永遠の片想い

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1:薫:2012/10/21(日) 18:49 ID:mDc


初めまして、薫です。
元ユッピン♪です。

書きたくてたまらなくなったので、掛け持ち。

「想い続けて。」って言うのも書いてます。
そちらもお願いします。

荒らし・中傷厳禁。
書くのは私だけで。
死ネタ含みます、注意。

ではstart

2:ARISA:2012/10/21(日) 18:54 ID:k2k

楽しみじゃけん♪♪♪

薫殿は上手いからのぅ……………

3:姫♪ ◆NLsI:2012/10/21(日) 19:04 ID:1W6

薫…!
fight!

4:薫:2012/10/21(日) 19:04 ID:mDc

プロローグ



灰色だった人生は虹色に変わった。

あたしの視界を満たしたのは、紛れもなく君の笑顔。

届きそうで届かない君の存在。

届かなくとも、叶わなくとも、あたしの視界は君しかいない。

心を満たすのは君しかいない。

握れそうで握れなかった君の手の温もり。

今となっては冷たい。

優しさも何もない、無気力な君。



「ばいばい、鈴羽ちゃん」



声は冷静だった。

微かに震えてる指先は、見てないふりをした。



“ばいばい、鈴羽ちゃん”_____…



別れって、何で来るのかな。

5:薫:2012/10/21(日) 19:07 ID:mDc


ARISA>ありがとう!
    上手いだなんて…( ´∀ ` *)

姫♪>thank you!!!

6:姫♪ ◆NLsI:2012/10/21(日) 19:07 ID:1W6

…文才分けてください。

7:薫:2012/10/21(日) 19:19 ID:mDc

第1章



現実って、なんて残酷なの。

目の前にある光景は、あってはならないもの。

優しく笑う男と、楽しそうに話す女。

時に交わす愛の印。

その現実は思考を奪う。

チャイムが鳴り響き、再び二人が交わす愛。

見ていられないほど熱くて大人で、もう何も言えない。

失恋、という言葉が頭に浮かぶ。

立っていられないほど心はズタズタに引き裂かれる。

何で?

どうして…あたしじゃないの?

信じたくない現実。

それは付き合っていた彼の浮気現場を見た瞬間。

あたしの時よりも積極的で笑顔で、何よりも幸せそう。

頭に響くのは、彼と交わした約束。

『ずっと一緒にいようね』

そんな言葉も彼も、今はもう信じられない。

あたしの恋は早々と散った。

8:優愛。:2012/10/21(日) 19:24 ID:P6o

薫!!
今回も面白そう!!(´∀`*
掛け持ってるけど頑張って!!

そして何故そんなにネタが尽きないのだ<・> <・>

9:薫:2012/10/21(日) 19:24 ID:mDc

体を駆け巡る、ピリピリとした痛い感覚。

交わした約束は静かに消える。

彼からあたしは消えた。

いつもくれた言葉も笑顔も、今はあの女の人にあげてる。

もうあたしに見せてくれることはない。

最初から、彼とあたしの間には何もなかったんだ。

頭を駆け巡る思考がそう語る。

彼にもうあたしの面影はない。

窓から入り込む風は、大量に出た汗を冷やす。

冷たくなったのは体だけではない。

心は凍えるように冷たくなった。

放課後の教室で、彼があたし以外の女の人と愛を交わす。

そんな光景、見たくなかった。

夕日が差す廊下。

あたしの視界は徐々に絶望の色に染まっていく。

10:薫:2012/10/21(日) 19:26 ID:mDc


姫♪>あたしが欲しいくらいです。

優愛。>ありがとう!頑張る!
    急に思いついたり、ずっと書きたかったって言うネタがいっぱいあるんだよ〜

11:姫♪ ◆NLsI:2012/10/21(日) 19:33 ID:1W6

>>薫
…え?
薫、これ以上欲しいの?
贅沢すぎだろ…!


どうしよう、失恋系がうますぎて鳥肌が立った。

12:薫:2012/10/21(日) 19:36 ID:mDc

黒く、黒く。

嫉妬で黒く染まり行く心。

あの子があたしだったら、永遠に愛してもらえた。

笑顔を見せてくれた。

顔が小さくて、でも目は大きくてぱっちり二重。

ふわふわとしたサラサラの髪の毛。

血色のいい唇に綺麗で細い手足。

あたしのような凡人はもちろん勝てない。

そのせいで、ようやく手に入れた彼は、美しい大人な彼女にあっさり奪われる。

たまらなく悔しい。

可愛くない自分が気に入らない。

綺麗になりたい。

優しくなりたい。

素直になりたい。

彼女のようになりたい。

瞳を開けると、視界は灰色だった。

希望さえ感じられない。

希望も未来もない。

絶望以外に何も感じられない。

あたしの中にあった、大好きな彼など欠片も残ってない。

絶望が息苦しさを引き出す。

13:薫:2012/10/21(日) 19:38 ID:mDc


姫♪>ええ!!
   元々持ってないさ!!
   姫♪の文才欲しい…(´・ω・` )ジー
   
   失恋系…体験したことないし、見たこともないから下手よ?(笑)
   ほとんどが妄想だy((

14:姫♪ ◆NLsI:2012/10/21(日) 19:45 ID:1W6

>>薫
何嫌味言ってんだこのやろう。

あたしの作品読んだら下手過ぎてひっくり返るぞ?

……元々ないものをどうやってあげればいいの?


…え、そうなの?

実はあたしも経験ゼロ☆


妄想でカバーできるよね。

15:薫:2012/10/21(日) 19:47 ID:mDc

高校一年生のあたしは、大好きな彼と同じ高校を選んだ。

付き合ったのは中学2年生の終わり頃。

彼とは同じクラス。

いつも助けてくれる優しさにいつしか惹かれ、彼と釣り合う女の子を目指した。

いつも助けてくれるお礼に、本で見たような可愛くお礼。

普段しないメイクもして、彼の前では声を高くした。

彼に釣り合う可愛い女の子。

そんなのを夢見て、毎日努力し続けた。

それなりに努力をしてきた。

自分が認めるほどの誇りを持てたあとは、彼を呼び出す。

これも本で見たような女の子を演じて、キュンとくるような告白。

彼は快くOKしてくれた。

嬉しかった。

でも、彼は素のあたしではない、可愛い女の子を演じたあたしに惚れた。

彼を手に入れたことで、薄れていく可愛さを保つ努力。

素のあたしを好きになってほしい。

それを目指して、反対に次は素のあたしを彼の前に出した。

それが裏目に出たのか。

今、この有り様。

素のあたしに惚れられないと思ったのか、彼は違う女の子と愛を交わした。

素のあたしでは、彼を手に入れることが不可能だったんだ。

16:薫:2012/10/21(日) 19:55 ID:mDc

彼の笑顔や今までくれた言葉、話したことなど思い出す。

全てが色褪せない大切な思い出。

あたしの心に一生残る、宝物。

今はもう散ってしまった。

彼を想い続けても、もう手に入れることはできない。

好きでした。

これからも好きです。

涙と失恋は、あたしを成長させた。

暖かい感情と苦しい感情は、あたしを成長させた。

17:薫:2012/10/21(日) 20:29 ID:mDc

成長した。

だからと言って、悲しみが消えたわけではない。

変わらず胸は痛い。

視界は灰色で、光さえ感じられない。

フラフラと、危ない足取りであたしはどこかへ向かう。

どこに行こうなんて考えてない。

ただでたらめに歩いた。

たどり着いたのは、保健室。

そこであたしは閃く。

こんな泣き腫らした顔で、お母さんと顔など合わせられない。

それならいっそのこと、下校時刻まで寝てしまおう。

そう考えたあたしは、たどり着いた場所、保健室のドアに手をかける。

静かにドアを開け、顔を出す。

保健室の先生はいない。

ということは、職員室。

じゃあ一人か。ラッキーかも。

あたしはゆっくり保健室に入る。

薬品の匂いに、鼻がツンとする。

3つあるベッド。

一番端のベッドはカーテンがかかっていた。

誰かいる?

そう思って、ゆっくりベッドに近づく。

カーテンがかかっているベッドのすぐ下には、上靴が脱ぎ捨ててある。

やっぱり誰かいる。

開いた窓から風が入り込む。

頬を突き刺す風は、保健室全体に回った。

急に闇に落ちた気がした。

頬を突き刺す風は、心まで突き刺したかのようで痛い。

ため息を吐いたあと、あたしはベッドに寝転がった。

18:薫:2012/10/21(日) 20:32 ID:mDc


姫♪>嫌味言っとらんって!!w
   姫♪は上手いよ。
   姫♪が思ってなくても、私は上手いと思う。
   経験か…
   告白された経験・両想い経験・嫉妬経験・嫉妬された経験
   とかはある。

19:薫:2012/10/21(日) 22:21 ID:mDc

気づけば浮かぶ涙。

すぐに拭うが、また浮かぶ。

放っておけば流れてる。

涙腺が壊れてしまったのかも。

それとも…悲しすぎるから?

涙と一緒に顔まで歪んでいた。

もう…恋なんてしたくない。

また泣きたい気持ちが襲ってきて、あたしは布団の中に潜り込む。

ぎゅっと目を瞑ったけど、逆効果。

たまっていたものは一気溢れ出す。

「う…っ…」

声を漏らす。

必死におさえるけど、何度も何度も声は漏れた。

どうしよう。

隣の人にバレてないかな。

泣いてるというのに、そんな呑気なことを思っていた。

「失恋?」

その時、布団の外から声がした。

声質と低さからして男と推定。

声を漏らしたせいでバレたのか。

あたしは何も言わず、動きを止めた。

20:そよかぜ ◆Ujv6:2012/10/21(日) 22:27 ID:S0o

上手いですね…

21:薫:2012/10/21(日) 22:32 ID:mDc


そよかぜさん>そよかぜ様に言われると虚しいです(笑)
       でもありがとうございます…!
       そよかぜさんも上手いですよ( ´∀ ` *)

22:茜(元星弥:2012/10/21(日) 22:44 ID:.uw

お、面白い!
よろしければ入れてください…
覚えてるかな…

23:天栗:2012/10/21(日) 22:55 ID:xxY

初めましてッ!(*・ω・)σ

失恋系小説大好きでふ((
ていうか、なぜそんなに文才力があるんですか!

もう、駄目だ・・私は、終わりだぁぁぁぁ(逃走

24:ARISA:2012/10/21(日) 22:56 ID:k2k

姫♪も薫も失恋ないのか(・д・;)

私なんか有りすぎてはずい(//ω//)

いいな〜、皆まだ純粋で。
私の心はもう………


まっっっくろだーーーー( ´ Δ ` )

25:ARISA:2012/10/21(日) 23:04 ID:k2k

天栗さん>私も駄作者だ………同士…よ………

26:天栗:2012/10/21(日) 23:10 ID:xxY

ARISAさん≫おおッ・・!一緒だぁぁぁ!!(涙

ありゃ。これ、雑談なのか?

27:薫:2012/10/22(月) 10:48 ID:mDc


茜さん>覚えてますよ…!
    どうぞお入り下さい!

天栗さん>文才なんて私が欲しいぐらいです…!
     もっと成長したいですよ( ´;ω;` )
     失恋系私も大好きですよ!
     苦痛に歪む姿…フフフh((殴

ARISA>失恋はないかな…
    でも告白されて、昨日振った
    振る方も辛いってよく漫画で見るけど、その通りです( ´Д ` )
    私も真っ黒に染まりつつあるw

28:薫:2012/10/22(月) 10:56 ID:mDc

涙を止めるのだけに必死だった。

早く、早く止めなきゃ。

その気持ちがあたしを焦らせる。

度々漏れる声に、闇を感じる。

何であたしがこんな思い…

世界中の愛で溢れる人々が羨ましかった。

最後まで愛を交わすことができた人達が羨ましい。

そう考えると、あたしは恵まれてない。

ぎゅっと顔が歪む。

どうしてなの。

その時、ユサユサと体が揺れた。

何が…起こってる?

ドクンと跳ねる心臓。

体を揺らしてるのは間違いなく、ベッドにいたと思われる彼。

「おーい…寝てんの?」

声まで聞こえてきて、対応に困る。

喋っても涙声、そして震えてる。

顔を合わせようにも、目はパンパンに腫れてまだ涙が出る。

とてもじゃないけど人前には出れない。

このまま黙っていれば感じ悪い。

どう対応しようか考えていた真っ最中、ふわりと布団が浮かぶ。

ぐしゃぐしゃになった顔を隠していた布団が浮かび、あたしの顔が露となった。

29:薫:2012/10/22(月) 11:05 ID:mDc

目の前にいる男に悲鳴を上げそうになる。

「やっぱり泣いてたんだ」

そう言いながら、男は微かに笑みを浮かべる。

それに対して苛立ちを覚えた。

「やめてください…」

弱々しい声に、男は少し驚きながらも動きを止める。

悲しみが溢れ出して、またあたしの心は黒く染まる。

好きだった。大好きだったのに。

裏切られた。

あたしじゃ無理だった。

そんな悲しみなんて、知らないくせに。

「裏切られた気持ちなんて…分かんないくせにっ…」

涙が飛び散った。

少しずつ、黒い霧があたしを覆う。

再び布団を強く握り締め、自分の上にかけた。

「話しかけないで…」

枕に顔を埋めた。

短時間で枕は湿っていく。

もう男の声は聞こえなかった。

ベッドに戻ったのか、保健室を出たのか。

分からないけどきっとあの人は、具合が悪かったわけではないはず。

顔色は普通、何かあった様子もない。

じゃああの人は何で此処に?

そんな疑問は、男が先程浮かべた笑みがすぐ消した。

傷ついた心が、また傷つけられた気しかしなかった。

30:薫:2012/10/22(月) 11:20 ID:mDc




視界がぼやける。

身体中から汗が大量に出て、息苦しかった。

暗い。

ここは…布団の中。

視界がぼやけるのは寝ていたから。

要約今までのことを理解した。

周りに誰かいる気配もないから、あたしはそっと布団から出た。

涙は止まったけど、目の下は赤く腫れたまま。

動くのでさえも嫌気が差して、大きくため息をつく。

下校時刻はとっくに過ぎていた。

早く帰ろう。

ベッドの上に投げ捨てたバッグを手に持ち、保健室のドアノブを握る。

保健室を出る前に、もう一度中を見回した。

カーテンがかかっていたベッドは脱ぎ捨てられていた上靴もなければ、カーテンさえかかってない。

あの男の姿は、何処にもなかった。

きつく言い過ぎた。

そう後悔するなら言わなければよかったのに。

結局は八つ当たりだ。

振られて悲しくて、会ったこともないあの人に酷い言葉を投げつけた。

振られたのはあの人のせいじゃない。

分かってるけど、誰かのせいにしなきゃ心が壊れそうだった。

あたしの存在が消えそうだった。

闇に呑まれて消えてしまうあたしを想像して、ぞっと鳥肌がたつ。

何処に行ったかも、誰なのかも分からないあの人。

最後に謝りたかった。

31:薫:2012/10/22(月) 11:29 ID:mDc

大きな後悔を抱え、あたしは無言で保健室を出た。

もう泣かない。泣きたくない。

自分に言い聞かせ、ぎゅっと顔を歪ませて、涙を流さないようにした。

廊下に響く足音。

窓から見える外は真っ暗。

怪しげに生えた雑草が、昼間よりも不気味に見えた。

恐怖心がじわじわ溢れ、気づくと息を切らすほどに廊下を走っていた。

誰もいない。

あたしは一人。

頭を駆け巡るその言葉が、恐怖心を沸かせた。

下駄箱の近くまで来て、足を止めた。

廊下の電気はもう消されていた。

それもそのはず。下校時刻はとっくに過ぎてるのだから。

急に背中に寒気が走る。

大丈夫、大丈夫、と何度も自分に言い聞かせるけど、恐怖はどんどん大きくなる。

微かに震える指先を、拳を握って必死に止めた。

自分の学年の下駄箱へと思いきって走る。

下校時刻は過ぎてるはずなのに、下駄箱のところには人影があった。

32:薫:2012/10/22(月) 11:34 ID:mDc

「ひっ…」

足を止めると、尋常じゃないほど足が震えていた。

寒気が走り、保健室で出た汗は冷え、体の温度は低下する。

瞬間、人影はあたしに近づいた。

怖くなって、瞳を強く握る。

ただ耳を塞いでその場にしゃがみ込んだ。

誰も助けてくれない。

お父さんも、お母さんも。

みんなあたしを必要としてない。

それらはあたしの思考を奪った。

33:薫:2012/10/22(月) 11:42 ID:mDc

「大丈夫!? 起きてっ…」

そんな必死な声が耳に入る。

紛れもなくそれは人間の声。

しかもあたしを心配する。

驚きは隠せないし、恐怖で思考は失うし、何も考えれず頭は真っ白になるばかり。

「怖い…」

ポツリと呟いたあと、誰かも分からない人に抱きついた。

震えは止まらない。

温もりは体だけが感じる。

冷えた心が暖まることはないと、最初から分かっていたのに。

それでもあたしは手の力を強めた。

震えの止まらない体を、優しく撫でる手は暖かかった。

子供のように安心して、涙が浮かんだ。

「大丈夫だよ…」

優しく声をかけたあとは、そっと背中をさすってくれる。

泣いていいよ、って言ってるみたいで。

心強い掌は、ただあたしを撫で続けた。

34:薫:2012/10/22(月) 11:50 ID:mDc

しばらくたっても手は離さなかった。

震えは止まったのに、何故か心は冷たく凍えていた。

「下校時刻も過ぎてるんだし、早く帰らなきゃダメだよ」

優しい声が優しくあたしに言い聞かせる。

こくんとあたしは無言で頷いた。

「立てる?」

そう言って、あたしの体をゆっくり持ち上げる。

まだ少し震える足に負担がかからないよう、支えてくれた。

立ち上がれたあと、相手の顔をじっくり見る。

暗くてよく見えないけど、声と体つきで男と推定した。

暗くて分からないけど、男が優しく微笑んだことには気づいた。

「行こうか」

肩を掴み自分の元へ引き寄せる。

その体勢のまま、靴を取り替え外に出た。

35:薫:2012/10/22(月) 12:42 ID:mDc

外はもう真っ暗で、外灯だけが頼りだった。

今は、蝉が鳴く暑い季節。

高校生活に要約慣れてきた時期だ。

「あの、」

隣にいる男を見る。

すぐに頭が真っ白になり、保健室の出来事を思い出す。

校内では暗くて見えなかった顔。

今は外灯に照らされ、はっきり見える。

保健室にいたあの人。

タレ目で綺麗な黒髪の、可愛い系男子という感じの男。

保健室で泣くあたしを馬鹿にするかのように笑った張本人。

顔が青く染まっていくのを感じた。

「なっ、帰ったんじゃなかったんですか!!」

声を張り上げ、男から離れる。

まだ体は不安定で、少しふらついた。

「心配で帰れないよ。絶対こうなると思ってたから」

男は真剣な眼差しであたしを見つめた。

何も言えなくなったあたしに、男は音もなく近づく。

「馬鹿にしたくせに…今更何でっ」

あたしにと伸ばされる男の手を振り払う。

何でこんなに熱くなってるんだろう。

また繰り返す気なの?

