月色光珠 -君想ふ-

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1:心音 ◆g58U:2012/12/23(日) 16:19 ID:IxE

--2人の少年少女が交差するとき物語は始まる



どもさん、心音でふ(`・ω・´)
リレー小説は初めてなので上手くできるか分かりませんが…(;´д`)

心音→兎鎖→鵠→NONO

上記の人数で頑張ります( *`ω´)b


月色光珠-なりきり-
http://ha10.net/chara/1356140452.html

月色光珠-雑談場所-
http://ha10.net/test/read.cgi/frt/1356235013/

2:心音 ◆g58U:2012/12/23(日) 17:20 ID:IxE

ー君恋しー

「紅龍様!!、」

一面の花畑に少年の声が響き渡る。

「そっちに行ってはダメだと何回申せば気が済むのですか。」

「やーよ、私は向日葵を摘みたいの。蓮華じゃ嫌なの。」

少年が幼い少女の手を掴んで安全な場所へ連れて行こうとするも少女は聞く耳をもたずに崖のほうへ足を進めていく。

「あーっもう、分かりました!!では私が取りに行くので紅龍様は大人しくそこにお座りしていてください。」

「私は犬じゃないもーん。……気をつけてね、」

「その年でツンデレですか……;」

全く、家の姫君はおてんばすぎて困ると文句を言いつつも少女のために向日葵を取りに行こうとする少年は彼女の目には輝いて見えた。

だが、幾時が経っても少年は彼女の元には戻ってこなかった。

「前葉…?前葉、ねえ、聞こえてるの?」

夜も更けてきた花畑は少女の小さな心を不安で押しつぶすには的確だった。

「まさか崖に……!!?」

少女は急いで走る。自分の予感が的中しないようにと願いながら。

「前葉!?いるの前葉?!!」

崖っぷちに辿りついたとき待ち人はそこにはいなかった。
ただ、綺麗に並べられた足袋だけが益々不安を募らせる。

「あ……私が、我が儘なんて言ったから……、」

少女はぺたりとその場に座り込んだ。不思議と涙が湧いてこない。ただ重く少女にのしかかるのは“罪”という名の感情だった。

そのとき、がさりと後ろで草を掻き分ける音が聞こえ少女はびくりと体を震わせる。
ここの辺りには狼が出るという噂もあるのでそういった類だろうか。

「嫌だ……、来ないで……っ」

「あれ、紅龍様?」

「え………、」

そこから現れたのは狼や野犬ではなく…


ぼろぼろになった少女の待ち人だった。

「な…んで、崖に落ちたんじゃ……」

「勝手に殺さないでくださいよ。まあ確かに落ちたのは落ちたんですがね…。あれは流石に死ぬかと思いました…;。」

あはは、と人辺りのよい笑みを浮かべて困ったように頭をかく少年は少女にある感情を抱かせるには充分だった。
それは“喜”や“楽”ではなく、怒り。

「ぜーんーよーうー……っ」

「こ、紅龍様!!?;その手に持っている小刀は何ですか!?;」

「殺る………!!」

「Σ落ち着いてください!!;深呼吸ですよ姫様!?;ほら、向日葵!!!」

「………っ…」

少年はばっ、と少女の前に向日葵の花束を差し出す。それを見た彼女はからん、と軽い音を立てて小刀を落とした。

「綺麗………」

「でしょう?姫様のために死ぬ気で摘んできましたよ、」

「む……それは、恩着せがましい言い方…。やっぱり殺る……、」

「え、ちょ、姫様!?;ΣΣぎゃあぁあぁあぁあ!!!??」

広い花畑の中に少年の叫び声が響き渡る。

とんでもない上下関係のように見えるが少女の心に芽生えたのは確かな小さな“恋”だった。



ー十年後ー

「前葉、ばーん。」

「は、え、何…Σのわあぁあぁあぁあ!!?」

「ばーん。」

「ばーんとか軽いこと言ってボーガンは打つもんじゃないでしょうがあぁあぁあ!!!」

「てへぺろ、」

「姫様あぁあぁあぁあ!!?」



ターンエンドっす

3:心音 ◆g58U:2012/12/23(日) 17:22 ID:IxE

12歳の前葉さんと7歳ぐらいの紅龍ちゃん。
紅龍ちゃんの初恋は前葉さんです。うん、今作った←

4:凛  ◆0P4w:2012/12/23(日) 17:48 ID:Lf.

この話って、本当に有るのですか?

有ったら二次創作板ですね。
面白いですw

5:心音 ◆g58U:2012/12/23(日) 17:53 ID:IxE

>>4
ああ、ないですよw
私が考えたなりきりスレのやつですから、←

6:紘里 ◆JpDo:2012/12/23(日) 18:10 ID:7Dk

岡篠名桜さんのやつじゃないんですよね?

7:心音 ◆g58U:2012/12/23(日) 18:13 ID:IxE

>>6
それがモデルですけど内容は全く違いますね。風都ノリさん最高…(″`*)

8:兎鎖:2012/12/23(日) 18:21 ID:ez-Uq6

―散った出会い―

皇帝の長男である李・侯艶が気紛れで城下に降りた
…それがいけなかったのかもしれない。
長身で目つきの悪い侯艶には女子供には寄り付かないのが常であった。
だが、
スタスタ……
トテトテ……
スタ…
トテ…
スタスタスタスタ
トテトテトテトテ
………と、勢いよく立てる侯艶の足音の後に付いて来る可愛いらしい足音。
それに侯艶は心底困っていた。これでは城に帰れない…、と
「……………おい、」
「…………はいっ」
侯艶の背後に―…子供が、居た。
身長120センチに満たないような小さな子供が、
身長180の恐ろしい見た目の侯艶の背中にぴったりくっつくようについて来て居た。
「…俺は城に帰るんだ、お前も帰りなさい」
頭痛を覚えたこめかみを抑えながらなるべく、…なるべく、自分で思いつく最大の優しさで声をかけた。
「緋色には帰るところがないですよ…緋色にはお家が無いのです。」
子供が少し悲しそうに声を上げた。
…どうやらこの小さな子供の、名前は緋色と言うらしい。
そして…、
「捨て子、か…」
別に、捨て子など珍しい物ではなかった。
だが…、それが侯艶に付いて来る事はとても珍しい者だった
「俺が怖くはないか……?」
「?全然怖くないのですよ!!」
「…何故ついてくる?」
「一緒に遊んで欲しいのです!!緋色、はじめて優しくしてもらったのです!!」
にっこり微笑んでまた付いて来る子供…もとい緋色に侯艶は困ってしまう。
そして同時に、出会い頭に怖がられなかったからと、つい優しく菓子を与えたのは失敗だったな。
と、子供の対応に慣れていない自分に後悔する。
「はぁ…、城内に1人ぐらいついてきても問題はないな、それに紅龍あたりが仲良くするか…」
「………??」
きょとんと把握していない子供に侯艶は覚悟を決めて話しかける
「…来なさい、俺と城へ行こう、行くところがないんだろう?…それに遊び相手も居るから。」
「!!…はいっ!!」

それは、桜が散った頃。
愛し方がわからない皇子と愛され方のわからない子供が
まるで何かに吸い寄せられた
運命の導きのように
出会った。

ターンエンド

9:凛  ◆0P4w:2012/12/23(日) 18:24 ID:Lf.

>>5
だったら、オリキャラ板に立てないとっ!!

あ、こんにちはorz

10:心音 ◆g58U:2012/12/23(日) 19:51 ID:IxE

>>9
オリキャラ板に小説スレたてるのはどうなんでしょうね…;

>>8
緋色おぉおぉおぉお!!!ロリ癒やされる…(″`*)

11:NONO ◆JrGE:2012/12/23(日) 20:21 ID:406

ある雨の日のこと

今から6年前のこと。
この日は長い長い雨が朝から降っていた。

「凛林ちゃん、まったねぇ」
「ええ、龍奄様」

龍奄、17歳。
この頃から、すでに城では【女たらし】としての異名を持っていた。
前皇帝である父が亡くなって10年。
彼は心に空いた穴を埋めるように、次から次へと新たな恋をしているように見えた。


「うーん、これっきりかな」

去っていく女の姿を見ながら龍奄はポツリと呟いた。
そういった彼の目には、もう次の女の姿がある。


―――次、行ってみっかぁ……


一歩踏み出そうとした彼の足の脛をを小さな足が思いきり蹴った。
一瞬の出来事であった。

「い、痛ぁあぁあぁあ」

すぐにしゃがみこみ、脛をさすって自分を蹴った相手を涙目で見上げる。
怒鳴り付けてやろうと考えていた彼の思考は刹那、止まることになった。


「謝ってください」


視線の先にはわずか10歳ほどの少女が立っていた。
見たことがない顔だ。


「先程の女性に失礼ではありませんか。すぐに追いかけて謝ってください」
「あのなぁ、大人の事情に子供が口出ししないのぉ」


子供が皇子たる自分に、このような無礼を働くとは。
一瞬腹立たしく思うも、それが過ぎれば少し笑いが込み上げてきた。
長らく忘れていた感情だ。


「面白いな、お前。名前は?」
「清恋です」

キッと睨み付けて少女は名乗った。
言うなれば警戒心の塊だ。

「んじゃあ、清恋。俺専用の女官になれ」
「嫌ですよ」
「えー」


ここまで堂々とフるとは。
ますます興味がわいてくる。


「しつけ係でしたら、なってあげてもいいです」


ここで高鳴った龍奄の胸のざわめきは雨の音にかき消された。
だが、それは恋ではないと龍奄は必死に己に言い聞かせるのである。


ターンエンド

12:NONO ◆JrGE:2012/12/23(日) 20:27 ID:406

>>1読んでなかった…
申し訳ないorz
>>11ノーカウントでお願いします

ほんっとにごめんなさい((謝!

13:心音 ◆g58U:2012/12/23(日) 20:29 ID:IxE

>>12
いやいや、全然大丈夫ですよ!!ww
しっかりカウントさせていただきますb

14:NONO ◆JrGE:2012/12/23(日) 20:32 ID:406

いやー誠に申し訳ないっす(´;ω;`)
本体のそそっかしさがでた次第((
ありがとうございます
>心音さん

15:心音 ◆g58U:2012/12/23(日) 21:06 ID:IxE

>>14
素敵なものが見れたのでよかったですww

16:鵠 ◆oj5E:2012/12/24(月) 07:41 ID:2rE

それは真冬の日の昼下がりのことであった。

「お昼時だというのに・・・寒いなあ・・・」

長安城の第三王子こと、麗蓮はそう呟いた。

彼が肩を震わせつつ空を見上げるも空は灰色の雲で一面が覆われており、青空の見える兆しは感じられない。

(いっそ雪でも降ってくれればいいのに・・・)

そう思う麗蓮の息は白く、瞳は空をうつろに映していた。

(うーん・・・)


(雪が降って、積もったら紅龍と遊べるかな、龍奄兄様と清蘭も誘いたいなあ、候艶兄様も誘いたいけどやっぱり無理かな、無理だな。
いつも思うんだけど、候艶兄様常に忙しすぎると思うんだよね。たまには息抜きしてほしいんだけどなあ、今度外に出たら何か甘い物
買ってお土産にしよ。その場合紅龍にも・・・というかもういっそのこと龍奄兄様と清蘭と前葉と緋色ちゃんと清恋ちゃんにも買って
いこう。あーあ、一回くらい候艶兄様と俺の魂が入れ替わったりしないかな。そしたら息抜きをしてもらえるのかもしれないのに。
でもそれって俺の体が休まるだけかな?じゃあ俺が候艶兄様の姿で休めばいいのかな?ってそれができないから候艶兄様が困ってい
る訳で。別に入れ替わるのは龍奄兄様でもいいかもだけど、龍奄兄様何しでかすかわかんないよね。龍奄兄様に失礼だけど。龍奄兄様
ごめんなさい・・・って頭の中で思ったことに対して謝んのもなあ・・・ただの変態というか変人だよね、てというか雪遊びって・・・
今考えたらすごく子供っぽすぎるかな?でも楽しいんだよなあ、昔から俺は雪遊びが好・・・ってこのことなんでまた考えてるの俺。
あれ?五日前の昼食って俺何食べたっけ?えっと、魚と卵とアレと・・・いやいやこのことどうでもいいよ。五日前って何か地味に難し
いし。あ、お父様(皇帝様)、この前のあの国との海上貿易の話どうなったんだろう?俺的にはあの国と貿易するのはあんまり賛成したく
ないんだよね。だってあの国からこの国までの海峡ってよく荒れるから。どっちの船かがその被害に遭ったら大変・・・)

一見空を見ながらボーッとしているように見える麗蓮は、相も変わらず、頭の中で麗蓮ワールドなるものを展開し、
ただひたすらもんもんと考え事をしていた。
しかし次の瞬間、

ゴッ!

