Reancarnation

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1:兎鎖 ◆Me/A:2013/05/24(金) 07:51 ID:ez-V0M

オリジナルで小説を書かせて頂こうと思います!

初心者で他にも小説を書いているので更新スピードはバラバラになると思いますが…
感想等、荒らし以外は書き込み自由になります!

2:兎鎖 ◆Me/A:2013/05/24(金) 08:08 ID:ez-mU6



―…きっと俺達はまた、時を駆けてでも恋をする。

ねぇ、忘れないで私は…



確かに貴方を愛してた。



―…魔界、人間界の死んだ者が送られる2つの世界の内1つの世界。

そんな世界を統べる魔王であるアルスは嘆いていた。
王たる者が座るべき玉座、その前には1人の物が使うには大きすぎるであろうテーブルが置かれている。
問題は其処ではない。その上だ。
大きすぎるテーブルが見えなくなる程に上へと敷き詰められているのは

大量の書類、書類、書類……


「だァアアアアア!!つまらん!心っっ底つまらん!」


遂に魔王は叫んだ。魔界のど真ん中で。

3:兎鎖 ◆Me/A:2013/05/24(金) 20:36 ID:ez-2ww

「うっさいですよ、魔王様」

隣で立ちアルスがしっかりと仕事をしているか監視していた側近悪魔の男、
ルニードが吊り上がった赤い瞳でアルスを睨みつけてくる。
本当にこの男は目つきが悪い。
赤く輝く髪や細い腰は女と間違え、綺麗と形容してもおかしくないのだが…
問題はその捻り曲がってぐしゃぐしゃにひしゃげた魔王もびっくりトンデモ性格と目つきだ。
今現在も部下であり側近なのかと問いかけたくなる程に侮蔑の眼差しで忠告するルニード。

「だって我書類整理とか面倒くさい事したくない」

「我とか魔王っぽい一人称使えば逃げられると思ってんじゃねェぞ」

4:& ◆cbeI:2013/05/24(金) 21:40 ID:Gcc

読んでますよー

5:兎鎖 ◆Me/A:2013/05/25(土) 03:54 ID:ez-Ico

>>4
ありがとうございます!

----------

間髪入れずにルニードが突っかかって来た。そりゃそうだろう。
アルス近くにある書類に書いてあるのは近々死ぬ予定の人間界の者達だ。
この中から罪人や罪を犯した人間等、悪魔に転生するべき人間を選定するのが魔王の仕事の1つ。
ぶっちゃけコレを片づけてくれなければ、天界の神に頭を下げて間に合うように仕事を請け負って貰うか
あるいは人間界で何に転生すれば良いのか分からない幽霊がふよふよ留まることになってしまう。
それは転生したがらない程未練を持っていたり、やむ終えなく間に合わなかった者が暫く浮遊霊かするのは時たまある。
だから時折は仕方ない"時折は"

だが、今魔王が手を着けたのは数人が良い所。このままじゃ神に頼まなければ人間界が幽霊パラダイスだ。
あっちもこっちも幽霊が溜まって迎えにいく天使達が残業覚悟の大捕り物とか前例無いことになる。

6:兎鎖 ◆Me/A:2013/05/25(土) 04:01 ID:ez-mMU

例え天使1人と言えど残業代は馬鹿にならないとか。
それを魔王が仕事をしなかった連帯責任で魔界で働いている者達の減給にでも繋がったソレはあれだ。
幽霊パラダイスの次は魔王に対する殺意パラダイス。
血の海に沈みながら殺意から逃げるために下々に土下座する魔王とか洒落にならないのだ。かなり面白いが。
だからこそルニードは金髪碧眼なんて言うふざけた爽やかさを持つ魔王を睨みつける。殺意パラダイスはどうでも良いが減給は死んでも…いや輪廻転生しても嫌だ。
「だっておかしくないかい?何だよこの死ぬ人間の量!人間界は自殺のバーゲンセールでもしてんのか!?俺1人で片づくわけ無いだろうが!」

7:兎鎖 ◆Me/A:2013/05/25(土) 04:27 ID:ez-Uq6

書類の束を景気良く床へと投げつけ降参しましたと言うように両手を上げてアルスが要は働きたくないと声を上げる。
この人…いや、この魔王は転生する前はニートかなんかだったんじゃないだろうか…。
上司に相手に思ってはいけないだろうと言うような事をギリギリ内心に留めつつ、
侮蔑…まるでゴミ置き場に居た生ゴミでも踏みつけてしまったような目つきでアルスを見下ろす。
仕方ないだろう今のルニードにはアルスの下に
"働いたら負け"
と言うテロップが見えている上に元々捻り曲がった性格の持ち主。
そう言う目つきや人を軽蔑するような行動に関しては神がかっている。
まさに外道(あくま)だ。
「仕方ないでしょう、魔王様(ニート)が働かないから仕事が溜まったんですよ」

