君が教えてくれたこと。

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1:彼方 ◆fEEU:2012/10/19(金) 19:21 ID:Bns

    
    ずっと独りぼっちだった。

    私が居なくなったとしても
    …―きっと誰も気づかない。

    真っ暗なこの世界から
    …―消えてなくなってしまいたい。

    そう思っていた。

    だけどあの時、君に出会って
    
    初めて「生きたい」って思えたんだよ。

    

2:彼方 ◆fEEU:2012/10/19(金) 19:50 ID:Bns

晴れ渡る空、白い雲。
眩しい太陽の下で素敵な笑顔で
「おはよう」って挨拶を交わして。

誰かの隣で笑ってられて
普通に友達と買い物とかして。

普通に恋してときめいて…

「そうやって普通"に…生きたかった」

私、夕月千沙(ゆうづきちさ)は
晴れ渡る空ではなくて
真っ暗な部屋の片隅でそうボソッと呟いた。


私は言葉通り…普通に生きてない。

今は中学二年生の私だけど…
私は学校に行っていない。

いわゆる不登校ってやつで…ひきこもりだ。

小学五年生の頃から学校になんて行ってない。


原因は…―――悪質ないじめ。


最初は無視だけだったけれど、それじゃ
満足できなくなったのか…
蹴ったり、殴ったり…暴言を吐いたりと
学年全員からのいじめが始まったんだ。

苦しかったし、辛かった。

仲の良かった子には裏切られて
私が何したって言うんだ。

そう訴えることすらできなかった。


なんて愚かな世界なんだ。
なんて真っ黒な世界なんだ。

なんで、こうなってしまったんだ。

普通に生きたかっただけなのに。
皆と同じように、生きたかっただけなのに。


私はずっとそんな事ばかり考えている。


真っ暗で、朝なんて来ないような部屋の隅で。

3:茜(?):2012/10/19(金) 22:39 ID:.uw

いじめー!
いじめは嫌ですね…
私の学校でも不登校が…

4:彼方 ◆fEEU:2012/10/19(金) 22:43 ID:Bns

>>3
そうですね…
でも今回はいじめではないですよ。
今回は「生きることの大切さ」を
テーマに書いていこうと思います!

あと、久しいですね。星弥様。

5:茜:2012/10/19(金) 22:49 ID:.uw

うん!そうだね!
久しぶり♪

あと、『様』いらないよ!
生きる、かあ〜
いいテーマ…(じーん…

6:彼方 ◆fEEU:2012/10/20(土) 09:42 ID:Bns


「…居なくなれたら…楽なのに」

乾ききった喉に声を通す。

だけど私は、自殺する勇気なんてない。
私はこんな腐りきった弱虫な人間だ。
ひきこもってるのが、私は楽なんだ。

布団に埋もれて、チラッとカーテンを見た。



…―もう一度、空を見たい。



私にだって、輝いていた時くらいあったさ。
あんな事が起きる前は、楽しくてしょうがなかった。


もう一度、笑いたい。
もう一度、普通に過ごしたい。
もう一度、もう一度…

そうずっと思ってきたけれど、結局一つも叶わない。


今が精一杯なんだ。
未来(さき)の事なんて、考えられない。

大きな壁に押しつぶされそうなんだ。
暗い闇に覆われそうなんだ。

だけど私はそれを―…


どうにかしようとも、思わないんだ。

7:茜:2012/10/20(土) 19:32 ID:.uw

おぉ!
凄い!
引きこもりかぁ…
なにもかもする気無くなるのかな…
それか、依存…?((あほぅ!
やっぱ彼方上手いね!

tk お祭りなので今日、明日あんまり来れない!

