剣闘士アレス

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1:大工 ◆IIII:2013/03/26(火) 21:29 ID:uDQ

古代ローマ帝国が舞台の、戦う剣闘士の話です。
文才が無い&初心者なのであまり期待しないでください(−_−;)
ゆっくりでも完結したいと思ってます。

感想とかアドバイスくれると嬉しいです( ̄▽ ̄)

2:大工 ◆IIII:2013/03/26(火) 21:31 ID:uDQ

紀元192年12月__


ここは『コロッセオ』
ローマ帝国の偉大な都市ローマに佇む円形闘技場だ。そのアリーナでは、盾と剣を手にした『剣闘士』が大勢の観客に囲まれた中、日々失命の覚悟を決して戦う。
丁度今アリーナ内で2人の剣闘士の試合の決着が着いたところのようである。


小柄な剣闘士、アレスは眼前の巨漢の剣闘士を見据えた。
その大男は盾と剣を投げ出し、深い傷を負った腹部を抑えながら苦しそうに悶えている。そして、その傷から流れているのは多量のドス黒く赤い液体であった。
アレスは込み上げてきた哀れみに近い感情を抑え込むように俯く。
剣闘士同士の試合では具体的な勝ち負けの基準は無い。
しかし、倒れて立ち上がれない1人の剣闘士と、返り血の滴る剣を握ったまま背を向けてその場を去ろうとするもう1人の剣闘士の勝敗は言わずとも明瞭だった。
ただ1つ不明瞭なのは、この男の命の安否__
そんな考えがアレスの頭をよぎる最中にも四方八方を囲む観客席から、

「あの体格差で勝つなんて!」「あんな動き見た事無いよ!」「期待の星だな!」「素顔見てみたいなぁ〜!」

などと観客の驚嘆が聞こえ、アリーナ内に溢れかえるノイズがアレスの耳に嫌でも入ってくる。
背後ではアレスに負けた大男が専属の医者達に助けられて運ばれていく最中だったが、アレスは振り返らず、後ろ髪を引かれる思いでアリーナを後にした。

3:ひな:2013/03/26(火) 21:40 ID:2iI

ちと大工さん、小説大賞のスレきてみてください。
いいこと、あるよぉwww
てwww

4:大工 ◆IIII:2013/03/26(火) 22:33 ID:uDQ

アリーナを出たアレスの足は自然と治療部屋に向かっていた。
アレスの顔は蒼白で、冷たい風が吹き付ける冬だと云うのに額には汗をたっぷりかいている。勿論これは冷や汗だが。

__さっきの男はどうなった、死んでないよな?

試合待ちの剣闘士達やその友人や親族でごった返している控え部屋を、見えない糸に引かれるように駆け抜けていく。
アリーナから出てきたアレスを見て観客と同様に喝采を送る剣闘士達を、アレスは手を振りつつあしらった。

足に自信のあるアレスは直ぐに、控え部屋、長い廊下、一階貴人席の近くを抜けて治療部屋の前に辿り着いた。
すると剣闘士用の鎧と前開きの兜を脱ぎ、『トーガ』という一般ローマ人の普段着である楕円形の布を急いで身に巻きつける。
装備を脱いで露わになったアレスの容姿は、少し癖のある茶髪で年齢は20代前半、端正な顔立ちをしている美青年だった。
他の剣闘士と比べて比較的小柄だが、高い戦闘能力と並外れたスピードを持ち合わせており『夜叉』などと異名がつくほどの凄腕剣闘士でもある。

着替えている途中、先程の男が担架で運ばれているのが見えて、気持ちが更に焦った。
アレスが男の安否を医者に尋ねるために辺りをキョロキョロと捜索していると、白衣に身を包んだ1人の女医が近づいてくる。

