天国よりも、君の隣に。

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1:ささ:2013/03/06(水) 22:49 ID:7e.




こんにちは。
アク禁から復活した記念に、ちょっとシリアスな内容を書きたいです……
コメ待ってます!
アドバイス等もどうぞ×10000

見たらなんか言ってください!

2:ささ:2013/03/06(水) 22:50 ID:7e.




プロローグ


あなたは、人の死後を知っていますか?

人が死んだらどうなるか、知っていますか?



私は知っています。

だって私は
死んじゃったんだから――――




もう一度、君に触れたい。

そう、強く、強く、願ったら。

こんなことに、なっちゃいました。




【プロローグ・完】

3:ささ:2013/03/06(水) 22:50 ID:7e.



◆◇第一話 私の最期◇◆ 

*第一幕* 【莉沙side】

4:ささ:2013/03/06(水) 22:51 ID:7e.




――今日が峠だ、と言われていた。その言葉の通り、今日が一番辛い。

悪夢に魘されたように、私は顔を顰める。
じとり、と脂汗が衣服に染みる。
汗が頬を伝い、半分閉じている眼球の隙間から入り込んでくる。
それでも吹き出る汗は首筋まで流れ、頭髪が身体にへばり付く。
自分のする荒い息を感じ、また蒸し暑くなる。
それは物凄く気持ちが悪かった。
しかし、そんなこともうどうでもいいと思えるぐらいに胸が痛い。
昔やった持久走の後の感覚を、百倍くらいに濃縮したような苦しさだった。
辛い。
身体に『もういいよ』と言いたい程辛い。

痛みに耐えかね目を瞑れば、急に辛うじて見えていた光が消え、不安に駆られる。

――いっそ、眠ってしまおうか。
そう思うと同時に私は、今までで一番不快であろう、そして深いであろう眠りに就こうとしていた。
病院のベッドに、身体が沈み込むようだ。

意識はどんどん遠のいていった。

5:ささ:2013/03/06(水) 22:52 ID:7e.



「莉沙っ莉沙っ!!」
 私を呼ぶ声で、朦朧としていた意識を取り戻した。
 愛しい、愛しい、声だった。
 三か月ぶりに聞いた声だった。


「りゅ……き…………!」
 久しぶりに、声を出した。
 だからなのか、発声した瞬間、咽喉が鋭く痛んだ。
 声を出すのもやっとだった。
 本当ならば今すぐにその腕に飛び込みたいところだけれど。今の私にはそんな気力も無い。


「莉沙!起きろ!」
 必死で私を揺さぶる竜輝(りゅうき)。
 私の初恋の人。私の一番大事な人。
 
「りゅ……き……あり…と…………」
 もどかしい。
 もっとちゃんと伝えたいのに。 

6:ささ:2013/03/06(水) 22:53 ID:7e.



「莉沙?」
あなたが呼んでくれたから、私は我に返る。
駄目。竜輝がいるんだから、眠っちゃ、駄目。


靄がかかったようだったのに、段々はっきりする視界に、自分で驚愕した。


 ベッドの横には、白衣の人がずらり。
 そしてその横に、竜輝。
 医師たちの表情は切迫していて。
 竜輝は汗を流していた。涙に見えたのは気のせいだろうか――?

 数時間ぶりに見た瞼の外側に気を取られていたが、音だって異常なものだ。

 機械音が木霊する。今までもそんな中で過ごしていたが、今日は異常なものを感じた。
 まず、単純に機械が増えたと思う。
 サチュレ―ションと心電図だったはずだが。
 シューシューと、微かに聞こえるのは酸素。送管されたのだ。
 自分の名前を呼ぶ声。


 ただならぬ雰囲気に圧倒されて、強引に意識を覚醒させられた。
 多少パニックになっていたというのも正解だろう。


 異常。周囲の異常。自身の体の中で起きている異常。
 後者には慣れていた。昔から患っていた病気。長い付き合いだ。
 前者が気になって仕方ない。
 
 あぁ、死ぬんだな。
 こんな風に簡単に納得できたら。

 一昔前の私だったらできただろう。
 しかし、竜輝という人が存在してしまったから。
 竜輝という人に、偶然出会ってしまったから――――


 「死にたく……ないよ……」

7:ヒヨドリ:2013/03/06(水) 22:56 ID:QdU

ささだぁ! 楽しみにしてるよー! この話、なんかこの時点でいい!
私もこんな小説書けたらなぁー・・・・・。 って、やった。この小説のファン1号じゃん、私w

続き待ってるよー!

