微炭酸

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1:大和 ◆D5w2:2013/06/06(木) 21:27 ID:/qE

微炭酸。

普通に飲むと若干の炭酸があってそれほど美味しくないですよね。
僕もあまり好きではありません。

さて、「秘密警察特殊部隊」「special秘密警察特殊部隊」「それは死に至る病」(非表示)
などを書いている大和と言います。
上記作品に関しましてはこちらを↓
「秘密警察特殊部隊」
http://ha10.net/novel/1318412500.html
「special秘密警察特殊部隊」
http://ha10.net/novel/1334568947.html

感想やアドバイスなどはとても喜びます〜
ぜひ見て行ってください。

基本交流掲示板に生息しているので、
気軽にみなさんとお話できれば幸いです。

また、ここでの雑談は原則として禁止させていただきます。
多少なら大丈夫です。

では微炭酸、一度飲んでみてください。

2:大和:2013/06/06(木) 22:45 ID:/qE

最初は別に、好きであったわけでもないし、
だからと言って嫌いでもなかった。
つまり君に興味がなかった。



4月、小学校から世界が違う中学校へと入学した少女。
部活や友達も増え、中学校生活は楽しいものになっていた。
そんな中学校生活も大分たったころ。

「うっへー、あっつ」
「あたりまえだろ、夏なんだからさー」

そういいながら宮村琴葉(ミヤムラコトハ)は自分のジャージをあおいでいる。
その目の前では窓を開けている今田玲(イマダレイ)がいた。
昼過ぎの教室は20度を越えている。
それこそ蝉はなかなかったが夏の匂いはもうすぐそこまできていた……
そんな中での土日の部活はすでに日常となった今日の土曜日。
二人は吹奏楽部に入部し、日々の練習に励んでいる。
教室には蒸し暑さがありなんともこの時期らしい。
すると外から上手ではないが真っ直ぐな音が響く。
開け放たれた窓から玲がベランダを見やる

「あ、ハルだ」
「ん、なに?玲なんか言った?」

琴葉も窓から顔を出す。
楽器を持ちながら大泉遙(オオイズミハルカ)はこちらに向かって歩いてきた。
暑い夏の始め。
遙の笑顔は輝いた。

3:大和:2013/06/08(土) 22:58 ID:/qE

「どうしたの、二人とも」
「ハルってホント楽器上手だよな〜」
「楽器も上手で頭もいい……ハルはなんでもできるね」
「いやいや、二人とも買いかぶりすぎ」

窓から顔を覗かせていた玲と琴葉の褒め言葉に遙は、
黙って首を振りながらそれを否定した。
他の教室の開いた窓から様々な楽器の音が耳を楽しませる。
そうするとハルは二人が顔を覗かせている窓に背を預けて二人の会話に混ざった。
遙がチラリと時計を見るとすでに短い針は12近くを指していた。

「もうお昼だよ、そろそろ食べる?」
「うん、俺はもうお腹すいたから食べる〜」

遙の問いかけに玲は嬉しそうな顔で答えると、
楽器を置いて教室を後にした。
残された二人はというと、そこに残ったまま玲の行った方向を見つめては、
遙と琴葉はクスクスと笑いあう。
太陽はほぼ真上にあり二人をまぶしく照らし出す。

「じゃ、俺達も行こっか」
「そうだね、私もお腹すいたしねー」

そう言って二人もまた玲のあとを追いかけるようにしてお昼を食べることにした。

4:大和:2013/06/11(火) 22:43 ID:/qE

月曜日。
琴葉はいつもどおりみんなが学校に来るはずのない早い時間帯に来ていた。
なぜ早い時間に来るかといえば琴葉の親が早い出勤だからだ。
琴葉はいつも早く来てはただ一人だれもいないフロアで、
誰も居ない教室で一人勉強をしたり本を読んだり……
それは琴葉にとって唯一学校の始まりとして好きにできる時間で、
一人だからといって寂しいとはあまり感じることはなかった。
そして今日も一人。
教室の机で絵を描いていると琴葉の前方から声が飛ぶ。

「あ……はよ」
「……あ、ハル、おはよう」
「なにその今気づきましたよっていうような反応は」
「え!?だって今来たんじゃないの?」
「違うよ、
 少し前に来て今琴葉がなにやってんのかな、って見てた」
「ほんとに!?……ごめん、まったく気づかなかった……」
「えー、ひどいなぁ」

教室のドアからひょっこりと出てくるハルに、
琴葉は思わず拍子抜けした声を出してしまう。
動かしていた手を止め、ドアに寄りかかっているハルと話していると、
懐かしくもある泣き声が響く。
蝉だ。
遙は「失礼します」と軽く言って教室に入ってくると、
手早く窓を開けては蝉の「音」を楽しむ。
それにつられて琴葉もついその音にのられてしまった。

5:大和:2013/06/12(水) 22:41 ID:/qE

「もう蝉鳴いてるよ、そろそろ暑くなってきたしね。
 それよりさ、琴葉なにやってたの?」

そう言っては遙は琴葉に向かって窓際から歩いてくる。
だんだんと近づいてくると、琴葉の後ろに立ち、
腰をかかげて琴葉の書いてた絵を見る。
琴葉はあまりの近さに同様を隠せずにいた。
なにせ自分が振り向いてしまえばもうすぐそこに遙の顔があるのだから。
少し高鳴る鼓動を落ち着かせつつも、
琴葉は内心でこの状況をどうしようと焦ってばかり。
そんな焦りと恥ずかしさの中で遙はなにを察したのか、
そのまま手を伸ばしては琴葉のシャープペンを取り、紙になにやら文字を書いていく。
夏の朝は明るく、しかし明るすぎずで二人の教室をよく照らす。

「えっ、ハルなにしてーー」
「ていうか琴葉って絵うまいよね」
「そんなことないよ……!」
「ううん。すごい上手」

遙が紙から手を離すと、そこには『100点満点中100点!」
そう書かれてあり、隣にはかわいらしくはなまるもついている。
そんな文字に琴葉はついハルらしいな、と微笑みをこぼした
後ろでは遙も少しおかしそうに笑っている……
すると誰も居ないはずの廊下から足音がするのが聞こえた。

6:若宮鈴音 ◆RCWE:2013/06/12(水) 22:43 ID:ez-dcU

描写、お上手ですね^ ^
頑張ってください。

7:乃愛:2013/06/13(木) 08:06 ID:T4A

題名に惹かれて来たらめっちゃ上手い作品(><)
めっちゃ描写上手い…憧れます。

8:大和:2013/06/13(木) 20:20 ID:/qE

乃愛さん、鈴音さん、ありがとうございます〜
こんなにも早く感想がくるとは思わなくて驚きです。
今回の作品は恋愛一本を目指していますので、
少々描写には自身がなかったのですが、
褒めていただいて一安心することができました!
今回は読んでいただき本当にありがとうございます!

9:千尋:2013/06/13(木) 21:35 ID:s26

ふむふむ。
流石。
何も言えませんよ……
こんな小説読まされちゃ……

熱烈読者です!

