ワタシの勇戦期

葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧 [書き込む] Twitter シェアする? ▼下へ
1:睦月 hoge:2013/01/22(火) 21:36 ID:eyU

心の底から謝ります
申し訳ございません、捨ててしまいました
前回の作品全てをリセットし、書きます

上手く続くようになるまではhogeで落とさせていただきます
続くと思ったらあげますので。

◇◆−私なりの規則−◆◇
その1, 荒し等はお断りです
その2, 感想等は励みになるのでほしいです
その3, 雑談は一切なしでお願いします
その4, 上手く続くか分かりませんし、その点は責任を持てません
その5, 感想(ないかもしれませんが)の際は、あげて全然OKです

どうぞ、宜しくお願い致します

2:睦月 hoge:2013/01/22(火) 22:29 ID:eyU

◇◆−ワタシの勇戦期 #000−◆◇

 世も末だろう。

 細菌49287-89……別名カゲが現れた。
政府は細菌がばらまかれたことを隠し続け、対処に不可能が見られた時に発表された。
海外への輸出にはストップがかかり、日本が隔離されたのはそう早くはなかった。

 カゲは動くものになら何でも寄生する細菌で、寄生されたものが気づくことはない。
寄生されたものは人格が狂い、敵味方関係なく殺し、そして身を滅ぼしてしまう。
だが、初期は何の問題もなく、1年頃から軽い気狂いが始まる。

 パニック状態の日本、隔離し続ける海外はどちらも細菌を研究することができなくて、助かる方法は未だに不明。
細菌は生命力が高く、高温にも低温にも耐えられることができることのみが判明している。
しかし、細菌のみの場合での問題騒ぎは起きてなく、寄生しなければ安全であった。
つまりは、寄生されているものが破滅すれば、何の害もないのだ。

 しかし、国の軍は自らが寄生されることに怯え、寄生された動物を殺すことなく放置状態。
今のところ人間に寄生することは少なく、寄生される確率は低いとされているのだが。

 そこで、組まれたのが【カゲ特殊部隊】。
寄生されたと分かった人が選択式で入る部隊だ。
寄生されたものは二度寄生されることはないとされているので、そこで部隊を組み戦うこととなった。
1年経つ頃に安楽死となるが、死ぬまでに貢献したいという望みを持つ有志が集まるのだった。

3:睦月 hoge:2013/01/23(水) 18:59 ID:eyU

◇◆−ワタシの勇戦期 #001−◆◇

「本当に最悪!!」
 お昼時、賑わう食堂に少女の声が響く。
怒りを昼食の牛肉へぶつけているようで、フォークが綺麗にど真ん中に刺さっていた。
「来夢(ライム)は、怒りすぎ」
それに続き、宥めるような適当にあしらうような声が響く。
 
 来夢と呼ばれた少女は肉用のナイフを振り上げ、そしてそれを肉に刺そうとしていた。
「は? あれは絶対におかしいで……しょーッ」
 やはり、ただの宥めは効くことなく、振り上げられたナイフは肉へ振り落とされる。
ざくりと肉にナイフが刺さり、美味しそうな肉汁が出る。
 
 ここまで来夢を怒らせた原因は、先程までの訓練にあった。
   *
 ここは、カゲ特殊部隊訓練場。別名では隔離所とも呼ばれている。
細菌49287-89(カゲ)を倒す際、他の人(庶民)に害がないよう3ヶ月間は有志達に訓練をさせられる。
体力作りや銃器の使い方、細菌の感染についての充分は知識も教え込まれる。

来夢もつい先日ここへ入り、訓練を受け始めていた。
元々筋肉もあり、体力も体格も良いため、男子と比べても上になれた。
 
 高校は義務教育となっていたが、寄生されたため関係なく中退、そしてここへ流れついた。
中学時代、そして中退するまでは陸上一筋ということもあり訓練は楽しくてたまらないものでもあった。
が、それ以上に部活より自由がなく、よろけてゴール後に転倒しただけで叱られた。
 さらに、勉学の不得意な脳に細菌の話など理解できるわけがなかったのだが、
上司とも呼ばれる者、大海原(ワタノハラ)に『お前の脳は筋肉でできているのか』と馬鹿にされるなど頭に血が上りっぱなしだった。