「オイ、ルビの付け方間違ってるよオイ!魔王様と書いてニートと読むなこの野郎!」

8:兎鎖 ◆Me/A:2013/05/25(土) 14:57 ID:ez-Uq6

理不尽なまでに冷たいルニードの声にアルスが声を荒げる。
実際は仕事をしない為の自業自得とも言える状況だが、そんな事魔王には関係無い。何とも面倒臭い性格である。

「ねェ…ルニード君?」

「………」

たまらず溜め息を吐きながらアルスが幾分か落ち着いた声量で声をかけるが、ルニードは返答しない。
目の前の書類に目を通して、アルスの方には見向きもしない。先ほどの生ゴミを見る目を向けていたのが嘘のように。
だが魔王はめげない。

「ルニードくーん?」

「………」

「ルニード!!」

「………」

アルスがルニードが仕事をしている隣で喚き立てていると言う客観的に見ればおかしな状況と化している。

9:兎鎖 ◆Me/A:2013/05/25(土) 23:08 ID:ez-V0M

「ルニードー!!」

「…え…あぁ…魔王様」

更に声を上げればルニードがやっと顔を上げた、顔は今気づいたみたいな表情をしているが
口調が完全に棒読みだ、感情を籠めるとか内心を隠す気などルニードには無いらしい。
わかりきった事だが、一応アルスは問いかける。

「何?聞こえてなかったの?今まで」

「聞こえていたけど、相手にする必要性がみつからなかったので」

「それ単なる無視じゃねーかよォオオオ!!」

予想以上の酷い言葉にアルスが頭を掻き毟りながら立ち上がり奇声を上げる。
仮にも魔王の側近がゴミ虫みたいな目で上司をみたあげく無視。

10:兎鎖 ◆Me/A:2013/05/26(日) 04:43 ID:ez-Qsw

本当に側近なのかと何度目か分からない疑問を浮かべるが、側近なのだから仕方ない。

「なに、叫んでんだか…」

…ルニードは鼻で笑った、明らかに馬鹿にしている。
確かにルニードの方が100歳程年上なのだがあまりにも酷すぎる
当事者が他人事のように言うものだから苛立ちが最高潮に上っていきテーブルに自らの額を叩きつけてはルニードを指差す。

「オメーが叫ばせてんだろうか!もう良いよ…逆に仕事進まないから出てってくれよ」

半ば鬱と化したアルスが机に突っ伏してルニードに命令と言う名の懇願をする。

11:兎鎖 ◆Me/A:2013/05/26(日) 17:25 ID:ez-CA2

するとルニードは何の反論もせずに早々と部屋から出て行ってしまった。
どうやら休憩したいが為に嫌がらせをして部屋から出ようとしていたらしい。
だが、これでアルスも解放されたので特に何も言わないし引き留めるなんて馬鹿な事はしない。
したらルニードに殺されるか血祭りだ。まだ魔王死にたくないし転生もしたくない。
書類整理なんてやる気が微塵も無いアルスは何処に行けば居なくなっても暫くは部下悪魔に見つからずに済むだろうと思案する。

「魔界と人間界の間…」

魔界から出れば見つからないかもしれないと安易な考えで思いついた場所を呟く。

12:兎鎖 ◆Me/A:2013/05/28(火) 01:49 ID:ez-3xk

それは、天使でも悪魔でも無い者が集まる場所。
つまりは、罪を犯した天使…堕天使達を収容する牢獄がある。
その空間は魔界の外と言っても魔界の隅のような場所にあり、其処を抜けてしまえば人間界だ。
特に何もない殺風景な場所ではあるが、何よりアルスは堕天使に興味があった。
牢獄管理は一部の天使と上級悪魔のみの管轄で、魔王であるアルスにはつまらない事に一切回って来ない仕事だったからだ。

