向日葵の花。

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1:睦月 ◆8skU:2012/11/01(木) 21:30 ID:Q.M

プロローグ。

「…ち……、大地っ!」

そう言ってニコリと微笑む君は、綺麗だった。
周りの向日葵みたいに明るく笑う君。
可愛くて美しくて、愛しかった。

「なんだよ!」

俺も大声で笑顔で振り返る。
辺り一面の向日葵もニコニコと笑っているようだった。
キラキラと輝く太陽の下でこの世の全てが笑っているようだった。

___そして、何も知らない俺達は、キラキラと輝いていた。

2:睦月 ◆8skU:2012/11/02(金) 17:14 ID:Q.M

第1章

あれから、半年ぐらい経った。
___君は、いない。
去年の秋風の吹く頃、学校からの帰り道で、君は消えた。
いくら探しても、どこを探しても君はいなかった。

なぁ、今どこにいるんだ?


俺、秋山 大地は今年中学生になった。
水無月学園という東京のド田舎にある学園。
一昨年に建ったばかりの新しいところ。
クリーム色の校舎の壁に汚れはない。
ホワイトボードにインターネットを使った授業など結構進んだものを取り入れてて
凄く良いと俺は思う。

入学式を昨日終え、今日から少々早いが通常授業。
面倒かもしれない。
__嗚呼、君がいたら良かったのに。

3:睦月 ◆8skU:2012/11/02(金) 20:31 ID:Q.M

「えぇ、昨日も言いましたが、1年2組の担任の岡本 賢治です。
 1年間宜しく」

朝学活が始まり、担任が入って来た。
30代前半で顔はまあ良い方だ。
科目は男子体育担当で、授業でも世話になるようだ。

「じゃあ、廊下側の1番前から自己紹介していってくれ」

そう言って、先生は教室の1番後ろに移動して、全員の自己紹介を見るようだった。
ちなみに1番前っていうのは俺な。
秋山だから小学校の頃から出席番号は1番。
仕方なく立って、前に出た。

