、鳴りましたにゃ。そろそろ帰るかい?」

「おう。」

鞄を引っ付かんで教室から出ようと足を出したそのとき

「あー鳥居君は残るようにね?後で補道室にいらっしゃい」

我らが担任楠本美貴、通称くすみんが大きな胸を揺らして俺を見る。

「お、俺何かしましたっけ……?」

だが今の俺には大きく出ている胸の谷間など気にしている場合ではなかった。
まさか幼女を家に連れ込んでることがばれて……!?

「君は補習の時間だョ。みっちり教えてあげるから覚悟しておきなさい」

俺が考えていることを取っ払うように楠本先生は不適に笑って教室から出ていく。
あのことじゃなかったのか…とほっと胸を撫で下ろしていると「ずるい……」という言葉が聞こえた。

「え?」

「ずるいぞ、なっちゃん!くすみん先生と2人で一体補道室で何する気だにゃ?!」

「なにもしねえよ!」

じとーっとした視線を向けてくる変態を振り切って補道室へ向かう。
さて、今日は何時に帰れるか…。

20:心音 ◆g58U:2012/11/10(土) 10:33 ID:Ai.

「…遅い。遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅いいぃいぃい!!!」

飾り気のない部屋に1人ぽつんと置き去りにされたクロエはばたばたと部屋の中を暴れはじめた。
だが、空腹も限界に達したのかぴたっと止まる。

「遅い…お腹すいた……」

しーんとした部屋にはただか弱い少女のお腹の音が響き渡るだけだ。

「帰ってきたらみっちりお説教ですね……!」


まだ来ぬ主を待って犬は吠え続けるのみ………。

21:心音 ◆g58U:2012/11/10(土) 10:46 ID:Ai.

「失礼しまーす……」

がらりと補道室のドアを開ける。そこにはなにやらパソコンの画面を凝視している女性が居るのみだ。

「お、来たね来たね。だーいじょうぶだって、そう不安そうな顔しなさんな」

画面から顔を上げた楠本はびくびくしている教え子を見てからかうように笑った。

「あの…どういったご用件で……?」

鳥居はただ言われるがままに椅子に座る。

「別にそんな大層な用件でもないのよ。補習を頑張ってねって言うだけ」

そう言うと楠本は4、5枚のプリントを取り出す。

「今日はとりあえずこれだけね。終わったら帰ってもいいからさ。分からないことがあったら聞いてくれよ?」

「ΣΣ今日は!?明日もあるっていうことですか!!?」

「補習期間中はみっちりねー」

地獄だ…悪夢だ…とぶつぶつ呟いて鳥居はうなだれる。
その様子を見た楠本は苦笑するもまたパソコン画面に視線を戻す。

鳥居も諦めたのかシャーペンを動かす音が聞こえる。

しんとした補道室にはキーボードを叩く音とシャーペンを走らす音が響く。
画面から顔を上げ徐々に暗くなっていく空を見て楠本は「今日も平凡な1日で終わりか……」と小さく呟いた。

22:心音 ◆g58U:2012/11/11(日) 17:47 ID:Ai.



「……そろそろ時間のようね。」

「動かなきゃダメなの?面倒くさーい」

「…………」

青白い月で照らされた寮の屋根には2人の人影が写っていた。
その中の1人、ロナサン=ジュリエは紫の髪を邪魔っ気に後ろにやり、フードを被ったもう1人に呆れた目を向ける。

「仕事なのよ…当たり前でしょう。」

「でもでも面倒くさーい」

ぶぅぶぅと口を尖らせるフードの少年…シャルロ=エージは自分より背の高いロナサンをねだるように見上げる。

「この仕事、そんなに手間がかかるものでもないしロナサンだけでいいんじゃないかな?」

「……士気が低い者など連れて行っても足手まといになるだけです」

「やったー!!」

純粋に喜ぶジュリエを後ろにロナサンは遥か下に簡単に飛び降りる。

「気をつけてねー」

「………」

さて、この仕事を終わらしたらあの役に立たないパートナーをどうしようかと首をひねりながらロナサンは目的物の回収へと寮の中へ足を踏み入れた。

23:鵠:2012/11/14(水) 17:46 ID:gCk

鵠(クグイ)です!

