誰か、この瞳を開けて?

葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧 [書き込む] Twitter シェアする? ▼下へ
1:このみ:2012/11/29(木) 20:34 ID:7Pk

私には世界の半分しか見えていない。

なぜなら、、、




私は生まれつき右目の視力が無い。

左目を閉じると私の視界は真っ暗になって何も見えなくなってしまう。

そのうち、左目も見えなくなってしまうかもしれない。

そのうち、命にも関わってくるかもしれない。


けどいいの。

私がどうなろうと誰も悲しまないから。

でもね。

ひとつだけ願いが叶うというのなら…


私は視力より愛が欲しい。


そうお願いしたいな。

2:このみ:2012/11/29(木) 20:39 ID:7Pk

「うわー… あたしらまたアイツと同じクラスじゃんっ」

「やだーっ、ウチらまで目が見えなくなっちやったらどーすんのぉ」

また笑い声が聞こえる。
春。高校2年にもなって私、神崎このみはまだいじめられる。
ただ。。
右目が見えてないからって…。

当然行動も遅い。
反応が遅くなったりもする。

そんなことが原因で、みんなによく笑われるようになった。


そりゃそうだよね。

誰も手は貸してくれない。

そんな中で今まで生きてきた。
だからもう慣れっこなんだけどね。

でもやっぱり…

いつもさみしいなって思うよ。

3:このみ:2012/11/30(金) 23:49 ID:7Pk

「でもさ、ウチらあの双子と同じクラスだよ?!」

「えっ… あのイケメン兄弟、このクラス?」

「マジぃっ?やばーいっ」

女子たちはあっというまに話の流れが変わった。
イケメン兄弟って誰だろう。

「あの、瀬河兄弟?!キャーッ」


せ…がわ?

あんまり聞いたことないな。


「僕たちが何?」

そんなとき、その双子らしき2人が教室に入ってきた。

「和音君、和哉君〜!」

女子たちが一気に騒ぎ始めた。
どうやら2人は、、

瀬河和音(せがわかずね)君、瀬河和哉(せがわかずや)君というらしい。

まあ私が知ったところで何もないんだけどね。
どうせ関わりないだろうし。

女子たちは2人を囲んだ。
私もやっぱ女の子だし、ちよっとはイケメンってやつに興味があった。

だからちょっと、、ちょっとだけ、チラって見てみたの。

そしたら和音君のほうからは白い天使のようなオーラが見えたの!
もうひとりの方はツンツンしてて黒い羽しか見えないんだけど…

白天使、和音君、かっこいいっっ
なんて優しそうな…

4:叶架:2012/11/30(金) 23:53 ID:OIE

超面白い!続きが気になる!

5:このみ:2012/12/01(土) 10:40 ID:7Pk

 叶架様

ありがとうございます!!
コメント、めっちゃ嬉しいです。

今から書きますね。

6:このみ:2012/12/01(土) 10:49 ID:7Pk

「えー、やだっ。和音君ったら、神崎さんの隣よ?」


えっ?

となり?!

「神崎さんって?」

女子たちが騒ぐ中、和音君は私の前に立った。

「君?神崎さんって。」

「えっ… あ、… はい。」

う…ぅわー…
喋っちゃった…

「和音君、その子には近づいちゃダメよ。」

「え、どうして?」

「その子の近くにいたら、いろいろややこしいのよ。」

私は下を向くしかなかった。

「ややこしい?」

「その子、右目が見えてないのよ。だからどんくさいの。」

やめて…
そんなこと今言わなても…

「神崎さん。」

それでも和音君は私を呼んでくれて…
私は顔を上げることができた。

「僕、瀬河和音。和音でいいからね、こまったことがあったらいつでも言って?」


て…

天使だ!!!!!

「あ…りがとうご…ざいます。」

「よろしくね。」

でも周りの女子の視線は痛くなった。

7:叶架:2012/12/01(土) 10:53 ID:OIE

超面白い!
和音天使…!!\(>∀<)/
これからも楽しみ〜!!
[いきなりタメですいません]

8:このみ:2012/12/01(土) 10:56 ID:7Pk

次の日の朝。

『学校来るなよっちょっと優しくされたからって調子に乗るんじゃねーよ』

そんな手紙、落書きが私の近くにたくさんある。
そんなつもりはなかったけど…
やっぱ調子に乗っちゃったかな?
ちょっと優しくされたからっていい気になりすぎ?