8:ささ:2013/03/06(水) 22:58 ID:7e.

>>7
ありがとー
嬉しい!!!
頑張るねー

9:ささ:2013/03/13(水) 18:11 ID:7e.



 心臓が困憊しているのは自分で分かった。
 規則正しく波打つはずの心臓に、もう活力はない。
 休ませてくれと叫んでいる。

――あと一分もつだろうか。

 ――竜輝。
 あなたがいれば、それでいい。
 そう思いたいのに。私は傲慢だね。
 死の瀬戸際に立たされると、どうしても心細くなる。死ぬのが怖くなる。
 生死の境目で、人は弱くなるという。
 人の弱い部分がどうしてもあらわれてしまう。
 私の弱いところは、孤独を嫌うことだ。
 強がっても、人に必要とされたいと思う。
 今日も、そうだった。

 薄く開いた眼で、部屋を見渡し。竜輝以外に誰もいないと知り。
 ああ。やっぱり私を欲する人は竜輝だけなんだね。そう、軽く失望してしまう。

 いいじゃないか。
 こんなちっぽけな人間にも、必要としてくれる人がいる。
 最期まで私を見てくれる。
 それだけで、いいか――
 私を必要としてくれる人が、一人でも、一人だけ、確かに、いる。

 やっと楽になった。
 ありがとう、竜輝。
 もう、大丈夫。
 安心して、眠りにつくよ。

「心拍数、落ちてます!」
 看護師さんが叫ぶ。
 その声も、どこか他の世界で響いているようだった。


「莉沙! 莉沙!」
 竜輝。
 私もう、無理みたいだ。
 私、頑張ったよね?


 最後の力を振り絞って、私は声を出した。


「りゅ……き…………ありがと……」
 
 竜輝は、涙をためて私を見る。

「莉沙……」
 
 だけど溢さないように必死だ。
 強がり。

 ふと、笑ってしまった。
「さよ……なら……」

 最後の、言葉だった。
 
 意識が遠のいていく。
 音が途切れて消えていく。
 視界に靄がかかっていく。
 でも、これでいいんだ。

――辛くても、最高の人生だったよ。
 莉沙で、良かった。

 瞳を閉じた。
 もう、決して開かないように。




 

10:ささ:2013/03/13(水) 18:38 ID:7e.


 今度こそ、眠りにつく。
 ドップリとベッドに沈んでいくように。
 いや、逆に天に昇っていくように。
 
 私の心臓は、役目を終えたというように、静かに動きを止めた。
 

11:ささ:2013/03/16(土) 12:55 ID:7e.



*第二幕* 【竜輝side】


 二月十六日。
 俺の愛した女、渡瀬莉沙(わたせりさ)は逝った。
 十七歳。
 俺たちが知り合って一年とちょっと。

 今日、少し雪が待っていた。
 あいつの笑顔のように、ふわふわと。

12:ささ:2013/03/16(土) 13:00 ID:7e.




「莉沙。今度こそ、幸せか?」
 俺は目を瞑る莉沙に声をかける。

「痛くないよな? 苦しくないよな? もう、辛くないんだよな?」
 涙声になってしまったし、白衣の人たちが聞き入っているのも感じたから気恥ずかしかったのは否めない。
 だけど、そんなことどうでもよかった。

「それで、いいんだよ。お前が辛くないんなら、俺はそれで……」

 心電図は点滅を止め、後に残る無情な機械音。
 医者はそれを静かに止め、完全な無音地帯。

 悲しみはこの世界で小さい。
 莉沙は小さく小さくでも力強く、生きてきたのだから。
 俺はそんなところに、惹かれたのだから――


「もう、苦しまないでくれ」
 安らかで、寝顔のようなキミの頬に、そっと口づけを落とす。
 
 冷たかった。
 そこに、俺の涙が伝い、シーツに小さな染みをつくった。

13:夢猫:2013/03/16(土) 13:01 ID:VqI

ささがんばって!!
また見にくるね!