「まーた貴様は妄想しているのか!麗蓮!」

麗蓮はその頭を、ふいに何かで殴られた。本気じゃないとしてもかなり痛い。
声のした方を麗蓮が頭をさすりながら振り向くと、そこには軍官である清蘭が立っていた。
清蘭は片手に鞘に入ったままの刀を持っており、それで殴られたのだと、麗蓮は瞬時に気付いた。

「痛いなあ・・・後ろからいきなり殴るとか酷くない?」

「貴様が妄想をしているから気付かんだけの話だろうが、馬鹿者」

「妄想じゃなくて考え事だよ。というかこの前人参とシソの葉を間違えていた清蘭に馬鹿とか言われるの嫌だね」

「うるさい!もう一回殴られねばわからんのか!貴様は!」

「すいませんが・・・俺、仮にも第三皇子なんだけど。まあ俺と清蘭は幼馴染に近いからいいんだけど・・・」

「・・・敬語を使いましょうか?麗蓮様」

「あ、気持ち悪かったからいいや」

麗蓮のその一言に、脳の片隅で何かがブチッと切れる音がした清蘭は、またもや鞘に入ったままの刀を振り上げた。
しかし、何かに気付いた麗蓮がその腕を掴み、止めた。

「何をする!?ここで怖気づいたか麗れ・・・」

「ごめん清蘭。ちょっと静かに」

17:鵠 ◆oj5E:2012/12/24(月) 07:41 ID:2rE

麗蓮に言われた通り清蘭が口を閉じ、黙りこむと、ある声が確かに向こうから聞こえた。

「それにしても、本当にこの前は驚いたなあ、紅龍様の服」

「ほとんど売ってきたやつだろ?あれはなあ・・・」

「女たらしの龍奄様といい、前皇帝のご子息はなんでああ・・・いい加減なのだろう」

「いい加減の血が流れているんじゃないか?まったくあの二人は一体何なのかね、あれでもこの城にいる者なのか・・・」

麗蓮には、その先は聞こえなかった。否、聞かなかった。
ただ足だけがその声のする方に、迅速に歩んでいった。

「待て麗蓮!気持ちは分かるが落ち着・・・」

清蘭はそんな麗蓮の肩を持ち、自らの方へと向けて諭そうとしたが、次の瞬間、声をつぐんだ。
麗蓮の目が、恐ろしく冷ややかだったのである。いつもの優しげな光は欠片もなく、今日の空のようにその目はくすんでいた。
麗蓮は清蘭を一瞥すると、バッと勢いよく自分の肩から清蘭の手をひきはがした。

清蘭から力ずくで離れた麗蓮は、そのまま何も言わずにまた足を進めたが、

「麗蓮!!・・・麗れっ・・・麗蓮!!候艶様や龍奄様、紅龍様が探していたぞ!!」

清蘭の言葉で足を止め、清蘭の方を振り向いた。
その目には先ほどよりも、優しげな光が少し戻っていた。

「元より我輩は紅龍様達に貴様の居場所を問われた為、貴様を探していた」

「貴様は愛する兄妹より、己の怒りを優先させるのか?麗蓮」

清蘭のその言葉により、麗蓮は先ほどまで向かっていた方に背を向け、うつむいて沈黙する。
そんな麗蓮の肩を清蘭はすれ違いざまに優しく、ポンと叩いた。まるで、麗蓮からバトンを受け取ったかのように。

「我輩はこれでもこの城の軍官だ。ここは皇子の貴様より我輩が“教育”として行くのが妥当、だろ?」

「・・・・・・任せたよ、清蘭。龍奄兄様達が俺を呼んでたって話、嘘だったら怒るから」

麗蓮はそう言うと、その場を後にした。

「怒るって・・・もう怒っとっただろう、貴様は・・・」

清蘭はそんな麗蓮の背中を見て、ため息混じりに呟いた。

18:鵠 ◆oj5E:2012/12/24(月) 07:42 ID:2rE

結局、あの言葉は嘘だった。

「失礼します、候艶兄様。清蘭が候艶兄様と龍奄兄様と紅龍が探し、呼んでいたと聞いたのですが・・・」

「いや・・・清蘭には会ってないが」

俺が部屋に入るや否やそう言ったが、候艶兄様はきょとんとした顔で言った。
部屋には確かに候艶兄様、龍奄兄様、紅龍の三人が居たが、どうやら清蘭の言った事はやっぱり嘘らしい。
三人が三人共、同じようなきょとんとした顔で俺を見ている。
こうやって同じ表情をしているのを見ると、前皇帝や現皇帝などというものは無く、
俺達はやっぱり兄妹なのだと感じる。

「・・・プッ・・・・」

「どうしたんだよ麗蓮?いきなり笑いだして」

あまりにも表情が同じだった為、おかしくなってふき出した俺に龍奄兄様がそう声をかけて下さったが、
俺は「いいえ」と笑いをこらえながら言い、首を横に振った。
俺の笑いが治まり始めたころ、紅龍が俺に近づいてきた。

「でも麗蓮兄様を探していたのは本当ですわ、この前二人で外に出た時に買ったお菓子を一緒に食べようと思いましたの」

麗蓮がそう言って俺の服の袖を引っ張ってくれた。
俺はそれに、大人しくついて行った。



あれから一週間が過ぎただろうか。

「ん?何か言った?」

「何でもありませんわ・・・・・・」

俺は紅龍と話していたのだが、紅龍が何かをさっき言ったのをうっかり聞き逃してしまったのである。
紅龍は何故か少し呆れたような表情をしている。
俺が紅龍の話を聞かなかったからだろうか。よほど大切な話だったのかもしれない。
しかしこのまま問いても、もう一度言ってくれそうではなかったし、
一回の聞き返しでやめてしまうのなら、それほど大切でないのかもしれない。

「ならいいんだけど。そういえば紅龍、最近どうなんだ?」

遠まわしに、最近何か困ったことや、嫌だったことがないか聞いてみる。

「は・・・・・・?何がですか・・・・・・?」

しかし紅龍は思い当たる節はないらしく、俺が今の質問をする原因となった一週間前のあの時見せたのと同じ、
きょとんとした表情になった。

清蘭はあの後、しつけをどうやらしっかりやってくれたようだ。
それに免じてあの時の嘘は見逃してあげよう。

「いや・・・特になにもないなら良いんだ」

俺はそう紅龍に返し、ほほ笑みながら紅龍の頭を撫でた。

よく清蘭に、シスコンだの、ブラコンだの言われる。だけど俺の兄妹は、それほど大切なんだ。
大切なものを守る思いは少し重い方が良い。と考えたことがある。
・・・俺の勝手な見解かもしれないんだけどね。

ちなみに一週間前の空は、俺が紅龍や候艶兄様、龍奄兄様と楽しくあの後お菓子を食べていた時に、強くも音が爽やかな風が吹き、
灰色の雲が飛ばされ、綺麗な橙色の夕空が空一面に広まったのを覚えている。

五日前の昼食の中は忘れている癖に、
あの夕空の美しさだけは一週間たった今でも、はっきり覚えている。


【めちゃくちゃ長くてごめんなさい!!><ターンエンドです】

19:心音 ◆g58U:2012/12/24(月) 08:36 ID:IxE

ー紅龍と緋色とときどき候艶ー

「ほれ緋色、これが鞠というものですよ。」

「ほわぁ…、何をするものなのですか?」

皇帝や武官、各国の使い達が入り乱れる王宮の中で2人の少女が中庭で戯れていた。

「これを蹴って遊ぶ遊びを蹴鞠というそうですわ。」

「蹴ってどうするのですか?」

「…まあ蹴ってどうということはないのだけど。妾も龍奄兄様の部屋から見つけたばかりだからよく知らないのですよ。ほれ、」

紅龍は空中に軽く鞠を放り投げ緋色に蹴るように促す。

「わ、わわ!?」

緋色は慌てながらも的確に鞠を蹴り上げ…


丁度、中庭の前の廊下を通った候艶にクリティカルヒットさせた。

「Σこ、候艶様!!?」

「兄様…、なんて運の悪い……。」

「…………」

候艶の顔にめり込んだ鞠は重力を失い地面にポンポンという軽い音を立てながら落ちていく。心なしか鞠が当たった場所は赤くなっているような気がした。

「怖いお顔が更に怖くなってますわよ、兄様。」

「たくっ……。」

「ご、ごめんなさいなのですよ!!;すぐに氷を…っ、」

「いや、よい。これぐらいで騒ぐほど重大なことでもないからな。」

今にも走り出しそうな緋色を止め、候艶は鞠を拾い上げる。

「ほう、懐かしいな。龍奄が子供の頃に使っていた鞠ではないか。」

20:心音 ◆g58U:2012/12/24(月) 08:51 ID:IxE

「ええ、兄様の部屋を漁ってたら出てきましたの。」

「お前はまた人の部屋を勝手に……。」

候艶は呆れたように自分のこめかみを掴んで緋色に鞠を投げるも、それは彼女の手の中には収まらずやぶの中に入っていった。

「「あ………、」」

「す、すまん!!;俺がとってくるからお前らはじっとしておきなさい!!;」

やぶの中に入って蛇でも見つけられたら紅龍が暴れ出すに決まっていると、候艶は彼にしては珍しく焦ってがさがさとやぶの中に入っていく。

「おい、あったぞ。」

「あ、ありがとうございます候艶様!;」

鞠を持って緋色に今度こそ手渡しで渡すと、自分にはない輝いた笑顔を見せてくる彼女からそっと目をそらす。

「今度からは気をつけなさい。龍奄には当ててもいいが隣国の使いや皇帝陛下も通るのだから。」

「はーい。」

「了解しましたなのですよ!!」

そう言ってまた鞠で遊び始めた2人を候艶を優しい顔で見つめてからまた歩き出す。

「あ、兄様の背中毛虫。」

「Σ………っ!?」



ターンエンド

21:侯艶:2012/12/24(月) 10:55 ID:ez-2ww

―苦労人―

「はぁ…、」

侯艶はため息をつきながら、大量の書類に埋もれる様に仕事をしていた。
「……緋色?」
「…はいっ」
後ろには下女となり、やっと身長が120センチに達した緋色が此方を見ている。

それも、キラキラとした瞳で見てくるものだから、お預けを食らって居る犬を思い出させる。

「…見られていては、やりにくい。紅龍達の元にでも言っていてくれないか?」
未だにわからない子供へのかけ方。
もしかしたら、あぁ…怖がらせたか、と振り向けば、後ろには相変わらず、キラキラさせた緋色がいて
また頭痛を覚える。
「紅龍様のお部屋がわからないのです!!」
「わかった…今前葉でも呼び出し…」
紅龍の部下である前葉を呼び出そうと立ち上がった瞬間。
スッパッーン!!
と、戸が勢い良く開かれる。
その戸の勢いとタイミングよく現れた当人に侯艶と緋色はギョッとした。
「…戸は静かに開け、前葉。」

「…すみません!!しかし…、」
何時も優しい笑みを浮かべる前葉が困ったように口ごもる。
「………どうした?」
「…あのバッ…紅龍様と麗蓮様が城下へ逃亡致しまして。」

「………またか、」

ズキズキと激しい頭痛が襲ったが、あの妹と弟は仕方ないなと思う。
「…また服を売られたらお前等も大変だろう。しばらくしたら捜索に衛兵を回す…それから、麗蓮と紅龍の残した仕事は俺に回せ」
「!!…しかし、」
「いいから。お前は、これが父上にバレないよう頼む。」
「…はいっ!!」
パタパタと駆け出して行く前葉ように苦笑が零れる。
前葉も俺に怯えて居るのかもな、と頭の隅で考えながら。
「……侯艶様?」
「………すまない、忙しくなったから。お前はここで待っていろ」
困ったような緋色を残して部屋を出るのには不安が残るが、忙しい物は仕方ない。

22:兎鎖:2012/12/24(月) 10:57 ID:ez-mMU

名前侯艶…wすんません兎鎖です

23:兎鎖:2012/12/24(月) 11:12 ID:ez-xP.

ドスドスと廊下を歩いていれば、女官達に声をかけられる。
「…こ、侯艶様!!」
「………なんだ?」
「ひっ…すみません!!あの…龍奄様が」
泣き出しそうに怯えながら、龍奄の名を出す1人の女官が続けて声を上げる。
「…仕事を放り投げて、女性を口説いていて…」
「………………」
「ッ…!!すみません!!失礼致します!!」
バタバタと恐ろしい物から逃げるような女官達に悪いことをしたな、と思ってしまうと同時に
「…紅龍に麗蓮の次は龍奄か…?」
頭痛と一緒に顔を出した胃痛に俺は早死にするんじゃないだろうか、と思える。
「…はぁ…、」




しばらくして、
「衛兵に城下捜索を頼んだ、急ぎの仕事もした…後は…、」
目の前で、女官に話しかけている龍奄に目を向ける。
「…はぁ…、龍奄!!」
「ひぃッ…!?…あ、兄上じゃないっすか〜」
一瞬怯えただけで、軽い口調になった、龍奄にズキズキと頭が痛む。
「…お前と言う奴は…そうやって、直ぐに女性を口説くな!!苦情が来ているんだ!!それから仕事しろ!!お前それでも皇子か!?」
恐ろしい顔を更に恐ろしいくさせて怒鳴りつける。
「あ゛ー、兄上うるさいっすよ」
「っ…だから!!俺の説教中に耳を塞ぐな!!逃げるな!!あぁ、もうお前そこに正座しろ!!」
ビシッと床を指差す侯艶にいやいやと首を振る龍奄。
「…兄上?そんなに怒るから、未だに婚姻の1つもできないんっすよ」
………ブチッ
「龍奄、貴様ぁああああああッ!!!!」

城内中に侯艶の悲痛で恐ろしい、怒声が響き渡った。

24:侯艶:2012/12/24(月) 11:27 ID:ez-J1k

「……………はぁ…、」
侯艶は説教を終わらせた後に重いため息を1人自室で吐き出した。
何せ、4人分の仕事が今侯艶の上に乗っている。
「……早死にするな。」
と重い考えをしていた最中にまた、
スッパッーンと昼間の様に戸が開いた。
「……今度は何だ」
だが、其処にいたのは女官でも前葉でもなく、涙を浮かべた麗蓮と紅龍だった。
「兄様申し訳ありません!!」
「兄様…妾…妾…」
「「侯艶兄様が休めるようにとお土産を買いに行きたくて…!!」」
困ったような、申し訳ないような声で言葉を紡いだ2人にギョッとする。
「…そうか。」
「仕事、やります!!兄様に自分達の分までやらせるつもりじゃなくて…」
「…わかっている。大丈夫だ、お前等が優しいのを兄は知っているから、」
「…兄様…!!」
感動の顔を浮かべた、2人に早死はまだできんなと思ってしまう。
第一俺が死んだらこの城で仕事をする者が居なくなる。
「…だがな、まだ他の仕事が…」
「それは大丈夫っすよ兄上、俺がやっときましたから。」
得意気に、開きっぱなしの戸から現れた龍奄。
余談だが、タイミングよく現れた辺り、戸の裏でスタンバイしていたんではなかろうか…あえて言いはしないが。
「龍奄、お前…」
「説教はごめんっすけど、兄上が困るのはもっとごめんっす」
ニパァと笑みを浮かべる龍奄に笑みが零れる。
「「「侯艶兄様(兄上)が笑った!?」」」

無自覚に浮かんだ笑みだったのだが、それに対して、きゃっきゃっと喜びはじめた弟と妹に1つ考えが浮かんだ。

…俺は苦労人でいいのかもしれない。

「侯艶様…お茶を…って人がいっぱい増えてるのですよ!?」


ターンエンド

25:心音 ◆g58U:2012/12/24(月) 11:31 ID:IxE

Σえ、何この家族!?感動するんじゃないっすか°°(″口`)°°
紅龍ちゃんいい子になってるwww

26:NONO ◆JrGE:2012/12/24(月) 13:53 ID:406

見合い日和

「ばっかもぉぉぉぉぉんっ」

城中に怒鳴り声が響き渡る。
揺れたのではないかと思うほど声は反響しており城にいるものは皆、顔を顰め耳を塞いだ。

「何ですの?さてはまた龍奄兄様が候艶兄様に叱られているのですね」

そうブツブツ言いながら出てきたのは、皇女である紅龍だ。
耳を塞ぎながら怒鳴り声がしたほうを睨みつける。

「全く……困った兄様達。少しは周りの迷惑も考えていただきたいですわ」
「生憎だが、今回は俺ではない」

頭上から声がしたのでみあげてみる。
そこには渋い顔をした候艶がいた。

「まぁ…龍奄であるのには変わりないがな」


ちょうどその時、二度目の「馬鹿者」が響き渡る。
間髪いれずに玉座の間から欠伸をしながら出てきたのは、叱られている本人「龍奄」だ。
後ろから「明後日だからな!忘れるでないぞ!!」と言う声が追いかけてくる。