上履きもせっかく新品なのにも汚れちゃった…

またママに怒られちゃう。


ママはずっと前にパパと離婚して、私をひとりで育ててくれた。
けど毎日愚痴ばかり。
私を育てるのも面倒だって。

私は靴下のまま教室へ向かおうとした。


バシャッっ


階段を上がっているとき、上から水がかかってきた。

女子たちの笑い声が聞こえる。
周りにいる人たちからはクスクスやられる。

だめ…

ここで泣いちゃ…

泣いてもなんにも…

そんなとき、背後から柔らかいものが私の頭にかかった。

9:このみ:2012/12/01(土) 10:58 ID:7Pk

叶架様

タメぜんぜんオッケーですよん♪
これからのこのみの目のことや周りのこと、急展開となります!

10:叶架:2012/12/01(土) 10:59 ID:OIE

ありがとう〜!!♪
マジか!?超楽しみ♪♪

11:このみ:2012/12/01(土) 11:11 ID:7Pk

「何泣いてんだよ。」

「…!!」

か…和哉君?!

「こんなところで泣いてんじゃねーよ。現実受け止めろっ」

「ごめんなさ… い…」

怒鳴られた?ひどいこと言われた?
けどこのタオル…和哉君のものだよね?

「うわあいつ、今度は和哉君ねらってんじゃね?」

「うぜーっ」

上から女子たちの声はまた聞こえる。
そんななか、後ろから別の女子の声がした。

「濡れてんじゃんっ大丈夫?」

「え…あ、うん。」

「あたしあなたと同じクラスの舞月茉莉花(まいづきまりか)。昨日に今日、
 あなたをみてたら助けたくなっちゃって。」

えっ?
私を…?

