軌跡

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1:あああ ◆J.FE:2013/05/11(土) 08:03 ID:B8Y

とりあえずぼちぼちと小説書いていきます

2:あああ ◆J.FE:2013/05/11(土) 08:17 ID:B8Y

あの日、私は恋をした。
太陽が燦々と輝く夏の日。
それは奇妙で歪だったいままでの関係を跡形もなく壊した。
切っ掛けは些細なこと……。
そう。ほんのちょっとのことで関係は変わってしまう。
そもそも、その切っ掛けというのは、彼がくじ付きアイスで当たりを出し、とある女の子にそれを譲ってあげただけ。
私はその時の彼が忘れられなくて、今は休みの日が来るたび、気付かれないように彼を傍で見守っている。
たしかに外見だけで言えば、私と彼は不釣り合いだ。
友達にも彼はやめた方がいいと言われたことはある。
昔は結構かっこよかったのに……。

3:あああ ◆J.FE:2013/05/11(土) 08:33 ID:B8Y

しかし、こないだの日曜日に彼の友人に気付かれてしまった。
「あれ?芹沢さん?こんにちは」
「こんにちは」
私は彼に会釈を返し、その場を立ち去ろうとした。
「こ、こんにちは……」
本命の彼に挨拶されたことで足が動かなくなってしまった。
顔が火照っていくのが耳に伝わるぬるい冷や汗でわかる。
「ええ、こんにちは」
冷静に、冷静に……と心の中で念仏のように唱えたが効果はない。
まるで周りの人に好奇の目で見られているように感じられ、余計に火照る。
しばらく彼らと談笑し、気付かれてしまったので一旦、家に戻ることにしたのだった。

4:あああ ◆J.FE:2013/05/11(土) 08:47 ID:B8Y

家に戻るたびに日記を付ける習慣がある私はその日あったこと、自分の思ったことを書き記した。
昔の面影がある彼はやはり私の王子様であること。
既成事実を作ってしまってしまいたいが、私からではやはりはしたないと思う。
どこかの世界には人目も憚らず、愛の告白をし、さらには親友にまるで既成事実を作っている最中のように電話を掛ける神様も居ると言うのに、ふっきれない、開き直れない自分に嫌気がさす。
彼からであれば私は喜んで身体を預けるのに……。
彼から告白してくれる、もしくは私から告白出来る状況が出来ればいいのにと日記に書き記した。

5:あああ ◆J.FE:2013/05/11(土) 09:03 ID:B8Y

きっかけは些細なこと。
正確には私には些細なこと。
彼は多大な迷惑を被っただろう。
私が彼の友人に気付かれた次の日、教室では私と彼を冷やかす絵が黒板に書かれており、彼は赤面していた。
教室では私と彼をからかう声が飛び交う。
私にはチャンスだった。
彼らの目的が私をからかうことにしても、いつまでもふっきれない自分に嫌気が挿していたのだから。
女生徒の1人から彼が好きなのかと聞かれた。

6:あああ ◆J.FE:2013/05/11(土) 09:09 ID:B8Y

私は好きだと即答した。
「ラブ?ライク?どっち?」
女生徒の口調は興味に溢れている。
「ラブに決まってるけど」
教室がどよめく。
私はからかわれたことにより楽に告白することができた。
いままでのスト―キングが無駄にならなくて良かった。

7:あああ ◆J.FE:2013/05/11(土) 09:35 ID:B8Y

彼を好きになった理由を聞かれた。
彼がとある女の子にあたりと書かれたアイスの棒をあげたのを見たことがきっかけと言った。
「おまえがもらったんじゃねーのかよ!?」
と、ノリのいい男子からツッコミを入れられる。
「うん。そうだけど?」
私は恋に理由はあれど、そのきっかけとなった原因は関係ないを地で行っていた。
彼は赤面していたものの、女性から告白されたことに悪い気はしていないらしく、少し二ヤけていた。
「うわっ、キモ」
周りから引かれるその仕草も私には格好良く見える。
いや、実際には私には素敵な笑顔だった。

8:あああ ◆J.FE:2013/05/11(土) 09:50 ID:B8Y

教室が騒がしくなったので、担任が入ってくる。
担任が黒板に描かれた相合傘の絵に書かれた名前を見て驚いた。
「せ、芹沢!?」
「はい?」
「たしかに恋愛は自由だとは思う。だが、相手は選べ。な?」
「選んだから彼が好きなんです」
私は素でそう言っていた。
担任を含め、彼らは触ってはいけないと思ったようで、彼以外は何事もなかったように放課後まで過ごした。
彼は私に告白されたからか、からかわれたからかはわからないが熱を出し早退したのだった。

9:あああ ◆J.FE:2013/05/13(月) 18:52 ID:B8Y

放課後、私は彼の家にプリントを渡しに行くことになった。
先生に渡された地図を見ながら彼の家を探す。
しばらく探していると彼の苗字が書かれた表札を見つけ、インターホンを押した。
「どなたでしょうか?」
上品そうな声で尋ねられた。
「宮田君と同じクラスの芹沢です。プリントを届けに来ました」
それはどうもと家に招き入れられた。
「え?」
彼のお母さんが私を見て驚いた。
「え、えー!?嘘……、こんな可愛い子があの学校に居たの!?」
可愛いなんて言われると照れちゃう……。

10:あああ ◆J.FE:2013/05/19(日) 19:44 ID:B8Y

「まあまあ、上がっていきなさいな」
彼のお母さんは私を招き入れてくれようとしたのだが、今日は買いだし当番だったことを思い出し、丁重に断った。
この日の夕飯はハンバーグにした。
妹達は喜んで食べてくれた。
次の日、学校に行くと私の体操着が盗まれていたと先生から聞かされた。
私はロッカーに張り紙をする。
【鍵のかかったロッカーから私の体操着を盗んだ人、体操着代3150円払って】
そう書いた張り紙を見た人にいや、そうじゃないだろとツッコミを入れられた。
「あの……、芹沢さん。あなたは男の人にあなたの体操着の匂いを嗅がれたり、変な妄想されても恥ずかしくないの?」
と、クラスの女生徒から耳打ちされた。
「妄想ぐらいは自由じゃない?まあ、体操着を盗まれたのは実害があったから困るけど」
私はそう耳打ちで返した。


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