時物語

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1:38:2012/11/06(火) 00:32 ID:uDQ

中学の同窓会。
僕達が15年前に埋めたタイムカプセルには『宝の地図』と書かれた、ボロボロの紙切れだけが入っていた___

2:38:2012/11/06(火) 01:08 ID:uDQ

山の木の枝もすっかり枯れ果て、無数の小さな針で指すような寒風が吹き荒れる季節になった。
懐かしの故郷、川本町に東京からはるばるやってきた僕「風間 祐介」は愛車で走行しながら久しき光景を目に焼き付けていた。

「ねぇ。さっきから速度落ちてるよ。何かあったの?」

沁々と学生時代の思い出に浸っていた僕はうっかりアクセルを踏む力を緩めてしまっていたようで、妻の「絵美」が髪を耳にかけ助手席から僕の顔を覗き込んできた。

3:38:2012/11/06(火) 01:38 ID:uDQ

「あ・・・・・・ごめんごめん。」

僕は我に帰る。後部座席にちょこんと座った5歳の娘の「葵」が、先程から吐き気を訴えているのだ。長い道中だったので、さすがに車酔いしてしまったのだろう。
折角なのでしばし15年ぶりの我が故郷を眺めておきたかったが、自らが溺愛する娘が苦しんでいる中でそんな愚行に走るわけにはいかない。僕は速度を上げ、ハンドルを強く握り締めた。

「葵、フリスクでも食べる?」

絵美が心配そうに尋ねたが、葵のリバースゲージはかなり蓄積されているらしく、喋らなくなってしまっている。

4:38:2012/11/06(火) 16:35 ID:uDQ

絵美はエチケット袋を葵に渡しておき、つまらなそうに外を見た。車は依然と田畑に囲まれた一本道を走行している。

「何にも無い所だね。まさに田舎って感じの」
「人が移住してって過疎化がどんどん進んでるんだよ」

僕は笑いながら答える。
すると絵美は悪戯っぽくニヤけて「じゃあここに住む?」と冗談を言うが、僕はそれに気づずに「それもいいなぁ・・・」などと満更でもない表情で答えた。

5:38:2012/11/06(火) 16:55 ID:uDQ

気づけば辺りは暗くなっていた。5時過ぎ程度だと言うのにもうすぐ日没しそうだ。
少し前まではコオロギが毎晩演奏会を開いてくれていたのだが、今となってはさっぱり。小鳥ももうじき巣に帰っていってしまうだろう。

「よし、着いたぞ・・・」

そして僕はとある民家の前に車を停めた。
葵はいつの間にか寝ていた。後部座席で横たわり、スースーと気持ちよさそうに寝息をたてる姿はとても可愛らしい。

6:38:2012/11/11(日) 09:51 ID:uDQ

「じゃ、お父さん行ってくるから、葵はお母さんとおばあちゃんの言うことよく聞いて待っててね?」

僕はウトウトとしながら睡魔と戦っている葵に言い聞かせる。
「うん・・・」と赤べこのように数回頷くが、遂に睡魔に敗れて絵美の服に顔をうずめた。

「同窓会だっけ?・・・もう行くの?」
「あぁ。遅れちゃうからね。」
「お義母さんに顔見せればいいのに。」

絵美は不服そうにボソっと呟く。申し訳ない気持ちになるがそんな事をしている場合ではないのだ。
渋滞でかなり時間が遅れた。これだけには遅れるわけにはいかないのだ。
中学校3年のクラスの同窓会。僕たちのクラスはとても仲が良かった。文化祭や体育祭、合唱コンクールでは一致団結して本気で優勝をめざし、卒業式には信じられないほど泣いたっけ・・・・


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