無罪アリスの悲劇.

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1:*梨依.:2013/02/02(土) 20:41 ID:xBM



「違うわ! 私はクリスタルを盗んでなんかないわ! やめて、やめてよ!」
「嘘つけ! 大臣が見ておったのだ、お前が女王様の寝室へ入るのを!!」
「私は女王様のお付きのメイドよ! 女王様のお部屋へ入るのは当たり前よ!!」

胡桃色のロングヘアーを振り回しながら叫ぶ彼女は2人の兵士に抱えられ、牢獄へ連れて行かれていた。
粗末な寝間着姿で裸足の彼女は、その小柄な身体からはあり得ないほどに泣き叫ぶ。
冷たい岩の感触が、足の感覚を鈍らせて行く。

「入れろ」

いつのまにか、目の前には六畳ほどの牢獄が。
監視員が軽く頷くと、彼女の背中を力一杯押した。
小さな悲鳴を上げると、彼女の身体は何もない岩肌の牢獄へ入ってしまう。
その隙をついて、監視員は扉を閉め、鍵をかける。

「イヤアアアアアアッ! 出して! 出して頂戴!!」

彼女の叫びは虚しく、儚く、空気中に消えていった。

2:梨依:2013/02/02(土) 22:52 ID:xBM



「カレン、そろそろお姉ちゃん行くね」
「嫌! カレン、お姉ちゃんと一緒に居る!」

泣きじゃくって姉のスカートの裾を握り締める私に困った顔を向けながら、彼女はこう言った。

「この村が一回無くなってしまってからは、もうどうしようにも無いの。カレンだって、美味しいご飯や食べられたり、可愛いお洋服が着られたりしたほうが嬉しいでしょ? お姉ちゃんはカレンのために、女王様のところへ行って、働くの。ちゃんと帰ってくるから、それまでセリアさんと一緒にいて。ね?」
「…………わかった」
「そう、いい子ね。カレン、大好き」

私がようやく泣き止んだ頃。私の頭をそっと撫で、頬にキスをして、セリアさんに一礼してから馬車に乗り込んだお姉ちゃんの姿は、もう小さくなっていた。
遠い遠い、街の女王様のお城まで。

「ねえ、カレン」
「なぁに、セリアさん」

薄く滲んだ涙を袖で拭きながら、私は応答した。
セリアさんは短くて綺麗な髪を揺らして、にっこりと私に微笑んだ。

「今日から私が、カレンのお姉ちゃんだね!」

幼かった私は、顔をほころばせて喜んだ。

3:梨依:2013/02/03(日) 09:45 ID:xBM


【人民解放の日!!】

「セリアさん、こんな新聞が来てるけど……」
「……あぁ、そんな季節になったのね」

でかでかと書かれた新聞を手渡すと、セリアさんは目を細めて微笑んだ。
金色の綺麗な髪が朝日に輝く。

「ねぇ、もういいでしょ? 教えて。この村の、秘密」

私は知りたかった。
この村が、どんな道路をたどってきたか。
私が覚えているのは、肉親が姉だけになり、その姉さえも何処かへ行ってしまったということだけ。
「あの時はまだ小さかったから」「まだ教えてはいけない」と、これまで何人もの大人に制され、この村を歴史を知らない。

「……こっちおいで」

4:梨依:2013/02/03(日) 18:07 ID:xBM



「この村はね……。一度、滅んでいるわ」


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