4:睦月 hoge:2013/01/23(水) 21:16 ID:eyU

「どうして死が迫っているのに、訓練があるんだか!」
 来夢はフォークをゆっくりと肉から抜く。

 肉には、フォークの先の跡が付いていて、下には肉汁が付いていた。
それからナイフを抜き、肉に一気にかぶりつく。
「そりゃあ、やっぱり少しはあった方が本番のとき役立つじゃない?」
 最もらしいことを、つっこみ役とも思える少女が言うが、来夢は唇を尖らせたままだった。
 そして、来夢が怒りをもう一度ぶつけようとフォークを上げると
「長月(ナガツキ)、止めないか」
 来夢の背後から低い、そして来夢にとって最悪な声がした。
 
 ちなみに、長月というのは来夢の苗字だ。
9月生まれのこともあり、ぴったりと本人は気に入っていたが、呼ぶ者が違うと印象も違うようだ。
 嫌そうに顔をしかめながら振り向く来夢。

5:睦月:2013/01/25(金) 19:52 ID:eyU

「あれ、先輩? いらっしゃいましたか。
 まぁ、いくら先輩でも私らの食事に口出ししないでもらえます?」
 敬語の中にも挑発するような言葉を入れ、上から目線なのを向ける来夢。
先輩と呼ばれた大海原は、ニヤリと笑い……挑発をうけた。
「食事に口出しはしないが‘‘教官’’だろ?
 先輩と呼ぶなら新堂(シンドウ)にしろ」
「何ですかそれ!?
 私と新堂は同期ですよ? 何故先輩になるんですか!!」
 新堂とは、来夢を落ち着かせようと適当にあしらっていた少女だ。
落ち着いた雰囲気を持っており、来夢と同じ高校2年にはとても思えないほどの大人びた顔つき、頭脳だった。
ちなみに、仕事は特殊舞台保護部希望だ。まぁ女性といえばこちら希望が断然多い。

 来夢といえば、頭は冴えず、可愛いというより男っぽい顔立ち。
挑発には乗りやすく、まるで子供のような精神。
こちらは見た目に比例し、特殊部隊の方を希望。戦いを希望珍しーいの女子だ。
先輩と後輩というのも正しいようにも思える2人なのだ。
「言い過ぎだよ、大海原。
 まぁこの2人はそういう関係だけどね」
「待ってください、松中教官!!
 私達、ホントに同期なんですから!! ねぇ、未来(ミク・新堂のこと)もどうにか言ってよー」
「私はどちらでも構いません。これで、失礼致します」

6:睦月 hoge:2013/01/25(金) 19:55 ID:eyU

あげて申し訳ございません
hogeし忘れたのもありますが、
結構頑張れると思いましたのであげさせていただきました
これからもたまにあげることがありますが、
宜しくお願い致します

7:マスカット:2013/01/25(金) 20:03 ID:q5E

はい!うーん……少し読みにくい
ですねぇ…少し間を開けてみては?
……後は、すごく 面白いです♪
頑張って下さい♪
分かりにくいアドバイスなので
スルーOKです!

8:睦月:2013/01/25(金) 20:17 ID:eyU

間……ですか。
普通の本を題材というか目標のような存在にしているので
話が変わる部分ですね、変えている部分は。
なるべく読みやすいよう空けるようにしてみます
アドバイスありがとうございます
これからも応援していただけると嬉しいです