「あなた名前は?」

「神崎… です。」

「下は?」

「このみ…」

「このみかぁ… よろしくねっあたしのことはまりって呼んでよ。」

「まりちゃん?」

「うんっあたしら今日から親友ね。さ、早く拭かないと風邪ひくよっ…って、
 なんで泣いてんの?!」

「ごめん… 嬉しくて…」

こんな私に話しかけてくれるなんて…
良い人…

「このみったら面白いね。」

「何、神崎さん。仲良しができた?」

あ…和音君だ。

「そう、あたしら今日から親友なの。ね、このみ。」

「へー…じゃあ僕もこのみちゃんってよぶよ。」

まじですかぁ…
こんないい人たちに囲まれていいのかな…

「うんっ和音君!」

12:このみ:2012/12/01(土) 11:17 ID:7Pk

「私今までこんなことなかったからうれし… 」

「え…このみ?!」

「このみちゃん?!」

私は体が冷えたのか、その場で倒れてしまった。
まあ… 冷えたのは多分関係ないんだけど…

と、思っている間に私の目が覚めたのは一時間後だった。



「神崎さん大丈夫?」

私がゆっくり目をあけた先には見知らぬ女の人がいた。

「ここは… 」

「あ、まだ寝ててね。私は保健の先生。木元(きのもと)です。あなた倒れたのよ?」

「また… ですか。」

保健の先生なら話すべき?
私の体調のこと。

13:このみ:2012/12/01(土) 14:08 ID:7Pk

「神崎さん、体のこと教えてくれる?片目が不自由なのは知ってるの。
 でもそのことと倒れたことは関係ない?」

「誰にも… 言わないでくれますか。」

「もちろん。」

「…た…ただの貧血です。」

私は嘘をついた。
本当は貧血なんかじゃない。
先生の言うとおり、目の病気と関係して私はいつも倒れる。

「そう?ならいいけど… もし何かあるんだったら必ず言うのよ?」

「はい。」

それはママも知らない、私と私の目のお医者さんとかしらないこと。
誰にも言わないって決めてるの。
今一瞬言ってしまいそうだった。

「倒れたとき、担任の先生からおうちの人に連絡してもらったんだけど、今誰も家にいないでしょ?」

「はい…仕事に行ってます。」

「ならここにいなさい。ゆっくりしてって。」

「あの…私どうやってここまで来たんですか?」

「たしか… あのイケメン兄弟のお兄さんの方。和音君かしら。」

和音君か゛…  


うれしい…


「ふふっ♪恋する乙女?」

「えっ違いますよー…」

そんな恋とかしていい立場じゃない。
でも…

いつかは和音君に恋がしたい。


でもね。

恋なんてしちゃいけない。
わかってる。
わかってる。

きっとこの瞳がいつか迷惑をかけてしまうから。

14:このみ:2012/12/01(土) 14:17 ID:7Pk

「はろぅーっこのみゲンキー?」

「まりちゃん、それに和音君!」

昼休み、2人が私のお弁当を保健室に届けてくれた。

「ごめんね。僕たちのせいでこんなことになっちゃって…」

「ううんっ和音君たちのせいじゃ… って、たち?」

「実は和哉も来てるんだ。和哉入りなよっ」

その後ろには和哉君もいた。
2人のせいじゃないのに…

「俺は別に謝るつもりはない。」

「和哉、いい加減にしろよな。このみちゃん倒れちゃったんだよ?」

「別に… 関係ないし。」

「ごめんね、こんな弟で。」

「いえいえいえいえいえ… 悪いのは私なんです。本当に。」

本当のことは言えないけど…
2人のせいじゃない…

でも言いたい。

頼りにしたい。

目の病気のせいでたまに視界全部が見えなくなっちゃう時があるの。



って、、、

頼りにしたい。

けど、そんなのただの迷惑になっちゃう。
そのうち両目が見えなくなっちゃうかもしれない。
そのうち命にも関わってくるかもしれない。

そんなことを知ったらきっとこの優しい人たちは気を使うだろう。

そんなことさしちゃだめ。

15:このみ:2012/12/01(土) 17:27 ID:7Pk

「悪いけど、この中で今日の放課後誰か神崎さんを家まで送ってくれない?」

「じゃあ僕が…」

えぇっ
和音くんが?!


「あっ、和音君。あたしらそういや今日の放課後委員会あるじゃん。」

「あ…忘れてた。僕たち学級委員になったんだったね。」

ちょっと…残念。
でもしょうがない。

「大丈夫です、私ひとりで…」

「和哉、送ってやれよな。」

「は?やだめんどい。」

和哉君が?!
それはちょっと気まずいんですけど…
っていうか、ちょー嫌そうだし。

「大丈夫です、私ひとりで帰れますか… ら…」

あれー…
またなんか…
視界が見えない…?

「このみちゃんっ」

「神崎さんしっかりしてっ」


今日は特に調子が悪いなー…
二度も気を失うなんて。

16:このみ:2012/12/01(土) 17:32 ID:7Pk

いろいろあったから疲れちゃったのかな?
私だめだなぁ…
もっと強くならないと。
せっかくみんながいてくれているんだから。
しっかり瞳を開けておかないと。

けど…。

開かない。
目があかない。
心のどこかであけることを怖がっているの?
誰にも必要とされてないって…
怖がっているのかもしれない。

でも今、ものすごく心地イイ。
何か、安心できる。
私保健室のベットが気にったのかな?
ずっとここにいたい感じ。

「誰か、私の瞳を開けて?」

こんな心地良いなら、誰かにそう頼んでしまいそうになっちゃう。

「いつか」

17:このみ:2012/12/01(土) 17:39 ID:7Pk

「いつか…誰か開けてくれる?」

目だけじゃない。
こんな私を受け止めてくれる?
必要としてくれる?

私にいてほしいって思ってくれる人が現れてくれる?


今日の私は何か変。
いつもより願望が強い。

「誰か… 助けて… 」

ただ、必要とされたいだけ。

「このみ。」

誰?



「このみ!」

顔がよく見えない…
夢の中の幻想の人?