「えぇっと…秋山 大地です。
 卯月小学校出身で、得意科目は・・・数学です。
 まぁ、宜しく」

自分でも適当だと思う自己紹介。
こういうのは嫌いだし、“あの時”から人とは関係を持たないようにしてる。

「なぁ、俺は江崎 虹(エザキ コウ)!宜しくな」

そう言って声を掛けて来たのは隣の席のヤツ。
結構顔も良いし、運動神経とかは良さそうだ。
でも、性格からして勉強をしないタイプだ。

「宜しく」

そう言って俺は、軽く頭を下げた。

4:睦月 ◆8skU:2012/11/03(土) 19:11 ID:Q.M

「そう、堅くなるなよな!」

そう言ってニカニカと笑う虹だが、
俺は堅くなっているわけではない。
ただ、周りの視線が痛いだけだ。

「おい、江崎!
 次はお前の番だぞ!!」

そう先生の声が掛かり、ヤベッ!と言いながら虹が立ち上がって前に出た。

「俺は江崎 虹。
 弥生小学校出身で得意科目は・・・ない!!
 勉強より運動だしな!宜しく!!!」

皆が大笑いした。
でも俺にとっては予想通り。
やはり勉強嫌いのスポーツバカ。
勉強もスポーツも平凡な俺とは大違いだ。

「言ってくれよな〜」

そう言って、席に座る虹。
気がつかなかったのが少々恥ずかしかったようだ。

「悪い」

俺はそう言って作り笑いを浮かべた。

5:睦月 ◆8skU:2012/11/04(日) 10:55 ID:Q.M

そんな俺を見て、虹が言った。

「・・・・何で大地って、本気で笑わないの?」

周りの話し声にかき消されず、俺の耳に辿り着いた虹の質問。
真顔で聞いてくる感じに作り笑いも浮かべづらい。

「・・・悪い。
 でも虹には、江崎には関係ない」

笑うことも出来ずに、冷たい言葉を虹に振りかけた。
一瞬、虹も顔を背けた。
俺はそれで良いと思ったが虹はまた、こっちを向いて笑った。

「そっか。
 ゴメンな!急に変なこと聞いて」

その笑顔は本物で、なんて言ったらいいのか分からなかった。


「えぇっと、次が最後だな。
 渡瀬 初、前に出ろ」

虹と話すことなく最後まで来た。
前に出て来たのは制服を可愛く着こなした小柄な女の子だった。

「わ、渡瀬 初です。
 弥生小学校出身です。えと、得意科目は数学で、社会が少し苦手です
 よ、宜しくお願いします」

ペコリと頭を下げると女の子は小走りで席に戻って行った。

6:睦月 ◆8skU:2012/11/04(日) 13:37 ID:Q.M

「また、初と同じクラスかよ」

虹がそう呟いた。
溜め息をつきながらで本当に嫌そうだ。

「小学校の頃からそうだったのか?」

これは話し掛けるチャンスだと、俺は虹に話し掛けた。
1番前の席だが先生は気づいていない。
灯台下暗しというところだろう。

「あぁ。小1から小6までずっとだ。
 んで、中学に入ってもコレだ
 親友とは翌々年には離れるのにアイツはずっと」

溜め息をつきながら吐き出すように言った。
俺なんかは同じ小学校の人すらいないのに。

「苦労してんな」

そう言って、虹にニコリと微笑んだ。
すると、虹は驚いたように目を大きくした。

「大地…今、本気で笑ったよな!!」

ヨッシャと言いながら、虹がニカリとこっちを見て笑った。

7:睦月 ◆8skU:2012/11/06(火) 16:39 ID:Q.M

「おい、江崎!
 前を向け!!今何の話をしてたか言ってみろ」

そんなとき、先生に呼ばれた虹。
慌てて前を向いて、必死に何を言ってたか思い出す。

「・・・・・今日は良い天気ですね…とか?」

と、馬鹿な発言を。
まぁ、俺も聞いてなかったから分からないんだけどな。

「何故分かった?正解だ」

と、先生が言った。
ほら、やっぱり間違って……

「って、えぇっ!?」

思わず叫んでしまうが、皆の椅子をひいた音でかき消された。

       *

「なぁ、大地!」

今日の授業が終わり、皆が帰り始めた。
そんなとき、虹に声を掛けられた。

「ん?何だよ??」

そう言って、虹の方を向く。
虹は丁度鞄を持ったときだった。

「なぁ、お前んちで遊べる?」

虹にそう言われた。
そのとたん、持っていた鞄を落としてしまった。

「は?」

俺が聞き返してみると、少々怒ったように
虹は大声でもう一度言う。

「お前んちで親睦会はできるか!!」

いや。
なんかさっきと言い方が変わってるぞ。

「え〜?兄貴がいるけど良い?」

そう尋ねてみると、
答えは勿論……

「YES!!!!!」

8:睦月 ◆8skU:2012/11/07(水) 18:31 ID:Q.M

「ただいま〜」

虹と家に着いた。
家はこの学校に通うため、引っ越した。
本当は行く予定だった中学校では、いじめによる自殺者などもいたため、
兄貴らに頼み込んでこっちに引っ越したのだ。
俺の家庭は、兄貴が2人いて母は俺の幼い頃に亡くなった。
父は海外に働きに出てる。収入も良いようで、俺らは良い暮らしができている。

「お帰り〜」

んで、玄関まで出てきたのは長男の大空。
年が離れていて、もう就職している。

「あれ?お友だち??」

そう聞きながら、虹の方を見る。
俺は頷いて答える。

「あぁ。えーーーっと・・・」

あれ?コイツ、苗字なんていったっけ?