自分の日常が酷いからって、全てこの人にするなんて。

なんて最悪で卑怯なの。

素直にごめんなさい、って言えない。

36:薫:2012/10/22(月) 14:42 ID:mDc

それでも止められない。

心を支配していく黒い霧から逃げるには、誰かのせいにしなきゃ。

壊れてしまう。

あたしが、壊れてしまう。

それを恐れて、全てを人のせいにして逃げる。

こんなのは初めてじゃない。

あたしは恵まれてない子なんだから、これぐらいはさせてよ。

悪い子でもいい。嫌われてもいい。

あたしのせいだとなると、不安と恐怖が降り積もり、あたしがあたしじゃなくなる。

そんな怖い思いはしたくなくて、今まで逃げてきた。

それはこの歳になっても変わらない。

自分が狂っていくことに、酷く恐怖を覚えるようになった。

この体が、得体の知れない誰かに支配される。

そう思うと毎晩震えが止まらない。

さっきもそうだ。

校内が暗くなって、あたしは支配される寸前だったんだと思い怖かった。

いつか、この体はあたしじゃなくなる。

闇に囚われる自分が怖い。

「そんな顔しないで?」

恐怖に怯えていたあたしに、男はそう声をかけた。

涙を浮かべたまま男を見る。

あたしよりも悲しそうな顔をする男は、ゆっくり口を開いた。

「笑ったほうがいいよ」

「な、」

人の気も知らないくせに。

そう言おうとしたけど、八つ当たりだと言うことに気づき言わなかった。

「それは…無理です」

「失恋の…せい?」

「っ…」

否定はしない。

失恋のせいでもある。

失恋のおかげで、前より一段と闇に引き込まれた気がしたから。

「失恋相手って、どんな人?」

深く聞いてくる男。

言いたくなかった。

言ったらまた思い出して悲しくなるから。

でも、真っ直ぐな瞳に捕らわれちゃ言わないわけにはいかない。

「神谷功(かみや こう)…功は、すごく優しい人です」

それしか言えなかった。

深く思い出すと、悲しみで壊れてしまう気がして言えなかった。

既に涙がうっすら浮かんでいるから。

37:薫:2012/10/22(月) 15:43 ID:mDc

功は誰にでも優しくできる素敵な人。

小学校は同じだったけど、関わることなんて滅多になかった。

話しかけたりなんてしなかったし、話しかけられたりもされなかった。

何の共通点もない功と話すようになったのは、中1の終わり頃。

卒業式終了後に、あたしは泣いた。

優しかった部活の先輩がいなくなって、教室で一人で泣いた。

さよならも言えないまま、あたしはもう先輩方と会うことはなかった。

あの日、功は教室で泣くあたしを見つけた。

『泣いてるの?』

ピク、と体が反応し、顔を上げると功がいた。

ぐちゃぐちゃに崩れた顔を見た功は、優しく微笑んだ。

『大丈夫。さよならじゃないよ。』

そんな功に惹かれた。

間に合わなくて、先輩とは話すことができなかった。

今も会ってない。

でも、あの日の功の言葉は今も胸にある。

あれは励ましてくれたんだ。

そんな優しさを持つ功にいつしか惹かれ、可愛くなろうと思った。

告白は成功、でも素のあたしを出したせいで、告白時の可愛いあたしは消えた。

そして今日。見てしまった。

可愛い女の子と愛を交わす功は、あたしといる時よりも楽しそうで。

あたしが努力して、可愛い女の子を演じた時よりも美しい彼女。

何の努力もせず、生まれつき綺麗な彼女が羨ましかった。

あたしは、こんなにも頑張ったのに。

あの人は簡単に手に入れられる。

そう思うと羨ましくて、こんな自分に生まれてきたことを恨んだ。

それほどあたしは功が好きだった。

38:薫:2012/10/22(月) 16:08 ID:mDc

明日どうやって顔を合わせればいいの?

いつ振られるか分からない。

振られるのはそう遠くない。

離れたくない。

こんなに好きなのに、どうしてあたしじゃダメなの?

「すぐには忘れられないかもしれないけど、想い続けていいんだよ」

泣きそうになるあたしに、男は優しく声をかける。

その言葉が胸に響いた。

「ごめ…なさ、ありがと…ございます」

涙が溢れた。

目の前で泣くものだから、男は焦る。

しばらくしてから優しく頭を撫でた。

これは悲しくて流れた涙?

いや、違う。

嬉しくて…流れた涙だ。

もう辺りは暗いのに、しばらくあたしは泣き崩れた。

嬉しさもあるけど、失恋したという悲しみも十分に含まれている。

男は帰ろうとなんてせず、あたしの隣にいてくれた。

39:薫:2012/10/22(月) 18:50 ID:mDc


小説を見て泣いた。

感情移入できるような小説を私も書きたい( ・ω・)

40:ARISA:2012/10/22(月) 18:59 ID:k2k

薫ならかけるで!!!!!!!!

41:茜:2012/10/22(月) 21:39 ID:.uw

薫>覚えててくれた!!
感動…
敬語&さん付けなんてやめて!
↑思いっきりタメの人w
薫はもう書けている気がする…

42:薫:2012/10/22(月) 21:45 ID:mDc


ARISA>ありがとう!頑張る!!

茜>そうだね、フレンドだしねw(3DS)
  書けてるか…?(笑)

43:茜:2012/10/22(月) 22:06 ID:.uw

薫>だねw
かけてるよ!

44:りり:2012/10/22(月) 22:19 ID:Bn2

ユッピンさん!私のこと覚えてますか?
小説面白いです!
さすがユッピンさん!

45:萌愛:2012/10/23(火) 20:08 ID:XCo

何で日記版で小説書いてるんですか?

小説板に行ってください。
それはルールですよ。

46:萌愛:2012/10/23(火) 20:09 ID:XCo

ごめんなさい!!!

間違えました!!!
本当にごめんなさい!!!

47:薫:2012/10/23(火) 20:33 ID:mDc


茜>ありがとう♥

りりさん>もちろん覚えてますよ!
     ありがとうございます☆

萌愛さん>めちゃくちゃビビりましたー( °Д ° ;)
     大丈夫ですよっ

48:薫:2012/10/23(火) 20:38 ID:mDc

途中で近くの公園に移動をした。

ベンチの上の外灯が、ぼんやりとあたしを照らす。

黒い雰囲気まで出しているあたしに、弱い外灯だけでは照らしきれない。

そんなあたしを、優しい笑顔を浮かべながら男は肩に手を回す。

抵抗しないのは、気力がないから。

怒る気力も振り払う気力もないからだよ。

決して、暖かくて安心してるからではない。

そう言い張るのに、気づくと涙を止めて男に寄りかかっていた。

「名前聞いてもいいかな」

うとうととしそうな雰囲気の中、男はあたしの顔をジッと見つめる。

男の肩に寄りかかっていたから、男があたしを見たら距離が近くなる。

吐息が当たる距離。

それでもドキドキはしない。

功だったらな、って言う考えを持った最低な自分がいる。

49:薫:2012/10/23(火) 20:46 ID:mDc

他の男と比べてる…。

そんな黒い真実に目を背けた。

どこまであたしは最低になるんだろう。

そんな疑問でさえも生まれる。

「山田鈴羽(やまだ すずは)…」

そう小さく呟いた。

男はにっこり笑う。

少しの闇さえ隠されていない笑顔に、心から笑えるこの人が羨ましく思えた。

「三浦燎希(みうら りょうき)…2年生だよ」

聞いてもいないのに、自分から自己紹介。

あたしは黙ってこくりこくりと頷いた。

睡魔が襲う。

眩しい外灯に照らされながらも、気づけば目は半分しか開いていない。

泣き疲れたんだ。

子供のような理由に自分で呆れながらも、睡魔と闘う。

「年上…ですね」

そう呟いたあとはもう覚えてない。

瞳を閉じてしまって、暗闇しかなくなった。

見慣れた景色ももうない。

そんな中、こう思ったことは覚えてる。



あの人のこと、もっと知りたい。

50:椿:2012/10/23(火) 20:47 ID:/CE

薫凄すぎてヤバい(; ・`д・´)
文才わけて欲しい……(´・ω・`)

51:匿名さん:2012/10/23(火) 22:47 ID:k2k

薫>私も!!!これでも、意外にコクられる。
  だいたい男はミーハーなんだよな!!!

52:ARISA:2012/10/23(火) 22:48 ID:k2k

↑↑↑私!!!

53:薫:2012/10/24(水) 15:51 ID:mDc


椿>ありがとう!!
  私が欲しいくらい(´・ω・ ` )

ARISA>おー凄いねぇ

54:薫:2012/10/24(水) 16:07 ID:mDc






キィ…キィ…と、何かが軋む音が聞こえる。

誰かが必死にあたしを呼ぶ声も耳に響いて、でも目は開けられなかった。

徐々にはっきり聞こえてくる言葉。

「……羽ちゃん、鈴羽ちゃん!」

ハッと目を開ければ、目の前には顔を近づけたあの男がいた。

目を擦り、んーと体を伸ばす。

あれ…今まであたし何してたんだろう。

聞こうとしたら、男…先輩は安心したように瞳を閉じる。

「びっくりした…鈴羽ちゃん、寝てたの?」

後半には柔らかい笑みをこぼす。

心配してくれてる…?

どうしても期待してしまう自分がいる。

こんなに心配されたのは初めてかもしれない。

親から心配など…されたこともない。

「家教えてよ。もう遅いから」

先輩は立ち上がり、あたしの手を引こうとする。

「いえ…大丈夫です」

それを丁重に断った。

迷惑かけたくない。

そもそも男なんて連れて帰ったら、何か誤解を招く。

って、お母さんもお父さんもまだ帰って来てないかぁ…。

「何で? 夜は女の子一人じゃ危ないよ。」

ほら立って、と後に付け加えて先輩はあたしの手を握る。

暖かさが、あたしを包み込む。

冷たく何の感情もないあたしの冷めた手を、優しく優しく握り締める。

仕方なくあたしは立ち上がった。

先輩は嬉しそうに笑うと、あたしが教える通りに道を進む。

道路側を歩き、しかも自分よりあたしの足元を気にして歩いてくれる。

こんなあたしに優しさをくれるのは、この人だけかもしれない。

堪らなく暖かい掌が、あたしの冷たい掌に温もりを感じさせる。

それは初めてされたことだった。

誰かと手を繋いだことも、優しさをくれたのも。

思い出すと、涙がこぼれそうなあの思い出。

あたしの頭を強く締め付けるそれは、笑わなくなったあたしの原因だった。

55:薫:2012/10/24(水) 18:08 ID:mDc

思い出したくない。

もう、笑えない。

頭をぐちゃぐちゃにかき回すあの過去。

絶叫してしまいそうなほどに痛く苦しく、何も言えなかった。

吐き気と頭痛が襲うなか、頭をおさえてその場に立ち止まる。

「鈴羽ちゃん?」

不思議に思った先輩は、ゆっくりあたしに手を近づけた。

「触らないでっ」

キレの良い大きな音が住宅街に響いて、二人共無言になった。

赤くなった先輩の手の甲を見て、尋常じゃないぐらい罪悪感が溢れる。

あのときと同じだ。

赤くなって痛みを持つ体。

ズタズタになった心…

「あ…あああああっ!!!!」

「鈴羽ちゃん!?」

髪の毛をぐしゃぐしゃにかき乱して、その場にうずくまった。

痛む頭をただひたすらおさえつける。

痛い。痛い。

呼吸が上手くできない。

表情が作れない。

あたしは…みんなに必要とされない人間だ。

56:詩歩:2012/10/24(水) 18:09 ID:Prw

あひるの小説最高♥
キャスのういだょ*
もう覚えてないかな?w

57:薫:2012/10/24(水) 18:15 ID:mDc

鈴羽ちゃん、鈴羽ちゃん、って、先輩は何度もあたしを呼んだ。

その優しさも偽り。

あたしを必要とする人は誰もいない。

あたしは…独りぼっちなんだ。

「っ…めんな…さ、ごめ…なさ…」

おさまらない頭痛と息苦しさに、ただ無言でいるしかなかった。

何度も名前を呼んでも、虚ろな目をしたあたしをおかしく思ったりはしない。

結局は偽りだ。

結局は好奇心だ。

こんなおかしなあたしが珍しくて、騙して傷つけたくて。

先輩はそう思ってあたしに近づいた。

それ以外に何が考えられる?

純粋にあたしを助けよう、なんて考えてるわけない。

心の全てが澄みきって、優しさしかない人間などこの世に存在しない。

この人も所詮心に闇を持ってるんだ。

誰も…信じられない。

「偽りの優しさなんて…いいです、帰って下さい」

「偽り? 違う。僕はただ、」

「やめて!!」

耳を塞いで、そう叫んだ。

近所迷惑というほどに馬鹿みたいに声を出して、止まらない涙は拭こうともしない。

「帰って…」

小さく呟いたあたしの言葉に、先輩は眉毛を悲しそうに下げて首を振る。

もう何も言わなかった。

偽りと分かっていて、先輩の優しさに浸ってしまおうと思った。

あの温もりを、また感じたいと思った。

58:薫:2012/10/24(水) 18:16 ID:mDc


詩歩ちゃん>ありがとう〜♥
      もちろん覚えてるよっ

59:薫:2012/10/24(水) 18:22 ID:mDc

「ふっ……ぅ…」

涙はしばらく止まらなかった。

涙と言われて失恋を思い出す。

そして更に悲しみが降り積もるんだ。

泣いても泣いても、心の傷は癒されない。

それどころか関係のない先輩まで巻き込んでいる。

ダメだ。

ちゃんと立たなきゃ。

もう、忘れなきゃ____

「ごめんなさい…何でもないです」

急に立ち上がるあたしに、驚いた顔で先輩はあたしを見つめる。

でもすぐに自分も立ち上がって、手を握り直した。

先輩は何も聞かない。

何か言おうともしない。

あたしに気を遣ってくれてる。

それがとてつもなく安心できて、心を落ち着かせることができた。

歩いている途中、そっと目蓋を下ろした。

まだ暗闇に怯えてる自分がいる。

体は徐々に震えを大きくしていき、ついには足を止めてしまう。

振り返る先輩の瞳から目線を逸らし、すぐまた歩き始めた。

微かに震える指先。

それに気づいた先輩は、大丈夫だよ、って全身で言ってるかのように、手を強く握った。

60:薫:2012/10/24(水) 19:49 ID:mDc

顔を上げれば、もう自分の家は見えていた。

帰りたくない。

恐怖が待ち構えていることを、あたしは知ってる。

だからと言って帰らないわけにはいかない。

大丈夫。まだ帰って来てないはず。

部屋に閉じ籠ってれば、平気…

「何かあったら相談してね」

立ち止まって、先輩は真剣な眼差しで言う。

まるであたしの心を見透かしたみたい。

あたしはゆっくり頷いた。

そのまま話は続くことなく、終わりをとげた。

ペコリと頭を下げる。

あたしなりのお礼だ。

でも先輩を見たりもせず、ドアを開けた。

光は漏れることはない。

玄関は真っ暗で、部屋も真っ暗。

光は全くなくて、まるであたしのようだった。

「まだ誰も帰って来てないの?」

心配そうに先輩は呟いた。

いつものことなのに。

何でだろう、今日は寂しい。

この人のせいだ。絶対に。

「いつものことです…じゃあさよなら」

素っ気なく返すと、あたしはドアを閉めようとドアノブを引く。

先輩はすぐに表情を変えた。

優しい笑顔を最後まであたしに見せてくれたんだ。

偽り、これは偽りだ…って自分に言い聞かせる。

振り向けば暗い部屋が待っていて、やっぱり心に穴が空いたような喪失感に襲われる。

自分の心に光が見えたのは、気のせいなのだろうか。

誰もいない寂しいリビングに電気をつけることも、足を踏み入れることもせず、真っ直ぐ階段を上って自分の部屋へ向かった。

61:茜:2012/10/24(水) 19:56 ID:ZV2

先輩優しいねぇ〜!
私の学校の男子、チャラいのばっかだからなぁ…
薫>いや、お礼を言われるほどでは…//

62:薫:2012/10/24(水) 20:03 ID:mDc

階段を上る足音だけが、家に、胸に、虚しく響く。

妙に階段が長く感じた。

ほんの何秒なのに、何分にも何時間にも感じるほどだった。

階段を上りきり、ゆっくりドアノブを捻る。

部屋に入るとすぐに電気をつける。

真っ暗な空間にずっといるのは…怖い。

あの日を思い出すからだと思う。

考えると虚しくなって、何もできなかったあの日の自分が悔しくて。

思い出す度に止まらなかった涙は、今日は出なかった。

微かにだけど、心の隅に暖かさが残ってる。

先輩がくれた暖かさ。

今にも心に残ってて、優しくて…虚しい気持ちも吹き飛ばす。

あの先輩の優しさは、偽りのはずなのに。

本当の、心からの優しさだって思う自分がいる。

何でだろう。

大きくため息をつく。

そのあとゆっくり動いて、バッグに明日の勉強道具を突っ込んだ。

途中、玄関が開く音が響いた。

すぐに手を止めて、耳をすます。

乱暴にドアは閉められ、階段をすごい速さで上ってくる。

恐怖心は未だにある。

でももう…慣れた。

部屋のドアを開けたのはお父さん。

すごい形相であたしを睨み付ける。

冷酷無情のあたしの胸ぐらを、お父さんは乱暴に掴む。

今日も、また。

今日もまた、痛々しい音が響いた。

お父さんの怒りの言葉と、時々響くあたしの呻き声。

こんなもの慣れてるはずなのに、頭で先輩に助けを求めていた。

63:薫:2012/10/24(水) 20:04 ID:mDc


茜>先輩のような、ほんわかした人間いるよね(笑)

64:薫:2012/10/24(水) 20:12 ID:mDc






あれから何時間もたった。

また一つ、背中に傷が増える。

触れると激しい痛みが全身を刺激して、心が引き裂かれる。

何度も涙を流しても変わらない。

こんな毎日は、永遠に続くんだ。

「っ……おか…あさ…」

静かな部屋にその声は響いた。

お母さんに会いたい。

それしか願いはない。

見るだけでいい。あたしを覚えていなくてもいい。

ただ、会いたい。

元気にしてるのかな。

もう、自分の夫に“あんなこと”されてないかな_____…

そう思うと不安で仕方なかった。

お母さんに捨てられたというのに、あたしはまだお母さんが心配でたまらない。

お母さんはあたしが小学生の時に、男を作って家を出た。

泣き叫んでお母さんを何度も呼んだけど、お母さんは悲しそうに笑みを浮かべて去った。

あたしは、お母さんに捨てられた。

どうして連れて行ってくれなかったの?

どうして、お父さんなんかのところにあたしを置いて行ったの?

お母さんは…あたしが大事じゃない。

だから見捨てたんだ。

その日をキッカケに、あたしからは笑顔が消えた。

65:薫:2012/10/24(水) 20:25 ID:mDc

今はもう高校生。

少し大人になったって、自分でも認めるくらい。

小学生の時と比べて変わったのは、日に日に大きくなっていく叫び声を出さなくなったこと。

そこは変わっても嬉しくない。

喜べない。

お父さんに抵抗できないところが、まだ成長できないところ。

止めようと思えば止めれるかもしれない。

でももし、お父さんに何かあったら…なんて考えたら、大人しくするしかなかった。

そのせいで、日々あたしの心は崩壊していく。

幸せな毎日が羨ましい。

いつも笑ってる人たちが羨ましい。

普通な毎日が、堪らなく羨ましい。

暇だ暇だって言えてるだけで、それだけであたしは幸せだと思う。

悲しいこともなければ、家族ともそれなりに上手くやっていける。

そんな家族に憧れていたんだ。

でも、もう戻れない。

もう笑えない。

あたしが夢見る家族は実現することなく、夢だけで終わってしまうんだ。

66:薫:2012/10/25(木) 16:49 ID:mDc

「…学校、」

ポツンと一人寂しく呟く。

ゆっくりゆっくり階段を下りる。

痛みはもう消えていた。

警戒しながらもリビングに行くと、お父さんの姿はなかった。

お酒のビンだけが、テーブルに転がっている。

リビングに足を踏み入れた瞬間、お酒の匂いが鼻を刺激する。

…お酒臭い。

昨日もまた…こんなに飲んだんだ。

あんなお父さんでも、やっぱり心配になる。

どこか体悪くなったりしてないかな。

不安を潰すのは紛れもなく傷ついた体で、痛みが全てを忘れさせる。

心の傷は癒されない。

これだけは、毎日だけは、消すことのできない残酷な現実。

泣いても叫んでも、無駄骨としか思えない。

時々考える。

生きていて、何の得があるのだろう_____と。

67:薫:2012/10/25(木) 18:35 ID:mDc






学校の門を通ると同時に、チャイムが鳴り響き門が閉められる。

ギリギリセーフで遅刻は逃れられた。

無情で歩くあたしを、悔しそうに見ている遅刻生徒。

遅刻は逃れられたらもういい。

マイペースに教室へと向かう。

長い階段を上って、1-Aと書かれた教室のドアを開ける。

バッとクラス全員の視線があたしに向けられる。

痛い視線以外に何もない。

未だにこのクラスには馴染めてないし、功とは…目を合わせられない。

向こうも合わせようとはしなかった。

やっぱりもう、功の心はあたしのものではない。

あの女の子のものだ。

そう思うと涙が滲んで、悔しい気持ちが溢れてくる。

それを我慢し椅子に座る。

話しかけても反応は薄く話は続かない。

おかげであたしはクラスから浮いているし、話しかけてもくる者などいない。

唯一の話し相手の功も、もう目も合わせてもらえない。

光さえも見えない黒々とした世界。

こんなところもう、逃げ出してしまいたい。

68:薫:2012/10/25(木) 19:36 ID:mDc

それからすぐに担任が入って来る。

先生でさえもあたしと目を合わせようとしない。

隅っこに座ってるあたしは、いない者扱いだ。

何でこんなことするの?

