双子ミステリー日記

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1:ゆう:2012/11/29(木) 00:02 ID:E6I

耳にしたイヤホンから、ポップな音楽が流れている。
最少音量の0.2だけど、わたしには大きすぎるくらいだ。
「あー もういいやっ!」
音楽を止め、プレーヤーをスリープモードにする。
鞄に仕舞い込むと、わたし――天川深夏は、上り坂を走り出した。

2:ゆう:2012/11/29(木) 00:55 ID:E6I


 T 双子とミステリーの欠片


「たっだいまーっ!」
その足で家まで帰ってきたわたしは、ある変化に気付いた。
玄関に靴が5足ある。
1つは叔母さんの普段用で、もう1つはつっかけ。
残った3足中1足は、わたしのサンダル。
あとの2足は……スーツに合わせるような立派な靴と、真新しい運動靴。
誰のだろ……?
運動靴の横に履いていたスニーカーをそろえ、リビング……っていうか和室に行く。
もしお客さんなら、そこにいるはず。
そう結論付け、ふすまを開けた。
「……あれ?」
誰もいない。
ってことは、お客さんじゃない……?


「……何やってんだ?」

間。
「ふえっ?」
思いっ切り間抜けな声を上げ、大げさに振り向く。
「……真冬?」
その先に居たのは、唯一のいとこ――天川真冬だった。
パーカーのポケットに手を突っ込み、不思議そうな目でわたしを見ている。
「えっ あっ な、何で? どうしてここに―――っていうか、ひっ 久しぶり!」
噛みまくりながら言うわたしは、はたから見ればとても滑稽な眺めなんだろう。
それでも、真冬は慣れてるといった様子で返事をした。
「久しぶり……深夏」
「あ、うん久しぶり……って、何でここにいるの? ここわたしの家だよ? 真冬の家隣町じゃん」
「深夏の家じゃなくて、美世子さんの家だろ………あ、えっと……」
美世子さんとは、叔母さんのことだ。
「なんか、叔父さんが大事な話があるとかで……一緒に来た」
「一緒に来たんじゃなくて、来させられたんでしょ?」
真冬が、ちょっと顔色を変えた。
そして、気まずそうに続ける。
「まあ……深夏は?」
「わたし? 学校の帰り」
「そうか……」

沈黙が流れる。

耐えかねて、わたしが切り出した。
「で、行かなくていいの? 来させられたんだったら、真冬も聴かないとだめなんじゃ……」
「ああ……それと、深夏も……」
「わたしも?」
「呼んでこいって言われて、廊下を歩いてたら見つけたんだ……だから」
「ええっ やばいじゃん。早く行こう!」
真冬の台詞を遮ったような気もするけど、それは放っておこう。

3:ゆう:2012/11/29(木) 01:09 ID:E6I

「あ、ああ……」
面食らったように真冬が言い、そろって歩き出す。


真冬とわたしは、幼いさい頃からこんな感じだ。
外で遊ぼうと誘えば、中で本を読んでると断られることがしょっ中だった。
それから背も伸び、(と言っても、2人ともきれいに同じ。)住んでいる地域的に学校も別れ、ほぼ見た目が正反対になっていった。
それでも、一応いとこ。血はつながっている。

仲が良いような悪いような、少々理解しづらい間柄。
それをわたしは丁度いいと思っている。
そして、このまま変わらないでとも思う。


そうこうしているうちに、リビングにたどり着いた。
「ただいまー」
「あら深夏。おかえり」
叔母さんがいつものにっこり笑顔で迎えてくれる。
向かい合うように、叔父さん――真冬のお父さんの弟が座っていた。
ご無沙汰してますと挨拶をし、叔母さんの隣に座る。
真冬は、叔父さんの隣。
「揃ったわね。じゃあ、始めましょう。
 深夏、真冬くん、あなたたちは、どういう関係?」
思わずわたしは、身を引いてしまった。
余りにも突然な質問だったから、腰が抜けたのだ。
「え、えと……お、叔母……」
「いとこです」
真冬が平然と答える。
同時に、狼狽えるわたしを見ていぶかしげな顔をした。
「そうよね。確かに、今このときまでは、そうだったわ」
――え?
今、このとき?
「叔母さん、それってどういう……」
「驚くのも無理はないわ。これまでずっと隠していたんだもの。ごめんなさい。
 お詫びに、今からすべて話すわ。聴いてちょうだい」
叔母さんは、これまでにない真剣な目をしていた。

4:ゆう:2012/11/29(木) 01:37 ID:E6I

部屋を、沈黙が包んでいる。
最早、体温さえわからなくなりそうだった。

「……真冬」
「………何?」

真冬は、平常心をしっかりと保てているようだ。
その証拠に、さっきからPCをいじっている。
「さっきの話……信じられる?」
「………」
答えが返ってこない。
「わたしたちが……双子だって」


言った途端、わたしは激しく後悔した。
――――言わなければよかった。
このまま、今まで通りで過ごせばよかったんだ。

「―――さっきの質問の、答えだけど……」
「……何?」
「ぼくは、信じられる」

――え?
「何で? どうして、そんなあっさりと……」
「知ってると思うけど、ぼくたちは血液型、身長、体重、利き手まで同じだ。ただのいとこなら、たとえ偶然だとしてもまずありえない。
 でも双子なら、2卵性でも可能性はある。それに、そう考えればすべてのことに合点がいく。
 それだけ証拠があるのに、信じない理由がない」
真冬らしい、論理的な理由だ。
でも、わたしは違う。
「わたしは……信じられない。何で、今まで、どうして……」
わたしは、正直今何を悩んでいるのかわからなかった。
自分の心なのに、霧がかかっていて読めない。
そのとき、真冬が言った。

「―――深夏が信じられないのは、自分の心じゃないか?」

え……?
「もしも双子なら、何で気付かなかったんだろう。今まで気付けるチャンスはいくらでもあったのに、自分は気付かなかった。
 そのことの重大さに、ショックを受けているんだ。……あくまで推測だけど」
―――――……。
「真冬の言う通りだと思う。きっと、そう。まだよくわかんないけど、そんな気がする」
わたしは、小さく深呼吸をした。
今はまだ、深く考えないでいい。
それが、わたしを楽にしてくれる。
「わたしたち、双子なんだよね。だから、お母さんたちも両方いないんだ」
そう。わたしたちには、両親がいない。
生まれた直後に亡くなって、それいらい叔母さんと叔父さんの元で育てられてきた。
そういう境遇も同じだから、なじめたのかな。

「で、今日から真冬はここに住むんだよね」
「……まだ荷物がまとまっていないから、週末には1回帰るけど。……まあ、それ以外は……」
「ここに居るんでしょ。……あ、そう言えば……」
わたしは、さっき叔母さんに言われたことを思い出していた。
「……深夏?」
「あ、えと……わたしと真冬の部屋って、混合なんだよね。あ……ははは…は……」
「?」
真冬は、何か問題?という顔をしている。
「……もうちょっと気にしてよ……」
「何を?」
「………もういい」
深く考えるのはよそう。うん。

5:ゆう:2012/11/29(木) 17:36 ID:4g2



次の日。
わたしたちは一緒に学校へきた。
真冬の通っている私立中は家から遠いから、わたしの学校――私立糸崎中に転校することになりました、と。

これは補足なんだけど、校長が叔父さんと古い友人らしくて、それが利いたのか真冬がわたしのクラスにくることは確実らしい。
まぁ、いろいろと同じクラスのほうが都合いいしね。

今は、朝の10分ドリルタイム。
問題集をコピーしたプリントを、解けるだけ解くっていう地獄みたいな時間……。
♪キーンコーンカーンコーン
やったぁ終わった!
満面の笑みを浮かべ、教科書とノートを片付ける。 プリントはごみ箱行き。
そのとき、前の席から明るい声がした。
「なぁに? 深夏、すっごい笑顔だけど、朝ごはん何だったの?」
………。
「ただのトースト」
「ジャムたっぷり?」
「そう」
目の前の子――木暮瞳子は、柔らかに笑った。
瞳子はわたしの親友。
小学3年生のときからずっと同じクラスで、いつも一緒に過ごしてきた。
そして……これからは、真冬も加わるのかな。
「ねえ、今日来る転入生って、誰だろうね?」
「えっ さ、さあ……」
「男子って言ってたけど、どんな子かなぁ。深夏はどんな子がいい?」
「べ、別に……」
答えながら、真冬の顔を頭に浮かべる。
うーん……瞳子のタイプじゃないと思うけど。
「もうそろそろ来るね。楽しみ」
瞳子との付き合いは長いけど、相変わらず趣味は合わないと思う。
そんなことを考えていたら、扉が開いた。
思わず、鼓動が大きくなる。
「みなさん、おはようございます」
先生がまず入ってくる。
そして後ろに、うちの制服をきた真冬が居た。
教卓の横に移動し、先生が紹介を始めた。
「今日からこのクラスの一員になる、天川真冬くんです。みなさん、よろしくしてあげてね」
……前から思っていたけど、何なんだろう。この先生の上から目線な態度は。
「天川くん、一言お願いできる?」
「……よろしくお願いします」
僅かに聞き取れる、かすかな声で言った。
だけど、一番前の人は聞き取れなかったようだ。
じゃあ何で、わたしに声が届いたんだろう……?
「それじゃあ天川くん、あそこの席に……」
「先生」
台詞を遮り、男子が手を挙げた。
「天川って……天川深夏と同じじゃないですか? だったら、2人は双子?」
瞬く間にざわめきが広がる。
「あっちゃあ……」
「何があっちゃあよ。何で隠してたの?」
ここぞとばかりに瞳子に突っ込まれる。
「あ、えっと、それは……」
わたしが代表して言おうとしたとき、真冬が口を開いた。
「ぼくと深夏は双子です。訳あって、今まで別居していました。
 ただそれだけなのに、そこまで騒がないでください。他クラスに迷惑がかかる」
それだけ言って、真冬はわたしの隣へと移動してきた。
空いている窓際に座り、平然と教科書を取り出す。
それを見て、しばらく黙っていた先生もHRを再開した。
「ま……真冬」
「……何?」
「いいの? あんなこと言っといて……」
みんなの視線はまだ、ちらほらとこちらを向いている。
「嘘は言ってない」
平然と言う。
わたしは、なんとなくこれでいいかという気になっていた。
「まあ細かいことは、叔父さんが片付けてくれるか」
「そういうことだ」
真冬は、不愛想に言った。
………あ。そうだ。
「後で学校案内するね」
「……わかった」
まだ全部覚えてないけど、頑張ろう!
と、内心思っていた。