「おい、大地?忘れたのかよ」

そう言いながら、虹に引っ張られる。
慌てて思いだそうとするが、なかなか思いだせない。

「・・・・・・・悪い、忘れた」

すると、兄貴は苦笑し、虹に殴られた。

「えと、大地のお兄さん。
 俺は江崎 虹です。以後宜しくお願いします」

そう行って礼する虹はなんとなく今までのヘラヘラとは違って
しっかりとした自己紹介には少し驚いた。

9:睦月 ◆8skU:2012/11/08(木) 22:11 ID:Q.M

「えっと、大地の兄の大空です
 大地とはこれからも仲良くしてやって下さい」

にこりと微笑む大空。
いつも通りなんだよなぁ、コレが。

「あれ、海はいないの?」

俺は部屋に入りながら大空に聞く。
大空は少し先を歩いており、俺の後ろには虹がいる。

「海は学校だよ」

まぁ、海っていうのは妹のこと。
小学4年生だ。生意気で、スポーツ万能、頭はまあまあ。
背は俺より頭1つぶん低い。
まぁ、そこだけが可愛いと思っている。


* * *
短くてすみません。
テストが近いので更新を一旦やめます

10:睦月 ◆8skU:2012/11/14(水) 19:39 ID:Q.M

「じゃあ、僕は居間にいるから」

そう言って兄貴は一番奥の部屋に歩いて行った。
俺らは、玄関から3番目の位置の部屋に入った。
ここが俺の部屋。
勉強机と椅子が1つずつ。
それから、ベッドにタンス、タンスには折り畳みのテーブルが立て掛けてある。
特に派手な物や目立つ物のないつまらない部屋だった。

「ぅわっ、つっまんねぇ部屋だなぁ」

そう言って、俺の部屋にズカズカと虹が入って来た。

11:睦月 ◆8skU:2012/11/18(日) 09:47 ID:Q.M

「で、何の用?
 人ん家に来たんだから理由くらいあるよな?」

俺がベッドに座ろうとしている虹にそう聞いた。

「え?特に理由とかねぇよ?
 言った通り仲良くしようぜの会」

そうにんまりと笑いながら言う虹。
この一言で分かったことは2つ。

「虹。お前ネーミングセンスないな。
 あ、それとお帰りはアチラですから」

そう微笑みながら言ってあげた。
せめて、今日出た宿題をやるという理由なら良かったのに…。

「えぇ!?
 俺、怒らせた!?ちょっ、何ならいいの!?」

立ち上がりながら大声で言う虹。
この質問に答えるか、答えないかで数秒迷い、答えてやった。

「ん?宿題とか…かn……」
「マジ!?お前、宿題真面目にやんのかよ!」

信じらないという顔で、コチラを見る虹がメチャクチャ、ムカついた。

12:睦月 ◆8skU:2012/11/21(水) 21:57 ID:Q.M

「・・・なぁ、虹?」^^

俺が爽やかな笑顔を浮かべながら、虹を見る。
虹は分かってくれたか!、という笑顔でこちらを見る。

「虹。^^・・・帰れ&友達やめる」

そう言うと、益々嬉しそうな笑顔で虹がこちらを見た。
そして、凄い勘違い発言。

「・・・友達をやめるってことは、親友になるってことか!!??」
「どういう思考してるんだ、お前は」

つい、つっこんでしまう。
でも普通の人なら気にならないか?
“友達やめる=親友になる”っていう思考回路…。
っていうか、同学年ということが、とても嫌に思える。
でも俺も大人になろう。