9:睦月 hoge:2013/01/25(金) 22:10 ID:eyU

 松中教官とは、大海原教官の同期で今回の特殊部隊……つまりは戦闘部の指導者だ。
松中は主に、戦闘部への教育を担当するオチャラケだ。

 教育の担当者の決定は前回試験順位上位者がやると決まっている。
時には、年下が年上に教えるということもあるが、文句は受け付けられない。
 
 今回の教官は、戦闘部担当が大海原と松中。
大海原は武道、銃器を教え、松中は基礎の敵についてを教えられる。
限られた時間内に教えることが強要されるため、大海原は特にスパルタだ。
男子がついていくのがやっとなので、女子は途中保護部への切り替えがあったりもする。

保護部では、簡単な武道や銃の使い方、そして8割ほどを占めるのが救護について。
担当は医務担当の沢島が全部といっても過言ではない範囲をやり、たまに松中が入る程度だ。
詳しいことは、保護部しか知らないため、極秘部隊ともいわれているくらいだ。
    *
「待ってよ、未来ー」
 来夢は早歩きの新堂を追いかける。
 松中は、教える際もオチャラケ感の残るため、来夢が大海原を嫌うほどに新堂は松中を嫌っていた。
やはり、新堂は大人っぽく、来夢のように挑発や怒鳴る等の真似はしないが行動1つ1つに刺(トゲ)があるのは確かだ。
 残念なのは、一度松中に会うたび、1時間は機嫌が直らないのが特性で、来夢は機嫌を直すのに一苦労するという点だった。
    *
「にしても僕も、大海原も嫌われてるねー」
 松中が肉にナイフを入れながら、言う。
口元には笑みがあり、余裕そうな……そして、面白そうに微笑んでいた。

 2人が出ていった食堂で、空いた席に腰を下ろし食事を始めていた。
食堂は教官用もあるのだが、クセが抜けきれず毎回こうして2人はこっちを利用している。
こちらの方がボリュームも栄養も満天なので、特という点もあるのだが。
「ウルサイ。
 俺らも嫌ってただろ、古嶋とか」
「それも、そうだね。
 さすがにあそこまでじゃないけどね」

10:睦月 hoge:2013/01/26(土) 16:10 ID:eyU

[>>5の訂正]
新堂 未来の説明で、
特殊舞台保護部となっておりますが、特殊部隊保護部の間違えです
心より、お詫び申し上げます

11:睦月 hoge:2013/01/26(土) 16:38 ID:eyU

 古嶋は2人の教官で、大海原以上のスパルタ指導をしていた。
古嶋についていけるのは、この2人以外にいないと言っても過言ではない。
異例の数十名の保護部移動を誇り、今までで一番特殊部隊が少ないという記録を持っていた。
「んー、でもさぁ。
 せっかく部隊に華が現れたのにー」
「これで諦めるなら保護部へ移ればいいんだ」
 キツい一言に、松中も黙る。
そこからは、また別の話に移り、この2人の話しが上がることはなかった。

【短くてすみません】

12:睦月 hoge:2013/01/26(土) 19:42 ID:eyU

    *
 昼休みも終わり、保護部は午後の授業、部隊(戦闘)は訓練が始まった。
新堂の機嫌はまだ良くならず、午後の授業の担当が松中なので長月は心配したが、
次の訓練に遅刻すると自分も危うくなるので諦めて体育館に整列していた。
「よーし、全員揃ったな」
体育館に大海原の声が響く。

 50人ほどの大人から子供が、自衛隊のような服装をし、並んでいる光景が広がっている。
この中で女子は長月 来夢、一人だけだった。
だが、そんなことに躊躇せず、堂々と胸を張り立っている。
初めはおどおどとしていたが、そのせいで罰を喰らったのが効いたようだった。

 今回の体力作り、攻撃、防御を整えるための課題は柔道。
本番で本格的なことをするわけでも、逆に相手に読まれないように自分のやりたいようにやるため、ルールは無用。
『背負い投げでも何でも仕掛ける』
これのみがルールとなっていた。
「おい、長月は俺と組め」
そう言ったのは、長月の永遠の天敵、大海原 紘都(ヒロト)。
そう言われ眉を潜(ヒソ)める。
 当たり前だが嫌いな奴とは離れたいもので、そして長月は我慢をしない。
「は? 嫌です」
はっきりと、堂々と言い叩(ハタ)かれる。