これめっさ面白いねwwwww

腹筋返して((黙

更新がんばって(^v^)

24:心音 ◆g58U:2012/11/14(水) 20:31 ID:Ai.

クグイさんでふか!こんにちは←

どうもどうもなのです( •ω • )

え、腹筋割れてませn((黙

頑張りまふ!
>鵠さん

25:りっこ  ◆5SxA:2012/11/14(水) 20:40 ID:JS6

私も心音さんの小説好きです。

出来た時からずっと読んでました。

続き、頑張ってください!

26:心音 ◆g58U:2012/11/14(水) 21:11 ID:Ai.

お、おお…隠れファンが…ww

嬉しいです!ありがとうございます(^ω^)
>りっこさん

27:心音 ◆g58U:2012/11/23(金) 10:20 ID:Ai.

「遅くなった……」

街灯の明かりに照らされた夜道を、放課後の補習のせいでげっそりとやつれた鳥居がふらふらと歩いていく。

鳥居の住む理想都市には何らかの能力•魔術をもつ学生が多く住んでいるため寮の門限•バス•電車等の最終時刻が他と比べて早い。故に鳥居はバスも電車も止まっている中、1人寮までの長い道のりを歩いているという訳だ。

「怒るだろうなー…家に帰ったら土下座して謝らねーと……」

これから起こるであろう腹ぺこ少女の自分への制裁を思うとぶるりと体が震えた。決して寒さのせいではないと思う…たぶん。

そんなことを悶々と考えているうちに、いつの間にか寮の前に来てしまっていたことに気づかず鳥居は前を通り過ぎようとした。

「ねえ、お兄さん」

だが、そこで声をかけられた。鳥居はきょろきょろと周りを見回すがそれらしき人影はない。

「ここだよー、ここ」

…いやいや有り得ない。普通の人間だったらあんな所行く訳がない。そうだ、これは夢だ。きっと補習中に寝てしまっているだろう。うわあ…あとで先生に叩き起こされそうだな……。

「何考えてるのー?あ、分かった。思春期男子高校生の考えていることといえば…」

「ΣΣ何でそんなとこに居んの!!?」

鳥居はついつい見上げてしまった。寮の屋上の塀に座っている人影を。

「ま、まさか自殺者か…!?早まるな!お母さんが悲しむぞ!!」

「…自殺者が人に話しかける訳ないでしょーが。てか、何でお母さん?お父さんでもいいんじゃない?」

「Σそういう問題じゃない!!と、とにかく待ってろよ!今助けに行ってやるからな!!」

鳥居は屋上の人物を助けるため寮のエントランスに足を踏み入れようとした…ところでドオンッと何かが爆発したような音が響き渡る。

「な、なんだあ?」

「どうやら始まったみたいだねー」

「何が起こって……え」

28:ロリータ(元、クロ):2012/11/23(金) 10:34 ID:xxY

面白すぎでしょしょしょ←

オレにその文才力を下さいません?( ・`ω・´)
ねぇねぇ、ほれほれ!

あ、更新頑張れ!
>ここたん

29:心音 ◆eMMM:2012/11/23(金) 10:51 ID:Ai.

ΣΣえ、やだ。クロってロリータだったの?!幼女なの!?←

やーよ((つーん/おm(

頑張るww
>クロ

30:心音 ◆g58U:2012/12/01(土) 09:03 ID:Ai.

