夢物語

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1:心音 ◆g58U:2013/02/02(土) 07:27 ID:H1w


君のことを想うたびに胸が高鳴ります

君のことを想うたびに胸が苦しくなります

君のことを想うたびに私はーー………


ーーー
スレタイ通り、今朝夢で見た物語を書きます。
不思議な夢だったなうん。

2:心音 ◆g58U:2013/02/02(土) 07:52 ID:H1w



「姫、そろそろ私の願いを聞いてくれやしませんかねぇ?」


華やかな京の都を煌々とした月が照らす夜。
ある屋敷の門前には、人1人分ぐらいは入れるであろう檻がなぜか不釣り合いに置いてあった。

そんな月明かりの下、柵越しにへらへらとした作り笑いを浮かべて手を揉んでいる屋敷の当主。檻の中には高価な絹の着物を着た少女が強気に当主を睨んでいた。


「嫌。」

「頼みますよぉ。私には姫のその力が必要なんですって…!!」

「うるさい、黙れ下衆が。」

「げ…!!?」

「お前は私に媚を売ることしかできない下衆だ。」


鼻で嘲笑うように屋敷の当主をあしらう少女。もう限界だったらしく当主の額には何本もの青筋が浮きでていた。

「言わせておけばこの小娘…!殺ってしまえ!!」


当主の言葉に後ろに控えていた幾人もの兵隊と数匹の狼が、檻に入っているたった“1人の少女”に対して戦闘態勢を取った。

だけど少女は怯えない。決して屈しない。幼い頃に約束したから。自分の力は困っている民衆に向けるべき大切なものだと……。


「殺れえええぇえ!!!!!」


放たれた言葉に此方へ駆けてくる足音と唸り声。


(私の人生も短かったようで長かったな……。)


少女は全てを悟ったかのように、これからくるはずの痛みに耐えるように目をつぶる。


だが、そのときは来なかった。


「なーにしてんの?」

「解せないな……。少女1人にこれほどの多勢とは。」

「なっ……!?お前達は…ッ!!」

3:心音 ◆g58U:2013/02/02(土) 08:15 ID:H1w

(は?何………?)

聞こえてきた声に恐る恐る目を開ける。
視界に入ったのは月明かりを背にする2人の青年だった。


(…綺麗………)


ふいに出てきた想いは月に対してなのだろうか。それともあの青年達に…?


「何かお姫様を助けにきた王子みたいで気分いいね。」

「馬鹿かお前は。」


くるりと此方に向けられた4つの目。その目に初めて少女はたじろいだ。


(この気持ちは何…?あの2人を見てから治まらない…)


自分で自分が不安になり、胸をぎゅっと抱きしめる。

(助けて!!)


そんな声が心の奥から聞こえた気がした。気づけば口をついて出てきていた。


「…たす…けて…っ…。」



「その言葉待ってたよ。」

「素直じゃないな。けどツンデレも萌える。」


少女の声は確かに届いた。



「ぐぬぬ…っ、何が何だか分からんがとにかく姫もろとも殺ってしまえ!!」

「「「おう!」」」


掛け声と共に一斉に青年達に襲いかかる何十もの兵隊。
だが、それをいともかんたんに彼らは吹き飛ばした。



「あーあ、浪速あたりまで行っちゃったかな。」

「富士の頂上まで飛ばすのはどうだ。元旦に面白いものが見れる。」

「…なるほど。くだらないこと思いつく天才だね楊君は。」

「……褒めてるのか汚してるのかどっちだ。」

「やだな、褒めてるんだよvV」


楽しそうに会話をしながらも確実に兵を飛ばしていく2人は端から見れば馬鹿にしているような態度だ。

当主もそれを感じているのか足を踏み鳴らしながら悔しそうにキ-キ-喚いている。


(すごい………)


少女は唖然としながらただその光景を見ていた。
だがじゃりっという地面を踏みしめる音にばっと周りを見回す。

気づけば狼達に檻の周辺を取り囲まれていた。


「グルルッ…」

(しくった…!結界はるの忘れてた!!)

4:心音 ◆g58U:2013/02/02(土) 08:32 ID:H1w

見ると、狼達の体は痩せ細っており骨が浮きでている。
きっとろくに食事もさせてもらえなかったのだろう。


(可哀想に………)

そんなことを思っても、動物に人間の想いが届かないのは分かってる。


(だったら、せめて…安らかな眠りを……)


少女は祈るように目をつぶり腕を組む。力は使わないと誓った。
けれど、


(今は使うべき時……!)