「・・・なぁ、虹。お前の得意科目は?」
「保健体育!!!」

即答ですか…。

13:睦月 ◆8skU:2012/11/22(木) 21:30 ID:Q.M

「んじゃ、保体の予習な」

そう言うと、虹をしかめる。
意味が分からないというような顔だ。

「お前勉強バカ?
 まるで初みたいだな」

そう言って頬杖をつく虹。
呆れ返ったように目を細める。

「初?・・・・・・・あぁ!クラスの奴か」

名前だけでは思い出せず、ゆっくりと記憶を辿り、思い出す。
そして出席番号最後の少女を思い出した。

「アイツもかなりの優等生なんだよ」

「へぇ〜」

適当な返事で申し訳ないが、あんまり興味がないのだ。

14:睦月 ◆8skU:2012/11/24(土) 20:05 ID:Q.M

「なんだよ、その返事〜」

なんて虹が言ってる。
だけど、まるっきし、そんな声は俺の耳には入ってこなかった。

俺は思い出していた。
何かは分からない、遠い記憶。
なんだろうか?
幼い頃の、懐かしい記憶。

思い出したくて_____、

思い出したくなくて_____。

「おい、大地?
 聞いてんのかよ?」

虹が目の前で手を振るから思考が途切れた。
安堵と悔しさから溜め息が洩れた。

「何だよ、虹」

そう言って虹を見ると、虹は机の上をガン見していた。
机の上には教科書と電気スタンド、鉛筆削りに辞書が並べてある。
そして一番右端には、命の次に大切な写真が飾ってある。
軽く色褪せてきているが、まだまだ平気そうだった。
そして、虹はそれを見ていた。

「どうしたんだよ、虹」

そう言うと、虹は立ち上がってそれに近づいた。
俺も一緒に近づいて見る。
そこには向日葵に囲まれてまだ少し幼い頃の俺と、
ニコニコ微笑む少し幼い女の子が写っていた。

「なぁ、大地。
 この女の子ってさ、半年くらい前に行方不明になった子だろ?」

そう言われた。
新聞とかには載ったけど、あまり大きな事件じゃない筈だ。

「そうだけど、なんで知ってるんだ?」

そう聞いてみると、虹は目を泳がせて話し始める。

「え……えぇっとな…………それは…その」

15:彩:2012/11/25(日) 20:13 ID:etc

睦月様

感想書かせていただきました!
なにかあればここに飛んでください。

16:彩:2012/11/25(日) 20:14 ID:etc

URL↓
http://ha10.net/novel/1353756398.html

ご相談あればまたいらしてください。

ちょくちょくコメントそせていただきますネ〜♪

17:睦月 ◆8skU:2012/11/25(日) 20:22 ID:Q.M

「一応、親戚だから…」

そう言って、写真を見つめる虹。
悲しそうに見る虹に、俺は声を掛けることができなかった。

_____その後、2時間ほどスポーツ雑誌と漫画雑誌の良さを語り合い
虹が帰ることになった。

「送って行こうか?」

俺がそう言うと、ニカッと笑って言う。

「ああ。送ってけ!」
「いや、普通断るだろ!!」

いや、ついツッ込んでしまったよ。
コイツって遠慮とかないよな。
そう思いながらも兄貴にも言われ、まだ肌寒い外に虹を送る。
虹のマンション前まで送り、なるべく早く帰ろうと走り出した。

「ハァハァ……っ!?」

ある十字路を通り過ぎた瞬間だった。
向日葵の君。・・・日咲(ヒサキ)が反対の通りを通り掛かったような気がした。

「日咲!?」

慌ててソチラを見るとソコにいたのは渡瀬だった。

「えと・・・・秋山・・君?」

「悪い、人違いだった…」

そう言って、俺が行こうとすると渡瀬に呼ばれた。

「日咲ちゃんの知り合いですか?」

そう言われた。
なんで皆、日咲を知ってるんだよ。

18:睦月 ◆8skU:2012/11/25(日) 20:26 ID:Q.M

彩さん、感想&アドバイスありがとうございました!!