10:大和:2013/06/13(木) 22:22 ID:/qE

おお!
千尋さんもありがとうございます!
こちらもよろしくお願いします〜

11:大和:2013/06/13(木) 22:51 ID:/qE

その足音に琴葉よりも敏感に反応したのは遙だった。
足音が聞こえると遙は琴葉の後ろから一歩下がっては距離を置く。
しかしその音がどこかの教室に入っていくのを聞き届けると、
遙は安心しきったかのようにゆっくりと息を吐いた。

「びっくりしたね……
 こんな時間に学校来るの俺と琴葉だけだと思ってたから……」
「うん、私は自分だけだと思ってたけど……」
「まぁいっか。
 どっちにしろこっちには来ないんじゃないかな」
「なんで?」
「だって俺が見たところ今きた人は1組に入っていったし。
 ここは6組だからよほど耳がよくないと、
 俺達の会話も聞こえないでしょ」
「そういうことか〜」

遙が言ったことに琴葉は納得すると、
琴葉は後ろを振り返り遙を見ては自分の隣の席のイスをひく。
琴葉自身、遙と二人でいるところを他の誰かに見られてしまえば、
変な噂がでてしまうことはおおかた予想はついていた。
だからこそ琴葉も遙も焦った。
二人とも「男友達」「女友達」であったため、
もしも噂などが出てしまえば二人が気まづくなることも考えられる。
琴葉がイスをひくと遙は不思議そうな表情をして琴葉を見つめた。

「座る?いらない?」
「あぁ……座る、座る」

そういうと遙は琴葉の隣の席へと座った。
琴葉と遙はクラスが違ってそれこそ話す機会は部活程度であって、
どちらかというと琴葉は玲と話すことが多くあった。
玲もまた同じクラスでこそなかったが、部活で話す機会としては玲のほうが多かった。
それでも玲と遙と琴葉は三人で集まっては三人で曲を下手ながら吹いたり、
くだらなくも楽しいことをしていつも一緒にいたのだ。
いつも、一緒に。
中学校生活始めての夏は三人でいることしかほぼなかった。

12:大和:2013/06/14(金) 21:35 ID:/qE

しかし、それはとある猛暑日の日だった。
琴葉たち三人が入った吹奏楽部の大会も近くまで来ていたとき、
授業が終わって放課後部活に行くと、
音楽室には部長ただ一人が待っていましたと言わんばかりの顔でいた。
一年生達はなにがおこるかわからないでいると、
部長は「今から大事な発表がある」と言って一年生全員を音楽室へと呼び出した。
音楽室に全員が揃うと、部長は一枚の紙をくしゃくしゃになりながらもポケットから取り出す。
そして緊張の一線が引かれた。

「今から、大会選抜メンバーを発表します」

そう部長は言うと大きく息を吸い、はっきりとした声で名前を読み上げていった。

「……ーー櫛田朋絵、大山百合、三橋沙良……」

次々と呼ばれていく一年生の名前にまだ琴葉と玲、遙の名前は呼ばれはしない。
今までといってもそれほどまだ月日はたってないががんばってきた成果が、
ここで分かれ道を作ることでもあった。
誰がどれほどの努力を積み上げたか……
琴葉は自分への期待と不安でいっぱいいっぱいで、
名前を呼ばれた一年生に拍手を送ることもできずに部長が言う名前ばかりに神経がまわっていた。

「安藤南、大泉遙、城戸戒……以上、6人」

部長の発する声の中に玲と琴葉の名前はない。
琴葉はその事実に絶望にでも落とされたかのようだった。

13:大和:2013/06/18(火) 22:31 ID:/qE

うつむいてばかりでは泣いていると思われてしまうと気がついた琴葉は、
取り繕った笑顔で顔を上げる。

ーーすると、ちょうどこちらを見た遙と視線がぶつかった。
琴葉はたまたま目があってしまっただけだと思い、
視線をそらそうとするが遙の瞳はしっかりと琴葉をとらえたまま、
離そうとしない。
そんな威圧感に琴葉は吸い込まれるかのように遙を見つめていたが、
やがてまた先程の涙がこみ上げてくると、
今度こそは止められないと振り返ってはその場から走って逃げた。

走っているとき、琴葉は後ろを振り返ることが怖くてできなかった。
琴葉は中学生になってからこれが始めて泣いたことになる。
自分自身なぜ泣いているのかはよくわからずにいる琴葉だが、
ひとつだけ感じたのは、
遙の瞳をまっすぐに見れない、それだけだった。
それをトイレで一人篭って泣いているときに感じたのだ。

放課後の部活のこの夏の夕方。
陽はすでに暮れては薄暗さだけが視界の一面を覆う。
ちらほらと教室には電気の光があった。
しかしその薄暗さは琴葉の気持ちのように静まり返ってもいた。

「琴葉……?」

琴葉の名前をおずおずと呼ぶ声が電気のついていない不気味なトイレに響く。
その声に反応して琴葉は自分の入っている個室のドアを少し開ける。
するとそれに気づいた声の主はゆっくりとドアを開けて同じ個室に入ってきた。
それは同じ落ち組みの松山朱里(マツヤマシュリ)だった。

14:椿 ◆masc:2013/06/19(水) 20:15 ID:N1A


微炭酸、という淡い純愛小説の様な題名に惹かれました。

内容も、題名のイメージ通り純愛系で、それにすごく上手くて、吃驚です!w

とても面白い、と感じました。
これからも更新頑張って下さい^^

15:大和:2013/06/19(水) 22:32 ID:/qE

ありがとうございます〜!
実はこのお話を書くときに題名がなぜか自然と頭に思い浮かんだのが、
この「微炭酸」でしたね。
実際に炭酸を買ってきて微炭酸にして飲んだのですが、
あんまり美味しくないですww
ですがそんなところも恋なのかなぁ…と、変なことを考えたりw
まだまだ序盤ですが、どうぞよろしくお願いします。

16:大和:2013/06/19(水) 22:52 ID:/qE

「朱里……どうしたの?」
「どうしたのもなにも……
 泣いてるんだろうなーと思って」
「そっか、朱里にはバレちゃったのか……」

琴葉は顔を上げると、心配そうに見つめてくる朱里に
大丈夫だよとでもいうかのように笑顔を向けた。
誰にでもわかるような、空っぽの笑顔を。
そうすると朱里は暗いトイレの個室に入り、
琴葉の隣に座っては静かにため息をつく。

「そんな無理されたってバレバレだよ」
「……そこまでバレちゃったか」

琴葉は頑張って弱さを見せないようにしようと、
朱里のほうは向かず、反対側を向いて元気な声で答えたが、
朱里が自分が泣きそうなのを知っていると遠まわしに言われて、
言えば気がつかないかもしれないという可能性よりも……
今はとにかく泣いてしまいたかった。
そう琴葉は溢れる思いを隠しきれずに気づくと朱里の胸のうちで泣いていた。
ただ声をあげることもなく、
静かに。
暗い夕方の風景と雰囲気はまるで二人を見方するかのようだった。
誰にも見られたくないという二人の気持ちを空は悟ったかのように。

「……琴葉、ハルちゃんも心配してたよ?」
「で……なん、で、ハルが……」
「琴葉がね出て行った後、ハルちゃんが追いかけようとしてたから、
 私がそれを止めたの。
 今は一人にしてあげてって……でも結局私も心配で来ちゃった」
「ハル、が……心配、する、わ、けな……」

言葉を途切れ途切れ言う琴葉に朱里は「もういいんだよ」と
優しく言葉をかけてゆっくりと琴葉の頭を撫でた。

17:大和:2013/06/23(日) 19:27 ID:/qE

「じゃ、私そろそろ行くね。
 ……その顔なおしたら、ちゃんと来るんだよ?」
「……うん、わかった。
 ありがとう」
「まっ、私だから、後で料金とるけど」
「えー、有料なの?」

朱里は静かに立ち上がると、琴葉を茶化すように言った。
そんな朱里の励ましてくれている優しさに気づいていた琴葉は、
嬉しさに頬を思わず緩ませる。
「朱里が居てくれてよかった」
そう心で大きく思ってはこの涙をどうにかしようと
琴葉はポケットからハンカチを取り出して涙を拭い取る。
すると先程とは違った世界が朱里があけたドアから見えた。
トイレの中はそれこそどんよりとしていたが、
ドアを開けるとやわらかい雲の光が二人を照らした。