「龍奄…何の騒ぎだ?」
「あ〜兄上。またぁ、そんな恐い顔しちゃダメっすよぅ」
「はぁ…お前はそれしか言えんのか。問いに答えろ」

候艶がギロリと睨むと龍奄はコホンと咳払いし事情を説明する。

「父上に見合いを用意されたんすよぅ」
「いい話じゃないか」
「んなわけないっしょ!で、嫌だと断ったらこのざまっす」

やれやれと首を振り肩をすくめる龍奄。
そこへ、どこからか現れた麗蓮が口を挟んだ。


「いいではありませぬか、兄様。そろそろ一人に絞られては?」
「やぁだよ。俺は縛られたくないの〜」

わぁわぁと喚く龍奄をみて紅龍がポツリと一言。

「それでは、幾人もの女性をやらしい目でみるのですか?まぁ、汚らわしい」

27:NONO ◆JrGE:2012/12/24(月) 14:22 ID:406

さて、見合い当日。
いつも以上にめかしこんだ膨れ面の龍奄とその兄弟たちが
相手国の城の前に立っていた。

「なぁんで兄上達までいるんすかぁ」
「仕方ないだろう。父上がお忙しくて城を離れられないのだ」
「だったら俺一人でいいじゃないっすかぁ」
「お前一人だといつものように逃げ出すだろう。そうだ、だいだいお前は―――」

始まった候艶の説教を「うるせぇ、うるせぇ」といつものように聞き流し一歩城へと踏み入れた。
広い城の中ではここの下人たちだと思われる者が「よくぞ我が城へ」と頭を下げた。
長い廊下の突当たりには大きな扉があり、結局この扉の向こうへと通された。

「広いですわねぇ」
「うちの城と変わらないなぁ」

などと口々に感想を述べる弟と妹を横目で見てため息を吐きつつ、龍奄は椅子へ腰をおろした。
約束の時刻になると奥の扉が開き、中から女性が一人出てきた。
女性はニッコリと龍奄たちに微笑むと一言「新羅の第一皇女、凜鈴でございます」と頭を下げた。

「あの…差し支えなければ龍奄様と二人きりにしていただきたく…」
「ええ、では行こうかお前達」

候艶は弟妹を促し、部屋を出て行った。
残ったのは不服そうな目をした龍奄だけである。
そんな龍奄に凜鈴はそっと寄り添った。

「きっと…きっと良い奥方になりますわ。是非、我が国の王に」
「…少し離れていただけませんかねぇ。これは単なる見合いのハズですが?」
「あら、わたくしはもう…あなた様の……」

言葉を待たずして龍奄は立ち上がった。
驚きの表情を浮かべ凜鈴は龍奄を見る。

「お断りしますよ。俺、自分の国で生きたいんで」

じゃ、と軽めに手を振り龍奄は部屋を出た。

28:林檎:2012/12/24(月) 14:27 ID:CGY

面白いですね!
あっ!宣伝しても宜しいです?

29:心音 ◆g58U:2012/12/24(月) 14:32 ID:IxE

>>28
宣伝はできれば控えてください…;

30:林檎:2012/12/24(月) 14:34 ID:CGY

そうですか全然人が来ないから
宣伝しただけなのに…
もう小説やりたないよ〜

31:林檎:2012/12/24(月) 14:35 ID:CGY

そうですか全然人来ないから
宣伝したんですけど…
あー誰か来んかな

32:心音 ◆g58U:2012/12/24(月) 14:37 ID:IxE

>>30
更新し続けていればいつかは来ますよ。私のスレもそうですから(″`*)

では雑談はここまでで。よろしければフリトの方へどうぞ。

33:NONO ◆JrGE:2012/12/24(月) 14:39 ID:406

「で、何してんの?お前達」

龍奄の視線の先には扉の側で聞き耳を立てている弟妹の姿。
何故か二人とも不安げな表情で龍奄を見上げる。
龍奄が首をひねると麗蓮がおずおずと「見合いはどうなりました?」と聞いてきた。

「ん〜、断った」

その瞬間、二人の表情が和らぐ。

「そうなると思いましたわ」
「やはり兄様が婚姻なさるのはまだまだ先…」

「なぁんだよう。まあ、いいや。それより兄上は?」

キョロキョロと辺りを見渡すと、なにやら険しい顔をした兄が庭に居るのが見えた。
考え込むように額に手を置き「う〜ん」と唸っている。

「兄上ぇ、なにやってんすかー?帰るっすよう」

手をブンブンと兄に振って呼んでみる。

「はっ、龍奄。お前、見合いはどうなった!?」


*後日談

「ばっかもぉぉぉぉぉんッ」
「あーもう、うるせっすよぅ」

見合いを破談にしたことで皇帝からはこっぴどく叱られた龍奄だった。

34:NONO ◆JrGE:2012/12/24(月) 14:40 ID:406

書き忘れ((焦
ターンエンドです

35:鵠 ◆oj5E:2012/12/25(火) 07:48 ID:2rE

〜候艶兄様の嫁を本気で考えるの会〜

「これから第一回、『候艶兄様の嫁を本気で考えるの会』を開始いたしますわ」

それは平和な昼下がり、城の使われてない一室であった。

「あの・・・紅龍様、私、まったく話の意味がわからないのですが・・・」

4人いる部屋の中で清恋が、おずおずと気まずそうに挙手した。
同じく部屋にいる、清遥、緋色も同じ表情を浮かべている。

「名前の通りですわ、中々誰かと身を固めようとしない候艶兄様のお嫁様を、妾たちが考えてしまうのです」

「はあ・・・」と戸惑いながら返す清恋の横で、緋色はわくわくと目を輝かせている。
しかし謎の会が始まってから最初の発言をしたのは、

「はい!紅龍様!」

意外にも、清蘭であった。

「はい!清蘭!」

紅龍に当てられるや否や、清蘭は勢いよく立ちあがる。
それを見た清恋と遥は心の中で、「え?これって立つの?」と戸惑っていた。

「我輩、この部屋にいるお方の中で、推薦したい人が一人いらっしゃいます!」

「え」

清蘭の言葉に、清恋と遥から間の抜けた声が出る。
またもやその二人は、「そんなの聞いてない」と戸惑っている。

そして清蘭の口から出たその名は――、


「我輩、候艶様のお相手に、緋色殿を推薦するであり――」

「却下ですわ」

一瞬の間すらもなく、紅龍がその言葉を遮った。

「ええええええ!??まだ途中ですよ!?紅龍様!!」

「途中もなにも、年齢的に考えて無理ですわ!」

「あなた候艶兄様をロリコンにするつもり!?」

「しかし紅龍様!!緋色殿のこの可愛さは、まさしく凛々しき候艶様と合うと思うのです!!」

「だから見た目中身の問題ではなく!妾の兄様を何歳だと思っているの!!」

「満二十五歳であります!でも本当に緋色殿は可愛らしいではありませんか!!」

「あなた地味にロリコン!??」

紅龍と清蘭が論争を繰り広げつつある中、遥と清恋はそんな二人をただ見守ることしかできなかった。

「清恋様・・・私達は一体どうすればいいのでしょう・・・」

「そうですね・・・もうどうしようもありませんね・・・」

「そういえば私、お菓子を持ってきてと紅龍様に頼まれていたため、お菓子がここにあるのですが・・・」

「食べますか?遥さん」

「あ、私もお菓子を持ってきたのですよ!」

すっかりのんびりとお茶会を始めてしまっている二人に、ぎゃあぎゃあと論争を繰り広げる二人、

緋色はしばらくその二人と二人を見比べた後、


「清蘭は・・・?」

と、呟いた。

36:鵠 ◆oj5E:2012/12/25(火) 08:46 ID:2rE

「・・・・・・え?」

蛙の鳴き声が混じったような声を清蘭は出した。
他の三人も一斉に緋色を見る。

「清蘭・・・清蘭様はお嫁さまにならないのですか?」

最初は考えながらだったからなのか、呟くように言っていた緋色が、
次の瞬間、今回最高の光を目に帯せながらそう言ったのである。

「・・・いやいやいやいや!!緋色殿、我輩はそれ以前に男ですよ!?」

いまだに城中の人全員が自分の正体に気づいていないと思う、鈍感な清蘭がそう返すが、

「ならないのですか?」

緋色のキラキラとした期待が流星群のように感じられる清蘭は、
しばらく「我輩は・・・男・・・あの・・・えっと」などともごもご口ごもったあと、


「仕方がない・・・今回は女だということを特別に証しましょう!!」

そう言って、自らの服の懐をガバリと開いた。
その瞬間、他の3人は目を見張った。特に紅龍はかなり見張った。
別に女であったことには驚いていない。そんなことは城にいる者なら全員知っている。
開かれた懐からは、サラシの巻いた胸が見えたのだが、

案外、大きかったのである。

「あれ?紅龍様?」

部屋の片隅で膝を抱えてうずくまる紅龍の周りには、
重苦しい暗黒のようなものが立ちこめ、当の本人、紅龍は、
「妾よりあるとかありえない普段は男のフリしてる癖になんでなんで」
と、ブツブツ何かを呟いていた。

「とりあえず清蘭さん、服を戻してください」

「あっ、ああ、すまなかった」

清蘭が清恋に言われた通り服を戻す中、

「えっと・・・今は紅龍さんをそっとしておいてあげましょう、緋色ちゃん」

「?はーい」

遥はそう言って笑顔で返してきた緋色を自らの膝に乗せる。

「・・・ところで、緋色殿、さっきのお嫁様になるというのは・・・その・・・」

「候艶様とのことですか・・・?」

顔を少し赤くさせながら、そう尋ねる清蘭に、緋色は首を横に振っていた。

「いいえ、ちがうです!」

「え?それなら一体誰と我輩を思い浮かべているのでありますか?」

「麗蓮様です!」

そう元気よく答える緋色の言葉を聞いた瞬間、一気に清蘭の顔は、先ほどと比べ物にならないくらいに赤くなった。

「はあああああええあああ!!???なっ何故ここで麗蓮の名前が出るんだ!??」

「麗蓮様と清蘭様はいつも一緒です!それに、」

「「清蘭はあれでも美人だから、可愛い服を着たらきっと似合う」とこの前おっしゃっていたです!」

「ああ、それは・・・」

得意げに話す緋色の横で、真っ赤になってうずくまる清蘭の前で、清恋が緋色に話しかけた。

「麗蓮様は誰にでもそうおっしゃる方ですから・・・あまり鵜呑みにしてはいけませんよ」

そう淡々と話す清恋の横で、遥は困ったようにうなった。

「遥さん?どうかしましたか?」

「いえ、それが・・・紅龍様と清蘭様が再起不能な今、この会議はどうなるのかと思いまして・・・」

「とりあえず・・・私達だけでも続けましょうか」

清恋のその一言により、凍結し、脱線しまくっていた会議はやっとまともな道を進むのであった。


次回(たぶんある←)、やっとまともになった「候艶様の嫁を本気で考えるの会」。
一体結論はどうなるのか――、
(たぶんある←)次回「第二回 候艶様の嫁を本気で考えるの会」に続く。

【長いし意味不明ですいま((ry】ターンエンド

37:心音 ◆g58U:2012/12/25(火) 09:07 ID:IxE

ー闇鍋ー※ほぼ会話文

「さあ、寒くなってきた今日この頃。早速闇鍋を致しますわよ。」

「好きなものいれていいんだよね?」

「ええ、もちろん。」

「特に好きなものとかないんすけどねぇ…。」

「……………」

「候艶兄様、そんなにむすっとしないでくださいな。たまには息抜きも大事ですわ。」

「しかし仕事が………、」

「さ、それでは始めますわよ。」

「…人の話を聞かないか、紅龍。」

「お仕事の話など聞きたくありません。」

「そうっすよ。もうちょっと楽しみましょうぜぇ兄上。」

「……仕方ない。今日限りだからな。」

「兄様も紅龍には弱いですねー。」

「………今日限りだ。」

「「「はいはい。」」」



「では年の順からいって妾がいきたいと思いますわ。兄様達は出ていってくださいな。」

「いいか紅龍、食べられる物だぞ。」

「分かっておりますわ、それくらい。」

「はぁ…………。」

38:心音 ◆g58U:2012/12/25(火) 09:16 ID:IxE

ー紅龍のターンー

「自分の好きなもので食べられる物ですわよね…。…あれしかないですけど。」

ー麗連のターンー

「…なんか甘い匂いがする。」

ー龍奄のターンー

「うわ…何だこのアルミホイルを燃やしたかったけど間違えてプラスチック製の銀紙を燃やしてしまいましたー的な匂い…。」

ー候艶のターンー

「たくっ、あいつら何をいれたんだって…Σふぐっ!?…くっ…強烈だなこの臭い…!!?」

39:心音 ◆g58U:2012/12/25(火) 09:37 ID:IxE

「…さ、蓋を開けてみますわよ。」

「やめておいたほうがいい気がするんだ

俺的に…。」

「でもいい匂いでしたよ?鍋ではどうかと思いますけど…。」

「お前はあの匂いを嗅いでないからそんなことが言えるんだよ…。」

「そこで蒼白な顔をしている兄様もよろしいですか?」

「好きにしろ………。」

「では開けますわよ。」




「………………」

「ΣΣ紅龍!!?;涙目で気絶しちゃいましたけど兄様!!…って龍奄兄様!?;」

「ガハッ…だ、ダメだ…この鼻や喉にまとわりつく異臭…っ死…ぬ……。」

「龍奄兄様ァアァアァア!!?;大丈夫ですk…っ…。」

「Σお、おいお前達!?;しっかりしないか!!」

「あ、兄様…っ、」

「紅龍!!!」

「兄様だけでも…っ、兄様だけでもこの地獄から抜け出して…生きてくだ…さい…っ…」

「紅龍ゥウウゥウゥ!!?…くそっ、俺は…俺はどうすれば……?!…Σうっ!?鼻が………っ」

………


ーそのとき部下達は

「緋色殿、清蘭殿、清恋殿、遥殿!!」

「あら前葉様、こんにちは。」

「どうかしたのか?そんなに慌てて…。」

「候艶様含むバカ3人組が見つからないのです!!;」

「ΣΣき、聞こえたら怒られちゃうのですよ!?;」

「まあ確かにバカだからいいだろ。」

「バカですね。」

「手に負えないぐらいですよね…。」

「え、ええ…?;…バカって言わない緋色のほうがおかしいのかな……。」

「まあとりあえずだ、あのバカ共なら闇鍋をするとか言って紅龍様の部屋に行ったぞ。」





ーそのとき部下達は

40:心音 ◆g58U:2012/12/25(火) 09:38 ID:IxE

上記が色々と終わってる…orz
まだ続きますb

41:心音 ◆g58U:2012/12/25(火) 09:48 ID:IxE

「は……?闇鍋…?」

「そういえば候艶様が文句を言いながら、今日は鍋をするからって緋色をここに置いて行ったのですよ!!」

「またあのじゃじゃ馬は変なことを……。」

「まあよいではありませんか。兄妹仲が宜しくて。」

「よければ私が様子を見に行きましょうか……?」

「いえ大丈夫です。私が見に行くので皆さんは話の続きでもしておいてください。では、」

「……前葉様って真面目ですよね。」

「堅物なんだよ。そういえばさっきの話の続きだがな、やはりくっつけるとすれば候艶様と前葉だと思うぞ。似合うと思うんだがな。」

「あら、私は麗連様と龍奄様がお似合いだと思うけど。」

「緋色はね、候艶様と龍奄様がいいと思うの!いつも喧嘩ばっかりしてるけどそこに愛があると思うんだ。」

「「「それだ!!」」」

42:心音 ◆g58U:2012/12/25(火) 10:00 ID:IxE

「…!?…何やら寒気が…。紅龍様、紅龍様いらっしゃいますか?」

…………

「…とぼけても無駄ですよ。あなたたちがそこにいることは…っ、承知の上ですからねえぇえぇえッ!!!…Σふぐっ!?」

「ぜ、前葉……っ、」

「候艶様!?;一体何があったのですか?!っていうかこの異臭は何です!!?」

「うぅ…前葉……。」

「こ、紅龍様?;そんな貞子のように近付かれても…;」

「これがいわゆる…“死臭”。」

「親指立ててドヤ顔するなあぁあぁあ!!!」

ーーー
色々と失敗が多かった…;