たまたま治療部屋を出てきたその医者は、アレスがよく知った顔の女性だった。

5:大工 ◆IIII:2013/03/27(水) 08:20 ID:uDQ

全速力で走った所為で荒げている息を整えながらも、アレスは食いつくようにその女性に訊いた。

「ハァ…ハァ……俺の…対戦相手はどうなった?」
「あ、アレス!さっきの男の人なら無事だよ」

その女性はアレスが言う前から用件を察していたように言った。それを聞いて安堵の息をつくアレス。
そんなアレスを一瞥した女性は、何かに気づいたように白衣の内ポケットをガサゴソと探る。

「寒いでしょ? はい」

女性の手から差し出されたものは温かそうな赤褐色の毛布だ。そしてアレスがその毛布を見た途端、猛ダッシュした所為で忘れていた寒さがアレス襲いかかってきた。

「あぁ……ありがとう、シアン」

アレスはガタガタと産まれたての子羊のように震えながらそれを受け取り、すぐさまトーガの上から巻きつける。
その毛布は寒さを遮断し、ぬくぬくとした暖かさがアレスを包みこんだ。思わず笑顔がこぼれてしまう心地良さだ。
それを見た『シアン』、アレスにそう呼ばれた女性はまだ幼さが残る可愛らしい顔に満面の笑みを浮かべる。

「じゃあ、帰ろっか」
「あぁ」

シアンはアレスの手を引いた。

6:大工 ◆IIII:2013/03/29(金) 00:16 ID:uDQ

コロッセオを出て見えたのはローマの経済と文化の中心となる広場『フォルムロマヌム』だ。
奴隷、貴族、兵士、平民等の雑多な人種が賑わう広大な広場であるここの大通りを、アレスとシアンの2人は歩いていた。

シアンは少し幼く見える所もあるが、相当な美人で腕利きの医者だったものだから、医者としてもローマの一市民としても有名だった。
なのでこうやって一緒に歩いていると他の人の注目を集める。
一方アレスは凄腕の剣闘士としてシアンなど比でもない程に有名だが、試合をする時にアレスの場合は兜を被るので、関係者以外には顔を知られていない。
名声は求めていないし、"とある事情"もあって顔が知られていないのは好都合なのだが、こうもシアンがちやほやされていると多少は名残惜しく思えるのが本音だ。

「それにしても、今日の試合もすごかったよ!普通なら15分位なのに、5分も経たない内にやっつけちゃうなんて!」

少し先で、黒色の肌の奴隷が水の入った桶を重たそうに両腕にぶら下げている。
それを感慨深げに見つめていたアレスは子供のように目をキラキラさせるシアンに気づいていなかった。

「あんなに大柄の相手を……ってアレス、聞いてよ〜!」

シアンは心ここに在らず状態であるアレスの肩を揺する。

「……あ、悪い。聞いてなかった」

ふてくされているシアンにやっと気づいたアレスは、申し訳なさそうに頭を掻いた。

7:& ◆YytI:2013/03/29(金) 16:04 ID:4Xo

面白いです!
続きが楽しみです。

8:大工 ◆IIII:2013/03/29(金) 21:28 ID:uDQ

>>7
ありがとうございます!
期待に応えれるように頑張ります( ̄▽ ̄)

9:大工 ◆IIII:2013/03/29(金) 21:53 ID:uDQ

「何見てたの?」
「いや、何でも無いんだ。早く家に帰ろう」

そう言ったアレス視線の先では、さっきの黒人奴隷がバケツの水を零して、主人に鞭打たれている最中だった。
シアンは気づいていないようだったが、アレスにはその奴隷の姿がとても不憫に思え、見るに耐えない。
それに、そのような光景を目の当たりにしていると、何よりも思い出したくない"アイツ"の顔が思い浮かんでくるのだ。
アレスは耐えきれず目を背けて、不思議がっているシアンの手を引いてその場から逃げるように早足で家に向かった。





アレスとシアンは3部屋だけの狭くて格安の借家で同棲をしていた。
しかし2人は恋人でも夫婦でもない。ただの幼馴染みだ。
そしてアレスは剣闘士、シアンは医者、と双方お金は余裕が持てるほどがっぽり稼いでいるのだが、"とある事情"によってお金の使用を最小限に抑える必要があった。
その諸事情の事についてはまだ割愛しておく。