13:睦月:2013/01/26(土) 20:30 ID:eyU

「そういうことは堂々と言うな!!」
「教官が堂々と言えと、」
「場合を考えてやるのが普通だろ!!」
 2人の言い合いに、ペアを作り始めていた周りが呆気にとられ、それを驚きの目で見つめる。
それに気づいた大海原が手を叩き、お前らもさっさとペア組めと怒鳴る。
慌ててペアを組み、用意されたマット上に乗る。

 そして、大海原の笛の合図で一礼し始める。長月と大海原も少々遅れて始める。
「畳を拝ませてあげますよ?
 そしたら叩いたこと謝って下さいね?」
「フッ 笑わせるな。俺が拝むときは俺の死ぬときだな」
挑発と共に一礼、大海原は短気なため挑発に乗るのが基本だ。

 普通でも簡単にも勝てない相手を怒らせると鬼にかな棒。負けるわけがない。
つまりは畳は拝ませられないというところだ。
試合は一瞬で決着がつき、気がつけば長月は背を打っていた。

14:睦月:2013/01/27(日) 21:07 ID:eyU

 手加減のない技に呆気をとられ、暫くの間、長月は起き上がれなかった。
幼い頃から負け知らずで、負けず嫌いということもあり、何でも人より出来ていた筈なのに。

 高いプライドが崩れ落ち、頭が真っ白になっていた。『勝てる』……そう確信していたのは誰だっただろう?
____私だ。
悔しさで対戦後の礼を忘れていた。
流石に怒鳴られはしなかったが、それにすら苛立ちを感じた。
「長月? どうかしたのか?」
「…………いえ、何も」
 言えない。悔しいなんて。

 長月は歯を食い縛り、大海原を見る。
大きな背中、見慣れた髪型、教官専用の服。
教官に勝つなどあり得ないことで、女子など勿論男子でも3秒内で吹っ飛ぶ。
これが普通で当たり前のこと。
だが、その当たり前を破るのが長月の目標だった。その高い壁は簡単には飛び越えられない。
「おい、長月。
 松中の授業が始まるぞ、早く行かないか!」
大きな声に、ビクリと肩を震わせる長月。
やっと我にかえり、堂々と、そして勇ましく先に行く大海原の背を追った。

15:睦月:2013/01/28(月) 21:11 ID:eyU

「……長月さん? 話、聞いてるかな」
 ギリギリセーフで室内に飛び込んで、なんとか長月は遅刻を免れたが、午前午後と疲れっぱなしで、特に今日は暖かく眠りやすい気候だった。
その2点が重なりあい、長月は眠りの世界へと導かれていた。
図解説の資料と大学ノートを枕に、気持ち良さげに鼾(イビキ)までかいて眠っていたのだった。
 寝ていることに関してはいつも通りのことだったが、鼾までかいて寝られると周りの視線がそちらにいってしまうのだ。
松中も、仕方がないといった感じで長月を起こそうとした。
「起きてくれるかなぁ……」
「んー煩い!! 大海原の糞野郎、絶対に拝ませてやる」
どうやらレム睡眠にまで達し、大海原の打倒決心の妄想……夢を描いているようだった。

 これには松中も驚いて爆笑、周りの人もどんどん笑いは移り、いつの間にかその場の全員が大笑いをしていた。
流石にこれは煩かったようで長月が上体を起こし周りを見回す。
そして、強烈な一言を発した。
「大海原は何処だ? 畳を拝ませないと……」
全員の声が大きくなり、そして状況を理解してきた長月の顔がだんだんと赤く染まり、最終的には耳まで真っ赤になった。
「面白いよ、長月さん。やっぱり大海原とはいいコンビだね」
そう言って高らかに笑うと、松中は笑いを堪えながら前に戻る。
だが、どうやらこれにはツボが嵌まったようで急に吹き出したりクツクツと笑いを堪えながらの授業となった。
そのたびに痛い視線を浴びながら、寝ることなく授業をやり終える長月だった。