もくもくと立つ煙の中から出てきたのは背の高い女性だった。そして、その女性の肩に担がれているのは…

「クロ…エ……?」

鳥居は目を見張る。だが女の肩の上でぐたりと上半身を折り曲げているその少女は正真正銘、部屋で夕飯がないと暴れまくっているはずのクロエであった。

「お前ええぇえぇえ!!!?」

気づけば女に向かって拳を振り上げていた。もし女がただの女性であればここで鳥居に吹き飛ばされていただろう。
だが彼女は違った。鳥居の拳を片手一本で受け止めたのだ。

「なっ…!?」

「弱いですね。そのような拳で女性を守れるとでも?」

「くっ……」

鳥居は歯を食いしばって相手をこれでもかと睨みつけるが女の方は飄々としていた。

「クロエをどうする気だ!!?」

「最終決定は上が決めることです。私達はこの子を回収しにきただけなので」

「そいつが何をしたっていうんだよ!?」

「あなたに教える義理などないでしょう」

「くそおおおぉおっ!!!!」

鳥居はまた拳を握って今度こそ女のみぞおちに一発食らわせようとするも無駄だった。
しかも女の方は足蹴りというオプション付きだ。

「ぐほ……っ!?」

「しばらく黙っていてもらいましょうか。それとも永遠に黙っておきますか?」

5mほど吹き飛んだ鳥居の後を追いかけ、女はブーツのヒールをぐりぐりと倒れた鳥居の背中に押し付ける。

「あがぁっ!!?」

知らず知らずのうちに口から血がごぽりと溢れ出た。

「…このようなところに長居するのもあれ故、引き上げましょう。」

女は口から血を吐いた鳥居を一瞥すると黙って見ていたジュリエに声をかける。

「その人大丈夫なの?ショックで死んじゃうじゃない?」

さして心配している風もなくジュリエは女…ロナサンに問いかける。

「これぐらいで死ぬようなたまではないでしょう。行きますよ」

「はーい」

足音が遠ざかっていく。鳥居は薄れゆく意識の中で彼女達の言葉を反芻する。

「ク…ロ……エ……」



弱者はただ強い者にひれ伏すのみか。

31:心音 ◆g58U:2012/12/08(土) 10:40 ID:IxE



守るって誓ったのに…。私があの人を守り抜いてやるって……。



…力がはいらない。意識があるのは確かなのに、眼を開けることもできない。
(私は聞いているだけしかできないの…?)

「弱いですね。そのような拳で女性を守れるとでも?」

(弱くなんてない…。那月さんは強い…あなたよりも絶対に…)

「クロエをどうする気だ!!?」

(こんなときでも心配してくれるんですね…お人好しにも程があります…。私のために戦うなんて……)

自分が意識がないのは知っているのに自然と嬉しくて口角が上がるのが分かる。

「ぐほ……っ!?」

「しばらく黙っておいてもらいましょうか。それとも永遠に黙っておきますか?」

(やめて…その人に手は絶対に出させない…ッ)

だが、自分でそう思っても体が動かないのが現状だ。

「ク…ロ……エ……」

(ああ…ごめんなさい。あなたをこんなことに巻き込んでしまうなんて…。
私ってばエージェントしっ…か……く…)

薄れいく意識の中で確かに少年の声は届いた。
だが少女に返すことは出来なかった。

32:心音 ◆g58U:2012/12/16(日) 09:23 ID:IxE




「ねぇ、ロナサン。」

「何です?、」

「これで本当に誰もが幸せになれるのかな?」

「…私たちはそれを信じて今日までやって来たのです。今更後戻りなんてできませんよ。」

「分かってるよ。たださ、“あの子”の幸せって何だろう?僕達と一緒に過ごして、また苦しむことになるのがあの子の幸せなの?」

「…何が言いたいのです。」

「別に上の命令に逆らう気はないよ。でもあの男の子を見てると、どうしても疑問が湧いてくるんだ。」

「あの子は………」

「あの子は僕達のものと決まったわけじゃない。ちゃんと人権がある“人”なんだよ。」

「本当に生意気ですね……。」

「よく言われる。」

「ですが、私達には何もできないのが現状。ただ祈るのみです。」

「祈るのみか……。」

「行きましょう。最終決定は上層部が決めることです。」

「うん……。」


ただ、彼女たちは作り上げるだけ。彼女たちが愛する人の周りが平和になることを…。

33:心音 ◆g58U:2012/12/22(土) 16:16 ID:IxE

目が覚めると見知らぬ天井に見知らぬ家具達、そして見知った人物がその家具に埋もれるように寝ていた。

「楠本先生……?…っ………」

鳥居は咄嗟に起き上がろうとするが頭がずきりと痛んで息が荒くなった。
そのとき、布団をこする音が聞こえたのか鳥居の担任である楠本はのそりと身動きをして寝ぼけ眼で鳥居の方を向く。

