死者と暗黒のサーカス

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1:ユウ:2012/10/30(火) 18:42 ID:GV6


血で染めたような赤いドレス
とてもお似合いよ漆黒の少女

染めた血は乾いた黒いスーツ
あとはネクタイね漆黒の少女

染める血で洗った白いタキシード
最後のメンバーは漆黒の少年

今宵始まる 暗黒のサーカス
さあショーをごらんなさい!

2:ユウ:2012/10/31(水) 16:36 ID:fY.

パンッ!

という合図とともに、ステッキを振った。
何の変哲もない箱が開き、白いハトが飛び立ち、色鮮やかな花弁が舞う。
ハトは調教通り、天井から下がるフラフープを潜った。
あたしが手を伸ばすと、ハトはおとなしくとまる。
いい子ね……と褒めたあと、あたしは客席に向かって叫んだ。
「どう? 上出来でしょ?」
すると、すぐに返事が返ってきた。
「前より綺麗になってる。リハ成功だよ! ユウ!」

――――ユウ。それがあたしの名前だ。
本名はもっとちゃんとしたもの何だけど、この世界では必要ない。

「ありがとう! ハル!
 ところで、ヒナは?」
ハル――あたしたちサーカス団で唯一の男子。そして、一緒に魅せる仲間でもある。
リハを終えても、まだ白いタキシードから着替えていなかった。
「ヒナなら、あそこ」
そう言って指差した先のバルコニーに、ヒナがいた。
次のリハはヒナの番だ。

「ヒナー! がんばれー!」
こっちに顔を向けてくれるけど、返事はない。
それもそうだ。
ヒナは、口がきけないのだから。
黒いスーツに身を包み、バルコニーに立っている。
「あれ大丈夫? ヒナって、高所恐怖症じゃなかった?」
「まあね。でも、やるってさ。」
そのようだ。
黒いシルクハットを被り、じっと前を見据えている。
(そう言えば、あたしもまだ取ってなかったっけ)
赤いシルクハットを、白いシルクハットの横に並べる。

パンッ!
ハルが指を鳴らした。
リハ開始の合図だ。

3:ヒナ:2012/11/01(木) 19:03 ID:bAY

……来たよ。かなり探し当てるのに時間かかったけど。
頑張って。

4:ユウ:2012/11/03(土) 15:00 ID:lOM

はいはい。
がんばりますよっ

5:ユウ:2012/11/03(土) 15:38 ID:lOM

ヒナ……どんなマジックをやるんだろう。
でも、きっと最高のマジックを魅せてくれる。

まずは……火吹きマジック。
ポケットから水の入ったペットボトルを取り出し、飲み干す。
そしてマッチを擦り、思いっ切り息を吐き出した。
ボォオオオオッッ!!
やった、成功!
続いて、ステッキマッチ変換マジック。
松明にさっきの火を付け、くるくると回す。
パンッ!
松明を、ステッキに変えた。

2人の歓声が聴こえる。

そしてステッキの前に赤いハンカチを翳し、ステッキを覆い隠した。
3…2…
ハルの数え声が聴こえてくる。
鋭いハルは、トリックと結末をすべて見抜いたらしい。
0!
タイミングを合わせ、ハンカチを取る。
ステッキは、元のマッチに変わっていた。

「ヒナ、すごいよ!! 何にもわかんなかった!! 奇跡だよ……!!」
「ユウ、落ち着け。」
絶賛感動&興奮中のユウを、ハルがなだめている。
いや、ユウには利かないって。
苦笑するうちに、ハルは言った。
「リハ終了! ヒナ、降りてこい!」
今のうちには、達成感しかない。
しっかりとうなずいた。