「私も朱里と一緒に行く」
「いいの?その顔で」
「大丈夫、大丈夫。適当にごまかすから」
「一発でバレるでしょ」
「そんときは朱里も手伝ってよ」
「はいはーい」

二人はトイレから出ると、選抜メンバー以外の一年生が
練習しているだろう音が聞こえてくる。
その音を聞いて琴葉は遙の音が聞こえないことになぜか寂しさを感じながら廊下を歩いた。

18:よーばー ◆9V8s hoge:2013/06/24(月) 17:46 ID:dtM

初めまして、隠れ読者です…(こそっ
大和さんの作品は惚れ惚れしてしまいます。
個人的に甘すぎるベタなものや台詞ばかりのものは好かないので、
大和さんの小説らしい小説(?)が好きです。
これからもこっそりひっそり応援させていただきますね。

19:大和:2013/06/24(月) 22:08 ID:/qE

初めまして〜
ありがとうございます!
この小説の設定はそれこそ王道ものですが(学園モノなので)
僕は文章と内容で他とは一味違った恋愛小説を書きたかったんですよ〜
いざ書いてみると恋愛小説は心情などの表しがとても難しいです…
惚れ惚れしていただけてとても嬉しい限りです!
今回は本当にありがとうございました!
まだまだ続きますので、よろしくおねがいします。

20:つむり ◆baX.:2013/06/25(火) 06:14 ID:/Rs

神作発見!と思ったら大和さんでしたww

凄い作品ですね
テスト終わったら微炭酸買ってきます←

21:大和:2013/06/25(火) 22:15 ID:/qE

ここでは初めましてですねw
読んでいただいてありがとうございます〜
恋愛ものなので少しでもお目にかかってもらえればと思います。
ぜひ微炭酸…まず微炭酸って売ってるんですかねw
僕は炭酸買って、少しふたを開けておいたんですけど…
飲んでみてください。
まずいですからww

22:つむり ◆baX.:2013/06/25(火) 22:28 ID:/Rs

ま、まずいんすかww
売ってる…かな?と言う感じです。
ぜひ飲んでみます←

23:乃愛:2013/06/25(火) 22:29 ID:CVQ

微炭酸ジュース、ありますよ♪
あ、いきなりごめんなさい(^^;

私、炭酸飲めないですけど微炭酸のジュースならちょっとだけ飲めます☆

まぁ、ジュースというか……。
栄養ドリンクみたいなものでしたけどね。

更新楽しみにしてます♪

24:大和:2013/06/25(火) 22:39 ID:/qE

すると突然朱里が琴葉にはなしかけるようでもなく、
ただ独り言のように歩きながらこう言った。

「私たちだって頑張ったもんさ、
 選抜メンバーに選ばれたかったよ。
 どうして私たちの努力は報われなかったのかねぇ……」

ため息混じりに言った言葉は選抜メンバーに選ばれなかった一年生達の
本音をそのまま現しているようだった。
暗い雰囲気になった二人を誰も照らしはしない。
ただ雲の光と下手な音ばかりが二人を包み込んでは、
憂鬱な気分へと気持ちを静めていくだけ。
二人は自分の楽器を置いた教室へと戻って、楽器を手にする。

ーーが、どうしても楽器を吹く気にはなれず、
手に楽器を持ちながら物思いにふける。
その沈黙を破るようにして、能天気な声が視線を注がせた。

「あっ、二人ともいた〜!」

25:春 ◆MS.s:2013/06/25(火) 22:42 ID:3Xc



私、隠れ読者の者なのですが、感動の余り声も出ません…。
お話にも筋が通っていて、それでいて心情も情景描写も書かれていて頭の上で想像することができました。

しかも琴葉ちゃんのレギュラーメンバーに入れなかった悔しい思いが描かれていてこちらにまで伝わってきました。
それでいて朱里ちゃんの優しさに心打たれ、一人で「くぅ〜」と感動していましたw
こんな奴がコメントしてもいいのかどうか分からないのですが、すごすぎてしてしまいました。
すいません…。



あの、質問なのですが大和様のもう一作品「special秘密警察特殊部隊」はお休みしているんでしょうか…?
(題名、間違っていたらごめんなさい)

26:大和:2013/06/26(水) 19:31 ID:/qE

みなさんありがとうございます〜

実際微炭酸はあまり美味しいといえるものではありませんが……
これを読んでいただいてなにか思ってくださったり、
少しでもみなさんを楽しませることができれば僕としては幸いです。

そして「special秘密警察」のほうに関しては、
今のところこちらを書いているのでお休みという形ですが、
きちんとあっちも書きます。
ただ微妙なとこで終わってしまったので……
暇があればきりのいいところまでは書きたいと思っています。

更新はけっこう遅いのですが、
どうか見守っていただけると嬉しいです。

27:大和:2013/06/28(金) 22:39 ID:/qE

そんな雰囲気を読まずに入ってきたのは、玲だった。
玲は二人の近くへ行くと、まるでなにかあったのとでも
言うかのような顔をして二人を見やった。
そう、玲も落ち組みのメンバーであったにも関わらず、
それを気にも留めない表情をして二人に話しかけた。

「泣いたの?」

ただ唐突と、直球な質問。
玲の質問に朱里は一瞬どう答えようか迷ったものの、
朱里の迷いをもろともしない口調で琴葉は事実を伝えた。

「うん、まぁね」
「へー、ま、確かに悔しいしね」
「玲は悔しくないの?」
「んなわけないじゃん。もちろん悔しいよ?」

琴葉が泣いたということにそれほど興味を持たない玲は、
すぐそこにあった机に腰かけては空を眺める。
はっきりと答えを出さないようなその雲の空はさらに悔しさを増していくためのスパイス。
教室には残された落ち組みの中の三人。
教室の外側からは音楽室からもれている音が廊下を響かせる。
その音をかすかながらに耳で聞いて、
三人は実力の違いを嫌でも目の当たりにした。

「じゃあなんでーー」
「……俺はこれでも一応男だからね」

じゃあなんで、泣かないの。

そう、聞いてしまいそうになった。
しかし出かけた言葉を頭で理解し、まずいと思った琴葉は途中で言葉を切ったが
そこまで出てしまったものをもうなかったことにするのはできなくて、
言葉の先を悟った玲は明確には聞かれていない質問の答えを言った。
なんの躊躇もない声で。

28:大和:2013/07/01(月) 21:46 ID:/qE

「ほら、もうあと時間ないし、
 くよくよしてても仕方ないから楽器を吹くよ!」
「……確かに、それはそうだね」

朱里の元気な声に琴葉は納得した顔で頷いては、
手に持っていた楽器をきちんと持ち直して吹く姿勢になる。
机から降りた玲は「俺も楽器もってくる」と声をかけて
楽器を取りに教室を後にした。
教室には二人ぼっち。
そのフロアには落ち組みぼっち。
けして嬉しいとはいえないメンバーではあったけど、
彼らは決して落ち組みであることを屈辱と思うことはない。
まだ雲が晴れる気配は見えない。

「じゃあ、ここからやろっか、1、2、3……」

朱里の掛け声にあわせながら二人は下手に楽器を吹く。
教室内にはそんな二人の音が充満した。
吹いている間は楽器を持ってきて一緒に吹いた玲も混ぜて、
様々な失敗をした。
けれど三人は特にめげる様子もなくだた懸命に練習をする。
そんな頑張っている音が格の違う音楽室に届くはずもなかったが、
吹くことに楽しさを見つけて楽しく三人で吹いていれればそれでいいと、
そう思った夕方のこと。

