†Reaper∞Game†

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1:若葉 ◆cmNw:2013/07/07(日) 22:35 ID:V6o

掛け持ちです!
和訳するとですね
「死神ゲーム」
です。

では>>2から本編をどうぞ!
コメントよろしくお願いいたします!

2:名前変更(このスレだけ)若葉→柊(ヒイラギ):2013/07/07(日) 23:17 ID:V6o

__クスクスと聞こえる幼き少女の死神が笑っているような笑い声。

 私はいつも『それ』に振り回されているんだ。
目が覚めるといつもの自分の部屋の天井が見える。

「夢・・・・か」

 私は起きて、中学の制服に着替える。
着替えが終わったら、少し急ぎ足で階段を降りる。

 目の前には父と妹の柚葉が座っている。母は慌ただしく朝食を置く。
「ほら、雪華も食べなさい」
 私は座り、朝食を食べる。

 食べ終わったら玄関に放ってある革製の鞄を握り玄関のドアを開けた。
待ち合わせ先に行くと、私の幼稚園からの親友の皐が居た。

「遅いよ雪華・・・・・ほら行こう? 
 遅れちゃうよ」
 
 皐は私の袖をクイクイと引っ張り合図をした。
私は「ごめん」と謝って皐と共に走って学校までに行った。

3:若宮鈴音 ◆RCWE:2013/07/07(日) 23:25 ID:ez-lSg

更新待っとったよww
新作ガンバ*

4:柊 ◆cmNw:2013/07/07(日) 23:41 ID:V6o

>>3ありがとう(*^▽^*)
~prologue〜END

~死神ゲーム~01State
 学校へギリギリで着いて、私達は急いで準備した。
そして、朝の時間が過ぎていき授業も終わって休み時間に入った。

 皐が、私の前の席に座ってこう聞いてきた。
「今日はあの夢見た? 」
 あの夢とは死神の声の夢の事。
「見たよ・・・・」
 私は皐の質問に溜め息をつきこう答えた。

皐は、ツインテールの黒髪をクルクルと捻ってこう言った。
「そっか・・・・・・・・・・・」

 いつからだろうか。
あの夢を見るようになったのは・・・・

 そんな話をしていたら五分間の休憩は終わっていて
皆は続々と席に着いていった。

 時は放課後。
私はいつも通りに部活を放棄し皐と一緒に家に帰った。

 私は家に帰って暇だったから自分の部屋でパソコンをしていた。
していたのはいいものの、急に目眩が私を襲った。

 私はベッドで横になるとあっと言う間に眠りについていた。

5:柊:2013/07/08(月) 00:05 ID:V6o

 気が付いた時私は城らしき場所の床に座っていた。
周りを見渡すと、しんとしている。

 そんな時にコツコツと足音が響いた。
足音の方へ視線を向けると
金色に輝く長い髪に赤と緑の左右対称の瞳の少女が私に手を差しのべた。

少女は私と同い年位に見えた。
「来てくれたのねスノウ・・・・・・
 さあ立ち上がって今からゲームをするのよ」
 

__少女の手はひんやりと冷たかった。

6:若葉:2013/07/08(月) 06:14 ID:V6o

 言われたままに着いた前は、だだっ広く証明で明るいホールだった。
ホールには大勢の少年少女・・・・
私と同じぐらいの人々がざわざわと騒いでいた。

 私もその中に混ざり、皆と同様に待機していると急に明かりが消えた。
そして消えたと同時に声が聞こえてきた。
「ようこそ・・・・・・私の手駒達。
 今からゲームを始めますわよ」

 皆は声を更に大きくさせ騒いでいる。
そんなときに明かりがさっきの少女に当たった。
「ゲームを説明します。
 このゲームの参加者は、

『私を見つけ殺して下さい』

 殺せなかった者はこの城に多くいる黒服の者に殺されます」
 皆は少し笑みを浮かべながら述べている彼女に驚いたの唖然としている。

「あとルールです。
 私以外の者は殺してはいけません。
 もちろん黒服もです。
 あと、それぞれこの先にある階段を上った所に貴方達の宿泊場所があります。
 宿泊場所では、私を殺してはいけません。宜しいですか? 」
 淡々と話す少女は少し不気味と感じられた。

皆は今から『ゲーム』という名の物に恐怖を感じるだろう。
だって、殺すんだ。
人を__殺さなければ自分が殺される。

 こんな薄っぺらいTシャツで自分を護れる筈がない。
しかも、相手の黒服達は何を使って私達を殺すのか分からない。
 私はこの状況にとても

__怯えている。

7:乃愛 ◆snuQ:2013/07/08(月) 06:57 ID:7jE

めっちゃ面白いです!
がんばってください!

8:柊:2013/07/08(月) 07:03 ID:V6o

 震えてるのは皆同じだった。
「では、開始します。なお、武器は
 この城のどこかに隠されています。見つけて下さいね」
 少女の声は冷たく、凛としていてその冷静さが逆に恐ろしかった。

 静けさだけで埋まるこのホール。
皆は始まっても中々動かなかった。
唯一動いたのは私だった。

 私は武器を探しにあちこちと探した。
だが、夢は夢でも体力は限られている。
 もう、倒れそうなぐらい走っていると
ドアの上の微かなスペースに剣と思われる光が私の視界に入った。

 だが、ドアが二メートル位あり、届かない。
そんな時に少年が私に話し掛けてきた。
「おい、お前俺に乗れ」
 少年は私を肩車しようとして屈んで肩を指差している。
折角のチャンスを無駄にしたくないので私は「ごめん」と言って彼の背中に乗っかった。

「取れた・・・・! 」

 私が剣を手にとってそう言うと
「良かったな」と少年は言ってその場から去っていった。

9:柊:2013/07/08(月) 07:16 ID:V6o

>>7ありがとうございます(*´▽`)

__少し長めの茶髪で黒い瞳。
格好いいと言われるような顔つきに黒いスーツの同じ年位の少年だった。
私は剣を片手に持ち、盾を探しによろよろとした足で踏ん張って走った。

「疲れ・・・・た・・・・・・」
 私はそう言って自分のふくらはぎを擦り、床にへたりこんだ。
立とうとしても体が鉛のように重たくて立ち上がれない。
ひんやりとあの少女の手のひらの様に冷たい大理石が足に当たる。

「戦わなきゃ・・・・」

 私はそう呟き頑張って立ち上がった。
やはり、足は痛く私はまた走り出した。
 私は、宿泊場所の長い廊下を抜けてその向こうの食堂にたどり着いた。

 剣と同様に怪しく光る物が食堂の椅子の上に置いてあった。
手に取るとそれは盾だった。
頑丈そうな盾と剣、

あとは『戦う』ことだけ__

10:柊:2013/07/08(月) 17:29 ID:V6o

 私は盾と剣を握り、最後の力を振り絞り
食堂から宿泊所の自分の部屋へと駆け抜けた。

 私は、ドアノブをギュッと握りドアを開けた。
目の前は普通の部屋。部屋の西に白い枕に白いシーツがピシッと敷いてあるベッド。
ベッドの横には木製の小さなテーブルとこれまた木製の椅子。

 そして一番奥には、シャワールーム。その横にはトイレだ。
そして東側にドレッサーの様な物が置いてあり、
その横にはクローゼットがある。
中は私好みの黒と紫の夏だからか半袖パーカー、濃いピンクのTシャツ。
黒のスカート、オーバーオールが並べてあった。

 私はこの部屋の一応引き出しを全てチェックした。
中身は、スタンガン、拳銃、サバイバルナイフの三つだった。
どれも凶器と思われる物ばかりだ。

これであの主の少女を殺せと言うのだろうか? いやきっとそうだ・・・・。

11:柊 ◆7Szo:2013/07/08(月) 18:40 ID:V6o

 私がベッドで座って武器の手入れをしていると
キーンとどこからかマイクの音が聞こえた。

その雑音のあとに、あの少女の声が聞こえた。

「皆さん私、レイラ・ライデルト__
 を殺す用意は出来ましたか? 
 それでは、私を見つけて頂戴」
 殺されると言うのに凛とした冷静な声が聞こえる。

レイラ、残念ながらこっちはもう『準備万端』だ。

 私はニヤリと笑うと、ノックの音が聞こえた。
ドアを開けると、私と同じ背丈位の肩までのウェーブの銀髪で青く澄んだ瞳の少女が

「あの・・・・今から会議の様です・・・・・・場所は食堂です!
 勿論主催者のレイラは居ないみたいですから大丈夫みたいです」

 私は手につけている茶色のゴムで髪を一つに縛り
「行くか」
 と呟いて静かに部屋を去った。

 食堂へ行くと皆はしんと不気味な位に静かだった。

12:柊 ◆7Szo:2013/07/08(月) 21:56 ID:V6o

 五分ぐらい経ったとき、
髪の長いパーカーを深く被っている
背丈の高い女性はこう述べた。

「私の名は清水 雪乃(シミズ セツノ)だ。
 言うが、この中に我々を
 “殺そう”としている裏切り者はいないか・・・・? 」
 皆はその雪乃の言葉に騒ぎ始める。

「裏切り者は挙手を願う」
 彼女はこう述べると誰も手は挙げなく、

裏切り者はいないという事になる__
いや、『居るけど姿を隠している』
そんな単純な事なのかもしれない。

 私は呟く。

「『居るけど隠しているだけ』かもよ」

 その言葉が聞こえたのか雪乃は
「誰だ」
「神野 雪華。中学二年生の十三歳」
「面白いでは無いか・・・・
 その奴は戦いの時に敗れる者だな」

 雪乃はフッと笑い私を見る。
フード越しから見える
さらさらとしている黒い髪が印象的だった。

13:柊 ◆7Szo:2013/07/08(月) 22:22 ID:V6o

 雪乃はフードを取り私にこう
「面白いなお前。
 レイラではなくお前と戦いたかったよ」
 と笑顔で言った。

「話が長引いてしまったな。
 すまない解散してくれ」
 そう言って彼女は戻っていった。

私が戻ろうとしていたとき、放送が入った。
「皆さんに重要な事をお教えしてありませんでした。
 私、レイラを殺すのがGAMEですが
 もう幾つかこのGAMEを楽しくするためにルールを加えて見ました。

__私を殺す為に仲間も殺しても良い。
__私が殺されたらこの城の中で仲間の約百人を殺し合いなさい。
__そして殺し合う前に“愛”と“友情”を知りなさい。 以上です」
・・・・レイラの言葉の最後にはとても謎が多かった。

『愛と友情を知れ』

 いつもは凛として言っているレイラが
この言葉を発する時のレイラは少し寂しげに感じた。

14:柊 ◆7Szo:2013/07/09(火) 19:28 ID:V6o

____見ず知らずの者と殺し合う。

 立ち止まっている私の足はブルブルと感じたことのない
震えをかもし出している。
 私は放送が終わったあとに疲れた足を引きずりながら部屋へ戻った。

時計を見ると先程着いたばかりの時は
十時半過ぎだったのが十二時丁度を時計の針は指していた。

 説明していなかったが、この部屋には監視カメラがある。
部屋の鍵は手をかざすだけで開いたり
閉じたりするシステムだ。

 監視カメラに監視されるのに不満を覚えつつも
私はベッドへ仰向けになって倒れた。
__見えるのは染みひとつない綺麗な白い天井。
私はだんだん瞼が重たくなり眠ってしまった。

 目が覚めると、いつもの自宅の部屋の天井。
全てが『夢』だった事に私は安心してふと時計を見た。
 時計は五時丁度を指す。
眠ってから一分しか経っていない。
夢の事なのに、

人を殺さなきゃいけないという恐怖に怯えてるのは何故だろう。

 私はベッドから出て、暑いと感じながらも宿題を始める。
私は、中学二年にもなって面倒臭いという理由で部活は所属していない。
 それに、塾など習い事は一切ないから一日中暇だった。
宿題を約五分で終わらせ、私は特に意味もなく一階のリビングに下りた。

15:柊 ◆7Szo:2013/07/10(水) 21:08 ID:V6o

 テレビを付けてみても考えるのはあの夢のゲームという名の殺し合い。
もし、名前を付けられるのなら私はこう名付けたい。

死神ゲーム

 レイラという名の少女は死神に等しい存在だろうと私は考えている。
理由と聞かれると私はこう答える。
__殺し合いを考えているなんて死神位しか居ない。

そう私は考えているからだ。

 その日はいつの間にか終わり、翌日学校のこと、私が教室へ皐と足を踏み入れると、
クラスメイトの望月 千尋(モチヅキ チヒロ)は私達の前に慌ただしくやって来て
私達にこう言った。

「転校生が来るんだって! 名前は__
 卯月 冷南(ウヅキ レイナ)だって____」

 私はこの発言に恐怖感を感じた。
理由は不明だが、全身が凍てつく程の
恐怖が私を襲ってきたのだ。
 そんな私を皐は横から私の顔を覗き「大丈夫? 」と心配していた。

16:柊:2013/07/11(木) 21:24 ID:V6o

 私は謎の恐怖に体を小刻みに震えさせてHMの転入生紹介まで乗り越えた。
だが乗り越えたのも崩れるように
転入生の卯月冷南を見た瞬間
あの夢の恐怖が私の体へゆっくりと染みてきていた。

「卯月冷南です。
 一年間よろしくお願いします」

 冷南はあの夢のレイラに似ていたからだ。
左右違う赤と緑のオッドアイ。
風になびく金色の緩やかなウェーブの腰までの髪。

__全てが、死神の様なレイラに瓜二つだ。

 彼女が先生に指定された席に向かう途中、
私の席を通って耳元で冷南はこう私に囁いた。

「__貴方の夢以来ねスノウ」

 スノウ・・・・つまり雪を表す。
私は幼いときから雪と呼ばれていた。
だがそれを知っているのは家族と親戚、そして幼いときに事故で亡くなった

__親友の草影 日向(クサカゲ ヒナタ)。

17:柊 ◆7Szo:2013/07/12(金) 21:28 ID:V6o

 親戚にも勿論家族にもこんな綺麗な瞳の少女は居ない。
日向は私の記憶だと確か緑と赤の瞳に金色のウェーブに肩までの髪。

「日向・・・・?」

 私はそう通りかかろうとした冷南に、いやレイラでもあり日向なのかもしれない。
頭が疑問だらけであるのに口が勝手に開いて小さく呟いていた。

冷南は立ち止まっていて私は彼女の方へ視線を向けると涙を床に溢して

「__久しぶり。雪」

 と夢の彼女の反対に弱い声で私の質問に答えた。
私も自然と涙を机に溢していた。
生きていたんだ。日向は__
この八年間の大切な友人を失った悲しみと
殺さなきゃいけない『夢』という名のゲームへの不満と怒りが
全てこの涙に含まれていた。

 涙が落ちていく度募る怒り、悲しみ、戻ってきたという喜び。
矛盾する感情が緩やかに涙で結び付く。
__今思うとこれは夢の開幕だった。

〜死神ゲーム〜01(夢の開幕)
END

18:柊 ◆7Szo:2013/07/13(土) 12:19 ID:V6o

〜死神ゲーム〜02(夢と現実の目覚め)START

 まとめると、レイラは幼いときに事故で死んだはずの日向__。
考えれば考えるほど訳が分からなくなり
ろくに授業を聞けやしない。

 考えると全て謎が深まっていき絡む。
もう時間が経っていたのか十分間の休み時間を告げる鐘がなる。
鐘と同時に日直の気だるそうな号令が教室全体に行き渡る。

 号令もかけ終わって、皆は一斉に散らばり喋り出す。
私はずっと、席でぼーっとしていた。
ぼーっとより、考えていたが正しいのかもしれない。
考えていた内容は冷南の事ただひとつ。

 そんなときに左肩を軽く叩かれたので後ろを振り向くと冷南は

「雪、ごめんね今まで__」

 と寂しそうな目に微かな声で言った。
その目は昔と変わらない優しい目。

どうして私は夢なのに貴女を殺さなきゃいけないの……?