なんて、思ったりはしない。

好きにすればいい。そう思う。

醜い心に付き合ってる暇はない。

いつもそう言い聞かせ、寂しい気持ちをおさえてる。

本当は、みんなと話したいのに。

この目付きと、口下手なことが暗い雰囲気を漂わせる。

生意気とか、いつも怒ってるとか。

外見で決めるこのクラス。

功も本当はその通りだ。

素のあたしを見てから、違う女に乗り換えた。

結局は外見。

それでも、功は違うと心の奥で思ってしまう。

裏切られたと言うのに。

69:なっこ ◆HI9k:2012/10/25(木) 19:40 ID:jrg

読みました…感動しました…(((((

凄く上手いです!!上手すぎて言葉に出来ない…(笑

アドバイスなんて…ありませんっ!!

と、言うか駄作者の私にはとてもじゃないけどムリですっ!!←

すいません!!ごめんなさい!!

せっかくご依頼してもらったのに…((((ry

ではまた、日を改めましてお伺いしたいと思います…!!

更新、頑張って下さい!!!

70:薫:2012/10/25(木) 19:41 ID:mDc

そんなことを考えていると、不思議とため息が出た。

心が空っぽになった気分。

虚しくて、切なくて…。

功のことは当分忘れられない。それは分かってる。

でも、他の人…先輩と功を重ねて見てしまうところが悪いとこ。

功だったら、こう言った。

功だったら、こうしてくれた。

全てを功に結びつけてしまう。

直接別れよう、って言われたわけではない。

でもこれは完全に自然消滅と言うものだ。

あたしたちは、終わったんだ。

でも、やっぱり期待してる。

あれは見間違いなんだ、なんて勝手な想像をして、功を信じてる。

もうあたし…どうすればいいの。

71:薫:2012/10/25(木) 19:43 ID:mDc


なっこさん>あああ、ありがとうございます…!
      私には勿体ないお言葉( ´;ω;`)
      いえ、大丈夫です!
      こんな駄作をここまで読んで下さりありがとうございました!

72:茜:2012/10/25(木) 19:44 ID:ZV2

薫>うん、いるいる〜w

功さんよ…
鈴羽の気持ちを理解してやってくれ…(涙)

73:美麗:2012/10/25(木) 20:04 ID:gTo

元梓ですが入れてもらってもいいでしょうか?

やっぱり薫さんは凄いです(。-_-。)
私は、下手何でアドバイスされる所が山ほどありましたわ〜

74:薫:2012/10/25(木) 20:45 ID:mDc

出席を取る。

いつものようにあたしを抜かして。

もう当たり前のようになってきた。

先生までもがあたしにこういう態度を取るのは、お父さんのせい。

お酒を飲んで暴れたお父さんは、道を歩く人に怪我をさせた。

幸いかすり傷ですんだけど、強く降り被ったお父さんの拳を避けなければ、何メートルも飛ばされていたかもしれない。

お酒のせいだと言うことで、お父さんは認めなかった。

警察騒ぎは逃れられ、近所の人には冷たい目で見られるのが日課だ。

いつもどこかふらふらとするお父さん。

仕事は一応してるからお金はある。

あたしもそんなに自分のためには使わないから、貯金は十分にあった。

でも最近はお父さんのお酒の飲みすぎで、でも病院には行かない。

そんなお父さんはいつも、ふらふらと危ない足取りで歩く。

何かあったら、って思うと心配する。

あんな父親でも、あたしにとっては育ての親だから感謝はしてる。

75:薫:2012/10/25(木) 20:46 ID:mDc


茜>感想ありがとう!
  理解してほしいよね…

美麗さん>どうぞ!
     ありがとうございます*

76:美麗:2012/10/25(木) 20:56 ID:gTo

こちらこそ入れてもらって有難うございます
《感想ですぅ》
お父さん、酷いですね。私の場合憎みます・・・
やっぱりサイコーみ上手いです
文才を分けて貰いたいです♪(´ε` )

77:薫:2012/10/25(木) 21:01 ID:mDc

それでも毎日は恐怖だ。

今日もまた…って思うと怖くて堪らない。

抵抗できない自分が怖い。

お酒のせい、お酒のせいって言い聞かせて、止めようとしない。

結局は怖いんだ。

また捨てられるのが、更に殴られるのが。

怖くて怖くて堪らない。

思い出しただけで、体はガクガクに震える。

どうしてあんな人の子供になったんだろ。

そう思った時もあった。

「山田鈴羽!!」

「はいっ?」

怒鳴り声に近い馬鹿でかい声が響く。

静まり返ったと思ったら、担任は顔を赤くさせて怒っている様子。

黒板をコツコツとチョークで叩く。

その音だけが教室に響いた。

「ちゃんと聞け」

軽く睨まれた気がした。

すみません、と呟くと、すぐにうつむいた。

周りの声にいつの間にか怯えてる。

功も見てるかな。

やだ。恥ずかし…怒られたの見られた。

そう思い功を見た。

何も言えなくなり、頭が真っ白に染まっていく。

功は見てもいないし、聞いていた様子もない。

そんな功を見て、実感した。

もう功の中には、あたしはいない。

78:茜:2012/10/25(木) 21:09 ID:ZV2

感想
功くぅーん?
もーしもーし!
って言いたいw
お父さん酷い…
でも一応親だからやっぱり、…

薫>感想は読ませてもらっている身で書かなきゃいけないくらいのものだよ!だからお礼なんていらないよ!

79:そよかぜ ◆Ujv6:2012/10/25(木) 21:24 ID:S0o

拝読させて頂きました。

辛口でいいなんて…でも控えておきます。

まず一行空けることが多すぎるような気がします。
すこし控えてはどうでしょうか?
それとたまに読んでてよくわからないところがありますが、まぁそれはオレの浅いせいでしょう、必ず!!

とにかくうますぎです。スゴすぎです。
こんな駄作者の変なアドバイスでこの作品を汚してしまうような…
そんな気がして申し訳ないです。

こんな駄作者ですが、引き続き読ませて頂いてもよろしいでしょうか…?

80:ARISA:2012/10/26(金) 16:10 ID:k2k

薫>おお!!3DS持ってるんだ。私も、持ってる(´∀`*)
  いいな〜私もフレコ交換したい…
  (雑談スマそ)

81:薫:2012/10/26(金) 17:10 ID:mDc

心臓を掴まれたように、息苦しくなる。

あたしもう、戻れない。
あたしはもう、忘れられた。

どんなに功を想っても、この気持ちは叶わない。
そして、届くこともない。

現実は、なんて残酷で悲しいのだろう。

蒸し暑い教室。
暑い暑いと呟く人もいる。

あたしの心だけが凍えてる。

一度も後ろにいるあたしを、見ようと振り返ることはない。

頬杖をつく功は、悲しいほどに前向きで、
本当に好きな人とちゃんと向き合ってるんだって思った。

好きでもない人と付き合わない。
そうでも決めたのかな。
あたしはやっぱり好かれてはいなかった。
だから、だからちゃんと自分に正直になろうって、功はそう思えたんだと思う。

あたしだけが、功は忘れられない存在となってしまった。

日常生活でも逃げてばかりのあたしはもちろん、恋とも向き合えない。
傷つくなら…って、拒否してる。

でもまだ功のことは好き。

何かもう…よく分かんないよ。

悲しい。
そして苦しい。
泣きたい。

あたしも、自分の気持ちに向き合えることができたら。
今の生活は、変わっていたかもしれない。

82:薫:2012/10/26(金) 17:15 ID:mDc


茜>功君はちゃんと自分の気持ちに
  素直になってるんだよ〜
  なかなか前を向けない時ってあるよね…それが鈴羽ちゃんの場合!
  ありがとう;

そよかぜさん>>>81ぐらいの間はどうでしょうか?
       あ、じゃあ皆様が分かるように頑張ってみますね;
       そよかぜさんの作品は素晴らしいと思いますよ!
       この作品はそよかぜさんのおかげで良くなれるはずですっ
       アドバイス本当にありがとうございました!
       引ぜひき続き読んでくださいっ

ARISA>持ってるよ!ARISAもか〜
    交換しても大丈夫だよ

83:薫:2012/10/26(金) 17:16 ID:mDc

>>82
引ぜひき続き⇒ぜひ引き続き

84:薫:2012/10/26(金) 17:25 ID:mDc




1時限目終了のチャイムが響いた。
要約授業は終わりとなる。
何だか今日は、いつも以上に疲れた。

次は移動教室だよ、なんて軽快な声が聞こえる。
それを聞いたクラスメートは、仲良しの子とくっついて教室を出た。

教室にはいつの間にかあたし一人になってしまった。

早く行かなきゃ。
頭ではそう思ってるけど、体はゆっくりでしか動かない。

やっと教科書を取り出すと、今日も独りで教室を出た。

廊下にはそれほど人はいない。
でもそれなりに視線は感じる。

あの噂は凄いスピードで広まった。

上級生にも知りわたり、この学校で知らない者はいないと思う。

功も知っていた。
それでも優しく接してくれる功。

その優しさをくれた功でさえも、あたしから離れてしまった。

あたしの心には、もう何も残っていない。
空っぽになった寂しい心が功を呼んでる。

功は戻ってくるはずなんてないのに。
未だに期待して、功を待っている。

無意味なことだって分かってるけど、そうでもしなきゃ心が崩壊しそうで怖い。

結局は、「怖い」で全てから逃げている。

卑怯で弱いこんな自分なんて要らない。
でも、変わりたいのに変われない。

あたしはこんな日常だから、
あたしはこんな性格だから、

それであたしは今まで逃げてきたんだ。

85:薫:2012/10/26(金) 19:04 ID:mDc

こう考えると、全てあたしが原因。

お父さんのこともそう。
あたしが弱くなかったら、ちゃんと向き合えたら。
お父さんはああなることはなかった。

本当は、知ってるんだ。
お母さんが出ていって、密かに泣いていたことを。

夜中眠れなくて目を覚ました時、一階からはすすり泣く声が聞こえた。

あたしは静かに階段を下りて、リビングに顔を出した。
そこにいたのは、顔を手で隠したお父さん。

悔やんでるようにも、悲しんでるようにも見える。

お父さんは、自分とお母さんが肩を並べて映る写真を握り締めて、涙を必死におさえようとしていた。

お母さんが大好きだったお父さん。

その日からショックで食欲はなくなり、何かすることもなくなった。

料理は自分で作っている。
もちろんお父さんの分も。
でも朝になると、いつもゴミ箱には大量の食事が捨ててあった。

それはあたしがお父さんにと作った食事。
代わりにテーブルには、大量のお酒のビンが転がっていた。

あたしの弱さが導いた今の日常。

体を張って、お酒を止めさせなかったあたしが。
悲しむお父さんを見て、何かしようとも思わなかったあたしが。

お父さんを、あんな人生にさせてしまった。

ごめんなさいなんかじゃ足りない。

お父さんには、幸せになってほしいのに。

86:薫:2012/10/26(金) 20:34 ID:mDc

逃げない強い人間になりたい。
そう思っていても、努力をしなければ意味がないのに。

結局何もしようのとせず、逃げようとしてる。

いつも一番に逃げるのはあたしだ。
そのおかげで、みんなが不幸になっていく。

あたしが何もかも捨てて、一人で逃げるから。

瞳を閉じれば功が浮かぶ。
ゆっくり瞳を開いてまた閉じると、次は闇以外に何もなくなる。

これは、あたしの心だ。
黒く染まりつつある、優しさの欠片もない冷たい心。

変わろうとはしてない。
まだ怖くて逃げてしまう。

どうしてあたしはこんな最低な人間なのだろう。

「鈴羽ちゃん?」

声質と呼び方で誰かはすぐに分かった。

振り返ればそこには先輩がいて、風に乗って先輩の黒い髪の毛が揺れた。
あたしの長い髪の毛も揺れている。

「どうしたの? 一人?」

心配そうに先輩は聞いた。
心配してくれてるのはよく分かる。

でも、そこには触れてほしくなかった。

ナイフで刺されたような、息苦しい感覚。
闇に…引き込まれていく。

87:薫:2012/10/27(土) 09:06 ID:mDc

苦しい。息が、出来ない。


この感覚は…何?


「鈴羽ちゃん!?」


急にふらつくあたしを先輩は慌てて支える。
虚ろな目で、あたしは辺りを見回した。

全てが真っ黒に思える。
消えそうなほど小さくなった暖かな感情さえも、暗闇に押しきられる。

あたしは真っ黒な人間に。
変化してしまうのかもしれない。


もう戻れない。


このまま闇に落ちて、光のない人生を過ごすことになる。



お父さんと、一緒だね。
お父さんの気持ち、分かってあげられるよ。


今までごめんなさい。
気持ちを分かってあげれなくて。


でも、これからは…分かってあげるからね。



微かに笑みを浮かべる。
喜び? それとも…絶望?

そんなことどうでもいい。

でも、笑みを浮かべた瞬間



あたしは意識を手離した。

88:薫:2012/10/27(土) 10:21 ID:mDc




ああ、そうか。
闇に…落ちたんだ。


そう感じて、目蓋を上げようとはしなかった。


だって、怖い。


ここは闇の中なんだから、瞳を開ければ戻れない気がして。


もう、功に会えない。
もう、家に戻れない。
もう、人生がない。


そう考えると怖くて、抜け出したくて、
でもどうすればいいか分からなくて。


あたしはどうすればいいの?

ただこのまま闇の中にいろと言うの?



そんなの、嫌だよ。
誰か助けて。



お願い。あたしを連れ戻して。





「功…っ」

89:薫:2012/10/27(土) 10:26 ID:mDc

ハッと我に帰る。
いつの間にか目は開いていて、心配そうに顔を覗き込む先輩がいた。


何だ…功じゃなかった。
なんて、酷い言葉が頭に浮かぶ。


先輩に失礼と分かっていながら、男の人を見て浮かぶのは功だけ。


功と…比べてしまう。

“先輩”として見れないんだ。



「良かった…! 大丈夫…?」



心配そうに、でも安心して。
こんなにもあたしを心配してくれる。


何でこんなあたしを心配してくれるの。


「大丈夫…です」


辺りを見回せば、ここは保健室。
消毒液やら何やらの、“保健室”って感じの匂いが、あたしの鼻を刺激する。


保健室。
ここは…あたしと先輩が出会った場所だった。

90:薫:2012/10/27(土) 15:01 ID:mDc


「…さっき、」
「え?」

そんなことを考えてると、先輩がポツリと呟いた。
耳を傾けると、一瞬口を閉ざす先輩。

顔は曇っていて、何か考えてるようで…
とにかく何も言えない。言いたくない。


「功…って、」


あ…!


そうだ。
先輩の前で、功を呼んだんだ。


他の人といるのに。
功の名前を出して、比べて、


失礼にも…ほどがある。


「ご、ごめんなさ…」
「失恋の相手だよね?」

心臓が跳ねる。
昨日、先輩に教えた名前。


ってことは、比べたってことはバレてるはず。


もう…最悪。失礼すぎる。


謝って済む問題かな?
ごめんなさい、って言ったら、なんて言われるだろうか。


無言の先輩を、ただ見つめることしかできない。

91:薫:2012/10/27(土) 15:18 ID:mDc

なんて言えばいいのか、戸惑うばかり。

先輩の顔は曇るばかりで。

比べられてるって分かると、やっぱり悲しいよね。
素直に謝れない自分が悔しい。


やっぱり先輩は、こんなあたしと出会わないほうが良かったんだ。


「気分良くなったので…行きますね」


そう言い放ち、ベッドから出た。
保健室を後にするあたしの後ろ姿を、先輩は悲しそうに見つめていた。


ごめんなさい。


心では言えるのに、直接言えない。


どうしてだろう?
恥ずかしいとか言うのはないのに。


また話して、次こそは関係が壊れるかもしれない。
そう思って、恐れてる?

ここまで一人で堪えて来たんだ。
寂しいなんてことはなかった。


でも、こんなあたしに優しさをくれるから。
暖かさをくれるから。


一人になることを、こんなにも恐れてしまってる。

92:薫:2012/10/27(土) 15:27 ID:mDc

先輩のせいだ。
先輩のせいだ。

こんなあたしに、優しくしないで。


偽りでしょ?
噂を知ったら離れるんでしょ?


それなら、最初から優しくしないで。

あたしに近づかないで。


あたしの中に、温もりを注がないで。


功が好きなんだよ。
功しか見えないんだよ。

先輩は、利用でしかあたしの中にいられないんだよ。
存在しないんだよ。


そんなに優しくされたら、きっとあたしは…功の存在を消してしまう。

優しくて、大好きな功を。


先輩を利用して、功を忘れて、二人を消し去ろうとしてしまう。


ダメだよ。そんなのダメ。


先輩には幸せになってほしい。
功には戻ってきてほしい。



叶わない夢だ。

93:茜:2012/10/27(土) 21:14 ID:ZV2

か、悲しい…
薫>>あ〜!
そういうことかぁ〜!

では、頑張ってね☆

94:薫:2012/10/27(土) 22:59 ID:mDc


茜>もっと悲しくするつもり…フフ((
  ありがとう!頑張るね〜o(^ω^)o

95:匿名さん:2012/10/27(土) 23:03 ID:ZV2

薫>もっと!?
わ、笑いが恐いぞ…((
うん!頑張って♪

96:薫:2012/10/28(日) 15:13 ID:mDc


苦しくなるほどに走った。

先生に見られても、生徒に見られても、無言で走り過ぎていく。
相手も何かを言う訳でもない。


あたしはいない存在だから、通り過ぎても、「今の風どこから?」なんて、見えてるくせにわざと言う。
聞こえるように大声で言ったあと、振り返れば馬鹿にしたように笑う。


堪らなく悔しい。
堪らなく悲しい。


あたしはここにいる。
ちゃんと生きている。
いない存在なんかじゃない。


やめて。やめてよ。

あたしはここにいるよ。

見てよ。あたしを見て。



「功…!」



授業なんかどうでもいい。
その一心しかなかった。


既に倒れそうになったことで、誰かに頼んで先生に伝えるわけでもない。
無断で授業を放った。

なのに、誰も何も言わない。
あたしを探そうともしない。


これが当たり前、って顔で、移動した教室から帰って来る際にあたしを見つけても、何か言われるわけでもない。

それは先生方にも共通していた。

97:薫:2012/10/28(日) 15:20 ID:mDc

学校に来ている意味などない。
人とは違う扱いをされる毎日。

こんなの…いつまで堪えればいいの。



チャイムが鳴る。
廊下にいた生徒が渋々教室に戻る中、あたしだけがまだ廊下を走っていた。


あんな教室に入れるものか。
いない存在の授業に出れるものか。


既に限界は近づいていた。

98:薫:2012/10/28(日) 15:25 ID:mDc


行く宛もない。
このまま帰るわけにも行かない。

…あたしにはどこにも居場所がない。



「功…っ、功…」



何度呼んでも来てくれるわけでもなく、笑いかけてくれるわけでもなく。

功の心は既にあたしはいない。



もう話してももらえない。

笑いかけてももらえない。



全ての人からの無視。
そして降りかかる笑い声。



ここは、この世界は生き地獄だ。



あたしはその生き地獄の標的…と言うことだ。



みんな醜い。
みんな弱い。

他の者を傷つけることでしか逃れられない重荷。



あたしの気持ちも知らないで。

やられる人の気も知らないで、何でそんな顔でそんなことが出来るの。



そこが人間の弱さだ。

99:薫:2012/10/28(日) 15:41 ID:mDc


居場所のないあたしは…どこに行けばいいんだろう。

そこで思い付いたのは、校内ではなく中庭だった。

草木が風に乗って揺れる中庭。
ここなら一人になれる。

そう思って、スピードを上げ学校を出た。

思った通り。
いい具合に風が吹いて、気持ちいい。

でも、冷えた心がもっと冷やされていく。

風までがあたしを拒否してるかのように。

やっぱり、あたしの居場所はない。

そう実感したけど、そんな風に逆らって、角を曲がり中庭に。
中庭を見渡した瞬間、動きは止まり思考も停止。

神様って、どこまであたしを苦しめるんだろう。



「鈴羽ちゃん…」

100:薫:2012/10/28(日) 15:45 ID:mDc


ついに…100に来ました!