薄ら青い雲が一面に広がり暗さは増していく。
それに染められるように教室も明るさを消していった。
たくさんに並べられた机をすこしよけてそこに三人は立っていた。

29:大和:2013/07/05(金) 22:36 ID:/qE

ふいに扉の開く音と人の話し声が廊下の向こう側から聞こえる。
おそらく選抜メンバーの練習に休憩が入ったとこだろう。
三人の演奏は一度止まったが、朱里が気をとりなおして再び合図を送ると、
琴葉と玲はそれにあわせてまた吹き始めた。
次は止まることなく順調に吹いていると、
三人が吹いている教室のドアを開ける音が耳に届く。
流石にそれを無視するわけにはいかずに振り返る。

「休憩入ったんだ」

水筒を片手に熱気で暑そうにしている遙がそこにいた。
少し疲れた顔をして言った遙は三人に近づくことは無かった。
なぜか壁をつくられたような、
そんな雰囲気だった。
軽蔑や見下しなどではない、また違った壁。
その壁を縮めることは愚か、話すことさえもできずに
朱里と玲が遙と楽しそうに話しているのを見ているだけで、
琴葉は遙と目は合うものの話すことはできなかった。

原因のわからない距離感が、そのとき琴葉を襲った。

30:大和:2013/07/06(土) 22:43 ID:/qE

しかし、遙の目に玲と朱里は入っていたものの、
遙はうつむく琴葉ばかりが視界の端で気になって仕方が無い。
琴葉の元へ駆け寄って「どうしたの?」とたずねたい思いを抑え、
遙は二人と話しながら琴葉へと視線を送る。
そして琴葉も会話を聞いてばかりでは気持ちが落ち着かないと、
顔を上げる。

ーー瞬間、二人の視線はぶつかり、絡まった。

目はお互いを離すことはなく、ただゆっくりと絡み合っていく。
琴葉は自分でもわかるぐらいに顔が高潮していくのがわかった。
朱里と玲はいつのまにか自分達の話に夢中になっていて、
遙と琴葉のことには目もくれない。
真剣に最初は見つめ合っていたものの、思わず遙の頬は緩んだ。
それを悟られまいと歯を食いしばるが、琴葉には怪しく笑っているように見えた。
つい先程まで思っていた壁が崩れたような気がして、
琴葉は安心感に心をゆだねる。
そのときの、安堵と嬉しさに包まれた琴葉の微笑を、
遙は間のあたりにした。


ーー炭酸のように強くは無いけれど、
  微炭酸のような淡い泡が二人の心を弾けさせた。


その微笑を見て遙もとても優しく微笑む。
それは誰にも見せない笑みであった。
琴葉だけに向けられた、少し特別の微笑み。

「じゃ、俺そろそろ行ってくるね」

それぞれに「いってらっしゃい」や「バイバイ」と遙に向かって言うが、
遙は琴葉のほうだけを見てそういうと、
琴葉は言葉はなかったが小さく手を振った。

微炭酸。
二人の気持ちはまさにそのもの。
弾けすぎずに気持ちは炭酸に揺さぶられる。
今、淡く炭酸は浮き上がる。




第一幕、
「泡」
終劇。

31:大和:2013/07/10(水) 12:25 ID:/qE

書き込めるかな…?

32:大和:2013/07/11(木) 22:47 ID:/qE

コロン。
そう透明なグラスに入った氷は音をたてる。

テスト。

33:大和:2013/07/17(水) 19:10 ID:/qE

第二幕
「カルピスソーダ」

コロン。
そう透明なグラスに入った氷は音をたてる。

34:大和:2013/07/18(木) 22:19 ID:/qE

第二幕
「カルピスソーダ」

コロン。
そう透明なグラスに入った氷は音をたてる。
白いカルピスはすぐに喉へと吸い込まれた。

「おいしー!
 てか玲、ちょっとこれ薄いよ!」
「はぁ?文句言うなら自分で入れろよなー」
「喉に入ればなんでも同じだっつの」

グラスを空にして持っている琴葉は台の上でカルピスを作っている玲に文句の言葉を投げる。
玲は分量など気にもしないようすで、てきとうに注いでは水を混ぜた。
二人の会話に朱里は二杯目のカルピスを玲の隣で作っていた。
気温はわからない、
けれど20度を軽く越しているのは確かであろう。
暑い日ざしがあるなかで一向に肌の焼けない吹奏楽部は室内の熱気と戦っていた。
そんな仲で差し入れのカルピスを作っては飲んでいる落ちメンバーの三人。
すでに他の選抜メンバーの練習は始まってはいるものの、
三人は落ちメンバーではなく処理メンバーと化して、休憩所に残っていた。
処理メンバーとはその名のとおり、差し入れなどでもらったアイスの残りを食べたりするという、
なんともお得なメンバーなのだ。
今はそのアイスの処理をした後の一服をカルピスでしているというわけで……
吹奏楽部の大会も残り数日に迫った今日。
落ちメンバーたちは楽しく見学に参加していた。

「あっついよねぇ」
「暑すぎだよ……」
「おまえらなぁ、暑いなんていってるから暑くなんだよ」
「いや、ホントに暑いから。
 気持ちの問題とかじゃなくてね」

朱里と琴葉のだらけた声に玲は気合が入ったように二人に言うが、
断じて気持ちのせいなどではなく、本当に気温は高かった。
三人は口々に言葉をかわしながらも、
次の差し入れの話をしては保護者の人たちと笑い合っていた。
耳には聞きなれてきた蝉の鳴き声。
それとうるさい室内の熱気と高い湿度と気温。
暑さは増した。

35:大和:2013/07/18(木) 22:20 ID:/qE

本番当日。
琴葉たちが所属する吹奏楽部は全力を出し切り、
自分たちの最高の演奏を終えた。
結果は残念だったが、部の先輩たちは「悔いはない」と言って、
涙を流すことはなかった。
一方の後輩たちはと言うと、涙で顔をぐちゃぐちゃにして泣き、
厳しい練習があっても彼らにとって「よかった」と思える夏が終わった。

「先輩……」
「泣いてばっかいんなよ」

そういって泣いている琴葉と朱里の後ろからけっろとした顔をした玲が歩いてきた。
隣には遙も一緒にいる。
しかし琴葉と朱里は先輩たちの言葉に涙を抑えることができずに泣き続ける。

「そうだよ、今度は俺らが頑張る番だしね」
「うん……わかってるんだけど……」
「そんな泣いちゃだめだよー」
「うんー」

遙が苦笑しながらも琴葉をなぐさめにかかる。
琴葉は言葉で遙の言うことを理解しながらも、なかなか体はそういかない。

36:大和:2013/07/20(土) 19:43 ID:/qE

「……琴葉も、がんばってたよ」
「そんな、こと……」
「頑張るんでしょ?ね?」
「うん……」

先程と同じような会話を繰り返しては、
遙に肩をポンポンと慰められながらも琴葉は一人そこにたたずんで泣いていた。
辺りはすでに暗くなり、相手の顔を特定することすら難しくなっていた。
そこには感謝の言葉を交わす先輩と後輩達。
解散の時刻はとっくにすぎたものの、開放感と悔しさと、
安堵感と。
ただその場を離れることを惜しむ心があった。
その固まっている集団から少し離れたとこに二人。
暗闇の中から誰もその二人を見つけることはできない。