バカ3人+1人が鍋にいれたものは何でしょう?これが分かった方はホントにすごいですね。答えは雑談場所のほうに載せておきますww

ちなみに前葉除く、部下4人が話していた内容は腐の話ですb((おm

お粗末様でした。ターンエンド

43:兎鎖:2012/12/25(火) 12:14 ID:ez-2ww

―狂気―

あぁ…なんて恐ろしい顔
下女などとの間に生まれるからよ
まるで、悪魔のようだわ

声量を気にもせずに噂話をする女官達に侯艶は仕事を中断した。
「…聞かれている自覚はないのか…?」
何故あの人が次期皇帝候補なのかしら
「…………」
長男だからに決まっているだろうと思わず叫びたくなった。
だが、その前に女官達の噂話が続く
そう言えば紅龍様も―…
ボキッ
「やってしまった…」
紅龍へ対する陰口がまでもが聞こえた瞬間に侯艶は手の内にある太筆を折ってしまった。
真っ二つに折れた筆の先端が刺さり、手のひらから鮮血が流れ出た。
「高かった筆なんだが…参ったな」
皇帝なんか知らない
国なんて無くなればいい
国民の平穏など守っていられない
俺が―…心を体を蝕まれても皇子として立っているのは…
「国民よりも弟と妹を守ろうなど…」
「…最低な王だな」

仕立て上げられた偽物の王様が
自室で自嘲する姿は…ただの狂気でしかない

ターンエンド

44:NONO ◆JrGE:2012/12/25(火) 14:46 ID:406

―人間失格―

ある冬の日の昼下がり。
いつになく暗い表情で窓の外をぼんやりと眺める若者が一人。
その理由は数時間前に遡る。



「兄様もそろそろ結婚なされてはいかがですか?いつまでも女性のケツばかり追いかけ回して………。情けないですわ」

俺は飽きるほど聞いたその台詞を妹からピシャリといい放たれ、少しその気になっていた。
確かに、もう23だ。
この前の見合いは断ったが、もうそろそろ本気で考えねば。
一時の気の迷いと言うのだろう。
不覚にもそんなことを思ってしまった俺は、誰か相手に結婚を申し込む練習をしようと思ったのだ。
その時、ちょうど清恋が目の前を通ったので声をかけてみた。


「おー、清恋。少し話があるんだが……」
「なんでしょう?忙しいので手短にお願いします」

相変わらず淡々と話すやつだな。
とまぁ、そんなことはさておき言ってみることにした。


「俺と、結婚でもしないか?」
「………」

きっと驚いて固まってるに違いない。
きっとそうにきまっている。
そんな期待をしながら相手を見ると、俺の予想の真逆をいった表情を彼女はしていた。

「はぁ?馬鹿馬鹿しい」
「なっ……」

主君にたいして、なんて口の聞き方だ。
おまけにコイツったら蔑んだ目で俺を見てきやがる。
いったいなんなんだ。

「あなた様と婚姻するくらいでしたら、ミミズと婚姻した方がマシですわ」


淡々とそういい放つと清恋は一礼してその場を後にした。
残された俺は石化。

ていうか、ミミズって虫っすよね………

45:NONO:2012/12/25(火) 16:58 ID:406

書き込めないー

46:NONO ◆JrGE:2012/12/25(火) 16:59 ID:406

あれ?書けましたね。
じゃあ、書いてみますか。もう一度

47:NONO ◆JrGE:2012/12/25(火) 17:05 ID:406

そんなこんなで昼下がり。
龍奄は普段見せない暗い表情で窓辺を陣取っているのである。

「俺はミミズ以下だったのかぁ」

そう呟いたとき、後ろに人の気配を感じた。
振り返ってみると、今にも泣きそうな
顔をした清恋が突っ立っていた。

「あのっ、先程は申し訳ありませんでした」
「んー、気にしてないさ


少しだけ大人に振る舞っておくことにしよう。
素直に謝るなんて案外可愛いとこもあるじゃないか。

「本当に…ごめんなさい」
「気にすんなってのぉ」

小刻みに震えている清恋の肩に手をおき微笑む。
お、これいい感じじゃないか?

48:NONO ◆JrGE:2012/12/25(火) 17:10 ID:406

「龍奄様はミミズ以下なんてことありませんわ」
「うんうん」
「蛙以下です」
「両生類ぃいいいッ!?」

俺の叫びに顔をあげた清恋の目には涙一粒ついていない。
かわりに悪戯っぽい笑みを俺に向けていたのだった。


数日後―

「結局、俺ってなんなの?」
「さぁ?人間以下であることは確かですね」


当分、結婚はできそうにないな。と思った
師走、今日この頃。


ターンエンド

49:心音 ◆g58U:2012/12/25(火) 17:23 ID:IxE

>>48
お疲れ様でした。結婚してしまうのかと思いましたよ;

50:鵠 ◆oj5E:2012/12/26(水) 09:01 ID:au2

〜第二回 候艶兄様の嫁を本気で考えるの会〜

「さてと・・・じゃあ、再び始めましょう」

あの後例の部屋で、遥がにっこりとほほ笑み、そう言った。
彼女がもちろん始めようとしているのは、先ほどと同じ
「候艶様の嫁を本気で考えるの会」。

しかしいろいろなことがあり、主催である紅龍と、一番意見を述べていた清蘭が再起不能になってしまった為、
会は一度頓挫したのだが、
残った遥と清恋と緋色の三人で再び第二回として再開したのである。

「・・・とは言ったものの」

遥は少し息を整え、そう呟いた。

「一体何を話せばよいのでしょうか・・・?」

「先程まで一番話していた二人がいませんからね・・・」

「そういえば紅龍様はどこへ?」

遥がそう言った通り、先程まで部屋の隅で陰湿な雰囲気を漂わせていた紅龍が消えていた。

「凍えた心を温める為、鍋をするとブツブツ呟いて、部屋を先程出ていかれましたよ」

「そうですか・・・まあ、会の名の通り、候艶様のお嫁様を本気で考えましょうか」

清恋はそう言い、考えるように瞳を閉じた。
遥や緋色も同じく瞳を閉じ、三人でうーんと唸る。

「近隣の国で良い王妃様は・・・あまりいませんよね・・・」

「この国は今のところとても平和ですし」

「美人でしっかり者な王妃様がいいです・・・」

遥、清恋、緋色がそう呟くが、

「・・・そんな人います?」

「思い当たる節はありませんね・・・」

次の瞬間、そう言って遥と清恋は顔を上げた。
しかし緋色はまだ考えており、そして、


「・・・・・・紅龍様はどうですか?」

緋色がポツリと、そう言ったのだ。

「・・・紅龍様・・・?いやいやいやいや」

残る二人は唖然とした後、息を合わせて首を振った。

「それは無理ですよ、緋色ちゃん」

「あの二人は兄妹なのです。兄妹は結婚できないのですよ」

遥がそう諭すが、今度は緋色が首を横に振った。

「できるです!麗蓮様がおっしゃていたです!」

「「この国から何千里も先の、砂漠でたくさんあふれているエジプトいう国では、」」

「「一族の血を濃く保ちたいが故に、他の家の血が混ざらないように兄妹同士で結婚をするらしいよ」って!」


「・・・・・・相変わらず・・・余計なことしか吹き込みませんな、アイツは・・・」

笑顔で話す緋色にそう言ったのは、

「清蘭さん!」

震えながらも必死に起き上がる、清蘭であった。
清蘭は第一回の時と同じようにあぐらをかいて座ると、赤みが引いたその顔を引き締めた。

「確かに兄妹同士の結婚はできることはないのかも知れません、」

「エジプトでの兄妹同士の結婚は我輩も麗蘭に聞いたことがありますから」

つらつらと言っていく清蘭に、遥と清恋の二人は、
「麗蓮様・・・何で知っているのですかそんなこと」と、そう強く思っていた。

「しかし、我輩は思うのです、」

「ここは紅龍様以上に候艶様に身近な、龍奄様や麗蓮様、前葉の方が良いと思うのです」


「・・・は?」

苦虫を噛み潰し、さらに毛虫を顔に張り付けられたほど複雑に、嫌そうで苦々しい顔をした。

「候艶様も龍奄様も麗蓮様も前葉様も・・・同じ男性ですよ?」

「ですから・・・」

清蘭は他の三人を集めると、四人だけに聞こえるような小さい声で話しだした。

「例えば候艶様と前葉が・・・・・・で、」

「そして龍奄様が・・・・・・なのであります」

「いい・・・かもですよね」

「いい・・・ですね!」


遥や清恋、更には緋色がそう顔を合わせ、いよいよ四人の結果が決まりだしたのである――。


変な風に、「腐」の方向へと。


それからしばらくして、

「緋色殿、清蘭殿、清恋殿、遥殿!!」

前葉が部屋に急ぎの用で入って来たのだが、
その時、全員が一瞬前葉を腐った目で見たのを、彼は知らない――。

51:鵠 ◆oj5E:2012/12/26(水) 09:03 ID:au2

「ッ!!!」

次の瞬間、医務室で三兄弟は一斉にガバリと起きた。

「・・・あ!皆様お起きになりましたか」

何故かワンテンポ遅れて、前葉が三兄弟に近寄った。

「前葉・・・顔、青いぞ?どうしたんだ?」

そう前葉を自らの顔も青いのに心配する候艶だが、確かに元気だった前葉も同じくらい顔が青くなっていた。

「いや・・・先程少し寒気がしまして・・・どうやら風邪でも引いたようです」

「そうか・・・奇遇だな、何故か俺も先程一気に寒気が襲ってきてな・・・」

「あの候艶兄様も龍奄兄様も前葉も・・・汗、凄いですよ?俺もですが・・・」

「寒気しまくってんのになんで汗が止まらねーんだろ・・・」

三兄弟と前葉が訳のわからない悪寒に同じように襲われる中、

『候艶兄様の嫁を本気で考えるの会』の結論は、曲がりに曲がり、ゆがみにゆがみ、腐りに腐って、


「これで決定でありますな・・・」

「せーの・・・っ!」


「結論、候龍と麗前が一番おいしい!!」

四人が声をそろわせてしまったのであった。


【便乗してあげたよ!心音よ!ターンエンド】

52:心音 ◆g58U:2012/12/26(水) 09:44 ID:IxE

※病んでる紅龍注意


…兄様ったらまたあの娘のことを見ている。あんな女のどこがいいのかしら。髪、目、耳、口、鼻?…ああ、憎い。憎くてたまらないわ。

あんな女死んでしまえばいい…。死んでしまえば妾がこのように苦しむこともないというのに。

…そうね、殺してしまえばいいのよ。邪魔者も消えて兄様も妾を見てくれるに違いない。一石二鳥だわ。

ただし、楽には殺してあげないんだから。苦しめて苦しめて絶望の縁に立たせてからゆっくり殺してあげる。

ああ、とっても楽しみね…。


ーーー
次スレから痛い表現が入りますので苦手な方は今すぐ目と鼻と口をおさえてはい、Uターン←

53:心音 ◆g58U:2012/12/26(水) 09:59 ID:IxE

…準備はよろしいですか?私だってね、書いてる途中目と足が痛くて痛くてorz
ーーー


こんなところに何の用かって?…決まってるじゃない。最近調子にのってきたあなたにお仕置きするためよ。



ああ、ほら見て。あなたの眼球…ぬるぬるしているわ。こんなものが人の目に入ってるのねー…生物って不思議。

あらぁ、泣いたって無駄よ。何もない空洞から血の涙を流しているあなたってとっても芸術的だもの。


え、何をする気だって?見れば分かるでしょう。蟻を巣へ戻してあげるのよ。
穴があったら何かを詰め込みたくなるの★
ふふ、ほーら…体中に蟻が入る感想はどう?


さてと…、細かいところは蟻さんに任せるとして次はどうしようかしら?

