十方闇の10日間

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1:睦月 ◆KAZE:2013/01/11(金) 22:15 ID:eyU

睦月(ムツキ)です。
十方闇で【ジッポウグレ】と読みます
十方暮とも書きますが、暮は闇という意味なのでこちらにしました

十方闇とは、干支(十干十二支)の暦の甲甲(キノエサル)から癸巳(ミズノトミ)までの10日間を差します
この間は十方の気が塞がり、あまり良くないとされています
途方に暮れるというのも、これからくるともいわれています

この10日間を舞台とした物語を書きたいと思います
上手く書けるか、長く続くかさえ分かりません
完結できるよう努力しますので、どうぞ宜しくお願いします


<Rule>
・荒し等はお止めください
(酷い場合はアク禁依頼に出します)
・雑談、宣伝はお控え下さい
・アドバイス、感想はご気軽にどうぞ
・上記のことはマナーとして当たり前なことなのでキチンとお守り下さい

2:睦月 ◆KAZE:2013/01/12(土) 13:31 ID:eyU

−Prologue−

物語を始めようか。
普通だったあの日、あのとき、あの頃に。

閉ざされた町で起こった出来事。
誰もが知らない消えた10日。

あの時に一度、起こった出来事が。
もう一度、この町で繰り返される。

閉ざされた10日間。
もう一度、物語を繰り返そう。

____真っ暗な見えない物語を、もう一度。

3:睦月 ◆KAZE:2013/01/12(土) 15:31 ID:eyU

よく、一寸先は闇というが、このとき俺はその通りだと思った。

I. 1日前
「おい、旭奈(アサヒナ)。」

俺はそう呼ばれ、振り返った。
声の主は顧問の相生(アイオイ)先生。
多分、最近の部活サボりについてだと、直感的に分かった。

一応、俺は陸上部員で一度都内4位の成績を獲ったこともあった。
が、ここ最近スランプでサボりっぱなしだった。

「あ、相生先生どうかしたんですか?」

俺は平然とした声と口調で、そう返した。

「最近部活に顔出してないだろ?
 何か合ったのか? 何なら先生も手助けs…」

俺は、先生の言葉を遮った。
どうせ、口でそう言っても結局何もしないのは、百も承知だった。

「用事があるんで、失礼します」

俺は先生に一礼すると、その場を立ち去った。
先生がやれやれと言うような顔をしていたことは、見なくても分かった。

背後から、長い長い溜め息が聞こえてきたから。
別に、呆れられたっていい。
気にしなければ、良い話なのだから。

           *

俺は、靴を履き替え外へ出た。
空に雲はなく、西傾いた太陽が燦々と眩しく輝いていた。
オレンジ色の夕陽は、綺麗に学校脇の桜並木の隙間からキラキラと見える。

その下で、野球部やサッカー部、テニス部の他にも、
かつては俺もあの輪に入っていたであろう陸上部が準備体操やランニング等を行っていた。
俺は、それを遠目に見ながら校門を通り抜ける。

4:睦月 ◆KAZE:2013/01/12(土) 18:36 ID:eyU

いつもと同じ風景の町並み。
都会でもなく田舎でもない地味な景色。まぁ、どちらかと言えば、田舎に近いのかもしれないが。

見慣れた景色をチラリと見、視線を足元に移す。
これが一番見慣れているのかもしれない。

           *

あれから、数十分経っただろう。
俺の家は学校とはかなり離れているため、通学に時間が掛かる。

日はかなり落ちてきて、辺りは薄暗くなってくる。市のチャイムなんかはとっくに鳴った。
それに加え、運の悪いことに黒い雨雲と思われる雲さえ出てきた。

幸運だったことと言えば、家のすぐ側で雨が降り始めたということだけだろう。
置き勉をしたお陰で空の鞄で雨を防ぎながら走り、30秒もせずに家に着いた。

「ただいま」

誰もいない部屋。
片付いてなく、足の踏み場もないリビングダイニングを抜け、自分の部屋に入る。
二畳半ほどの広さの唯一の和室。
ゲームや漫画の散乱した勉強机に鞄を乗せて、洗面所に向かう。
洗面所と風呂場、トイレのセットになった一室だ。

リビングダイニングと俺の部屋、そしてここが俺と父の暮らす家だ。

俺は洗面所にあるバスタオルで濡れた髪と制服を拭いた。
鞄のお陰で濡れた規模は少ないが、一応拭いておかないと、風邪をひくかもしれない。

5:睦月 ◆KAZE:2013/01/12(土) 21:52 ID:eyU

そう思いながら拭いていると、鍵の開く音が玄関から聞こえてきた。
洗面所から顔を出して、そちらを見るといつもはない父の姿がある。
普通なら10時、11時頃帰り、朝、家を出るのが5時半。会うこともそうない父だ。