8:彼方 ◆fEEU:2012/10/20(土) 20:55 ID:Bns


私はカーテンから目を背けた。

光の世界なんて、戻れない。
もう闇の世界に閉じ込められてしまった。

いや―…

光の世界なんて存在しない。

輝く未来?ただの綺麗事。

生きる意味なんてものも存在しない。

自分で探す?自分で作る?
私から言わせれば笑わせるなと言う話だ。


人は一人で生まれ一人で死んでいく。

だけどそれまでの人生を、私はきっと
「素晴らしかった」と言えない。


これからも私は闇に閉じ込められて
出ようと抗い(あらがい)もせずに、光から遠のくのだろう。


こんな私に待ち受ける人生って何なんだ。


これから私の人生は一変して、楽しく
美しい人生を迎えることができるのか。



いや、違うだろう。


残酷で苦しく、汚らわしい目で
私は「人生」から見下されるに違いない。


それに私は誰も信じられないんだ。
信じたところで私に待ち受けるのは「悲しみ」。


期待を変えられるのは残酷なものだ。
特に私のような人間は。


もうこれ以上、耐えられないだろう。



己だけを信じる。

ではないんだ。


もはや、自分さえも信じることなど出来ない。

もう自分でも止めることが出来ないくらい
狂って、おかしくなって、自分で自分を潰しそうで。


どうして私なんかがこんな所にいるのだ。
どうして私が生きてるんだ。

私なんて、生まれなければ良かったのに。


そう考える内に

…いっその事、居なくなってしまい。

そう思ってしまうんだ。


だけど、そう思ったところで何が変わるわけでもない。



私は軽く目を閉じた。

9:彼方 ◆fEEU:2012/10/20(土) 20:58 ID:Bns

>>7
ありがとうございます(*´∀`*)

すみませんが、小説に関係しないことは
あまり書き込まないでください。
私は小説板では雑談をしないように心がけています。
本当に申し訳ありません。

10:茜:2012/10/20(土) 21:13 ID:.uw

彼方>ごめんなさい!
彼方の言う通り…
私も控える。
〜感想〜
これ読んだ時、引きこもりでも、不登校でも、今まで死ななかっただけで凄いって、私はいってあげたくなった!
彼方の小説はいろいろ私に欠けてることに気付かせてくれるよ…