「あれ…、起きたのかー…。」

「あ、はい…。…あの、どうして俺はこんなところに…?」

「倒れてたんだよ、路上に。あのとき私が通らばなかったら君はどうなってたんだろうねー……。」

恩きせがましい響きでもあったがきっと自分のことを心配してくれたのだろうと鳥居は納得する。

「どうもありがとうございました。布団まで貸してもらったみたいで…。」

「いやいや、担任が生徒の世話をするのは当たり前のことだヨ。」

「でも………、」

「じゃあさ、質問するけど君はどうしてあんなところで寝ていたわけ?」

34:心音 ◆g58U:2012/12/23(日) 08:32 ID:IxE

「………っ…」

鳥居はぐっと言葉につまる。だが楠本が本気で自分に対してその答えを求めているのはどんなにバカだろうと分かる。

「………俺は、」

鳥居はぽつぽつと喋りはじめた。クロエとの出会いや過酷な練習のこと、そしてクロエが何者かに連れさられ自分は止めることができなかったこと。

「…つらいかい?、」

「……………」

楠本の言葉にこくりと頷く。正直、今の自分ではこうして質問されて答えるということしかできないのが歯がゆかった。

「今にでも追いかけて連れ戻したいかい?」

「当たり前じゃないっすか…っ…。クロエは家族なんです……!!、」

ほんの数日前に家に突然現れたエージェントを名乗る少女。だが鳥居の中ではもう彼女は家族同然の関係であり、守らなければならない大切な少女なのだ。

「(クロエ…、お前がどこにいるかなんて俺には分かんねぇ…。けどな、ぜってぇ見つけてあの馬鹿2人から連れ戻してやるよ!!)」

鳥居は布団の上にのせた自分の拳をぎゅっと堅く握る。たった1人の少女を助けるために。

楠本は彼のそんな様子を見て優しく微笑んだ。教え子がこんな風に育ってくれたのは本当に嬉しいことだと。

「先生、1ついいですか?」

「ん?何だい?、」

「胸、見えてま…ぐふぉっ!!?」

35:心音 ◆g58U:2012/12/24(月) 07:52 ID:IxE

実際、あの少年を拾ったのは単なる偶然だった。
煙草が吸いたいと思って右折しなければ彼は今でも路上に寝転がったままだろう。

「(まあどんな事情があるか知らないけどさ…、教師として保護者として子供の安全は守らなきゃね。)」


かつて、人の世に苦しんでいた子供達がいた。
楠本は教師として、保護者として、彼らを救おうとしていた。だが不可能だった。

流れる人の波はそれを許さない。結果、子供達は闇の闇、底知れぬ心の闇に落ちてしまった。

「(彼らのニの舞にはさせない…。今度こそ私が守ってやる。)」

今だに目が覚めずうんうんと唸っている教え子を見て彼女は確かに誓ったのだ。

36:はるなたん← ◆IeMY:2012/12/24(月) 10:36 ID:uGQ


お友達が書く小説って面白いですよね、いろんな意味で。←
こんだけ文才あって国語100点取れないとは何事ですかねぇ…( 謝 )←

更新ガンバでふ、!

>先輩

37:心音 ◆g58U:2012/12/24(月) 10:45 ID:IxE

あら、お久しぶりです。お友達じゃなくてだ•ん•な•さ•n((黙殴蹴滅!!←

私が文才あったら世界中の皆さんは既に小説家ですね。

はるなたんの小説もばっちりチェックしてますよ。黒バスのやつ面白かった笑
頑張りまふww
>はるなたん

38:心音 ◆g58U:2012/12/25(火) 08:53 ID:IxE

ーあれから何日が経ったのだろう。

クロエがいない毎日は平凡で平和でそしてつまらない。

(…あいつがいたのはほんの数日なのにまさかここまで浸透してたとはな。)