ただ最初は「部屋が別だからと言って男女の2人暮らしは危険だ」と少々堅苦しい傾向のあるアレスが抵抗を見せていたのだが、シアンの「別にいいじゃん。お金も節約しないといけないだし」という短絡的な考えにねじ伏せられてしまった。
だがその事に対し、シアンにはまた別の意図があるように感じなくもない……とアレスは曖昧かつ小さな疑問を覚えてはいるが。

まぁ、そんな事はさて置き……

「なぁ、話があるんだけど」

アレス切り出そうとすると、シアンは小さく伸びをした後に「何?」と短く尋ねる。
アレスは少し躊躇いを見せながらも口を開いた。

10:大工 ◆IIII:2013/03/31(日) 10:03 ID:uDQ

「来週の闘技会に参加しようと思う。コンモドゥス帝が主催するものだから、賞金も多いだろうし……それでいい結果が出せればそろそろ………」
「"アイツ"との約束の金額に達する、ってこと?」

いつになく真面目な表情でシアンが話を遮って訊いてきたのでアレスは少々驚いたが、黙って頷いた。
シアンは白衣を脱ぎ捨ててトーガ姿になると、床に座り込んで更に質問する。

「でも、その闘技会はコンモドゥス帝が選んだ優秀な剣闘士しか出場できないんでしょう?」
「……厳密に言うと、勝率が70%を越えている剣闘士にだけ出場権が与えられる。俺も今日の勝ち試合のお陰でギリギリ圏内入りだ」

真っ直ぐな瞳で答えるアレスに、シアンは「そう…」と少し躊躇った口調で呟くように言う。

シアンは不安なのだろうか。

試合で致命傷を負って命を落とした剣闘士も少なく無いのは職業柄、シアンもよく知っていた。
しかもあの派手好きのコンモドゥスが主催する闘技会だとすれば引き立て目的で残虐度も上がるだろう。
そうなればアレスがどんなに腕利きであろうと例外では無くなる。

何か言わないと……
何か安心させることを言わないと……

しかし不器用なアレスの口からは、どれだけ言葉を探そうが何も出てこなかった。

11:大工 ◆IIII:2013/04/05(金) 19:32 ID:uDQ

夜のローマの街は静かで人気が少なく、聞こえるとすれば誰かさんの寝息くらいだ。

アレスは家にいるのが気まずくなり、夜のフォルムロマヌムをぶらぶら散歩していた。
アレスはシアンに貰った赤褐色の毛布を2枚重ねて身体に巻きつけているのにも関わらず、冬の夜風はこれでもかという程寒い。
身体の芯まで冷めていくのを感じながら、アレスは感傷に浸っていた。

シアンは何で今更そんなことを心配しているんだ。
剣闘士にとって、常に死は隣り合わせ。それにアレスが剣闘士になったのは、死への恐怖なんかでは到底止めれない理由がある。

「あの〜……そこの貴方?」

メゾ・ソプラノの艶っぽい声が突然背後から聞こえた。
アレスが声の主を確認するべく振り向くと、そこには何処かで見たことのあるような女性が立っていた。

豪勢な装飾が施されたドレス
プラチナ・ブロンドの煌びやかな長髪
透き通るような藍色の目
雪のように白い肌
見るからに端麗な顔立ち

完璧な美女でありながら、やはり何処かで見たことあるその女性は、気品のあるオーラを纏いながらこっちを見つめていた。
兎にも角にもアレスより身分が遥かに上なのは確かなので、差し障り無いように訊き返した。