やめないわよ、妾は絶対にやめない。お前が兄様をたぶらかした罰なんだから。

次は…そうね、顔中の皮膚という皮膚を丁寧に剥がしてあげる。丁寧によ?痛くもないんだからそんなに叫ぶことないじゃない。



……あーあ、痛みで気絶しちゃったの?これから足の指の関節を一個一個外していってあげようと思ったのに…。残念だわ。

本当につまらない人。飽きたからさっさと殺してあげる。

とても楽しかったわよ。楽しかったのに…



どうしてこんなに涙が出るのかしら。



ターンエンド

54:兎鎖:2012/12/26(水) 13:46 ID:ez-Ico



「侯艶様ぁー?侯艶様ぁー!!」

城内で小さな体の緋色は小さな足を目一杯動かして、駆け回っていた
侯艶を見失い城内で迷子になるという失態を犯した緋色は内心焦りながら駆け回る。
「侯艶さま…きゃっ!!」
「…………。」
ドンっと誰かに弾き飛ばされ上を見上げれば、女官の1人…零が立っていた
「零さん…!?す、すみませんなのですよ!!」
「問題ないであります。そちらも大事ないでありますか。」
灰銀色の目を伏せて小さな体の緋色を起きあがらせる零。
「大丈夫なのですよ!!ありがとうございますなのです」
ぺこっとお辞儀すると零もお辞儀を返す。
「廊下は走らないのが利口であります。…何かあったでありますか。」
疑問符がつかないようなニュアンスで無表情に問いかける零。
普通の子供なら怯えてしまうかもしれないが、緋色は臆する事なく返事をする
「…侯艶さまとはぐれてしまったのですよ…」
困ったような緋色を気にすることなく零は口を開く
「李・侯艶陛下でありますか。陛下なら先程城下に偵察に行った模様であります…数刻は帰って来ないでありますね。」

55:兎鎖:2012/12/26(水) 13:56 ID:ez-mU6

「そうなのですか!?」
「…そうであります。」
無表情だが、どこか呆れたような、困ったような表情の零に、この人も表情を変えるんだな…と半ば蝋人形のようだと思っていた自分に反省する。
「…仕方ないでありますね。」
ため息をついた零が赤茶色でセミロングの髪をかき揚げながら呟いた
「…え?」
「いいでありますか緋色殿。…緋色殿は今暇であります。そしてわたくしも暇であります。」
無表情で急につらつら喋りだした零に緋色は内心焦りだす
「はい…?」
「…ですから、緋色殿が李・侯艶陛下がお帰りになるまでわたくしが遊んで差し上げますであります。」
ふっと微笑した零にぱぁあと緋色が顔を明るくさせた。
「…折り紙がわたくしの部屋にあるであります。行きましょう。」
「はいっなのですよ!!」

手をつないで歩く2人の少女に城内が姉妹のようだ、と綻んでいた

ターンエンド

56:龍奄 ◆JrGE:2012/12/26(水) 14:36 ID:406



ちょこちょこちょこ……

なんの効果音!?と突っ込みをいれたくなる音があとからついてくる。
その原因は、右手に持っている「するめいか」にあった。
酒のつまみにしようと思って買ってきたのだが仕方ない。
くるりと振り返りしゃがんで足音の主を手招きする。

「こいよ。全部やるから」
「うにゃーーー」

そう猫だった。
子猫が後ろからついてきていたのだ。
動物は苦手なんだけどな、と龍奄は呟いたが相手は猫だ。
伝わるわけがない。

「お前、早くうちに帰んな。心配してんだろ?母さんとか父さんとか」
「にゃー?」
「んだよ、親いねぇのか」

猫の頭を撫でてみる。
小さいな、すぐに壊れちまいそうだ。

「奇遇だな、俺もだよ」


龍奄は猫を抱き上げると踵を返した。
家族の待つ我が家へ帰るために。


ターンエンド

57:鵠 ◆oj5E:2012/12/27(木) 09:07 ID:au2

それは今から、5年前のことであった。

その日の外は雨で、冬の寒空はまだ昼間だというのに夜のような暗さをかもしだしていた。
この時期には珍しい湿った風が吹く、雨のにおいが鼻をくすぐる。
すっかり冷え切った体に温かい息を吹きかけてみるも、何も感じない。

(寒い・・・一体何をやっておるのだ、麗蓮のヤツ・・・)

麗蓮のあの、のんきそうな笑顔を思い出し、少し怒りを覚えた。

(「何が城の最上階の西側廊下で待ってて」だ・・・まったく)

怒りが本格的なものにみるみる変わっていく感覚が分かる。
それは白い紙に落とした墨汁の粒が、紙をじわじわ侵食していくようだった。

次の瞬間、突然強い風が吹いた。
何も感じなかった体にもその寒さが伝わり、腕から鳥肌が立つ。

「もう帰る・・・!!」

ついに怒りが頂点に達し、我輩がそのまま踵を返したその時、

「清蘭っ!」

曲がり角の向こうから麗蓮が現れた。
その瞬間とりあえず帰るに帰れなくなり、
手は鞘に入ったままの剣を取り出した。

「こんの・・・馬鹿者があああ!!!遅いわあああ!!!」

思わず勢いよく本気で降りそうになるが、いけない、瞬時に力を半減させた。

ガッッ!

しかしまあ、攻撃自体はやめなかった。
この馬鹿のせいでこの寒空の中待たされたのだからな。

「う・・・おっ!?・・・いった・・・遅れてごめんって、でも殴ることはないだろう?」

「五月蠅い黙れ。さっさと要件を言え」

正直こちらとしては早く部屋か道場に戻りたい。
温かい理由半分、やることがある半分、むかつく半分だ。
・・・あれ?なんか半分多くないか?・・・まあいい。

麗蓮が我輩を見る。
やけに悲しそうな目だ。いつものようにヘラヘラ笑っているように見える。

なのに・・・何で麗蓮、貴様はそんな悲しい目をしている・・・?

「本当にごめんね、清蘭。用っていうのはこれなんだけど」

そう言って麗蓮が差し出したのは、いくつもの封筒。
紅龍へ、候艶兄様へ、龍奄兄様へ・・・
たくさんぼ宛名と封筒を見て、黙りこむ我輩を見た麗蓮は、

「ほら・・・手紙でしか伝えられないことってあるでしょ?」

「でも手紙って自分からじゃあげにくいしね」

と笑ってそう言った。
確かにそうかもしれないが・・・。
それなら何故、そんな・・・悲しい目を・・・

「清蘭、本当にごめんね、寒かっただろ?」

そう言って麗蓮が着ていた羽織を我輩にかけた。
確かに温かいが・・・。

「もう戻ってもいいよ、手紙よろしく」

麗蓮は話しながら後ろを向く。
そしてそのままこちらに背中を向けたまま歩いていった。

麗蓮の姿が曲がり角に消え、我輩も部屋に戻ることにした。
まず部屋で体を温め、体の自由が利くようになったら道場で訓練だ。
それにしても、なんだか心に引っかかっている気がする。

あの悲しげな目に・・・この羽織は・・・

そうだ・・・!この羽織を麗蓮が脱ぐのはおかしい!
これは少し前に紅龍様が麗蓮様に贈り物としてあげた物だったはず、
よほど暑い時でもない限り、麗蓮がこれを着ていない日はほぼないのだ。

いくら我輩が寒そうだったからといって、これを麗蓮が渡すはずがない。
麗蓮はこれを渡すくらいならもっと違うことをするだろう。

「何故・・・・・・っっ!!」

一瞬、脳裏に最悪の考えが浮かんだ。
勝手な憶測であってほしいと思いつつ、いくつもある手紙の中から自分の宛名を探す。
そして「清蘭へ」と書かれた封筒を急いで開けようとしたが、
手が寒さでかじかんで開かない。仕方がないから手で封筒を引き裂いた。

封筒の紙片が辺りに散らばっている中、我輩は大急ぎで手紙を読んだ。

そこに書いてあったのは、我輩が最も恐れていた考え、

手紙は、遺書だった。

58:鵠 ◆oj5E:2012/12/27(木) 09:55 ID:au2

読んでいた手紙を放り出し、一目散に走り出した。

麗蓮、あいつは自殺をするつもりだ・・・!!!

何故自殺するかは分からない。
ただ、そういえば今日、先程候艶様や龍奄様、紅龍様たちの悪口を言っている下人を何人か見た。

麗蓮がその下人と小さな中庭をはさんだ所にある廊下にいるのが見えたため、急いで下人達に注意をしたが――、

もし、麗蓮があの話を聞いてしまっていたのなら――。



「れっ・・・麗蓮!!!」

曲がり角を曲がった所、丁度我輩がいた所と正反対の所に麗蓮はいた。

何かを言っているようだったが、声は聞こえなかった。
だが、何を言っているのか自然に、不思議とわかった。

「清蘭、来ちゃだめだよ、君が俺を突き落としたと思われたら大変だろ?」


「さようなら」

と、言っている気がした。言っている。絶対に。




あれから数分くらいたったのだろうか。
あの後、我輩の意識はすっかり飛んでいたような気がした。

自分は雨で濡れた庭に座っていて、

麗蓮はそんな我輩の下敷きになっている。

今よくよく思い出してみる。
我輩は地面に背を向けて落ちて行った麗蓮をあの時、とっさに抱きしめた。
しかし、我輩もいっしょに落ちてしまった。
だが、一階の屋根の突起に我輩が麗蓮から渡されたあの羽織がひっかかり、
羽織は最終的に裂けてしまったものの、落ちていた速度からの減速には十分だった。


「助かった・・・」

ふと麗蓮を見ると、くすんだ目でこちらを見ていた。
兄妹の悪口を聞き、静かに怒った時の、今日の雨雲のようなくすんだ目で。

「・・・なんで止めるんだよ」

大体この目をしている時は話したりしないのだが、今日は珍しくそう言った。
周りには、麗蓮の書いたたくさんの遺書が空を舞っている。

「俺はあのまま・・・死ぬはずだったのに」

「死ぬだと・・・っ!?なんで自殺なんかを・・・」


「・・・今日の・・・さっきさ、兄様達や紅龍の悪口を言っている下人を見たんだよね」

「やはり聞いていたのか・・・!!」

「うん、ごめんね清蘭。せっかく注意しておいてくれたのに」

そう言う麗蓮の言葉は酷く感情のこもってない棒読みで、麗蓮はそのまま棒読みで話を続けていった。


「俺あの時聞いたんだけどさー・・・城の一部にね、俺が皇帝になることを望んでいる人がけっこう多いんだと」

「それでお父様もたまにちょいちょいそうゆうの考えるんだって」

「だからさ、俺が死んでしまえば良いかな・・・って」

そう言う麗蓮の瞳は、うつろに空を見、映していた。

「人間逃げ道があるけどついその方に逃げちゃうけど」

「逃げ道がない場合は最後まで考え抜こうとするんだよ」

「そうすると逃げることよりも、ずっと良い考えが思い浮かぶ」


「だから同じさ」


「俺っていう逃げ道を皆から消しちゃえば皆気付くよ」

「本当に皇帝になるべきなのは候艶兄様だ・・・って」

こいつ・・・こんなことを思っていたのか!??

「だから・・・」

59:鵠 ◆oj5E:2012/12/27(木) 09:59 ID:au2

【すいません残りもまだ書きます><、まだターンエンドはしません><】

60:鵠 ◆oj5E:2012/12/28(金) 08:41 ID:Jww

「俺は死にたい」

パアン・・・ッ!!

次の瞬間、また意識が飛んだ気がする。
胸の底から抑えられない程の憤りを感じ、ついカッとなって麗蓮を平手で叩いてしまった。
麗蓮は叩かれた右頬が赤いその顔で、驚いた表情でこちらを見ている。

つまり先程の話をまとめると、こいつはこう言っているのだ。
いまだに候艶様のことを恐れる者達に、あてつけで自分が死ぬことで、
この城の次期皇帝への反感を無理やり打ち消そう、と。


しかしこれは、

「愚かな計算だ・・・」

「ッ!!いつもいつも考えすぎてそういう愚考に時折たどり着くんだろうが!!!」

「馬鹿も休み休み言えよ愚か者!!!」

麗蓮が更に驚いた顔をしている。
麗蓮がその表情になった瞬間、心臓がドクリと飛びあがったのが、胸板に置いてある手でわかる。
先程まで本当に死ぬのではないかと思ったほど鼓動が弱かった為、
その飛びあがりで安心した自分が、心のどこかにいる。

「そんな貴様の勝手な思い込みで候艶様や龍奄様、紅龍様達に見えない、償えない罪を負わす気か!?」

「残された貴様の兄妹はどうなる!?自分の考えだけを貫くのか!?貴様は!!」

「結局一番『死』という逃げ道に、逃げているのは貴様だろう!!!麗蓮!!!」

「!!!・・・清蘭・・・」

麗蓮がそう言って起き上がったので、我輩は麗蓮から降りた。
うつむく麗蓮は、静かに話した。


「俺って馬鹿だね・・・本当・・・清蘭が言った通りだ・・・」

うつむきながら話す麗蓮の声は震えていた。
こいつはこいつで何か思うことがあったのだろう。

前にこいつは話していた。
昔、小さくも現皇帝の息子、というだけで周りのこいつへの期待は多かった。
しかし、分け隔てなく、自分を重圧から候艶様達は解放してくれたと。
こいつには兄妹が一番大切なのだろう。
だから兄妹の悪口を聞くと、強く反応してしまうのだろう。
自分を救ってくれた兄妹達に、なにか助力したいのだろう。