「おかえり」

そう一言だけ父へ言うと、また洗面所へ引っ込んだ。
父とは、もう長い間話してなくボタンのかけ間違えのような状態のままで、なんとなく気まずい部分がある。
そのため、あまり話すことはない。

「・・ちょい出掛けて来る」

やはり今回も気まずくて、雨にも関わらず、制服を着たままということも関わらず、俺は外へ出た。
一応、折り畳み傘を手に大雨の中、外へ出た。

薄墨のような色の雲が重々しく空を覆っていた。
雨粒は激しく途切れることなく落ちてくる。
夕食の時間ということもあろうか、人影はなく、街灯がポツリポツリと見えるだけの景色。

俺は外へゆっくりと歩き出す。
特に行く宛もないので、コンビニエンスストアへ向かった。

6:睦月 ◆KAZE:2013/01/13(日) 13:31 ID:eyU

ポケットに散らばってた小銭で、一番安かった弁当を買い、外へ出た。
小雨であってほしいと思える雨の中へもう一度足を踏み出す。

だが、家を出てからホンの数分しか経っていない。
雨は止(ヤ)むどころか、強くなっている気すらする天候。
まだ家に帰る気はせず、コンビニの隣の公園に入った。

公園といっても遊具はなく、ベンチが何個か並ぶのと、数個の街灯だけの質素な景色。
地面は凸凹(デコボコ)なため、水溜まりが多く見られた。

誰もいないと思って入ったのだが、ホームレスなのだろうか?
一人の男性が、一本の街灯に寄りかかっていた。
男性はコチラに気づくと、寄ってきた。
なぜか分からないが、そのときは恐怖を感じることはなかったので、その場から動かず、それを見ていた。

「こんばんは。
 どうかしたのかい? 君は?」

男性は黒いコートを着込み、結構髪や服が濡れていることから、雨の降り始め頃からここにいたことが分かった。
俺は、教師に対するような平然な感じで返す。

「俺は旭奈 悠飛(ユウヒ)。
 富見ヶ丘(ヒサミガオカ)中学1年。」

俺は簡単な自己紹介をし、男性の目を見た。
痩せこけてはいるが、やつれた感じは見られず、あまりホームレスのようには見えなかった。
俺の顔を見ながらニコニコと微笑んでいる男性に苛つきさえ覚える。

「そうか、悠飛君か。
 私は平山 幸路(ヒラヤマ コウジ)だ。平山と呼んでくれ。
 で、悠飛君はこんな時間にどうしたんだい?」

7:睦月 ◆KAZE:2013/01/13(日) 16:42 ID:eyU

笑顔を崩すことなく、そう平山は言った。

「別に……理由はないが。」

俺は適当な返事をする。
雨の音で掻き消されたのか、平山は数秒間固まっていた。
その間は、笑顔が消えており、どこか遠くをボーッと見つめていた。
そして、まるでスイッチが入っていなかった人形にスイッチを入れたかのように、急にフッと動き出した。

「そうか。
 ならすぐに帰りなさい。 この時間帯に1人でいるのは危険だ。
 何かあったら、ここに来なさい」

そう平山は言って、元いた場所へ戻って行った。
俺は一瞬何がどうなったか分からなかった。

平山は何もなかったかのように街灯の下、ポケットから出した何かをいじっていた。
まるで、さっき何の話しもしなかったような感覚に襲われ動揺したが、またすぐに俺は平然を装い、公園を出た。
その後はどこに寄り道することもなく、ただ普通に家に帰った。

家に帰ると電気は点(ツ)いてなく、父の姿もなかった。
夕飯の買い出しにでも行ったのだろうと思い、特に気にすることもなく自分の部屋に入った。
電気を点け、勉強机の上の物を空の机の中へ、鞄は机の横のフックに掛けた。
机の電気を点けてから、弁当を広げる。箸は付けてもらったので取りに行く必要はないが、お茶を入れるためリビングへ向かった。

相変わらず雨の降る音が聞こえる。
カーテンすら閉められていないリビング。
なんとなく、不自然さを感じられた。

8:睦月 ◆KAZE:2013/01/13(日) 20:31 ID:eyU

           *

今日もまた、朝が来た。

重たい雲に空は覆われ、太陽の位置がなんとか分かる程度だった。
薄暗い中迎えた休日だが、特に予定もなかった。
朝起きるのが遅かったため、朝食も摂っていない。

数時間ほど、ゲームと宿題を代わりばんこにやり時間を潰したが、昼に近づくにつれ、だんだんと空腹により飽きがきた。
昼食の調達でもしようかと、財布を手に取り昨日も行ったコンビニへ向かった。
すると、コンビニの隣の公園……つまりは昨日平山に会った場所。
そこに、数人の男性が集まって輪になっていた。その中には、昨日と同じ服装の平山の姿もある。