「んー…気になるなら行くのが一番だよな!」

思い立ったら即行動、そんな思考を持ったアルスは瞬間移動の魔術を発動させて飛んで行ってしまう。
勿論、溜まった仕事は投げ捨てて。

13:兎鎖 ◆Me/A:2013/05/28(火) 19:43 ID:ez-mMU

魔界の隅の隅―…空は青黒く地は干からびた気味の悪い紫色をした人間界への入り口、空間転送魔法陣が用意されている少し手前の部分。
背後には森があり、その森を抜ければアルスがよく知る悪魔達で賑やかな魔界がある。
だが、賑やかな其処と違い此処は異常に静かで殺風景だ。
それは咎人を収容している牢獄があるのと管理する者が居ても監視する者は居ないという理由が強い。

「…たしか…此処に堕天使が居るんだよな?」

興味から瞳を光らせ地下へと繋がる扉を発見し、階段で下へ下へと降りていく。

14:兎鎖 ◆Me/A:2013/05/30(木) 01:10 ID:ez-dyc

階段を降りていけば天井や壁、床の全てが灰色の冷たいコンクリートに包まれた細い通路に出た。
窓は1つも無いのに何故か明るく、その代わりに酷く雰囲気は暗い。

「…静かだな?」

扉は幾つかありその中に堕天使がいれ筈なのに辺りはアルスの革靴が床を蹴る音しか響かない。
通路は2人がやっと横に並んで歩けそうな程狭く、所々扉ががあるだけなので酷く息苦しい。
でも何故かそれらの扉には興味を示せず、アルスが気になって居るのは通路の一番奥にある扉だけだった。

15:兎鎖 ◆Me/A:2013/05/30(木) 05:01 ID:ez-Uq6

何故だかはアルス自身にも分からない、でも不思議と体は奥の扉へと吸い寄せられた。
まるで其処へ行くのが当たり前みたいに。
重そうな扉は鍵もなにも掛かってはおらず、ゆっくりと開けば中には

天使が、居た。

「………え……」

堕天使ではない、羽が真っ白な天使だ。
変わらず一面コンクリートの部屋は少しのスペースを開けて鉄格子が隔てられていた。
広い部屋、だが数歩で鉄格子が遮りそれ以上天使には近づけない。
真っ黒なもがれた羽と真っ黒髪。アルスが知って居るのはそんな堕天使だ。
だが目の前の…恐らく少女はアルスと同じプラチナブロンドの髪を持ち、白い羽にはもがれた形跡など無かった。

16:兎鎖 ◆Me/A:2013/05/30(木) 05:09 ID:ez-mU6


「…あなた、だあれ?」

不意に少女が口を開いた。
とても聞き取りやすそうな声量ではない小さな声。
しかし、それは何時か神に見せられた聖水のように滑らかに一切の違和感もなくそれでも確かにアルスの鼓膜を震わせた。

「…あ…アルス、…アルス=パーファシー」

気づけばアルスは口を開いていた。瞳は目の前の少女から離せず。
それは、魅せられた。たった1人のちっぽけな天使に魔界を統べる魔王は完全に魅せられていた。

「…そう…私はイニーニャって言うのよ」

少女が氷のような薄い青の瞳を細めて、笑った。

17:兎鎖 ◆Me/A:2013/05/30(木) 07:43 ID:ez-3xk

「イニーニャ…」

「うん、私はイニーニャ=エイブラムって言うの。…ねぇ、アルスはどうして此処に居るの?」

きょとり、とイニーニャがアルスを真っ直ぐに見つめながら小さく首を傾げた。
だが、問いたいのはアルスの方だ。
何故堕天していない事を示す純白の羽をもった只の天使が牢の中に居るのか。
罪を犯せば天使は堕天する。羽はもげて黒ずみ飛べず、綺麗な髪や瞳は漆黒に染まる。
それが当たり前で純白の少女は堕天していないと言うことになってしまう。
堕天していない天使を牢に閉じこめるなんてそれは異例。
だが、魔王も知らぬ異例の天使は確かに存在しているのだ。

18:兎鎖 ◆Me/A:2013/06/06(木) 18:50 ID:ez-xP.

「堕天使を見に来たんだ…でも…君は堕天使なのかい?」

2人の間を遮っている鉄格子に触れ、近寄りながらアルスが問いかける。
感覚の狭い鉄格子には手を差し入れる程の余裕も無い。

「…そう、…私は咎人なの。だから私は此処からでれないのよ」
何故か微笑を浮かべてイニーニャが答える。
綺麗な水色の瞳は何処か曇って目の前の物を写さず、反射しているだけのようにも見えた。ビー玉のように。


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