6:ひな:2012/11/29(木) 21:33 ID:bAY

よーぉ。来たよ。大変だねぇ。
じゃ、頑張って。

7:ゆう:2012/11/30(金) 00:25 ID:lHE

おっ 言っとらんかったけど、ちゃんとなっとるわ。
頑張るけど……応援の台詞不愛想すぎるだろっ
この不愛想ちゃんが……

8:ゆう:2012/11/30(金) 00:45 ID:lHE



「で、ここが……ええと……」
わたしは、正直めちゃくちゃ困っていた。
さっきからこの台詞を繰り返している。
「……いつまで同じ説明をする気だ。もういい」
「あ、うん……って、何で!? まだ全部終わってないじゃん」
「もうとっくに調べた。丸ごと頭に入っているはずだ」
「し、調べたっていつ?」
「1時間目」
………。
聞き間違いじゃないとしたら、これは間違いなく授業放棄だ。
でも、真冬ならそのくらい平気でやってのける。
校長のバックアップがある上に、元私立中に居たんだ。
「死ぬ程頭いいに決まってるよ……」
「少なくとも、深夏よりかはな」
げっ 聴かれてた。
「でも、今回はPCを使った」
ああ、うちの学校のページを検索したのか。
「あ、そう……って、もうチャイム鳴る! 真冬、帰ろ……」

――あれ?

くるりと後ろを向くと、さっきまで居た真冬の姿がなかった。
「ま、真冬? 何処に……んぐっ!」
突然、口を塞がれた。
なっ、何!?
暴れようとするも、徐々に意識が遠のいていく―――訳じゃなく。
耳元で声がした。
「騒ぐな。耳を澄ましてみろ」
真冬だ。
言われた通り、耳を澄ます――――……

「………それは、こちらの方では……」
「そこを何とか……」

そんな会話が、かすかに聴こえてくる。
「真冬、これ……」
わたしは、声の主に心当たりがあった。
「校長の声だ」
真冬が小さく目を見開く。
「………なるほど。もしかしたら……」
そう呟いたかと思うと、ポケットから何かを取り出した。
――イヤホンだ。先端が音楽プレーヤーじゃなく、平べったくて丸い銀色の物体に繋がっている。
まるで、聴診器の先みたいな形。
真冬は、それを声の主がいる部屋の窓ガラスに押し当て、イヤホンを耳に付けた。
すると、わたしに片方のイヤホンを差し出す。
……付けろ、ということなのかな?
受け取ったわたしは、ちょっと緊張しながら声に耳を澄ませた―――――……

9:ゆう:2012/12/01(土) 23:34 ID:RzY


キーンコーンカーンコーン

「ええ ぐっ!」
真冬がわたしの口に手を押し付ける。
もう少しで大声をあげそうになったわたしを、抑えてくれたらしい。
「とりあえず、今は戻る。また後で来よう」
「うん」
ひそひそと会話をした後、ばたばたと走り出した。


「………よかった。見つからなかっ……」

「天川くーん!」

うげげっ!
ドアのすぐそばにいたのは、クラスの女子軍団。
中心部に居る団長的存在――岡沢恵菜が、真冬を中に引っ張り込む。

「ねえ、天川くんのこと色々教えて!」
「勉強解らなかったら、あたしが教えてあげる!」
「ねえねえ、どんなものが好き?」

口々に質問を浴びる真冬。
女子軍団から離れようと、真冬の手を握る。
それを見ていた一部の女子が、静まりかえった。

――やばい。

「ちょっと深夏、あんたと天川くん双子らしいけど、そろそろ離れたら?」
「学校案内中一緒に居たんでしょ? そろそろわたしたちに交代してよね」
「それともついてくる?」
「うわあ、ストーカー」
「被害届出しちゃおっか」
「ねえ瞳子、あんた天川深夏と仲良いでしょ? 説得しなさいよ」
「み、深夏……あの……」
「先生ー? 梨沙たちとも一緒に居る権利ありますよねー?」
「深夏さっさと離れてよ。邪魔」
「天川くん、こっちきて」
「そうよ。天川くんも早くきてぇー」

―――ふうん。そんなことするんだぁ………
わたしが徹底的に潰してやろうと、大きく息を吸い込んだときだった。


「――邪魔だ」

そう言ったのは、わたしじゃない。
「真冬……」
「えっ 何? 天川くん、今なんて……」
「邪魔だって言ったんだよ。退け」
―――――……。

「なっ……! 天川くん、わたしとお話したくないの?
 自己紹介したでしょ? 岡沢恵菜。
 わたし、天川くんとお話したいなぁ」
「恵菜のお父さんは岡沢グループの社長なのよ!」
「恵菜さんから直接声掛けてもらえるの、幸せ者しかいないのに!」

「それがどうした? 凄いのは親だろう。岡沢さん自身じゃない。
 偶然裕福な家に産まれただけだ」

真冬が言い切った途端、女子軍団にざわめきが広がった。
口々に真冬のことを言う者や、わたしを貶す者もいる。
その中、岡沢恵菜だけはまだ余裕を保ち、真冬を誘った。
「天川くん、貴方の気持ちはよく解かったわ。
 じゃあ、わたしと普通の友達として話しましょうよ。
 お昼休み、教室で………」

岡沢恵菜は、言いかけた台詞を途中で切った。
手が震えている。
視線の先を見ると、真っ直ぐに真冬の瞳にいき着いた。


「―――言っておくけど、ぼくは誰とも仲良くする気はない。
 ましてや、君たちみたいなその場の空気を読み、それに従い、
 リーダーに気に入られようとしている能無しの
 馬鹿共とはね」

「な……な………」
「え、恵菜……」
「恵菜さん……」
怯えた目をして震えている岡沢恵菜を見て、側近やグループメンバーたちが無駄に気を使う。
すると、彼女はぶるぶると首を振り、グループに向き直った。
「ちょっと……! それどういうこと!?」
遅れて、岡沢恵菜の手下たちに対する怒りが飛ぶ。
一瞬意識がそちらに向いたとき、真冬が動いた。
繋いでいた手はそのままで、物音立てずに席に着く。
すると、見計らったかのようにチャイムが鳴った。

10:ゆう:2012/12/01(土) 23:58 ID:RzY



             ☆


夕方、家に帰ったわたしたちは自分たちの部屋に居た。
部活は両方帰宅部だから、人混みに巻き込まれず、スムーズに帰ることができた。
わたしは2段ベッドの2段目に寝転がり、じっと天井を見つめている。

「……深夏」

いきなり名前を呼ばれ、びっくりしたわたしは、思わず跳ね起きた。
と同時に天井で頭を打つ。

「ったぁ……」

真冬を見ると、わたしに背を向けて震えている。
な……な……!
「何笑ってんのよ! そんなに面白い!?」
そう叫ぶわたしの顔は真っ赤なんだろう。
妙に暑い。
着ていたジャージを脱ぎ、尚も笑い続けている真冬の背中にぶつける。
「つっ……」
大した痛みはないようで、すぐに返品された。
「………は……はーぁ……」
「何がはーぁよ!! もう、笑い過ぎ!!」
今度は枕を投げる。
「うわっ」
見事後頭部に命中し、前に倒れこんだ真冬は、パソコンの画面におでこを打ち付けた。
「痛てて……」
「ほーら見なさい。笑い過ぎの罰よ!」
「……面白かったんだから、仕方ないだろ」
すねたような顔で真冬は呟く。
いつの間にか私を直接見ていて、何故かちょっとどきっとした。
昼間のあれの影響かもしれない。
「……真冬」
「……何?」
再びPCをいじりだした真冬は、無感情な声で答えた。
「さっきは……ありがと」
真冬の動きが止まる。
「……別に」

それを聴いて、わたしはちょっと安心した。
やっぱり、真冬だ。
あのときは丸で別人の感じて、ちょっと気まずかったのだ。
でも、変わってない。
だったら、今まで通り過ごせるって訳だ。
「じゃあ、おやつ取って来るね。何がいい?」
「何でもいい」
そう言うと思った。
「じゃあ全部持ってくる!」
「全部って……」
真冬が呆れた顔をしている。
それに、わたしは笑顔で返した。