そうして、思いつめて、考えに溺れてしまったのだろう。

我輩は黙って麗蓮を抱きしめた、

「これから貴様の自殺を我輩が、貴様が寿命尽きるその時まで、妨害してやる」

「だから逃げ道がなくなった貴様は、死ぬことのできなくなった貴様は、必死で考えろ」

「どうすれば生きたまま、貴様の思う人を支えられるかを」


我輩は麗蓮の顔をのぞきこもうとしたが、
急に目頭が熱くなり、頬に温かい、何かが伝った。
これは雨なのだろうか、それとも――、

我輩がそうしてる間に、麗蓮を抱きしめている腕に温かい何かがぼろぼろと落ちた。
これも雨なのだろうか、それとも我輩と同じ、麗蓮の―――。

雨はあれから降り続けた。雨が晴れて都合よく虹が出てハッピーエンド。
なんて都合の良いことは起こらない。

ただ、雨は、
その水たまりに麗蓮の遺書を隠してくれた。

【遅くなって&凄く意味不明ですいません><ターンエンドです】

61:心音 ◆g58U:2012/12/28(金) 09:35 ID:IxE

ー赤子騒動ー※ちょいと卑猥


春、それは新年の始まりであり新しい生命の誕生の季節でもある。


「うっ………!?」

「どうしたんだ、紅龍。」

朝食の席を突然立った紅龍を心配そうに見守る候艶と弟達。

「珍しいっすね、ほとんど食べてないじゃないですか。」

「天変地異でも起こるのでしょうか…。」

失礼なことをひそひそと喋る皇子達を呆れた目で見守る部下達の中に深刻な顔をしたものが1人いた。

「ふぅ…すっきりしましたわ。」

「風邪か?今日は部屋で安静にしておきなさい。」

「大丈夫ですわ。食欲がなくて食べても戻してしまうだけですもの。」

「それが風邪だというんだ……。」

口を拭いながら戻ってきた紅龍は何事もなかったかのように自分の席に座るもその顔は少し青ざめて見えた。

「あの紅龍様、1つよろしいですか?」

そんな紅龍に声をかけたのは龍奄の部下である清恋だった。後ろには緋色、清蘭、遥が心配そうに紅龍を見ている。

「なんですの?」

「失礼なことをお聞き致しますが…、最近女性特有のあれは来ましたか?」

「女性特有のあれ…?……そういえば、まだ来てないですわね。普通なら終わっていてもよいころなのですが…。」

清恋の問いに一瞬きょとん、とするもはたと考えはじめた紅龍は手で数を数えながらぽつりと答える。

「やはり…。紅龍様、もしやと思いますが…妊娠しているのでは?。」

「妊娠……?妾が妊娠……。」

「「「はあぁあぁあぁあ!!?」」」

その答えに一番驚いたのは紅龍本人ではなく、その兄達であった。

「うるさいのですよ、3人共!!赤ちゃんが耳塞いじゃったらどうするのです!?」

「うっ…すまん、緋色。」

「まだ耳はないですけどね。」

緋色の怒りに冷静につっこんでから清恋は無表情でお腹に手を当ててぼーっとしている紅龍を見据える。

62:心音 ◆g58U:2012/12/28(金) 10:02 ID:IxE

「紅龍様、やや子が出来たのはめでたいのですが確認しなければならないことが1つあります。」

「確認……?」

「率直に聞きますが、お相手はどの方ですか?」

清恋はその言葉の後にびしり、と今だに驚きが隠せていない3人の皇子を指差した。

「…お相手などいませんわ。」

「は…………?、」

だが、紅龍が出した答えは予想とは大きく外れたものだった。

「じゃ、じゃあ最近男性とその…そういう行為をした覚えは…。」

しびれを切らしたのか清恋の後ろにいた遥が身を乗り出して恥ずかしそうに問うもその答えも以外なものだった。

「した覚えもないですわね。妾はいつまでも清き少女のままですわ。」

「こ、紅龍様、まさか17にもなられるというのに今だに赤ん坊はコウノトリが運んでくると思って…!?」

まじか…。我が妹ながら呆れるな…。と皇子達がまたひそひそと好き勝手なことを喋りはじめたのにイラッとしたのか、紅龍は皆に聞こえるように大声で言った。

「それぐらい知ってますわよ。セック「紅龍様!!;」

しーしーっとからくり人形と普段呼ばれているはずの清恋が珍しく慌てて紅龍の口を塞ぐ。

「と、とにかく医師を呼びますからあまり城内を走り回らないようにしてくださいね。」

「むぐっうぐっ(わ、分かった!分かったから離せ!!;)」

「遥殿、医師に早馬をお願いします。あと清蘭殿は紅龍様をお部屋まで。」

「は、はい!!。」

「了解した。」

長いこと口を塞がれて息が荒くなった紅龍を軽々と抱きかかえて清蘭と遥は部屋を出て行く。
残されたのは余りの展開に唖然としている皇子達と途中で部屋に入ってきて何事か分かっていない前葉、心配そうに紅龍達が出て行ったドアを見つめる緋色になぜか龍奄を鋭く睨み付ける清恋だけだった。

63:心音 ◆g58U:2012/12/28(金) 10:13 ID:IxE

「な、なんだよ…;」

「龍奄様、もしやと思いますがあなた…。」

その言葉に部屋にいた一同の目がぐるり、と龍奄に向く。
心なしか候艶と麗蓮からは殺気がこぼれているような気がした。

「Σ俺じゃないっすよ!?妹に手を出すほど女に飢えちゃいませんって!!」

「でも兄様、手を出すのが早いから…。」

「ありえるな。」

「いやいやいや、違うからね!?;そういう兄上こそどうなんすか?!。」

ぶんぶんと首をふって否定する龍奄はびしり、と候艶を指差す。

「なっ……!?」

「あー、ありえますね。日頃女の人が寄りつかないから我慢できなくなって紅龍に……、」

「Σ妹に手を出す兄がどこにいるんだ!?」

「さっき兄上、俺のこと疑ってましたよね!?」

「さっきはさっき。今は今だ。」

「ひっでぇ!!」

ぎゃあぎゃあと己の犯した罪をなすりつけ合う皇子達は端から見るととても醜かった。



ーーー
長くなるからとりあえずターンエンド。

64:兎鎖:2012/12/28(金) 10:49 ID:ez-CA2



「…仕事の話でありますが。」
室内で凛としているが感情の籠もっていない零の声が響いた。
「…あぁ、」

「侯艶陛下は仕事量が多いであります。民の税の仕事は他の陛下に…と前葉殿が。」

女官がするような仕事ではないのだが、侯艶に仕事内容など細かく会話できる者が城内に居ないから…と
蝋人形の様に無表情で侯艶を怖がらず、そして仕事もできる零が割り当てられ、気難しい侯艶の仕事の補助をしていた。
「…今回は民に無理をさせねばならない税を強いる。…彼奴等には向かないから俺に回せ」
「否。」
「……回せ」
「…否。このままでは李・侯艶陛下が倒れてしまうであります。」
茶を注いで静かにしている緋色が怯えるほどに2人は無表情で問答を続ける。
「…俺はやわではない。」
「でも侯艶は働き過ぎなのですよ」
「緋色殿とわたくしで二票。勝ちであります。」
いつから多数決になったんだ、と侯艶が頭を抱える。
民に無理を強いるような酷な仕事を紅龍達のような優しい弟妹にはやらせたくない。それが侯艶の嘘のない本音で
「…命令だ、俺にその仕事を寄越せ」
「職権乱用であります。…が、仕方ないでありますね。わたくしも手伝うであります。」
ぱちりとまばたきをした後にため息をつきながら了承する零に申し訳なく思うがこればかりは仕方ないと侯艶は諦める。

「侯艶陛下は色々な物を大事にし過ぎでありますよ。」
「…自覚はある」
「緋色はそんな侯艶様が好きなのですよ?」
にぱーっと笑った少女に2人は微笑ましいと言う表情浮かべる。…が、
「…侯艶陛下、緋色殿は流石に犯罪であります。」
「っ何がだ!?」
蔑んだ瞳で紡がれた言葉に侯艶が声を荒げた。
「冗談であります。わたくしは侯艶陛下を信じ補助する所存でありますから。」
「…すまんな」
思わず顔を歪めて謝罪をする侯艶。
「今更でありますね。仕事中毒の上司の補助など慣れたであります」
その言葉に苦笑しながら侯艶は仕事を再開する
何もないある日の日常

ターンエンド

65:兎鎖:2012/12/28(金) 10:53 ID:ez-Qsw

ミス

侯艶は働き過ぎなのですよ?×

侯艶様は働き過ぎなのですよ?○

呼び捨てになってしまった…

66:NONO ◆JrGE:2012/12/28(金) 13:48 ID:406


「龍奄様の女好きには困ったものよの…」

「ふん、あのような者が皇子とは情けない」

「いくら先代の忘れ形見とはいえ、もうそろそろ皇帝陛下も追い出してはどうだろうか」


嗚呼、今日もまた俺に対する不満が聞こえてくる。
父が亡くなって十六年。
要するに俺は現皇帝の息子ではない。
お情けで皇子として城においてもらってる身だ。
いっそのこと外にでも放り出してくれた方が楽なのかもしれないな。

「おい、龍奄様に聞かれたらどうする。口を慎め」

「あぁ、そうだった」

少し慌てたようすで立ち去る音が聞こえる。

「バレバレだっつーのぉ」

猫を撫でながら俺は呟いた。
知られていないとでも思ってんのか。
そんなだから出世できねーんだよ。
等と心のなかで毒づき小さく舌打ちした。

イライラすんなぁ。

自室に帰ろうと踵を返したそのとき何やら楽しそうな声が外から聞こえてきた。

「い、いくのですよ!」

「えぇ、早くお蹴りなさいな」

どうやら紅龍と緋色が外で蹴鞠でもしているようだ。

「蹴鞠かぁ、懐かしいな」

あれはまだ、俺が5つ立った頃の記憶。
普段忙しくて相手をしてくれなかった父がたった一度だけ遊んでくれた。
あまり長い時間ではなかったが大切な思い出だ。

「なんだ龍奄、こんなとこにいたのか」

聞きなれた声がして振り返ると兄と弟が立っている。
手には何やら小包を持っており、何やらいい香りがする。

「なんすかそれ?」

「あぁ、茶葉が届いてな。一緒にどうだ?」

「美味しいと評判なんですよ、兄様」

不器用ながらも笑顔を送ろうとする兄と無邪気に笑う弟。
血の繋がりなんてどうでもいいのかもしれない。
絆があればいい。

「いいっすね。いただきます」

そう俺も笑顔で答える。
俺には兄弟がいるじゃないか。

「あら、お茶の時間ですの?妾もご一緒しますわ」

そこへ紅龍がひょこっと顔を出す。

「…俺もお前も独りじゃねーな」

そう抱えた猫に微笑んだのだった。

67:NONO ◆JrGE:2012/12/28(金) 13:49 ID:406

ターンエンドです

68:鵠 ◆oj5E:2012/12/29(土) 08:38 ID:Jww

それは紅龍が生まれる少し前、ある春の日のことであった。

(ああ、今日は温かいし良い天気だわ、こんなに天気が良いと寝てしまいそうだわ・・・って駄目よ駄目!!
最近私ってばいつも寝ているような気がしますもの!・・・でも良い天気ですわ〜・・・ってだから眠たく
なっては駄目ですのよ!!そういえば候艶と龍奄と麗蓮はちゃんとお昼寝を毎日しているのかしら?候艶には
もうそんな歳じゃありません、ってこの間言われたばっかりだけど・・・にしても候艶は日々かっこよく
なっているわあ・・・毎秒ずつ凛々しくなっている気がするわ!龍奄も龍奄であれは将来きっとイケメンに
なるわ、きっとほっといても女の人が来るに違いないわ、女の人ホイホイ?ちょっと響きが悪いかしら?麗蓮は・・・)

櫻燐は昼間の日差しが差す廊下で、そう櫻燐ワールドを展開しながら、もんもんといろいろ考えていた。
いろいろ、と言っても、大体が親バカな内容なのだが。
するとその時、考えることに意識のいっていた櫻燐は、

ドンッ・・・

「うわっ!?」

誰かと曲がり角でぶつかってしまった。
最初はバランスを崩しかけた櫻燐だが、なんとかふんばって持ち直した。
持っていた物も無事である。

「あの、ごめんなさい!私前をよく見てなかっ・・・」

「あら!艶需様!」

櫻燐がぶつかった相手を見ると、そこには艶需が立っていた。

「・・・櫻燐さん、候艶を知りません?」

艶需がそう言うと、櫻燐の顔がいつも明るいのだが、更にパアァとまるで花が咲いたかのように明るくなった。

「まあ艶需様!奇遇ですわね!私も候艶達を探しておりましたの!」

「・・・それは?」

艶需の視線の先は、櫻燐が持っている紙包みであった。
櫻燐は艶需がその紙包みに気付いたとわかった瞬間、楽しげに紙包みを開いた。
そこには橙色の楕円形がたくさん入っていた。

「干し杏ですわ!甘酸っぱくてとてもおいしいですの!これを候艶達と食べようと思いまして・・・」

候艶という言葉に艶需が反応する。

「あ!良ければ艶需様もどうでございま・・・」

「結構」

艶需は櫻燐の言葉を遮ると、ため息をひとつついた。

「まったく・・・櫻燐さん、他の二人にはそう接しても良いですわ、ですが」

「候艶を甘やかさないでくださる?候艶を下手な皇子に育てたくありませんの」

艶需がそう言って櫻燐を見ると、櫻燐はうなだれ、うつむいていた。
否、正確には、うなだれたようにうつむいていただけである。
次の瞬間、櫻燐は顔を上げると艶需をキッと強く睨んだ。

「!!」

「艶需様・・・貴方!いつになったらお気づきになるの!?」

69:鵠 ◆oj5E:2012/12/29(土) 08:39 ID:Jww


「いつもいつも周りが引くほど候艶様に厳しく接して・・・たまには優しくしようなどとは思いませんの!?」

珍しく怒る櫻燐に少し戸惑いながらも、艶需は冷たい目で櫻燐を見る。

「だからといって・・・候艶を甘やかした人間に育てる訳にはいきませんわ」

「もう妾と候艶のことはほっといてくださる?他の二人にはどう接してもよろしいですから・・・」

艶需がそう言った瞬間、

ビシィッ!!!