16:睦月:2013/01/31(木) 20:52 ID:eyU

([>>13の訂正]
負けるわけがない。とありますが勝てるわけがないの間違えです
申し訳ございませんでした)
    *
 長月の赤面授業を終え、その日の予定全てが終わった。
長月は食堂へ行く前に資料とノートを置くため寮の自室へ向かっていた。

 寮と教室や体育館は渡り廊下で繋がっている。
寮は保護部、戦闘部ともに合同で女子寮男子寮に分かれている。
その部屋の中では、見習いやプロは関係無く同室になっており、運が悪い場合は教官と、ということもある。
が、今回の教官は全員男なので女子は何の心配もなく、長月なんかは新堂と同室だ。

 部屋に戻ると長月は荷物を放り出すと共に自分の体もベッドの上へ放り出した。
バフンと空気の音がして、羽毛の掛け布団が長月を包み込む。
「うぅー、やっぱベッド最高 ! 」
そう叫び、自室のトイレに入っていた新堂に煩いと怒鳴られた。

 というのも、5人兄弟の真ん中、つまりは3番目で自分以外は全員男。
女の子だからと可愛がられることもなく、同じ部屋でキツキツに暮らしていたのだ。
ここに来てまだ少し。自分のベッドがあるのは夢のまた夢だったはずが急に死に直面したらベッドがあるなんて、嬉しい限りなのだ。

17:睦月:2013/02/01(金) 17:32 ID:eyU

 しばらくして、むっくりと長月は起き上がった。
新堂は食堂へ行く用意万端で長月を見ている。
「あ、ゴメン未来。今、行く」
その視線に気づき、慌てて服を着替えようとした。

 保護部の新堂は軍服の凄く軽い版なのだが、戦闘の長月は軍服に近くあまり良いというわけではない。
動きやすさを考慮したもので、これから細菌との対決では良いかもしれないのだが。
「……もぉ、早くしてよ」
 苛々としてきた新堂から罵声が飛ぶ。
長月は着る服と数秒にらめっこし、服を投げ捨てた。
軍服のような服のまま、部屋のドアへ向かって小走りで行く。
「着替えないの?」
「あんな文句聞いて着替えられるかっつうの ! 」
ぎゃあぎゃあと言い合いながら、死が少しずつ迫っていることも気にせず、楽しそうに笑う2人だった。

18:睦月:2013/02/02(土) 21:50 ID:eyU

    *
「なっ!? 本気ですか、古嶋教官 ! 」
 大海原の大声が部屋中に響き渡る。
訓練の怒鳴り声以上の大声で、迫力も違った。焦る顔には、悲しみさえみられる。
古嶋教官は一度説明した通り、大海原や松中の教官だ。50代の顔は厳しめなイメージをもたせる男性だ。
「いや、これは本当だ。
 そこで、あとはお前と松中、そして……今の訓練中の後輩を数人で」
「で、ですが……」
古嶋の返答に満足いかない様子だったが、古嶋の強い瞳で見られて諦めたように足元を見た。
古嶋は一瞬口元を緩め誰も気づかないほど小さく微笑むと、また堅い表情に戻した。
「それじゃあ、後は」
「はい、絶対に!!」
大海原は強く決心した瞳で古嶋に向かって敬礼した。
それを見て、うっすらと笑顔を浮かべる古嶋の瞳はうるんでいた。

19:睦月:2013/02/03(日) 22:24 ID:eyU

    *
「いいなー、未来は」
 朝日の入る大きな窓が印象的な、寮から本校舎へ続く廊下を通りながら長月が呟いた。
隣の新堂はというと、また面倒な、という顔をしながら長月を見た。
「なんで私がいいの?」
「いや、だってさ。未来はこれで保護部行き確実でしょ?」
「ぇ……あー、うん」
曖昧な新堂の返事。困ったような顔をしながら新堂は長月の隣を歩き続けた。