 その日は終わり、私は一人で朝顔が咲く美しい通学路を通って家へ帰った。
部活も無いのに今日はやけに疲れて部屋へ行った瞬間力が抜けて
私は眠る前に力を振り絞ってベッドへ横になった。

眠って数十秒の事__
起きたのは城の宿泊所の自分の部屋。
体を起こし時計を見ると針は十二時丁度を指す。
つまりあの日眠った時間帯と変わっていない。

 ベッドから立ち上がり、喉が渇いたから
食堂へ向かおうとドアの前へ来たら
ドアの前にはこの間の会議の時に立て掛けておいた盾と剣、
その横の棚のような場所にはスタンガン、拳銃、サバイバルナイフ
の三つが置いてがあった。

19:柊 ◆7Szo:2013/07/14(日) 08:55 ID:V6o

 改めてスタンガンを手に取ると、恐怖を感じた。
これらを使って日向を……レイラを殺さなきゃいけない。

そしてこれらで皆を殺さなきゃいけないんだ。
私は震えているスタンガンを持つ手を押さえて足の力が抜けたのか
床へ座って__泣いていた。

 そんな時に聞こえたのは放送のキーンとした嫌な音。
そのあとに聞こえたのはいつも通り冷静に話すレイラとしての声。

「__皆さんに連絡があります。
 私を殺した者には褒美を黒服か受け取りなさい。
 あともうそろそろ殺してもいかが? 」

 その何時もより短い言葉には同じように話しているのに何故か優しげに感じた。

「日向・・・・」

 私は放送がなりやんだ後の寂しげな自室にそう涙声で呟いた。

20:柊 ◆7Szo:2013/07/14(日) 09:21 ID:V6o

__私は決めた。
レイラを、日向を殺しに行く。
そんなときだった。
ドアのノック音がじわっと殺意満ちていた部屋を忘れさせた。
「す、すみません……!
 食堂で雪乃さんが会議をやりたいと
 仰っていたので呼びに来ました……! 」

 私は手に持っているスタンガンを
棚の上に静かに置いて溜め息をつき部屋を出た。
 食堂に行くと少しずつだが人は集まっていた。
そして百人位、全員が来たのを確認すると雪乃は咳払いをして

「突然に呼び出して申し訳ない。
 それでは会議を始める」

 と言って会議は始まった。
会議が始まったのは良いものの、無言だった。
私は、それに耐えられなくて立ち上がってこう言った。
「もうそろそろ、殺ってもいいんじゃない? 」
 皆はざわざわと騒ぎ始めた。
雪乃は
「良いだろう。そろそろ殺さないと
 ここで一生閉じ込められたままだな」
 と言い武器の確認と計画が始まった。

21:柊 ◆7Szo:2013/07/15(月) 07:51 ID:V6o

「計画はこうだ。
 レイラは確か自分を殺さなければ黒服に殺されると言っていたよな。
 そこで提案だ皆で殺せば良いのでは__」
 話をまとめると、レイラをこの城内から
探し見つけ取り押さえるのが五十人、殺すのは百人つまり全員だ。

 次に武器の確認に入った。
皆食堂から部屋まで武器を取りに行き
数分後に確認が始まった。
 確認と言っても、雪乃がテーブルに置いた皆の武器を歩いて見るという物である。

 武器の確認が終わったのか雪乃は中央の机の一番前のいつもの席に座っていた。
「では、これで第二回会議を終了とする。
 急な呼び出しに応じて有難い。
 では、解散だ」
 雪乃の声と共に皆はどんどん散らばり始めていた。

私も部屋へ戻ろうと考えて部屋へ歩み出そうとしたときに雪乃に声をかけられた。
「おい、確か雪華だったな
 面白い奴だ。
 お前ならきっとレイラを一人でも倒せそうだな」
 雪乃はそう言い笑みを浮かべた。
私はその雪乃の言葉に対して背を向けてこう述べた。
「私一人じゃ……無理よ。
 この武器だって協力して取れた物だもの」
 そう言って私は部屋へ戻った。

22:柊 ◆7Szo:2013/07/16(火) 23:01 ID:V6o

 その自分の一言が頭を回っている。
その中に紛れているのは
黒服で顔立ちの整った私と同じぐらいの茶髪の優しい少年。
 黒服が私達を殺すとレイラは言うが、私はそんなの信じない。
いや、『信じたくない』のかもしれない。

そして今気づく。
私はあの少年に恋をしてしまったんだと。

 口に付けてしまった禁断の敵への恋の果実__。
もう、それは毒のように体を占領して
自分でもその作った毒は止められなくなった。

『愛と友情を知れ』

今日この暑い中愛と言うものを人生で初めて知ったのだ。

ベッドへ倒れると恋心と言う毒と同時に眠気が私を誘う。
私はその毒達の誘惑に負け、自分の使っている城の部屋の
白のシーツにマットの上に横になって眠りに落ちた。

 目が覚めると見慣れた天井。
現実へ来たんだ。時計を見ると五時五分過ぎだった。
 やはり時間は眠った時の時間と変わっていなく
何時間夢で時を過ごしても実際は一秒も進んでないのだ。

 私はまた眠りに落ち今回は明日の朝まで深く眠った。

23:柊 ◆7Szo:2013/07/17(水) 16:58 ID:V6o

 薄く瞼を開けると見えるのは淡い緑のカーテンから
眩しいけど爽やかな朝の日差し__
時計を見ると朝の七時半過ぎを針は指す。

 そして、体を起こしてカレンダーを見ると水曜日だ。
「今日は開校記念日だったけ……」
 そう呟き、カーテンを隅まで寄せた。
私は重たい体を引きずるかの様に一階へ朝食を取りに下りた。

 降りたら母はスーツにタイトスカート、薄く塗ってある赤に近いピンクの口紅。
母は婦人警察官で、朝八時から仕事だ。
「あら、雪華朝食はテーブルの上に用意してあるから
 レンジで温めて食べてね?」

 母は忙しそうにリビングから出ていきバタンと音を立てて我が家を出た。

私はリビングのテーブルに
置いてある朝食を温め、
その間に隣に置いてあった
テレビのリモコンを手に取りテレビをつけた。

24:柊 ◆7Szo:2013/07/18(木) 15:28 ID:V6o

 朝食を取り、私は中学一年にもなった妹の柚葉がまだ寝てるので
起こしに行った。
これはいつものことだ。

階段を上ると途中ギシギシと音がなる。
壊れるのに怯えつつも二階へ上がった。
二階の北にある柚葉の部屋のドアの前に私はいる。
私はドアを軽くノックして
「柚葉ー入るぞ」
 と言い、金色のドアノブを掴みドアを静かに開けた。
ベッドの方を見ると説明し難い寝相で柚葉は寝ている。

「起きろー!」
 柚葉は基本言葉だけでは起きないので柚葉の脚の脛(スネ)を足の裏で蹴った。
「痛いよ……お姉ちゃん」
 柚葉はゴニョゴニョ言いつつ目を擦ってやっと起きた。
「ほら、朝食お母さんが置いてくれてたからお父さんと一緒に食べてて
 私はさっき食べたから」
 柚葉は頷き部屋を出ていき私もそれのあとに続き出た。

 私は、とりあえず自分の部屋へ行きベッドへ仰向けに倒れこんだ。
見えるのは薄汚い白い天井、ちょっと右の方を見ると白く丸い明かりのついていない蛍光灯が見える。

 ふと思い出すのはあの少年の顔。
でもこの恋は叶わぬ恋なんだきっと____
 想えば想うほど苦しくなる心。
その心はまるで病気に蝕んだ感じで痛い。
ただただ“痛い”んだ__

 いつの間にか涙で枕を濡らしている私。
彼に会いたいという一心と疲れで私は
深い眠りに落ちた。

25:猫ちゃん:2013/07/18(木) 16:26 ID:Dx6

上手いですね!

26:柊 ◆7Szo:2013/07/18(木) 18:11 ID:V6o

From…*猫ちゃん様*…
あっあっありがとうございます!!!嬉しいです!

〜本文〜

 起きると初めてここに来た時に見えたホールに
私は横に倒れている。
黒と白のチェッカーのタイルの感触が肌に触れて肌がひんやりと冷たい。

起き上がり周りを見渡すがレイラも誰も居ない。
見えるのはタイルに反射するシャンデリアの光__

そんな光を下を向き追って歩き続けるとぶつかった。
壁とかそんな固いモノではなく若干柔らかい感じのモノにぶつかった。
「あっごめんって……お前か…………
 大丈夫か? 」

 見上げると黒服の茶髪に優しそうな黒い瞳のあの人が居た。
「大丈夫…………」
 私は咄嗟にうつ向きそういうと
「そっかんじゃな」
 と言い去ってしまった。
チラッと彼の方を見ると、大きな背中でちゃんと男の子って感じがした。

話しかけられるだけで顔が赤く染まる。
これが『愛『だと言うなら『友情』は……

どこ?

〜死神ゲーム〜02(夢と現実の目覚め)
END

27:柊 ◆7Szo:2013/07/18(木) 20:46 ID:V6o

〜死神ゲーム〜03(友情)START

 私は気づく。
『愛と友情を知れ』
 この言葉の意味を理解してしまったらいよいよ

__殺すんだ。

 宿泊所の自分の部屋のベッドに仰向けに寝転がり、
考えていると放送のキーンと音が耳を貫く。
その後に聞こえるのはいつも通り冷静なレイラの声。
「皆さん……裏切り者がこの百人の中にたった一人だけ居ます。
 その報告をしたいため、
 一階のホールへ集まってください」
 裏切り者……つまり私たちを殺そうとしている恐ろしい人、いや、生物。

 私はベッドから体を起こし、何があるのか分からないので
ポケットにスタンガンとサバイバルナイフを忍ばせた。
 そして、部屋を出て一歩一歩静かに歩いて一階のホールへ向かった。

もう皆が集まったのか、
明るかったホールが一気に暗くなるそして光が現れそこへ視線を向けると
 木製のに座って口にガムテープ付けられて、
体を大縄の様なロープで縛られている

__皐が居た。

 目の前の状況に私は見つめるしか手立てが無かった。
その横にレイラが立ちレイラは
「裏切り者はこの人です。
 皆さん今からこの人物に刑罰をさせて頂きたいと思います」
 こんな状況にも声は相変わらず冷静で、その冷静さが恐ろしく私は感じた。

「では、皐さん……? 覚悟は宜しくて? 」
 私はふと隣の人を見ると、雪乃とあの銀髪の少女……名前は確か夏希だ。
夏希は涙がボロボロと出ていて
雪乃はそれを悲しそうな瞳で見ていた。
「ほら、誰を殺そうとしてたんだっけ? 」
 レイラは、ガムテープをゆっくりと剥がし皐は怒りで満ちた目でその質問に答えた。

「雪華よ……! 」

 私は別に驚かなかった。
むしろ当然だと思えた。
皐は私の前の笑顔がいつも引きつってて薄々嫌われてるのは感づいていた。

「さあ今から、処刑を始める。
 黒服の皆よ射て……!! 」
 その瞬間皐の体は矢で多い尽くされ
椅子の下には大量の血が流れていた。

「裏切り者は__とっとと死んで苦しめば良いのよ……」
 血だらけの皐を見てレイラはニコリと不気味な笑顔を浮かべて言った

皐は殺された。
そして今考えているのは

__友情とは一体何なんだろうか。

その事だけだった。

28:柊 ◆7Szo:2013/07/19(金) 20:05 ID:V6o

 夏希はその場に崩れ泣き叫ぶ。
そんな夏希の背中を雪乃は擦っている。
雪乃はフードで表情が見えにくかったが一瞬見えた。
彼女は涙を必死に堪えていた。

「死んじゃったねぇ……? 
 どうしましょうか……」

 クスクスと笑うレイラ。
昔のような優しい『日向』の表情の面影は彼女からは
もう欠片も見えなかった。

私はいつの間にかレイラの前へ居たようで、
気がついていたら彼女の頬に平手打ちをかましていた。

「ふざ……けないでよ
 人殺して何が楽しいんだよ……!!
 日向…………日向はこんな馬鹿で幼稚な事をする子じゃない!!!! 」
 一瞬レイラの目は、驚きで溢れてその美しいオッドアイから
一筋の涙という液が溢れた。

「ゆ、雪……雪ちゃん?
 私……私は…………
 __もうあの“優しい日向”じゃないよ……」
 彼女は微笑んで私の手首を強い力で握ってそう言うと指を鳴らした。
椅子に縛られている皐の死体が
椅子ごと上から鎖で引っ張られて、消えた。

 私はレイラの手を振り払い、レイラを突き飛ばして

「__あんたなんかもう嫌いだよ」

 そう涙声で言ってホールから走って逃げた。

____本当は全然好きなのにね

行く先は何処だろう……?
自分でも分からないぐらい走っていた。
 着いたのは、屋上の様な場所。
空を見上げると、黒い空の中に点々とあって輝く無数の星が見える。

私はコンクリートの床に座って
無意識に空に手を伸ばし、星を掴むような仕草をした。

 そんな仕草をしていると後ろから最も聞きたかった声が聞こえた。
「星綺麗だよなー」
 声の持ち主は黒服の少年だった。

星の光で照らされる彼の顔は一層輝いて見えた。
私の横に彼は大の字で寝転がって空を眺めていた。

「綺麗……だよね
 嫌なことが全部吹っ飛びそうなぐらい…………」
「だな……ところで名前は? 
 俺はまあ此処ではカイル・ライデルト。
 君らの世界だと卯月 海十(ウヅキ カイト)かな……? 」
「……神田 雪華(カンダ セツカ)」
 彼は「そっか」と言いニコッと笑った。

ここは暗いのに笑顔が太陽のように眩しい。
君は私にとても幸せという大きな力を与えてくれる。

__大切な人。

29:柊 ◆7Szo:2013/07/20(土) 07:53 ID:V6o

 私は大の字に寝転がり星を眺めながら彼にこう聞いた。
「カイル……貴方ってレイラの弟なの? 」
「そうだよ。でも双子の弟かな」
 彼はニコッと笑う。
髪の毛の色は違うがオッドアイの所はレイラと同じ緑と赤。
そんな彼の瞳に私は吸い込まれそうだった。