19:睦月 ◆8skU:2012/11/29(木) 17:43 ID:1sY

俺と渡瀬は近くの公園に入った。
ベンチの近くにあった自動販売機で俺はコーラを、
渡瀬はレモンティーを買ってベンチに座った。

「・・・・・・あの、渡瀬・・さんって何で日咲のことを知ってるんだ?」

そう聞いてみると渡瀬はレモンティーの缶の口を見ながら口を開いた。
ゆっくりと、だ。

「えと、初(ウイ)で良いです。
 日咲ちゃんは虹・・くんの親戚なんです」

「それは虹本人に聞いたよ」

「そうですか。
 じゃあ、これは聞きましたか?
 私と虹君は“従兄弟”なんです
 虹君本人は・・・・忘れているかもしれませんが・・」

そう言って、うつむく渡瀬…いや、初。
俺は軽く一口コーラを飲んで、初に質問した。

「なぁ、ってことは日咲とも親戚ってことか?
 あと、忘れてるかもってどういうことだ?」

「・・はい。私と日咲ちゃんは遠い親戚です。
 忘れている理由・・ですか。
 かなり・・前になるんですけど・・・・」

20:睦月 ◆8skU:2012/11/29(木) 18:47 ID:1sY

第2章

「ねぇ、初ちゃん・・だよね?」

小1のお正月。
虹ちゃんの家に親戚一同が揃う
結構大きな行事で私と日咲ちゃんは出会った。
太陽みたいに暖かい性格で、向日葵みたいに笑う日咲ちゃん。

私と虹ちゃん、日咲ちゃんは仲が良くて学校が違くても、
6年生になっても放課後はよく遊んだ。

「あのね、初ちゃん!
 私、新しい友達が出来たんだ!!
 あのね、大地っていうんだよっ!!」

「え?そうなの!?良かったね〜!
 でも良いなぁ〜。
 私は虹ちゃんと日咲ちゃんしか友達いないなぁ〜
 でも、最近は虹ちゃんも・・・」

私がそう言ってうつむいた。
周りの向日葵畑は燦々と輝いている。
それが逆に寂しくなる。

「あ、なんかゴメンね?
 でも最近虹ちゃん来ないよね・・・」

そう言って、日咲ちゃんも悲しそうな
寂しそうな顔をしてうつむいている。

「うん、ホントに・・・。
 でもね、今週の夏祭りは一緒に来れるって!」

私もそんな顔を見て、一瞬暗くなるが、
またすぐに笑って言った。

「ホントに!?
 じゃあ、浴衣着て行こうね♪
 約束!」

そう言って日咲ちゃんは小指を差し出した。
私の小指もそれに絡めた。

「うん!約束!!
 最後の小学校夏休み、楽しもうね」

21:睦月 ◆8skU:2012/12/01(土) 20:32 ID:1sY

そんな頃だった。
家に帰ると虹ちゃんが来ていた。

「あ!虹ちゃん!!!」

「お久、初。
 夏祭りなんだけど・・俺、日咲に話が・・・あるんだ//」

いつも通りのニカリ顔。
だけど急にうつ向き加減でいた。
耳が赤くなってきていて、いつもと違う。
直感的にすぐ分かった。
『虹ちゃんって日咲ちゃんが好きなんだ』
だけど私はそれを口に出さず頷いた。