櫻燐が音高く、艶需を平手で叩いたのである。
艶需が櫻燐を睨むも、櫻燐がひるむことはなく、むしろ更に強く睨んでいた。


「幼い頃の甘い思い出も!楽しい体験も!全くないような子が立派な人間になるとお思い!??」

「貴方は叱るべき時と甘やかすべき時を見失いすぎよ!!」


「一体貴方、そんな体たらくで何を育てていらっしゃるの!??」

一通り怒りきった櫻燐は、顔が赤く、息もかなり切れていた。
そんな櫻燐に今度は艶需が何かを返そうとしたが、

「艶需様、皇帝様がお呼びでございます」

突如、どこからともなく現れた女官に呼ばれ、
櫻燐を冷ややかに一瞥した後どこかへと消えていった。


「・・・あらいけない!!すっかり熱くなってしまっていたわ・・・ってキャアア!!干し杏を落としてしまってるわ!!」

「悪いことをしてしまったわね・・・でも・・・艶需様も少しは考えを改めてほしいものだわ・・・」

櫻燐はかがんで干し杏を拾いながら、また考えだした。

(確かに候艶は長男、厳しく接しないといけないかもしれないわ・・・しかし、)

(艶需様がやっているのは、全く愛のない厳しさ。候艶が破綻しなければ良いのだけど・・・)

そう思っていた刹那、


「どうぞ」

最後の干し杏を誰かが拾い、櫻燐の前に差し出したのである。
櫻燐が顔を上げると、そこには候艶がいた。
更によく見ると、その後ろに龍奄と麗蓮もいた。

「候艶、龍奄、麗蓮・・・」

「どうかしましたか?」

候艶達がそう戸惑うのを見ると、どうやら先程の話は聞かれていないらしい。
櫻燐は候艶をじっと見た。
右頬がこころなしか赤い。また艶需が殴ったのであろうか。
櫻燐が候艶を優しげに見たその瞬間、彼女は候艶をだきしめた。

「え?ちょ??」

「兄様いいなー」

「いやいやいやいや!」

いきなりのことに戸惑う候艶を櫻燐は抱きしめながらこう言った。


「あなた達、いいこと?」

「これからあなた達のは大切な人がたくさんできると、私は信じているわ」

「だから大切な人が出来たら・・・」


「持てる限りの愛情を注いであげてね」

そう言う櫻燐の目は優しげで、暖かった。

ターンエンド

70:鵠 ◆oj5E:2012/12/29(土) 08:40 ID:Jww

【相変わらず遅くてすいません><なんか櫻燐メインになってしまった・・・】

71:心音 ◆g58U:2012/12/29(土) 09:38 ID:IxE

ー赤子騒動続きー


あの後、清恋達女組は紅龍を引き連れて中庭へ来ていた。

「名前は何に致しますか?」

「やっぱり男にも女にも付けられる名前がいいよなー。」

「蝶艶とか?」

「蓮々などどうでしょうか?私的に可愛いと思うのですが…。」

「…妾も蓮々がよいな。」

「まあ蓮々だったら男も女もありえるな。」

「会える日が楽しみなのですよ!!」

「緋色様、女の妊娠は十月十日と申しましてね生まれるのはまだまだ先ですよ。」

「ほぇー…緋色覚えておくのですよ!!」

和気あいあいと喋っている女達を廊下からこそりと見つめる影が4つ。

「…名前まで決めてますよ、あのアホ共。」

「まずは父親探しだろうに……。」

「前葉ー、お前じゃないんすか?」

「Σんな訳ないでしょうが!!;誰があんなじゃじゃ馬と!?;;」

「そうやってむきになるところが怪しいんすよ。」

「龍奄、お前じゃないのか。」

「だーかーらー、違うって言ってるでしょうが。麗蓮からも何か言ってやってくれよ。」

「そういえば麗蓮様は先ほどからずっと黙っておりますが…。」

「まさか麗蓮お前……、」

「紅龍が妊娠?そんなことした覚えはないけどもしかして酒に酔って…ありえるかもしれない。それに今ここで名乗り出たらてい良く夫の位置に付け…!?」


「はい兄様、僕がやりました!!。」

「…丸聞こえだ馬鹿が。」

「麗蓮…、お前心の中でそんなこと思って…。」

「ドン引きですね、今のは……。」

「?」

真面目に引いた兄2人と家来を純粋なまでの笑顔で見る麗蓮の頭にははてなが浮かんでいたという。

72:心音 ◆g58U:2012/12/29(土) 09:47 ID:IxE



「紅龍様、ゆっくりお休みになってくださいね。」

「分かっておりますわ。」

「では、」

バタンッと閉まる扉。直後、清恋の周りにはずさっといつもの3人が現れた。

「結局父親は誰なんだ?」

「そうですよ…。流れで名前まで決めちゃってましたけど…。」

「緋色はやっぱり、龍奄様が怪しいと思うのですよ!!」

「前葉はどうだ?」

「あの方はヘタレだから寝込みを襲うなんてことはしないでしょう。バレたら紅龍様に殺されるでしょうしね。」

「確かにヘタレだな。」

「ヘタレですね…。」

「ヘタレなのですよ。」

そんな女達の会話は廊下の突き当たりにいた前葉本人に丸聞こえだった。

「皆さん揃ってヘタレ……。」

会話を聞いていた彼の目には一粒の涙が浮かんでいたとか。

73:心音 ◆g58U:2012/12/29(土) 10:09 ID:IxE


その日は城内中がバタバタとせわしなく動いていた。
遂に医師が紅龍を診る日になったのだ。

「何しろ内親王の妊娠ですもの。きっとたくさんの贈り物が届けられるでしょうね。主にお菓子。」

「そうかー。我が輩が出る幕でもないな。」

「あら、武官にも働くことはいっぱいありますわよ。まずは城内の掃除。女官達だけでは人手が足りませんからね。」

「わ、我が輩、用事があったことを思い出したから、すまぬがおいとまさせてもら…「逃がしませんよ。」


「何をやってるんだあの2人は。」

「ここの女官達は面白いんすよね、漫才でもさせてみたらどうっすか?」

「馬鹿言うな。それより紅龍だ、紅龍。」

「部屋でじっとしてるんすかねぇ、あの妹は。」

「一応麗蓮に見張らせてはいるが…。」

広間の隅のほうでわあわあと騒いでいる清恋と清蘭を尻目に、足早に紅龍の部屋へ急ぐ候艶と龍奄。
それぞれ思うことは1つ。

(紅龍、大人しくしておけよ……!)


一方その頃、紅龍と麗蓮は…

「ねぇ紅龍、名前は決めたの?」

「ええ、ばっちりですわ。蓮々ですの。」

「蓮々かぁ…いい名前だね。」

「そうでしょう。遥が考えてくれたのですわ。」

「へー…。もし男の子だったら皇位継承権第4位だね。おめでとう。」

「……位にはこだわりませんわ。無事でいればそれで。」

「しっかり母親してるね。」

「紅龍ー、医者が来てくれたぞー。」

和やかに話す2人に候艶の声が聞こえてくる。どうやら運命のときらしい。

「紅龍、医者だって。」

「小さいときから慣れませんわ…医者という言葉は…。」

やれやれと頭をふって紅龍は立ち上がり廊下に出て行く。麗蓮もその後に続いた。
目指すは医師がいる部屋である。

74:心音 ◆g58U:2012/12/29(土) 10:21 ID:IxE



「糖分のとりすぎですな。」

「は………?」

「日頃から甘いものばかり食べているのでしょう。よくもまぁ、こんな細い体型でいられるものです。」

「…………え?」

「ちゃんと栄養のあるものを食べさせてあげてくださいね。それでは、」

医師から告げられたのは糖分のとりすぎ…つまり、

「妊娠してなかったってことか……。」

「はあぁ………。」

唖然とする部下達と龍奄、呆れたようにため息をつく候艶。三者三様の反応をみせていた。が、麗蓮は違った。妊娠していなかったことに若干の悲しみを見せる紅龍の手をぎゅっと握ると、

「紅龍、子作りしようk「「黙れ。」」

勿論、龍奄と候艶によって気絶させられたのはいうまでもない。


「兎に角、紅龍は1ヶ月甘い物は禁止だ。」

「Σい、嫌ですわそんなこと!!;」

「ダメだ。お前達も安易にお菓子をやったりしないようにな。」

「「「「「はい。」」」」」

「兄様のばかあぁあぁあぁあ!!!!」

それから1ヶ月が過ぎても候艶は紅龍に口も聞いてもらえなかったとさ。



ターンエンド

75:兎鎖:2012/12/29(土) 18:11 ID:ez-2ww

―侯艶の嫁候補―

「妾が思うに…、侯艶兄様の妻候補に似合うのは零ではないかしら?」

「…は?」

突然始まった会話に零が滅多につけない疑問符をつけた。

皇子達に呼ばれたから何かと思えば内容はとんでもない物で…。
「零ってちっちゃいから、背のデカい兄上とお似合いじゃん」
「うるせぇ、黙れ。」

身長を引き合いにだして提案をした龍奄に零がぴしゃりと言い放つ。
「はァ?」
「まあまあ…龍奄兄様落ち着いて…、でも零は実のところ侯艶兄様をどう思ってるの?」
少し苛立った龍奄と零に苦笑しながら、間に入るように麗蓮が声を上げる。
「城内の中で兄様を恐れないのは妾に緋色、そして貴女だけよ…」
城内の女性達に恐がれている兄を思い出したのか、紅龍がため息を吐きながら呟く。
「…妻以前にわたくしは一女官であります。」
「位を考えてたら兄上は、一生結婚できないって…」
その言葉に紅龍と麗蓮も頷いているのだから本格的に侯艶の婚姻が問題になっているのだろう。
「はっきり言うと、李・侯艶陛下はタイプではないであります。」

「「「………。」」」

無表情で開かれた言葉に3人がぴしりと固まる。

「…お、お兄様のなにがいけないのかしら?」
汗をかきながら感情を抑えるように問いかける紅龍。
「…いい上司であります。が、恋愛対象には些か無理があるであります」
流石に相手が皇子だから、零も紅龍の反応にフォローを入れる。
「…お似合いだと思うんだけどな…」
「…わたくしはまだ14であります。」

ため息を吐くように呟く零。

「あぁ…だからちっちゃいのか」
「うるせぇ。(ピ―――――)ね。」
「ΣΣ!?女子が使うような言葉じゃない言葉が!!」
「…龍奄兄様?零の身長に触れてはいけませんわ」

結局この後なし崩しのように会話が逸れていき、零は侯艶の妻候補から外れたんだとか。

ターンエンド

76:NONO ◆JrGE:2012/12/29(土) 20:37 ID:406

「龍奄様ー?どこにいらっしゃるのですか?」

これはまだ龍奄が7つだったころ、城内で起こった出来事。
この日、城内では大規模な葬儀が行われた。
龍奄の父、聖奄の葬儀である。

「葛葉、どうしたの?」

木の陰から龍奄がひょっこりと顔を出すと葛葉(くずのは)と呼ばれた女性は胸を撫で下ろした。
年の頃は27ほどであろうか。

「龍奄様、葛葉は心配いたしましたよ」

「ごめんね、そんなつもりじゃなかったんだ」

龍奄は、愛想のよい笑顔を相手に向けた。
手には蹴鞠を持っている。

「ねぇ、葛葉。僕、本当に独りになっちゃったんだね」

蹴鞠を抱き締めながらポツポツと話す龍奄を葛葉は悲痛の思いで見つめた。
龍奄は涙を堪えているように見えた。

「大丈夫ですわ、龍奄様。葛葉がおりますから」

「……葛葉」

「我慢しなくてよいのですよ。龍奄様は葛葉がお守りいたします」

その言葉で涙腺が緩んだのか龍奄の目から大粒の涙がこぼれ始めた。
ボロボロと涙をこぼす龍奄を抱き締める葛葉はまるで母のようであった。

77:NONO ◆JrGE:2012/12/29(土) 20:49 ID:406

そして現在――

廊下を歩いていると龍奄に対する陰口が聞こえてきた。

「龍奄様の女好きには困ったものよの…」

「あんなのが皇子であってよいはずがない」

すぐさま声の方向に向かう。
話しているのは二人の武人だった。

「あら、穏やかな話ではないですわね」

「「葛葉殿!?」」

突然現れた自分に心底驚いているようだった。

「龍奄様のことですの……?」

わかりきった質問をしてみる。
すると、武人は得意気に笑ってこう言った。

「えぇ、我々で皇子とはなんたるものをかを話していたのです」

「そう。武人のあなた方が」

そう言った自分の言葉には棘があっただろうか。
笑顔で続ける。

「死ぬ覚悟はおありになって?」

「「はい!?」」

武人が、揃って聞き返すのを冷ややかに一瞥するとこういい放った。

「次、龍奄様のことを一言でも貶すようなことをおっしゃったなら………」

相手を睨み付け続ける。
相手は自分に驚き怯えているようだった。

「この葛葉が殺しに参りますわよ、いいですわね?」

「「は、はい!失礼いたしましたっ」」

揃って逃げるように立ち去る二人を見送り小さくこう呟いた。
それは自分にしか聞こえないくらいの小さな声。

「あの方は、愛を欲しているだけなのよ……」

【意味わかんないけど、ターンエンドです!】

78:鵠 ◆oj5E:2012/12/31(月) 09:25 ID:Jww

それは、清蘭が5歳の頃であった。

「おい、貴様!!貴様は今から我輩の下僕だ!!」


幼い清蘭は庭にある岩に座り、通りがかりの同じ歳くらいの少年にそう声をかけた。
少年は清蘭の方を自分を指差しながら振り向いた。

「え・・・僕?下僕・・・?」

「そうだ、我輩は今丁度暇しておってな」

「遊べ、我輩と。おそらく下人の子であろう貴様に拒否権はない」

清蘭のこの行動、とても偉そうでとても目に余ってしまうのだが、
当の少年は、にっこりとした笑顔でこう言った。

「下僕ごっこかあ・・・僕も暇だったんだ!いーよ!遊ぼう!」

何か誤解している気もするが、とりあえず少年と清蘭は遊ぶことになった――。


「ギャアアアア!!!へっ・・・蛇っ・・・!!!」

あれから清蘭は「冒険ごっこ」を始めたのだが、
完全にリーダーは少年の方に見えるようになっていた。

「あー、蛇さんだね。えいっ」

少年は蛇をわしづかみ、空の彼方へと投げた。

「貴様!だっ大丈夫なのか!?」

「草むらの方に投げたから蛇は死なないと思うよー」

「いや、そういうことでは・・・って虫いいいい!!!」

清蘭が怯えては少年が投げる。
そんなことを繰り返している内に、清蘭は1つの感情を抱いた。

(こいつ・・・我輩を庇いながら虫も気遣うとは・・・なんていう男!!)

(こういう奴が父上の言っていた・・・思い人か・・・?)

いわゆる初恋という甘い思いにうっとりとする清蘭だが、

「ん?どうしたの君?そんな顔してると不細工になっちゃうよ?せっかく可愛いのに」

「・・・黙れええええ!!!」

次の瞬間、少年のデリカシーのなさとタラシが混ざった言葉により、
そんなものはいともたやすく崩れ落ちた。

79:鵠 ◆oj5E:2012/12/31(月) 09:26 ID:Jww

「今日はよくやったぞ!下僕!」

庭の人眼のつかない隅で、古い鉄格子の扉を前にしながら清蘭は言った。

「どうやらこの扉、頑丈な鍵がかかっているものの、開けば外に出られるらしい」

「外に!?」

清蘭は驚いた。いままでこの少年がこんなに驚き、こんなにキラキラした目を見たのは初めてだったのである。

「よ・・・よし、じゃあ開けるぞ」

彼女は少年の反応に驚きつつも、鉄製の鍵に手をかけた。

しかし次の瞬間!

