夏の終わりに曼珠沙華を捧げよう

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1:梅雨前線 ◆BFKw:2013/06/15(土) 21:54 ID:xk2

「それは夏が終わりかけていたある頃の、お話」

2:梅雨前線 ◆BFKw:2013/06/15(土) 22:20 ID:xk2

-プロローグ-

それは涼しくなり始めた夏の日
君は突然現れた
そして僕達にいろんなものを教えてくれて
突然消えた

君といた日々
君がくれた大切なもの
どうか、思い出が。この思い出全てが消えませんように……

3:梅雨全線 ◆BFKw:2013/06/16(日) 11:57 ID:U4Q

一章 私と君達。第一話「彼岸花」

「夏休みもあと一週間で終わりだねー」
女の子特有の甲高い声で思い出したようにそう言うと、宿題である問題集を全て解いたノートの上に芯が出しっぱなしのシャーペンを置き頬杖をつく。

佐々木 詩帆、通称「ササキノ」。
17歳で、2年A組。俺のクラスメートの中でもダントツに仲の良い友達の一人。
頭脳明晰、顔は上の下くらいでメガネ娘。
黒いロングヘアーをいっつもポニーテールにしてるのが特徴的。

「うおぉ、時間よ止まれぇえ!! 宿題終わってないんだよおぉお!」
頭を抱え込んでそう叫び、宿題は一問も終わっていないのに閉じたノートの上に芯を仕舞ったシャーペンを置く。
そして「時間は止まるはずないのだから願っても意味ないよ」とササキノに呆れられている図体のでかい男。

渡辺 健太。通称「ナベ」。
17歳で、2年A組。俺のクラスメートの中でもダントツに仲の良い友達の一人。
運動神経は抜群なのにかなりのバカ。
こいつは歴史の時間にアインシュタインの事をサンタさんと言った男だ。
身長182cm、趣味は筋トレらしい。
顔は濃いめでイケメンと言うよりは男前の方なのだが、これまたすごく男前。それに性格も男前。当然モテる。
でも彼女はいなくて、……こいつは中学の時からササキノを一途に思い続けてるやつだから、告白なんて受け取ったことは一度もない。

「宿題なぁ……。俺は間に合うくらいかな」
そしてノートを見返しながらそう呟く少年。……俺。

徳川 紘。通称「イエヤス」。
なんでこんなあだ名がついたんだろうか。名字のせいか。俺天下統一なんてしてねーよ。
天才で超イケメン。運動神経抜群でその上とっても優しい爽やか男子!!

……って思いたい。
実際は至って普通……って言うよりは変わり者って言われる。
よくナベやササキノに言われるのが
「顔と頭はそこそこいいのに性格が同じ人間とは思えない」
酷い。
まぁ、一つ証明できるとしたら今こうやって脳内で自己紹介してるような痛い子ってことですよ。

4:匿名さん:2013/06/16(日) 14:36 ID:4Xo

イエヤス……見るからにヘタレそうなのですが……
最初だけなのに凄く面白いです!

5:梅雨前線 ◆BFKw:2013/06/16(日) 15:19 ID:H2g

「ねー、イエヤスー」
そんな中、ササキノが部屋の障子と網戸を勝手に開けながら俺のあだ名を呼ぶ。
「んー。なんだ?」
くるくる回る椅子で回転するのを止めてササキノを見ると、既に障子と網戸は端に寄せられていたようで。
夏だなぁ、と感じさせられる大きな入道雲と家の庭が眺められるようになったのを確認すると、ササキノはくるりと振り返る。
「ナベ、寝ちゃったね」
くす、と少し微笑むササキノ。
俺だって男だ。
女の子の微笑みに無関心な程リアルが充実してる訳でもないし、それに加えて今はおかしくなってしまうほど暑い昼の一時。
ササキノの微笑みに惚れてしまいそうになる……って何考えてるんだ自分。
そこには寝てるとはいえササキノのことを好きなナベがいるし、読者様が誤解しないように言っておくが俺はササキノの事を一度だってそんな風に思った事はない。無罪だ。

「人ん家でいびきかいて寝るやつがいるか? ありえんよな」
「そだね」
そう言い、喉を潤す為に水滴がついたコップの中のオレンジジュースを飲み干すササキノ。
おお、いい飲みっぷり。