「どうする?……なんか先輩にあいさつしてるっぽいけど」
「い、行く……」
「大丈夫?」
「大丈夫だから、行く」
「じゃ、行こっか」

遙の問いかけに琴葉は大きくうなづいて、
先輩達がいるところへと向かう。
蛍光灯さえつかないその場は本当に暗闇。
琴葉が駆けて先輩達のところへ行こうと思った時ーー

「琴葉」

それは
優しい青年の欲。

37:大和:2013/07/21(日) 19:53 ID:/qE

腕を引っ張られては後ろへと引き戻される。
少しの間、琴葉にはなにをされたのかわからなかった。
遙に抱きしめられているなど、全く。
ふわりとした暖かさが、背中に染みる。
決して強くはない彼の腕はなぜか震えているような気もした。
暗闇に、二人。
映ることはない。

「え……は、るか?」

琴葉の問いかけに遙が答えることはない。
だが琴葉が後ろを向こうとすると、遙はパッと琴葉を腕の中から離した。
なにがおこったのかよく理解していないでいると、

「ごめん。行こう」

ただそう一言謝りの言葉を残しては遙はひとりでに歩いていく。
体には自分以外の人の温もり。
夏の夜のあたたかさではない、なにか。
体温は徐々に上昇する。
彼の気持ちもまた、上昇する。
互いにわからぬ思いが入り混じり、欲をだす。
変わりはじめたうずめく男女の夏。

「なんでだろう……」

遙の行動の意とは。
数式より難しい、恋愛がここにある。
考えてもわかりはしない。
そう、解き方は誰知らず。

38:大和:2013/07/24(水) 22:31 ID:/qE

琴葉の頭の中は今違う色に塗り替えられた。
ついさっきまで先輩達のことで頭がいっぱいだったものが、
先程の遙の行動により頭は遙のことばかり。
その遙がした行動でさえ混乱している琴葉の頭の中では、
本当に起こったこのなのかどうかすらあやふやになっている。

琴葉にとって、今まで遙を深く意識することなどなかった。
仲のいい男友達。
それが琴葉にとっての遙であり、
遙もまた仲のいい女友達という関係。
深くお互いを探るまでもない、ちょうどいい関係だった。
「だった。」
今と前の気持ちの違いに気づいてしまったのは彼か彼女か。
そしてそれを強く意識するようになったのは。
もう二人が「前の二人」に戻ることはできない。

「ハル……」

ふと、親しみのこめられた遙のあだ名が呼ばれる。
その小さな呟きはこの大きな夜空に消えていくだけ。
なにも残しはしない。

どうしよう。

そう琴葉は強く思った。
なにかが変わる、と。

39:大和:2013/07/27(土) 14:34 ID:/qE

それから遙の態度が琴葉に対して変わることはなく、
一体アレはなんだったのかと考える暇もなくして
彼らは本場の夏、「夏休み」を迎えた。

山のようにある宿題は気を病ませ、
いろんなところで行われるイベントは気を立たせた。
それでも琴葉たちは大会が終わった部活に全力を注いでは彼らなりの青春を過ごしていた。

「あっつい……」

太陽が高く上り蝉は木々に止まっては鳴き。
そんな午前中の今、琴葉は机に向かってすわり夏休みの最大の敵と戦っていた。
必死に朝から今日の分を終わらせてしまおうと戦っていると、
家の電話がふいに煩い音を立てて鳴った。

「はいはい……
 もしもし、宮村ですけど」
『あ、琴葉?朱里だよー』

そう電話を取ると電話のむこうの主は陽気な声を出した朱里だった。
琴葉は自分が宿題やってるときになんてのんきな……と苦笑いに思ったものだが、
朱里の用件の内容を聞くとなぜそんなにも陽気なのかが少しわかった気もしていた。
朱里からの電話は夏祭りにいかないかという内容。

「うん、じゃあまたあとでね!」

琴葉は聞かれるまもなくおおきく二つ返事をし、
自分のしていた宿題などそっちのけで着替えをはじめた。
どれをきていこうかなどと考える。
いつしか暑さも感じなくなり、夏祭りのことで頭はいっぱい。
カーテンを通してくる風がとても気持ちよく感じられた。
こうして溜まっていく宿題ならいいかと、テーブルの上に置かれた学習グッズを一度見て琴葉は思う。

「夏祭り行くのはいいけど、ちゃんと宿題やったの?」
「やったから大丈夫だよ!」

先程とはうってかわったさわやかな声が家に響く。
夏はここから。
飲みかけだったサイダーに気づいたとき、きっともう味は薄いだろう。

40:大和:2013/08/03(土) 22:15 ID:/qE

ーーだってそりゃあ、中学生ですもの。

彼女達にだって「青春」という名のイベントが多くあるこの時期。
走るようにすぎたあの部活漬けな夏休みはすぎ、
次にやってくるのはお楽しみの夏であった。
夏といえば、と問われれば彼女達の口からは様々なことが出でくるだろう。
なんともいえないあの夜の雰囲気。
屋台の感じと人々の賑やかな声。
火薬の匂い。
そして何と言っても夏の夜の空に咲く花。
あのなんともいえない独特のものこそが夏なのであろう。
それを友達と味わうのだからきっと倍に楽しいもの。

「あっ、かき氷あるよ〜!」
「いいね!食べよ!」

甘くとける、冷たい感触。
今年一番最初の夏祭りでは久しぶりに味わうものが多かった。
だからこそ、こんなに多い人ごみでもいつもなら嫌がるくせに、
今日は嫌がることなどない。
財布の所持金を考えている暇はなくあれやこれやと屋台は琴葉たちを誘った。

今日夏祭りに来ているのはたったの二人。
琴葉と朱里だけだった。
なぜ二人だけかといえば同じ吹奏楽部員の都合が合わなかったこともあり、
二人とも誰を誘っても返事はみな口をそろえて「ごめんね」だったから。
仕方なくということはないが、琴葉と朱里は仲がいいこともあり、
なら二人で語り合いながら祭りを楽しもうではないかと琴葉は朱里と待ち合わせであったときに聞いた。

「たこ焼き買おうよ!たこ焼き!!」
「お好み焼きにしようよー!」

女子にしてはめずらしい食欲旺盛な二人は屋台の食べ物めぐりをしていて、
すでに手には自分の食べ物がいっぱいぶら下がっていた。
ふわふわの白く、甘いわたあめ。
アツアツのじゃがバター。
祭りに来たら絶対食べたいたこ焼き。
夏定番のかき氷。
おまけでもらった金魚。
クリームたっぷりなクレープとチョコバナナ。
どれもこれも、目を輝かせるものばかり。
それでもまだまだ屋台はあった。

「続きましてー、花火大会を再開したいと思いますー
 みなさまはー……」

きっともうカルピスは氷と一緒になっている。
原液を舐めると味が濃すぎちゃうけど、
薄すぎてもなにか足りない。
微妙が大事なカルピスソーダ。

このアナウンスは何事もなく流れた。
それは胸を高鳴らせ。



第二幕、
「カルピスソーダ」
終劇。

41:大和:2013/08/15(木) 02:05 ID:/qE

第三幕
「ラムネ」

大きな低音が耳にじんわりと響く。
目に見えるのは、視界いっぱいの花。
色とりどりに飾られた花を見て人は歓声をあげ、
人はそれを「花火」と呼んだ。
真っ暗闇に咲くその姿こそを誰かが可憐と感じたのだろう。

「あーぁ、これビー玉詰まってのめないよ……」
「わかるわかるー」

琴葉は自分の持っているラムネを飲みながら暑そうにそう呟く。
人ごみの中、琴葉の声はほとんど消えつつあった。
見ては買って食べた屋台の食べ物。
ふと目にとまったラムネ。
しかし今は夜の星空に輝く花火とそれを湖に映した綺麗さに目を奪われるだけ。
食欲などどこへいってしまったものか。
静かに、しかし着実に。
胸が高鳴るのを感じた。