こんなやりとりも、前はしなかった。
わたしたち、ちょっと双子に近づいたのかな。
きっと、そうだよね。―――お母さん。

「あれ、深夏ちゃん」
「あっ、叔父さん!」
廊下を曲がったとき、叔父さんとばったり出くわした。
「あれ、出かけてた?」
「ああ、ちょっとね。それより、今時間あるかな?」
時間?
あるけど……
「ちょっとこれを見て欲しいんだ」
そう言って、叔父さんはわたしをリビングへ連れて行った。
その姿勢は、何だか少し緊張感が漂っている。
「えと……真冬も連れて来た方がいい?」
「ん? ああ、出来ればその方がいい。
 呼んできてくれ」
「わかった」
部屋に逆走し、扉を思いっ切り開ける。
「真冬、探偵やるよ!」


このときわたしがどうしてこう言ったのか、自分でもよく解からない。
でも、これがすべての始まりだったということは、確かだ。

双子としての、わたしと真冬の闘いが始まろうとしていた。

11:咲:2012/12/02(日) 17:53 ID:m/s

あっ ちょい訂正!
「丸で別人の感じて」=「丸で別人のように感じて」
ですっ。

12:ゆう:2012/12/02(日) 17:54 ID:m/s

ちょっ……何勝手に名前変えてんだよっ!
しかもパクりじゃねえかっ!
ああ、みなさん気にしないでください。
アホ汐音っ!

13:ゆう:2012/12/02(日) 18:05 ID:m/s




「……話って何?」
真冬が無表情で尋ねた。

何でか知らないけど、叔父さん&叔母さんに対する真冬の態度はいつもこう。
仮面を付けたように、無表情・無感情・ノーリアクションになる。
不愛想はいつものことだけど、わたしと居るときより拍車がかかっているような気がする。

「話はな……これのことだ」
そう言って、叔父さんはテレビを付けた。
CMが終わり、ニュース画面になる。
テロップには、こう出ていた。
「音羽崎町空き家で変死体……?」
叔父さんはゆっくりと頷くと、話を始めた。

「隣町の音羽崎町で見つかった変死体は、俺の知っている人の遺体なんだ」
しばらく沈黙が流れる。
すると、真冬が口を開いた。

14:ゆう:2012/12/02(日) 18:05 ID:m/s

切り悪いけど、あとでっ。

15:ゆう:2012/12/02(日) 23:03 ID:Hcg

「それが? ぼくたちに関係がないなら戻るけど」
「お前たちに直接関係はない。だから、頼みがあるんだ」
きょとーんとするわたしと、相変わらず仮面状態の真冬。
それぞれの顔を見比べ、叔父さんはきっぱりと言った。

「この変死体発見事件の謎を、解き明かしてくれ」


―――?
「叔父さん……本気で言ってる?」
恐る恐る尋ねたわたしに、叔父さんは尚もきっぱりと頷く。
本気―――……。
「理由は? 調べる訳を教えてくれないと、ぼくも深夏も納得できない」
「それは……まだ言えない」
顔をしかめ、俯く叔父さん。
わたしは心の中を確かめてみた。

今私の心には、妙な感情がある。
ふわふわしているけど、ちゃんと形がある。
それは……やりたいということ?
違う。
できるか心配?
違う。
展開がよく解からずに引き受けることに対しての、拒絶?
―――違う。
わたしが上げたものは、すべて当てはまらなかった。

――――真冬となら、できる。
それは、突然心に浮かび上がってきた感情だった。
そして―――不明な感情に、ぴたりと当てはまった。
……そうか。
わたしは、やりたいんだ。
1人じゃなく、真冬と。


「―――やる」
無意識に、そう呟いていた。
「この事件の真相を、解き明かせばいいんだよね」
「ああ……深夏ちゃん、やってくれるんだね」
「はい」
自分でも驚くほど、わたしはきっぱりと言い切った。
「真冬?」
「―――深夏がやるんなら、やる」

それを聴いたとき、わたしの心に新たな感情が生まれた。
嬉しい―に似ている。
でも、それは安心感にも似ていた。

「わかった。ありがとう。
 期間は今日から1ヶ月だ。
 そして、気が向いたら途中結果を教えてくれ」
「あ、このことを叔母さんは知ってるの?」
「ああ、昨日相談して決めたことだ。
 じゃあ、宜しく頼んだぞ。
 それと、くれぐれも無茶はするな」
「はい」

わたしと真冬は、揃って部屋を出た。
そして、目を合わせる。
もう役割分担はできていた。

「――探偵開始!」
真冬は、しっかりと頷いた。

16:ゆう:2012/12/03(月) 21:05 ID:F2Y



          ☆


キーンコーンカーンコーン
突如鳴ったチャイムに、黒板を写していた手が止まる。
学級委員長が号令をかけ、先生は職員室に戻って行った。

真冬と目を合わせ、教科書類を片付ける。
そして、ノートとボールペンを持って教室を飛び出した。


「……追ってこないね。昨日の人たち……」
「そうだな……」

先生の注意もそこそこに廊下を突っ走り、勢いよく角を曲がる。
幸い人は居らず、少し緩めの急ブレーキをかけた。
ドアの前で丁度止まり、わたしは後ろを振り返った。
もちろん、真冬は居る。
一瞬目を合わせ、履いていたシューズを脱ぐと、わたしたちはすぐ前の部屋――PC室に駆けこんだ。

17:ゆう:2012/12/03(月) 21:06 ID:F2Y

あーあ。母さんにみつかった。
まあいいか。

18:ゆう:2012/12/06(木) 21:02 ID:tbQ

休憩時間は毎回開いているPC室。
授業中にできなかった調べものをやる為に計画されたらしいけど、実際はそう装ってネット見てる子が大半。
あ――…
「あれもしかして……」
「岡沢さんだ。ツイッターでもしてるんだろ」
「何で知ってるの?」
「教室で携帯使ってツイートしているの見た」
観察力、すごい……。
「もういいよ。さっさとやろう」
わたしはそう言って、手前の椅子に座った。
隣に真冬。
PCは元から立ち上げられているから、時間短縮になる。
「えっと……音羽崎町変死体遺棄事件?」
訊いたつもりで言ったんだけど、真冬は綺麗に無視。
「真冬? 無視しないで……」
言いながら手元を見る。
うわ、速っ!
タイピングする速さが尋常じゃない。
相当使い慣れてるんだろうな……
「……深夏?」
「えっ あっ ごめん。やろう」
そう言って真冬のPCを覗き込むと、もうすでに昨日のニュース番組のサイトが映し出されていた。
「これ……昨日の放送内容一覧?」
「ああ。詳しい情報は、これ」
項目をクリックすると、新たなページが画面いっぱいに映し出された。
「被害者は、音木色香さん22歳。
 大学3年生で、音羽崎町3丁目でアパートを借り、一人暮らし中。
 実家は隣県の相模町で、両親ともに健在。
 発見当時はレディスに身を包んでいたことから、就職面接の帰りではないかと推測されている。
 第一発見者によると、首には絞殺痕、手首には切断痕、胸部には果物ナイフが深々と刺さっていたと言う」
真冬が小さく、でもはっきりした声で説明を読み上げた。
「痛いだろうな……」
何気なく呟くと、真冬は変な顔をした。
そこか? とでも言いたいんだろう。

19:ゆう:2012/12/07(金) 18:37 ID:vNU

――ん?
視線を感じる。
前を向くと、岡沢さんがわたしと真冬をガン見していた。
左目から射抜くような視線を発し、その矛先はわたしに向いている。
右目は何とも言えない視線を真冬に向けている。
……当の真冬は、何も気付いてない。
「真冬? 大丈夫?」
「何が?」
ぽけっとした顔で見返された。
いや……あのね?
「岡沢さんなら放っておけばいい」
あ、気付いてたんだ。
鈍感なのかと思ったけど、けっこう鋭いみたい。
「……岡沢さんに睨まれてるぞ。何かしたのか?」
「する訳ないでしょ!」
やっぱり、真冬は鈍感だ。

20:ゆう:2012/12/09(日) 12:51 ID:eUg



           ☆


そして、ちゃっちゃと授業をすませて放課後。
わたしたちは市の図書館へ移動していた。
バスで約10分くらいの図書館は、真冬にとって行きつけの酒場みたいなものらしい。
まあ、13歳で酒場なんて行ける訳ないけどね。
「………うぅ」
「真冬、大丈夫?」
無言で口を押える真冬。
……どうやら、酔ったらしい。
「何でこう乗り物に弱いかなぁ……これから色々調査するのに」
交通手段が使えないとなると……
「………そこは心配ない」
え?
「深夏が……主に…動いて、ぼくが……PCを使った調査をっ……すればいいだけだ」
「ちょ、ちょっと、何よそれ。わたしパシりみたいじゃないのよ」
「……それが一番良いやり方だから、仕方ない……うっ」
ええ……
良いように利用されているような気もするけど、そこは放っておいた。
―――だけど。
「これやれあそこ行けって言うのはいいけど、秘密はなしだからね。
 事件に関わることなら、尚更」
もし黙ってたら、ただじゃおかない。
「……解かってる。一応ぼくたち双子だしな」
あ……
「忘れてた」
途端に、変な目で見られる。
「あ、はは……」
「笑って誤魔化すな……そろそろ降りるぞ」
あ、はーい。

21:ゆう:2012/12/12(水) 23:26 ID:lmw




「ふっ」

図書館のPCの前で、何回目かの欠伸を噛み殺した。
途端に真冬に睨まれ、またやる気を失くす。
そんな悪循環を繰り返し、今に至る。

こういう調べ物は、わたしは何かと得意じゃない。
苦手というのが一番の理由だが、まずはやり方がよくわからないのだ。
何処から調べればいいのかすら見当もつかなければ、答えを見つけてもまとめられない。
きっとわたしの頭はどうかなっているんだろうと、認めざるを得ない。
「ねえ真冬……もう帰ろうよ。暗くなってきたし」
それは嘘だ。
さっきまで夕焼けが始まったばかりの空を、飽きる程眺めていたのだから。
そう解かっているんだろう。真冬は、相変わらず無視し続けている。

「………ふぅ」
「? 何かわかった?」
「まあ、とりあえずは……」
とりあえずというのが気になるところだが、別に訊ねないでもいいだろう。
「帰ろうよ。もう疲れたし、真冬だって目ぇ休めないと」
「……わかった」
珍しく素直だ。
でもまあ、帰れるんだったら何でもいい。
「あー 疲れたぁっ」
椅子に掛けていた鞄を肩に戻し、自動ドアを潜り抜けようとした。


―――――そのときだった。

22:ゆう:2012/12/14(金) 20:52 ID:ccc

パァン!!