「ずっと……こうやって星眺めて殺し合いを放棄したいな…………」
「俺だって雪華とか他のプレイヤーを殺したくないんだよ……」
 彼の目には悲しみという感情が鏡の様に映っていた。

__私には彼を助けることも皐を助けることも出来ない意気地無し。

 星を眺める私の目には涙という液体が
浮かんでいて瞬きすると頬に液体が伝っていくのが分かった。
「……俺、実は好きな子居るんだ
 このプレイヤーの中に」
 カイルの一言が心を更に刺して目からは大粒の涙がこぼれ落ちた。
「へぇ……」
 君が好きなんだなんて言ったらどうなるのかな……?
きっと夏希とかが好きなんだろうな……。

「……好きな人は俺の隣にいる雪華って子なんだよね」

 驚いて彼の方を見ると恥ずかしげに笑った。
私もそれにつられて笑った。
「ありがとう……私も好きだよ」
 そういうと彼は一瞬目を大きくさせまた笑った。

__この人だけは失いたくない。

私にはそんな感情が芽生えた。

30:柊 ◆7Szo:2013/07/20(土) 11:49 ID:V6o

 彼は体を起こし胡座になった。
私も起き上がって正座を少し崩した様な体勢になった。
「絶対護るから。君達を」
「約束だよ? 」
 星に照らされて夜風が吹くこの屋上に固い約束が出来た。

「じゃあな」
 彼は“約束”をしたあとに屋上から去っていった。
私は少し星を眺めて宿泊所に戻っていった。

 私はベッドに寝転がった。
ふと時計を見ると真夜中の十二時丁度。
私は皐の死について考えていた。
気がつくと目からは涙が出ていて枕は湿っていた。
 段々眠くなり私は眠った。

目が覚めると部屋のいつもの薄汚い天井が見える。
「夢で……合ってるの? 」
 私はそう呟いて起き上がり、
ベッド横のミニテーブルに置いてある携帯を
手に取り安否確認に皐にメールをした。
 メールをして一時間過ぎた頃携帯のアラームが部屋を包み込んだ。
携帯を開くと電話だった。

出てみると皐の声が聞こえる。
「どうしたの〜? 珍しいじゃん
 雪華がメールよこすなんてさ」
「……声が聞きたかっただけ」
「そう……って一昨日学校で会ったばっかじゃん」
 皐はいつものように笑っている。
本当に笑っているのか私はそれを恐れていた。

31:柊 ◆7Szo:2013/07/21(日) 12:22 ID:V6o

>>30
「どうしたの〜? 珍しいじゃん
 雪華がメールよこすなんてさ」
「いや、ちょっとね」
「びっくりし過ぎて電話掛けちゃったよー」
 皐はいつもの様に笑って話す。

この皐の笑みは嘘なのか本当に笑っているのか私は彼女に嫌われるのが恐かった。

__彼女しか友と呼べる子は居ないから。
に直してお読み下さい。

32:柊 ◆7Szo:2013/07/21(日) 12:33 ID:V6o

 嫌われているのなら言って欲しい。
私のそんな“我が儘”が体を占領し口が勝手に動く。
「ねぇ……皐。私達って『親友』だよね…………?? 」

当たり前。

この言葉が今、誰よりも君の口から聞きたいんだ。
だって、君は『夢の死神ゲーム』で
私を嫌悪し、そのまま死んでしまったんだから__

「どうしたの……? 
 急に……そんなの嫌いに決まってるじゃん」
「え……? 」
 友情はあっという間に崩れ、消えて、
私はその『残骸』という名の友情を拾って直そうとしているんだ。
「なーんて嘘嘘! じゃあね……!」

 皐はそう言って電話を切った。
震える手には携帯がある。
耳を塞ぐのは煩い『プープープー』
という音だけ。

 皐の『冗談』は絶対にあれは
冗談ではない……
私にはそう見えた。

 嫌いって言った時の彼女は嬉しそうだったから__

33:柊 ◆7Szo:2013/07/21(日) 18:07 ID:V6o

 心が抉られたように痛い。
ゲームでもこんな痛みを味わった……

痛い……痛い……それだけ。

 涙も痛みと共に溢れて裾で拭っているといつの間にか雨に打たれたかの様に濡れていた。
 日向……日向……どうして貴女はこんな私に仕打ちをするの…………?
出会った時はそんな歪んだ性格じゃなかった……。

__出会いは遡ること八年前。
 あの時は確か心地よい風が吹いていた五月くらいのこと。
私は、一ヶ月たってもクラスで友達が居なかった。
皐は別のクラスだったし毎日がつまらなかった。

 そんな一ヶ月を送っていた私にたった一言声を掛けてくれた少女が居た。
「雪華ちゃん! お友達になろう! 私はね草影 日向って言うの! 宜しくね!」

 声を掛けてくれたのは金色の肩までのウェーブの髪で
赤と緑の瞳の少女。
外国人だと思うと日本語はペラペラ。
「よ、宜しくね」
 戸惑いつつも返事すると彼女はニコッと笑って自分のことを話始めた。
「私ねーお母さんから聞いたんだけどね
 イギリスと日本人のハーフなんだってー」
 金髪の理由もオッドアイの理由もその言葉から簡単に分かった。

「そうだ! 仲良しになれたから雪華ちゃんのニックネームっていうの
 考えよう!
 雪華ちゃんのせつって雪って書くんでしょ? じゃあ雪ちゃん! 」
 日向はニコッと笑って私もそれにつられて笑った。
それから私達は次第に一緒に遊んだりするようになった。
__けどそんなのも束の間。

 時は流れて一年後。
小学二年に上がった私達は始業式の後
一緒に午後の一時から私の家で遊ぶことになっていた。
 だが、一時半過ぎになっても来ない。
日向はいつも遅れても一時半には来る子だったのだ。

 私はリビングで待っているとすぐ側から煩い電話の音が聞こえた。
母が急ぎ足で電話に出た。

 だが母の様子が可笑しい。
話すにつれて涙が溢れていっていたのだ。
 電話が終わると母は屈んで私の肩に両手を置いて静かに話した。
「……日向ちゃんは車にぶつかって天国……行っちゃった…………」
 私はその意味が直ぐに分かって涙が溢れた。

34:柊 ◆7Szo:2013/07/21(日) 22:34 ID:V6o

 そんな涙しか流さない私の側にずっと居てくれたのが皐だった。
昔から変わらない赤いゴムで縛っている黒のツインテールの髪。
 皐……皐……私達約束したよね…………?
“ずっと親友”この約束忘れちゃったの……?

あれは、日向が死んでから二日経ち桜が散り始めた時のこと。
皐は、日向の代わりに一緒に帰ってくれた。

 この通学路を歩く度日向が死んだのが蘇る。
日向の家は通学路の途中にあるから……。
皐まで死んじゃったらどうしよう。
そんな事を考えて今にも泣きそうな私にこう皐は言った。

「ずーっと親友で居ようね雪華! 」

 この言葉を聞いたときは嬉しくて嬉しくて堪らなかった。
だけど今は、そんな嬉しさも瓦礫になって私はそんな瓦礫を拾い、
くっ付けられないかと無駄なのに集めている。

35:柊 ◆7Szo:2013/07/22(月) 12:00 ID:V6o

 嫌だ__一人はもうこりごり……。
日向……皐……君らのあの純粋な姿はどこにいったの……?

〜死神ゲーム〜03(友情)END

〜死神ゲーム〜04(喪失と光と)START

 私の手に入れた皐との『友情』は何だったのだろう……?
こんな紙の様に薄っぺらい物なのか…………?
ベッドへ泣きながら倒れ込んで枕に顔を埋める私は皐にとっては滑稽だろう。
 それでもいい。滑稽でも君の友人と思い込みたいんだ。
枕は涙で湿り私は薄い毛布を被ると現実逃避をしたいがために眠った。

____眠るしか逃げる道はないんだ。

 目覚めれば、宿泊所の自分の部屋。
壁を見ると窓は無く、閉め出されている感じだ。
 私は体を起こし、時計を見た。
針は、午前十一時を指す。

 クローゼットを開けて、
黒と紫の縞模様の半袖パーカーと
黒のスカートと黒のニーソックスを掴みとり着替える。

着替えが終わると私は食堂に向かい、
食堂の奥の方にあるパンを一枚取って皿に盛り、
部屋へ持って行って食べた。
味は微妙。食パンはこんなものだろう。

 つまらない。
そんなときに今まで城内では聞いたことがない緊急時に流れるようなサイレンが鳴った。
「__急。緊急。
 裏切り者が居ます。
 裏切り者は清水 雪乃。清水 雪乃。
 直にホールに集え。
 今から第二回処刑式を始めよう」

__え? 雪乃が……?
私は念には念を、
サバイバルナイフをポケットに忍ばせホールへ向かった。

36:柊 ◆7Szo:2013/07/22(月) 19:32 ID:V6o

 レイラは簡単に『処刑』と言い放つ。
だがその二文字には恐ろしい意味が含まれる。
 皐の時のような事になるのはもう嫌だ。
あの血の臭い、血塗れで眠る人。
それをニヤリと笑うレイラ__

 それでも必死に希望を見つけるために走る。
だがつきつけられるのは仲間の“死”____
レイラ……いや、日向。
君は何がしたいの…………?

 震えながらもホールへ走る。
ホールは薄暗く、他の皆は騒ぐ。
私は、横にいる夏希の背中を擦った。
彼女はずっと泣くばかり。
当然か……そばにいてくれた子が目の前で苦しみながら死ぬのだから。

 ざわめきが止まる。それと同時に聞こえるのは冷静なレイラの声。
私はこの状況にやっと気付き、レイラの方を向く。
スポットライトで照らされるのは
上から鎖で腕を縛られ、口にガムテープを付けている雪乃が居た。
その横に微笑むレイラ。

「__今から裏切り者、清水 雪乃の処刑式を始めます。
 では最初に『お別れの言葉』雪乃さんどうぞ……」
 レイラは雪乃のガムテープをゆっくりと剥がす。
雪乃は剥がし終わった後レイラを睨んだ。
「何がお別れだよ……!
 私は誰も殺そうとしていない!! 」
 レイラは雪乃の頬を指でつつきこう言う。

「あーら、貴方夏希さんを殺そうとしてたじゃない……。
 管理室から刀を持っている貴方が見えてたわよー? 」

 雪乃はじたばたする。
抜け出したいのは誰もが当然だろう。
私は更に涙を流す夏希の背中を擦り慰めるしかなかった。

37:柊 ◆7Szo:2013/07/22(月) 21:03 ID:V6o

 レイラは手に持っているさっき剥がしたガムテープを口に張り付けた。
その様子を見て、夏希は私の腕にしがみつく。
彼女も私と同様に小さく震えていた。
パーカーの肩の部分が少しずつ濡れていく。

 私はそんな夏希の頭を撫でて自分の感情を押さえていた。
「しかも……夏希さんの部屋の前をうろちょろしてたそうじゃない……?
 刀を持ってうろちょろするなんて不審者としか思えませんよ…………?? 」
 冷たい言葉が広いホールに響く。
レイラはニヤリと笑い雪乃の腹を履いているヒールで一発蹴った。
 雪乃は苦しそうに声に近い音を出す。
そして睨む。
「茶番もここまでね……じゃあ始めましょう」

 レイラは指を鳴らす。
するとあの、少年が悲しそうな目で赤い……灯油のタンクを差し出した。
レイラはふたを開け、雪乃の周りに灯油を撒いた。
 そして、レイラはポケットからマッチを取りだし、
火をつけて、灯油を撒いた辺りに放り投げた。
火はみるみるうちに大きくなり雪乃を包んだ。

ふと、彼女の目を見るともう、昔の面影は全て

__消えていた。

38:柊 ◆7Szo:2013/07/22(月) 21:24 ID:V6o

 炎の中に消えていく雪乃。
雪乃の声が消えた瞬間カイルを含む黒服達がホースで水を掛けた。

__目の前は黒。それしか言えない。

 レイラは指を鳴らし、私達に背を向け去っていった。 
私が彼女の背中が見えなくなった時に黒服の方を見ると、
何事もなかったかのように片付けられていた。

 時間が経つにつれて散っていく人の塊。
皆が消えても私と夏希だけはホールに
しばらくの間留まっていた。
 私は夏希を連れて宿泊所に戻ろうとしたら
後ろからカイルらしき声の人物に声を掛けられた。

「止められなくて……ごめん」

 振り向いた瞬間彼の口から聞こえたのはこの一言だった。
私は涙を浮かべるとカイルは後ろを向いて何処かへ消えていった。

39:凛:2013/07/22(月) 22:51 ID:f7g

読まさせていただきました
こんな小説が書けるなんて
すごい!!

私空色って小説かいてます
よかったらみにきてください!!

下手ですけど
また来ますね

40:柊 ◆7Szo:2013/07/23(火) 11:31 ID:V6o

>>39まだまだです……!ありがとうございます!


 私は、涙をボロボロと流してこう言った。
「ほら……行こう? 」
 そんな私を悲しそうな瞳で見る夏希。
こんな子が、死んじゃったりするのだろうか……。

「あの……雪華さん…………
 私も死んじゃったりする……んですか? 」
 涙を溢してか細い声で夏希は言う。
私はそんな彼女にこう伝えた。
「……大丈夫。私が貴女とずっと一緒に居る。
 裏切らないし殺させない……」

 彼女は小さく頷き
「私もそんなことはしません!
 雪華さんを信じます……」
 微笑んでくれた彼女を見ると何だか安心できた。
私は、夏希と一緒に宿泊所へ行きそれぞれ自分の部屋へ戻った。
私はベッドに仰向けで意味はないが呟いた。

「百人中残り九十八人……か…………」

 次は誰が殺されるのだろうか。
プレイヤーの誰か?
____それともレイラ?

41:柊 ◆7Szo:2013/07/23(火) 17:22 ID:V6o

 全てが嫌になりそうだ。
逃げ道はルール上『レイラを殺す』これだけだった。
私は気分転換に屋上へ行こうと思い付いた。
約束をきちんと守るために私は隣の夏希の部屋へ向かった。

 目の前には赤いドア。そして赤いドアの上の方には
『霜月 夏希(シモツキ ナツキ)』という表札があった。
私はドアをノックする。
すると、十センチメートル位ドアが開き
その隙間から肩までの銀色のウェーブの髪に、
青い空の様な澄んだ瞳の少女が不安げに私の顔を覗く。

「ごめん。いきなり来ちゃって
 気分晴らしに屋上でもいこうかと思ってさ……良かったら一緒に行かない? 」
 夏希は微笑みそして小さく頷き、ドアを閉める。

私はドアの前で待つ。
 ふと、上を見ると天井に監視カメラが設置されている。
こういう所も見られてるのか……
 私は不快に思いつつも夏希を待った。
 待ってから三分位にドアが開いた。
私はその方を見ると、白と青のコルセットの付いたワンピースの上に
薄い無地の水色のカーディガンを着ている。

 私は「行こう? 」と彼女の手を握って屋上へ案内をした。
屋上へ着くと、少し暖かい夏らしい風が吹く。
「いい天気だよねー」
 私がそう言うと彼女は
「そうですねー」
 と柔らかい笑顔を私に見せた。

42:凛:2013/07/23(火) 21:00 ID:wmg

更新されてる!!