11:彼方 ◆fEEU:2012/10/21(日) 17:47 ID:Bns

「………ん」

目を開ける。

いつもの天井。真っ暗な部屋。
ふと壁にかけている時計を見る。
今は…もう三時…か…

そして私が起きるのを待っていたかのように
私の薄いピンクの携帯がなった。

表示は…ーお姉ちゃん。

私は慌てて電話に出た。

「は、はいっ」

『あ、千沙?お姉ちゃんだけど…
 お母さんの着替え忘れちゃって…』

「え…届けろって言うの…?」

私のお母さんは入院している。
何故だかはよく知らない。

私は大学生の姉と二人で暮らしている。
将来は画家になりたくて
美大に行っているらしい。

仕事もして、大学にも行って。
本当に苦労していると思う。

『お願い!病院から戻るの大変なんだから…』

はぁ…仕方ないな…

私はそんな姉のお願いを断りきれなかった。



…久しぶりの外…か。


空を見られるのか…

だけど私の中に募る思いは
ただただ不安だけだった。

12:彼方 ◆fEEU:2012/10/21(日) 22:57 ID:Bns

私は、晴れ渡る空に白い雲…の
下を歩いていた。


「……はぁ」


紙袋片手に、青いパーカーとジーンズ。


いかにも目立たない地味な格好だ。


ずっとパジャマだった物だから
着れる私服なんて言ったらこれくらいしか無かった。


今が春という季節で良かったと思う。


にしても、本当に私は誰にも見られてないんだな…

まぁ、当たり前…か。

しばらく歩いていると、大きくそびえ立つ建物が現れた。

「ここか…」

ここが私の母が入院している病院。


私は足を踏み出すのに少し躊躇った。

受付、大丈夫かな…上手く喋れるかなあ…


だけどこうして居ても時が経つだけの話だ。
私は足を動かした。


すると、病院のロビーでお姉ちゃんが待っていた。


「千沙〜、こっちこっち」

お姉ちゃんに手招きされて、そちらに向かった。


「千沙ありがとね、不安だったでしょ?ホントにごめんね」

そう言って、頭を撫でてくれた。

「これ、はい」

私は自分でも驚く程、可愛くない素振りで
お母さんの着替えの入った紙袋を渡す。
だけどそんな私に姉はニコニコと微笑みかけてくれる。


「これだけで帰るのも勿体無いでしょ?
 折角だからお母さんに会っていきなよ」


確かにかれこれお母さんには半年以上会っていない。

前に一度帰ってきたかと思うとすぐにまた入院したし。
よく私には分からない。

でもまぁ、たまには…


「じゃあ、そうする…」


私が言うと、姉は手を引いてくれた。

13:彼方 ◆fEEU:2012/10/21(日) 23:11 ID:Bns

――――――…


夕月早苗様…と書かれた病室に入った。
早苗とは私の母の名前である。

中に入ると母がニコリと笑ってくれた。


意外と、元気そうだ。


内心ホッとした。
あまり重い病気ではないんだ、きっと。


「千沙…学校はどう?楽しい?」

「…楽しいよ、友達もいっぱい居るし」

母は「そっか」と微笑んだ。

実を言うと、母は私がひきこもりだと知らない。

心配をかけたくなくて、学校に行っていると嘘を付いている。


たまに、胸がチクッと痛くなる時もあった。

だけど「嘘」も慣れてしまった。

嘘を付くことで、母が安心できるのであればそれで良い。


「千沙、花瓶に水を入れてきてくれる?」

「あ、うん…分かった」

私は姉に渡された花瓶を持って、病室を抜けた。


―――――――……

しばらくして、私は花瓶に水を入れ戻ってきた。

「えっと…病室は何処だったっけ…」

私は辺りを見回した。
すると、「夕月」と書かれた病室を見つけた。

私は躊躇なく、その病室に入る。

…―――と、

そこに居たのは母でも姉でもなく…



見知らぬ男の子だった。

14:彼方 ◆fEEU:2012/10/21(日) 23:22 ID:Bns


その男の子は、とても綺麗な顔立ちで
魅入ってしまいそうな美しさを兼ね揃えていた。


そして数秒、時間が経ってところで
私はふと我にかえる。


「あ、え、誰ですか…?」


私がしどろもどろと慌てて言うと

少年はクスッと綺麗に笑った。


「もしかして…病室間違えてませんか?」


そう尋ねられて、入口の名前を確認すると、そこには


夕月奏空…と書かれていた。



うわ…、やってしまった…
恥ずかしくて後戻りなんてできない。


「ごめんなさい、間違ってしまいました…」


私が謝ると、少年はあっさり「良いよ」と許してくれた。


すると、少年は私に思わぬことをお願いしてきた。



「おわび…じゃないけど、ちょっと
 話し相手になってもらえませんか?」



わ、私が…?

ろくにコミュニケーションもままならい私が…?


だけど私は断れなかった。


いや――…


断りたくなかった。




―――…もっと彼のことが知りたい。



そんな感情が…私に生まれてしまったから。

15:彼方 ◆fEEU:2012/10/24(水) 22:38 ID:Bns

私は小さく頷いた。

すると少年は話を進める。

「えーと、まずはお話するにあたって
 軽く自己紹介…から始めましょうか」

少年はニコッと微笑む。
やはり美しい笑顔だ。

私はハッと我にかえり気持ちを落ち着かせる。

と言っても
誰かと会話なんて久しぶりなわけで


「わ、私は…、夕月…ち、千沙…です」

なんてぎこちない自己紹介になった。

それでも少年は満足そうに笑ってくれた。

「俺は夕月奏空です…苗字が一緒ですね」


ゆうづき…ーそ…ら。


奏でる空で奏空、か。


「俺は中学二年生の14歳…そちらは?」

「えと、中学二年の…、13…です」

確かまだ誕生日はきていないので
13で間違いないだろう。

奏空さんはまた優しく微笑む。

笑顔が常にそばにあるみたいだ。

「そっか、タメなんだね」

奏空さんはすぐにタメ口に変わった。

「千沙もタメでいいよ」

千、沙!?
いきなり呼び捨て…って…

16:彼方 ◆fEEU:2012/10/25(木) 22:27 ID:Bns


「え、あ、えっと…奏空く、ん…」


私の顔は凄く熱い。
きっと、真っ赤なんだろうなぁ…


すると「そっかそっか」っと
満足そうな…奏空くんが目に止まる。


「千沙は照れ屋さんなんだね」

「っ!?」


て、て、てて、照れ屋さんッ!?
私がっ?えっ?