静かだった図書館内が騒然となる。
それに重なるように、柔らかな声が響いた。

「――――ちょっと静かにしてて頂戴よ。
 今から縛ってあげるから」

女……?

「――深夏」

――真冬

「頼みがあるんだ」

「何……?」
「20秒だけ、ぼくを隠して」

え……?

23:ゆう:2012/12/20(木) 14:04 ID:cj6

「早く」
「あ……うん」

先程の声の主が姿を現した。
女だ。
明るい茶髪をポニーテールに縛り、ぴっちりとした黒いボディースーツを着ている。
少し残した前髪の隙間から、射抜くような目が覗く。

その瞳は、しっかりとわたしを捉えていた。

「お嬢さんもいたの。
 でもまあ、その年齢じゃあ大丈夫ね。
 喚かないでよ?」
完全にバカにした言葉をぶつけられる。
思わず手を上げそうになったとき―――――


『落ち着け』

「ぅえっ!?」

24:ゆう:2012/12/21(金) 14:28 ID:WQc


周りの目が一気に集まる。

「あ……」
『おい!』

「どうかしたの?
 恐い?」
そりゃ恐いよ。
調べものに来ただけなのに、いきなり人生初のハイジャックに遭うんだから。

『落ち着け。深夏』
「お、落ち着けって……」
誰? と言いかけて、気付いた。
「真冬?」
『やっと気付いたか。
 にしても遅過ぎるぞ。どれだけ鈍感何だ?』
「知らない! って言うか、何処から喋ってんの?
 隣にも後ろにも居ないし……」
『忘れたのか? バスの中で渡しただろ』
「え? あ……」

そこまで言われて、思い出した。
来る途中のバスで、真冬から渡された箱。
中身は、超小型の通信機。
服の襟に付けとけって言われて、早速付けておいたんだった。


「そっか。便利〜」
『そこ感心するところか……?
 まあいい。今どうなってる?』
「え? ああ……」
周りに目を戻すと、恐ろしい光景が目に入った。

25:ゆう:2012/12/21(金) 14:30 ID:WQc

裏話1
「超小型の通信機」と打とうとしたら、
「ちょこがたのつうしんき」となってしまった。
うーん。チロルだったら採用かな。

26:ひな:2012/12/21(金) 14:35 ID:bAY

おい、何じゃそりゃ!
あー、チョコ型の通信機、ね。
そりゃ、チロルじゃなきゃ何?
うーん………麦チョコ?

27:ゆう:2012/12/21(金) 16:18 ID:WQc

あ、麦でもいいや。

28:ゆう:2012/12/21(金) 19:18 ID:glI

わたしの手が震えている。
ちらりと前を見ると、すぐ目の前にあの瞳があった。

「残りはお嬢さんだけみたいね。
 ――さあ、縛ってあげる」

手が伸びてくる。


『深夏』
「真冬」

声に出して、はっきりとそう言った。
相手が怪訝な顔をする。



「――――はあっっ!!」

真冬から、合図が来たのだ。

29:ゆう:2012/12/25(火) 11:55 ID:WRU

相手に、とびっきりの三角蹴りを見舞った。
即座に吹っ飛ぶ。

でもこれだけじゃ、駄目でしょうね。

『これじゃまだ効いてないな。
 図書館という静かな場所でこれだけの騒ぎを起こしたんだ。
 相当な度胸の持ち主だろう。
 黒いボディスーツを着ていると言う事は、何かしら格闘技をやっている。
 気を付けろ』
「分かってるわよ!」

相手はまだ起き上がらない。
だけど、まだ完全に倒した訳じゃない。
油断は禁物――――。

『にしても、何時格闘技何て習ったんだ?』
「別に! テレビで見て覚えただけっ!」
『それにしては出来が良過ぎるぞ……嘘吐いてないだろうな?』
「嘘じゃないわよ! どれだけわたしを信用してないのっ!?
 もう、緊張してたのに解れちゃったじゃん!」
『……解れたならそれでいい』

――え?

「真冬、今……」
『気を緩めるな』


前を見ると、腹部突きを前にした拳が迫っていた。

30:ゆう:2012/12/25(火) 12:26 ID:WRU


『深夏!』
「分かってる!」

片手で受け止め、そのままくるりと後ろを向く。
思いっ切り、それでも慎重に腕を降ろした。

『……背負い投げか』
「そう! 一番手っ取り早いでしょ?」
『それはまあ、そうだが……』
「気絶しちゃったけど、死んではないよ。
 何処に居るか知らないけど、とりあえずそこから警察に連絡して」
『ああ。分かっ―――ぐっ!』

え?

「真冬? 真冬!」
『み、なつ………』

通信機から何かが倒れるような音がした。
まさか……!

「真冬! 真冬!!」
通信機に向かって叫ぶも、くぐもったノイズしか聴こえない。


そして滔々、通信が切れた。

「真冬? 真冬! 真冬!!」

縛られている周りの人が、不思議そうにわたしを見ている。
それでも、わたしはその人たちを放り出した。


廊下に飛び出し、ありとあらゆる部屋のドアを開け放つ。
そしてわたしはある部屋で、よくわからない光景を目にした。

31:ブラックキャット:2012/12/25(火) 12:51 ID:bAY

はてさて、深夏はどんな光景を眼にしたんかね。

32:ゆう:2012/12/26(水) 08:40 ID:19A

ま、それはお楽しみに。
けど……ほんま微妙やで?
あんま期待すんなよ。

33:ゆう:2012/12/26(水) 08:59 ID:19A


「う、あ……?」

そこは、ちょっとした観劇ホールの様な場所だった。
窓と言う窓には暗幕が張られ、光がすべて遮断されている。
当然の事ながら周りがよく見えない。

ここに真冬が居るとは思えなかった。
でも、何か手懸りがある。
わたしの勘は、そう告げていた。

「とりあえず……舞台に上がってみるかな」
無意識に呟いていた。
身体はその言葉通りに動く。
タンッと音を立て、舞台の上に飛び乗る。
ライトは点いてないから、目を駆使して調べる。

「だっ!」
……それでも、暗闇には勝てない。
何かに頭をぶつけてしまった。
「ったぁー……」
額を擦りながらぶつかった物を見る。

「――――!?」

前にあったのは、小さなコインロッカーだった。
そしてわたしが驚いたのは、表面に張り付けてある白い紙だった。

「え……何か書いてある。
 えーっと……」


わたしが再び走り出したのは、それから12秒後だった。

34:ゆう:2012/12/26(水) 10:25 ID:19A



「う………」

酷く薄暗い部屋で、ぼくは目を覚ました。
今居る部屋の壁はコンクリートで固められ、触ると冷たい。
天井にパイプが丸出しなところを見ると、此処は恐らく地下室だろう。
手や足は縛られておらず、自由に動くことができた。

あれからどうなったんだろう。
深夏がジャック犯を倒して、ぼくが警察に通報しようとして―――――……

通報しようとして、拉致された。


奴の仲間か。
クロロホルムを嗅がされたんだろう。
口と鼻をハンカチで覆われたとき、柑橘系の甘酸っぱい臭いがした。
そもそも女が1人でハイジャック何て聞いたことがない。
男ならあり得るが、ただでさえ力の弱い女は必ず誰か仲間を連れているはずだ。

まあ深夏なら、1人でもやってのけるだろうけど。


――深夏?