続ききになります

43:柊 ◆7Szo:2013/07/23(火) 21:31 ID:V6o

>>42ありがとうございます……!頑張ります……

 屋上は学校に近い感じで私はコンクリート製の床に寝転がる。
彼女も私と同じように寝転がる。

彼女はこう私の方を向いて笑って言う。
「私……ゲーム内だけでしか雪華さんに会えないのが残念です……。
 私、現実の世界では友人も居ないし親は共働きでいつも一人ぼっちなんですよ。
 だから、こうして誰かと一緒に笑い合えるのが嬉しいんです……! 」
 彼女の笑顔は汚れのない美しい笑顔だった。
こんな純粋な彼女を雪乃は殺そうとしていたのか……。

 私だけは彼女を裏切ったりしない。
そんな自信が彼女の言葉を聞いて沸き上がった。
 だけど、レイラを殺し『愛』、『友情』この二つを知ってしまうと
私たちは殺し合いをしなくてはならない。
こんな彼女を殺すなんて無理に決まっている。

 私はそう空を見上げ考える。
考えているときに夏希はまた私に話し掛ける。

「雪華さんは何歳ですか……? 
 私は十二才の中学一年生です……」
「妹と同い年……私は十三才の中二よ」
「じゃあ雪華先輩って呼びます……! 」
 女子二人が談笑する。
この空間を見れば大体の人は普通の会話にしか聞こえないだろう。
だが状況は全く違う。

____私たちはこの後『レイラ』という人を殺すという残虐な行為をするのだから

44:柊 ◆7Szo:2013/07/23(火) 21:42 ID:V6o

>>43の7行目の会話文と8行目の地の文の間に
(「私……〜嬉しいんです! 」と「彼女の笑顔は〜」の間)

 彼女もこれは夢の中でゲームが行われているということを知っていた。
私は少し驚きつつも彼女の顔を見つめる。

45:柊 ◆7Szo:2013/07/23(火) 22:06 ID:V6o

を入れてください。

〜本文〜

 私たちは一頻り喋った後宿泊所に戻った。
特に宿泊所に戻っても何もすることがない。
 ふと時計を見ると午後の三時を指す。
窓も無いため何も感じない。
 でも、外へ出たときは太陽も出ていたため
午後という事は間違い無さそうだった。

 ベッドに腰を掛け部屋を見渡すと
ドレッサーのような場所に見慣れない電話が置いてあった。
隣には、電話番号とプレイヤーの名前と思われる物が書いてある紙切れがある。
「何これ……? 」
 私はそう呟く。
すると、放送の前兆__キーンとした音が部屋に響く。
 耳を傾けるとレイラの声が聞こえる。

「__絡。連絡。
 各部屋のドレッサーの上に私が電話を置きました。
 これは、プレイヤー同士のための電話で電話番号は隣の紙に書き記してあります。
 尚、電話代は私達が負担します。時間はいつでも掛けて良いでしょう。
 連絡は以上です」

 早速夏希に掛けてみるとしよう。
私は受話器を手に取り、片手で電話番号を指差す。
 するとやや緊張気味の少女の声が左耳へ伝わる。
私は一先ず彼女を安心させようとこう彼女に伝える。
「私だよ。えっと雪華。
 テストで掛けてみただけど……急に掛けてごめんね? 」
 彼女は「大丈夫です! 」と言い笑った。
夏希の笑っている表情が目に浮かぶ。

 こんな彼女が見られるのがいつまでなのだろうか……?
ゲームが終わるまで……?
それとも、殺し合いの前まで…………?

46:柊 ◆7Szo:2013/07/24(水) 14:01 ID:V6o

「あ、あの……? 先輩……? 」
 私があまりにも無言で居たためか夏希の不安そうな声が聞こえる。

私は「ごめんごめん。また何かあったら電話掛けてくれる? 」と言い静かに受話器を置いた。
 何気なく電話番号の紙を手に取る。
すると裏にメッセージが書いてあった。

「to.雪ちゃんへ
 from.日向
 私は貴女に殺されたいの
 そしたら何も、あの時の様な悔いは無くなるから
 他のプレイヤーには内密に」

 短いが字は達筆で、日向らしい字だった。
私は涙を一滴その文章に垂らした。
彼女には死んでほしくない。
 そして、現実でも『卯月冷南』としてじゃなく
『草影日向』として堂々と居て欲しかった。

 霊でも化け物でも私は受け止める。
どんな姿でも日向という大事な親友なのだから__

〜死神ゲーム〜04(喪失と光と)〜END〜

47:柊 ◆7Szo:2013/07/24(水) 14:19 ID:V6o

〜死神ゲーム〜05(繋がる)〜Start〜

 私の頭に電気が走るような痛みが走った。
気がつくと薄汚い天井が見える。
 現実へ引き戻されたのかと思うと右手に妙な感覚があった。
握りしめていた手を開けるとクシャクシャになった
ゲーム内で使用した電話番号の紙があった。
 可笑しい。ここは現実だ。
あとそれに私は眠るときに何も握りしめてなんかいない。

 疑問だけが頭を掻き回す。
私は少し実験をしてみようと考え付いた。
その内容はこの電話番号は繋がるのかどうか。
 試しに夏希の電話番号を携帯に打ちつけ、耳に押し付ける。
「……はい。霜月です。
 えっとどちら様でしょうか…………? 」
 か細い少女の声はまさしく夏希だった。
「神田雪華です」
 そういうと彼女は

「せ、せ先輩ですか……!?
 可笑しいです……。
 だって起きてみたらゲームで使った電話番号リストがありますし、
 リスト内の自分の番号は現実と全く違う番号……」

 夏希もどうやら私と同じことを考えていたらしく
かなりこの電話に戸惑っている。

48:柊 ◆7Szo:2013/07/26(金) 01:59 ID:V6o

「先輩……? 」
 夏希は泣声で私を呼ぶ。
「何泣いてるのよー」
 笑いながらそういうと、夏希は少し怒った様な声で私に言う。
「からかわないで下さい!
 先輩……それより部活はどこですか? 」
 少し答えにくいと思いつつも小声で私は答えた。
「帰宅部……無所属よこの中学校生活…………」
「私もですよ」
 苦笑いで夏希は答える。
同じく私も苦笑いで応じる。

 寂しい私の部屋に無邪気な少女の笑い声が聞こえる。
するといきなり夏希と自分との声以外の声が聞こえる。
しかも少し鬱陶しい声だ。
 チラッと声の持ち主の方を見る。
すると、妹が不機嫌そうな顔で私を見る。
 私は寝転がっている自分を起こし素足で制服の妹の柚葉の腹を軽く蹴る。
柚葉は腹を抱えて倒れ込む。
そして「痛い何すんのよ」と嘆く。

私はそんな妹を無視する。
妹は部活にちゃんと励んでいて所謂
普通の女子中学生と言ったところだろうか。
 少し放って置いてた夏希の存在に気付き私は声を掛ける。
「ああごめん。ちょっと煩いのが出てきちゃって」
「妹さんですか……? 」
 少し不思議そうに夏希は言う。
こんな煩い妹より夏希みたいな優しい妹が欲しかったと感じる。

 妹はドアを煩く鳴らして部屋から飛び出した。
飛び出したのが良いが泣き声が聞こえる。
という事はドアの前で拗ねているのだろう。
 宥めに行くのも面倒臭いからそのまま夏希と会話を続ける。
だが妹はドアを叩くものだから私は仕方なく会話を終わらせた。

 ドアをゆっくり開けると目を真っ赤にさせて体育座りで私を睨む柚葉が居る。
私は柚葉の前へ来て腰を下ろす。
 そして頬をつねる。
大体はこれで痛いと言って泣くのは止めるが今回は私の手を振り払った。
 柚葉の拳を見ると真新しい傷が出来ている。
ドアを叩いた時に出来た傷だろうか。
 私は薬箱を部屋から持ってきて、妹の手当てをしてまた部屋へ戻った。
察した人も居るかもしれないが妹は
頑固で泣き虫だ。とても面倒なタイプだと私は思う。

 溜め息を着いて携帯をいじるとメールが届いている。
メールが届くなんて広告位なので広告かと思うと全く別物だった。

『雪華へ
 小学校の同窓会についてなんだけど
 七月二十七日に小学校の体育館でやるんだけど良かったら来てくれる?
 皐より』

「……同窓会何かに興味無いっての」
 私はそういい携帯を静かに閉じた。

49:柊 ◆7Szo:2013/07/26(金) 20:52 ID:V6o

 と言いながら内心興味は持っていた。
行こうかいかないか。
行ったら見えるのは皐との関係で気まずさが見えるだろう。

__このまま放っておきたい。

 今感じているのはそれだけだ。
溜め息をまたつき、携帯をいじり出す。
するとゆっくりとドアが開く音がする。
柚葉だろうと思い私は無視をする。
 そのまま携帯をいじると左へ持っていかれ消えた。
その方向を見ると頬を膨らませている柚葉がいる。
 取り返そうとしたが柚葉の手が後ろに回りベットから取りにくい位置にある。
「べーだ」
 妹はそう言う。
動くのも面倒臭いため放って置いた。
 すると
風の方を見ると柚葉だった。

 妹は正座で私のふくらはぎに腕をあて寝ている。
動いて起こすにも可哀想なので私も寝ることにした。

 段々瞼が劇の幕を下ろすかの様にゆっくりと落ちていく。
気がつくと宿泊所のはずだが何故か一番最初に最初と同じ姿勢で居た。
 起き上がると少し妙な感覚が横からする。
横を向いて下を見るとといつもは誰も居ない筈なのに
見知った倒れている姿がある。

____その姿は妹の柚葉だった。

50:柊 ◆7Szo:2013/07/26(金) 23:45 ID:V6o

 分からない。何故ここにいるの……?
すると、遠くの方だが後ろから聞きたくない
ヒールを履いた足音がどんどん近付く。
そして私の背中に近くなった時、音は消えた。
 怖くて後ろを振り向けない。

「雪ちゃん、妹連れて来てくれたの? 」
 声の主はレイラで私右の肩に左手を軽く置きクスクスと笑う。
「面白くなりそう……」
 彼女はそう私の耳元で囁いた。

 私の体は震えて少しずつ怖さからか段々足元から冷えていった。
柚葉は今やっと目覚める。
そして、上半身だけ体を起こす。
「ここどこ……? 」
 間抜けな声を出す柚葉に優しい声で屈んで微笑みながらレイラは言う。
「付いてきて」
 
 柚葉は頷き立ち上がる。
私も追うように立ち上がり二人に付いていった。
「お姉ちゃん……何か怖い」
 柚葉は私に耳打ちをした。
怖いのは私も一緒だ。
付いていく先に何があるのか分からないのだから。

 そして後に妹は知るだろう。
__恐ろしいゲームがあり、自分が参加することを。

51:柊 ◆oqfg:2013/07/27(土) 15:27 ID:V6o

 着いた所は何かが腐った臭いらしきモノで充満している薄暗い部屋だった。
後ろを振り返るとドアがあり死体保管所と随分古いのか文字の所々が掠れている表札がある。
 また前を見ると私の服の裾を柚葉がくいくいと摘まんでいる。

柚葉は若干うつ向いており、かなり小さな音だが泣き始めている。
段々分かってきたのだろう。
 次に私達が見るものを……

 進んでいるレイラも立ち止まる。
私達も立ち止まる。
レイラはクスクスと品の悪い笑いをそて指を指しながらこう言う。

「貴方達も私とルールに逆らえば
 こうなるのよ……? 」

 指の方を見ると白い布で全体が隠されて
顔の辺りに位置する所には“清水雪乃”と黒いペンで書いてあった。
更に奥の方には恐らく皐と思われる死体がある。

「さて、戻りましょうか」
 レイラは何事も無かったかのように振る舞う。
私はそんな彼女に怒りを覚え始めた。
いや、既に覚えていた。

 柚葉は泣いてばかりだ。
私は柚葉の背中を擦りながらレイラの後へ続く。

52:凛:2013/07/27(土) 16:42 ID:DwQ

更新してるー!!

続ききなります!

私も更新したのでみてくださいねーw

53:凛:2013/07/27(土) 18:20 ID:DwQ

柊さん>アドバイスありがとうございます!
今度来るときには

成長したなーと
言ってくれるように頑張ります

柊さんも頑張ってください

54:凛:2013/07/27(土) 18:20 ID:DwQ

柊さん>アドバイスありがとうございます!
今度来るときには

成長したなーと
言ってくれるように頑張ります

柊さんも頑張ってください

55:凛:2013/07/27(土) 18:20 ID:DwQ

柊さん>アドバイスありがとうございます!
今度来るときには

成長したなーと
言ってくれるように頑張ります

柊さんも頑張ってください

56:凛:2013/07/27(土) 18:21 ID:DwQ

2回うっちゃった
すみません!!!!

