枯れない涙

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1:奈津子:2013/05/30(木) 18:00 ID:Iho





「泣かないで。
 可愛い顔が台無しでしょ?」




先輩はやさしい。



でも、だからこそ

胸は張り裂けるかのように痛い。



それでも、とめられない。
それでも、おさえきれない。



一生に一度の、甘い恋
一生に一度の、切ない愛

2:奈津子:2013/05/30(木) 18:06 ID:Iho


第一章 先輩と出会い





一生に一度の、甘い恋をしたい。



中学生の頃、一度はそう思った。


けれど、苦しい現実に耐えられなかった私は、
その思いを切り捨てることにしたの。



甘ったるい気持ちも、
悲しい気持ちも、


もう少したりとも味わいたくはない。



私は誰よりも冷めていて、
誰よりも周りのことに関心を持たなくなってしまった。




つらくなんてない。




前から、思ってたの。

一人の方が、ずっと気楽だって。

3:奈津子:2013/05/30(木) 18:14 ID:Iho




私、如月めぐ。



肩まであるストレートの黒髪に、
チェックのリボンと紺色のブレザー。

左胸には、私の通う高校のしるしの、マーク。

スカートは周りの子よりも長め。
容姿は至って普通の女子高生だ。




けど、




中身はその辺の青春しまくりの子達とは全然違う。


何のことにも興味を示さない、
冷たくて可愛げのない、友情も恋愛も必要不可の女子高生。

ちなみに、一年。




最初から、生まれたときからこんな子だったわけではなくて。



問題は、過去。

恋愛と友情を、頑なに拒む理由は中学校生活にある。

4:奈津子:2013/05/30(木) 18:23 ID:Iho




思い出したくもない、過去。



つらくて、毎日涙をこぼして、学校へ通うのを頑なに拒んだ。


心はすでに崩壊していて、
中身はぼろぼろに欠け落ちている。



つらくても、悲しくても、誰にも相談できない。



孤独が運命だというなら、
最初から人とかかわりを持たなければいい。




そう思った私は、教室で一人、座っているだけ。




当然、こんなとこにいたいはずもない。


けれど、居場所はない。




屋上は立ち入り禁止。

空き教室にも、鍵がかかっている。

トイレなんか大人数の女子が身だしなみを整えるために使っているし、
他の教室にも先輩方がいそうだから行けない。



外だって、そう。



六月だけあって最近ずっと雨、
校庭も裏庭もじめじめしてるし、水滴もたくさん。




私には、どこにも居場所がない。




そう、いつも思い知らされる。

5:奈津子:2013/05/30(木) 18:39 ID:Iho




それでも平気でいられるのは、
もう二度と信じないと強く決心したからかもしれない。




私は騒がしい教室内の隅っこで、ほっと息を吐いた。
頬杖をつき、あくびをかみ締めて。

これがため息なのかは、自分でもよく分からない。

けれど、今日も変わらず騒がしさに呆れを感じる自分がいる、
ということはよく分かっていた。




そのとき、たまたま教室のちょうど真ん中辺りにいた
そのグループのリーダーらしき人と、私の視線が交わった。


周りには、うるさい男子もいる。


その人があまりに私を凝視するものだから、
周りの子達も「どうしたの?」と同じく私を見る。



寄せ集められた視線に、私は大きくため息をついた。




また、始まる。





「あの子、いっつも一人だよね」





最初に口を開いたのは、最初に私を見ていたグループのリーダー。

名前は分からない。
というか、このクラスのほとんどの人の名前は覚えてない。



かかわらないし、覚えるのも無駄だから。



そのリーダらしき女子の一言に爆笑している他の子たちを、
私は一度横目で見てからすぐにそらした。



いつものことだった。



あのグループは、
私含め地味で目立たない人を見ては悪口大会。



なんて、つまらない人たちなんだろう。

6:奈津子:2013/05/30(木) 20:24 ID:Iho




しばらくたって、一向に反応を示さない私に痺れを切らしたのか、
一人の女子が立ちはだかる。



ロングの髪の毛は、茶色に近い黒。
スタイルは抜群、メイクはばっちり。

スカートは膝よりも少し上。
しゃがみこめば、下着が見えそうなくらいの短さ。



教師に何度叱られようが動じない、
えらそうで自己中心的なこの女子は、いつも私に絡んでくる。



グループのリーダー。



正真正銘、私を凝視していた人。




「如月さん、いつも一人でさびしそうだけど、
 あたしたちのグループに来ない?」





その女子は、腰に手を当て仁王立ちした状態で、
ただ座っているだけの私を上から見下ろす。


口元には微かに笑みを浮かべて、
楽しさをさらけ出しているようにも見える。


他のグループの人の反応からして、この言葉は嘘。
グループに入れる気なんて、米粒ほどないはず。


ニヤニヤ笑って遠くから見つめる数人の男女に、
私の前に立ちはだかる一人の女子。



そして私。



こんなことをして、何が楽しいのか、
生涯私は絶対に理解することはできないだろうな。




めんどくささしか出で来ない私は、
わざと聞こえるように大きくため息をついてから、無視を続けた。

7:奈津子:2013/05/30(木) 20:27 ID:Iho

最後から二行目の文に訂正があります。

出で来ないではなく、出てこない、です。
失礼しました。

8:奈津子:2013/05/31(金) 14:26 ID:Iho




成り立たない会話。

それでも、グループのみんなは笑っている。

まるで汚いようなものを見る目で、
一人ぼっちの私をあざ笑うかのようにケラケラ笑いながら、見下ろす。



次第に集まる、クラスの人の視線。

めんどくさいことが起こりそうな予感がした時には、
すでに遅かったと言ってもいいはずだ。





「いい加減にしてよ」





キレた。今まで私をバカにしてきた張本人、グループのリーダーが。

ずいっとその人は、私に身を寄せる。
目の前には、だらしなく開いたシャツのボタンと真っ白な肌。


嫌でも目に入る。


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