深夏はどうなったんだろう。
この場には居ない。
まさか他の場所に拉致されたんじゃないだろうな………
頭に恐ろしい考えが次々と浮かんでいく。

すると突然、部屋に光が差し込んだ。

35:ゆう:2012/12/27(木) 09:59 ID:kVw


「―――お目覚めの様ね。
 どう? 麻酔用薬品に誘われる眠りは」

……冗談にしか聴こえない。

現れたのは、先程の女だった。
だが、あの女は深夏に倒されたはず。
と言うことは、よく似る様にメイクをした奴か、あるいは―――――

「妹ったら、あっさりと倒されちゃったわね。
 あれでも空手・柔道・合気道・急所・神経遮断術はすべてマスターしてるのに。
 それらすべてでも、テレビで聞きかじっただけの女の子に負けちゃった。
 やっぱり1つのことをとことんやらないと駄目ねえ」
「愚痴を聴かされに来たんじゃない」
「あら、そもそも自分から来たのかしら?
 違うわよねぇ」
「お前たち双子の姉妹に拉致されたんだろう。
 ぼくを此処に監禁して何の意味がある?」
「意味。そうねぇ……」

沈黙が続く。
そして、双子の姉が口を開いた。

「あの子を誘き出す為よ」

36:ゆう:2013/01/12(土) 23:51 ID:B0U


「まさか……深夏を!?」

思いの他動揺してしまう。
そんな自分に疑問も感じて来たが、今はそれどころじゃない。

「深夏を呼んで……どうするつもりだ?」
「そうねえ……どうしてあげましょうか。
 煮る? 焼く? あ、天日干しでも良いわ」

……冗談じゃない。

「深夏は、今警察を呼びに行っているところだ。
 もうじき到着する」
「あら、そう? でも、違うみたいよ」


訊き返そうとしたその時、コンクリートの壁が吹っ飛んだ。

37:ゆう:2013/01/13(日) 13:19 ID:/NA



……目の前で起きた現象を、ぼくはすぐ理解出来なかった。
固まった脳を奮い立たせ、分析を始める。

あれは単なる壁だ。素材はコンクリート。
扉などでは無い筈。第一、今ぼくと一緒に居る女が入って来たのは、別にある扉だ。
とすると、耐震加工などが組み込まれている多少頑丈な壁。

そんな壁を、一撃で吹っ飛ばす力の持ち主……

思わず口が歪む。
そして、分析結果通りの声が飛んで来た。


「真冬!!」

38:ゆう:2013/02/18(月) 18:45 ID:cBU




あのとき―――ロッカーに貼られた紙には、こう書かれていた。


君の相棒君は、地下の極秘倉庫にいる。
そこには頑丈な錠前の付いた重い扉があるが、果たして華奢な君が開けられるかな?


―――――嘗めてんじゃないわよ。
怒りで思わず紙を潰していることにも気付かないわたしは、気付いたら客席を飛び越えて出入り口へと突っ走っていた。



真冬は………大切な弟は、絶対にわたしが助け出す!!






「真冬!!」
崩れ落ちた壁の向こうに、真冬が居た。
一瞬顔が歪みそうになるけど、今はまだ駄目。


「あんたね……真冬をこんなとこに閉じ込めたのは!!」
「おい、深夏っ……!」

誰かが何か言ったけど、今のわたしにそれは届かない。




覚悟しなさい―――!!

39:ゆう:2013/02/19(火) 18:46 ID:SlA



隙を見せずに、相手に飛び掛かる。
勿論相手は避けた……

ところを――――

「はあっっ!!」
脚を高く突き上げ、相手の左頬に回し蹴りを喰らわす。
あまりの身体の角度に、頭が床に着きそう。
それでも、わたしは構わない。

「―――この子供、嘗めたことするじゃない!!」

40:ゆう:2013/02/19(火) 18:59 ID:SlA

相手も反応し、わたしに食って掛かる。
素早い動きで片腕を拘束されたわたしは、悲鳴を上げる他無かった。

「くっ……!!」
引きはがそうとするものの、敵の力が強くて離れない。
ヤバい。 このままじゃ……!!


「う゛ぅっ!!」


―――え?


「真冬!?」
「……ああ」


助けてくれたの……?

41:ゆう:2013/02/20(水) 18:53 ID:77M


「ったく……無茶するな」
目の前には無愛想に構える真冬。
その姿を見て、わたしは何故か妙に安心した。

「っていうか、何したの!?
 この人殺してないよね!?」
我に返り、即座に突っ込みを始めるわたし。
「真冬何で拉致されたの!?
 もしかして、わたしが図書館で暴れたから職員が怒った!?
 嘘、どうしよ……」
「落ち着け。
 何阿呆なこと考えてんだ。
 全部簡単なことだ」


真冬からこれまでの話を聞き終えたのは、それから約3分後のことだった。

「な、なぁるほど……」
吐息交じりでわたしは呟く。
すると、真冬が再び口を開いた。
「……何で壁を壊した?」

え?

「あ、ああ、あれね。
 何か、真冬の居場所が書いてある紙に、その部屋のドアには錠前が………」
わたしもこれまでの経緯を話す。

「それで、錠前のせいでドアが開かないんだったら、もういっそ壁壊しちゃえって思って」
話を聞き終えた真冬は、本気で驚いている。
「……どんな馬鹿力だ。生まれつきか?」
「そうだけど」
わたしが即答すると、更に驚いた顔をする。
けれど、それも一瞬のことだった。
「まあいい。 深夏、そのぼくの居場所が書かれていたっていう紙、まだ持ってるか?」
「持ってるけど……何の役に立つの?」
わたしは、ポケットからくしゃくしゃになった紙を取り出す。
真冬はそれを広げ、まじまじと見つめた。
少しの間眺めていたけど、何も目ぼしいことは無かった様で、自分のズボンのポケットに入れた。
そして、すたすたと歩き出す。

「ちょっ、ちょっと、何処行くの!?」
わたしの声に、真冬は振り返る。
「……帰る」
「へっ? か、帰る……って、えええ?」
思わず間抜けな声を上げてしまった。
「……深夏は帰らないのか?」
「かっ、帰るわよ! 当たり前じゃない!」
「だろうな。……あ」
歩き始めた真冬が、止まった。

「どうしたの?」
「……深夏、さっきの馬鹿力、まだ使える?」
「そりゃあ使えるよ。でも……何するの?」
「ここから脱出する為の、一番簡単な方法だ」

一番、簡単な方法?

「この壁を、壊す」


……真冬はそう、淡々と言った。

42:ゆう:2013/02/24(日) 23:22 ID:Ut2

わたしは真冬の瞳を見つめた。

わたしたちが、双子、だからかな。
今なら、真冬の言いたいことがわかる。


「……分かった。
 やるから、退いてて」

真冬が後ろに身を引く。
それを横目で確認し、わたしは深呼吸した。


そして、眼を見開く。


「はあああああっっ!!!」


有りっ丈の力で、壁に拳を振り下ろす。
ビキビキっという音を立て、壁に罅が入る。


よし、あとは―――!!


ガアアアアアアンっっっ!!!!



「……これでいい」
真冬が言う。

目の前の壁は、わたしの上段蹴りによって瓦礫へと変わっていた。


「ここから出るぞ」
そう一声言い、真冬は瓦礫の間を進む。
後を追って、わたしは走り出した。

43:ゆう:2013/03/05(火) 16:31 ID:C0Q





あの後怒られたのは、言うまでもなく。
叔父さんは怒りで雄叫びを上げ、叔母さんは溢れ出る安堵で泣き崩れる。
それを正座で構え、身を小さくして聞き、ただ見ているわたしたち。

――――服にはまだ、通信機が付いている。


「真冬……これどうにかならない?」
『……ならない。 昔からこうだが、叔父さんの雄叫びは怒りが収まらないと終わらない』
「ああ……そうよね。 叔母さんもそう。泣き続けた時間、最大で4時間半よ」
真冬が小さく、本当に小さく溜息を吐く。
心境はわたしも同じだ。
でもずっとこんな感じでいるのも、耐えられない。
そう感じたわたしは、気になっていることを質問し始めた。
「あの黒いボディスーツの女、どうやって倒したの?」
『簡単なことだ。後ろから首筋に向けて蹴りを入れた』
「それだけで倒せちゃうの!?」
『神経遮断術だ。深夏も覚えておくと良い』
「言われなくてもそうするわよ。 それで結局、あの女どうなったの?」
『あのまま放置してある』

「うっそぉ!! じゃ、どうするのよ!?
 あのまま飢え死にしちゃうかもよ!!?」


………やっちゃったぁ……

「ちゃんと聴いていたのか!? 深夏ちゃん!!」
「いきなり何なのよぉ、深夏!! でも、無事で良かった……」
わたしは真冬の言葉に吃驚し過ぎて、思わず大声を上げてしまっていた。
しゅううううと音がしそうな勢いで小さくなるわたしを、真冬はこれまで以上に呆れた眼で見ている。

「何やってんだ……気を付けろ」
「ごめんなさい……あはは」
乾いた笑いしか出てこない。

「……って、どうするのよ?
 本当に飢え死にしちゃうかも……」
『それなら大丈夫』
再び雄叫びと号泣を始めた2人を尻目に、わたしたちは通信機を働かせる。
『帰る途中で木暮さんに会った。
 何処に行くのかと訊けば図書館と言うから、事情を少し話した』
「ええっ ハイジャックのこと!?」
『ぼくが拉致されたことまでは話してない。
 それで、良ければ警察に通報しておいてくれとお願いした』
「瞳子……何て?」
『了解してくれた。
 それと……』

