怪盗エヴァ

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1:蘭:2013/03/10(日) 00:51 ID:KDs

[登場人物]

阿木 颯希(14)
市立羽野中学2年生。
性格は普通の男子だが、人間関係は狭い。
主に水月としか接していない為、クラスでは孤立している。
将来の夢は引き籠りのニート……所謂ヒキニート。

阿木 水月(14)
颯希の親戚。
家も近所で、同学校、同クラスと都合が良い。
他の女子とは違い大人しい性格で、颯希と同じ様にクラスで浮いている。
PCの扱いはプロのプログラマー級。

2:蘭:2013/03/11(月) 17:02 ID:tIQ

FILE1 あの子と怪盗デビュー!?


黒板に先生≠ェ何か書いていく。
真っ白いチョークで、何かを。
大半の人はそれをノートに写す。ただ、機械的に。

でもそんなことしたって意味無いんだよなぁ。
だってほら――――

もうチャイムが鳴る時間、だからね。


キーンコーンカーンコーン
「はい、じゃあこれは次までにやって提出ね。
 それでは、さよなら!」
道具片手に教室を出ていく先生。
この部屋の中は生徒たちの安堵で埋まっていく。

そして俺も、そんな中の1人。

「あーっ 1週間終わったー」
椅子にだらしない姿勢≠ナ座り、大きく伸びをする。
明日は土曜。明後日は日曜。
それぞれいろんなことが出来る。自由に。
そんな日を前にしてうんざりする奴は、俺のデータベースの中に誰だっていない。
いない、んだ。
それでも。

これだからつまんないんだよな。
有り触れた日常じゃねえか。
漫画も、ゲームも、俺の価値観も。
ねえ次の総理大臣さん、もっと面白くしようよ。
この世界をさ。

なーんて、相談持ち掛けてみたいもんだ。



そしてそんなとき、誰かが自意識世界に入り込む。

「サツキ」


答えはもう分かってたりする。

「ミツキ」
「……もう皆帰ったよ」

あれ? そういやそうだな。
教室を眺め回しても、ミツキ以外誰も視界に入らない。

「ふああ。もうこんな時間か。
 帰るぞ」
「……遅かったのサツキでしょ」


鞄を肩に引っ掛け、教室を出る。
学校なんて、また2日後でいい。

3:蘭:2013/03/14(木) 17:22 ID:xgU




阿木 水月、14歳。
俺――阿木 颯希の幼馴染兼親戚。
ええと、確か、母さんの従妹のお兄さんの娘じゃなかったかな。
一応、血縁者。
苗字が同じだから学校ではそれが皆にバレている。筈。
たまに、知らないって奴もいるが。

水月――ミツキは女子のくせに超人見知りで、友達が全くと言っていい程いない。
本人も人間関係は面倒らしく、幼い頃から一緒にいる俺以外とは付き合おうとしない。
俺もミツキと完璧同意見な為、ミツキとしか人間付き合いは無い。(親は除く。)


だからこうしていつも一緒に行動しているんだが――――――


「本当か?
 生徒会に声掛けられたって」
「……うん」
「おまけに、俺も?」
「……うん」
「どうなってんだよ、うちの学校は………」
「………」

………真面に会話が続きやしない。
もう1つ忘れていた。
ミツキは、仮面でも着けている様な超不愛想だ。

「で? 呼び出しとか?」
「……明日、1時に生徒会室に来て……って」
「ふうん。明日か」
「……うん」

って、ちょっと待て。

「明日!?
 土曜じゃねえか!
 休日! 日本全国休日!
 それなのに来いだとぉ!?」
「そう、言われた。
 ………日本全国休日なのは、日曜。土曜は、違う」
「ああ、そうか……って、何納得してんの!?
 まさか、ミツキは行く気!?」
「……私、断れない」
ああ。そうだ。
A型だったりするから、頼まれたことは断れないのがミツキだ。
「んじゃ、俺も行くしかない、か……
 校門開いてるよな?」
「部活があるから、開いてるよ」
「それもそうか。
 ええと、1時だっけ?
 昼飯食ったら行くぞ。一緒に」
「……うん」


