侵食のエンプティ

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1:休日の天使 ◆OYbk:2013/03/25(月) 21:57 ID:ltg

厨二要素ありまくりのファンタジー小説書きます。
駄作な点はスルーしてください。
アドバイス、感想貰えると感謝感激です。

2:休日の天使 ◆OYbk:2013/03/25(月) 22:16 ID:ltg

 それは二年前のことだった。
 活気賑わう大都会だった街は一瞬で何もない荒野と化し、平凡だった片田舎は一瞬でビルが建ち並び、大勢の人々で賑わった。
 しかし、こんな怪奇現象が起きたにも関わらず、それに気づく者はほとんどいなかった。
 多くの人々が当たり前のようにそこにいて、前から住んでいたかのようにそこを歩く。柳崎風牙もその一人だった。
 そしてそんな現象は更に続く――。
 大都会が荒野と化して半年。大陸の形が変わった。
 自然現象でも起きようがないことだった。しかもそれは日本だけではなかった。ヨーロッパからアメリカまで、まだ原型を留めてはいるもののほとんどの地形が変わってしまった。
 そして、やはり多数の人がこれに疑問を抱かなかった。
 しかし、人々がどれだけ気づかなくとも、やはり多少のズレが生じた。記憶にない家、あったはずの物、そこまでいかなくとも、「あれ、この本こんな場所にあったっけ?」というような感覚は少数の人にだが、確かに感じ取れた。
 そして度重なる怪奇現象に、風牙もその感覚を覚えていった。
 この世界が、徐々に、少しずつではあるが、変えられている感覚を――。

3:休日の天使 ◆OYbk:2013/03/25(月) 22:41 ID:ltg

 頭を殴りつけられるような目覚まし時計の音で風牙は目を覚ます。
「……朝、か」
 その場で大きく欠伸をし、そして安堵する。
 世界が変わっていなかったことに。
 風牙は違和感は感じても、つい最近まで世界が変えられている、とは微塵たりとも思っていなかった。
 しかし、最近になってようやくそのことに気づき、どれだけ恐ろしいことが起きていたのかを思い知った。そして、風牙はその日から世界の変化に敏感になった。
 ――今のところ、命に関わるような変化は起こっていない、というのが現状で、それ以上のことは誰にもわからなかった。
 この現象は何なのか、何故起きたのか、これから世界はどうなっていくのか、分からなかった。
 深く考えても分からない、と風牙はベッドから降りる。
「なん……だ? 足に何かが……」
 ゆっくりと、様子を確認してみる。
 まず最初に見えたのは、長い、新緑を感じさせる緑色の髪。
 そして、シルクか何かの真っ白い無地の布が目に入った。息遣いからして、寝ているのだろう。
 風牙は、息を飲み、その人物の顔を覗き込む。
 その少女は、風牙の思っているよりずっと可愛らしい顔つきをしていた。
 肌は白く、整った人形のような顔つき。目を閉じているので分からないが、目を開けると更に可愛さが増すだろう。
 その容姿に目を引かれながらも、風牙は内心驚いていた。
「……なんかこの様子を家族に見られるのもなんだし、起こしてみるか」
 少女の頬を軽く叩き、目を覚まさせる。
 すると、少女の目が軽く開けられるとほぼ同時に少女の腹の音がなった。
「この子、まさか行き倒れ……なのか? なんでこの部屋にいたかは分からんが」
 なんて、油断していたのが間違いだった。
 少女は風牙に気づくと同時に、悲鳴を上げた。

4:休日の天使 ◆OYbk:2013/03/25(月) 23:00 ID:ltg

「お、おいやめろって馬鹿! 他の皆起きるだろうが!」
 慌てながらも小声で風牙は少女を止める。
「だ、だって、いきなり男の人が目の前で深刻そうな顔してたら普通驚くし」
 少女の反応ももっともだった。かといってこれ以上叫ばれて家族が起きるのもなんなので落ち着いて話を進める。風牙も変な誤解はされたくなかった。
「まず一つ訊くけど、君はなんでこの部屋に、しかも俺のベッドの上にいたんだ?」
 そう風牙が訊くと、少女は首を捻って数秒考えて、「分からない」とでも言うように首を振る。
「なんだよそれ。分からないということが分からないんだが」
「だって、本当に分からないんだもん」
 少女は、続ける。
「気がついたらここにいた。一番新しい記憶はお腹が減って、ここら辺の道を歩いてたこと。だから何も知らない、分からないもん」
「……とりあえず、行き倒れってことに間違いはないんだな?」
 少女が頷くと、風牙は自室から出ようとしながら、溜め息混じりにこう言った。
「俺ン家、親起きるのは遅いから飯ぐらいは作れる。予備の握り飯も作っといてやるからそれ持ってもう行け」
 そういうと、風牙はもう一度欠伸をして部屋を出る。一方、少女の方はその言葉に目を輝かせ、早足で風牙の後ろに着いていく。
 変わった世界で何が起きるのかは、二年経っても分からなかった。


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