「それと?」

『この前は、ごめんなさいって』

瞳子……
『深夏にも伝えておいてくれと頼まれた。
 ……後で、電話すれば』
「………うん」


御説教はまだ続きそうだ。
わたしたちは目を合わせると、部屋を出て行った。

44:ゆう:2013/03/05(火) 17:55 ID:C0Q

裏話2
真冬はバスに乗ると酔うから、1人で歩いて帰った。
(これは、説明と言う名の付け足し。)
瞳子じゃなくて岡沢恵菜に会うのもいいかなーとか考えたけど、側近の奴等がきっとうるさいからやめた。
いつか番外編で、「岡沢恵菜の初恋 〜双子、大ピンチっ!?〜」とかやってみたいなーと思ってしまった。(汗)
もしかしたら将来実現するかも……なんてね。

45:ゆう:2013/03/05(火) 18:17 ID:C0Q

RRRRR RRRRR

『…………』
「あっ え、えと……瞳子?」
『そうだけど……深夏?』
「うん。 あ、さっき、真冬から………」
『聴いたんだ。天川君から』
「あ、うん。そう。それで………」
『何?』
「わたしからも、ごめん」

『………いいよ。深夏何もしてないじゃん』
「え? そっ そうだっけ?」
『そうよ………ふっ ふふふっ』
「ちょ、ちょっと瞳子! 笑わないでよ!」
『ご、ごめん。あはっ あはははっ』
「もう。笑わないでって言ったばっかじゃん!
 瞳子の馬鹿っ!」
『ごめんごめん。……だって、深夏らしくないんだもん』
「へっ……?」
『深夏、変わったね。
 天川君と一緒に居る様になってから、素直になった』
「そ、そうかな……」
『そうよ。 ねえ、聴いて。深夏』
「なっ 何?」
『天川君――真冬君は、深夏のこと大事に思ってるよ。絶対。
 あの言い方はそうだもん』
「あの言い方? 真冬、瞳子に何か言ったの?」
『うん。
 私、思わず本音言っちゃったの。
 あんなことして……深夏に嫌われちゃったなって』
「………」
『そしたら真冬君、それは違うって。
 深夏は木暮さんを信頼してる。
  だからあの後自分から話し掛けようとしなかったんだ≠チて』
「……真冬が、そんなこと」
『私まだそのことがよく分からない。でも、分かる気がする。
 ……あ、でも何か不機嫌だったな。それ言ったとき』
「……瞳子。
 わたし、瞳子が大好きだよ」
『深夏……私も』
「じゃ、じゃあねっ」
『あっ 待って、みな………』


電話を切った。
顔が熱い。
眼も少し涙ぐんでいる。
ケータイを握りしめ、わたしは少しだけ笑った。

46:ゆう:2013/03/05(火) 18:45 ID:C0Q

『……瞳子。
 わたし、瞳子が大好きだよ』
「深夏……私も」
『じゃ、じゃあねっ』
「あっ 待って、深夏っ……!」


電話が切れた。
深夏のことだから、きっと恥ずかしくなって突発的に切ってしまったんだろうな。

窓を開け、少し火照った頬を風で冷やす。
私は伝え損ねた言葉を、頭の中で反芻した。



だから絶対に、真冬君を大事にして。
私の大切な、幼馴染を。



幼稚園時代、私はここ――糸崎町の隣町に住んでいた。
そう。 嘗て、真冬君が住んでいた町。
相手は私のことなんてちっとも意識してなかったけど、私は真冬君が好きだった。
このまま一緒の小学校に行くんだ―――ずっとそう思ってた。

卒園式の日に、私は泣きじゃくりながら真冬君に言った。
パパとママが離婚して、ママのところ(糸崎町)に引っ越すことになっちゃったって。バイバイって。
でも真冬君は、たった一言しか言わなかった。
そう=\――――。

警察への通報をお願いされたとき、思い切って訊こうかなって思った。
でも真冬君の態度を見て、全てが解かった。
真冬君は私のことなんて、一欠片も覚えてない。
あの頃の私は、黒髪のショートカットでドピンクのフリル付きワンピースを着て走り回ってた。
今はセミロングの黒髪に、青を中心としたシンプルな服装。
あの頃とは全然違う。
それでも、気付いて欲しかった。

これから同じクラスで一緒に居れば、気付いてくれるかなって思った。
「木暮」という母方の苗字になっちゃったけど、瞳子は変わってないから。
また昔みたいに、瞳子ちゃん≠チて呼んで欲しいな。
なんて、心の中で思ってる。



深夏が羨ましい。
双子だから。ずっと一緒にいられるんだから。



「バイバイ。真冬君」

私、遠い街に引っ越します。
お母さん死んじゃったから、お父さんのところへ行きます。

真冬君、深夏を宜しくね。




夏の夕暮れの風に撫でられ、私の目から、涙が零れ落ちた。






バイバイ。深夏。
私の、親友。

47:ゆう:2013/03/05(火) 18:52 ID:C0Q

読んで変だったので、ちょっと訂正。


でも真冬君の態度を見て、私は全てを理解した。
真冬君は、私があのときの瞳子だと、少しも気付いていない。


以上です。

ノリで書いた「真冬&瞳子 ―知られざる過去―」。
楽しんで頂ければ幸いです。

48:桜ウサギ:2013/03/06(水) 19:00 ID:MBE

面白いです!
続きを楽しみにしています!!

49:ゆう:2013/03/06(水) 19:01 ID:thM




瞳子が引っ越して、3日。
あれから何の連絡も寄越さない瞳子に少し怒っていたわたしは、自分の部屋でお菓子をやけ食いしていた。


「瞳子のバカ。何で電話して来ないのよっ
 メールでもいいけど、電話がいいっ
 こっちの番号知ってんでしょ。ね? でしょ?
 だったらさっさと掛けて来なさいよっ!」
「深夏、煩い」
「あっそう!」
いつもなら反抗するところだけど、今のわたしはしない。
だってお菓子、まだまだたくさんあるんだもん。

「……深夏」
「何よ」
「いや……聴く?」
「何を?」


「事件の、真相」

50:桜ウサギ:2013/03/06(水) 19:04 ID:MBE

事件の真相キターっ!!

51:匿名さん:2013/03/06(水) 23:55 ID:gQ.

つまらない

文章下手過ぎ
読みにくい
ストーリーが分かりづらい

52:ゆう:2013/03/08(金) 19:17 ID:MiA

………(驚)

to桜ウサギさん
ええと、初めまして。
ゆうです……。
あ、吃驚して少々気が抜けております。
喜んでおられる様子ですが、そんなに面白いもんじゃありませんよ。
まあ、期待は程々に……。

to匿名さん
まあそりゃそうですね。
一応気が向くままに書いてますし。
でも、1つ言わせて下さい。

誰が小説審査しろなんて言ったんですか?

53:見た巳:2013/03/08(金) 19:20 ID:BGg

双子ミステリーか。
台詞がアニメっぽいな。
ライトノベル向きだな。

54:見た巳:2013/03/08(金) 19:22 ID:BGg

と勝手に向きだとかいってすみませんでした。
意見は変わるがキャラの個性が出てて面白とおもう。

55:ゆう:2013/03/08(金) 19:42 ID:MiA




真冬の一言を聴いてから、恐らく3分は経過しただろう。

「真相……?」

意識がぼうっとした状態で訊くと、真冬は頷く。


これは、本当らしい。


「解かったの!?
 ハイジャックとか、ええと何だっけ。音羽崎町変死事件とか……全部?」
「ああ。……正確に言うと音羽崎町変死体遺棄事件と、先日のハイジャック」
「全部じゃん……じゃあ、叔父さんと叔母さん呼んでくるっ!」
「落ち着け。全部はまだ……あ」

ふえ?


ごんっ!

「痛っったぁ――!!」
「………」

床に寝転んだ状態でお菓子を食べていたわたし。
勿論、テーブルの角に頭をぶつけた。

「っつぅ……真冬、教えてよぉ。こんなとこにテーブル置いたって」
「元から置いてあった。
 ……まだ叔父さんと叔母さんは呼ばなくていい」
「え? 報告、しなきゃ駄目でしょ?
 また怒られるよ」
「そういう意味じゃない。
 まだ完全に謎は解けてないってことだ」

まだ、完全に?

「何で? さっき真冬言ったじゃん」
「考えてみろ。
 変死体遺棄事件はニュースのみ、そしてハイジャックは実際に見たことしか情報がない。
 それだけでどうして2つの関連性を暴けるって言うんだ」

――――ちょっと待った。
「2つの関連性? 何で?」
わたしのもっともな疑問に、真冬は溜息を吐いた。
それでも、口を開く。
「音羽崎町変死体遺棄事件は、まだ警察も大筋しか真相を把握出来ていない。
 そこに、ただの平凡な中学生のぼくたちが乗り出したんだ。
 そのことは叔父さんと叔母さんしか知らない………恐らく」
ふんふん。
「少し調べ出したところで、行き成り図書館ハイジャックに遭った。
 こんな偶然あると思う?」
「無い」
わたしは勿論即答だ。
それぐらい、頭の悪いわたしだって判る。
「そうなれば、自ずとジャックの犯人は見えてくる」
え?
「あの真っ黒ボディースーツの双子の姉妹?
 あれの個人情報が判るって言うの?」
「そうだ。
 どうしてハイジャックという手法を選んだのかは判らないが、恐らく相手はぼくたちを殺す気だったんだろう」
こっ 殺す!?
「え、何で……」
「事件を調べると、普通の人が知らない真相が見られる。
 でもそれが、良い真相か悪い真相かは判らない」
「あっ 分かった!
 その真相は、相手にとったら他人に知られたくないことだったんだ!」
「正解だ。……深夏もやれば出来るじゃないか」
やればって何よ。やればって!
まあ実際、そうだけどさ。
「相手は変死体遺棄事件の真相を知ろうとするぼくたちが邪魔だった。
 だから偶然のハイジャックを装って殺そうとした」
「ちょ、ちょっと待ってよ。
 何で調べてるのがわたしたちだって判るの?
 顔、知られてない筈よ?」
「それはまだ判らない。
 でも相手は確実に、調べてるのがぼくたちだと知ってた。
 ―――いや、正確には深夏がだ」
わたし?
「奴等は深夏を、お嬢さんと呼んだ」

わたしの脳裏を、あのときの映像が閃光の様に貫いた。

56:桜ウサギ:2013/03/08(金) 20:36 ID:MBE

あ・・・ゆうさんすみません。
私、なぜかあのときハイテンションで・・・

でも、ゆうさんの小説とても面白いです!!
楽しみにしています!