「……どうかされましたか?」

12:大工 ◆IIII:2013/04/10(水) 23:55 ID:uDQ

女性が前髪をかき上げて言った。

「アレス様ですよね。存じ上げております」

アレスの頬が強張り、警戒体勢に入る。
アレスの顔と名前を一致させれる人物などごく僅かだというのに、この人は何故知っているんだろうか。

「……何故です?」
「私はコンモドゥス様の妾のマルキアと申します。その為、来週の闘技会に参加する剣闘士の方は全員把握しているので」

アレスは納得して「はぁ」と息を漏らす。
どおりで見たことがある筈だ。コンモドゥスの愛妾の方か。
マルキスはさらに質問をしてくる。

「貴方は先月、コンモドゥス様の演説をお聴きなりましたでしょうか?」
「あぁ……はい。『余は次の年を執政官と剣闘士として過ごすだろう』と仰ってましたよね」

アレスは自分で答えながらも笑いを必死で堪えていた。

17代ローマ皇帝、コンモドゥスは仕事を全て側近に一任して自分は遊び呆けるだらしない皇帝でありながら、気に食わない人物が現れた場合は良ければ追放、悪ければ処刑する暴君だ。
そして剣闘士の試合に興味を持っており、遂には自分が剣闘士になってコロッセオで暴れまわるようなトンデモ皇帝である。

そんなコンモドゥスがローマの政治に於いて重要な役割を果たす『執政官』になると宣言すれば、誰でも吹き出してしまいそうになるのは無理もない。

13:大工 ◆IIII:2013/04/14(日) 21:09 ID:uDQ

「はい。それだけではなくコンモドゥス様は今年の大晦日、1つの大きな改新を執り行う所存です」
「それは?」

何の改新だか知らないがコンモドゥスにそんな大層そうな事できるのだろうか、とアレスは首を傾げる。
マルキアは息を呑み、少し間を空けてから答えた。

「……殆どの元老院議員の一斉処刑です。その他にも近衛隊長殿や、妾である私も処刑のリストに記載されておりました」

いつの間にかマルキアの声は微かに震えていて、コンモドゥスへの怒りがはっきりと感じられる。

因みに元老院とは、ローマの共政の中心となる機関のことだ。
過去に元老院はコンモドゥスを暗殺しようとして失敗したことから、コンモドゥスからの風当たりも強くなっているらしい。

アレスは衝撃の事実に何を言えばいいのか困っていたが、すぐにマルキアが続けた。

「そして貴方に声をかけたのは他でもなく、私達が企てるコンモドゥス暗殺に加担して貰いたいと思ったからです。どうか、貴方のお力を貸していただけないでしょうか?」
「お断りします」

アレスは間も開けずピシャリと言い放った。
マルキアはアレスが首を縦に振ると思っていたらしく、「え……」と驚愕のあまり思わず声が出てしまう。

14:大工 ◆IIII:2013/04/23(火) 20:20 ID:uDQ

しかしマルキアの表情はすぐに元通りになり、コホンと咳払いをしてから言った。

「少々語弊があったのかもしれませんね。……剣闘士アレス、皇帝暗殺に力を貸しなさい。これは命令です」
「暗殺で何とかしようという考えならば、コンモドゥス帝と何も変わりませんよ」

アレスは眉を吊り上げて静かに言った。
マルキアはそれを聞いて心底残念そうに溜息をつく。

「そうですか。それならこの計画を無関係者に他言されると困りますので…………残念です」

マルキアがそう言ったと同時に通りの脇に植えてあった木の後ろから2つの影が飛び出した。
よく見るとそれはローマの兵士で、『グラディウス』という剣闘士の試合でも使うことのある真っ直ぐな剣をアレスに向けている。
恐らく、もしもの時を想定して待機していたのだろう。

「……僕は善良かつ何の変哲もない普通な一般市民ですけど」

アレスはマルキアとグラディウスを向けてくる兵士2人を宥めるように言ったが、すぐさまマルキアに反駁される。

「剣闘士というだけでなく貴方は解放奴隷。全然一般じゃありませんね」
「……そんな事までお見通しですか」

アレスが自嘲するかのようにそう言ったとほぼ同時に「やれ」とマルキアが2人の兵士に促した。
すると2人の兵士はグラディウスを振り上げてアレスに襲いかかる。

アレスに武器は無い。それに対し相手はローマ帝国の精鋭2人。
マルキアは完全に勝利を悟っていた。

15:ゆゆ:2013/04/23(火) 20:31 ID:4kg

な、なな、なななんだこの才能と文章力が溢れているry

まっ。まさか貴方は、!?←←←

16:大工 ◆IIII:2013/04/25(木) 20:11 ID:uDQ

>>15
ありがとうございます。そう言って頂けると嬉しいです( ̄▽ ̄)