57:柊 ◆7Szo:2013/07/29(月) 11:36 ID:V6o

 着いた先は見慣れた宿泊所の廊下。
「雪華さん貴女は戻ってて……
 柚葉さん、貴女にはこの城の案内をするわ」
 私は後ろを振り向き妹の顔を見る。
柚葉は少し不安そうな、今にも泣きそうなそんな表情をしていた。
 私はそんな妹に何もできない事に苛立ちつつも仕方なく部屋へ戻った。

 部屋は相変わらず、窓はないし明かりも付いていない為暗かった。
私は手探りで明かりのスイッチを探す。
これかと思った物を押すと明かりが付いた。
 私はベッドに寝転がる。
何もすることが無いから。

 溜め息が思わず出てしまう。
仕方ないと自分でそう思う。
妹が殺し合いに巻き込まれたのだから。
 しばらく無音の空間が出来る。
だが、そんな空間を電話で打ち破られた。
 出てみると夏希らしき少女の声が聞こえた。
「……先輩…………ですか? 」
「どうしたの? 」
「特に何も……暇だったので…………」
 その理由に安心した。
彼女に何かあったら、堪らない。
これ以上プレイヤーが死んで欲しくない。
 その思いからだった。

58:柊 ◆7Szo:2013/07/30(火) 13:55 ID:V6o

 妹を巻き込んでしまった。
その後悔が脳内を駆け巡る。
後悔しても前には進まないことは知っているのに
 後悔するなんて人間というのは何なのだろうか。
正に今自分がそうだ。

__何もかも嫌になる。

 でも進まなければ夏希を守れない。
そしてカイルの側に居られない。
その二つが混ざり合う頃に私は自然と涙を流す。

 ベッドへ仰向けに倒れる。
倒れた時に消えた皐と雪乃を思い出す。
あのように夏希をさせない。

その為にはレイラを殺すしかない。
いや、殺すより『レイラを日向に変える』が正しいのかもしれない。
 そんな事を考えて私はまた涙を流す。

〜死神ゲーム〜05(繋がる)〜END〜

〜死神ゲーム〜06(戰)〜START〜

 気がつくと朝だ。時計を見ると針は朝の七時過ぎを指す。
欠伸(アクビ)を浮かべ体を伸ばす。
少しぼんやりする頭を冴えさせたのは放送だった。
「今すぐ、武器を全て持ちホールへ集え」
 私はスタンガン、サバイバルナイフ、拳銃をパーカーのポケットに突っ込む。
そして盾と剣(ツルギ)を持ちドアを開け走ってホールへ向かう。

 長い廊下はいつもの倍ぐらいに長く感じる。
やっとの思いでホールへ辿り着く。
後ろから足音が聞こえる。
 振り向くと妹の柚葉だった。
柚葉は弓矢に爆弾の様な物が入っている袋を腰の横にぶら下げている。
 何事なのだろうと先に集まっていたプレイヤーは騒ぐ。
無理もないだろう。
早朝に武器を持ってホールへ集まるのなんて初めてなのだから。

 更に後ろから息を切らして夏希がやって来る。
「せ、先輩……どういうことなのでしょうか…………? 」
 少し辛そうに私に問いかける。
妹は「大丈夫? 」と言いながら夏希の背中を擦る。

 明るかったホールが一気に暗くなる。
これはレイラが来たときになるので、恐らくレイラが今ホールの真ん中に
ある舞台に居るのだろう。

59:柊 ◆7Szo:2013/07/30(火) 15:18 ID:V6o

「つまんない……………
 つまんないつまんない! 早く殺せよ……! 愚か者共! 」
 狂ったように怒るレイラ。
「……だったら私が殺すよ」
 気づいていたら静かなホールで呟き剣を持ってレイラの方へ走る。

__刺そうとした直前のこと。
レイラの胸に矢が刺さっていた。
振り向くと妹がニヤッと笑っていた。

胸からは血が流れ出す。
レイラは矢を抜いて床へ投げ捨てる。
「殺せるもんなら殺してみな」
 悪どい笑いを浮かべるレイラ。
彼女の胸からの血は止まらない。

「そういえば、昔こんな約束したよね日向。
 雪ちゃんが死んだら私も死ぬってさ」
__それは小学一年の冬。
「ねぇねぇもし私が死んじゃったら日向はどうする? 」
「私も一緒に死ぬよ」

 私が死んだらゲームは終わる。
簡単な事じゃないか。
それには、ほんの少しの勇気があれば誰にも出来ること。

 だから死んでやる。
「バイバイ」
 私はポケットで握りしめていた拳銃を頭に押さえつけて引いた。
うるさい音が聞こえる。そして私は倒れてみる。
 最後に見えたレイラの顔は涙でぐしゃぐしゃだった。

__気がつけば舞台の上。
私は死んだ筈。
一生この上には来ない筈。
起き上がり横を見るとレイラが血を流し倒れている。
 生きているのか確認でレイラの息を聞く。
息を感じる。
 私は周りを見る。
皆は私を見て目を丸くする。
皆を安心させようと大声で私は叫ぶ。
「ゲームは終わりだ」
 皆は喜ぶ。
これで良かったんだと思う。
皆が消えたあと私はまだ舞台にいた。

「日向……目を覚ませ」
 そういうと「雪ちゃん……ごめんね」と目を微かに開けた。
私は、彼女の死を感づいていた。
 そしてレイラは、私の腕の中で静かに目を閉じた。

60:若葉 ◆7Szo:2013/07/30(火) 15:33 ID:V6o

__死んだ。
彼女は彼女らしく華やかに命を散った。
レイラを舞台に置き、私は舞台から去ろうと立ち上がり後ろを向いた。
 私は気がつけば涙を流している。
でも平和が今からやって来る。
そんな事を思っていた。
「雪ちゃんのバカ死ぬわけ無いでしょ」
 聞き慣れていた笑った声。
誰よりも待っていた日向の声。
私は振り向く。

「ありがとう」

 何故こう言ったのだろう。
自分でも謎のままレイラを抱き締めて
舞台から去った。
抱き締めた彼女はレイラ・ライデルトではなく
『草影日向』と私にはそう見えた。

 部屋へ戻ると放送が入る。
「__ゲームは終了皆さん……サヨナラ」
 そんな明るい声が聞こえた。
目の前が真っ暗になる。

気がつけば、私は自宅のベッドで妹と共に起きた。

〜死神ゲーム〜06最終章(戦)〜END〜

61:柊 ◆7Szo:2013/07/30(火) 15:49 ID:V6o

勿体ないので「夏の海は」
という恋愛系を書いていきたいと思います!

プロローグ

 潮風が頬を撫でる。
肌が痛くなるほどの太陽。
白波が私の足を被る。
 遠くを見れば青く広がる。

__ここは海。

君と出会えた海。
君と出会えた季節。

君は夏の太陽のように眩しく、揺らぐ白波のように優しい。

そんな君に私は……恋をした。

プロローグEND

62:柊 ◆7Szo:2013/07/30(火) 16:12 ID:V6o

【01…君】start
 朝、私は目が覚める。
欠伸をしながら体を伸ばし、中学の制服を着る。
 ベッドのすぐ側にあるドレッサーの前に座り髪を櫛で解す。
そしてヘアゴムをドレッサーの引き出しから取り、ポニーテールに結ぶ。

 下へ下りて家族と共に私は朝食を取る。
食べ終われば鞄を持ち夏の朝の通学路を駆け抜ける。
「遅いよ恭夏」
「ごめん鈴(リン)」
 少し頬を膨らませて鈴は私にペースを合わせる。

 三年四組という看板がぶら下げてある教室へ着くと相変わらず煩かった。
私達は互いに自分の席についた。
私の席は窓側で日差しが少し眩しかった。

 でも、日差しより眩しかったのは彼だった。

私はある人を見つめる。
「飽きないね恭夏も」
 笑いながら鈴は言う。
少々馬鹿にされた気もしたがそこは置いておこう。
 彼を見つめれば見つめる程周りが見えなくなってくる。

黒い髪に、整った浅黒い顔。
名前は、『依草 佑(イグサ ユウ)』

__私の好きな人。

63:柊 ◆7Szo:2013/07/30(火) 18:23 ID:V6o

 彼はクラスでは特別目立つ人ではない。
でも私にとって彼は特別に感じた。

 あれは小学五年の頃。
夏休みに鈴と後三人ぐらいの女子で海に来ていた。
 私はあまり泳げない。
他の奴は足がつかないかなり向こうまで行ってしまって
私は足がつくギリギリのラインで踏ん張っていた。
 力が入りすぎたためか足が釣り私は溺れた。
ゴーグル着けてたのは良いものの息が続かない。

 ゴーグル越しに見える深い青の世界。
そんな青の世界の中に入る一筋の太陽の光。
だんだん瞼は重くなり視界もそれに連れてぼやけてきた。
 もう諦めようと思った時、誰かが私の方へ凄い速さで来る。
形からすれば同年代の男の子だろうか。

__彼に身を委ねよう。

そう思い私はゆっくりと目を閉じた。
気が付くと海の家の様な場所で寝ている。
木のベンチで寝ていて右をみると忙しく人が動く。
 起き上がると左から声が聞こえる。

「大丈夫か? 」
 彼はもうひとつの木の長椅子に座っていて
タオルを肩にかけ不安そうに言う。
「ごめんなさい……」
「謝るなって名前は? 」
「風山恭夏(カザヤマキョウカ)……」
 そう小さな声で言う。
少し先に見える泳いでいる友人たちを眺めながら。

64:凛:2013/07/30(火) 18:43 ID:PuY

柊さん
文章書くのうまいですね!


私も柊さんの
アドバイスに気を付けて更新してみましたー

みてみてください!

65:柊 ◆7Szo:2013/07/31(水) 06:11 ID:V6o

「俺は依草佑。佑って呼んで」
彼はそう言い少しの間離れ何かを持ってきた。
そしてその何かを私の頬に当てた。
「これ飲む? 」
 顔の前に蓋の空いたビンのラムネが二本ある。
私はその内の一本を貰い飲む。

 汗をかいた自分の体内にラムネが染み渡る。
そして呼吸のためにビンを口から一旦離す。
 感じるのは波の音とラムネの後味。
私はふと佑の方を見る。

 少し黒い整った顔に黒い髪から滴る水滴。
その水滴が何だか私にはとても綺麗だと感じた。
 佑に気づかれたのかこう問われた。
「顔に何か付いてる……? 」
 照れ笑いをする佑に胸の鼓動の動きが高速になる。
気づけば顔は熱い。熱とかそう言うのではない。

__これが恋なのか。好きと言う感情なのか。

 その事を認識した私の体は更に熱くなる。
「泳いで来る」
 私がそう海の家を飛び出しそうな時彼はこう言う。
「待てって。恭夏あんま泳げねえだろ……? 教えるから…………」
 後ろにいる彼はそういい私の手首を掴み隣に来て走る。
私の体は自然と彼のペースに合わせる。
 乾いた白のワンピースの水着のスカート部分が風で揺れる。
海に入ると少し冷たいけど彼が居るからやっていける私は不思議とそう感じていた。

 友人達は奥の方で泳いでるため私に気づかない。
むしろそれで良かった。

__彼と少しの時間でも長くいられるから。

66:柊 ◆7Szo:2013/08/03(土) 17:41 ID:V6o

「潜って」
 彼はそういうとゴーグルつけて私の目の前で潜った。
私も潜って見ると彼がニッと笑ってピースしている。
 五秒程すると佑は上がってという様な手の仕草をして私達は海面へと上がった。
「じゃあバタ足で俺が今から泳ぐからバタ足で隣で泳いで付いてきて? 」
 私は頷く。そして彼は太陽で輝く海へと潜り泳ぐ。
私も指示通りに泳ぎ出す。
バタ足で小さな泡が顔の前にまで寄せて弾ける。
 下を何気なく見ると水は段々青みが深まる。
少し怯えつつも私は彼の姿を追いかける。

 どのぐらい泳いだのだろうか分からない。
でも長いことは分かる。
 彼が体制を変え海面へと上がる。
私もその後に続いて上がる。
「これぐらい泳げれば問題無いよ。
 特訓は終わり。
 じゃあな」
 彼はそういって私に背を向ける。
そして歩いていく。
小学五年生らしいけど男の子らしさがある背中を私は見つめる。

__それしか昔は出来なかった。

 そんな思い出に私が浸っていると
鈴に声をかけられていた。
「__いおーい恭夏? 」
「ごめんちょっと考えてた」
「……そっか」
 鈴は少し寂しそうに言い、肩より少し短めの茶色い髪を掻き分ける。

67:柊 ◆7Szo:2013/08/04(日) 12:43 ID:V6o

 鈴の席は私の前の席であり、休み時間はよく彼女と喋る。
喋る内容は男子にとってはどうでもいい恋愛話。
 鈴が話していても私はいつも彼……佑を見つめる。
「ほら、チャイム鳴ったよ」

 鈴は私をいつも現実へ引き戻す。
気怠そうな号令と共に皆も怠そうに立ち上がる。そして今から授業が始まる。
「はい。では教科書五十四ページ開いてください」
 女担任の江川陽子はそんな生徒を無視する様に明るく笑顔で言う。

 四十五分間のつまらない授業は幕を閉じ
長い二十分の休み時間に入る。
「……夏……恭夏……? 呼ばれてるよ先生から」
 鈴の声にやっと気づき先生の方を見ると手招きをしている。

先生の方へ行くと
「風山さん、このプリントを職員室の和田先生に届けるの
 お願い出来るかしら……? 」

 自分でやれよと思いつつ私は先生から三十枚ぐらいプリントを受けとり廊下へ足を運び出す。
 職員室へ歩いている途中男性と思われる声の人に声を掛けられた。
「おい、大丈夫か? 足がふらついてるぞ」
 振り向くと佑だった。
「大丈夫だから」
 と私は答え再び前を向き職員室へ歩き出す。

「大丈夫じゃねえよほら貸せ。場所は?」

「職員室で和田先生に……」
 佑は軽々とプリントを持ち上げる。
彼の方を見るとあの時と全く眼差しも顔も変わらなかった。
 職員室につくと、佑はドアを普通に堂々と開け
「和田先生、これ」
 と小さく言い和田先生に渡す。

受け取ったのかドアを閉めて先程の道を歩き出す。
「待って……その…………ありがとう! 」
 歩き出す彼は一瞬止まり
「どういたしまして」
 と言って去っていった。

68:柊 ◆7Szo:2013/08/04(日) 13:27 ID:V6o

 私はそんな彼の姿にいつの間にか惹かれている。
恋と言うのは不思議な力だ。
 好きな人ができると女も男も媚びる。
私もいつかそうなるのかもしれない。
 溜め息を付きつつ私は一歩一歩教室へ向かい出す。
教室へ着くといつも通りの空気だった。
煩い笑い声に女子の恋愛話まで私の耳に入る。

 自分の席に座り鈴と雑談を始める。
「恭夏ー暇」
「知らないよそんなの」
 本当にどうでもいい会話でこれで二十分もある休み時間が潰れる。
中学三年にもなるのに話す内容は
受験とからしい会話ではなく
小学生のような会話が毎日繰り広げられる。

__時は流れ放課後。
部活の時間なので皆は体育着だったり制服だったりと斑だ。
 因みに私は美術部なので制服だ。
元々絵は好きだがこれに入ったのはもうひとつ理由がある。

『佑と鈴がいるから』

 これが私が美術部に入る最大の決め手になった。
絵を描く彼の姿はやはり格好よく眩しかった。
私は彼の隣でいつも絵を描く。
 そして絵が完成すると彼は
「やっぱり上手いな」
 と私の絵を誉めてくれる。
そして誉められた私はいつも顔を夕暮れの空の様に赤く染めながら
「ありがとう」
 と言う。
すると向こうも少し顔を赤くして
「どういたしまして」
 と応える。

69:柊 ◆/yJE:2013/08/04(日) 21:37 ID:V6o

 そんな光景を見て鈴はいつも冷やかす。
賑やかな美術部はそれなりに楽しかった。

__その日は幕を閉じ次の日。
この暑い季節に私は自転車を急いで走らせる。
生温い風は汗を乾かすように当たる。
 今日は学校が無いのだが美術部だけ
来週の文化祭に出す絵を完成させる為に特別に学校へ行くのだ。

 予定は朝の七時半から始まるのだが今は七時半になりかけている。
つまりは『遅刻』だ。

 駐輪所に自転車を雑に置き、持ってきている上履きを持って校舎へ入る。
部室は一階の隅の方なので意外と近い。
 部室へ入ると人は斑だった。
「部長! 遅いですね……」
「あーごめんちょっと寝坊で」
 副部長の二年生の見塚菖からの言葉の返事を笑って誤魔化す。
菖は黒い肘までの髪を一つに束ねて
「部長……部活そろそろ始めますよ? 」

 と菖は大きな黒い瞳で私を不安そうに見つめながら言う。
私は木製の傷だらけの机に手を乗せて
大きな声でこう言う。

「では、第一回美術部特別回を始める! 起立。礼」

 顧問は今回はいなく自分達で部活を進めると言うことになった。
予定表などにそれぞれ部活の課題があるため
私はそれを読み上げる。
「今回は『日暮市立北岡中学文化祭の絵を仕上げる』これを終わらせること。
 時間は午後三時までに仕上げ準備室にある台に乗せておいて下さい。
 以上です」
 皆ははいと威勢のいい返事をしイーゼルに体を向ける。
私もいつもの席に座り絵を描き出す。
すると右肩を軽く叩かれた。