まさか…まさかここまで行くとは予想外。
皆様の応援のおかげですね…!

今回書いてる小説は、私が初めて書くようなお話です。

酷く苦しめられる主人公を書いたのは初めてで、上手く表せないところもあります。

ただ甘いだけの恋愛ってありませんよね。

そういう苦しみを背負って生きている人達に見てもらいたいです。

生きる幸せ、生きてる幸せ。

全てを皆様に伝えていけたらいいなと思います。

よかったら引き続き応援をお願いします。

101:陽実(姫♪) ◆NLsI:2012/10/28(日) 17:26 ID:duQ


あたしごとき駄作者がアドバイスできるレベルじゃない…!

泣き叫びながら駄作者の登場です。

えーっと、アドバイスでしたね。


描写は良いと思います。
香りを使った表現、心の中の乱れ用を描いた箇所、ほぼパーフェクトに近いです。

ただ、パッと見てわかりにくいような表現が使われているのが気になりましt

ナイフで刺されたような、息苦しい感覚。を、

心臓を何かに掴まれたように、苦しく、息ができない。


心臓が圧迫されるということは誰しも感じやすいでしょう。
ですから、そこを利用してわかりやすい表現を使ってみてはどうでしょうか。


…とうか、粗探しをしてみたものの、これ以上は思いつきませんのでどうかご容赦願いたい。

では駄作者退散です。

102:ARISA:2012/10/28(日) 17:51 ID:k2k

ついに…100……(°_° )


いつまでも、応援するちゃっよ (> <)

103:薫:2012/10/28(日) 18:14 ID:mDc


姫♪>うわぁorz
   さすが姫♪だ…
   審査ありがとうございましたっ

ARISA>ありがとう!

104:薫:2012/10/28(日) 18:39 ID:mDc


会いたくなかった。

会いたくなかったよ、先輩。

どうしてここにいるの?
授業中なのに。
そう簡単に聞けたら、どんなに楽だろう。

気まずくて、視線を重ねたくなくて、ただ目を逸らす。

心臓が跳ねる。
何を言われるのか分からない不安。
大きく膨らむ不安は、あたしの平常心を押し潰す。

唇を噛み締めたまま、何事もなかったかのように去ろうとした。

一歩踏み出した瞬間、腕を掴まれる。
それでも目は合わせまいと、視線は足元にと落とす。

先輩は何も言わない。
あたしも何も言わない。

でも先輩は、手を振り払うことだけは許さなかった。
離して、って言ったけどそれは無駄で。

先輩を見ると、首を横に振っていた。

嫌だ、ってことなんだ。
離さない、逃げるなってことなんだ。

何で?
あたしに何の用があるの?
功と比べる最低な女だよ?
先輩が思ってるような人じゃないよ?
弱い人間だよ?
すぐに泣くんだよ?
何でも誰かのせいにするんだよ?

離して。やめて、やめて。

心はそう言ってるのに、口は開かなかった。

喉の奥までは出かかっている。
でも、口は堅く閉ざして動かない。

まるで、離してほしくない…言いたくない、って言ってるみたいで。

何をしたらいいのか、何を言えばいいのか。

頭がぐちゃぐちゃに乱れて、何が何だか分からなくなる。

105:茜:2012/10/29(月) 06:42 ID:ZV2

鈴羽〜(泣)
先輩いろんな意味でグットタイミング!

100おめでとう☆☆

106:薫:2012/10/29(月) 07:56 ID:mDc


茜>鈴羽にとっては最悪なタイミング!ww
  ありがと(*´∀ ` *)

107:茜:2012/10/29(月) 12:47 ID:ZV2

薫>そうだね…ww
いや、おめでとだよ〜♪

108:薫:2012/10/29(月) 15:23 ID:mDc

「せんぱ…」

胸が痛くなった。

何でこんな気持ちになるんだろうって。
何で素直に言えないんだろうって。

目の前にいる先輩と、離れたくない。

先輩を利用することで得ることができる物をあたしは知ってる。

そう、暖かさ。

これを手に入れれることが分かって、先輩と離れたくない。
そう思ったんだ。

功に未練たらたらの、最悪女。
そう言われても文句は言えない。

「ごめん」

涙が浮かびぼやける視界。
急いで涙を拭い見た先輩の顔は、切なそうに悲しそうに。

「何が…です、か」
「ごめんね」

問いに答えず先輩は謝る。
それなのに手は離さない。
言ってることとやってることが違うよ。
謝るぐらいなら離して。

「逃げたいなら、振り払ってよ」

あたしの心を見透かしたように、先輩は儚く微笑んだ。

改めて言われても、いきなり振り払うだなんてことできない。

それに、あたしはズルいから。
ズルいから、離したくないと思ってる。

そうしているうちに、チャイムは鳴り響いた。

先輩はあたしの手を離さない。
あたしも振り払わなかった。

109:薫:2012/10/29(月) 17:24 ID:mDc

こんな言い方はズルい。
そんなこと言われて、振り払えるわけがない。

先輩を傷つけちゃう。
もしかしたらもう話せない可能性もある。

そんなの嫌だ。

ずっと離されないほうがいい。
でも、そのままじゃ…痛い。

胸が締め付けられる。
息が苦しくなって、溢れる感情を抑えきれない。

先輩が分からないよ。
離してよ。
あたしなんかに優しくしないで。

「分かんないよ」

先輩を真っ直ぐ見つめて、額を伝う涙に先輩は釘付けだった。
だからなのか、先輩はすぐに手を離した。
暖かかった掌が、また冷たくなっていく。

離してほしいけど離してほしくない。
離してほしくないけど離してほしい。

もうよく分からない。
先輩のことも分からない。何をしたいの?

でも、先輩とは離れたくない。

これは事実だ。

110:薫:2012/10/29(月) 17:43 ID:mDc


涙は視界を遮る。

先輩は、あのハンカチを取り出した。
濡らして目の下に当ててくれた時と同じハンカチ。
それであたしの涙を拭いた。

見えるようになった時、あたしの視線はハンカチにと釘付けになる。

ピンク色って、男の人でも使うんだ。
って、少し意外だった。

ジッと見ていると、ハンカチの端に、英語が書かれているのが分かった。



「I love you more than anyone in tha world」



赤い文字でそう書かれていた。

これ…なんて読むんだろう。

「あいらぶゆう………いん ざ わーるど…?」

うん、随分飛ばしたな。
それしか読めない。英語は苦手。
どういう意味だろう。

「あ…これ?」

先輩がハンカチを指差す。
まだ溜まっていた涙を拭い、あたしは小さく頷いた。

「これは…思い出のハンカチ」

先輩は。

優しい顔が歪むほどに悲しい顔をした。

でも嬉しそうで、過去を思い出しているようで。

このハンカチに刻まれてる思い出は、何故か頭に引っ掛かった。

111:薫:2012/10/29(月) 17:45 ID:mDc

間違えた。
「」じゃなくて、<>でした。

<I love you more than anyone in tha world>

です。

112:薫:2012/10/30(火) 16:23 ID:FuM

上げ←

113:ARISA:2012/10/30(火) 16:38 ID:k2k

薫さん、フレコ交換しよ!

私ツイッター掲示板で『ARISAの部屋』
っていうのやってるからきてね

114:茜:2012/10/30(火) 19:13 ID:ZV2

上げ!


先輩の過去…
何があったんだろう!

115:薫:2012/10/30(火) 19:52 ID:FuM

「これ…自分で買ったんですか?」
「ううん。もらったんだ。誕生日に」

笑っているのに、先輩の笑顔は儚かった。
悲しそうな雰囲気は隠すことができてなくて、でも気づかないふりをした。

I love you more than anyone in tha world。

どういう意味なのか。
誰から貰ったのか。
その人との関係は何なのか。

先輩は、教えてくれなかった。

過去のことだよ、って言って遠くを見つめる。
まるで誰かを待ってるかのように。

過去のことだよ、って言いながら、まだ持ってるんじゃん。
そんなことを言う勇気はなかった。
望んでない返事が帰って来たら怖くて。

気づけば悲しみはなくなっていた。
涙も止まり、目の下が少しだけ赤いってだけで。
今まで泣いてた自分が馬鹿みたいに思えた。

だって、あんなことで泣いたんだよ。
優しさが大きすぎるってだけで。
あたしに優しくするってだけで。

先輩が誰に優しくしようと勝手。
だから、文句なんて言えない。

それに、今のと比べれば、さっきの胸の痛さなんて…米粒ほどに小さい。

涙って、こういう時に流すんでしょ?

116:薫:2012/10/30(火) 20:58 ID:FuM


ARISA>ここで言うけどいい?

茜>上げ Thank you!
  何があったのでしょぅ(笑)

117:薫:2012/10/30(火) 21:04 ID:FuM


次第に量は増えていく。
何で泣いてるか、何で悲しいのか、はっきり分かった。

先輩の過去に嫉妬してる。

先輩が好きとか…そういうのじゃない。
“思い出”というものがある…それだけであたしにとって、すごく羨ましいもの。
あたしなんて、これと言った思い出なんて残ってない。

いつも家にいて、お父さんから暴力を受けて。
逃げ出したくても逃げれなかった。それでもお父さんが大切で。

一人っ子のあたしは助けてくれる人もいないし、一緒に闘ってくれる人も相談に乗ってくれる兄弟という存在がない。
だから、余計に苦しみが増す。

「なん、え、どうして…」

焦る先輩と一度目を合わせる。
驚いてる瞳は、あたしと目が合わさったことでもっと驚いた。
すぐにあたしは視線を逸らすと、その場をすぐに離れる。

先輩の声が聞こえたのは、気のせいということにしておく。

気づいてしまった。

結局は、また八つ当たりをしてる。

淡い思い出のある先輩に、灰色の毎日しか送って来なかったあたし。

また、嫉妬…八つ当たりをしてる。

118:薫:2012/10/31(水) 17:52 ID:FuM


また走って、でもあたしには居場所がなくて、ただ動悸が乱れて息苦しい。
どこに行けばいい?
誰に頼ればいい?
心が少しずつ砕けて、ボロボロになっていく。

苦しくて悲しくて、涙が溢れそうなのに、涙は溢れるどころか浮かぶこともなかった。
カラカラに乾いた目が、涙をもう溢れさせまいとしてる。
それはそれで都合がいいけど、涙を出して悲しみを出すことはできない。
悲しみはただ広がるばかり。

先輩は追いかけて来ない。
もう声も聞こえない。
気づけば校内にいた。
玄関に座って、下唇を噛み締める。
先輩にとってあたしはやっぱりこの程度。
期待してたけど、助けてくれる人なんていないんだ。
一気に絶望感が溢れ出る。
少し見えて気がしてた光は音もなく消え、静かに暗闇に戻っていた。

何も見えない。
何も感じられない。

希望が、見えない。

119:薫:2012/10/31(水) 21:17 ID:FuM


玄関にはしばらく、悲しみの声が漏れた。
聞いてるだけで胸が痛くなるような、辛い辛い声。
必死に下唇を噛み締めたけど、それは何の効果も得なかった。

耳をすませば、本鈴がなっている。
3時限目が始まった。
それでもあたしは教室に戻らなかった。
正しくは…戻れなかった。

顔は涙でぐちゃぐちゃになり、功と会うと思うと胸が痛む。
先輩のことも気になって、教室にいても授業に出てないのと同然。
きっと、いや絶対に集中はできない。

そもそも…足が石のように固まって動かない。
教室に行きたくないとでも言うように。

あたしは教室に足を運ぶなんてことはしなかった。
顔は酷いし、まだ胸が痛かったから。

ただそれだけで。
あたしはまた、授業をサボった。

120:薫:2012/11/01(木) 15:10 ID:FuM

120!
なんとなくおめでとう

121:薫:2012/11/01(木) 16:54 ID:FuM


口から出てくるのはもうため息だけ。
泣き疲れた…というか、泣いていても変わらないから。
なんて、言葉だけが強い。
自分は弱いのにな。

ゆっくり時間をかけて立ち上がる。
あたしは再び外に出た。

外に出ると、頬の上の涙の跡に、風が冷たかった。
赤くなったと思われるほど泣いたため、少しヒリヒリした。

考えることは2つ。

一つは、先輩の行方。
あたしを捜してるのかな?
どうでもいいと思って、中庭にいたままかな?

もう一つは、あのハンカチ。
薄いピンク色のシンプルなハンカチの端には、長い英語があった。
先輩はきっと、あの英語の意味を知ってる。

「I love you」…この意味だけは絶対に分かる。
このハンカチは、女の人から貰ったんじゃないか。
何となくそんな気がした。

少し冷たくて、寂しそうな柔らかいハンカチ。

大事そうにいつもポケットに入れていたのだろうか。
でも、大事なハンカチを…人に貸したりする?

考えれば考えるほど、この不安の世界から抜け出せない。

誰から貰ったの?
英語の意味は何?
大事な物なの?

簡単に聞けたら苦労しないのにな。

122:りり:2012/11/01(木) 17:00 ID:Bn2

ア……アイヤァ?

よ…読めないw
小説頑張って下さい!!

123:薫:2012/11/01(木) 17:17 ID:FuM


りりさん>あら…読めないのありました?
     それとも英語?w
     ありがとうございます、頑張ります!

124:ARISA:2012/11/01(木) 18:26 ID:k2k

ここでイッテモイイノ?

ジャアイイケド……………

125:茜:2012/11/01(木) 20:06 ID:ZV2

期末テストの為、しばらく来れない!
薫、小説頑張ってね!

126:薫:2012/11/02(金) 15:41 ID:DIA


中庭に向かう。
行きたくて行ったわけじゃない。
足が勝手に動いたんだ。

そんな言い訳を心で述べ、胸に手を当てる。
ドクドクとうるさい心臓は、緊張を表してるようで。
もしもまだ先輩がいて、また会ったりしたら?
絶対に何か言われる。そう感じた。

戻ろうか、と足を止めた。
迷いと不安がただ溢れる。

変わりたいんじゃなかったの?

そんな言葉が頭に浮かんだ。
あたしはゆっくり足を動かす。
逃げてばかりじゃ…ダメなんだ。

今度は躊躇いもなく、あたしは中庭へと走った。

127:薫:2012/11/02(金) 15:42 ID:DIA


ARISA>1461-7201-7273だよ

茜>了解した(^^♪
  頑張るね!茜も頑張って*

128:姫♪ ◆NLsI:2012/11/02(金) 15:47 ID:FcU

薫ー…。

iらんどで新しいのかきはじめたy((ry

ここで書いてる奴をちょっとだけアレンジしたやつ…。

宣伝ごめんなさい…。

129:薫:2012/11/02(金) 16:53 ID:DIA

ほんの少し走っただけで、すぐに息が切れた。
息苦しい感覚は、初めてじゃない。

いつもそう。
この苦しい感覚は止められない。
助けを求めても助けてくれなくて、皆が私から離れて行く。
それが悲しくて、寂しくて、あたしに優しくしてくれる先輩に八つ当たりした。

せっかく優しくしてくれたのに。
せっかく話してくれたのに。

後悔しか残ってない。
それなのに泣くのは自分。
悪いのはあたしなのに。

ごめんなさい、先輩。
ありがとう、先輩。

「っ…はぁ…」

ごめんなさい。
許してもらえなくてもいい。
話させなくてもいい。
笑いかけなくてもいい。
優しくしなくてもいい。

ただ、謝りたい。
ただ、お礼が言いたい。

「先輩っ…」

桜の散った寂しい木の下。
ただ先輩に会いたかった。

130:薫:2012/11/02(金) 16:54 ID:DIA


姫♪>分かった、見るね
   私もここの小説を少し変えて書いてるよ〜

131:薫:2012/11/02(金) 17:02 ID:DIA

第2章



あの日は全ての授業をサボった。
だからと言って、何か言われるわけではない。
クラスの皆は、あたしがいなかったことさえ気づいてないだろう。

先輩は、あれから現れなかった。
鈴羽ちゃん、って、ひょっこり現れることを期待して、ずっとあの木の下に座っていた。
それでも待っていた先輩は現れなくて、遅くまで一人であそこにいた。

今日もまだ会ってない。
って言っても、まだ朝。
会わないのも当たり前だけど、いるはずのない廊下を何度も確かめた。
いるわけないのにな。

いない時の絶望感は酷かった。
昨日もまた、お父さんにやられた時よりも。
悲しくて、寂しくて、泣いてしまいそうだった。

賑やかなクラスは、あたしが入ると一瞬にして静まり返る。
その時の絶望感も大きくて、心はまた引き裂かれた。
でもまた、授業をサボるわけにはいかない。
仕方なく教室にいた。

教室にいて、何か言われたわけでも、されたわけでない。
でもクラスの皆は、全身であたしを拒絶してるようだった。

それは…功もだった。

132:陽実 ◆NLsI:2012/11/02(金) 17:02 ID:FcU

>>130
ありがとう!
イイね!コメント残してしまった私((ry

133:薫:2012/11/02(金) 17:26 ID:DIA


陽実>イイね!クリックありがとう♪
   嬉しいゎ( ´;ω;`)

134:陽実 ◆NLsI:2012/11/02(金) 17:26 ID:FcU

>>133
勝手な行動申し訳ない。
だって面白かったもん。

135:薫:2012/11/02(金) 17:49 ID:DIA


陽実>いや、全然いいよ。嬉しいから
   面白いだなんて…嬉しいな

136:茜:2012/11/02(金) 19:38 ID:ZV2

なにげに来た(笑)
今日一つ目のテスト終わったー!
来週は、毎日テスト…
しかも全部国語…

薫>頑張るよ!((キラッ☆
薫&鈴羽ちゃんも頑張って♪

137:薫:2012/11/02(金) 19:43 ID:DIA

功とはしばらく目が合ってない。
こっちを少しでも見たりなんてしない。
あたしだけが視線を寄せて、でも功は見てくれなくて。
もう赤の他人。恋人でも何でもない。
そう強く実感した。

本鈴が鳴って先生が入ってきて、いつもと同じく出席を取る。
あたしが返事をすることはなかった。
また現実に引き込まれた気分。
こんなことなら…優しくしてもらわなければよかった。
少しだけ後悔する。

心が熱くなるのは優しくされた時だけ。
時間がたてば熱も冷めて、現実に引き込まれた瞬間凍る。
そのおかげで心は冷える。
この繰り返しだ。

先輩に会いたい。
ちゃんと謝りたい。
でも、上級生の教室の前に行くなんてことは、勇気のないあたしには不可能。
あの場所で待つしかない。
方法はそれしかなかった。

138:薫:2012/11/03(土) 10:18 ID:DIA


茜>国語は得意だよ〜
  まあその他は…orz
  小学生のうちから理科がヤバイというね、うん。
  
   ありがとう頑張る!

139:薫:2012/11/03(土) 10:38 ID:DIA




放課後。
今日もまた、夕日があたしを迎えてくれるだけ。
中庭に人なんていなかった。

功とも先輩とも…最近は話してない。
会いたい。
話したい。
満たされかけてた心が、再び冷たく凍えていく。

先輩、会いたいよ。
先輩、会いに来てよ。
どうして来てくれないの?
どうして笑いかけてくれないの?