幻想でもいい…
一瞬でもいいから…

誰か私を必要として?


「…!!」

そんなとき目が覚めた。
ここは… 私の部屋??
保健室じゃなかったっけ?
どうやってここに?

いろんな疑問が出てくる。


じゃあ、あの心地よかったあの感情は家のベットだったってこと?

18:このみ:2012/12/01(土) 17:45 ID:7Pk

「このみっいい加減起きなさい!夕食冷めちゃうじゃないっ」

ママの怒った声が聞こえる。
さっき私の名前を呼んだのもママか。

なーんだ…
ちょっと期待してたのに。
もしかしたら未来に、私を大事にしてくれる人だったかもしれないって。

私は制服を着たままリビングに行った。

「やだこのみ、着替えてないの?汗もすごいじゃない。何をしていたの?」

「え… ママが学校に迎えに来てくれたんじゃなかったの?」

「そんなことするわけないでしょ。倒れたりでもしたの?」

じゃあ…誰が?
やっぱりあの心地よかったのは何かあるはず。
だって倒れたあとはいつも怖い夢しかみない。
けど今日はとってもいい夢だった。

和音君?まりちゃん?先生?それとも…

和哉君?

いやいやそれはない。

19:このみ:2012/12/01(土) 17:53 ID:7Pk

そして次の日、土曜日は学校は休み。
けど私は病院に行かなければならない。

一週間でどれだけ気をうしなったかとか、体調とかを検査される。
それも男の先生。

「うーん…今週は大変だったみたいだね。顔色も悪いし。」

「あの、どうやったら倒れずにいられますか?」

「薬も飲んでいますよね?これ以上止めることは無理でしょう。」

「でも聞いてください、いつも倒れたときは怖い夢しか見なかったのに、
 昨日学校で倒れたとき、ものすごく心地よかったんです。」

「ん?おかしなことを言うなぁ…誰か、安心できる人にそばにいてもらったとか?」

「誰かが私を家まで運んでくれたんです。けど誰だかわからなくて。」

「そうか…ならその人が誰か、知ったほうがいいね。きっと心の支えになってくれる。」

そうだよね。
私も誰だか知りたい。
あんなに幸せな気分になったのは久しぶりだった。


和音君だったらいいなー…


          なんてね。

20:このみ:2012/12/03(月) 18:11 ID:7Pk

「え、あたしも和音君も委員会だったからこのみを送ったのはあたしら意外じゃない?」

月曜日の朝、教室。
私を送ってくれた人探し。
まりちゃんでも和音君でもないって…

「あれ… じゃあもしかして…」

和哉君?
でも面倒だとか言っていたのに…?

まあいいや。
そのうちわかるよね。
わざわざ話しかけるのは気まずいし…


「おはようこのみちゃん。この間は大丈夫だった?」

「あ、うん。よくあることなの。」

登校するなり、私に話しかけてくれたのは和音君だった。

「お大事に。」

「あ…りがとう。」

やっぱ和音くんは優しいしかっこいい。
私の尊敬する人。

「ふーん♪」

「え、何?」

「このみって… 」

まりちゃんはそう言いかけ、私の耳に顔を寄せた。

「和音君タイプ?」

「えっ…ちが…」

「もうバレバレだよぅ。大体の女子は和音君タイプか和哉君タイプなんだよねー。応援するよ?」

「そ、そういうまりちゃんはどうなの?」

「ふふーん。このみだけに教えてあげる。実は、 …和哉君タイプ♪」

そ、、そうだったんだ。

「お互い頑張ろうね。」

「うんっ… て、私は違うってばぁ… 」

これは… 恋?
私、和音君に恋しちゃったの?


私にとっての初めての恋。


しちゃって…  いいの?

21:このみ:2012/12/03(月) 18:21 ID:7Pk

「それにしても今日も雨かぁ… こりゃ体育は体育館だね。晴れたらマラソンだったのにぃ…」

「私は体育館でバスケのほうがいいよー。今日もって言っても土日は晴れてなかった?」

「土日は晴れてたけど、このみが倒れた日、放課後から急に大雨が降り出したんだよ。
 すっごい寒かったんだからねっっ」

あれ?
私、あの日は寒さなんて感じなかった…。
送ってくれた人が私を暖めてくれたのかな?