「綺麗だねえ……」
「うん。
 まあ女二人で見てもって感じはするけどさ」

琴葉がそう呟くと朱里は苦笑いながらに答えては、
揺れる水面を見つめた。

「おっ、なにやってんだよ、女二人でさびしーな」
「そういうこと言うなよ玲」
「よ、二人とも」

ふいに後ろから声がするかと思うと、
そこにいたのは同じ吹奏楽部の男子達であった。
吹奏楽部といえば男子が少ないことで有名だが、
珍しく琴葉たち一年生の部員の男子は6人いた。
その6人が各々でぐだぐだ言いながらも花火を見に来ていたという。
男子の中にはもちろん琴葉と朱里に声をかけた遙と玲の姿もあった。

42:碧妃さな ◆RCWE:2013/08/15(木) 02:28 ID:b4I


久々の更新、感激です…

待ち遠しかったです*
微炭酸のようなその描写…やはり憧れますね。
大和さんにとっては凄く迷惑だと思いますが、そろそろタメ語で話させていただいてもよろしいでしょうか…?

生意気言って申し訳ないです。

43:大和:2013/08/19(月) 19:34 ID:/qE

こちらでは久しぶりですね〜

すみません、なかなか忙しくて…
原稿はできているのですがこちらに書き込む気力が…
僕、描写書くのがなんとなく好きなんですよ〜
好きになれば描写も楽しいですよ。

いいですよ〜
読者様などは大体の方がタメで…ということが多いので
そちらに関しては特に厳しくはしてませんよ〜
ただ、いきなりはじめてでプライベートで、というと話は別になるということですよww

今回は訪問ありがとうございます!

44:千鶴 ◆Pz2c:2013/08/19(月) 19:57 ID:b4I

高校生ですもんね…
ゆっくりでも全然大丈夫なのでご自分のペースで頑張ってください(´`*)

描写好きとは…!!
羨ましいですww
何か大体見てたら伝わってきます*
描写一つ一つに感情が入ってて大和さんの描写好きなんですよね*

ありがとうございます〜
んでは、大和兄やんと呼ばせて頂きますww((関西人なので…

いえいえ(´`*)

45:大和:2013/08/22(木) 17:42 ID:/qE

「あ、玲たちもなにやってんのー?」
「普通にお祭り来ただけ」
「へぇー、これから回るとこ?」
「うん。もう回ってきたの?」
「まあねー」

朱里はりんご飴を口にしながら少し大きな声で玲に話しかける。
まだ屋台を見に行っていない玲はそんな朱里の姿に苦笑しては、
女子たちが持っている食べ物を目にする。

溢れ帰る人ごみともんもんとする暑さの中、
長々と会話ができるはずもなく別れを告げて男子達は屋台のほうへと歩いていった。
そしてまたしても大きな低音が響く。
きっとまた大きい花火があがったのであろう。
人々が感嘆やらなにやらを零している。

「やっと、飲めた」

不意に琴葉がラムネを見つめながら呟いた。
琴葉の手のひらには先程つまっていたビー玉が。
もう片手にはやっとのことで飲み干した空のラムネ瓶。
上を見上げなくとも、耳に響いては広がる音とビー玉に写る小さくて繊細な花火がわかった。
琴葉の小さな声が、隣に立つ朱里に聞こえることはなく。
ただ一人、ビー玉に語りかけた。
そしてその手のひらに乗ったビー玉をまたもラムネ瓶の中に入れた。
何度も何度も、花火の音は鳴り止むことがなく。

「綺麗だなあ……」

そう上を見上げては琴葉はラムネ瓶を片手で揺らす。
確かに、透明な音が花火と同時に聞こえた気がした。

46:芽実:2013/08/23(金) 20:21 ID:2Ig

さすが大和というか……
描写が綺麗
尊敬する……
暇があったらまた読みにきます!
突然のレスごめん!

47:大和:2013/09/07(土) 22:37 ID:/qE

おお!!
めぐみだ〜
返事遅れてごめんね。

そうだな〜…描写に関しては自分でも気をつかってるんだ〜
それでもいまだにまだ慣れてはいないけどね…
これもまた勉強だと思っていろんな小説読んでるよ。

めぐみも大変だろうけどがんばってね。

48:大和:2013/09/07(土) 22:55 ID:/qE

みーんみんみん。
みーんみんみん。

いつからだか、暑かった太陽の日差しも弱くなり始め
いつからだか、うっとおしく聞いていた蝉の鳴き声は懐かしさを呼んでいた。
あれから琴葉たちはあんまり夜に出歩いていては危険ということもあり、帰ることにした。
それからというもの忙しかった部活もパタと止まったかのように
動きを緩め、友達に会う機会はほぼなくなり家でダラダラと過ごす毎日がやってきた。
まだ始まったばかりだと油断していた夏休みなど意外とあっという間なもので。
ついには宿題を急ぐ羽目になるという惨事だった。

そんな、秋も感じさせる、晴れの日――

「ことはー!……」
「琴葉!!」

いつものように夜更かししては朝遅く起きるというのが琴葉の仲で定番になっていた、
夏休みも終わりに近づいているころの朝。
ベットから起きれずにいた琴葉は自分の母の怒鳴り声で少々不機嫌ながらも目をさました。

「なに……?」
「っとに、いつまで寝てるの!
 なんだかお友達が来てるわよ?」
「……友達?だれ?」
「……遙ちゃんって言ったかしら……」
「遙くん、ね。
 へぇ、ハルがなんの用だろ」

パジャマ姿など気にせずに階段を降りて琴葉は玄関に向かった。
すると母が言ったとおり遙が玄関に立っていては、琴葉を見やった。

49:大和:2013/09/08(日) 23:30 ID:/qE

「あ、……おはよ、ごめんこんな朝早く」
「ううんー、大丈夫だよ。
 ……私が起きるの遅いだけだしね」

琴葉がチラリと家の時計をみるとすでに時計の短い針は10時を回り、
太陽も徐々に南へと近づいている非常に天気のいい午前中であった。
挨拶を軽く交わすと二人の間に少しの沈黙が入る。
その沈黙を拭おうと琴葉はさっそく遙に話しかける。

「そういえば、今日は、どうしたの?」

そう琴葉に聞かれると遙はすこしうつむき気味になる。
よく見てみれば片方の肩にはなにやら教科書でもはいっているかのようなバックを下げている。

「や、あのさ、琴葉って宿題終わった?」
「まさか」
「よかったら俺と玲と朱里と一緒に図書館行かない?」
「うん!いくいく!」
「ほんとに?……あっ、なら俺外で待ってるね」
「わかった!すぐ用意するね」

遙が玄関を出るのを見届けると琴葉はすぐさま用意しようとして、
動きを止めた。

――そういえば、今日初めてハルの私服見たなぁ……
あれ、私、今……

そう自分の格好を思い出して琴葉は声にならない声で叫んだ。
自分は今思い切りパジャマ姿でオシャレのなにもなく、
しかも髪も寝起きの髪のままでもちろん寝癖もついているであろう髪。
その場にしゃがみこむと琴葉は顔を真っ赤に染めた。