「先輩…」

空を見上げながら、小さく呟いた。
先輩、来てよ。
あたしはここにいるよ。
ただ先輩を待った。
度々吹く風が、先輩が来た証拠だと期待してしまう。

前を向けば先輩はいなくて、目の前が真っ暗に染まる。
嫌われた?
やっぱり、あの噂を知ってでの会話は無理だったんだ。

これでまた…一人。
もう支えてくれる人なんていない。

悲しくて、虚しくて、かなり遅くなってからあたしは学校を出た。
時刻は…7時を過ぎている。
早く帰ろう。
早く帰って…寝て、悲しみを紛らわせよう。

その気持ちしかなかった。
あたしは通学路を無視して、近道できる場所から行った。

そこは真っ暗で人もいなくて、でも通学路を通るより早く家に着く。
暗い夜道に浮かぶ電灯の光は、小さくてぼやんとしてて。
ほぼ光も当たってない真っ暗な夜道を、あたしは走った。

140:薫:2012/11/03(土) 10:42 ID:DIA


もう少しで家に着く。
そう思うと、ふっと力が抜けた。
早く行こう、早く行こうと、溢れる光に向かって走る。
暗い夜道ももう終わり。
そう思った瞬間、誰かに腕を引っ張られた。

「え、」

ゴッ、という鈍い音が響く。
トロリと頭から何かが垂れる。
激しい痛みに耐えられず、あたしの意識は遠のいていく。

誰?
誰なの?
そう言いたいのに、口が動かない。
頭が痛い。
掴まれた腕が痛い。

微かに開いた瞳の先には、笑みを浮かべた数人の男。
ここであたしの意識は途切れた。

141:薫:2012/11/03(土) 10:47 ID:DIA






ズキンズキン…と、激しい痛みがあたしを襲う。
頭が痛い。
これまでに感じたことのない頭痛。
頭から何かが垂れてることにも気づいた。
生暖かい何かは、あたしの手を伝う。

何これ?
そっと目を開ければ、見えていたはずの光が消えていた。
真っ暗で何も見えない。
分かったことは、自分が仰向けになって倒れていること。

何…何があったの?
不安が頭をよぎる。
怖くて堪らない。
心臓がバクバク暴れだして、恐怖心で体が震える。

起き上がろうとした瞬間、バンッと大きく音が響き、あたしは押し倒された。
背中が痛い。
何も見えないということから、恐怖心が益々溢れる。
何をされているの?
そう思った時、お腹らへんが寒かった。

142:薫:2012/11/03(土) 12:45 ID:DIA


服を着ているはずなのに。
妙に冷たい。
微かに漏れる光が、あたしの体を照らす。

「な、」

ドクンと心臓が跳ねる。
あたしを見下ろしてるのは数人の男。
頭から流れるもの…これは血。
何かで殴られたらしい。

状況が理解できない。
目の前が黒く染まる。
怖い。
何が起きてるの?

クスクスと上から笑い声が降ってくる。
ゾッと寒気が走った。

生暖かいものが、あたしのお腹に触れる。
男の手だと分かったのは、かなり時間がかかった。

「ひっ……ぁ…」

体がガクガク震える。
必死に抵抗した。
何度も何度も抵抗したけど、びくともしなかった。
次第に力が抜けていく。
ハッと我に帰った時、あたしは再び抵抗した。
瞬間、パシンと音がした。
頬が痛い。

「いっ……」

何度も殴られた。
叫べば叫ぶほど殴られた。
抵抗すればするほど殴られた。
声を出せば出すほど殴られた。

あたしの体は傷だらけになった。
あたしの体は汚れてしまった。

143:薫:2012/11/03(土) 13:12 ID:DIA


もう叫ぶ力もない。
好き勝手やればいい。
そう思って大人しくしてたら、相手はやりたい放題。
時々頬を殴る拳は大きくて強くて冷たい。

見えてきた光は閉ざされた。
冷たい手で体を触られる。
気持ち悪い。
冷たい。
嫌だ。嫌だ。離して、離して。

何度も心で叫んでも、助けは来ない。
男は消えていく様子もない。
もうこのまま死んでしまいたい。
目を閉じた。
真っ暗な世界が待っている。
今と変わらないじゃん。
生きてて何の価値もないんだから…あたしが死ぬことをみんな望んでるよね?
じゃあこのまま死んだほうがいい?

「っ…も…やだ」

もう殴られなかった。
男は去って行ったんだ。
汚された体は動かない。
触りたくない。触られたくない。
怖くて仕方ない。
どこかも分からない場所で、あたしは叫んだ。
苦痛に歪む姿は、誰一人見つけてくれることはなかった。

144:薫:2012/11/03(土) 15:13 ID:DIA




どれぐらいたったか分からない。
ただ無言でその場にいた。
寝転がったままで、何も見えていない真っ黒な瞳。
このまま家に戻らなかったら、心配してくれるかな?
お父さん、あたしを捜してくれるかな?

助けを待つ呑気な自分。
起き上がろうとはしなかった。

手足がガクガクに震えて力が入らない。
唇がガクガクに震えて叫べない。

怖くて堪らなかった。
何であたし…こんなに冷静なんだろ。
自分が何されたかまだ理解できてない。

自分は、自分は…どうなったの?

ただ暗闇が怖くて寒い。
真夏だから寧ろ蒸し暑いはずなのに、心が冷えたせいで体も凍えるように冷たかった。
助けて。助けて、功。先輩。皆。

誰かあたしを助けてよ。
あたしを必要としてよ。

本当は、好きになってもらいたかった。

平気なふりしてただけだよ。
お父さんにもクラスの皆にも功にも、

本当は必要してもらいたかったんだ。

145:薫:2012/11/03(土) 18:20 ID:DIA

最後の文に脱字発見

必要して→必要として

146:薫:2012/11/04(日) 10:43 ID:DIA


「ひっ…ぅ……うああああっ……」

泣きじゃくった。

どこかも分からない。
どこが出口かも分からない。

倉庫のような場所に独り置き去りにされて、暗闇に包み込まれる不安。
怖くて怖くて堪らない。

助けを求めても誰も来ないと分かっていた。
分かっていた、けど…

期待してたんだ。
誰かが来ることを。

こんなことなら…近道なんてしなきゃよかった。
ちゃんと通学路守ってたら、明るい外灯に照らされて安全に帰れたのかな。

「っ……うあああああっ……!」

それからも泣いた。
ずっとずっとずっと。
声が枯れても泣き続けた。

誰かが来ることを期待して。

147:クロ:2012/11/04(日) 10:56 ID:xxY

今すぐ、私が行ってあげるよぉぉぉ!!((殴
って、叫びました。マジで

行き成り乱入、スミマセン。
薫さんの小説が上手すぎて、コメントをしたくなりました・・・

更新、期待してるでごじゃる((

148:薫:2012/11/04(日) 11:32 ID:DIA


クロさん>ありがとうございます…!
     上手いだなんてありえない((
     更新頑張らせていただきます!

149:薫:2012/11/04(日) 12:51 ID:DIA


これからどうなるんだろう?
どうすればいいんだろう?

助けは来るの?
誰かあたしを見つけてくれる?

不安ばかりが押し寄せる。
怖い。怖い。早く、早く。

寝転がったまま、ハッと気づく。
携帯があるんだ。

メモリー件数は4件。
自分の家と、お父さん。
そしてまだ消せずにいるお母さん。

最後に、功。

出てくれるかな?
気づいてくれるかな?

助けてくれる?
来てくれる?

ただ温もりが欲しくて、助けてほしくて、

気づけば通話ボタンを押していた。
電話先は功。

お願い、出て。

耳元で虚しく呼び出し音が響いた。

150:薫:2012/11/04(日) 13:27 ID:DIA


「やっぱ…ダメかぁ」

功は出なかった。
予想していたけど、やっぱり辛い。
泣きたい気持ちをおさえることは大変だった。

取り合えず、立たなきゃ。
助け…なんて甘ったれたこと言っちゃいけない。
あたしはかなりの時間をかけて、ゆっくり立ち上がる。

手足はまだガクガク震えている。
怖い気持ちもまだ十分にあった。
思い出すだけで寒気がして、怖くて、自分は汚いんだと絶望感に陥る。

怖かった。
どんなに叫んでも、殴られるばかりで、好き勝手やられるだけで。
手首をおさえる男の手は大きくて強くて、痛かった。

逃げられない。
そう思うと怖くて怖くて、ただ怖くて、何もできなかった。

…レイプ。
その言葉が頭に浮かぶ。
レイプされたんだ。
こういう時ってどうすればいいの?

とにかく…ここを出なきゃダメだ。

恐ろしいほどに冷静な自分が怖い。
早く、早く出なきゃ。
光が…欲しい。

151:薫:2012/11/04(日) 13:37 ID:DIA

微かに光が漏れる場所に向かって歩く。
周りには、見たことのあるようなものがあった。

「此処…って」

すぐに分かった。此処は学校。
ずっと歩いていれば、教室もあった。
保健室も理科室も、廊下に時々転がってるペンなども。
でも此処は、自分の学校じゃない。人がいなくて使われなくなった学校。
取り壊しもまだ決まってなくて、夜は不気味に思えるこの学校。これは自分の家から離れた場所にある。
距離は1キロぐらい。歩いて帰れる距離だけれども、道は分からない。
こんな場所に来たことなどない。ただ学校があるとは聞いたことがあるだけ。

道も分からない。出口も分からない。
そして学校。暗闇の静かな学校。
…寒気がする。怖い。
震えは増していく。

152:薫:2012/11/04(日) 13:46 ID:DIA

その時、微かに音がした。カタ、カタ…と、音は近づいてくる。
いきなりの音に、悲鳴を上げそうになった。おさえるのだけに必死で、その場を離れるなんてことしない。
徐々に音は近づいてくる。
必死に口を塞いで、歩こうとするけど足が震えて上手く歩けない。

「で…出口っ…出口…!」

床に這いつくばりながら、出口を探す。
ない、ない、ない。どこ?どこにあるの?助けはいつ来るの?
不安がぐんと上がる。息も苦しい。

しばらくしても、音は止まらなかった。
恐怖心だけがあたしを襲う。心臓はどんどん加速して、息苦しい感覚も襲ってきた。

早く、早く、早く行かなきゃ。早く行かなきゃ。
それしか頭になかった。ただがむしゃらに手足を動かす。
涙が浮かんだ時だった。携帯がピカピカ光る。
ピカピカ光ってすぐに、着メロがポケットから聞こえた。電話だ。
震える手で通話ボタンを押す。
唇が震えて、上手く喋れない。

153:茜:2012/11/04(日) 14:00 ID:ZV2

だ、誰!?
○○さん!?((○○さん登場してないね…
○○さん誰!?

154:薫:2012/11/04(日) 16:35 ID:DIA


茜>さあ誰でしょう( -ω-)

宣伝((
魔法のiらんどの小説が完結しました
よかったら見て下さい♪
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155:薫:2012/11/06(火) 16:31 ID:SJ2

「…もしもし」

聞き慣れた声が耳を通る。
全身の力が抜けて、泣き崩れそうなほど嬉しくなった。
怖さで震えた手足は、携帯を強く握ることで安心できる。
上手くできないの呼吸を必死にして、震える唇を開く。

「こ…う、功」
「…鈴羽?」

声で気づいたのか、久々に功はあたしの名前を発した。
それがどうしようもないくらい嬉しい。

「助け、……て」
「何があったんだよ」
「がっ…こ…廃墟され…た」
「…おい、泣いてるのか?」

功は至って冷静。
あたしはただ怖くて、思い出しただけで息苦しくて。
浮気されたとはいえ、功は普通に接してくれる。
時々聞こえるため息は、聞こえないふりをして。
こんなあたしと、好きでもない奴と話したいなんてこれっぽっちも思ってないはず。
いつだって、功にとってあたしは他人。
だからなかなか携帯を取り出せずにいたんだ。

「今どこにいる?」
「職員室の…前」
「じゃあ真っ直ぐ行って。出口あるから」

何処だなんて教えてもいない。
功はすぐに答えてくれた。
それに期待してしまう。

「じゃあ切るから」

え?
思わず動きを止める。
おさまってきた震えはまた始まった。

「助けて…くれな、い…の」
「一人でも大丈夫だろ?」

大丈夫。
だなんて言えない。
期待してた自分が馬鹿だ。
功はすぐ来てくれる、なんて勝手な期待して。
功にとってあたしは他人。彼女でも何でもない。
そんな奴、助ける?わけがない。
瞳にじわりと涙が浮かぶ。

「そうだね、ありがと…」

震える唇を強く噛み締める。
功はそのまま無言で電話を切った。

156:りり:2012/11/06(火) 16:32 ID:oag

(涙)

157:薫:2012/11/06(火) 16:57 ID:SJ2


りりさん>お久しぶりです!
     書いてて鈴羽が可哀想です…( ´Д ` )

158:りり:2012/11/06(火) 17:01 ID:oag

お久しぶりです〜!
DS とりあげられてて…w
小説上手すぎ…!

159:薫:2012/11/06(火) 18:03 ID:/QA

全てが真っ黒に思えた。
絶望でいっぱいになったあたしの世界。
もう誰も、あたしを助けてくれない。
真っ黒に満ちた瞳から液体が流れる。
誰か、誰かあたしを必要としてよ。

ただ悔しい。
ただ悲しい。
ただ憎い。

何であたしは、こんな人間なの?
何であたしは、恵まれてないの?

光が射した毎日は、一瞬にして閉じてしまった。
真っ黒に変わって、あたしは黒く汚れた。
こんなあたしを誰が愛す?

ボロボロの体をゆっくり動かす。
手足は震えてない。
その代わり思うように動かなくて、麻痺に近かった。

ポロポロ液体が流れて、廊下のところどころに水滴が落ちる。
苦しくて、悲しくて、悔しくて。
堪らなくおさえきれない溢れる感情。
この感情に名前をつけるとしたはらば、きっとそれは恨みになる。

微かに匂った煙草の香り。
鼻を刺激するきつい香水。
全てが頭に焼き付けられている。
一秒足りとも忘れられないあの状況。

大きくて暑い手とはうってかわって、黒く染まる冷たい瞳。
体が凍ったみたいに怖くて動かなくて、抵抗さえもいつしかやめてしまった。
耳に響く笑い声が何度もこだまして、心臓が苦しく締め付けられる。
怖い。怖い怖い怖い。
思い出したくない。

あたしにはもう、光が射すことがない。
そんな感じがした。

160:薫:2012/11/06(火) 18:05 ID:/QA


りりさん>上手い…上手い?(笑)
     ありがたいのですが、私にはまだ納得できないです…(笑)

161:クロ:2012/11/06(火) 19:49 ID:xxY

勝手に失礼します

評価・拝見・アドバイスのスレでは、URLが
「想い続けて。」になっていました

スレでは、永遠の片思いを審査してくださいと書いてあったのですが、どちらでしょうか?

162:薫:2012/11/06(火) 19:53 ID:/QA


クロさん>すみません間違えました…!
     ここの小説の審査をお願いします

163:美麗:2012/11/06(火) 20:01 ID:gTo

すごすぎですっ!(><)
表現がっ!
凄すぎて言葉がでなくなります・・・

文才ありすぎですよ〜
尊敬しますデス

164:薫:2012/11/06(火) 20:08 ID:/QA

取り合えず、進んでみる。
功の言った通り真っ直ぐ、真っ直ぐ。
暗闇の中、気の抜けたあたしが廊下を寂しく歩いた。
先程聞こえた物音も、風で窓が揺れたせい。
その前に、もうそんなこと気にもしてない。
頭が真っ白で、心が空っぽ。
でたらめに歩いたと言っても、嘘にはならない。

ふらふらとした危ない足取りで先を進んでいくと、光が差し込んでいた。
月の光だとすぐ分かる。
ああ、ようやく。
ようやく出られる。

少しスピードを上げて、あたしは出口に向かった。
早く、早く出なきゃ。
出なきゃ、出なきゃ、出なきゃ。
なぜか気持ちが焦る。
胸騒ぎがして堪らなかったからだ。

165:薫:2012/11/06(火) 20:09 ID:/QA


美麗さん>ありがとうございます…!
     とても嬉しいです!!
     こんな私を尊敬だなんて…
     嬉しい限りです(⊃д⊂)

166:薫:2012/11/06(火) 20:19 ID:/QA


ほんの少し走っただけなのに、呼吸が苦しくなった。
息を吸えば吸おうとするほど苦しくて、息が詰まるような感覚が襲う。
早く…出なきゃ。

ドアを開ければ広がる世界。
暗くて寂しい。
でも、あたしの心の方が…真っ暗。
何だか虚しくなる。

空を見上げれば月があって、何十分か前に起こったことを思い出す。
鳥肌がたって、息が苦しくなって、どっと悲しみが押し寄せる。
気づけばポロポロ涙を溢して、どこかも分からない町をひたすら歩く。

帰りたい。帰りたいよ。
ここはどこ?
どこに行けばいいの?
不安があたしを押し潰す。

その時微かに足音が響いた。
足を止めても止まらない足音は、あたしのものではない。
じゃあ、誰?誰なの?

恐怖が背筋を凍らせる。
また、あの男たちだったら?

そう思うと、立っていられなくなるほど足が震えた。

167:クロ:2012/11/06(火) 20:27 ID:xxY

読ませて頂きました

まず、評価です
100点満点中、97点です
この文才、私も欲しいです

拝見させて頂いて、「詳しく書いてあってとても分かりやすい」そう思いました
私は、薫さんの小説を見て小説を書き始めたので師匠と言ってもいい程です
これからも、応援しています

最後は、アドバイスです
薫さんは、とても上手くてアドバイスをする事がないです

しかし、1つだけあります
悪魔でも私の言う事なので、気にしなくても良いです

1つは、あまり台詞がないことです
細かい事ということは分かっているのですが、これだけを言わしてもらいたかったです

最低でも、一話の文章の中に、1つくらい入れたほうが良いです
上から目線ですいません

でも、私は薫さんのファンなので心から応援します

以上です
辛口コメ、すみません
そして、長分すみません

168:薫:2012/11/06(火) 20:32 ID:/QA


クロさん>そこまで点数をもらえるとは…驚きです
     一つ言わせてもらいます、すみません。
     台詞ですが、必ず書かなければいけないと言うわけではありません。
     小説を見れば分かります。
     ずらっと字だけで一ページが埋まってるものもあります。
     寧ろ台詞は少ないほうが良いはずです
     
     すみません、偉そうに
     審査ありがとうございます

169:クロ:2012/11/06(火) 20:37 ID:xxY

薫さん>そうですか
私こそ有難うございます

とても勉強になります
これからも応援していますので、頑張ってくださいね!

170:美麗:2012/11/06(火) 20:39 ID:gTo

薫さん>>
うわっ!小説が輝いています・・・

もしも、学校の授業で小説を書くとなったら
もの凄いでしょうね・・・
皆が騒いで薫さんを「すごい・・・」とか「天才」
とか言いそうです

171:x:2012/11/06(火) 20:49 ID:cnc

いきなりすみません(><;)
あの、薫さん
その文才だったら皆に
評価とかアドバイスとか
できるんじゃないでしょうか?
もし、良かったら検討してくださいね

私、薫さんにそんなこと言われたら
嬉しすぎますって!♪(`∀`)♪
いきなり、すみませんでした(>_<;)
では、失礼しました。

172:薫:2012/11/07(水) 16:53 ID:/QA


クロさん>すみません、審査してもらったのに。
     逆に私が言ってしまって;
     そういうことを踏まえてでの点数は…0点d((ry

美麗>輝いてるだなんて…嬉しいです!
   天才じゃないですよ。ただのバカです。

xさん>文才なんてないです、ないです
   評価とかは苦手ですのん;
   その前に私があれこれ言えるような小説は書けてませんので(笑)
   言ってくれただけで嬉しいです。ありがとうございます。

173:薫:2012/11/07(水) 16:57 ID:/QA


こつ、こつ、こつ、と足音は近づく。
気づけば耳を塞いでいた。
怖さで立っていられなくなり、しかも呼吸が苦しい。

その時こつんと音がして、足音は聞こえなくなった。
心臓が大きく跳ねる。
体が震えていることに、自分でも気づいた。

止まった足音。
そっと目を開ければ、月の光を遮る影。
誰か…いる。

それだけは気づいた。
でも相手は何も発しないし、触れたりもしない。
あたしはただ震えるだけで。
あの男たちが、と思うと、蘇る記憶が頭を締め付ける。

「…山田さん?」

頭上から響く綺麗な声。
あたしは目を見開いた。

174:薫:2012/11/07(水) 17:07 ID:/QA

声からして、呼び方からして、あの男たちではない。
安心したら力が抜けて、倒れそうになるところを、誰かは支える。

「ちょ…大丈夫?」

声がする方を見れば、真っ白い肌。
ブラウンの瞳があたしを心配そうに見つめていた。
この人…見たことある。

「………大丈夫です」

小さく言えば、あたしを支える男は安心したような表情を見せる。
この人は、あたしと同じクラスの人。

神谷燐(かみや りん)は、クラスでも人気がある。
いつも友達が周りにいて、女の子にはよくモテる。
綺麗な顔立ちが色んな女子を惹き付けて、他の男子の憧れ。

でも、皆と同じように、あたしに話しかけることはない。
優しいと言われてる彼は、一度も独りぼっちのあたしに話しかけようとはしなかった。
優しくなんて…ないじゃない。

そのはずなのに、何で話しかけて来てるわけ?
あたしなんてどうでもいいはず。
…偽りの優しさしかないなら、ほっといてよ。

「こんなところで何を」
「何もしてない」
「でも、震えてる」

ぎゅっと彼は手に触れる。
暖かい、あたしが求めていた暖かさ。
振り払おうとしない自分が憎い。

「…偽りなんて、いらない」
「偽り?」

彼は真剣な顔で首を傾げる。

175:りり:2012/11/07(水) 20:18 ID:oag

お……面白い……!!!