「っぷはぁ、……彼岸花はまだ咲かないの?」
……またこの話か。
家の庭には毎年、彼岸花が咲き誇る。
っていうか、さっきから庭、庭っつっても本当の庭じゃなくて空き地なんだが。
俺の家の隣には元々お金持ちの家があったようで、だだっ広い空き地は高くて買う人もいなくて、庭状態。
で、そこには誰かが球根を植えた、といわんばかりに毎年彼岸花畑がそこに出現し、青空とのコラボですごいいい景色になる。
ササキノは赤くて凛としているその彼岸花が好きなようで、夏休みが終わりに近付くと中学の時から、毎年毎年そう質問してくる。
「彼岸花はまだ咲かないの?」と。

「まだ速えーよ。九月に出直せ、それと彼岸花って言うなって毎年言ってるだろ……」
「そかー。あ、そだ。なんでイエヤスはそんなに『彼岸花』って呼ぶの嫌がるの?」
相手が俺の返答に首を傾けたのを見て、呆れからか不意に溜め息をつく。
「彼岸イコール死、だろ。死花がすぐ近くに咲いてるなんて縁起が悪い……。曼珠沙華って呼べ曼・珠・沙・華!」
俺がそう言うと、ササキノは曼珠沙華かぁ……と呟いて裸足で空き地に駆け出す。
かえって来たときに床が汚れるじゃないか……と眉を寄せていると、ササキノが俺に言う。

「絶対、彼岸花の方が似合ってるよー!」
そうして、「あの赤い花の名前について」というちっぽけな議論は
「彼岸花の方が似合う」という少し強引な結果で終止符がうたれた。

6:梅雨前線 ◆BFKw:2013/06/16(日) 15:24 ID:H2g

>>4
イエヤスは「主人公っぽくない主人公」にしていくつもりですからねww
感想ありがとうございます!!
“面白くない作文しかかけない”マイナスレベルの文才を持った僕ですが、頑張ります!←

7:梅雨前線 ◆BFKw:2013/06/17(月) 18:38 ID:H2g

一章 私と君達。 第二話「おかんと湯加減」

「あー、もう五時かぁー……。よし、ナベ!! 起きて、もう帰ろー」
そう言ってこんな蒸し暑い中、一時から五時まで寝続けていたナベを起こして二人は家を出ていった。

ササキノのせいで汚れた床を雑巾で拭く。
なんか知らないけど俺、一ヶ所掃除したらその周りの汚れや散らかりまで気になる人間なようで。
結果、部屋は隅々まで綺麗になり、巻数が関係なく並べられていた漫画は一巻から最新巻まできっちりと並べられている。
掃除している途中、部屋の中心にある丸い机に思いきり足を打って悶えたことは秘密。ぐへへへ、今もまだ痛いぜ。

部屋を綺麗にした達成感も薄れてきた。
読みかけのライトノベルを手に取り、部屋の隅に設置されているベッドに飛び乗る……なんて埃のたちそうなことはしない。座る、足を乗せる、寝転ぶという行程を一つ一つ丁寧に終わらせると、ページを適当にめくってしおりを探して、抜く。

「LIO」という、この、絵だけは可愛いノベライズのあらすじはかなりえげつなく。
主人公、「白崎 刹那(しらさき せつな)」は、幼馴染み「佐藤 梨緒(さとう りお)」を思い続けて5年。やっと梨緒と両思いになれた。
付き合い始めた二人だがある日、刹那の部活の先輩から「梨緒が浮気をしている」という情報を聞き、梨緒を問い詰めると意外とあっさりと真実を吐く梨緒。
すると梨緒の体はもう清純といえるものではなくなっており、それでもまだ好きだという刹那に梨緒は別れを告げる。
諦めきれない刹那はストーカーとなり梨緒に復縁を求めるが、精神的に追い詰められた梨緒は自害にはしる。
『俺は暖かさを、温かさを失ったリオの死体を抱きながら、涙を流した。
「俺は……俺はお前を守ってやれなかった……っ!」』
……このノベル、買ったはいいものの主人公の考えてる事が分からなくて、最近はもう読む気もなくなってきてるんだよな……
俺だったらこのヒロインみたいな女と付き合ってたってわかったら吐き気がするし、こっちから願い下げだ。
それなのにストーカーになってまで好きってことを伝えたいなんてもうそれこそ正反対だ。
この主人公に自分を重ねることができれば話は面白くなり、お金は無駄にならないのだろうか。
試しに台詞を読んでみる。
「俺は……俺はお前を守ってやれなかった……っ!」
恥ずかしい。

「あぁあ、飽きた」
しおりを差してから、ノベルを閉じると枕元に置き天井を見つめる。

8:梅雨前線 ◆BFKw:2013/06/17(月) 18:41 ID:H2g

訂正
「吐き気がするし、こっちから願い下げだ。」

「吐き気がするし、そんな女こっちから願い下げだ。」

よく見たら日本語がおかしくなってた……w


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