「そういえば、和音君来てるのに和哉君まだ来てないね。いつも一緒に来るのに…」



えっ…

ま、まさかだけど…


「あ、和哉なら今日は休み。風邪ひいたらしいんだ。」

和音くんが男子たちと話している中からひょっこり顔を出した。

「金曜日のことだったかな?すっげーびしょ濡れで帰ってきたんだ。タオルもなくしたとか言ってたし…。」

1、大雨の中なぜかびしょ濡れ
2、タオルは無し

和哉君… まさか私を送ってくれた人?
朝、私が濡らされたときにタオルは貸してもらった。
大雨の中私をかばうように家まで送ってくれたからびしょ濡れ?

わ、私のせい?!

22:このみ:2012/12/04(火) 14:13 ID:7Pk

「ってことは… いいなぁこのみ。あの日、和哉君に送ってもらったんだぁ」

「あははー…でもまだわかんないよ。」

「そうに決まってるじゃん。あ、それを言い訳に今日和哉君の家にお見舞いに行こうよ。」

「えっ…そんな急に?!」

確かに行ってみたい気はする。
だって和哉君の家=和音君の家だよ?!

「このみだって興味あるんじゃない?」

ニヤけるまりちゃんに私は思い切って答えた。

「う…   ん。」

「決まりっ今日の放課後瀬河家にレッツゴー!」


いいんだろうか。
私なんかが行って、迷惑じゃないかな?