「こら!!清蘭!!何をやっとるか!!!」

突如遠方から武官が現れ、声を荒げながらこちらに向かってきた。

「ちっ・・・父上!!」

「貴様清蘭・・・」

殴られると思い、清蘭はすぐに身構えたが、清蘭の父親が向かったのは麗蓮の方であった。

「大丈夫ですか!?お怪我はありませんか!?」


「麗蓮様!!」

その言葉を聞いた、清蘭は固まった。
清蘭は前、武官である父親に教えられたのだ、三兄弟の皇子の一人に自分と同い年の、
「麗蓮」という少年がいる、と――。

麗蓮の安否を確認した後、清蘭の父親は鬼のような形相で清蘭の方を向いた。

「清蘭貴様・・・麗蓮様を振り回し、挙句外に連れ出そうなどどういう了見だ!!」

「父上・・・えっと・・・我輩はその・・・」

「問答無用!!」

清蘭の父親は清蘭の服の襟を掴むと、手を空高くあげた。
清蘭がとっさに目を閉じた瞬間、その手は振りおろされた――。
が、

「・・・麗蓮様?」

麗蓮が、清蘭の父親の袖をくいっと掴んだのである。

「武官さん・・・叩くなら僕にして」

「は!?」

突然の言葉に、清蘭の父親はその手を止めた。

「僕が嫌だっていっている・・・えっと、清蘭ちゃん?に遊んでもらったんだ」

「だから武官さん、清蘭ちゃんを叩かないで」

麗蓮のその言葉に清蘭の父親はたじろぎながらも、
殴ろうとしていた手を下ろした。

「本当なのか?清蘭」

清蘭は父親の問いに、小さくうなづいた。

「そうか・・・なら、すまないな」

「それはそうと麗蓮様、櫻燐様がお呼びです。候艶様と龍奄様はもう向かわれておりますよ」

「お母様と兄様が?わかりました、今行きます。先に行って下さい」

麗蓮にそう言われた、清蘭の父親は軽く会釈をするとその場を去り、
麗蓮もその場を後にしようとしたその時、

「ま・・・待て!!!」

清蘭が叫んだ。

「何故・・・何故貴様、我輩を庇った・・・のですか!?無理やり遊びに誘ったのは我輩・・・でしょう!!」

麗蓮と自分の位の違いを知った清蘭が、今更ながらも敬語でそう問う。
すると、麗蓮はにっこりとほほ笑んだ。

「だって下僕は主が困っていたら助けないと!」

「ほらほら!主が下僕に敬語を使うなんて聞いたことないよ!」

麗蓮の言葉に、清蘭は顔を赤くしながら、

「・・・ありがとう」

そう呟いた。

「うん!また明日も遊ぼうね!」

麗蓮はそう言うと、その場から走り去って行った。

清蘭がこの時、また恋愛感情を抱いたのは言うまでもないのだが、
後に麗蓮のデリカシーのなさと、天然のタラシで初恋と冷めを繰り返すのも言うまでもない。

ターンエンド

80:心音 ◆g58U:2012/12/31(月) 09:58 ID:IxE

ー紅龍と影行ー


その日、城内はバタバタとせわしなかった。


「清蘭様、これもお願いします。」

「了解した。これを紅龍様の部屋に運べばいいんだよな?」

「ええ。各国からの贈り物なので大切に扱ってくださいね。」

「ほとんど中身はお菓子なんでしょうね…。」

「まあ服とか贈っても無駄だと分かっているだろうしな。」

そう、今日は現皇帝の娘である内親王紅龍の誕生日なのだ。
そのため色々な国から使いの者がやってきて贈り物を置いていく。それを女官や手の空いている武官が仕分けをして紅龍の部屋へと運んでいくのである。

「ふぅ…腰が段々痛くなってきましたわ…。」

「あともうちょっとなのですよ、清恋様!!」

「清恋殿!緋色殿!!」

清恋が朝鮮の国から送られてきた箱を運ぼうとしたとき、バタンッと大きな音を立てて扉が開いた。
扉を開けたのは紅龍直属のお世話係である書記長前葉である。

「どうかしたのですか、そのように汗をかいて…。」

「あのじゃじゃ馬がまた外へ出て行ったみたいです!;」

「まあ…なんと……。」

「…心配しなくてもいつもの通りに戻ってくるって。」

心配そうに顔を見合わせた清恋と前葉の肩を清蘭が軽く叩く。

「そうなればいいんですけどね…。自分の誕生日だというのにあの娘は…。」

やれやれというように肩を落とす前葉を女達は微笑ましそうな顔で見ていた。

81:心音 ◆g58U:2012/12/31(月) 10:15 ID:IxE

一方その頃、紅龍はというと…


「おば様、これくださいな。」

「はいよ。翡翠ちゃんは桃が大好きだねぇ。」

城下で一番大きい市場の中にある果物屋にいた。しかもかなりの常連な様子。

「ああ、そうそう。また店番してくれないかねぇ。翡翠ちゃんが出てくれると羽振りが良くって…。」

「…ごめんなさい。今日は時間がないですわ…。」

「そうかい。いいんだよ、そんなに落ち込まなくたって。お家も大変だねぇ。」

「いえ…、ではわら…私はこれで。」

「美味しく味わっておくれよー。」

おばさんに挨拶をして翡翠もとい紅龍は、腕の中にいくつかの桃を抱えながら市場を出る。
名前を変えているのは自分が皇族であることを知られたくないからだ。

しばらく歩いていくと広い広場に出た。人だかりができているのは旅芸人が来ているからだろうか。

(少し覗いてみるのもまた一興かも知れませんわね…。)

ふと思い立った紅龍は小さい体で人だかりを掻き分けて一番前に陣取る。
どうやら踊っているのは異国の女性らしい。

(綺麗な人…………)

素直にそう思った。綺麗な人が蝶のように美しく舞うのは、例え同じ異性だとしても惚れ惚れするほどだ。

(どこの人なのかしら…朝鮮?大和?)

82:心音 ◆g58U:2012/12/31(月) 10:33 ID:IxE

そんなことを考えているといつの間にか終わっていたらしい。気がつくと紅龍の周りにいた人だかりがばらけていた。

(…コホン、では妾もそろそろ帰りますか…。)

どうやら芸が終わったというのに未だにその場に残ってじっとしていたため、変な人と思われていたみたいだ。気がつかないうちに好奇の視線に晒されていた。

「ちょい、そこのあんたはん。」

すると、立ち上がった紅龍を引き止めるかのように声をかけられる。

「…何ですの?」

振り返ると、先ほどまで紅龍が見惚れていたあの踊り子がいた。後ろには彼女が入っている旅の一座だろうか何台かの荷車と旅芸人が数人たむろしていた。

「あんたはん、そんなところでじっとしておるんやったら手伝っておくなんはれ。」

「じっとしてって……。」

まるで自分が暇人みたいじゃないかとイラッとするも確かに合っているので反論はしないでおいた。

「手伝うって…何をすればよいの?」

「わてら、これから陛下に会いに王廷へ行くんどすわ。案内してくれたら嬉しいんどすけど。」

「王廷へ……?」

(父様が呼んだのかしら……。)

自分の身近にある名前にぴくりと反応してしまう。気がつけば了承していた。

「恩にきりますえ。」

(まあ役に立てるならいいわね…。どうせ帰るところだったし…。)

83:心音 ◆g58U:2012/12/31(月) 10:55 ID:IxE

「そのかわり寄ってほしいところがあるのですけど…。」

「恩人のためやったらどこへなりと。」

「恩人って…。そんな大層なものでもないですわ。」

よほど感動したのかぎゅっと紅龍の手を握ってくる女性を軽くあしらって立ち寄るべきところへ足を進める紅龍。
女性も一座を率いてすぐに紅龍の隣に追いついた。

「そういえばまだ名前言ってなかったどすなぁ…。わては舞蝶いうものどす。大和から来たんどすわ。」

「へぇ…。私はこ…翡翠と申しますの。」

「翡翠はんかえ、いい名前どすなぁ。見たところ貴族の娘はんみたいやけどお付きの者はつけやんでいいんどすか?」

「…堅苦しいものはいらないですわ。」

「変わった方どす。」

なぜか楽しそうな舞蝶は袖で口元をおさえながらニヤニヤしていた。
だがそんな様子も美しいと思ってしまう自分はどうかしてしまったのだろうか。

(はっ…まさか妾は禁断の道へ歩んでしまっているのでは…!?)

「どないしはったんどすか?」

「い、いえ、なんでもないですわ!!ほら、着きましたの!;;」

顔を覗き込んでくる舞蝶に慌てて、紅龍はある店を指差した。
それは小さな小さな古着屋だった。





とりあえずターンエンド

84:兎鎖:2013/01/01(火) 02:52 ID:ez-J1k


「おい、…劉(ラウ)あれ緋色じゃないか?」
普段は城の門を守っている衛兵の暁(シウ)が、武官である劉(ラウ)に対して声を上げた。
「…本当だな、最近侯艶様に拾われた下女だっけか?」
2人の視線の先にはオロオロ慌てているちいさな子供…もとい緋色が居た。
「…あぁ…、我等の上司のお気に入りって奴さ」
長槍を肩に担いでいる暁が冗談混じりに呟く。
「って…オイ、暁…あのガキ…迷子じゃないのか…?」
慌てたままに廊下を右往左往する緋色に劉が眉を潜めて告げる。
「ガキじゃなくて緋色、な。…オーイ!!緋色ー!!」
緋色に対して大声で声をかける暁。
「Σ…暁…俺はガキのお守りなんぞ、御免 こうむるからな?」
びく、とした後に此方へ向いた緋色に劉がため息をついて暁を咎めた。
「堅いこと言うなよ、我は子供が好きなんだから…」
へらへらと笑って緋色に対して手招きをする暁。
「!!…衛兵さんっ緋色をお呼びなのですか?」
手招きに気づいて駆け寄ってきた緋色に劉が額を抑える。
「お呼びって訳じゃないがなァ…緋色、お前迷子だろ?」
相変わらずのへらへら笑みを崩さないで、緋色に口を開く暁。
劉はと言うと子供は苦手なのか、一切口を開こうとしておらず、暁はそれに苦笑してしまう。

85:兎鎖:2013/01/01(火) 03:08 ID:ez-2ww

「…はい…すみません…侯艶様のお部屋が分からないのですよ…」
俯き呟いた緋色に暁は更に苦笑を浮かべる。
「まだ、城に入ったばかりだろう?何…我が案内してやろうか」
「…暁…?」
咎めた視線を送る劉を気にしないでへらへらと笑って緋色に手を伸ばす暁。
が其処に凛とした声が響いた。
「…暁殿、犯罪でありますよ。」
「…あぁ?…零か…、」
いきなり横槍が入ったと思えば、そこには茶菓子を持った零が無表情で立って居た。
「侯艶様の側近の部下が勢揃いか…」
苦笑した劉がやっと声を上げる
「…劉は他の皇子の武官もやってるから我は微妙だと思うけどな?」
「侯艶様が好きなら部下で良いと思うのですよ?」
井戸端会議のように侯艶の部下4人組がべらべらと会話を開始する。
「…侯艶様の仕事の補助をしてるらしいな?…俺が多忙な為に押し付けてすまない。」
「いえ、劉殿が忙しい身の上の武官であるのは承知であります。」
「…劉と零は堅苦しい話が好きだねぇ…我は聞いてるだけで頭が痛いよ…。」
零も茶菓子を侯艶に持って行く途中だったらしく、4人は井戸端会議状態のままにぞろぞろと移動を始める。

本人達は知らないが、緋色、以外の3人は顔が怖い印象の為に、
緋色の素性知らない城の人間達の間で、侯艶側近の部下達が誘拐を始めたと噂が流れたんだとか。

意味不明謝…一応ターンエンド

86:NONO ◆JrGE:2013/01/02(水) 21:43 ID:406

時は23年前。
龍奄が生まれる前の話である。

「皇帝陛下、白廉様がお呼びです」

愛しい妻に呼ばれ聖奄は大股で彼女の部屋へと向かう。
きっと彼女のことだ。
医者の言いつけも守らず、「外へ出たい」などと不平を言っているのだろう。
そんな我が儘も可愛いと思ってしまうから愛とは不思議なものだ。

「白廉、入るぞ」

扉をあけ、中へと足を踏み入れると寝床で起き上がり座っている白廉がパァッと笑顔になった。
顔色はよい。今日は調子が良さそうだ。

「あら、あなた様。早かったのですね」

「お前に呼ばれたからな」

「まぁ、お上手だこと」

そういって袖で口を隠して笑う彼女はやはり痩せていて、衰えを感じる。
子供を産むのは無理ではないだろうか。

「白廉、やはり子供は諦めたらどうだ?」

「嫌ですわ。産むって決めたのです」

白廉はきっぱりと告げる。

「私の体は、産まなくてももう持ちませんわ。でしたら、あなた様の子供を産んでから死にたいのです」

「白廉……」

「あなた様に寂しい思いなんてさせたくありませんわ」

そして「側室のお一人くらい、お作りになったらよいのに」と続ける。
その言葉に聖奄は首をふった。

「必要ない。お前の他に女などいらん」

「だけど龍奄には母が必要ですことよ」

「龍奄……?」

「この子の名前ですわ」

腹を撫でながら言う白廉。
それを見ながら聖奄は思った。

(やはり、その子の母はお前だけだな)

「よい名前だな」

「でしょう?」

こんなやり取りをしながら彼は思うのだ。
この幸せが少しでも永く続きますように、と。


ターンエンド

87:鵠 ◆oj5E:2013/01/16(水) 18:02 ID:ems

〜〜

それは日も暮れかけ、辺りが夕食を迎えている頃であった。

「あれ・・・?」

長安城も同じく夕食を迎えており、夕食の席のある部屋の扉を開けるや否や、紅龍がそうつぶやいた。

「どうしたんだ?紅龍。」

「それがですね候艶兄様・・・麗蓮兄様が朝から見当たらないのです。」

「また外に行ってるんじゃねーの?」

龍奄がそう言うも、紅龍は首を横に振った。

「今日は出ないと昨日言っていたのですが・・・。」

「でも俺は昼下がりに麗蓮と会ったぞ?」

「え!?龍奄兄様、それは本当ですか!??」

「というか、俺の仕事を龍奄と麗蓮の2人がさっきまで手伝ってくれていたぞ。」

「ええ!??」

それを聞いた紅龍は一息つくと、席に座って頬を膨らませた。

「朝から探していたというのに・・・なんだか損しましたわ!」

「まあそう膨れるなって!麗蓮は確か厠に行くとかなんとか言ってたからすぐ戻って来るさ。」

龍奄がそうなだめるが、紅龍はまだ膨れている。
その時、扉の遠方から足音が聞こえてきた。足音はバタバタと何やら急いでいる。

「麗蓮が戻ってきたんじゃないか?」

候艶の言葉を聞いた紅龍が、何かを思いついたような顔をする。

「そうですわ!麗蓮兄様が入って来たら『馬鹿!!!』って思い切り叫びましょう!」

そう明るく言ってのける紅龍に二人の兄達が笑う中、

扉は勢いよく開いた。


「麗蓮兄様の馬・・・」

「大変です!!!」

しかし紅龍の大きな声を遮る程の声を出したのは、前葉であった。
前葉は何やら急いで来たのか、息がひどく荒い。

「前葉!?」

「麗蓮様が・・・麗蓮様が・・・」


「中庭で倒れていたのです・・・それも大量の血を流して・・・!!!」

「っっ!??」


【遅れて本当にすいません!!><長くなる(たぶん←)なのでターンエンドです、遅くなりすいませんでした><】


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