でも私は単にコミュニケーションが苦手なだけで…



「……―――で、何話す?」



あまりに奏空くんが綺麗に笑うものだから
私の顔はより一層赤くなった気がした。



―――――………



「へぇ、千沙はお母さんが入院してるんだ」

「うん…どんな病気かは知らないんだけどね」


時間が経つにつれ、会話にも少しずつ慣れてきた。

奏空くんは聞き上手で話し上手だからとても話しやすい。


…―――話すって楽しいのかも。

そんな事を思うようになってきた。


「奏空くんはどうして入院してるの?」

「えっ…」


私が聞くと、奏空くんは一瞬だけ気まずそうに俯いた。
本当に一瞬だけ。


だけどすぐにまた笑顔になった。


「…俺は、ただ少し体が弱いだけだから」

「あ、そうなんだ」



「少し」
この言葉を安心するほどに信じてしまった。


この時の私は本当に何も考えていなかった。

17:彼方 ◆fEEU:2012/10/27(土) 08:55 ID:Bns


あの日、奏空くんに会った日から三日が過ぎた。

あの時はお姉ちゃんが私を探していたため
あまり長くは喋れなかった。


もっと、彼と話してみたいな…


私はこの三日間、ずっと奏空くんの事を考えていた。

今だってそうだ。

真っ暗闇の部屋の天井を見上げて
私は奏空くんを想っている。

こう言う気持ちをなんと言うのだろうか。


――――――――――……


とりあえず私は病院に向かった。

あんなに外が嫌だったのに。
彼を想うと嫌な事までも忘れてしまうんだ。

こんな気持ちは生まれて初めてだ。


私は病院の中に入ったところで
急に胸の鼓動が早くなった。

どうしてだろう。


私が受付の近くでボーッと立っていると
受付のお姉さんがわざわざことらまで来てくれた。


「どうしたの?何か用かな?」

「え、あっ…」

何て言えばいいんだろう。
お母さんに会いに来たわけでもないし。

こう言う時は…


「と、友達のお見舞いに来たんです。
 夕月奏空くんのお見舞いです。」

「えっ…」


私が言うと、お姉さんは驚いたような顔をした。

18:そよかぜ ◆Ujv6:2012/10/27(土) 17:33 ID:S0o

拝読させて頂きました。

ご…ごみ袋って…
辺りを見回したらお菓子の入っていた袋を見つけて少し悲しくなりました。

駄作というよりかはその逆ですよ!!上手すぎです!!

心情は良く書けているんですが、背景の様子があまり書けていないような…

なんか誉めるところがありすぎてアドバイスする必要が…
素晴らしすぎる作品でしたので、引き続き読ませてもらっても良いですか…?

19:彼方 ◆fEEU:2012/10/27(土) 17:46 ID:Bns

>>18
あらら、そこに吐いてしまったら
お菓子が可哀想ですもんね(´・ω・`)

ですよね…
背景が全く書けていませんよね…

そ、そんな事ないですよ?
駄作過ぎてお目を汚してしまったことでしょう…

こんな駄作で良ければどうぞ読んでください!
だけど吐かない程度にお願いします(`・ω・´)

20:彼方 ◆fEEU:2012/10/30(火) 19:18 ID:Bns


「えっと、あの…何か?」


私はお姉さんの反応に驚いて話しかけた。


するとお姉さんは我にかえったかのように
「何でもないよ」と言った。


「案内するね」


お姉さんはそう言ってくれたので
私は頷いた。


そして「ありがとうございます」と
軽く礼をしてからお姉さんと奏空くんの病室に向かった。


――――――――………


私は「夕月奏空」と書かれた病室を目の前にしている。


かれこれ数分病室の前で立ち止まったまま
中に入れていない。



…――今更、緊張してきた…



あまり仲良くもないのにお見舞いに来たりして
迷惑ではなかったのだろうか。


私は手のひらを伝う手汗を拭いもしないでぎゅっと握った。


「入らないの?」


お姉さんがそう聞く声すらも耳に入らない。



今私の脳内にあるのは彼の笑顔。

今の気持ちは不安と期待。


私はおそるおそるドアを開けようとした。

21:茜:2012/10/30(火) 19:25 ID:ZV2

おお!
奏空君は…
どうしたんだー!