でもちょっと… 楽しみ。

「もーこのみったら可愛いっニヤニヤしちゃって。」

「えーニヤニヤしてた?」

恥ずかしいーっ
調子に乗っちゃったよ。

「っていうことだから、和音君に帰りはついていこう。」

「えっストーカー?!」

「違うって。ちゃんと要件言うよー。」

だよね。
帰りも和音君と帰れるなんて…
今日は幸せな日だなーっ

和哉君には悪いけど感謝します。。

23:このみ:2012/12/04(火) 22:23 ID:7Pk

そしてあっという間に放課後。

「じゃ、行こうか。そんなに広い家じゃないけど。」

私とまりちゃんは和音君のあとに続いた。
借りたタオルにお見舞いのフルーツも途中で買って、ちょっとドキドキしながら瀬河家に歩きで向かった。

「ちなみに和哉には何も言ってないからサプライズだね。」

「ホントっ?!どんな反応するかなぁ… 」

私もワクワクだけど、まりちゃんはもっとワクワクしてる。
好きな人のお見舞いだもんね。

「あ、ここだよ。」

「えっと… これはマンション?アパート?」

「やだな舞月さん。全部僕の家だよ?」

私たちはただ目を丸くした。
で、、でかい。

ドラマに出てくるお金持ちの家みたいっ

和音君がドアに向かって「和音です」って話しかけると中から家政婦さん?お手伝いさん?
らしき人がでてきた。

「和音様、お帰りなさいませ。お友達も一緒ですか?」

「和哉のお見舞いに来てくれたんだ。部屋にお茶を持ってきてくれる?」

「分かりました。しかし和哉様は先ほどお薬を飲まれたばかりで、きっと眠っていますよ。」

「そっか… まあとりあえずどうぞ。2人とも。」

住む世界が違うなぁ…
さすが和音君。

「おじゃましまーす」

中も広い。迷子になってしまいそう。

2人の部屋は別々らしいけど、今日は和哉君の部屋に入れてもらった。

「和哉、入るよ。」

部屋は黒と白のものばかり。
机にテレビなどがあり、その先にある大きなベットで和哉君は眠っていた。

「おい… 和音お前、何ちょろちょろ連れてきてんだよ… ゴホッ」

かおが赤い。
熱が下がらないのかな…

24:このみ:2012/12/05(水) 15:13 ID:7Pk

「2人ともお見舞いに来てくれたんだよ?」

「あの…私のせいだよね、ごめんなさい。私ちっとも気づかなくて…」

「何言ってんだよ。俺は何も… ゴホッゴホッ勘違いすんじゃねぇよ…早く帰れよなっ」

やっぱ怒ってるよね。
私のせいで寝込んじゃったもんね。

「ごめんね、私先帰る。」

「え、このみ?!」

私はまりちゃんの声に答えずに和哉君の部屋を出た。
人の家で走っちゃだめだけど…
今日は走った。
早くこの家から出たかったの。
申し訳ないよ…

「あら、もうお帰りになるのですか?」

あ…さっきのお手伝いさん。

「和哉君のこと怒らせちゃって…。」

「怒らせた、とは?」

「風邪ひいたの、私のせいなんです。私を家まで送ったからびしょびしょになっちゃって…
 帰れって怒鳴られちゃいました。」

「あらまあ… でも大丈夫ですよ。帰れと言ったのはきっと、あなたに風邪をうつさないため。
 和哉様はああ見えて優しい方なんですよ。」

わかってる。
本当は優しい人なんだって。
けど、そんなわけない。
私にきっと来て欲しくなかってんだよね。

「あのこれ… 和哉君に借りていたタオルです。」

私は紙袋に入れたままお手伝いさんに渡した。

「それは受け取れません。」

「え?」
 
「あなたから、直接渡してくださいな。」

でも… 私なんかと関わりたくないはず…
直接返す勇気なんてどこにも…

涙がこぼれそうになったとき、後ろから肩に手が乗った。

「和音君…っ」

「大丈夫。和哉は素直じゃないだけ。本当は来てくれてうれしいって思ってるよっ」

25:このみ:2012/12/05(水) 15:39 ID:7Pk

「やっぱりダメだよ私。和哉君見て思った。やっぱり人に迷惑かけてばっかり…」

「迷惑?そんなの誰も思ってないよ。」

ほらまた…
気をつかわせてる。

「いいの…私はやっぱりひとりでまったりやっていくのがぴったりなの。
 誰にも頼っちゃいけないの… だから… もう…  」

「このみちゃんっ」

また…


迷惑をかけてしまっている。

もうこんなところで倒れちゃいけないのに…

勝手に目が閉じちゃう…


私が倒れていたとき、カバンのポケットからカードが出た。

「これは… 病院の名前だ。行きつけの病院があるんだ。」

「和音様、今すぐ車を出しましょうか?」

「うん、とりあえず病院に連れて行こう。」

26:このみ:2012/12/07(金) 15:25 ID:7Pk

私はまた倒れちゃった。
げど、今回はすぐ目が覚めたの。
だけど目を開けるタイミングがなくて、わざと目をとじでいる私です。。

すみませんっっ

「また倒れたのか… 」

病院に着くなり、すぐに番が回ってきたみたい。
そしてお医者さんは難しい顔をしている。

「あの…このみちゃんって、何か重い病気とかじゃないですよね?」

和音君、心配してくれてる…
でも決してそんな命に関わったりとかはないと思うんですが。。

「まだ本人には伝えてないことならある。」

「えっ…」

先生の以外な答えに私はつい目を開け、声を出してしまった。

「このみちゃんっ… 気がついたんだね。」

「あ…うん、ごめんねまた急に… って、先生。私に伝えてないことって?」

私は恐る恐る聞いた。

「もうそろそろ言ってもいいかな… こんなに優しい彼がいるなら。
 彼、息を切らして必死に神崎さんを見て欲しいって来たんだよ?」

和音君…


「だってもしも何かあったらって考えたら… 」

「ありがとう和音君。私うれしいっ」

「ということで本題だが… 落ち着いてよく聞くんだよ?」

「は…い。」

「最近頻繁に倒れることが多いと思うが… 病気が進行してきている。」

「それは…前からのことでは?」

「いや… もう、視界が見える時間は1年もないかもしれない。」



…え??