176:ARISA:2012/11/07(水) 21:59 ID:k2k

おお、遅れてすまぁーーーーん

私のフレコはこれだぁぁぁっっっっ

『2836ー0859ー2223』

よろぴく(´_ゝ`)∂"
(/・_・)/

177:茜:2012/11/08(木) 06:38 ID:ZV2

うぅ…

薫>偽りって思うのもしょうがないのかもね…

ARISAさん>凄くいきなりですが、私ともフレになってくれませんか?

178:陽実 ◆NLsI:2012/11/08(木) 16:08 ID:ako

…薫、助けて。

179:ARISA:2012/11/08(木) 16:51 ID:k2k

茜さん>是非是非!!!!!
    (・д・)/フレコは↑↑↑(176)のとおりっす。

陽実>薫じゃないけど……
どしたの??????

180:薫:2012/11/08(木) 16:56 ID:/QA


りりさん>ありがとうございます!

ARISA>登録しとくね。

陽実>どした?

181:薫:2012/11/08(木) 17:02 ID:/QA

上げていた顔を再び下げる。
長い前髪からこっそり瞳を覗かせれば、ぎゅっと顔が歪んだ彼。
見たくなくて、すぐに視線を落とす。

「偽りって?」

想像してた言葉が発される。
反応無しのあたしの背中に、彼はそっと触れた。

「っ…」

ぞっと背筋が凍る。
男の人に触られただけで、体が拒否反応を起こした。
怖い。怖い、怖い。
あたしと違って、大きい男の人の手。
記憶が蘇る。
あたしの頭は締め付けられた。

「離してっ」
「え?」
「触らないでっ…」

涙声で訴えるあたしに、彼はそっと手を離す。

182:陽実 ◆NLsI:2012/11/08(木) 17:02 ID:zlA

>>179
魔法のiらんどのこと…。

>>180
iらんどのホームページを、薫とか聖南様みたいにしたかったんだけど…。
文字とかの色とか形とかを変える方法がわからないというか…。

183:薫:2012/11/08(木) 17:27 ID:/QA


陽実>なんて言えばいいんだろう…
   上手く説明できないな〜…

184:りり:2012/11/08(木) 17:42 ID:oag

う〜ん、
ああ!分かりましたっ!
そうか!
ユッピンさんはただのめっちゃすごい天才だったんですねe((殴蹴殺

185:ARISA:2012/11/08(木) 18:07 ID:k2k

そいえば、薫って、3DSなのに、
ホームページとか書けるの?

186:薫:2012/11/08(木) 19:07 ID:/QA


りりさん>天才なんかじゃないです(ry
     ただのバカと言ってくださいよぉ

ARISA>うん。見れる。



雑談(?)stop!

187:薫:2012/11/08(木) 19:39 ID:/QA


再び発症する異常なほどの震え。
冷えたあたしの掌を、神谷燐は心配そうに見つめていた。

優しさなんて、要らない。
同情も、暖かさも、もう要らない。

あたしに構わないで。
あたしを見ないで。

あんなに求めていた暖かさ。今はもう欲しくもない。
怖くて、皆の目が、あたしの扱いが、全てが恐ろしい。
震えが止まらないのは、きっとそのせい。

ああなる、こうなる。ああ言われる、こう言われる。
想像すればするほど、頭は締め付けられ怖くなる。
皆が必要としてないんだ。
何人かの人が優しくしてくれたって、余計苦しいだけ。泣きたくなるだけ。

この辛い世界から、救い出そうとしないで。
ほっといて。見て見ぬふりでいい。

ほくそ笑んでればいい。冷たい瞳を突きつければいい。
望んでもいないのに、優しさなんて与えないで。

苦しくて、悲しくて、あたしは独りだって思い知らされる時が、怖くなるから。

188:薫:2012/11/08(木) 20:42 ID:/QA


「山田さん?…えっと」

神谷燐は、額に汗を浮かべ戸惑う。
あたしは何も言わなかった。

「もう暗いし、家に帰った方がいいよ。送る?」
「…いらない」
「え?」
「そんなの、いらないっ…」

完全に恐怖を覚えてしまう。顔が歪んで、目を開けているのに辺りは真っ暗に見えて。
神谷燐の顔が極悪な…あたしを汚した、あの男たちの顔と重なる。

でも、見れば分かる。この人は悪い人じゃない。
そんなのとっくに気づいているんだ。

ただ、怖くて。ただ、苦しくて。

またあの体験をしたくなくて、男の人に対して感じることは、“恐怖”。

全ては、先程起こった出来事のせい。
全ては、あんなことをした男たちのせい。

情けないほどに体が震えて、立ち上がれない。立ち上がる気力さえ出したくもない。

「山田さん?山田さん!!」

神谷燐…この人は良い人なのかな。
暖かさを、優しさをくれる人なのかな。

そう思うと、近づいてほしくない。

ここであたしの意識は途切れるように、真っ黒に染まった。

189:薫:2012/11/09(金) 17:15 ID:67o






…暖かい。
求めていない温もりを感じた。

目蓋を上げる。

「ここ…どこ?」

周りを見渡す。
神谷燐の匂いがして、暖かなベッドにいた。

「あ…大丈夫!?」

目を覚ましたあたしに、神谷燐は声を上げる。
ゆっくり頷けば、ほっと安心して。
あたしなんか、心配しなくていいのに。

もう一度、ゆっくり周りを見る。
青い家具や黒い家具。男物の生活用品もあった。

あたしの部屋ではない。それだけは確か。
じゃあここは…どこ?

「ごめん…勝手に」
「…?」
「あ…分からない?俺の部屋だよ」

神谷燐の部屋。
言い方を変えれば、男の…部屋。

記憶が蘇り、ゾッと背筋が凍る。
震えは再び発症した。

190:薫:2012/11/09(金) 22:09 ID:67o


「っは…はぁ…っ」

息をしようとすればするほど、呼吸は乱れていく。
どうしていいか分からない。神谷燐はあたふたしていて、どうしようもできない。
苦しい…苦しい。
過呼吸…って、聞いたこと、ある。

必死に空気を吸おうとする。
徐々に離れていく空気に、恐ろしさを感じた。

背中を伝う大量の汗。
上手く空気の吸えない肺。
閉ざされた真っ暗な心。

そして、男の人に対する尋常じゃないほどの怯え。

全てが一斉にあたしを襲う。
混乱した頭をどうすればいいかも分からない。

ただ慌てる神谷燐とは違って、苦しいのに冷静な自分。
次第に空気は、あたしから離れる。

「はぁ……はぁ…」

苦しくて、悲しくて。
息ができないほどに、あたしの生活はめちゃくちゃになった。

191:クロ:2012/11/10(土) 08:11 ID:xxY

再審査です

まず、評価です
100点満点中、文句なしの100点です
物凄く憧れます

拝見させて頂き、「分かりやすくて憧れる」そう思いました
これからも頑張ってください

アドバイス…はないです
すみません。本当に

とても面白くて何も言うことがありません
もう、様を付けたいほどです
こんな、私ですが常連になってもよろしいでしょうか…?

なれたら、幸いです

審査、終了です
これからも頑張ってください

長文、失礼しました

192:薫:2012/11/10(土) 08:17 ID:67o


クロさん>あ、あ、ありがとうございます!
     様をつけたいほど!?いや、私はただのバカでしてorz
     そんなことを言ってくれると嬉しいです…っ
     常連、全然OKです!
     これからも見てくれると感動ですっ!!

193:薫:2012/11/10(土) 08:18 ID:67o

追記
まだ小学生の文才なしが、こんな点数をもらえて嬉しいです。

194:薫:2012/11/10(土) 08:48 ID:67o


自然と涙が落ちてくる。
せっかくの綺麗な布団に雫が落ちて、染みができた。

香ってくる神谷燐の匂い。
香水か何か…爽やかな優しい香り。

そんな優しい人に、あたしは何を怯えているの?

あんなことするのは、あの男たちだけ。
大丈夫、大丈夫。この人は…優しい、はずだから。

でも、何度も言い聞かせる度に、涙の量は増えて。
胸がきつくきつく締め付けられて、呼吸はもっとしづらくなる。

「か…えりま、す」

帰ります。
はっきり言ったつもりなのに、苦しい呼吸のせいで途切れ途切れ。
でも通じたみたいで、立ち上がるあたしの肩を神谷燐はおさえる。

また背筋が凍るように固まって、汗が流れてくる。

拳を強く握り、振り払いたい気持ちを必死におさえた。

195:薫:2012/11/10(土) 09:00 ID:67o


「座ってなよ。まだふらふらして…」
「ほっとい…て、ください」

ぎゅっと強く目を瞑り、勢いよく肩を掴む神谷燐の手を払う。

最初は驚いたように、でもだんだん顔は歪んでいく。
傷つけた、なんてことすぐ気づいた。

でも胸が痛くなったりなんてしない。
勝手なこと…してくる、から。
あたしに優しさを与えようとするから。

この人が、この人が悪いんだよ。

「神谷燐…貴方は、」
「え?」
「どうしてあたしに構うわけ…」

ゆっくり涙は頬を伝う。

本来優しさをくれたら嬉しいはずなのに、今は苦しくてたまらない。

あたしなんかに構わないで。
あたしなんかに優しくしないで。

はっきり言えない自分がいるから、頭が締め付けられて、痛い。

本当は、欲しくて。
本当は、温もりが欲しくて。

でも、あたしは要らない存在だから。
あたしが存在することを誰も望んでいないから。

素直に、そう叫べないんだ。

196:りり:2012/11/10(土) 09:56 ID:oag

天才はこの世に存在するんだ!!w

197:陽実 ◆NLsI:2012/11/10(土) 10:00 ID:lsk

>>196
薫は天才ですよねっ

198:薫:2012/11/10(土) 10:08 ID:67o


りりさん>存在すると思いますが、私ではありません!!w

陽実>天才じゃない!!w

199:薫:2012/11/10(土) 10:18 ID:67o


とにかく、自分の家に行かなきゃ。

震える足を必死に起こし、危ない足取りであたしは部屋を出て行こうとする。
それを神谷燐が、止めようとする。

もう触れられることはなかった。
それだけで、安心して。
あたし…最低だ。

「危ないから、送るよ…ほら、支えるから」

神谷燐がジリジリと近づく。
相手は普通の顔で、でもあたしは完全に怯えた顔。

怖くて、先程の出来事のせいで、目も合わせることが苦痛になった。
ましてや、関わりのないクラスメイトの部屋。
苦痛以外の感情は、何一つ生まれない。

普段は皆と同じような冷たい目。
冷たい目から助けようなんてこともされたことはない。
何があっても何も言われない。

神谷燐は、クラスの皆と一緒にあたしに冷たい目を突きつける。

それなのに、今頃優しさを見せつけようなんて、受け入れられない。

偽りのくせに。
本当はどうでもいいくせに。

正義のヒーローぶって、あたしに構ったりなんてしないでよ。
迷惑、なんだよ。

200:薫:2012/11/10(土) 10:19 ID:67o

200!
ここまで応援ありがとうございますっ!

201:陽実 ◆NLsI:2012/11/10(土) 10:19 ID:lsk

>>198
薫が転載じゃなかったら誰が天才なんですか?
え?ん?行ってみなされ。

202:陽実 ◆NLsI:2012/11/10(土) 10:20 ID:lsk

>>200
おめでとーっ♪

203:薫:2012/11/10(土) 10:31 ID:67o


無視して通り過ぎよう。
そうしないと、もっと苦しくなる。

拳を握り、あたしは階段をかけ下りた。

どこが玄関なのか…よくわからない。
後に聞こえたのは神谷燐の声。
追いかけて来ることはなかった。

結局は、あたしなんてどうでもいいと思ってる。
偽りだって知れて…よかったよ。

長い廊下を進む。
結構広くて豪華で、遠慮がちに歩いてしまう。

でもだんだんスピードを速め、荒れる息で必死に空気を吸いながら、目の前の玄関に手をかける。

ガチャリと玄関は呆気なく開いた。

その時、心が空っぽに、中身が取られたような虚しさが溢れる。

「…っ、ふ…」

真っ暗な夜道。
早く、早く帰らなきゃ。

震える手足を必死に動かした。

地面に落ちるのは、暖かな液体で。

204:薫:2012/11/10(土) 10:32 ID:67o


陽実>色々と誤字がww
   私は天才じゃないよ…
   そこら辺の人より下手くそだし…(笑)
   ありがとう!

205:薫:2012/11/10(土) 10:48 ID:67o

違う。
違う違う違う。

迷惑なんて、思ってない。
ただ、嬉しいって素直に言えないだけ。

学校ではどんなに冷たくても、生活上で優しくしてくれるなら嬉しい。

ただ、優しくしてくれる人を
ただ、温もりをくれる人を

信じたい、と思ってしまう。

「あたし…何で、あんなこと」

大量に液体が流れ落ちる。
制服のリボンに、スカートに、液体が落ちる。

泣き腫らした目に、すうすう吹く風が冷たかった。

あんなこと、言わなかったら
あんなこと、しなかったら

神谷燐は、隣にいてくれた。
神谷燐は、話してくれた。

そう感じてしまう。

信じてないふりをして、冷たい瞳を突きつける人のことも信じてる。
あたしに対する行動に、いちいち期待してる。

明日なら、明後日なら、明明後日なら、

優しくしてくれる?
温もりをくれる?

そう考えるあたしは、強いふりした弱い者。

206:りり:2012/11/10(土) 10:49 ID:oag

>>197
ですよねっ!

207:クロ:2012/11/10(土) 11:01 ID:xxY

て、天才…です
私の何百倍、文才がありますね

もう、本当に尊敬します

208:陽実 ◆NLsI:2012/11/10(土) 11:09 ID:dTs

>>薫
ご、誤字には突っ込むなw
天才だよww
……薫が下手くそだったら私はどーなるんですか!
薫の0,000000000001倍しか文才のない私は!!

209:薫:2012/11/10(土) 11:22 ID:67o


りりさん>そんなわけないですよ( ´Д `;)

クロさん>天才なんかじゃないです…!
     クロさんの文才も凄いですよ!私こそ尊敬しますっ

陽実>天才じゃないよww
   陽実は神でしょ♥

210:薫:2012/11/10(土) 11:30 ID:67o

雑談stop——

211:薫:2012/11/10(土) 11:46 ID:67o




気づけば、家の前に立っていた。
山田という表札は、大分汚れている。
台風や雨で剥がれた部分も。

そんなボロボロの表札でさえ、ちゃんと存在してる。
一生懸命そこに在る。

———あたしは?

あたしは、一生懸命生きようとしてない。
助かろうと這い上がったりしない。

最初から、分かってるように
今ここにある力を自ら手離してる。

努力もせずに、自分は傷ついたと泣いてばかりで、前に進もうともしない。

—あたしは弱い。
努力をしない。

それなのに、勝手に傷ついたようなふりして——最低だ。

あたしが、悪いのに。

212:薫:2012/11/10(土) 11:53 ID:67o


震える手で、ゆっくりドアノブを回す。

目を逸らしていた現実。
助けを求めるあたしは、自分でどうにかしようなんて考えてない。

ただ、手を差しのべてくれる人を待っているだけ。

ダメだな———自分。

「…ただいま」

返ってくるはずのない返事。
いや、返ってくる可能性はあった。
無視…無視されただけ。

———お父さんの靴は確かにある。

ドクンと心臓が跳ねる。
恐怖と不安。それが混ざり合う。

さっきのことを…話したら、お父さんはなんて言う?

どうでもいい?
お前が悪い?

それとも——悲しんでくれる?

ぎゅっと拳を握る。
一緒に顔も歪んだ。

真っ暗なリビングに足を踏み入れれば、人の気配がある。

———お父さん?

213:薫:2012/11/10(土) 15:13 ID:xac

お父さんの声は聞こえない。
もちろん音も。

気配はするのに、何かしている様子は全く感じられなかった。

「…お父さん?」

リビングに入る。
電気は消えていた。そんな真っ暗な部屋。お父さんがいるとは思えない。

でも、お酒の匂いはした。
鼻をつんざくきついお酒の匂い。

絶対にいる。
また電気もつけないで、飲んでる?

「お父さん…どこにいるの?」

反応はない。
電気のスイッチを探して、壁を触る。

あ、あった。

電気をつけようと、手に力を入れる。

———何故か嫌な予感がした。

214:美麗:2012/11/10(土) 17:00 ID:gTo

嫌な予感Σ(゚д゚lll)
なんか怖いですね・・・
あと、ドキドキしている自分が居るような?

お父さんが亡くなっているとか?
あるいは、殺されているとか?
どちらにせよ怖いですよね
私の予想ですけど・・・

続き気になります

215:薫:2012/11/10(土) 18:19 ID:67o


美麗さん>作者もドキドキしております。←
     感想ありがとうございます!
     お父さんは————
     …続きは後で(笑)

216:薫:2012/11/10(土) 19:53 ID:67o


電気がつく。
暗闇との差があり過ぎて、思わず目を閉じてしまう。
徐々になれてきた瞳を開けば、そこには確かにお父さんの姿。

得意のお酒もあった。
会社のバッグが無惨に投げ捨てられていて。

お父さんを見て、あたしの呼吸は再び苦しくなる。

「———…嘘」

信じたくなかった。
信じられなかった。

お父さんからあたしは虐待を受けている。
大好きだなんて幼い頃の感情はもう消えて、お父さんなんて…嫌い。そう呟いて涙を流した。

でも、心の奥では心配していて。
日に日にエスカレートしていく虐待。
心配するのは、自分自身ではなくお父さん。

まだ苦しい?まだ悲しい?
そう思うとどうすればいいのか分からなくて、どう向き合えばいいのか分からなくて。

ただ幸せに、ただ笑顔で過ごしてほしかった。
嫌いなんて言っておきながら、心では心配とお父さんに対する愛情で溢れていた。

そんなお父さんを心配し続けた毎日。
何も言えなかったお酒を飲み干す夜。

———今日は、何も言えない。

217:美麗:2012/11/10(土) 20:03 ID:gTo

いつも通りでお酒バンバか飲みやがって!
子供虐待して!

なんか・・・泣きたくなってきました(;_;)

218:薫:2012/11/10(土) 20:22 ID:67o


「お…と、さん」

声は確かに震えていた。
恐怖で視界がぐるりと一回転する。

これは…現実?
夢だなんておちにはならないの?

「お父さん!!!」

応答はなかった。
力は抜け、ぺたりとその場に座り込む。

やだ。やだ、やだ。

何で?
何であたしは、皆と同じ生活じゃないの?
何であたしは、恵まれてないの?



それからやっとのことで救急車を呼んだ。

あたしはパニックに陥っていて、救急隊員は何度も聞き返していた。
やがて救急車は、倒れていたお父さんとあたしを乗せて、至急病院に向かった。

219:薫:2012/11/10(土) 20:23 ID:67o


美麗>そそそ、それは、この下手くそな小説に感情移入をしてくれたと言うことですか!?

220:薫:2012/11/10(土) 20:36 ID:67o


サイレンが響いているのに、あたしの耳には何も聞こえない。
ただ絶望に満ちた暗い瞳が、お父さんを見つめてるだけだった。

救急隊員は、色々な機械をいじり、お父さんにも何度か触れた。
その光景を見ては体が震える。

———もしもこのまま、お父さんがいなくなったら?

不安だけが心にある。

ぼろぼろになって汚れた自分の体。
倒れて意識のないお父さん。
色んなことがいっぺんに起きて、状況が掴めない。

ごちゃごちゃになった頭は、誰一人支えてくれることのない現実が、ぐるぐる回る。
あたしは…どうしたらいい?