「分かった。
 花火の後は、どうかな?」

「・・あり、がとな!
 あ、おばさん、もう帰るんで」

そう言って帰る虹ちゃんは、気がつかぬ間に私より頭1つ分背が高かった。

22:むつき ◆8skU:2012/12/01(土) 20:34 ID:1sY

▲ 高かった。
◎ 高くなっていた。

です。すみませんでした

23:睦月 ◆8skU:2012/12/02(日) 19:30 ID:1sY

時はあっという間に過ぎて当日。
今日は8/30(日)。明日から新学期であまり遊べなくなる。

日咲ちゃんと一緒に浴衣を着せてもらった。
日咲ちゃんは薄いピンクに向日葵の柄で日咲ちゃんにピッタリだった。
私はというと、薄い黄色に淡い青のドット柄。

「日咲ちゃんは良いなぁ〜
 顔もスタイルも性格も完璧だし」

日咲ちゃんといると、いつも思ってしまうこと。
全て完璧な日咲ちゃんといると時々嫌になる。
駄目ダメな自分に対して、嫌気が差すんだ。

「えぇっ!?
 そんなことないよ、初ちゃんに私憧れるよ?」

「いいよ、お世辞言わなくて。
 日咲ちゃんってモテるしね」

なんて、言ってしまう。
虹ちゃんのことバラしたくないのに。
日咲ちゃんに嫉妬してしまう。
そんなことしたら逆に嫌われるのに。

でも、もし虹ちゃんと日咲ちゃんが付き合ったら私は?
私はどうなるの?