57:ゆう:2013/03/09(土) 23:11 ID:KDs

to桜ウサギさん
そう、です、か……。
あたし実はPC禁止されてて、でもDSからはアクセス出来ないんで、隠れてこそこそ更新してるんです。
だから更新めちゃくちゃ遅いんですけど、一応完結はさせますんで。
それまで宜しければお楽しみ下さい。
ああ。ええと。
上の匿名さんに突っ込まれた通り、あたし文章が下手で、トリックとか可笑しなことになってます。
原因は、さっき説明しましたが見つからないようにこそこそしてるので、じっくり考える時間が無いことです。
文章の構成とか、情景描写とか、(≪49とか超分かり辛い。)表現方法とかいろいろと。
手を抜いて書いているというのも有りますが(汗)
此処よく分からないなってとこがあれば、気軽に御質問下さい。

それでは続きを―――――。

58:ゆう:2013/03/09(土) 23:41 ID:KDs

お嬢さんもいたの。
 でもまあ、その年齢じゃ大丈夫ね。
 喚かないでよ?


背筋がぞっとする。
ただ一言なのに、恐い――――。

「……大丈夫。
 年齢は恐らく見た目からの推測だ。気にするな」
「そう……だよね」
今は真冬の言うことを信じることにした。
いや、信じたかった。
「ぼくが拉致されたのは、深夏の行動からもう1人居ると勘ぐったんだろう。
 深夏の通信機が発する電波をキャッチし、辿り着いたのがぼくだった。
 そしてぼくを何処か別の場所に拉致することで、深夏を誘き出そうとしたんだ」
「わたしを誘き出そうとした?」
「深夏は相手にとって厄介な存在だ。
 テレビで聞き齧っただけだが、急所は一通りの知識がある。そうだろ?」
わたしは頷く。
思った通りだという風に頷き返す真冬。
「深夏が居たらいずれ自分たちのことが世間に知られてしまう。
 危機感を感じ、まとめて始末しようとしたんだ」
「でもそうはならなかった。
 計画に失敗した2人は、今恐らく警察だろう―――って、言いたいんでしょ?」
驚いた顔をする真冬。
「何よ?」
「……いや、別に」
何か怪しいな。
まあいいや。
―――あれ?
「ちょっと待ってよ。
 最初、真冬こう言ったよね?
 それだけでどうして2つの関連性を暴けるって言うんだ=\――って」
「………」
「暴けてんじゃないのよ!
 何で嘘吐いたの!?」
「……ちょっとしたテスト」
「はあ!?」
「深夏の思考回路が正常かどうか、のな」
はああああ!!?
「酷っ 酷っ 酷ぉぉぉ!!
 何よそれ! まるでわたしが動物みたいじゃないの!!
 真冬のバカバカバカぁぁっっ!!」
文句を言いながら真冬の背中を叩く。
「痛ててっ! 深夏やめろっ!」

暫くの間、わたしたちは攻防戦を続けている。
少なくともわたしはそのつもりだ。

「……もう、二度とこんなことしないでよっ!」
「分かった………」
わたしの連打が応えた様で、真冬は何も言い返して来なかった。



今あの犯人は警察。
そしてわたしたちは―――健在。
「今は敵のガードが緩いわね。
 この隙を狙って全部解いちゃおう!! ね、真冬!」
「ああ」


ハイジャック事件後、わたしたちは気持ちを新たに再スタートを切った。

59:ゆう:2013/03/09(土) 23:44 ID:KDs

to見た巳さん
わわっ ごめんなさい!
貴方のレス見てませんでした………本当に申し訳御座いません。
別に構いませんよ。
ラノベも書いてみたいですし。
面白い……ですか。こんなのが。
何が共あれ有難う御座います。

60:ゆう:2013/03/10(日) 00:19 ID:KDs




ガラガラガラッ

教室の戸が大きな音を立てる。
「もうちょっと静かに開いてよ……目立つじゃん」
「……もうただでさえ目立ってるだろ」
わたしの呟きは、即座に真冬に突っ込まれた。

月曜日。
嫌々ながら学校に来たわたしは、なるべく存在を消そうと心に決め、ドアをゆっくり開けた。
でもその甲斐無く、クラスの女子の視線は全てわたしたちに向く。
男子たちにもまだあのことは脳裏に残っているみたいで、興味がある奴だけこっちを見る。

「もう本当にやめて……わたし目立つの嫌い……」
「図書館であれだけ暴れたくせに……それでもか」
「それとこれとは別よ」
くだらない会話をしながら、席に鞄を置く。

周りを囲む女子はこっちを見ながらひそひそと話をしているし、男子は男子で真冬を今までと違う目で見ている。

ああ……うざったいなぁ。
こういうの、本当に嫌い。


「天川君」

心臓がどくんと鳴った。

――――岡沢恵菜。


「……何?」
「この前は御免なさい。
 私としたことが、はしたなかったわ」
いや、そういう問題?
違うでしょ。絶対。
「……別にいい」
「そう思ってくれる? 良かった。
 あのね、もう一度だけ聴いてくれない?
 私、本当に貴男と仲良くなりたいだけなの。
 だから……今日の放課後、一緒に何処か行かない?」


ズキッ……
胸に変な痛みが走る。
何だろう……これ。
今まで感じたことの無い、よくわからないもの。


「ねえ? 天川君」

徐々にいらついてくるわたし。
どうしちゃったんだろう……

ああ。それよりも―――――


「――ごめん」

真冬が、言った。
岡沢恵菜を見ると、悲しげな表情をしている。

「………っ」
行ってしまった。
制服のスカートをはためかせ、踵を返し行く。
ふわりと揺れた黒髪の隙間に、滴の様なものが浮いていた。

「真冬………」
「……事件に集中するんだろ」

あ………
それは、昨日した約束。
ちゃんと、最後まで解こうって。


「うんっ」
嬉しい。
思わず抱きついちゃいそうになるけど、迷惑だろうから、やめておく。



チャイムが鳴った。

61:ゆう:2013/03/11(月) 16:43 ID:tIQ







所変わって此処は家。
6個もある授業をのらりくらりとかわし、家の扉を開けた。

「ふあーっ」
そう言い、わたしは2段ベッドに倒れ込む。
真冬は机の上にあるPCに手を伸ばす。
もちろん、真冬用のね。
何処を押せば起動するのか知らないけど、闇に沈んだ黒から灰色の画面になる。
開いたのはネットの検索口。
目にも止まらぬ早業で、真冬はキーボードを鳴らす。

さて、わたしは何をしようか。

主なことは真冬に任せておけばいい―――と分かってても、やっぱり1人だけ暇はつまんない。
わたし、退屈は嫌い。

するとそんな心を読んだかの様に、真冬が後ろ手にメモを渡して来た。
「何……電話番号?」
「変死体遺棄事件の被害者、音木色香さんの遺族の電話番号だ。
 後々会って話を聞くことになる。 アポを取れ」
あぽ?
「アポイントメントの略だ。……まさか、アポイントメントも知らないんじゃないんだろうな」
そのまさかです。
真冬は振り返って、わたしに思いっ切り変な眼を向ける。
「な、何よ! 悪かったわね、無知で!」
「ああ、悪い」
むぅっ!
真冬は溜息を吐き、髪を掻き上げた。
「近々こういうことをしようと、約束を取り決めることだ。
 まあ、病院に予約を入れるみたいなもんだな」
あっ 成程。
ドラマとかでよくあるよ。
明日の朝9時、また此処で会いましょう、とか。
「判ったなら早くやれ」
「はーい」
枕元に置いてあるケータイに手を伸ばす。
この前買ってもらったんだ。
またハイジャックのときみたいに、連絡取れなくなったら困るからって。
まあ、確かにね。

RRRRR RRRRR
暫くコールが続く。
RRRRR RRRRR ……『はい』

「あっ もしもし?
 ええと、天川という者ですが……」
『あ、はい……ご用件は?』
「ぅえ? あ、えっと」
続ける言葉が無く、わたしは焦る。
でも真冬がわたしを見ている。
その手の先にあるのは、我が家に一台限りのPC。
さっきと違う検索口の画面には―――文章。

わたし、色香さんの友達なんです。
 亡くなられたと聴いて、吃驚しました。
 実はあの日、わたしと偶然会った色香さんは、ちょっと気になった言葉を口にしていたんです。
 気になるので、近々、色香さんについてお話を伺わせて貰えないでしょうか?
 微力ながら、わたしも力になりますので

真冬――――
眼が言えと言っている。
分かった、と、わたしは頷き返す。
そしてそのまま口にし、最後にどうでしょうかと付け加えた。

すると、電話口の人――多分女性――は、鼻を啜った。

『そうなの……色香の……
 是非来て頂戴。
 あの子が殺されるなんて、私にはどうしても思えないの。
 お友達だって言ったわね。下の名前は?』
「あ、ええと深夏です」
『深夏ちゃんね。何時でもいいけど……明日はどう?
 学校も休みでしょう? こっちも都合がいいわ』
「判りました。では明日、伺います」
『有難う。
 音羽崎駅まで来てくれたら、車で迎えに行くわ。
 じゃあ明日ね。待ってます』
「有難う御座います。
 失礼します」

「………OKか」
「うん。ばっちり。
 明日だって。
 何も予定無いよね?」
「大丈夫だ。
 しっかり聴いて来い」

――――真冬ってば、何言ってるの?