22:クロ:2012/11/03(土) 19:52 ID:xxY

にょほほほっ!!
上手すぎて、目が腐りますよ((

うん、千沙ちゃんの気持ち分かるよ。
緊張するよ、私も。
・・・誰に話しているのだろうか((←

続き、頑張ってください!

23:彼方 ◆fEEU:2012/11/04(日) 11:08 ID:Bns



「あれ、千沙ちゃん?」


声のする方を振り返ると
今、私が求めている人物がいた。


「奏空くん…」



今何処かから戻ってきたばかりのような
奏空くんが廊下に立っていた。


ふと手元を見ると、「緑茶」と
書かれた缶を握っていた。


きっと自販機に行ってたんだと思う。



「もしかして、俺に会いに来てくれた?」



そう言われて急に恥ずかしくなったけど
奏空くんの嬉しそうな顔を見て
私は俯きがちにコクッと小さく頷いた。



すると、受付のお姉さんが
「お邪魔しちゃったね」と言ってその場を去った。



その姿をしばし見つめていると、奏空くんが
「入って」とクリーム色の病室のドアを開けてくれた。



中に入って、ベッドの近くの椅子に座る。


奏空くんはベッドに座った。



「もう会えないかと思ってた」


奏空くんがニコッと笑った。
っそして続けて、「嬉しいな」と言った。


私は嬉しそうに笑ってくれる奏空くんに
ネガティブな質問をぶつけた。




「私が来て……迷惑じゃなかったですか?」



私はバッと俯いた。


数秒待っても答えが来ないので私は不安になった。
きっと、迷惑だって思ってるに違いない。


そちらから言い出せないのであれば私から言おう。



「私、帰ります」



私はそう言って席を立ちドアの方向に
歩こうとした瞬間、奏空くんが私の腕を掴んだ。



「え…」



目に涙が溜まっていた私は振り返った瞬間に一粒涙が溢れた。

すると奏空くんが切なそうに



「行かないで」



と言った。

24:彼方 ◆fEEU:2012/11/04(日) 11:23 ID:Bns


私の腕を掴む奏空くんの手には
いっそう力が入って痛い。


表情に出てしまったのか
奏空くんは「ごめん」と言って手を離した。


「お願いだから、いかないで」


奏空くんは悲しそうな声でそう呟いた。


私はそんな奏空くんを見てられなくなって
奏空くんの手をぎゅっと握る。


「はい……」


私は涙をこぼしながら言った。

自分でもよく分からなくなっていたけど
きっと私は奏空くんを昔の自分と重ねてたんだ。


友達に裏切られたあの日。

友達が私から離れていったあの日。


『行かないで』


そう心の中で叫んでいた。


状況は全く違う。
奏空くんが切ない表情なのも理由は分からない。


だけど私は「そばにいたい」そう思ってしまった。

25:彼方 ◆fEEU:2012/11/04(日) 11:35 ID:Bns

>>22:クロ様
下手過ぎて目が腐るんですよね分かります。
共感ありがとうございます。
精一杯頑張らせて頂きます(*´∀`*)

26:クロ:2012/11/04(日) 12:09 ID:xxY

いや、”上手過ぎて”目が腐るんです
もう、感動です・・・
あー、号泣!!((

続き、楽しみにしていまぁぁぁぁす!!