私の頭は真っ白になった。

27:このみ:2012/12/07(金) 15:32 ID:7Pk

「命の方にはまだ関係してないのだが、これからさき命も危険になるかもしれない。
 これ以上病気を進行させたくなければ、入院したほうがいい。」

「そんな… 私大丈夫ですよ?倒れる時があっても必ず目を覚ましてるし…」

「今はそうでも、これからはもっとひどくなる。」


…でも入院したほうがいいかも。
そしたらみんな私に気を使わなくてよくなる。
お母さんだって楽になるかもしれない。

「でも入院ってことは…このみちゃん学校やめちゃうってことですか?」

「そうともいうね。」

「せっかく仲良くなれたのに… このみちゃんはどうしたいの?」



  …ほんとは入院なんてしたくない。みんなとこのまま楽しく過ごしたい。


なんてそんな贅沢なこと思っちゃだめ。

このまま入院して誰にも迷惑をかけずにこの世を去る。
それがいいじゃない。。


でも…

やっぱり…


「まあゆっくり考えておいて。今日は薬を出すから帰りなさい。」

お医者さんにそう言われ、私たちはここを出た。

28:このみ:2012/12/08(土) 14:02 ID:7Pk

「今日は本当にありがとう。」

病院を出て、和音君が車に乗ろうとしたとき私は車に乗らなかった。

「え、家まで送るよ。」

「ううん、いいの。はやく和哉君のところに戻ってあげて?」

「でも…」

「大丈夫。ひとりで帰れる。倒れたりしないから…」

ひとりになりたいの。

ひとりで考えたいの。

「では気をつけて帰ってくださいね、このみ様。」

「中畠さん、でもやっぱり危ないんじゃ…」

中畠(なかばたけ)さんっていうんだ… お手伝いさん。
もしかしたら私の気持ちに気づいて??
ひとりになりたいっていう…

「大丈夫、和音君。中畠さんもありがとうございました。」

私は2人の返事を聞かずに背中を向け、走り出した。




そして何分もかけて、誰もいない家にたどり着いた。


あれ??



玄関には見知らぬ靴が二つあった。
どうやら男物。

奥のリビングから声が聞こえる。

29:このみ:2012/12/08(土) 14:17 ID:7Pk

私はゆっくりリビングのドアを開けた。

「あら、このみじゃない。紹介するわ、娘のこのみよ。このみ、挨拶なさい。」

誰…?

「こんにちは…」

私と同じくらいの年の男の子と、お母さんと同じくらいの男の人…

「はじめまして、このみちゃん。菊池裕太です。」

「ちょうどいいわ、私ね。裕太さんと結婚しようと思うの。」

「えっ…?!」


う…嘘?!


「お互いバツイチどうし、子持ちどうし。仕事場で出会ったの。息子さんの菊池純君よ、あなたと同い年。
 今日からここに2人が越してきたのよ。」

「そんな急に?!部屋とかは?」

「部屋?裕太さんは私の部屋、純君はあなたの部屋にいるのよ。」

えっ…
何それ… そんな勝手に…

私は急いで自分の部屋を見に行った。

「なにこれ…」

部屋にあった私のベットと机がない。
ダンボールばっかり。

お母さんの部屋はベッドがシングルからダブルになってる。


私… 居場所がない??

30:このみ:2012/12/08(土) 14:24 ID:7Pk

「お母さん、私の物はどこに?!」

私はまた急いでリビングに戻った。

「ああ、全部捨てたわ。邪魔だったし、新しいのも裕太さんが買ってくれたのよ。
 裕也君を案内してあげて。部屋を整えてダンボールを片付けて頂戴。」

「はじめまして。普通にジュンってよんで?」

「あ… はい。」

私はしぶしぶジュン君を部屋に連れて行った。
まあ優しそうだけど…

「僕もこのみちゃんと同じ高校に通うんだ。来週から。」

「へー… 」

来週…
私は学校にいるかわかんないよ。

「ごめん、やっぱ嫌だったよね。同じ部屋なんて。」

「あ…ううん、いいのいいの。さ、ダンボール片付けよ…」

良くない。


本当は良くない。



ジュン君も裕太さんも優しそうだけど…

良くない。
そんな勝手に…。


書き込む 最新10 サイトマップ