17:ゆゆ hoge:2013/04/25(木) 22:43 ID:4kg

>>16

あの『もっさん 』のお方でしたかw

18:大工 ◆IIII hoge:2013/04/26(金) 18:46 ID:uDQ

>>17
そっちも見てくれたんですか!?
本当にありがとうございます( ̄▽ ̄)!

19:大工 ◆IIII:2013/04/26(金) 18:47 ID:uDQ

1人の兵士がグラディウスを突き出してくる。
アレスの急所を的確に狙った良い突きだったが、アレスは持ち前の俊敏性を駆使してひらりと横に避けた。
そしてその手首を掴むと、素早く兵士の背後に回して動きを封じる。

「何をしているんですか。相手は丸腰なんですよ」

マルキアは苛立った口調でそう言うが、アレスは先ほどの兵士を盾のように向けていたので2人目の兵士も手を出せなかった。
時を見計らって、アレスは盾に使っていた兵士の後頭部と首の境目辺りにチョップを入れて気絶させると、グラディウスを奪い取る。

そして残るは1人。
対峙している兵士とアレスの2人は、お互いに剣先を相手に向けている。

先に動いたのは兵士の方だった。
大地を蹴ってアレスの懐に飛び込み、掲げていたグラディウスを一気にアレスの肩目掛けて振り下ろす。

しかし、兵士の剣は空を舞っていた。

アレスは兵士の股の間をスライディングで滑り抜けて背後に回っていたのだ。
兵士がアレスの居場所に気づいた時にはもう遅く、アレスは背後から兵士の背中を斬りつけていた。

20:ゆゆ:2013/04/26(金) 19:28 ID:4kg

>>18

ええ、隠れファンですよwwwww

アレス……強っw

21:大工 ◆IIII:2013/04/30(火) 21:10 ID:GvM

「う……っ……!」

兵士は絞り出したような呻き声を上げながら背中を抑えて蹲る。

そしてアレスは地に崩れている兵士2人から、文句ありげな表情を浮かべているマルキアに視線を移す。
しばらく睨み合いが続いたが、やがてマルキアが訝しむような口調でアレスに尋ねた。

「貴方は奴隷から解放されているのに、何故剣闘士なんかをやってるんですか? もし刺激が欲しいというなら、暗殺だって参加した方が貴方の為にもなるというのに」

実はアレスとシアンはかつてローマ帝国の奴隷だったのだが、親族などがお金を必死で集め、2人の言う"あいつ"……もとい主人にアレスとシアンの分の『解放税』を納めて2人を解放させていたのである。

だからこそマルキアの言うことはある程度正しかった。
本来剣闘士には奴隷や囚人など、少し訳ありの人が強制的に就かされる場合が多いからだ。
折角解放されたというのに、なぜアレスはわざわざ剣闘士のような血なまぐさくて危険な仕事を選んだのだろうか。

「…………」
「黙秘ですか?……まぁいいでしょう。とにかく、そこまで嫌だと言うのならくれぐれもこの事を他言しないでください。もし破った場合、頭と胴体がいつまでも繋がってられると思わないでくださいね」

マルキアは不機嫌そうな表情で皮肉たっぷりに脅し文句を吐くと、踵を返して王宮の方に歩き出す。
その時、今度は草陰から十数人の兵士が出てきた。彼らは負傷した2人の兵士を担ぎ上げ、ぞろぞろと彼女に続いて行く。
それを見て、マルキアへの返答次第では彼ら全員を相手取る事になっていたかもしれないとアレスは思った。


そして足早に歩くマルキアの後ろ姿からは、未練たらしさが薄っすらと伝わってきた。


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