6:ユウ:2012/11/13(火) 00:15 ID:45k


「ふぅ………」
「やっと落ち着いたな。」
ハルがあたしを宥める。
「だって、すごかったんだもん! ハルも見たでしょ?
 さっきのヒナのリハすごすぎだよ〜!
 何で本番じゃなかったんだろ?」
「だから落ち着けって! カフェオレが零れる!」
「今はドレス着てないから零れてもいい!」
ぎゃーぎゃー喚くあたしとハル。
ヒナは、それをおかしそうに眺めている。
「ヒナも応戦してよ〜…… ハル最近力強くなったんだから、あたしじゃかなわない……」
「かなわないどころかおれ完っ全に負けてるよ!! 確実にパワーアップしてんな……ユウ……
 もうこれ以上するな!」
「知らないよ! あたしの馬鹿力は生まれつきなの!」
尚も騒ぎ続ける。
ヒナはますますおかしそうに笑い、ハルは痛そうに喚く。
「痛そうじゃなくて、本当に痛ぇんだって! いいかげん離せっ!」
「離しませんっ! 前はこんなの全然痛くなかったくせに!」

――――その言葉で、雰囲気が狂ったように感じた。

ユウが手を放し、ハルがその状態で固まる。
ヒナは目を見開き、何かを思い出していた。

そう。それは、3人がまだサーカス団員じゃなかった頃―――――……

7:ユウ:2012/11/17(土) 16:42 ID:D/w



「……う………」
今日も、目を覚ました。
何時かな。晴れてるのかな。
いろんな疑問が渦巻くけど、それを確かめる術はない。
此処は日の光など到底届かない暗い地下室。
居るのはあたし――ユウ……って言ったっけ。名前。
よく覚えてないから、放っとこう。
あたし、独りだけ。
上半身を起こし、耳を澄ます。
手首には、立派なベルトが付いている。
そこから壁に向かって伸びる、銀色の鎖。
―――先は、壁に埋まっている。
抜け出せそうにない、暗い牢屋。
その部屋に響く足音は、あたしの心臓を掻き立てる。

カツン……カツン……
足音がだんだんと近くなる。

8:ユウ:2012/11/21(水) 17:05 ID:gpw


カツン……カツン……カツ
――ドクン
階段を下りる足音が止まり、目の前に人影が現れた。
自然と手が震える。
大丈夫……大丈夫だよ、あたし……
言い返せば、大丈夫……

―――「ユウ」

ひっと喉が鳴る。
それを呑みこんで、あたしは恐る恐る返事をした。
「………何……です…か……?」
「飯は?」
「あ……一応、食べました……」
「そうか。なら、何されても大丈夫だよな」
「えっ………」
暗闇の中で、相手の目が光る。
すると、いきなり拳が降ってきた。


「ごめんなさい……ごめんなさい……」
抵抗する気力もなく、あたしはただ、相手の暴力をくらう。
いや、ストレスかもしれない。
「お前が謝ったってどうにもなんねぇんだよ。黙って座ってろ!」
「ひぃ…! ごめんなさいぃ……」
また殴られる。
これで、治りかけた痣がますます酷くなるだろう。
こめかみをガツンとやられて、意識が遠のく。

――――瞳から、涙が零れたような気がした。

9:ユウ:2012/11/23(金) 18:17 ID:38U



「あたしたち……今、幸せなんだね。
 理由が何であれ、笑ってられるんだから。」
呟いた台詞に、ヒナとハルは頷く。

此処は、とある森のサーカステント。
赤、黒、白のシルクハットが舞う、摩訶不思議な舞台。
サーカス団員の彼女たちは、今日も鮮やかに舞台を彩る。
切なる過去に心を砕いて。

彼女たちは今日も魅せる。




――――――死者と暗黒のサーカスへ、ようこそ。

10:ユウ:2012/11/23(金) 18:20 ID:38U

これで、終わりっ。
何かきっかり10で終わったなぁ……。
短っ!
って言うな……もう……。

えと、新しいスレは近々立てる予定です。
立てたらご報告しまーす。
でも、自分で見つけてね。

では、次回作でお目にかかりましょう!


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