 手が右から来ていたので私は右を見る。
「時間三時だよな……? 」
「あ、うん」
 素っ気なく私は返事をしふと視線を少し下に向ける。
見えたのは彼の左手で傷だらけだった。
「どうしたの……? 怪我してる」
「ああこれは…………ちょっとな……」
「絆創膏。貼って」
 私はそう言い彼の左手に絆創膏を握らせた。
彼はニコッと笑って「ありがとな」といい再びイーゼルに体を向けた。

70:柊 ◆/yJE:2013/08/05(月) 13:06 ID:V6o

 ふと時計を見れば時計の針達は午後一時半を指している。
絵は終盤に差し掛かっているのでなんとか間に合いそうだ。
 右隣を見ると日光のせいで薄暗く見える佑の横顔。
これを見ていられるのは後何ヵ月だろうか。
 気が付けば自分は涙目になっていて、私は急いで涙を腕で拭った。
この思いは自分はいつ伝えるのだろうか。
伝えないでさよならなのだろうか。

__そんな結果になるのなら、伝えてみようか。

 当然の如く私にはそんな勇気が無いわけでこんな自分が嫌になる。
ため息つきつつも水彩絵の具が付いている筆を右手で動かし色を塗る。

 描いているのは海の絵。
彼と出会えたあの海。

 思い出に浸りつつも絵は完成した。
時計を見ると午後二時五分。
 私は準備室に絵を持っていこうと歩いていたその時。
「俺、恭夏の絵好きだ」
「ありがとう」
 私はそう彼に言って準備室に絵を置いた。

 こうして終わった美術部。
部員は斑に部室から出ていく。
 鈴には先に帰って貰った。
部長の私は後片付けに追われていた。
 床を箒で掃いていた時肩を後ろから軽く叩かれた。

「じゃあな部長さん」

 後ろを振り向いて見ると正体は佑で、佑はそういい部室から出ていった。

71:柊 ◆7Szo:2013/08/06(火) 11:58 ID:V6o

 人気の無くなった部室に残るのは染み付いた絵の具の臭いと
夏らしい生ぬるい風が少し開いた窓から入る。
そして脳にまで響く蝉の声。
 一人でぼーっとしてる訳にも行かないので
掃除も終わったし帰ることにした。

 部室から出て私は迷いなく下駄箱へ向かう。
「恭夏ー」
 後ろから私を呼ぶ声がしたので
振り向くと三メートル位先に
佑と思われる姿が見えた。
「な、何」
「俺一人で寂しいから一緒に帰ろうぜ? 
 どのみち近所なんだしさ」
「いいけど……」
 ニコッと笑って彼は私に話す。
彼と私の家は隣だ。近所中の近所だ。

「あれ照れてる? 顔赤ーい」
 うつ向く私の顔を佑は覗き込む。
「あ、暑いから! 顔が赤いのは……」
 もう手遅れだろうが咄嗟に誤魔化し始める私。

__彼は覚えてるのかな……?
小学五年の時の海の事____

「……覚えてるよ。それも鮮明に」
 佑は私の心を見透かしたかの様に言う。
「表情に出てたよ」
 彼はニッと優しい笑顔を此方に見せる。
私はチラッと彼の方を横目で見る。
 見えたのはあの海の時と変わらない真っ直ぐな瞳。
「……あの時と変わらないね佑は」
 私はそう彼に聞こえないよう小さく呟く。

72:柊 ◆7Szo:2013/08/06(火) 19:11 ID:V6o

 二人っきりになったら私は佑に聞きたいことがあった。
「ところでさ、佑には好きな人って……いる? 」
 聞いていいのかいつも迷う。
けれど言わなければ自分が後悔しそうだった。
「…………いるよ」
 少しの沈黙が私の鼓動を高まらせる。

____良い意味でも悪い意味でもだ。

「へぇ……そっか」
 必死に平然を装った。
けど純粋な彼の目にはそんな汚い私の嘘が直ぐにバレるだろう。
「そういう恭夏こそ居んの? 
 俺に教えてよ」
 彼は汚れなき眩しい太陽のような笑顔をこちらに向けてそういう。
彼のその笑顔に私は顔を赤く染めゆっくりと口を開けてこう言う。

「居る……よ……私はね佑が好き」
 自分の発したその言葉に後悔は決して無かった。
無かった筈なのに私はもう既に泣き始めていた。
 彼はきっと見苦しいと思っているだろう。謝りたい。そんな気持ちが私の心を掻き回す。

「____ごめん」

 突き刺さる現実。
それから逃げるかのように追い掛けてくる“夢”。

無理に決まっている。釣り合う筈がない。
分かってる。分かってるから今涙を流しているんだ。
「……俺も好き」
 十秒程の沈黙のあと聞こえたのは現実なのか幻なのか分からない。
__でも佑の優しい笑顔を見せたときの声だった。

73:凛:2013/08/06(火) 20:08 ID:NQ2

久しぶりです


やはり

文書くのうまいですねー

私も頑張らないと

気軽にまた
アドバイスしてきてください!!

74:若葉 ◆7Szo:2013/08/06(火) 21:55 ID:V6o

>>73凛様、毎度毎度ありがとうございます。
小6という未熟者ですがアドバイスをさせて頂きますね

 うつ向いていた顔を上げると顔を真っ赤にしている佑がいた。
「今……何て言ったの…………? 」
「……お前と同じ気持ち」
 彼を見つめると目が合い更に私も彼も顔が赤くなる。
「…………ありがとう」
 涙で彼の顔は歪んで見える。
涙は切なさと共に人気のない朝顔が咲く通学路へ静かに滴り落ちた。

涙は浮かんで消えて。
それと同時に恥ずかしさと嬉しさ
という矛盾した感情が“恋”と言う名の物体に絡み付く。

 私はたった今彼に優しく抱き締められ
彼をこの身で感じて、この身で愛を感じた。

__彼女と言う肩書きは昔の私には程遠い物だった。
けれど今では身近に感じられる。

____恋は不思議だ。どんな人でも人を良い意味で変えられる。

【01…君】END

75:柊 ◆7Szo:2013/08/07(水) 10:51 ID:V6o

【02…初恋】start

 初恋は思ったより甘く弾ける。
最初に出会った時のラムネの様な味。
だが、ラムネは飲み干せば全て無くなる訳であり

____この恋も何時か“消える”こと__

 私にはその『恋の終わり』が『人生の終わり』つまり
私がお婆さんになって死を迎えた時にあって欲しい。

 今この場で佑に抱き締められている
私は佑にこう問い掛ける。
「……別れないでお婆ちゃんになっても一緒に居てくれる? 」
「勿論。大人になったら絶対結婚しような」
 彼のその言葉が嬉しくて心臓が彼の言葉だけで溶けてしまいそうだった。

「……ありが……とう」
 涙声で私は言う。
ありがとうなんて綺麗に言えたのか分からない。
 けれど、この感謝の気持ちと彼への気持ちだけは届いてほしい。

 その日は幕を閉じ、次の日を迎えた。
朝、水色の毛布を体から外す。
そして目が覚め、起き上がり左にある
壁の少し上の窓を開けてみる。
 朝の夏らしい清々しい風が
私の体と髪を撫でるように吹き当たる。

 背伸びをし、制服のセーラー服に着替え一階のリビングへ向かい朝食を取る。
私が食べている間に二卵性の双子の妹と弟が来たようだ。
「雄冬! あっちに実夕ちゃんが! 」
「どこ? 」
 妹は弟にそういい弟の朝食のソーセージを食べる。
因みに実優と呼ばれる子は弟の雄冬の彼女らしい。

「あっ秋乃姉ちゃん俺のソーセージ取食った! 」
「それは雄冬が食べないのが悪いー」
 妹達は小学六年生であり今みたいなのは日常茶飯事だ。

このままじゃ面倒臭い喧嘩が始まるので
私は四本あるソーセージの二本を
一本ずつ妹の秋乃と弟の雄冬に分ける。
「恭夏姉ちゃんありがとう! 」
 妹たちは笑顔で口を揃えて言う。

 朝食も終わり、学校へ行こうと
私は玄関に置いといた鞄を持ち
学校指定のローファーを履きドアを開ける。

 ドアを開けた少し先には斑に登校している
我が校の生徒たちが歩いている。
 その先にある壁に佑らしき人が待っている。
人の間を潜り抜け彼のもとへ向かうと
「一緒に登下校しようぜ今日から! 」
「えっでも、鈴は? 」
「彼氏と帰っていた方が恭夏の為だからと言って
 先に彼氏と登校してた」

 鈴に感謝しつつ私達は学校へ歩み出す。
校門を潜り下駄箱に行き上履きを履いて三階の三年四組の教室へ入る。
その瞬間私達は女子の群れに飲み込まれた。
 もう嗅ぎ付けたのか。
鈴の席を見るとピースしている。
情報漏らしたのはどうやら鈴みたいだ。

 先生がそこにやってきて
「こら! 席に戻りなさい! 
 ホームルーム始めますよ」
 と言われ女子達は続々と戻っていく。
先生に感謝しつつ私達は席につく。

76:柊 ◆7Szo:2013/08/07(水) 17:25 ID:V6o

 ホームルームも終わり、一時間目が始まった。
何時でも怠そうな号令が私の耳に入る。
そして呆れたような顔を一瞬して一気に明るい声にする先生。
 授業開始から五分の事。
隣の奴に肩を叩かれる。
そいつの方を見ると紙の切れ端が渡された。
 半分に折ってあるノートの切れ端らしき紙を開くと

『風山さんって依草と付き合ってるの? 今日一緒に登校してたじゃん
 遠野香織より』

 この返事にはかなり戸惑った。
付き合ってると答えれば休み時間に大人数で問われるだろう。
それは佑にも迷惑なので私は右手に握っていた青いシャーペンを動かした。

『付き合ってないよ
 偶然に時間があっただけ』

 この嘘はいつクラスに“見える”のか
不安だが今はこうするしか道は無いと思ったのでそう答えた。

__休み時間のこと。
嘘は直ぐに見破られてしまった。
教室の私の席で鈴と話そうとした所
女の群れに囲まれて身動きが取れない。
助けを求めたいが煩い女子共の無視の怒りの声で私の声は揉み消される。

「……さっきからうるせーよ
 黙ってれば怒りやがる
 人の情報聞いて何の特? 金でも儲かるのか? 」

 男の様な口調だが声は若干低いが女だ。
その声の次の瞬間

「どけ女共!!!! 」

 女子は一気に席へ戻って隠れて小さくだが騒いでいた。
「大丈夫? ごめんねさっきは
 声荒げちゃって……」
 同時にチャイムが鳴った。
私は鳴り終わると同時に席に座り彼を……佑を眺める。

77:柊 ◆7Szo:2013/08/07(水) 22:39 ID:V6o

【訂正】
>>76の最後から二行目と三行目の間に

 鈴はそういい私に優しい笑顔を見せる。
さっきのが鈴だとは少し驚きだ。

を入れてお読みください失礼いたしました。



 そして時は過ぎ、放課後。
部活が始まるのは四時からだ。
ホームルームが終わった後、部活までにはまだ時間がある。
だが私は部長なので準備など色々あるので少し早めに部室へ向かおうとまだ騒がしい教室を出る。
 灰色の廊下に鳴り響くのは私の足音だけだ。
一人という事に若干怯えつつも一歩一歩足を踏み出す。

 廊下と同じく灰色で塗られた階段を登り、三階の左橋にある部室へ向かう。
 部室の近くには開いたドア式の窓があり
その窓の開いてる隙間から夏らしい温い風が廊下を通りすぎていく。
 部室のドアの前へ立ち開ける。
ドアは音をたてゆっくりと開く。

「霧沢先生……居ますか…………? 」
 霧沢先生、霧沢光(キリサワ コウ)というのは美術の顧問の先生だ。
霧沢先生は若い女性で二十代だ。
それに彼女の絵は有名だ。
なので美術部の部員からも憧れられている先生だった。勿論私もだ。
「ああ、部長さん
 良いところに来たねー
 これ、職員室にいる和田先生に渡して? 」
「はい。分かりました」
 私はニコッと愛想よく笑って霧沢先生からプリントを受け取る。
そしてプリントを持ち職員室へ足早に向かう。

 ここから職員室は遠く早歩きでは無いと他の準備が出来なくなる。
準備が出来ないと先生からも部員からも責められる。
「部長なのに出来ないのか」
 そんな言葉は何回か聞いている。
所謂これは私の“意地”だった。

 職員室へ着き私は職員室のドアを
ノックしてドアをゆっくりと開ける。
「失礼します。三年四組の風山恭夏です。
 美術部の用事で和田先生へと頼まれて来ました。
 和田先生はいらっしゃいますでしょうか? 」
 数十秒後和田先生は此方へ急いで来る。
「ああこれね有難う」
 和田先生は最近来た男の若い先生で
我がクラスで格好いい先生だと騒がれている。
別に私はどうも思わないが。

 私は部活のことを思いだし走り出す。
部室へ息を切らしながら着くと、
「ご苦労様」
 という佑の声が聞こえた。

78:凛:2013/08/08(木) 16:07 ID:q8w

いえいえ!

私は一人のファンとして身に来ていますので

続き期待してます!