友達のいない私は、1人になってしまう。
私1人だけ、取り残されてしまう。

____嗚呼、なんだか皆が遠い気がする。

24:睦月 ◆8skU:2012/12/03(月) 15:23 ID:1sY

「あの…初..ちゃん?
 そろそろ虹君来ちゃうから行かない?」

「へ?・・・・あ、うん!」

急に日咲ちゃんに呼ばれて、考えていたことに蓋をした。
これ以上考えたら
___オカシクナリソウダカラ。

「おぉ!日咲、初!!
 遅かったじゃん!何かあったの?」

神社前の階段に虹ちゃんが座っていた。
ジャージ姿という、いつもの格好。
告白をするなら、ちゃんとした服を着れば良いのに。

「ゴメン、ゴメン!
 ほら、行こぉ!!」

日咲ちゃんは階段を5段ほど上がって振り返る。
凄く可愛い。
女の私でも惚れるほど。

______でも、でも。

25:睦月 ◆8skU:2012/12/04(火) 17:35 ID:1sY

「・・・ねぇ、日咲ちゃん」

駄目だ。
私、凄い嫉妬している。
私___この気持ちに蓋をしてた。
ずっと、ずっと。
でも、思いがどんどん溢れてく。
抑えられないくらいに。

「ん?なぁに、初ちゃん!」

「あの…ね?
 神社裏のお岩さんって知ってる?」

「あ、うん
 裏のミニ崖の一個出っ張りが出てるやつでしょ?」

「そう。
 そこでね、虹ちゃんが待ってるって!」

ううん。
まだ、花火も始まってない。
私、何嘘ついてるんだろ?
虹ちゃんも、飲み物買いに行っているだけなのに。

「ホントに?
 そっか。なら行ってくるね?」

そのまま、日咲ちゃんは行ってしまった。

26:睦月 ◆8skU:2012/12/05(水) 19:33 ID:1sY







「あれ、日咲は?」

虹ちゃんがペットボトル飲料を3つ持って戻ってきた。
真実が言えず、適当な嘘をつく。

「出店見てくるって。
 私も…見てくるね?」

そう言って、花火用に取って置いた席を立つ。

「あ、俺も……」

そう言って立ち上がる虹ちゃん。
一応、あまりついてきて欲しくない。

「ううん。
 場所取りしててくれる?」

「え、あ、うん」

私はその返事が終わるか終わらないかで駆け出した。
浴衣だから全速力は出せないけれど。

27:睦月 ◆6wNU:2012/12/07(金) 21:18 ID:1sY

・・・まさか、こんなことになっているなんて___。

お岩さんが崩れ落ちた。

日咲ちゃんが…疲れてお岩さんに座っていたときだった。

崖といっても岩がごつごつしてるのではなく土が剥き出しになっていた。

昨晩雨が降り、湿っていたせいで土砂崩れ化していた。

___日咲ちゃんは見つかっていない。

「・・日咲ちゃん…。
 ウソ…でしょ?」

一気に責任を感じた。
私のセイで……。

「なぁ、うi..」

私が立ちすくんでいたら、虹ちゃんがいた。
何が起こったか知らないようだ。

「・・・虹・・ちゃん・・・・」

そこまで言っただけなのに涙が溢れた。
虹ちゃんは慌てたようにしている。

「ちょっ、大丈夫か?
 何があったんだよ」

「・・・日咲ちゃんが・・日咲ちゃんが・・
 崖から落ちて、泥の中に………」

そこまで言った瞬間だった。
虹ちゃんは走って土砂崩れ現場に駆け出した。
私も付いていく。

「・・・きっ。日咲っ!!」

黄色のテープの中に入り、泥を掘り返し始める虹ちゃん。

28:睦月 ◆6wNU:2012/12/07(金) 21:48 ID:1sY

私はそれを、テープの外側から見つめることしかできなかった。
警察の人が来て虹ちゃんが引っ張り出されそうになった。

_____そのとき…。
虹ちゃんが倒れてしまった。

救急車で病院へ運ばれた。
私も一緒に乗せてもらった。
そのとき、私は狂っていて周りの友達が倒れていくという
恐怖で苦しんで発狂する勢いだった。
それを見かねた病院の先生が薬を打ってくれて、そのまま眠ってしまった。

「・・・・・あ」

起きたら朝だった。
虹ちゃんのお母さんが連絡してくれて私は病院で一夜を明かした。
あのあと、日咲ちゃんは無事発見。
虫の息だった日咲ちゃんは病院に運ばれ、一命を取り止めたらしい。

だけど、虹ちゃんも日咲ちゃんも未だ目覚めない。
どちらも体には特に異常は見られないが、虹ちゃんは心のダメージだからまだ
詳しくは分からないらしい。

とにかく私は、待つことしか出来ないんだ。

29:睦月 ◆6wNU:2012/12/08(土) 14:29 ID:1sY

「初ちゃん、初ちゃんっ!!」

虹ちゃんのお母さんが部屋に飛び込んで来た。
窓の外を見ていた私は、驚いてドアを見る。

「あ、虹ちゃんのお母さn..」
「日咲ちゃんが目を覚ましたわ!」

「・・え?」

それを聞いた瞬間、病室に走り出していた。
看護師さんに注意されたけど、それどころじゃなかった。

「日咲ちゃん!!!」

部屋に飛び込むと目を覚ました日咲ちゃんが日咲ちゃんのお母さんと話していた。
そして、コチラを見ると・・・・微笑んだ。

「初ちゃん。
 ヘマしちゃった。ゴメンね?」

「…え……」

「お母さん、席外してもらえる?」

そう日咲ちゃんが言って、日咲ちゃんのお母さんが出ていく。

「・・日咲ちゃん。
 あれ、嘘なn..」

口を押さえられて最後まで言えない。

「ううん。
 全部私のセイ。初ちゃんは悪くないよ?」

その言葉に、泣いてしまった。
そして、日咲ちゃんは、優しく微笑んでいた。

30:睦月 ◆6wNU:2012/12/09(日) 11:47 ID:1sY

その後、日咲ちゃんは回復していき、警察からの事情聴取でも自分で行ったと、自分の運が悪かったと主張した。
嘘をつく必要もないだろうと運の悪い事故で片付けられた。

「・・初ちゃん?」

「ぇ、何?」

日咲ちゃんの退院日、荷物を用意していると、声を掛けられた。

「虹ちゃん、目ぇ覚めないね?」

「・・・・うん。」

そう。1週間経った今も目が覚めないのだ。
私が日咲ちゃんを見るとニコリと微笑まれた。

「私の方が大変だったのに…
 虹ちゃん、弱いね」^^

「・・フフ!そうだね♪」

私もニコリと笑って日咲ちゃんを見る。
すると嬉しそうに日咲ちゃんが笑って

「初ちゃんは笑っている方が可愛い!」

そう言った。
思わず、驚いて目を見開く。
でも、急に日咲ちゃんは遠くを見るように語りだした。


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