 そう。今日で2ヶ月が経ち、ここで訓練過程は終了のはずなのだ。
だが、戦闘部では実際の戦いで本当に戦えるのかの実践テストがあるのだが、それでは自分より先輩の人とペアを組む必要があった。
もしも、それで何かあったとき救助するためもあるが、大丈夫かを判断する、アドバイスをする。
そのような役割があるためだった。

 別にそれ自体が嫌というわけではなかったし、早く認められ細菌を食い止めたいという熱い思いが長月にはあった。
が、その実践テストでのペアの人物が一番の問題だったのだ。
柔道の訓練以降、ライバル心をずっと燃やしてきた相手__大海原 紘都。
いつも嫌味をガンガンに飛ばしてきて、絶対に認められていないと思ってきた相手なのだ。
大海原がペアじゃ、自分は合格できるわけがない。長月は、それが悔しくて最近イライラしていたのだった。

20:睦月:2013/02/05(火) 22:32 ID:eyU

「おい、長月どうしたんだ ! 」
 いつも通りの訓練。ランニング10周を行っていた。
 午後には試験があるせいか、皆どことなく緊張が走っており、ピリッとした張り詰めた空気となっていた。
そんな中、長月のみが浮いており訓練にも身が入っていなかった。
違和感を感じとったのか、それともただたんに目にとまっただけか、もしくは両者か。大海原の怒鳴り声が響く。
「……すみません ! 」
長月からはしっかりとした返事が返ってくるものの、やはりいつもとのやる気の差は激しかった。
ランキングをやっとのことで終えた長月に大海原が近づく。
 順位は女子としては良いのだが、いつもより5, 6位落ちていた。
「どうかしたのか? お前らしくないぞ」
「…………いや、その、別に」
あなたがペアなのが原因です、なんて堂々とは勿論のこと言えるわけがなく歯切れの悪い返答だった。
その返事に困惑したような大海原だったが、数秒間うつむいている長月を見てから、ポンポンと頭を撫でるように優しく叩いた。
長月が驚いて顔をあげたとともに、大海原は皆が列を組む場に戻る。
慌ててそれを追いかけて自分も列に並ぶのであった。

21:睦月:2013/02/08(金) 21:01 ID:eyU

「よし、ここからは自分のペアとなる上官と行動を共にしろ」
 部活でいうアップを終え、試験が始まる。
緊張した表情で大海原に近づいて行く長月。その他の人もゾロゾロと自分のペアの元へ向かう。
「あ、あの教官……」
「黙ってついてこい。お前は試験を受けないんだ」
「えっ!?」
 それは、私は試験を受けなくても合格ということか、それとも受ける受けない関係なく落とすのか。
不安になりながらも必死に大海原を追い掛けた。

「……あれ、ここって」
「失礼します」
立ち止まったのはカゲ特殊部隊本部。
迷わず普通に入って行く大海原だがどうすれば良いのか分からず立ち止まった長月。
さっさと来いとでも言うような目で大海原に睨まれ、それに怯えて入った。
 中には戦いの指示をする指揮官がいた。
指揮官は寄生されておらず、年老いた優しげはおじいちゃんといった感じだ。

22:睦月:2013/02/10(日) 17:36 ID:eyU

「君が長月 来夢さんだね?」
 にこにこと微笑む指揮官は優しげで、いつも戦いに参加しているなど考えられない。
「は、はい」
 長月がおどおどとした返事。
「君はカゲ特殊部隊の特殊関係処理隊への配属が決まった。推薦者は大海原 紘都。同意者は隊全員。
 おめでとう、良かったね。」
「!? ……え、それって」
頭が驚きで真っ白の長月のもらした一言に大海原が答える。
「つまりは試験なしで入れる特殊関係処理隊に合格だ」
「ほ、ほんとに……!?」
この質問には大海原は無言で頷く。
長月は嬉しさで涙も出そうな勢いだった。
「頑張ってね、頼んだよ」
その指揮官の一言に、大海原と長月が敬礼する。長月は唇を噛み締めていた。


書き込む 最新10 サイトマップ