ちなみに私は中2です

79:柊 ◆7Szo:2013/08/14(水) 14:10 ID:V6o

 気がつけば脳には痛みが走っている。
脳の裏を抉られてるかの様な感覚。
それでも私は彼の元へ向かおうと足を運ぶ。
 彼はもう目の前。手を伸ばせば届く距離。

__けれど、私はどうやら限界みたいだ。

 視界がぼやけ、瞼も重くなる。
目に見えるのは吃驚して固まる彼。
 足の力が抜けて私は崩れる。
崩れても感じるのは痛み。

 そして視界は一気に暗くなる。
助けてなんていう声も出せやしない。
 そして感覚が眠るように途切れた。

 気が付くと真っ白な天井が見える。
そして呼吸をすると、薬品の匂いが感じられる。
 何回か入ったことのある場所。
ここは保健室だろうか。

 体を起こし横を見ると右には初恋の相手……
佑が優しい笑みを浮かべ私を見つめる。
 左には淡い緑のカーテン。
そして手を先程まで背中が当たっていた場所に置くと
自分の体温の暖かさが手のひらに伝わる。

「先生。風山さん起きました」
「今向かうわ」

 少し遠くから先生らしき女性の声が聞こえる。
そして数秒後私のもとに先生が来る。
 先生は私の額に手を当てる。
ひんやりとした手が私の額を包み込む。
 先生は黒い肩までの髪を掻き分け静
かな口調で私に言う。
「熱下がったみたいね。
 でも部活終わる時間まで安静にしてなさい? 」

 後ろの時計を見ると午後四時二十五分を指す。
後一時間はある。

「依草君、部活行って良いわよ
 帰り、風山さんに着いてってあげて頂戴」
「はい。分かりました。
 じゃあな恭夏」

 先生と佑は私の元から去っていく。

寂しい。

__私はその感情を埋める為に眠る。

80:柊 ◆7Szo:2013/08/15(木) 18:09 ID:V6o

 夢だろうか……世界は霧が掛かったように白い。
だが、そんな分からない世界に薄くだが辺り一面青い……“何かが見えた。
 私はそれに導かれたかの様に
その青い“何かへ向かい走り出した。
段々近づくうちに正体が分かった。

__海。

 私は白い霧のようなモノを潜り抜けた。
すると世界がはっきりとして果てしなく、美しい海が見え出す。
私はそんな海をただ見つめている。
 奥の方から黒い人影が見える。
私は止まっている足を動かす。
一歩一歩踏み出すと人影が佑だったことに気づきだす。
 恋心が騒ぐ。どうやら私の体は彼を追い求めている様で再び走り出した。
もう少しで彼に届くそんなとき何処からか小さな人の声が聞こえる。

「__夏……恭夏? 」

 私は目覚めなければいけないようで
一瞬真っ暗になり白い天井がぼんやりと見えた。
 右を見ると、優しい笑顔の佑がいる。
起き上がると先生が此方へ来て

「顔色良いみたいだし
 そろそろ帰りなさい」
「はい……」
 私はゆっくりとベッドから立ち上がる。
「お前の鞄俺取りに行ってくるから
 下駄箱前で待ってろ! 」
 彼はそう言い保健室のドアを開け走って行った。
私は先生に礼を言い彼の言った事に従い
保健室からすぐ先の下駄箱前で立って待っていた。

 待ってから二分ぐらい経ったとき
静かだった廊下に走る足音が聞こえた。
 足音の方へ視線を向けると佑が荷物を持って走って此方に来ている。

「ほら、鞄。行こうぜ」

 彼も私もは靴を履き終わった。
すると彼は優しく微笑み私に鞄を渡し
先程まで私の鞄を持っていた左手で私の右手を引っ張った。
「手繋ごう」
「うん……」
 私は彼の手をそっと握り、彼もそっと握り返す。

 外は暖かい夏の風が吹く。
私にはその風が好きな人に出会えた海の風に感じた。

81:柊 ◆7Szo:2013/08/19(月) 11:53 ID:V6o

 通学路には私達だけ。授業の間に降った雨の後が
アスファルトの地面に残っていた。
「……夏休みも部活あるの? 」
「あるよー毎週月曜と水曜、午後一時から三時まで」
 付き合ってる様な会話には見えないと思うだろうが私達はしっかりと手を繋いでいた。

和やかな雰囲気の私達に彼の方から重い言葉を発せられた。
「俺、病気持ってるんだよね
 こんな俺でも恭夏は付き合うの? 」

 悲しそうな表情それを分からない様に彼は笑顔を浮かべる。
私は彼の問いに一瞬戸惑ったが答えを出した。
「私は……彼女としてずっと佑の側にいる。
 私に出来ることはきっとそのぐらいだから」
「ごめんな」
 彼はそういい優しく私を抱き締める。
私はその彼の行動に不思議と涙が流れていた。

「俺は恭夏が好き。その事実には変わりは無い。
 例えお前が俺を嫌いだとしても」
「嫌いな訳無いじゃん……」
 私は腕で涙を拭う。
涙が流れなくなると私達はゆっくりとだが前へ進んで家へ帰った。

82:柊 ◆7Szo:2013/08/19(月) 18:26 ID:V6o

「ただいまー」
 私は普段通りの声に戻す。
親や妹たちに無駄な迷惑は掛けたくない。
「おかえりー恭夏姉ちゃん」
 妹達はそんな私を笑顔で迎え入れる。

__幸せはいつまでも続かない。
分かってるそんなの……

気がつけば私は妹達の前で泣き崩れ
迷惑を掛けていた。
「恭夏姉……ちゃん大丈夫? 」
 そんな心配の声も私の耳には届かず
たった今届いてるのは自分の情けない泣き声だった。
「お姉ちゃん部屋秋乃と一緒にいこ」
 私は妹に無理矢理私の部屋に連れてかれこう言われた。

「お姉ちゃんは一人じゃない。
 雄冬と秋乃が居るよ」

 誰よりも私はその言葉を求めていたのかもしれない。
去る妹。私はそんな妹の背中を見て姉として情けないという涙を流した。

83:柊 ◆7Szo:2013/08/19(月) 22:04 ID:V6o

 薄暗い部屋は寂しさと悲しさと涙で充満している。
私は佑が病気持ちだったことをまた思いだし泣き出す。
 そんな泣き声など一つの音で一瞬で消えた。
音の元へ辿ると怪しく光る携帯が少し先にある。
携帯を手に取り確認すると

『依草 佑』

 という今聞くと泣き崩れる人物の名前が携帯の画面に刻まれていた。
無視をするのも嫌なので仕方なく
通話ボタンを震える右手の親指で押す。
すると低い声が私の右耳に被せるように聞こえる。
「えっと恭夏?
 病気ってこと嘘だか__」
「嘘じゃないよ。分かるよ
 君の瞳と声が全て語ってるもん」

「__ごめん」

 何故謝るのか私にはそんな疑問が浮かんでは消えまた浮かぶ。
「それよりさ今度デート行こうよ
 佑と出会った海に佑と行きたいんだ」
 途切れ途切れだが私は言葉を発する。
彼はそれを悟ったかの様に優しい声で返事する。

「じゃあ……土曜日行こうか
 午後一時に中学近くのバス停で」
「うん……分かった」

 嬉しい筈のデートは私を更に暗くさせる。
『何時まで彼と遊びに行けるのか』
聞きたくない。考えたくない。
だが脳は勝手に考えてしまう。

__初恋。
それは私の初めての恋で、初めての不幸。

【02…初恋】END

84:柊 ◆7Szo:2013/08/20(火) 12:20 ID:V6o

【03…幸】Start

__私の幸せは“彼”が居ることだった。
幸せという字は上の横棒を抜けば辛。
私は彼という棒を今にも抜けられそう。
今の私は辛に近い幸__

「デート……明日か……」
 私はため息混じりで誰もいない暗い部屋で一人呟く。
何時もなら暗くても寂しさや悲しさは感じない。
 けれど今回は例外だろう。
既に今涙を溢しているのだから。

怖い……彼を失う事が。

 感じたことのない恐怖。
幽霊を見るよりずっと怖い。
そんな“恐怖”が私を暗闇と共に包み込む。
 姉として情けない……小さい頃から妹たちの前では絶対に泣かないと決意してた。
「心配掛けちゃったな……」
 私の独り言は自分の胸に響きそしてこの暗い部屋にも響く。
私は気分を変えたくなり手探りでカーテンを開け窓を開ける。

 私の視界に入ってきたのは、暗い夜空に光る星と月。
頬に感じるのは夏の夜風。
 昼間よりは冷たく、でも夏らしさは感じる。
段々蒸し暑く感じてきたので窓とカーテンを閉める。
 そしてベッドに仰向けで寝転がる。
睡魔が私を夢へと誘いに来たので私は睡魔にされるがままにした。

85:柊 ◆7Szo:2013/08/21(水) 12:44 ID:V6o

 白い靄が見える。
その中に私が居る……真っ黒なワンピースを来て座って泣いている。
向こうには棺の様な物がある。
これは……佑の葬式…………?
 私は恐る恐る近づく。
ワンピースを着て泣く私は近づく私に気付いてないようだ。
彼が死んだら……きっとこうなる。

分かるもの……泣き虫の意地っ張りの私だから__

 そこで真っ暗になり目が覚めた。
部屋は薄暗い状態のままで天井が見えるか見えないかだ。
 とりあえず私は起き上がり明かりを付けて時計を見る。
八時丁度を針は指す。
妹たちはご飯をきちんと食べただろうか……そんな心配が頭によぎる。
 私は様子を伺う為に下へ降りる。
リビングを覗くと弟が宿題をしている。
妹は何処だろうと周りを見るとキッチンから食器の高い音が聞こえる。
「雄冬ー代わってよー宿題やったげるからさー」
「えー嫌だー皿洗いは女の仕事だろー? 」
 そんな声も聞こえる。
「秋乃……私がやるから自分のことしなさい? 」
 私は妹に代わり食器を洗う。
「お姉ちゃんありがとう! 」
 元気な声が聞こえる。
私が泣いている間に妹たちも頑張ってたんだなとしみじみに感じた。

86:柊 ◆7Szo:2013/08/21(水) 18:08 ID:V6o

 皿も洗い終わり、休憩で冷蔵庫から炭酸飲料を出す。
片手に持つグラスに炭酸飲料を注ぐ。
炭酸飲料は泡を出し消える。

 彼の命もいつか……いや、近いうちにこの泡のように消える。
そう思いながらゆっくりと私は炭酸飲料を口に入れる。

口には炭酸ならではの独特の弾ける感じが口に広がる。
あっという間に飲み干し私は部屋へ戻る。
 今気づくが部屋はエアコンが付いておらずかなり暑い。
「暑い……リモコンリモコンっと」
そう言いながら私はエアコンのリモコンを手にとりボタンを押す。
だが涼しくなるのはもう少し先なので私はその間団扇で扇ぐ。
少し冷たい風が私の皮膚を通り抜ける。
「あー気持ちいいー」
 冷たさからかそんな声が自分から出る。

 やっと部屋が涼しくなり何となくで私は携帯を開きメールを確認する。
メールボックスには一通の新着メールが私を待ちかまえていた。
内容は明日の最初で最後かも知れないデートについてだった。
デートと聞いたらふつうの女子は目を輝せてあれこれ考えるもの。
 だがそんな言葉も私には悲しく聞こえるだけだった;

87:柊 ◆7Szo:2013/08/21(水) 18:53 ID:V6o

 皿も洗い終わり、休憩で冷蔵庫から炭酸飲料を出す。
片手に持つグラスに炭酸飲料を注ぐ。
炭酸飲料は泡を出し消える。

 彼の命もいつか……いや、近いうちにこの泡のように消える。
そう思いながらゆっくりと私は炭酸飲料を口に入れる。

口には炭酸ならではの独特の弾ける感じが口に広がる。
あっという間に飲み干し私は部屋へ戻る。
 今気づくが部屋はエアコンが付いておらずかなり暑い。
「暑い……リモコンリモコンっと」
そう言いながら私はエアコンのリモコンを手にとりボタンを押す。
だが涼しくなるのはもう少し先なので私はその間団扇で扇ぐ。
少し冷たい風が私の皮膚を通り抜ける。
「あー気持ちいいー」
 冷たさからかそんな声が自分から出る。

 やっと部屋が涼しくなり何となくで私は携帯を開きメールを確認する。
メールボックスには一通の新着メールが私を待ちかまえていた。
内容は明日の最初で最後かも知れないデートについてだった。
デートと聞いたらふつうの女子は目を輝せてあれこれ考えるもの。
 だがそんな言葉も私には悲しく聞こえるだけだった;

88:柊 ◆7Szo:2013/08/22(木) 07:30 ID:V6o

 そんな日は幕を閉じ翌日__。
何かが眩しく私は目が覚める。
眩しいモノの方へ視線を向ければ窓だ。
嫌味かと思われるぐらい輝く真夏の太陽に窓越しからでも十分聞こえる蝉の鳴き声。
正に“デート日和”という名の天気だ。

____私はあえてそれを恨もう。

今日出掛けるのなら次はいつ……?
それは永遠に来ないかもしれない。
次を期待するより永遠に殻に閉じ籠っていた方が
彼が死ぬよりずっと良い。

「そばにいる」

 私はいつか……この言葉を裏切るのだろうか。
弱い私はきっと彼の期待も、自分の言葉も全部『裏切る』。
そんな時に携帯は鳴る。
掛けた奴は佑で出てみれば今日の事だった。
「恭夏……一時な」
「分かってる……」

「いつも__ごめん」

 彼はそう言い放ち通話を切る。
私の耳には彼の温かい声ではなく
冷めきった温かみも何もない機械の音が通り抜けるだけだった。

89:& ◆ZHiE:2013/08/24(土) 21:06 ID:V6o

 時間は残酷なもの・・・・・私置いていくように時は去る。
現実はゆっくりながらももう目の前まで来ている。
「もう十二時半・・・・準備しなきゃ・・・・・・」
 私は一人しか居ない我が部屋にその言葉が悲しげに響く。
淡い青の夏らしいワンピースをクローゼットから取り出す。
 窓を横目で見れば少し見ただけでも
憎たらしく感じるほど輝く真夏の太陽。
長く腰まで伸びた髪を一つに結ぶ。
 一階の玄関に降り白いサンダルを履きドアノブを握りドアを開ける。

「暑い・・・・」

 そう言いつつ私は自転車をガレージから引っ張り出す。
温いサドルが皮膚にあたる。夏だけの何ともいえない感触
少し走らせれば着く待ち合わせ場所のバス停。
バス停には私に気付き小さく手を振るぎこちない顔をした佑がいた。

90:柊 ◆7Szo:2013/08/25(日) 19:07 ID:V6o

「待った……? 」
「別に……行くぞ」
 病気持ちでも愛したくて愛したくて
私は自転車走る彼の背中を見て涙を流す。
「どこの病気……なの」
 そう言うと彼は
「____ガン。胃ガン」
 と何の感情の無い機械の様な声で答える。
「嫌い……こんな佑嫌いだよ」
 心で思っていた『言の葉』が声に出ていた。

「別れよう…………」

聞きたくない聞きたくない……。
その言葉が一番嫌い。

でも本当に嫌いなのは
________自分自身。


 さよなら……佑
私の初恋。想い……
全てサヨナラ____


【03…幸】(最終章)END

91:柊 ◆7Szo:2013/08/25(日) 19:25 ID:V6o

完璧な短編集ですね……
2作品共楽しんで見られたら幸いです。

3作品目は……1作品目の「†Reaper∞Game†」と似た雰囲気かな……?