もちろん知らないであろう、
そんな琴葉を想像しては玄関の外で口元を押さえながら笑っている遙がいることも。

50:大和:2013/09/12(木) 21:07 ID:/qE

「お母さん、朝食そこらへんの食べてっていいー?」
「いいわよー。
 それより待たせないようにしなさいね」
「はーい、それじゃ、いただきます」

洗濯物を干している母に対して琴葉は少し声を大にして聞く。
テーブルの上にラップをされておかれたベーコンとスクランブルエッグ。
それにレタス。
色合い鮮やかになっている朝食は既に冷めていて、
かろうじて美味しいというものだった。
そんな朝食を食べていると、
レンジから今焼いたばかりのバターを塗ったパンを取り出す。
少し熱くも感じたが琴葉は片手にトーストを持ち、
肩に重さのあるバッグをかけながら外へと出た。

「ごめんごめん、遅れた〜」
「や、大丈夫だよ」
「けっこう待ったでしょ?」
「ううん、全然」

外に出ると丁度腕時計を見ている遙がいた。
そんな遙を見て琴葉は待たせてしまったと焦るが、
琴葉の焦りを察して遙は嘘をつく。
自分が玄関から出た時間からすると長い針は確実に変わっていて、
しかも半周してしまうのではないかというところだ。
だが、こんな会話ができるなら待ったことに意味はあるかな、
などと考えていた今ではそれも無駄ではないと感じられた。

まだ暑さを残していこうとする今日の昼。
昨日の夕方にはひぐらしが鳴いていたなぁとふと思いだしては、
二人とも照りつける太陽を浴びたアスファルトを見て感傷的な気持ちになる。
少しの間があると遙は琴葉の家の階段を降りはじめた。
なぜか、心は踊る。

51:大和:2013/09/28(土) 15:33 ID:/qE

「図書館かぁ、久しぶりに行くんだよねー」
「琴葉は図書館で本より漫画派でしょ?」
「そうそう〜」
「でも俺も漫画のほうが好きだな〜」
「えっ!?まさかの漫画派?」
「そうだよ?」
「……へぇ……意外だー」

暑い日差しの中、日陰をなんとか探して話していると、
琴葉は遙の意外な一面に驚く。
一方の遙はというとなぜそんなにも驚くのか、と少し不思議そうに話していた。

普通の中学生男子が分厚い小説よりも漫画を好むのならわかる。
琴葉だって玲が漫画が好きといったところでなんとも思いはしない。
しかしこの大泉遙という男は漫画とは縁遠いものだと、
彼を知る者は全員口を揃えて言う勢い。
なにせ頭がよかった。
それは勉強に限ったことではなく、
ほとんどのことに関してその場の状況を考え、行動することがてきた。
ルックスが皆が羨むイケメンというわけではないが、
女子の中でも男子の中でも人気がある人。
しかし、忙しそうにいるためとても漫画を見るようだとは周囲から思えなかった。

52:大和:2013/10/11(金) 21:53 ID:/qE

「ま、琴葉ほど詳しくはないけど」
「……そーですねー、私は漫画読みすぎですねー」

終わりに憎まれ口を叩くとニヤリと口の端を上げてからかう。
琴葉もその挑発にのっては口をとがらせてすねたふりをする。
ふとしたことだったがお互いの目が合うと一緒に吹き出しては笑う。
それがお互いにとって今、幸せだと思えた。
……意外と遙はお笑い好きだったりもするんだなぁ
なんということはないが話していてふとそう琴葉は感じた。

楽しい時間というのはやはり束の間で。
まだ少ししか歩いてないものと感じていたが随分と家からは遠ざかっていた。
気づくともうすぐそこに図書館が見えていた。
近づくと同時に図書館の前に立っている朱里と玲も見える。
だがなぜか二人ともあまりいい表情をしていない……。
……どうしたんだろ?
琴葉は歩きながら向こうの図書館にいる二人に近づく。
それには遙も気づいたらしく何事かと二人は足を急がせた。

53:大和:2013/10/12(土) 22:02 ID:/qE

「どうしたの二人ともー」
「……あっ、琴葉と遙か……
 それがさ、今日図書館定休日だったんだよ」
「えっ!?」
「それじゃ、今日は勉強できないね……」

玲が指さす後ろには「図書館休みの日」と書かれた今月と先月のカレンダーが貼られていた。
確かにそこには今日のところが赤マルで囲ってある。
他の青マルとは違い、毎月休みの日ではなく今月のみの珍しい休みであった。
そんな珍しい休みの日に運悪くもあたってしまった四人。
それぞれ家からわりと距離はあるものの歩いてきたかいがなかった。
まだ時間はお昼すらまわっていない。
しかし確実に太陽の光は琴葉たちを照らしていく。
それにこの町はそんなに多くの店があるわけでもないから遊ぶということもこれといってできない。

「どうしよっか〜」
「……もうさ、この際公園とかでやっちゃおうよ!」

琴葉の問いかけに朱里が自信満々とでも言いんばかりの顔で言い張った。
いくら秋が近いからと言えども暑い。
そのな中での彼らの思考がそうまともに機能するはずもなく、
ただ一つの提案に身を任せることしか術はなかった。


「やった〜!公園だ!」
「よし、勉強やるぞ〜」

はしゃぎ声は何故なのか。
普通は勉強というだけでもう気がのらないような中学なのだが、
場所も気分もいつもと変わってか勉強への気分かはわからないが嫌に機嫌がよくなった。
3人寄ればなんとやら、と、よく言ったものだが4人寄ればなんなのやら。
好調のスタートを切った勉強会。
ここからが、目の前の紙きれとの勝負。

54:大和 短すぎだw:2013/10/16(水) 15:39 ID:/qE

「琴葉ー、これなにー?」
「遙ー、ここどうやんのー?」

朱里と玲の声ほぼ同時に発せられた。
一方、二人の目の前に座っている琴葉と遙はというと必死に自分の宿題と向き合うばかり。
いくら屋根がついているベンチでも暑いものは暑く、
それこそあまり勉強が得意ではなかった朱里と玲はまだ1時間も経っていない勉強会に飽きがきていた。
勉強が得意というわけでもなかったが、勉強ができている方ではあった琴葉は
朱里に教えている暇はなく黙々と取り組んでいた。

55:大和:2013/10/26(土) 23:17 ID:/qE

あげw

56:大和:2013/11/04(月) 22:42 ID:/qE

遙はというと流石学年の中でもトップなだけあり玲に勉強を教えていた。
それだけ余裕があるということだろうか。
琴葉は上手く玲に勉強を教えている遙を見て自分との学力との差を実感するが、
痛感するばかりのことをずっと思っていても仕方がないので琴葉は大人しく自分の勉強と
朱里の質問にたびたび答えることにした。

「っふー、やっと一段落ってとこか〜」
「もうお疲れだよねー!」

早くも勉強が終盤モードな玲と朱里は勉強が一段落したところでシャープペンを置いた。
しかしいくら一段落といえども宿題が全て終わったわけではなく、一部が終わったということだ。
まだまだ道は長いというのにも関わらず飲み物やらお菓子やらに手を出しては満足そうな笑みばかり。
そんな既に辛い道から脱線した二人をよそにどうか夏休みが終わるまでには終わらせようと
なんとか日々頑張ってきた二人はここで本領発揮といわんばかりに集中し、
お楽しみと楽は後に取っておくことに決めた。
するとふと琴葉のすらすらと書いていた手が止まる。
遙が少しチラリと見やるとどうもなにかの問題に苦戦したようだった。
手元を見て教科を確認すると数字と]やらYの文字が並べられた数学。
遙は体勢を少し変え琴葉のほうを向くと数学のワークに示されている問いを見つめる。
一見簡単そうに見えるが応用しなければならない問題のそれが琴葉を悩ませているのだろう。