14:ささ:2013/03/16(土) 13:19 ID:7e.

>>13

ありがとう……

15:ささ:2013/03/17(日) 13:23 ID:7e.

あげ。

16:ささ:2013/03/18(月) 16:15 ID:7e.



 三日後。
 莉沙は骨になった。
 泣くまいと歯を食いしばる俺は、あまりにも無力だった。
 
「莉沙、待ってろよ。いつか必ず……」

 骨になった莉沙を見ていられなくて、そっと視線を外す。
 辺りを見渡せば、本当に小さな葬式だった。
 “仕方ないから来てやったのよ”と言いたげな母親。
 その母親を睨む莉沙の姉。
 携帯の画面しか見ていない冷たい眼の男。父親はいないと、莉沙が言っていたはずなのだが。
 
 様子を伺うと、母親と目が合ってしまった。
 母親は俺に向かって歩いてくる。

17:ヒヨドリ:2013/03/18(月) 16:59 ID:QdU

感動。。。  うぅっ!

18:ささ:2013/03/18(月) 17:27 ID:7e.

>>17
あれれ?
ヒヨ!なぜ感動?
私の作品は駄作なので、感動とは無縁なはずだが?

19:ささ:2013/03/20(水) 12:31 ID:7e.


「あなたが竜輝くんかしら?」
 不敵……というかねちっこい笑みを浮かべて。
「美沙から話は聞いた。莉沙の彼氏さんね? 私は母親。分かるかしら?」
 俺はただただ黙っていた。
 意外に若い親だ、とか思いながら。
 
 莉沙から聞いていた。
 コイツは莉沙に一滴も愛情を注いでいない。形だけの家族だ、と。
 姉である美沙だけが褒められ、微笑まれ、母親に愛されたのだと。
 それでも家族を憎むことはしないのだと。
 それをふと思い出す。

「なんなんですか?」
 気が付けばそんな言葉を発していた。
 
 母親が一歩俺に歩み寄る。
 意味深げな微笑を湛えたまま。

「この子を莉沙は愛したのね……男を見る目だけは立派じゃない」
 聞こえるようになのかは知らないが、その声は俺の耳にはっきりと届いた。

「なんなんですか?」
 俺は繰り返す。
 少し苛立って、少し気味が悪くて。

 母親は、遊女のような笑みを残し、俺にまだ一歩近づく。
 そして。
 俺の腕を掴み、爪を食い込ませる。
 派手な装飾を施した長い爪が肌に痛い。

「……っ…ちょっと!」
「あなたが莉沙を殺したの。分かってる?」

20:ささ:2013/03/25(月) 16:18 ID:7e.




「あの子は、今まで人生に、なんていうか……そこまで思い入れが無かった。死にたいとまでは言わないけれど、その時期が来たら死ぬんだと、穏やかに待っていたの」
 
 俺の腕を弄びながら言う。
 こんなことには騙されないが、確かに慣れた、上手い手付きだった。

「そんな時、莉沙はあなたと出会った」

 囁くように母親は言う。
 美人で、だけど絶対に俺は好きにならない女だ。

「仕方ないわね。あなた…………」

 腕に力を込める。
 俺は全く抵抗しなかったが、魅せられたわけじゃない。
 むしろ、嫌悪感でいっぱいだ。

「素敵だもの」

 瞳は熱で潤んでいる。
 こうやって何人の男を騙してきたのだろう。

「離してください。痛いです」
 言いながら手を振り払う。
 意外に簡単に手は離れた。

「あなたは莉沙の母親じゃない」

21:ささ:2013/04/01(月) 01:20 ID:7e.