そう問いかけても、答えてくれる人はいない。
あたしは一人。愛してくれる人なんていない。

「も…やだ」

ポロポロと涙が流れる。
不安、絶望、苦しみ、悲しみ。
たくさんの感情が含まれていたと思う。

孤独を味わうことを恐れて、病院に着くまでの何分かは、涙で染まった。

221:美麗:2012/11/10(土) 21:10 ID:gTo

下手くそでは、ありません!
とてもお上手です(`・ω・´)キリッ
でも、感情移入は、しました!

222:薫:2012/11/10(土) 21:12 ID:67o

美麗さん>ありがとうございます(-^0^-)
     ええええ!こんな小説に感情移入…!?
     嬉しいというか…驚きというか…

223:薫:2012/11/10(土) 22:34 ID:67o




ガラガラガラ、と落ち着いた様子でお父さんは運ばれる。

何でこんなに呑気なの?
急いで、急いでよ。
それじゃなきゃ、お父さんが…

「こちらへどうぞ」

泣き腫らした目を声に向ければ、そこには看護師さんが立っていた。
ニコッと優しく笑う姿は、あたしと全然違って余裕。

「お父さんは———…!!」

優しく微笑む看護師に、あたしは飛び付くように身を乗り出した。
少し驚いた様子を見せた後、すぐに笑顔になる。

その笑顔に、安心感が得られた。

「大丈夫ですよ。取り合えず、先生のとこへどうぞ」

看護師さんの一言に、震えは少々止まった。
まだ少し不安もある。
でも、看護師さんを信じよう。

バクバクとうるさく響く心臓に安心を与えさせながら、看護師さんについて行く。
そのまま診察室へ入れられた。

224:薫:2012/11/11(日) 08:54 ID:67o

診察室に入れば、パソコンを目の前に優しい顔のおじいさん。
おじいさんは、あたしが入ってくるのを見たあと、看護師さんと同じ笑顔で笑う。

「ちょっとお酒を飲みすぎただけですので、心配ないですよ」

それを聞いた瞬間、体の力が抜ける。

お父さんは、無事だ。

225:薫:2012/11/11(日) 09:23 ID:67o


そうホッとしたのも束の間。
おじいさんは少しだけ顔を歪める。
しわくちゃの顔がもっとしわくちゃになって、あたしに近づく。

「肝臓病…になる可能性があります」
「…え?」

聞き取れなくてもう一度耳を傾ければ、

「今は異常なしです。ですが———これ以上アルコールを取りすぎると、肝臓病の恐れがあります」

肝臓…病?

聞いたことはある。
どんな病気かは、よく分からない。

お父さんは大丈夫なの?
肝臓病って何?

ただ身体が震えるだけ。
そんなあたしにおじいさんは笑顔を向ける。

明るくて、優しい笑顔。

「これからお酒は控えて下さいね。そうすれば、お父さんは無事です」

おじいさんの一言に、震えは止まった。
ほっと胸を撫で下ろす。

「良かった…」

226:美麗:2012/11/11(日) 09:37 ID:gTo

肝臓病Σ(゚д゚lll)
可哀想だよ〜、お父さん・・・
早くお酒やめないと・・・
でも、無事で良かった

227:薫:2012/11/11(日) 09:44 ID:67o


おじいさんはもう一度真剣な顔をする。

「肝臓病を予防するとして、食べ過ぎ・飲み過ぎ、アルコールは控えて下さい」

「…はい」

ゆっくり頷けば、元の笑顔に戻された。
話を終えると診察室から出る。

どこに行けばいいの?
お父さんは——…どこだろう?

病院内をうろついていると、一人の看護師さんに肩を叩かれる。
振り返ればさっきの看護師さんで、柔らかい笑顔に安心した。

「検査のため一日入院をしますので、用意をお願いできますか?」
「入…院」
「心配しなくても大丈夫ですよ。既に無事なことは確認されています」
「目は…覚めましたか?」
「あ、はい。病室にも案内しますね」

看護師さんはふっと笑う。
目が覚めたと聞いて、ジッとしていられないあたしに冷静に話しかける。

「お父さん…山田彰一(しょういち)さんって、隣町の…」

隣町は、あたしが住んでいる地域。
病院は自宅から少し離れた隣町にある。
隣町だからさすがに知らないだろうと思っていたけれど、噂は広まっていた。
お父さんが暴れて、皆に迷惑をかけたあの日。
あの日から、あたしの学校生活も崩壊していったんだっけ…

「…はい」

看護師さんも、冷たい目で見るかな。
優しくしてくれた数分前のことは、かき消されてしまう?

そう思うと、怖くて怖くて。

228:薫:2012/11/11(日) 09:47 ID:67o


美麗さん>感想ありがとうございます!
     アルコールが原因で、なる恐れのある病気をずっと探してたんですよ——…(笑)

229:薫:2012/11/11(日) 14:55 ID:67o


目蓋を下げる。

もう、分かってるんだ。

「———傍に、いてあげてくださいね」

看護師さんはそう言った。

——何で?
冷たい目で、あたしを見るんじゃないの?
素っ気ない態度をとるんじゃないの?
どうして?

目蓋の裏が熱くなる。

「大丈夫…きっと希望は見えて来ますよ」

看護師さんは、さっきと同じ柔らかい笑顔を見せた。
涙腺が崩壊する。

今まで耐えてきた分も含めて、あたしは一筋の涙をこぼした。

お父さん。
お父さん、あのね。
あたしはお父さんに好かれたかっただけなんだ。
嫌われたくないんだ。

苦しむお父さんも
悲しむお父さんも

苦しみを一人で抱えるお父さんは、嫌いじゃないよ。

一人で耐えて
あたしの前では絶対に泣かないで

そんなお父さんが、大切で大切で仕方ない。

でも、頼っていいんだよ。

あたしじゃ頼りない。
あたしじゃ支えきれない。
でも、大切な人を失う気持ちは分かる。
あたしだって、お母さんが出ていって、すごく辛かった。

そのせいで笑顔も失った。

今日は、先輩がくれた希望を閉ざすようなことがあった。

あたしだって苦しい。
あたしだって悲しい。

でも、泣いちゃダメなんだ。これ以上泣いちゃダメなんだ。

一緒に、抱え込もうよ。
ねえ、お父さん。

そして、あたしと一緒に未来を…歩もうよ。

230:薫:2012/11/11(日) 19:10 ID:67o



涙が止まった後は、お父さんの病室へと案内された。
連れて来られた病室前には、「山田彰一様」と小さく書かれてあった。

「山田彰一」———その名前を見るだけで、聞くだけで胸が痛くなる。

あたしの生活を壊した名前。
あたしを苦しめた名前。
そして憎いほどな生活を見て、憎めない名前。

憎むなんてできない。
お父さんのせいじゃない。
あたしの…あたしの問題だよ。
お父さんのせいなんかにしちゃダメだ。

病室前に立ったまま、あたしの頬にまた涙が伝った。
入ったら、なんて言われる?
お父さんは———どんな顔をする?

不安と緊張で大きく鳴り響く心臓。
そんなあたしの震える手を看護師さんは片手で包み込む。
暖かくて、柔らかくて。不安を吸いとってくれるようで。

「——大丈夫。ちゃんと…向き合って」

看護師さんのその一言で涙は止まる。
本当はまだ苦しかったけど、強い眼差しが「泣くな」って言ってるようで。

あたしは前に進もうと決めたんだ。

231:薫:2012/11/12(月) 17:02 ID:67o

上げます

232:美麗:2012/11/12(月) 18:11 ID:gTo

(T . T)
うわ〜ん
大泣きしてしまいます!

しかも、続き気になって今日は寝れなさそうです

233:薫:2012/11/12(月) 18:32 ID:67o

美麗さん>私は嬉しくて泣きそうです←
     続きは少々お待ちください…

234:薫:2012/11/12(月) 18:48 ID:67o


ゆっくり病室に入る。
お父さんは戸に背を向けていて、顔が見えない。
でもピクリと身体が動いたから、あたしが来たと気づいたんだと思う。
心臓はどんどん加速する。

「———お父さん?」

恐る恐る声をかけてみる。
返事はない。
思ってた通りだから、悲しくはなかった。
無視されるって、分かってたから。

あたしは静かに病室にある椅子に座る。
同室の人はいなくて、お父さんと話すことは誰にも聞かれずに済む。
でも、お父さんが話してくれなきゃ意味がない。

思いきってもう一度、息を吸う。

「調子は———…どう?平気?」

加速する心臓とは逆に、真剣な顔を保ち口を開いた。
お父さんは———…

「…何の用だ」

返事はしてくれたものの、低い声は冷えていた。
素っ気ない返事と背を向けたままのお父さんとの間は、壁を感じた。

235:美麗:2012/11/12(月) 18:54 ID:gTo

壁!?(°д°)ポカーン
悲しい・・・
また、思わず涙が(ii)

心が締め付けられる・・・

236:薫:2012/11/12(月) 19:13 ID:67o


ぐっと拳を握る。
ダメ、弱気になっちゃダメ。
こんな返事をもらうことを覚悟して、話しかけたんだ。
あたしは、変わろうとして話しかけたんだ。

簡単に…諦めたくない。

「お父さん、あのね」

下げていた顔を上げて、明るい声を出す。
お父さんはまだ背を向けて、返事はしない。
構わずあたしは口を開こうとする。

なのに、思い出せば苦しくて、涙が出てきそうで。
でも、言わなきゃ前に進めない。
あたしはちゃんと進みたい。

話す前から涙ぐんだ目を擦ると、あたしは背を向けるお父さんに笑いかける。
その笑顔に、お父さんは気づいていないだろう。



「———あたし、レイプされたの」



言えばすぐに涙が頬を伝った。

237:薫:2012/11/13(火) 15:50 ID:sLA


口に出すだけで、蘇る感覚。
冷えた手があたしの手を強く掴んで、真っ赤になるまで殴られた。
赤くなった頬は、痛いというよりじわっと熱くなるような感じで。
余計に心に響いて、光を侵食していく。

涙を拭った後、ぼやける視界をぐっとこらせば、お父さんはこっちを見ていた。
嘘だろうなんて言いそうな顔で、でも目を見開いて驚いている。

「怖かった…何度も殴られて、体触られて」

ポロポロと流れる涙は、拭ってもどんどん溢れ出る。
お父さんは難しい顔をして、でも話は聞いてくれてる。
ふっと息を吸えば、ピクリとお父さんの肩は驚くように動く。

「———見えてきた希望は、失ったよ」

泣いたまま、あたしは無理に笑った。
きっと、引きつってるんだろうな。

238:薫:2012/11/13(火) 16:50 ID:sLA


お父さん。
どう言えばあたしを抱き締めてくれる?
どう言えばあたしを大事にしようとしてくれる?

あたしはただお父さんに好かれたい。必要とされたい。
それだけなんだよ。

お父さんを見れば、曇った顔つきで俯いてて。
あたしの流す涙には、わざと視線を向けないようにしているみたいだった。

「いつ…その、あったんだ」

口を開いたと思えば、その一言。

『怖かっただろ』
『俺がお前を大事にしなかったから』
『ごめんな』

その言葉をあたしは期待していたんだと思う。
それをもらえなかっただけで、あたしの涙の量は増えた。
そんなこと、お父さんは全然気づいていないけど。

「…さっき。遅くなったから、近道しようと思って…通学路を無視して」
「じゃあ今、お前は」

遮るようにお父さんはあたしを見つめる。
少し期待してた。あたしの欲しい言葉をお父さんはくれるんじゃないかって。

———そんな甘い考え、何で持ったんだろう。

「通学路をちゃんと守っていれば良かった話だ」

あたしを突き離した一言。
元々裂かれていた心は、もっと崩壊していく。

239:薫:2012/11/13(火) 18:04 ID:5Vc


「……んで、なんで」

お父さんの瞳に映るあたしの目からは、暖かいものが噴き出ていた。
あたしが泣いてるのにも関わらず、お父さんは再び背を向けた。

貴方の子供でしょ?
貴方が育てたんでしょ?

何で、何で。
あたしを必要としてよ———…



そのまま無言で病室を出た。
あたしを呼び止めるお父さんの声も行動も、何もない。

「っ……ふ…」

外に出てすぐ、あたしはその場で泣き崩れた。
必要としてもらいたかった。
心配してもらいたかった。
何で、いつもこうなの?
あたし——要らない存在なの?



生きる価値もない人間が
生きたいと思うのは
おかしいことなのかな?

240:美麗:2012/11/13(火) 20:03 ID:gTo

可哀想・・・(T . T)

全然おかしくないよ!
生きる価値もないって全然あるのに・・・

241:薫:2012/11/13(火) 20:50 ID:5Vc

美麗さん>ですよね…
     この小説では、命の大切さをよく分かってもらえたら嬉しいです。    
     感想ありがとうございます。

242:美麗:2012/11/13(火) 21:49 ID:gTo

命の大切さですか・・・思いっきり伝わってきます!
泣きたくなるような、虚しさ、悲しさ等感動系がすごく伝わってきます

感想有難うございますって当たり前じゃないですか!?
こんな綺麗で美しい小説に・・・

続きがすごく気になります

243:麻衣 1216:2012/11/13(火) 22:51 ID:8Sc

想い続けて。のほうも更新していただけないでしょうか?
わがままいってすいません。

【感想】皆さんの言っているように、命の大切さがすごくつたわってきます
読みながら涙が出てきました。
素晴らしい小説ですね。

244:薫:2012/11/14(水) 07:44 ID:5Vc



————

——…


目を覚ませば、朝日が目元を照らしていた。
目を瞑りづらかった理由はこれか…

重い体を起こし、ふと鏡を見れば頬の上に涙の跡がある。
昨日、それだけ泣いたということだ。

思い出すだけで苦しい。
思い出すだけで泣きたい。

学校で泣いてしまわないかと心配だ。

「——…行くしかないのかな」

気づけば呟いてしまう。

今日も、生き地獄の始まり——なのだろうか。

245:薫:2012/11/14(水) 07:47 ID:5Vc

美麗さん>ありがとうございます…!
     命の大切さは、これからのお話でもっと知ってもらいたいなと思ってます。
     そして、綺麗で素晴らしいなんて言ってくれて、本当に嬉しいです!   

麻衣さん>更新しました!
     すみません、更新してなくて…
     涙ですか…!?
     このようなグダグダ小説を見て、涙だなんて…!
     嬉しい限りです…ありがとうございます!

246:薫:2012/11/14(水) 16:08 ID:8Xo


そう思えばため息は自然と出てくる。

…やだな。行きたくない。

目を閉じれば昨日のこと——レイプという名の闇が襲う。
そして、お父さんの態度。

暴力を振るうお父さんとは違って、病院ではすごく弱っていた。
口数も少なくて、動きも少なくて。
暴力を振るわれることよりも、お父さんとの会話で冷たくされる方が痛かった。

お父さんは今日家に帰ってくる。
検査の結果は良ければいいけど。
学校帰りは、迎えに行かなきゃ。

「…大変だな」

隠してるふりして、体はまだ強ばってる。
深く深く思い出して、震えが止まらなくなる。

———あたし、生まれなければよかったのにな。

247:りり:2012/11/14(水) 16:19 ID:oag

すごい……ここまで小説にはまったのは…はじめてです…!!

248:薫:2012/11/14(水) 16:20 ID:8Xo


りりさん>マジですか…!!!
     ありがとうございます…!!!!!!!!

249:薫:2012/11/14(水) 16:25 ID:8Xo



————…


いつもと同じく騒がしい教室。
廊下にまで響く笑い声に、ただ胸が痛くなる。

どうやっても、あたしは皆とこんな風になんてなれない。
そう思うと、悔しさと羨ましい気持ちでいっぱいになる。

今日もまた、視線を浴びるのが怖くて後ろの戸から教室に入る。
でも後ろの戸からでもやっぱり視線は寄せられた。

いつもと違う———?

「おはよう、山田さん」
「おはよう!!昨日はどうしたの?」
「ねえ、昨日のテレビ見た?」
「あ、おはよー」

何が起きてるか分からない。
ただ、目を見開くばかり。

馬鹿にされてる?これは夢?
それとも——本当?

でも、どうして急に?
やっぱり騙されてるのだろうか—…

250:薫:2012/11/15(木) 17:08 ID:8Xo

あげます

251:薫:2012/11/15(木) 19:22 ID:8Xo


ただ呆然と立ち尽くす。
皆の態度は明らかに違った。

冷たかった瞳の面影もない。
皆がクラスメイトに向ける瞳と同じものが、今あたしにも向けられている。

嘘だ。——こんなの信じない。

どうせ皆はあたしを嘲笑っている。
ドッキリでした、みたいなおちになるんだ。
そんなの最初から信じたくない。

でも、嫌というほどあたしに話しかける声は上がる。
消えてほしいほどの高い響きは、減るどころか増えていく。

耳を塞ぎたい衝動に襲われる。
やだ、やだ。やめて。
もう信じられない。信じたくない。



あたしに話しかけないで。



そう素直に言えない自分がいる。
どうしても抑えきれないんだ。



暗闇を抱える、寂しさを。

252:薫:2012/11/15(木) 20:52 ID:8Xo

皆一斉にあたしに駆け寄る。
登校してきた生徒が、どこかに行ってて教室に戻ってきた生徒が、全ての人があたしの元へ来る。

笑顔で。
明るい声を発して。
まるで親しい仲のように。
まるで当たり前かのように。

騙されてる。騙されてる騙されてる。
あたしはクラス全員に騙されてるんだ。
心の中で笑われてるんだ。
ここで信じちゃ——ダメだ。

でも「避けて」なんてなかなか言えなくて、人だかりは静まらない。
バッグは置けない。返事はできない。
でも仕切りに話しかけてくる生徒に恐怖心を抱く。

やめて、やめて。
何があったの?何をしたいの?
これ以上あたしに構わないで——…!!

ぎゅっと目を瞑れば、涙が浮かぶ。
皆は気づいていない。
拳を強く握っても、痛みなんて感じない。
心の方が余程痛い。

253:薫:2012/11/16(金) 17:37 ID:4UY

歪む視界に映る男。

———神谷燐。

彼だけはジッとあたしを真剣な瞳で見ている。
いつも周りにいる友達も、あたしの元に来ているというのに。

何で、この男は——こんな顔をするのだろう?

「……あ」

掠れた声はクラスの皆の騒ぎ声で消える。

功でさえも、あたしの周りに。
でも功は、功の目は冷たい。
あたしに真っ直ぐ向けられる冷ややかな目の下には、満面の笑みが浮かべられている。

怖い。怖い。悲しい。
何で、そんな目。何で、そんな顔。
冷たい目で見るくらいなら、あたしに近寄らないでよ。
あたしを見ないでよ。

余計苦しい。悲しい。

「———…分かんないよ」

次はチャイムに声は消される。
笑顔のまま席に着く、功と神谷燐以外の口元はいつまでも釣り上がっていた。

254:陽実 ◆NLsI:2012/11/16(金) 17:43 ID:WwQ

お邪魔します。
薫、iらんどのホームページ…。
やり方わからないんだけど、画像倉庫に画像入れる方法教えて…。

255:薫:2012/11/16(金) 19:18 ID:4UY

陽実>画像ファイルを選ぶ?みたいなのが左にあるよ。(画像倉庫内の)
   そこでアップロードしたい画像を選択して、アップロードするをクリック。
   そしたら画像が登録されるから、その画像の独自タグをコピーして、貼りたいとこに貼ればいいんだよ。
   ##P.20##…みたいなのね。

256:薫:2012/11/16(金) 19:22 ID:4UY


背筋が凍るかと思った。
冷たい背中に更に冷や汗が流れ、体温はぐんと下がる。

———笑顔。

笑顔、笑顔、笑顔。
浮かべられた笑みはあたしへのもの。

体の震えが止まらない。
怖い。
それなら無視される方が良いよ。

みんなどうしちゃったの?
ねえ、何があったの?
ねえ———功。

257:陽実 ◆NLsI:2012/11/16(金) 19:37 ID:WwQ

……ぬぬぬ?