「……深夏?」
「ふふふふ」

ああ、明日が楽しみだな!

62:ゆう:2013/03/12(火) 14:25 ID:vdQ




「此処が、音羽崎町………」
わたしは目の前の景色に目を丸くした。

彼方此方に見える田圃、舗装など一切されていない土丸出しの道路。
糸崎町はビルやマンションが結構あるけど、此処は全然違う。
2駅離れてるだけでこんなに違うんだ……

「……深、夏」
「何?」
「何で、ぼくまで……うぅ」
いいじゃん。
「アポ取れって言ったの真冬でしょ。
 ちゃんとついて来なきゃ」
「こういうのは深夏の仕事だって言っただろ………」
あれ、そうだっけ。
まあいいや。
「っていうか、酔い止め買っとかなかったの?
 この前ので懲りたでしょ?」
「……行った」
「じゃあ何で飲まなかったのよ」
「飲んだよ。でも、効かない……うっ」
うわ。凄い。
薬も効かない身体してるって………
「今度はもっと強力なの買っとかなくちゃね。覚えとこっと。
 ………あっ あれじゃない?」

わたしは此処――改札口から少し遠くに、駐車場を見つけた。
其処には一台、車が停まっている。
「行ってみよっか。
 ほら、真冬!」
「あっ おい………」

階段をすたたたと降りるわたし。

―――――!
「誰か見てる」
小さい声で真冬に言う。
すると真冬は一瞬で緊張感を纏い、辺りをさり気なく見回した。
「誰もいない。気のせいじゃないのか?」
「わたしの勘、馬鹿にしないでよね」
そう言いつつも、わたし自身警戒を怠らない。

暫く見回してから、わたしは少しスピードを落とし、階段を再び降り始める。
「気配が消えたわ。
 きっとバレたと思って逃げたのね」
「そうだといいが……」
真冬も警戒を緩めている。


わたしがずっと見つめていた車から、1人の女性が出て来た。
こっちに気付き、手を振っている。
「きっとあの人よ。
 昨日電話に出た人」
「判った。だが、くれぐれも油断はするな」
「解ってる」

握っている真冬の手に、少し力が籠ったような気がした。

63:ゆう:2013/03/24(日) 17:38 ID:b5g




わたしたちは挨拶し、車に乗り込んだ。
改めての自己紹介と真冬の紹介は済んでいるので、音木家へ向かう車の中で会話をする。
「へえ……糸崎町に住んでるの。
 あそこは便利よねぇ」
「はい。学校とかも近いので、結構寝坊出来ます」
「あらら。勉強が嫌い?」
「そりゃ勿論。
 あ、真冬は好きみたいですけど」
「……別に好きじゃない。
 やらなきゃいけないからやってるだけだ」
「真冬君が頭が良いの?」
「めちゃくちゃ良いですよ!
 もうどんな思考回路してるのかいつも不思議で不思議で………」
「それ、ぼくの台詞」
「え? それってわたしのこと?
 何よ! この頭が可怪しいって言うの!?」
「理解不能だ。深夏は」
「真冬もそうでしょっ!!」
「あらあら。仲が良いのねえ」
静香さんが穏やかに笑った。
「通りで色香と深夏ちゃんが仲良しな筈だわ。
 2人共、性格がそっくりなんだもの」

そうなんだ………。
胸がちくりと痛む。
本当は仲良くない。
会ったことだって無いんだから。

「色香にそっくりな子に会えて嬉しいわ。
 ………もうすぐ着くから」
「あ、はーい」

真冬が息を吐き出す。
そっか。酔ってるんだ。
わたしは陰で少し笑う。

64:ゆう:2013/03/26(火) 10:09 ID:uNs

すみません。訂正です!

車の運転手は音木色香の母親で、音木静香といいます。
あるトラブルによってアップ出来なかったので(言い訳。)……すみません。

65:ゆう:2013/03/26(火) 10:31 ID:uNs




家の中―――――。
客間でお茶とお菓子を出されたぼくたちは、相手のいない此処で待つ。
電話が掛かって来た―――らしい。

「……やっぱ、駄目?」
深夏が恐る恐ると言った感じで訊いて来る。
返答として、頷く。
「……どうしても?」
また訊く。
「……駄目、ですか?」
更に訊く。
「……うぅ」
―――え?

「深夏……?」
「真冬の馬鹿っ!!
 ちょっとぐらいいいじゃんかぁ〜〜!!」
深夏は両手を駆使して殴って来た。
「痛てっ! やめろっ……痛って!!」
「馬鹿馬鹿馬鹿っっ!!
 お腹空いてんだからぁ!!」

……そう。
深夏は、先程出されたお菓子を食べたいらしい。
「出されたんだから食べてもいいってことでしょぉぅ!!?
 わたしは堅苦しくないのっ!! 食べてやるっっ」
「やめろって言ってるだろ!! まず殴るな!!」

お菓子に手を伸ばす深夏を、ぼくは必死に止める。
ぎゃーぎゃーと喧しい。


「深夏ちゃん、真冬君!」

突然、静香さんが飛び込んで来た。

66:ゆう:2013/04/03(水) 15:33 ID:EOQ


「深夏ちゃん、真冬君!」

突然、静香さんが飛び込んで来た。


       ☆


本当に突然のことで、よく分からない。

「えと……真冬」
「……何?」
「これ……何だろうね」

そう言って、わたしは目の前を指差した。


大量の書類。
大半が日本語だけど、読めない単語(つまり英語)や変な文字もある。


ついさっき、静香さんはわたしたちに早口で説明した。


「ちょっと警察に行かなきゃいけなくなったの。
 御免なさいね。
 悪いけど、2人だけで色香の遺物見ててくれない?」


という訳で、今居るのは色香さんの部屋。



「綺麗だね………」
「興味無い」

ばっさり切り捨てる真冬。
そして、手当たり次第に資料を漁り始めた。


「これ、読める?」

わたしも足元に落ちていた書類を拾う。
真冬はちらりと目をやり、続けた。

「一応。
 でも、時間が掛かる」

真冬でも時間が掛かるなんて、一体何処の国の文字なんだろう。
不思議に思いながら、別の書類を手に取る。


違う。ノートだ。



開くと、真っ先に日付が目に入る。
11月2日………一週間前だ。

ってことは、これ日記?


「真冬……ねえ」
「……何」
「見つけたんだけど………」


真冬が跳び付いて来た。
そして、わたしの手から日記を奪い取る。

「……成程。日記か」
「うん。そうみたい」
「暫く貸せ」

「えーっ わたしも見る!」
「………」
「見せて見せて見せてぇ!!」
「煩い! 騒ぐな!」
「真冬ばっかずるいぃぃぃ!!」
「はあ!? 大体………」

「一緒に見ればいいでしょっっ!!」


真冬の動きが止まった。
顔を見ると、ぽかんとしている。

「…………」
「何よ」
「……いや、何でもない。
 とにかく、見るぞ」

そして真冬は、日記を開いた。

67:ゆう:2013/04/30(火) 00:01 ID:rgk

【3/25(火)】

最近は就職面接で忙しい。
だから帰りも遅くなるんだけど……なんか、尾行られて(つけられて)いるような気がする。
此処一週間、そんな感じ。
気のせいかもしれないけど……気を付けよう。

【3/29(土)】

確信した。
あれは絶対、彼女だ。
彼女が毎日私を尾行ているんだ。
よし、明日問い詰めよう。

【3/30(日)】

家に直接行った。
でも認めなかった。
嘘だ。私には判る。

【4/8(月)】

親族会議。
やっぱり母さんたちは揉めていた。
私は全然いらないのに……。
彼女たちからの視線も痛い。
皆如何して、其処まで執着するんだろう。




此処で、途切れている。


「真冬……如何思う?」
訊ねるけど、返事無し。
完全思考モードに入っている。

暫く放っておくと、先に静香さんが帰って来た。




「御免なさいね。2人共。
 今日はもう遅いから、帰って下さる?
 之から用事が出来てしまったの」

「判りました。
 こっちこそ行き成り押しかけたのに、何の手掛かりも無く終わりそうです。
 済みませんでした」
「いいのよ……じゃあ、駅まで送るわ」


部屋を出る。
わたしは、真冬に囁いた。
「手掛かり、見つかったじゃん」
「伝えない方がいい」
「何で?」
「……後で話す」

恐らく、真冬にはもう判っているんだろう。
さっきじっくり考えてたし、判る。


真冬の瞳に、強い意志が宿っていたから。


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