あげ

22:ヒヨドリ:2013/04/01(月) 07:47 ID:QdU

母親最悪やっ。・゚・(*ノД`*)・゚・。

 早く更新してくれー!!

23:ささ:2013/04/01(月) 12:24 ID:7e.

>>22

ありがとううううううううう←
もう泣きそうだよ。どうすればいい?????

うん。更新するぅぅぅw

24:ささ ◆orz.:2013/04/01(月) 12:47 ID:7e.



「あなたは、莉沙のことを愛していましたか?」

「……え…え、ええ」
 ゆっくりと首を縦に振る。

「じゃあ、一度も病院に顔を出さなかったのはなぜです?」

「い、色々忙しいのよっ! 莉沙の入院費や治療費は誰が出すの!」

「あなたはそんなことしなくても、いくらでも金は入るはず」

「な、なんでっ!」

「男から」
 そう吐き捨てた。
 
「あそこにいる男は父親ですか? 違います。前は違う奴といた。その前も、その前も。その全ては、金のため」

「莉沙のためよ!」

「病院に行く時間はいくらだってあった。あなたは行かなかった。あなたは本当は、莉沙を愛してはいない。むしろ――邪魔だと思ってる」

「いいのかしら?」
 母親は、恐ろしく嗤った。

「あなたを殺すことだってできる。だけどそれもツマラナイ」

25:鏡時 ◆MUNk:2013/04/01(月) 14:48 ID:5zI

面白いです!!

更新、期待〜!

26:ささ:2013/04/02(火) 08:09 ID:7e.

ありがとうございます!
評価の方もヒヨドリさんの次にしますのでお待ちください!
またコメよろです!

27:ささ:2013/04/02(火) 13:09 ID:.q6

「何を言って――」

「私の男(モノ)にしてみせる」

「――離せっつってんだろ!」

 俺は莉沙の男だ。永遠に。

「竜輝君っ!」

「テメェなんか、死んでも好きにならねェよ」

 俺は言った。
 そして駆け出した。

 じっと俺を見る、二つの目に気付かずに。

28:ささ:2013/04/04(木) 20:06 ID:7e.

上げ

29:ささ:2013/04/09(火) 17:32 ID:7e.

――三分後。俺は火葬場の裏に佇んでいた。

「ふぅ……ふぅ…………」

 俺は荒く息をした。
 不規則に打つ鼓動を抑えようと必死になった。
 莉沙の母親に触った手を、ぎゅっと抑えてまた手を離す。
 また握る。離す――――
 何度も同じことを繰り返し、意味もないその行為に呆れて手を止めた。
 俺はパニクっていた。

 さっきのことを忘れたくて、母親の顔を消したくて、でも消せなかった。

 
 顔が、恐ろしいまでに似ていたから。

 莉沙。
 お前は不幸な奴だよな。
 あんな奴に生まれたんだから。

30:ヒヨドリ:2013/04/09(火) 17:41 ID:QdU

流石ささあ!!!
更新待ってるよっ!!

31:花梨-karin- ◆uPA.:2013/04/09(火) 19:13 ID:kJU

いきなりゴメン
あのね 合作スレなんだけど300までに1回も来なかったら外されちゃうかもしれない
忙しくてなかなか来れないんだったら来れる時に一言お願いします

32:sasa:2013/04/16(火) 19:31 ID:7e.

>>30
ありがとう

33:ささ:2013/04/18(木) 21:32 ID:7e.




◆◇第二話 天国にて◇◆
 
*第一幕* 【莉沙side】



「あーぁ。もう諍いかぁ……」

 空から、火葬場の裏を見つめる莉沙。


 私は。
 やっと天に昇って、半透明になったのでした。
 まわりには誰もいなかったので寂しいけれど、竜輝を見ていられると知って安心しました。

 ただ……もう少し生きてたかったかなぁ……。

34:ささ:2013/05/06(月) 18:26 ID:7e.

あげます


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