258:陽実 ◆NLsI:2012/11/16(金) 19:49 ID:WwQ

ごめん、わかんないや…。

259:優愛。:2012/11/16(金) 21:53 ID:P6o

うぉ!?←
皆、何があったんだ!?
しかも功が怖い…

てかお父さん家に帰って来たら
鈴羽ちゃんの身が危ないのでは(´・ω・`)心配…

てかこの前ここに書き込めなかったよぉぉ!
何なんだ←

260:薫:2012/11/17(土) 11:52 ID:4UY

陽実>じゃあ、iらんどの質問板みたいので聞いてみるといいよー。

優愛。>感想ありがとう!
    やっぱりそこ気になるよね(´・ω・`)
    続きはもう少しお待ちを…

261:薫:2012/11/17(土) 13:01 ID:4UY


———…

昼休み。
あたしは逃げるように教室を離れた。

足は先輩と出逢った中庭へと向かっている。
今日もいないかもしれない。
いた時は、浮かない顔したあたしに絶対何か聞いてくる。

———と、あの日何で去ってしまったのか。

聞かれる。絶対に。
答えたら、なんて言うのかな。
先輩なら優しく笑ってくれる?
それとも———…


「鈴羽ちゃん」


気づけば、たくさんの木々が茂った中庭。
桜の散った木に、先輩は寄りかかっていた。

「先輩…先輩?」
「うん?」
「先輩…っ」
「…うん」
「ごめ…なさ…い」
「うん、大丈夫———…」

その時先輩は何かを言いかけて止めた。
でも泣きじゃくるあたしは聞くこともできなくて、それどころか気付きもしなかった。

会えた。会えた、会えた。
先輩に会えた。
必死に探したあの日、先輩は見つからなかった。
ずっと探してたよ。
ずっと会いたかったよ。
ねえ、何で胸が締め付けられるのかな。

先輩の胸に飛び込みたかった。

「う…うああ————…!!」

抑え込んできた気持ちが溢れ出す。
あたしは先輩に飛び付いた。
表情は分からないけど、先輩は背中を優しく撫でる。
そのせいでもっと涙は溢れた。

262:薫:2012/11/17(土) 13:13 ID:4UY


—————…

一時間はたったと思う。
とっくに5限目のチャイムは鳴った。
けど、先輩はあたしを引き離すことも、あたしは顔を上げることもしなかった。

とめどなく溢れる涙を先輩は受け止めてくれる。
強く強く先輩の背中を掴んで、幼い子供のように離さない。

まるでおもちゃを取られまいと泣いている子供だ。
あたしは、闇が怖くて優しさにすがってる。
必死に先輩にすがって、闇に落ちないようにしてる。





———ねえ、それが悪かったのかな。
———あたしが離さなかったから、先輩まで闇に落ちてしまったんだ。

263:薫:2012/11/17(土) 13:47 ID:4UY


「鈴羽ちゃん……何かあった?」
「…え?」
「浮かない顔してる。前のことなんて気にしてないよ?」
「……そうですね」

曖昧な返事を返す。
やっぱり先輩には気づかれてしまった。
蘇る記憶の中は、昨日の出来事しかない。

レイプ、お酒、涙———。

全てが真っ暗に染まった昨日。
先輩は見透かしたように真剣な顔であたしを見つめている。
嘘をつけばいい話なのに、先輩には本当のことを言った方がいいかもしれないと迷ってる。

単に優しさで溢れたい。
単に優しくしてもらいたい。

それだけ。
優しさが欲しいがために———結局は先輩を利用だ。

あたし、変わってないじゃん。

「っ……すみません…っ」

いつまでも泣くばかりの弱虫だ。

264:薫:2012/11/17(土) 13:57 ID:4UY




何度繰り返しただろう。
泣いてばかりの日々を。


本当は期待してて
あたしに手を差しのべてくれる人をずっと待ってて


差しのべてくれなかった時は
泣きじゃくって優しい先輩に助けを求めた。


ごめんなさい。
ごめんなさい、先輩。


全てはあたしが原因で
あたしがいなければ、先輩は今でも笑っていられたんだろうな。


地獄のような真っ暗闇に
先輩を引き込んだのは


あたしだ。

265:薫:2012/11/17(土) 15:15 ID:4UY


「ごめんなさい…」
「何が?」

至って先輩は冷静。
でも表情は見ないようにしよう。
気になって顔を上げた時、先輩の額には汗が浮かんでいた。
そして必死に耐えてるような歪んだ表情。
再び顔を下ろした時には、心臓は鳴り止まなかった。

先輩も何か抱え込んでる。
そんな気がしてならなかったからだ。

「あたしの…あたしの弱さが先輩を」
「ちょっと待って」

先輩は言葉を遮り、強くあたしの背中を掴む。
今まで優しく撫でてくれてたのに、力を入れてあたしを抱き締める。

優しいのか苦しいのか分かんないよ。

「弱さって何?鈴羽ちゃんは強いよ。噂も態度も酷い皆に対して、ずっと泣かなかったのは強いと思う。鈴羽ちゃんは、優しくて我慢強くて、暖かい人だよ」
「な…んですかそれぇ———」

体の水分がなくなるんじゃないかってほどに、再び涙を流した。

先輩は優しすぎる。暖かすぎる。

あたしはそんな良い人じゃないのに。
優しくも暖かくもない。
弱くて素っ気なくて冷たくて、最低な人間なのに。

先輩にとってそう見えてるのなら、この先友達ができなくても、真っ暗闇な未来でも構わない。

あたしが二番目に恋した"先輩"という名の人が、そんな風に優しく接してくれるなら。

266:優愛。:2012/11/17(土) 16:27 ID:P6o

先輩ぃぃぃぃぃ( ´ ; ω ; ` )
優しい…!

267:薫:2012/11/17(土) 16:29 ID:4UY

優愛。>先輩はとにかく優しいキャラ!
    私の一番のお気に入りは先輩かな(^ω^)←
    神谷燐は嫌i((←

268:優愛。:2012/11/17(土) 16:39 ID:P6o

薫>>まじか!うちも先輩が一番好きかなぁ(´∀`*
そうなんだ(笑
うちてきに功が嫌いだn((すみませんw

269:薫:2012/11/17(土) 16:49 ID:4UY


先輩に抱き締められることによって、暴れ出す心臓。
今まではこんなことなかったのにな。
意識した途端——頬まで赤くなるなんて。

「鈴羽ちゃん?」
「や…今見ないでもらえますか」
「え?」
「と、ところで授業は」
「ああ…大丈夫だよ」
「いくら成績優秀でも…というか成績優秀な人は余計サボっちゃダメですよ」
「成績優秀?僕が?…そんなわけないよ」
「そうですか?頭良さそうな顔してますけど」
「はは、それ顔だけじゃない?」

上から降ってくる笑い声に、顔はもっと赤くなる。
見られないようにと話を変えたのに…逆効果だ。

悔しい。恥ずかしい。
でも———悪くない。

風に乗って木々が揺れる。
頭に落ちる夏の葉っぱ。
顔を上げれば涙を流す先輩がいた。

「———…」

ただそれを見つめていた。
涙を拭おうともしない先輩の表情が切なすぎて、顔の熱なんてあっという間に冷めた。

———先輩も何か抱え込んでいる。
———先輩は優しすぎる。

何で、気づかなかったんだろう。
何で、聞かなかったんだろう。

きっとこの日から、全てが狂ってしまったんだ。

270:薫:2012/11/17(土) 16:51 ID:4UY


優愛。>電話時での功は嫌いだな。
    最低過ぎる…書いててイライラしちゃうの☆←
    優しい人にしたかったんだけどな…無理だ(・∀・)ww

271:陽実 ◆NLsI:2012/11/17(土) 16:55 ID:g/A

薫っ!
あのね、彼方にも頼んだんだけどね。
あたしのホームページ(iらんど)、あとひとりで訪問者600人だったの。
自分でとるの嫌だから、とってくれないかな。

彼方がとってくれてたら別だけど、お願いできないかな。

272:薫:2012/11/17(土) 17:27 ID:4UY


陽実>ちょうど取ったとこだった!!
   初のきり番 嬉しす♥

273:薫:2012/11/17(土) 17:48 ID:4UY

第3章





紅葉の季節。
あの大木はイチョウの木に変わった。

「鈴羽ちゃん」

いつも通り昼休みには、先輩との出逢い場所へと走る。
息を切らしてまで先輩に会いたくて、好きって気持ちは膨らむばかり。
初めて恋した浮気男の功とは違って、先輩は優しく暖かい人だった。

あれからお父さんは、お酒を止めた。
あたしが言う前に家にある全てのお酒が処分されていて。
ほっと胸を撫で下ろしたものの、お父さんとはまだ話せない。
真面目に仕事もしてるせいか、帰宅後はすぐに眠ってしまう。

食事はきっと外。
家で独り寂しく食べる日々は変わっていない。
ただ、変わったのは…お父さんからの暴力がなくなった。

やっぱり虐待に導いていたのはお酒だったのかもしれない。
新しい傷も今は作ることはない。

その代わりにお父さんと顔を合わせることはなくなった。

「鈴羽ちゃん?」
「はい?」
「どうしたの?」
「あ…ちょっと考え事を」

無理に口角を上げれば、先輩は頭を撫でてくれる。
きっとあの事を話しても先輩はそうしてくれるはずなのにな。

レイプのことも虐待されていたことも、少しでさえ先輩に話したことはない。
だから毎日必死に笑って、キャラを崩壊してまで仕切りに話し続けた。

それであたしは汚れた体を隠し続けてきた。

誰にも相談できないことは精神的にも辛くて、吐き気を催すことが多くなった。
独りと感じた時は、どうしようもないくらい涙が溢れて虚しくなる。

そんなあたしに光をくれたのは、やっぱり先輩で。
この優しさに何とか毎日を過ごしてきた。

274:陽実 ◆NLsI:2012/11/17(土) 17:59 ID:g/A

>>薫
ありがとっ♪

275:薫:2012/11/17(土) 22:30 ID:4UY


陽実>いえいえ(笑)

276:まー:2012/11/17(土) 23:04 ID:Ty.

小説見させて頂きました!
作者さん、小説本当に上手くて憧れます(´∀`;)
応援してます!

あ、それと…
私も小説書いてるのですが、
偶然主人公の名前(漢字)が被ってしまいました…。
悪意は無かったんですが…すみませんでした!!

277:薫:2012/11/18(日) 10:35 ID:4UY


———いつかはバレる。

そんなの分かってるよ。
何かのキッカケで、ひょっとしたら噂でも流れて、先輩の耳に入るかもしれない。
それを覚悟で隠してるんだ。
先輩とずっと一緒にいられる…なんて夢見ちゃダメ。
そう…思わなきゃダメなのに。

優しさを、温もりを、こんなあたしにいっぱいくれる先輩が好きで好きで。
一緒にいたくて、でもそれは無理で、そんなことで心を痛めてしまう。
ごめんなさい。ごめんなさい先輩。
こんなあたしが、わがままなんて言っていいわけない。
こんなあたしが、生きてていいわけなんてないのだから。

でもやっぱり、先輩が全てで

あたしの希望で、光で、未来で。

先輩がいなかったら、こんな感情知らなかった。
今頃あたしはここに存在してなかった。

全ては先輩が
先輩の存在が、あたしに生きる勇気を与えてくれる。

そんな人と離れることになるなんて、あたしは何をしてしまうか分からない。
先輩に軽蔑でもされたら永遠に立ち直れないよ。

「先輩…約束してくれますか?」

潤んだ瞳の自分が、先輩の目に映ってる。
わがままで、自分勝手な自分。

先輩の表情は、今まで以上に真剣で。
…どこか寂しげで。

「あたしから離れないで…」

涙を流せば先輩は、あたしを選ぶ?
あたしの近くにいてくれる?

いつまであたしは、先輩の気持ちを利用する気なのだろう。

278:薫:2012/11/18(日) 10:37 ID:4UY


まーさん>糞長い駄文で溢れている、こんな小説を読んでくれたのですか…!!    
     私が上手かったら、他の皆様は神以上ですよorz
     応援してくれるだなんて…光栄です…!
     
     偶然ってあるんですね!←
     全然気にしてませんよ!!
     あれだけの小説があったら、重なることはあるので!!

279:薫:2012/11/18(日) 18:03 ID:4UY


涙が頬を伝う。
きっとね、頑張って出した涙。
何度も強く瞬きしたり、ずっと目を開けて乾かしたり。
そこまで悲しくもなくて、涙が出なくて、でもそうしたら先輩は一緒にいてくれない気がした。

ごめんなさい。
謝る気はあるのに、利用をやめる気はない。
そんな最低なあたしが先輩といていいわけない。

でもね、先輩。
あたし先輩がいなきゃ何をするか分からない。
もがいてもがいて、暗闇から這い上がろうとするけど、弱くて落ちちゃう。
そんなあたしだから。
先輩、隣でいてくれるだけでいいの。笑ってくれるだけでいいの。

あたしのわがままを聞いてほしい。



「…ごめんね。ここに来るのは今日で最後にする」



ぽたぽたと、膝に雫がこぼれる。
目を見開き先輩を見れば、無理に口角を上げていた。
———何で?

「やだ、先輩、何で」
「ごめん…ごめんね」
「謝るなら傍にいてください…!」

何度叫んでも
何度泣いても
何度手を伸ばしても

先輩は、隣にいてくれない。
孤独という世界があたしを待っている。

分かっているはずだった。
一人でいる寂しさを、無視される悲しさを。

温もりなんて必要なかった。
優しさなんて必要なかった。

でもそれを先輩が引き出してしまった。

温もりが欲しいという衝動。
優しさが欲しいという衝動。

孤独が、怖いという感情。

抑え込んできた感情の蓋を開けたのは、先輩だよ。

どうして隣にいてくれないのですか?

「う…うう———…」

あたしには貴方が必要となってしまったのに。

280:薫:2012/11/19(月) 18:59 ID:4UY


見捨てられてた気分になった。
空っぽになった心を満たしてくれる人はもういない。

また、孤独な毎日を送ることになる。

先輩は優しく微笑んだあと、あのハンカチであたしの目を拭いた。
「I love you more than anyone in tha world」という文字がはっきりと目に入る。

———そうだ、これ…

「先輩、最後に教えてください。この英文…どういう意味ですか?」

涙を拭い問いかける。
先輩は一瞬キョトンとしたあと、すぐに優しく微笑んだ。
ぎこちなくて、悲しそうな笑み。
無理に笑う必要はどこにあるのか。

「これはね、世界で一番君が好き…って意味。貰い物だよ」
「貰い物って…誰からですか?」

さすがに深く聞きすぎたかな。
そんな心配は要らなかったみたい。
先輩はぎゅっとハンカチを握る。

「———彼女」

急に真剣な顔つきに変わる。
気づけば頬に涙が伝っていた。
出逢ったばかりは困ったような顔をしたのに、今はそんな顔じゃない。

真剣で、強い眼差し。

苦しみに歪むあたしの顔に、ゆっくり先輩の顔が近づく。



—————先輩。



教えてください。
どうして、悲しそうな顔なんですか?

———どうして、唇が触れてるんですか?

281:りり:2012/11/19(月) 21:37 ID:oag

(((ギャース!!!!
なぜに唇が!?
続ききになりますっ
頑張ってください><

282:薫:2012/11/20(火) 17:52 ID:pX.


「っ……せ」

口の隙間から声が漏れる。
先輩は離さない。
あたしの腰に回された大きくて力強い手と、吐息だけを溢れさせるキス。

でも、何でかな。

ドキドキしない。すごくすごく恥ずかしいはずのなのに。
気持ちのこもってないキスって、こんなにも苦しいものなんだ。

どことなく先輩のキスは乱暴で、ただ何かを満たそうとがむしゃらに動いてるだけに見える。
ねえ、あたしの気持ち無駄にしないで。
こんなあたしが二度目にした甘すぎる恋を、ぐちゃぐちゃにしないで。

そんなこと言えない。

どんなに乱暴なキスでも、拒めない。
あたしには幸せとしか感じられない。
ごめんなさい。先輩が苦しんでるのは分かります。

ドキドキはしない。
でも熱くて少し苦しくて、…幸せ。

ねえ、おかしいかな。
ねえ、馬鹿みたいだね。

先輩の心には別の人がいて、こんなあたしが恋することは本当はありえないことで。

でも、勝手に期待して。
叶わないって分かってて、ここまで想い続けようとどうして思うんだろう。

功の時なんてそんなこと思わなかった。
幸せな顔を見て、可愛い彼女を見て、すぐに諦めようとした。

こんなこと思うあたしって最低かな。
こんな人間がこんなこと思うのは酷いかな。

—————先輩は弱い。よく分からないけど、すごく弱い。

だからあたしにすがってくれる。抱き締めてくれる。
…最低だな。馬鹿みたい。

283:訂正 hoge:2012/11/20(火) 18:18 ID:jtk

すみません、今更なんですけど、
I love you more than anyone in "the" world
じゃないですか?

284:薫:2012/11/20(火) 18:32 ID:pX.


りりさん>ありがとうございます!

訂正さん>わざわざありがとうございます;

285:薫:2012/11/20(火) 20:18 ID:pX.

To.この小説の読者様

しばらく来れなくなります。
更新はstop状態となります…すみません。
待っててくれると嬉しいです。
その間、荒らしや喧嘩などはないようにお願いします。
雑談も遠慮ください。

ではまた、会えることを期待して。

by.作者・薫

286:薫 ◆0rlM:2012/12/09(日) 14:40 ID:/Os


求めるように、すがるように

先輩が叫び声を上げている。
悲痛な叫びを上げている。

そんなの分かってる。
助けたい。明るい未来を歩んでほしい。

そう思ってるのに、先輩が離れるのが怖い。

もう離れてしまうというのに。
お別れの時期なのに。

どうしても、手離したくない。
黙って見届けるなんて——できない。

「っ………う」

唇が離れても熱は冷めない。
熱く熱く、しばらく熱は帯びていた。

息を吐き捨てる。



—————もう、終わりだ。



先輩は微笑んだ。
その笑顔は悲しそうで辛そうで。

先輩は優しいから、涙を流すあたしに罪悪感を感じてるんだ。

先輩、罪悪感を感じるなら、傍にいて。
ずっとずっと…一緒にいてよ。

そう言えたらどんなに楽だろう。
違う。違うんだ。
先輩がこの先隣にいても、虚しくなるだけ。

あたしといるせいで、先輩の未来は黒く染まりつつあるんだ。

あたしが、存在するから。
あたしが———こんな人間だから。

287:薫 ◆0rlM:2012/12/09(日) 14:43 ID:/Os


「っ……や、やだぁ…」

まるで子供のようだった。

泣き続けた。
泣き続けたら、先輩は去ることができない。

それを確信しての涙だ。

でも先輩は、



「ごめんね。もう———時間がないんだ」



先輩の笑顔は

優しくて、胸が痛くて、儚くて

誰よりも
どんな時よりも

きっと泣いた顔よりも
悔しそうな顔よりも

笑顔が、心が暖まるはずの笑顔が、

一番残酷だった。

288:あんず:2012/12/09(日) 16:06 ID:mTs

悲しいよぉ〜。
鈴羽ちゃん可哀想………。

やっぱり薫は上手いね♪

289:薫 ◆0rlM:2012/12/09(日) 16:23 ID:/Os


先輩は去った。
振り返ることなく。

あたしは一人取り残されたのだ。

「……」

虚ろな目付きのまま、ただひたすら涙を流した。

涙という汚いやり方で、先輩を手に入れたかった。
戻ってきてほしかった。
また笑いかけてほしかった。

やっぱり大切なのは———「彼女」なの?

「うっ……ふ……」

涙は次々と溢れてくる。
体の水分を全て出したんじゃないかってくらい。

お父さんはちゃんと働いてる。
暴力もなくなった。生活もできてる。

クラスの皆は優しくしてくれた。
どうしたのって問いかける暇もないくらい、まるで本当の友達のように。
仕切りに話すその姿は、気味悪くなったけど、よく考えたらすごく幸せなんだ。

変わった。
明らかに生活は変わった。

でも、でも、

功も先輩も
あたしが好きになった人は、離れていく。
手に入れられない。

そんなので…生活が変わっても嬉しくない。

レイプにもあった。
お父さんとも話せない。

心の傷は、この先一生消えない。

———それなら

虐待を受けてた
クラス全員に無視されてた
先輩が隣にいてくれた

前の生活の方が、よっぽど幸せだった。

290:りり:2012/12/15(土) 09:56 ID:oag

悲しい…


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