放課後、寮の近くを歩いている内に自分でも知らず知らず苦笑がこぼれる。

結局、あの後楠本にこれまでの事情を話し今後どうするべきかを話し合った。
警察に行けばいいんじゃないかという話も持ち上がったが自分がそれを否定した。

クロエは理想都市の不法侵入者だ。警察に相談しても話を取り持ってくれないばかりかもしかしたら捕まってしまうかもしれない。

結果、出てきた結論は“自分達でどうにかするしかない”だった。

(だけど、先生に迷惑をかけるのもな……。)

ただでさえ、学生が集合しているここでは中間試験とやらの地獄が迫っている。教師陣は問題用紙や解答用紙を作るのにてんやわんやだろう。

(やっぱり、1人で対処するしかないのか…。)

正直不安はある。何しろ相手は2人。しかもその内の1人と先日戦いを繰り広げ負けたばかりだ。

(どうしようもねぇ……;)

女1人に負けるとか情けなくて泣けてくるよ…と鳥居が自分の心にのしかかった敗北感を紛らわせるためふと、公園にあった自動販売機に近付くと…


会いたくない相手と偶然かはたまた運命か…出会ってしまった。

39:心音 ◆g58U:2012/12/26(水) 08:36 ID:IxE

「お前…何でこんなところに…?」

「何よ。私が自動販売機でジュースを買っちゃいけないっていう決まりでもあるの?」

「ないです。」

「よね。」

意気消沈した鳥居が出会ったのは先日、ナンパをされて困っていたから見かねた彼が助けた“はず”の娘だった。

「(確か名前は…白壁百合……?)」

「…何でそんなに怪訝そうな顔する訳?」

「あ、いや、…まだ怒ってるのかなー…と…。」

「はぁ?バカじゃないの。そんな数週間前のこと一々根にもっているわけないでしょうが。どんだけ執念深いのよ私。」

「ですよねー。」

あはあは、と鳥居は引きつった笑みを浮かべつつ自分の心にまたずしりとした重いものが乗っかる感じがした。

「(そうか…、もう数週間も経つわけだ…。)」

やはり自分がクロエを助け出さなければいけないのだろう。自分が…。

「ん、」

「は、え、何?」

考え事をしていた鳥居の目の前に突きつけられたのは一本のミルクソーダーだった。

「…あげる。」

「まじか!?これ何円だった?返すから…、」

「べ、別にいいわよ!。間違って2回ボタン押しちゃっただけだから!!それに同じの2本もいらないし…って、何よその顔!?」

「いや、怪しいものでも入ってるのかなーって。」

40:時雨:2012/12/26(水) 09:09 ID:xxY

心音たんの小説……!(*´Д`)ハァハァ
あ、オレ分かる?分かる?…オレだよオレオレ!←
えーっと、クロだよ(´∀`)

