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1:素人:2013/05/30(木) 17:53 ID:axo

短編です。
もう書き上がっているので、コピペで載せます。

2:素人:2013/05/30(木) 17:55 ID:axo

 雨の降る街では、雨がいろいろなものを叩いて、ゆううつな気分をもたらす音楽
を奏でている。そのハーモニーをはねのけるかのように、車は水たまりの水を、轟音
とともにまき散らし、人々はキュッキュと足音を鳴らしていた。

3:素人:2013/05/30(木) 17:56 ID:axo

 普通ならパラパラという音が頭の上から聞こえているところだが、周りが当たり
前のように傘をさして歩く中、僕は傘をさしていなかったので、雨の奏でる楽器の
一部となって、ひどく髪を顔面にへばつかせ、コートもズボンも、靴も体も何もか
もぬらして、僕自身からも雨が降っているかのように水をしたたらせて、星のない
目をしながら、歩いていた。

4:素人:2013/05/30(木) 17:58 ID:axo

 雨に打たれて、ひどく心は惨めだった。雨が降ってなくとも同じだろうが、天気
が追い討ちをかけているのは明らかだった。自分の足元しか見ていなかったが、頭
の中はそれどころではなくて、足元を見ていたというのも、ただ目がそこに向いて
いるだけであった。

5:素人:2013/05/30(木) 17:59 ID:axo

 からっぽに近い状態だった僕の中に、感情のようなものが戻りかけ、鼻の奥が痛
もうとしたその瞬間、スピードを出した車が僕の右を通り抜け、みずみずしい音を
立て、その音と一緒に跳ね上がった元演奏者達は、僕に飛びかかって、乱暴なファ
ンファーレを鳴らした。

6:素人:2013/05/30(木) 18:00 ID:axo

 その瞬間、無意識に僕は歩くのをやめた。先程甦りかけた感情が溢れ出て、行き
場を失った。よろよろと歩き出すと、頬をしたって流れる水滴に混じって、一滴の
涙が流れた。それでも、無表情で星のない目をした表情は、変わることがなかった。
ただ、心の海は波立っていた。

7:素人:2013/05/30(木) 18:01 ID:axo

 数分歩いたところで波は静まったものの、歩く早さは、ゆっくりとしか歩けな
かったさっきよりも遅くなり、もはや僕はカタツムリだった。そして、傘をさした
自転車のハンドルに手首と背中をうしろから殴られ、カタツムリは倒れ込んでしま
った。

8:素人:2013/05/30(木) 18:02 ID:axo

 それにより、今まで押さえ込まれた体の無気力が吹き出て、僕は横たわってし
まった。お互いにぐっしょりとして、生気を失いかけていた僕は、このまま歩道と
一体になるような、そんな気がした。

9:素人:2013/05/30(木) 18:02 ID:axo

 そうして、立ち上がるのを十数秒見合わせた僕は、重たい体と心を持ち上げて、
二本の足が完全に体を支えたときに、少し水滴を振り撒いて、自分のものではない
ような体を、またゆっくりと前へ進めた。そして、雨降りのもやの中に、僕は消え
て行った…。

10:素人:2013/05/30(木) 18:05 ID:axo

 おそらく、雨に打たれた僕の心は、この後も乾かないだろう。
 彼女のような女性はもう二度と、僕の目の前には現われないだろうと、自然にそ
う思っていたからである。
 19歳の、とある初春のひとときであった──

11:雨宿り:2013/05/30(木) 18:08 ID:axo

書き上げたのは中学の頃以来です。
はじめは漫画にしようかと思ったこの作品ですが、
全く書けなくて、小説にしました。

駄作でしたが、ここまで見て下さった方、本当に
ありがとうございました。


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