生徒会、か。
何処の中学校にもあるから、当然うちの学校にもある。
うちの学校――市立羽野中学校は、何処にでもある平凡な中学校。
少し坂を上った所に建ち、其処に俺たち羽野中の生徒は平日通っている。
部活に入ってるなら土日もだが、俺は部活と言う物に興味は無い。
それはミツキも同じで、入っていない。

当然、生徒会にも入っていないんだが―――――……


何故呼び出された?
今年度のメンバーは決まってるだろ?
そもそも、人間関係が狭い俺たちが、後推薦なんてある筈がない。


だったら、何故―――――。

4:蘭:2013/03/15(金) 19:55 ID:.uI

翌日。
土曜日午後12時53分。
俺とミツキは校門を抜けた。


羽野中の校舎は、職員室、音楽室、図書室など副教科教室があるA棟。
放送室、教育相談室、ふれあいルームなど他目教室があるB棟。
1−1、2−1など普段使われる教室があるC棟で構成されている。
生徒会室はB棟にあるから、少し歩かなくてはいけない。

「ミツキは土曜に学校来たの、初めて?」
「……うん」
「そっか。だよな」

相変わらず会話が続かない。
まあ、いい。
これが日常。
もう慣れ過ぎてしまった。

やっぱ、ちょっとでいいから面白くなれ。世の中。


「っと、此処か」
少し色褪せた、生徒会室の扉の前。
誰も、ドアノブに手を伸ばさない。
「……開けろよ」
「そう言うんなら、サツキがやって」
「は? 今の都合良すぎだと思う人」
「時間になるよ。早く」
「っ何だよ。俺がこう言うの待ってたんじゃねえよな」
「早く」
ったく、はいはい。

「失礼しまーす……」
ドアをゆっくり開けながら、言う。
ミツキは勿論、無言。

「あら、阿木君?」


そう声を掛けたのは、此処の生徒会長。
岬 梓沙、15歳。
今は3年生だが2年生のときから会長を務めていたらしく、ベテラン中のベテラン。
そんな岬先輩を、慕う人も多い。
ま、俺とミツキには一切関係無いが。

「いらっしゃい。
 阿木さんも、どうぞ。掛けて」
椅子に座れ、ということだろうか。
とりあえず、言われる通りにする。

「貴方たちを呼んだのは、他でも無い、私なの」
「はい。ミツキから、そう聴きました」
「そう。 なら、話は早いわね。
 ついこの前、可笑しな事件を解決した人間を知っているかしら?」

ついこの前?

「―――岬 雄介。
 県警に務め、12年という速さで警視総監まで出世した21世紀の英雄」
ミツキが口を開いた。
「阿木さんはよく知っているわね。
 そう。その通りよ」
「ですが会長、それが羽野中に何の……」
「あら、阿木君気付かなかった?
 彼の苗字は、岬。
 私の名前は?」
「岬………」

口を噤んだ俺を、不思議そうに笑いながら見る会長。

「岬 梓沙。
 先程の英雄、岬 雄介のお嬢さんなんですね」
ミツキが答えた。

5:蘭:2013/03/25(月) 15:52 ID:ycs

「……やっぱそうか」
思ったことを其の儘口に出してしまった。
其れでも、会長は笑うだけ。

「ところで、今日は会長しかいらっしゃらないんですか?」

唐突にミツキが訊く。
明らかに話の流れが違うから、会長も驚く。

「いや、居るわよ。生徒会全メンバーが」
「今はどちらに?」
「今は……ふふふ」

ふふふ?
何故このタイミングで笑う?

「会長?」
「ふふふふ……居るわよ。此の部屋に」


はあ?

「もういい加減出て来たら?」

その台詞を合図に、事務机の下、掃除ロッカーの中、積み重ねられたダンボールの裏から人影が姿を現した。


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