直感が冴え渡る。自分の中の自分が力を解放しろと訴えている。



「……汝の声聞き届けたり。」




誰かの声が聞こえた瞬間、ふっと体が軽くなるような気がした。そして体中から溢れ出るまばゆいばかりの光。

気づけばその光は都中を満たしていた。



「わお、すごいねあの子。」

「やはりな。目を付けた通りだ。」

「何だ!?一体何が起きている?!!」

「おじさんは黙っとこうね…っと。」

「ぐはっ…!!?」


何が起こっているのか理解できずうろたえる当主を手刀で黙らせた青年達は、今だ光を放っている少女に一歩一歩近付いていく。

5:心音 ◆g58U:2013/02/02(土) 09:06 ID:H1w

「もういい!これ以上使うとお前が壊れてしまう!やめろ!!」


(もういい…?壊れる……?)


頭の中に流れ込んできた微かな記憶の断片。自分と同じ光を体中から発している少女とそれを必死で引き止める青年の姿。


(違う……あれは私。私自身)

では、あの青年は一体どこの誰なのだろうか。


(私の恋人?兄弟?友達?)


違う……。もっと別のもの…。深くて強い絆で結ばれているような……。

すると段々と青年の姿が霞んでいき声も小さくなっていく。

(駄目!待って、消えないで!!)


まだ自分はあなたのことを思い出してない……!!





「あ………、」

「気がついた?途中から意識なかったみたいだからびっくりしたよ。」

「たくっ…心配をかけさせる。」

「ごめんなさい…?」


気づけば戦いは終わっていたらしい。兵達も散りぢりになり、当主は気絶している。

狼達は………



「死んでるよ、全員。」


心を読んだのか何の気なしにさらりと茶髪の青年は言う。


(死んだ……。ああ、そうか。私が殺した……)


あのまま生き永らえても、もう動く気力すらない狼達はやがて死に絶えるだろう。だからせめて苦しまないようにと、最低限の力を放出して彼らの息をとめた。


(でも、やっぱり久しぶりに使ったから疲れる…)



「ね、見てみなよ。狼達。幸せそうな顔してるよ…って何してるの?」

「精神統一。」

「…変わった統一の仕方だな。」

「うるさい、むっつり。」

「むっつ…!!?」

「っぷ…むっつりだって…っ!」

「わら「笑うなそこ!気が散る!!」…俺の台詞……。」


尚も檻の中に入ったまま、なぜか着物姿にも関わらず逆立ちをし始めた少女を物珍しそうに見守る青年達。異様な光景だった。




「っていうか、あなた達誰?」

「ああ、自己紹介まだだったね。僕は凪麻でこっちは楊だよ。宮中に仕えてるのvV」

「宮仕え…ってことは父上と同僚…?」

「姫の父上が何の仕事してるかは知らないけど、同じ宮仕えなら会ったことあるかもね。ね、千姫様♪」

「なっ…!?どうして私の名前を?!」


茶髪の青年…凪麻の言葉に、逆立ちをしながら驚きの表情を浮かべる千。

6:心音 ◆g58U:2013/02/02(土) 09:27 ID:H1w

「ん…じゃあ問題出してあげr「早くしろ。」えー、つまんなーい。」


調子に乗るなと凪麻を一喝した後、楊が咳ばらいをして話を進める。


「姫の家族は死んだ。」

「………は?」


聞こえてきた言葉はいきなりすぎて頭が追いつかない。誰の家族が死んだ?


「私の家族が死んだ…?」

「誰の仕業かは分かってないけどな。たぶん姫の持っている力が原因だろう。」

「私の力………。」


元から家族に愛情なんてなかった。自分の力を利用するだけ利用して捨てた家族。
今、檻の中にいるのも狼に襲われたのも全て家族のせい。


(ううん違う。全ては自分の力のせい……。)


いらなかった、こんな力。自分には不必要。


(存在なんてしたくなかった…。私なんて誰にも必要とされてない……)


そう、皆が欲しいのはこの力。きっと目の前にいる凪麻や楊だって……。



「だから俺達はお前を守りに来た。」

「え………」

「誰にも必要とされてないなんて滅多なことは言うもんじゃないよ。」

めっ、と千の額に人差し指をおいて優しく微笑む凪麻。


気づけば千の目からはボロボロと涙がこぼれていた。


「だ、大丈夫!?」

「やっぱりな。俺のほうが良いってことだろ。」

「グスッ……違うわ、むっつり。」

「むっつり(笑)」

「誰がむっつりだ。あとお前は(笑)やめろ。腹立つ。」





3人の話は朝まで続いたという。


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