俺は一瞬躊躇したが今回外に出た目的は昼食調達。平山に会うというわけではないのだ。
俺はコンビニの中に入り、弁当等を見る。どれも昨日と変わってないが、空腹のあまり、どれも美味しそうに見えた。
が、頭から平山とその他諸々(モロモロ)の男たちが気になって離れない。
適当に一番安かった昨日と同じ弁当をかごに入れ、飲み物を1つ買って外へ出た。

公園の前を見ると、まだそこには平山達の姿があった。
真剣な顔つきで話している5, 6人。
すると、平山がコチラに気づいたのか微笑みながら手招きをした。
それによって、周りの男性達も俺に気づいたようだった。

「やぁ、確か君は悠飛君といったね」

そう言って、また平山は昨日のように寄ってきた。勿論、昨日と同じ笑顔だ。
その他の男の人もやれやれというように寄って来た。

「こんにちは、平山さん。」

本の少し、20°ほどの角度頭を下げる。

9:睦月 ◆KAZE:2013/01/14(月) 17:02 ID:eyU

すると、平山以外の男性4人の内1人が、俺の顔を覗き混んできた。

その男性というのは、40代ほどの見かけで筋肉質。浅黒い肌が体育会系を思わせる逞(タクマ)しい人だった。
身長は180cm以上で俺とは頭2つほど違いがあり、普通なら見上げる必要がある。
だが、しゃがみ込むような中腰のような体勢で俺の顔をわざわざ見たのだ。

一瞬驚いて退けぞりそうになるが、男性はすぐに立ち上がると平山の方を見た。
何となく、馬鹿にするような表情だった。

「おい、幸路。
 こんな餓鬼(ガキ)が“アレ”について知ってんのか?」

平山は、やはり笑顔を崩さない。この男性の口が悪いのは知っているようだった。

「そう言うなよ、辰頼(タツヨリ)。
 この子は何も知らないはずだ。 昨日の夜にここで会って知り合ったんだよ」

どうやら、この男性は辰頼というらしい。
何を知っていると思われていたのか分からないが、知らないということが辰頼に伝わると急に辰頼が顔をしかめる。
いや、知らない知るという点じゃなかったようだ。

「はぁ? 夜にか?
 おい、坊主。 最近世の中は物騒だ。ちゃんと帰れ」

キツい口調で言われ怯むが、夕食の調達がコチラにはあるのだ。
夜に出歩かなければ、空腹で辛くなるのはコチラなのだ。

「あの、物騒って何がですか?
 それに知る知らないと言っていましたが?」

軽く八つ当たりの気持ちがあった。
この質問に特に強い意味や感情、当たり前だが少し責任感なんてなかったんだ。
心の底から本当に、だ。

(すみません、>>8から【II. 甲申】です)

10:睦月 ◆KAZE:2013/01/14(月) 18:20 ID:eyU

今更ですが>>1にミスがありました
× 甲甲(キノエサル)から癸巳(ミズノトミ)までの…
         ↓
◎ 甲申(キノエサル)から癸巳(ミズノトミ)までの…
でした。
つまりは、甲申の『申』が『甲』という間違えをしていました
すみませんでした

11:睦月 ◆KAZE:2013/01/15(火) 18:47 ID:eyU

だが、辰頼はそう思わなかったんだろう。
暫く黙り込み、平山とその他男性と目を合わせ頷くとコチラを向いた。

「やはり、数が多い方がやりやすいしな……。
 よし、教えよう。
 確か……えっと、悠キ君だっけ?」

「いや、悠飛ですから……」

似てる、のかも知れないが、全然違う。それに大人が人の名前を間違えるとか。
いや、誰だって間違えはあると思う。
だが、社交辞令とかそういうやつもあるんだし、間違えてほしくなかった。

「君は十方暮を知っているかい?」

その回答は勿論ノー。
俺は、首を横に振った。

12:睦月 ◆KAZE:2013/01/16(水) 19:23 ID:eyU

「十方闇(漢字のみの違いです)ともいうんだけど、十方……つまりは周り全てが閉ざされてしまうんだ。
 この町は昔から閉ざされる力が強い。
 ほら、この町の名前は封暮町(フウボマチ)というだろ?それもココから来てるんだ。」

そう言って、ニヤリと微笑む辰頼。
今の俺にとってこの笑みに疑問を持つことさえなかった。
普段から使わない脳ミソを一生懸命フル回転させ、結局理解できずに疑問マークだらけになっていたのだから。

「つまりは、鍋の湯気だよ。
 この時期は蓋をされ、外へ出られないんだ。
 現実では湯気じゃなく、負(マイナス)の力だがな
 その力は自分の居場所を作るため、人を引きずり込む。
 そして、引きずり込まれた人は……帰って来ない。神隠しだよ、現実的な意味のある」

この説明……分かりにくい。
まぁ、簡潔的に言えばこの時期、変な力で神隠しが起こると。
で、それにこの男らが何に関係しているわけ?
俺はそう思い、平山を見た。


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