――「これだよね?」
頭の中がぐちゃぐちゃになりもう考えるのもいやだと思ったそのとき、
隣から琴葉のノートに綺麗に数式を書いていき、それは回答を導き出した。

57:大和:2013/11/05(火) 22:51 ID:/qE

遙は肝心なところで数式を書くのを止める。
ここが彼の優しさでもあったのかもしれない。
完全に答えは出さずに最後は本人の力で答えを出す。
頑張って遙が書いた数式を元に自分の考えとを照らし合わせなんとか解こうとする琴葉。
しかし問題は遙のように優しくはなく、ますます琴葉を悩ませるばかり。
そんな彼女を見て遙は自分の出番といわんばかりに少し自慢げに言った。

「わかんない?」

すこし悪戯っ気を感じさせるのその顔はまっすぐと琴葉を捕らえる。
残された朱里と玲はというと全く未知の世界だという感じで数学の問題に興味を示すどころか、
嫌悪感ばかりで楽しいほうへと本能の赴く(おもむく)ままに楽しんでいた。

琴葉は遙に勉強を教わることがなぜだか悔しいような気もしたが、
やはり問題に取り組むと解けない苛立たしさがあり、ここは遙に頼ることにした。

58: ◆oU.M:2013/11/10(日) 15:10 ID:1jE

秘密警察特殊部隊初期のころから読ませていただいています。
新しいこの作品は雰囲気がガラリと変わっててびっくりです……!
これからも読ませていただきます。

59:大和:2013/11/15(金) 20:00 ID:/qE

わあああ、遅れました!

え!?w
まさかの初期からですか!?ww
それはそれは…ありがとうございます〜

秘密警察特殊部隊はspecialのほうもありますが
そちらはまだ続いていますw

こちらの作品は思いっきりの恋愛モノですね〜
新しいジャンルに挑戦してみたくてw

秘密警察共々、こちらもよろしくお願いします!
今回は来ていただいてありがとうございました!

60:大和:2013/11/22(金) 21:23 ID:/qE

失礼ながら上げ

61:大和:2013/11/22(金) 21:55 ID:/qE

「わ、わかんない……」
「そっか、なら俺が――」

そう遙が琴葉に教えようとすると琴葉は少し待って、と手で合図をする。
急に自分の目の前に手を出され少々驚きながらもなにをするのかと遥が見ていると、
琴葉は自分のバックの中からなにかをがさがさと探すと答えの本を出す。
そうしてわからない問題の答えを見ようとしてる琴葉を遥があわてて止めた。

「なにしてんの?」
「あ、や、答え見て自分で解けるかなーと思ってさ」
「俺が教えるって」
「んー……」
「俺じゃ嫌だってことー?」
「や!そんなことじゃなくて、なんか教わるのとかちょっと悔しいなぁーって……」

遙に言いずらそうにしてはやはり難問を解けない苛立たしさと教えてもらう悔しさを隠しきれずにいた。
そんな琴葉の手には赤ペンが握られている。
「はぁ」と一言息を吐いた遥は琴葉の赤ペンをとり、自分の筆箱へと入れる。
そうしてシャープペンを握らせると、始まったのだ。
遙の特別授業が。

62:大和:2013/12/13(金) 22:31 ID:/qE

「こうなるでしょー、そしたら……」
「あ!あぁ、そういうことか!」
「……まぁ琴葉も頭いいから理解力は早いね」
「いやいや、頭よくないから教えてもらってるんだよ……」
「でも、これだけしか説明してないのにすぐわかったしさ」

なぜだか遥は少しつまらなそうにそういうと、
遙は琴葉が回答を書いているのを自分のシャープペンを使って邪魔をする。
琴葉は「え!?違う?」と自分の回答を疑っては消したりしてまた計算をやりなおす。
そんな琴葉をみているとなぜだかすこしかわいそうになってきて、
解答の邪魔をしなければよかったなと後悔する遥。

「ごめんごめん、それであってるよ」
「だよね?なんかおかしいと思ったー」
「よし、じゃあこれ解けたから次はこっちやってみなよ」
「うん、やってみるね」

63:大和:2014/01/03(金) 14:51 ID:/qE

あけましておめでとうございます!

皆様今年も更新は遅いわぐだぐだだわ……
こんなですがどうぞよろしくお願いします!

64:大和:2014/01/25(土) 17:56 ID:/qE

真剣に問題に取り組んでいる琴葉を見つめる遙。
一つ目の問題を琴葉がきちんと解くと
遙は優しく「せーかい」と言って赤ペンでマルをつけた。

「ははっ、やった、当たった〜
 ありがとね、ハル〜」

そう眩しいくらいの笑顔で琴葉は言った。
先程まで下を向いていて難しい顔をしていた琴葉だがやはり笑うと顔がよく映る。
女の子というのはそういうものだ。
この世で一番笑顔が映える生き物はと問われれば世にも美しい女の子と答えるであろう。
それほどに、目も眩むぐらいだった。
遙は琴葉を見つめながら想いを疑うだけ。
まさか、と。
相変わらず目の前でうるさい朱里と玲は騒いでばかりだ。
その馬鹿らしさやアホらしさに思わず笑みをこぼす。
きっともうお昼は過ぎたのであろう。
正確な時間はわからないけれど朝ご飯をきちんと「朝」であるうちに
食べてきていた遙のお腹がすくということは。
しかし、そんなお腹がすいたことすら忘れてしまうほどに、目の前の笑顔に夢中であった。
がんばってこちらに話しかけてくる姿勢といいなんといい。


――あぁ、この言葉と笑顔のために。


生きている。
そう感じるほか無かった。

「あぁ、おなかすいた〜」

こんなまぬけな声が耳に届くまでは。

65:大和:2014/01/25(土) 18:11 ID:/qE

「んー、じゃあそろそろお昼にする?
 俺たちは勉強の区切りもいいとこだしね、俺たちは」
「なんでっそこ強調するんだよ〜
 俺だって頑張って勉強に精を出しましたから」
「嘘付け」
「ちょっ、即答すぎでしょ」

遙は勉強をまったくやらずにサボっていた二人に嫌味を浴びせると、
自分の勉強道具をバッグの中にいれて立ち上がった。
先に行かれてしまうと思い、琴葉も急いで自分のものをバッグに入れる。

「待って待って!私も行く!
 どっかに食べに行くの?それともコンビニ?」
「んー?あー、たぶんコンビにかな。
 ていうか、琴葉さっきご飯食べたばっかりじゃないの?」
「……勉強するとおなかすくの!」
「そっかそっか、じゃあ行く?」

つい数時間前に起きて朝ごはんを食べたはずの琴葉は遙の問いかけに
少し理不尽な言い訳をするとみんなでコンビニへとお昼を買いに行くことになった。

66:大和:2014/03/22(土) 20:11 ID:R9U

「……や〜、今日はほんと楽しかった!」
「うんうん!勉強もはかどったことだしね」

たいして勉強などしていないはずの怜と朱里は元気にそう言う。
お昼ご飯を食べた後琴葉たちは近くの公園で遊んだ。
日は自分たちが思うよりも早く沈むもので、
公園で遊んでいたのも束の間もう夕方と時間は進んだ。
帰り、それほど綺麗でもない夕日の光を浴びながら歩いていた。

「遥のおかげで勉強すすんでよかったよ〜」
「そう?琴葉の役に立てたなら俺もよかった」
「……え、あっ、そんな……
 遥も楽しくないと意味ないでしょ!」
「ん?誰も楽しくなかったなんて言ってないよ?
 もちろん俺も楽しかったしさ〜」
「……それなら、いいけど……」

遥の言うことに琴葉は自分ばかりが楽しくては意味がない、
と言うが遥は満面に近い笑みを浮かべて琴葉を見た。


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