もう、天才だね天才。神様って呼ぶよもう
更新、頑張ってくださいな

>神様

41:心音 ◆g58U:2012/12/26(水) 09:12 ID:IxE

息荒い息荒いww
オレオレ詐欺k((殴

神様やめwwww
あい、頑張りまふ。
>時雨

42:心音 ◆g58U:2012/12/27(木) 08:37 ID:IxE

「そんなに嫌だったら返しなさいよ!!」

「悪い悪い。ありがたく頂くよ。」

きゃんきゃんと犬のように吠えている白壁を軽くあしらい鳥居はくい、とミルクソーダを口にいれる。

「…ご馳走様。」

「どういたしまして…。」

しばらくの間2人に沈黙が続く。それを破ったのは5時を知らせる公園のチャイムだった。

「じゃあ俺そろそろ帰るわ。」

「ま、待って!」

鞄を掴んで立ち上がろうとした鳥居を引き止めた白壁は目をきょときょとと逸らしながら考えあぐねていた。

「(どうしよう…、言うべき?でも余計なお世話だって言われたら…。)」

「あの…白壁さん?俺早く帰りたいんだけど…。」

鳥居は目をぐるぐると回して自分思いにふけっている白壁を見かねたのか此方も少しびくびくしながら声をかける。

「うぅあ…、その、…あ、あんたの名前何て言うのよ!」

「俺の名前?…鳥居那月だけど。」

「鳥居那月ね。仕方ないから覚えておいてあげるわ。」

「いや、覚えておかなくていいです。」

「なぁっ!?」

何だこのお嬢様思考…と呆れて公園を立ち去ろうとした鳥居にまた声がかけられる。

「悩みがあるなら私に言いなさいよねー!」

その言葉に一瞬助けを求めてしまいそうになるがぐっと拳をにぎり、白壁に別れを告げるようにひらひらと手をふった。

43:心音 ◆g58U:2012/12/28(金) 10:57 ID:IxE

(さてと…、かっこつけて出てきたはいいけどこれからどうしようかなー…。)

鳥居は白壁にもらったミルクソーダの缶を近くのリサイクルボックスにいれると暗くなってきた夜道を歩き出す。

(まずあいつらがどこから来たか、だよな…。)

確か、あの夜先生の権限を使って楠本にそれらしき人物が理想都市に住んでいるか調べてもらったのだが、当てはまる人物は1人も出てこなかった。

(と、すると…あいつらはここの都市の住人じゃないってことだな。)

ぼーっと考えながら角を曲がるとどん、と誰かにぶつかった。

「うお!?ご、ごめんな大丈夫か?。」

どうやら見たところ小さな女の子らしい。鳥居が心配そうに問いかけるも相手から返事はなかった。
そればかりか、少女の体はぐらりと横に倒れる。

「お、おい?!」

鳥居は慌てて少女の体を支え何とか地面に倒れることは阻止したものの、

「え………。」

少女を支えた鳥居の手には赤い血がついていた。

「なっ……お、おいまじで大丈夫か!?」

鳥居は慌てて服で自分の手を拭うと相手の顔を改めて見る。
少女の顔は青ざめていて、汗で服はびしょびしょだったが何よりも驚いたのはその少女の正体だった。

「クロ…エ……?」

鳥居の腕に抱えられていたのは、数日前何者かにさらわれたはずのクロエだった。

44:心音 ◆g58U:2012/12/29(土) 11:21 ID:IxE

ー少年は走る。たった1人の少女を守るために。


「ハァ…ハァ…くそっ!?」

ガランガランッとゴミ箱が大きな音をたてて転がる。
後ろから迫ってきているのは確かな殺気と気迫だ。

「何でこんなことになってんだよ…ッ」

あのとき、血まみれのクロエを抱きしめたとき、急に足下が燃え上がってそこから離れるように逃げ出した。
捕まるわけにはいかない。

「ああ、もう!こうなったらとことん逃げてやるよ!!」

しかし、そのためにはクロエの怪我を一刻も早く治さなければならない。

「待ってろよ、今すぐ先生のところに連れて行ってやるから…!」

今頼りになるのは病院でも警察でもない、自分の担任である楠本だけだった。

だが、
「おーい、逃げても無駄だよ。」

「くそっ、前にもいたのか…ッ」

ずっと後ろばかりを気にしていたのが間違いだったらしい。

(そういや、こいつら2人組だったな…!)

けど目の前にいるのは自分よりも身長も年も低い子供だ。

(勝てる……!?)

45:心音 ◆g58U:2012/12/30(日) 08:01 ID:IxE

(俺はこいつに勝てるのか…!?)

そんな疑問がぐるぐると頭の中を駆け巡る。

(一度負けてしまった相手に俺が……。)

「迷いなど払拭しておしまいなさい。」

不意にヒールを鳴らす音が路地裏に響き、直後鳥居の腹に強烈な一撃がはいる。

「ぐふっ…!?」

クロエを抱いた鳥居の体は5m程吹き飛ばされやっと停止した。

「く…っ…。」

「戦闘中は一切の思考を禁ず。真っ直ぐに相手を見て、そして…叩っ斬る!」

「!?ぐはっ」

カツカツとヒールを鳴らして女は鳥居に近付いていき、そして腰にさしていた日本刀で…

一刀両断した。

鞘にさしていたままだったのが幸いだったのだろう。もし刀が抜き身だったら今頃鳥居の体は腰から上が切断されていたはずだ。


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