27:彼方 ◆fEEU:2012/11/06(火) 21:51 ID:Bns



すると、ふと我にかえったかのように
奏空くんが私の腕から手をを離した。
それと同時に私も慌てて握っていた手を離す。


私は慌ててベッドの近くの青い椅子に座り俯いた。
クリーム色の床に頬を伝わっていた涙が一粒落ちた。


服の裾で涙を拭う私を見て奏空くんは誤解したのか。


「ごめんね…腕、痛かった?」


と聞いて奏空くんが心配そうに顔を覗き込んできた。

「大丈夫です」


私がそう言って作り笑いすると
奏空くんがちょっと怒ったように言った。


「嘘だ、痕がのこっちゃってる…」


正直少し痛かったけど
痛みなんて感じている場合じゃなかった。


にしても、あの感情何だったのだろうか。


「そばにいたい」なんて感情を抱いたのは初めてだ。


きっと、特別なもの…なんだろうな…



奏空くんの手を握っていた方の手を
もう片方の手で包み込むように握った。

自分の手の冷たさに思わず苦笑がこぼれそうになる。


そんな事を考えていると奏空くんが
「ところでさ」と楽しそうな声色で言った。



「何で敬語なの?タメでいいって言ったじゃん」



あ…本当だ。
そんな事全く気にしていなかった。



「奏空くんだって、私のこと千沙ちゃんって
 呼んだじゃないですか…」

「あ、本当だ」



奏空くん楽しそうに笑った。


なんだか幸せそうな奏空くんを見てると
こっちまでそんな気分になってきてしまって
自然と口元が緩む。


「……ふふっ」



私が小さく笑うと、奏空くんは
よく分からない顔で私をじっと見つめた。

私の顔に何かついてるのかな…



「奏空、くん?…どうしたの?」


私が戸惑いがちに言うと、奏空くんは
私の頭にポンと手を乗せた。



「千沙ちゃんって笑顔が似合うなって…思ったんだよ」

「…え」


笑顔が似合うって…え?


「千沙ちゃんは笑ってる方が可愛い」



奏空くんがそんな事を言うものだから
急に恥ずかしくなってきてしまって
自分でも分かるくらいに顔が熱くて赤くなった。


本当に私はどうしちゃったのかな。
なんでこんなに嬉しかったり恥ずかしかったりって
いろんな感情が込み上げてきちゃうんだろう。



ふと窓の外を見ると晴天で、優しくて暖かい日差し。
窓の隙間から入る風が心地よい。
少し揺れるカーテンから目線をずらせば
白いベッドに座る奏空くんが私の方を見て笑っている。

私は柔らかく笑う奏空くんを見て



『奏空くんって笑顔が凄く似合う人だな』



そう思った。

28:彼方 ◆fEEU:2012/11/06(火) 21:55 ID:Bns

手を離した○
手をを離した×

29:おしるこ ◆fEEU:2012/11/17(土) 09:05 ID:Bns


「あのね、千沙ちゃん…」

奏空くんが妙に切なそうな声を上げた。

「うん…?」

奏空くんの表情は笑っていたけど
どことなく、悲しそうに思えた。


「俺、ね…一人なんだよ」

え…、それって…どう言う意味…



「…家族が居ないんだ」


――家族が、居ない。

それは私にとっても身近な事だった。
私は幼い頃に父を亡くした。

交通事故で。

本当に3歳くらいの事で、全く覚えていないのだけれど。


皆がお葬式で涙していたのを今は鮮明に覚えている。


私がそんな事を思っていると
奏空くんは「あのね」と続けた。


「俺、最初は四人家族だったんだ…
 妹、父さん、母さん、そして俺の四人」

「私も…四人だった」


私がそう俯いて言うと、奏空くんは「そっか」と
悲しげな声を出した。
きっと「だった」と言う言葉にピンときたのだろう。
私も家族を亡くした人間なんだって。


「でね、俺が八歳のクリスマスの日に
 妹と父さんが…殺されて死んだ」


殺された……?

「知らないかもしれないけど…、六年前の
 クリスマス…殺されたんだ」


なんだか少しだけ覚えている気がする。

私が八歳のクリスマスの日…
まだ、学校が楽しい時期だった。


母と姉と私、クリスマスを祝っていた。

笑顔で。

そんな日の次の日にニュースで
殺人が起こっていたものだから少しだけ覚えている。

確か強盗か何かだった。


「妹の名前は凛って言ってね…今生きてたら
 丁度…五年生くらいかなぁ」

そう言いながら悲しげに微笑む。


「父さんは凛を庇って死んだ…結局、凛も…なんだけどね」


奏空くんは違う方向を見つめて
何かを思いつめている様だった。


「…母さんは二人を失って、自殺したんだ」


…―――俺を置いて。

そう小さく奏空くんは呟いた。


「そりゃ仕方ないよね…二人も愛する人間を失ったんだ。
 普通に生きる方が難しいよね……」


これで、奏空くんは一人になってしまったと言う訳か。
孤独を抱えて。

私には何も言い返せなかった。

気の利いた言葉なんて、この状況では無意味なのだから。


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