「TinyHitman」
タイニーヒットマン……小さな殺し屋という意味です。
今回書き方が全く違いますご了承下さい。

…Prologue…

夜の月に照らされる高層ビルの屋上。
その屋上には小柄な少女。
少女は長い腰までの金色に輝く髪を揺らし
その大きな美しき赤き瞳で夜の街を見つめる。

右手に銃を、左手に体には不釣り合いな大きな剣を持つ。
彼女を見て人々はこう話す。

“小さな殺し屋”と__

92:凛:2013/08/25(日) 19:34 ID:74s

お久しぶりです

毎回続きが気になってしょうがないですー

93:柊 ◆7Szo:2013/08/25(日) 20:03 ID:V6o

【Chapter1】貫く

「だからさ……何で私なのよイヴァあんたがやれば良いでしょー
 何で隣国まで行かなきゃいけないのよ」
 不満そうに目の前にいるイヴァと呼ばれる
濃い紺色の髪と瞳の少年に向かい
大きな声で言う金髪に赤い瞳の少女。
小さな事務所の様なその部屋に呆れたようなイヴァの声が響く。
「キルディ……あのな俺が言ったんじゃなくて
 上からの命令なんだよ分かるだろ」

 キルディと呼ばれる少女は少し表情に怒りを浮かべながら窓を見る。
窓から見えるのは毎日朝八時から開か市場。
幼い子供たちの煩い声も三階のこの部屋にまで届く。
「キルディ姉さん一応儲かるんだから
 引き受ければ良いじゃないですかー」
 黒い眼鏡をかけた栗毛色の髪の少女はだらしのない声で言う。
「儲かるのは確かだけどリジア面倒なのよねー」
 ため息混じった言葉がキルディから漏れる。
イヴァと呼ばれる青年もキルディのため息に続きため息をつく。

「俺ら四人の目的ってさ悪人を倒す事で
 この国を護る事だろ?」
「そうだけど……人殺しには何時だって慣れないんだ…………」
 キルディは少し哀しそうな目でそう言う。
「イヴァ、リジア、ジオル
 夜までに隣国へ出発準備をしろ
 私は少し用事だ」
 ジオルと呼ばれる深き緑の髪と瞳の青年は
「ほら準備するぞー」
 とイヴァとリジアに言いキルディの指示通り準備を始める。

94:柊 ◆7Szo:2013/08/25(日) 20:04 ID:V6o

>>92ありがとうございます。
読み続けてくれてる事がとても嬉しいです

95:柊 ◆7Szo:2013/08/26(月) 18:14 ID:V6o

 錆びきっている階段を降りドアを開け目的地へ足早に歩くキルディ。
街を見る以外にも彼女の赤き瞳には過去の事が映っていた。
ディヴェイ・タイニー、アン・タイニー……キルディの父母。
 キルディの父母はキルディが四才の時残酷な形で殺害された。
キルディは犯人の姿を見たがこの街に伝わる“掟”に従い、警察にも、親戚にも誰にも言わなかった。

その掟は__
“夜、罪を犯す姿を見ても決してその殺し方を伝えてはならない。
__伝えた者は“LargeHitman”に殺される。

 彼女はその伝えを信じていた。
実際に両親が殺害される前日
__警察に“夜に息子が首を絞められて殺された”
と証言したのを聞いていたのだから。
 十六になるキルディはその噂を信じ続け
今では殺されるのを見る側ではなく
殺す側の『TinyHitman』として金曜日……夜の街……ルーリアを騒がせる。

 目的地へ着いたのかキルディは古びた煉瓦作りの家のドアを開ける。
中は壁に銃が沢山掛けられている。
「エリッサ……その銃頂戴」
 彼女はエリッサと呼ばれるキルディより年上と思われる赤毛の少女に言う。
「また出掛けるのね……キル」
 ため息をつきつつも銃をキルディに渡す。
「まあね……何、隣国のザフィバよ
 任務は三日で終わらせるわ」
 笑みを浮かべその赤き瞳で両手で持っている銃を見つめながらそう言う。
レジに銃の代金を置きキルディは店を去っていく。

96:柊 ◆7Szo:2013/08/28(水) 00:14 ID:V6o

 去っていくキルディをエリッサは
キルディの後ろ姿を見る度キルディの事を心配になる。
 彼女の姿は、十字架か重い何かを背負っているような
そんな雰囲気を出しているように
幼馴染みのエリッサにはそう見えていた。

「キル……」

 そう言うとキルディはカウンターの横に伏せて置いてある
木材で出来た写真立てを手に取り
悲しげにその写真を見つめていた。
 その写真は中学の入学時の
エリッサとキルディの二人だけの写真だった。

写真のキルディは幸せそうに笑っている。
 エリッサはこう思っていた。
__キルディは今では幸せそうな笑みを見せない。
そう思いつつカウンターに放っておいていた勘定をレジに入れ
次に来る客に愛想笑いを作る。

97:柊 ◆7Szo:2013/08/29(木) 06:01 ID:V6o

 その頃キルディはアジトに着いていた。
エリッサの店は近く徒歩三分程度で着く。
エリッサの店にはこの国から出るときにやってくる。
 その為、エリッサの悲しそうな瞳を見るのが何故か怖く感じて
いつも彼女には笑顔が見せられなかった。

 申し訳ないと思うキルディの想いは
積もっていた。
キルディはアジトに戻ると三階のドアの方に銃を置き
自分のよく座る古い革製の黒い椅子に腰掛け
木で出来た新しげに光るデスクに向かい
羽のペンを持ち手紙を書き始めていた。

「あれ? 姉さんが手紙書くなんて
 珍しいですね〜熱でもあるんですか? 」
「煩いわね……事情があるのよ」
「そうですか……」

 デスクの向こうにはデスクと同じぐらい光る低いテーブルに
キルディの座っている様な革製のソファーがあり
そのソファーには微笑むリジアが居る。
 その二つあるうちの隣のソファーには
疲れきって寝てるジオルとキャリーバッグとボストンバッグが置いてあった。

__金曜日に“任務”は終わらせ三日
以内にルーリアに戻る。

 それがキルディ達の……TinyHitmanの掟だった。

98:柊 ◆7Szo:2013/08/29(木) 08:58 ID:V6o

うう……んやっぱり難しいなこの書き方……
すみませんが…書き方キャラの目線で書かせていただきます。

99:柊 ◆7Szo:2013/08/29(木) 09:25 ID:V6o

>>98やっぱり……取り消して下さい

 掟に逆らうと上から“罰”が与えられる。
掟を守りつつもTinyHitmanは己の武器を貫く。
ジオルは銃をリジアは魔法をイヴァは剣。
__そしてキルディは“全て”………………

「おいキルディ……」
「何だ……見て分からないのか
 手紙を書いてること位」
 キルディはイヴァを少し見ると
手紙をデスクの上で再び書き続ける。
そんなキルディの姿にイヴァはため息混じりでこう言う。

「明日午前出発だぞ……
 エリーに挨拶しといたのか?」
「それが無理だから手紙を書いてるのよ」

 エリーというのはエリッサの事をイヴァは呼ぶ。
イヴァとエリッサは姉弟で
キルディとイヴァは幼き頃から遊んでいたりしていた。

 だが、イヴァはルーリアの国を出るとき思う事がある。
姉のエリッサは昔から
キルディを実の妹のように可愛がっていた。
だが一昨年キルディが十四の時
この組織に入ったと聞いた瞬間
顔を青く染めぎこちない笑みを浮かべる姉が

____嫌だった。
無理は絶対に姉のエリッサには弟のイヴァとして欲しくなかった。

 そんな姉を一人置いていくのはやはり弟として心配だった。
それにキルディもいつも姉の店に行く度に
寂しげな目をして帰ってくる。

 そんな彼女たちがイヴァはとても心配だったのだ。
そして明日……任務を終わらせる為にこの国ルーリアを出て
隣国のザフィバへバスで向かう。
 帰ってきた時に見えるキルディとエリッサの笑顔は
イヴァにとって最も安心出来る瞬間。 だがそんな笑顔も数日で裏切る。
けれど姉が大切に想っているキルディを守る為なら
自分も行かなくてはならないという責任から
 イヴァはこのTinyHitmanという組織に入団したのだった。 

100:柊 ◆7Szo:2013/08/30(金) 18:23 ID:V6o

>>95文章全て訂正。
錆びきった階段をキリディはかけ降り
三階建ての煉瓦作りのアジトを出る。

彼女はこのアジトを出る旅昔を思い出す。

 キルディには家族が居ない。
キルディが十二歳の頃にアン・タイニーとディヴェイ・タイニー……キルディの両親と
当時九歳になる弟のアデンは殺された。
それは__この小さなルーリアの国の誰もが聞いて震える
『LargeHitman』の手で……
キルディ達TinyHitmanの敵……
そのTinyHitmanのメンバーの両親達は皆

__『LargeHitman』に殺された。

 けれど犯人のことは言ってはならない。
それは……ルーリアに昔から語り継がれる掟があるからだ。

“犯人の姿を見ても誰にも伝えてはならない
伝えたらその夜『LargeHitman』に殺される”

 その掟をメンバー達は皆信じ
毎日その悪を恨み……金曜日、悪を滅ぼす。
 キルディは幼き頃から見ている……
人が殺されていくのを……
そして聞いている。

____その亡霊の嘆きを。

 今十六になるTinyHitmanのメンバーは
今では事件という劇の『観客』ではなく
『役者』というTinyHitmanとして
小さき国ルーリアを毎週金曜
このたったの四人の手で騒がさせる。

 キルディは昼間でも薄暗い路地裏に入っていき
とある古いアジトと同じ煉瓦で出来た
建物に入っていった。

「あらキル……来たって事は
 …………また出掛けるのね……」
 赤い髪を横に一つで結ぶキルディより少し年上に見える女性は
寂しげに笑みを溢す。
そんな彼女に対してキルディは困った様に小さく頷く。
キルディの表情にはどこか離れたくない悲しさと言うのが滲み出ていた。
「ああ……何時もすまないエリッサ……
 …………そこにある銃と弾をくれないか」
「私なんか良いのよ……キルはキルなんだから…………ね?
 それとあの子に……私は大丈夫って伝えといてあげて……?」
「ああ」
 そうキルディは返事をしエリッサと呼ばれる女性から銃と弾を受け取る。

「……すぐ戻るから」

 代金をカウンターに置き
エリッサに背を向けキルディは店を出る。

101:柊 ◆7Szo:2013/08/31(土) 02:54 ID:V6o

>>99会話文訂正

「明日午前出発だぞ……
 エリーに挨拶しといたのか? 」
「簡単にしか挨拶してないから
 今こうして手紙書いてるのよ……
 そう言えばエリッサ、イヴァあんたの事心配してたわよ」

とお読み下さい。

あと>>100
「ああ……何時も申し訳ないわエリッサ……
 …………今日はそうね……
 そこにある銃と弾を頂戴するわね」

と訂正してお読み下さい。

今のところ訂正はこれまでにしておきます。
何かありましたらまた訂正させて頂きます。

102:千鶴 ◆Pz2c:2013/08/31(土) 05:26 ID:sWY




100おめでと〜
これからも頑張ってね´`*

103:柊 ◆7Szo:2013/08/31(土) 12:27 ID:V6o

>>102ここでは一応読者様という事で敬語で行かせて貰いますね*^^
To.千鶴様
ありがとうございます。
もう完璧に短編集ですが
1000行ける様に頑張って行こうと思います。

>>100誤字「出る度」

【本文】

 キルディと彼らが出会ったのは
今から二年前の金曜……
当時皆中学生なったばかりで
その日は入学式だった。
 両親が亡くなった後キルディ達は皆親戚、兄弟と暮らして
学費等には特に問題は無かった。

 入学式……春の陽気と生徒の高鳴る鼓動で充満する体育館。
入学式が始まるが突然暗くなる。
「停電……? 」
 とキルディ以外の人は騒ぎ出す。
キルディは何かに気付く……

「おいお前ステージ見えないのか?
 ってキルディかよ」
「イ、イヴァ!? ステージ……?
 あ、あれってまさか…………」

 キルディとイヴァがそう話していると
真っ暗だった体育館に明かりがついた。
ステージに見えたのは頭。
血塗れで頭だけが転がるステージの机。
体はバラバラに下に置かれている。
「LargeHitmanに殺されたかもねー」
 こんな状況でキルディの隣の席から陽気な女の生徒の声が聞こえ出す。
その女の生徒とは今のリジア・セレンになる。

「貴女……よくこんな状況で言えるわね
 後そんな事言ったら夜殺されるわよ」
「ん? 私は大丈夫だよー何回も殺されかけてるけど
 逆に殺しちゃってるもん。あ、そうだ君達強そうだし
 TinyHitmanとして活動しないかい? 弟のコイツも居るんだけど」
 弟とは、ジオルを示す。
全く似ていないが姉弟らしい。
「両親の敵取るためなら……良いわ入団する」

 イヴァはそのキルディの返事に驚いていた。
キルディとは幼馴染みで長い付き合いだ。
二人の両親が生きてる頃は家も近所だった。
 だが、キルディはこんな“強くはなかった”
もっと、弱くて泣き虫だった。
イヴァは彼女が入るなら自分もということで入団した。

104:柊 ◆7Szo:2013/08/31(土) 15:12 ID:V6o

 そして今キルディ達はザフィバ行きのバスに乗ろうとしている。
荷物は下の荷物置き場に入れ、乗車券を持ちバスの空き座席につく。
リジアは窓側そしてキルディはその横に座る。
その席の後ろの秋座席にイヴァとジオルは
イヴァはキルディの後ろ、ジオルは姉リジアの後ろに座る。

「姉さん! 彼処のチュロス美味しいんですよ!
 今度一緒に食べに行きましょうよ! 」
「チュロスは後で……ね」
 キルディはそう言い溜め息をつく。
小さき国ルーリアからその反対大きな国ザフィバまで約半日はかかる。
「キルディ……何で始発なんだよ
 眠い………………」
 ジオルは欠伸をしながらキルディに問う。
「任務は任務よ。それが上からの命令なのよ」
 キルディはそう呟くように語る。
けれどその横にいるリジアにはキルディの異変に気付く。

____彼女の目には涙が浮かんでいた。

105:& ◆Xoik:2013/08/31(土) 20:36 ID:V6o

 ザフィバまでの道はかなり長い。
キルディとリジアは不思議と出発十分程度で眠りに落ち
その数分後イヴァとジオルも彼女達同様に眠りに落ちた。
 揺らぐバスと共に景色は流れ、そして時も流れる。

二時間程度が経ったのだろうかキルディは目を覚ます。
キルディは横に居るリジアを見るが彼女は幸せそうな寝顔を顔に浮かべまだ眠っていた。
キルディは後ろを向きイヴァとジオルの顔を見る。
ジオルはまだ姉同様眠っているようだがイヴァは下を向いていたが
キルディの視線に気づきキルディを一瞬見るが再び目線を下に戻す。
「なぁキルディ。
 今回の獲物・・・・・・厄介そうだな」
「分かるのね・・・・・・私にも見えるわ
 ”獲物の姿が"__」
「ああ俺も臭うよ”獲物の臭いが”な・・・・・」
 TinyHitmanのメンバーには不思議と『能力』が備わっている。
リーダーのキルディは『見えないモノが見える視覚』
イヴァには『感じない嗅覚』
リジアには『聞こえないモノが聞こえる聴覚』
ジオルには『感じないモノが感じられる触覚』

 彼女達は敵を討つために己の能力を・・・・・武器を使いこなし
自分達の正義を貫く__

そして今宵、ルーリアとザフィバを騒がせる・・・・・・
【chapter1】貫くEND

106:柊 ◆7Szo:2013/09/06(金) 17:05 ID:V6o

【Chapter2】正義 Start

____正義。

 それは、歪んでいても正しくとも貫けるモノ…………
彼女らTinyHitmanの正義は……
魔訶不思議なモノだ__

 キルディ達はバスを降り空を見上げる。
淡い水色と橙色が混じった空に灰色に染まる雲。
そして雲から少しだけ光を漏らす太陽____

 彼女達にとって夕暮れ時は予鈴のような存在。
そして宿泊所へ付く頃には夜を迎え本鈴が鳴る…………………
「”獲物“は向こうのビルに居るみたいですよ
 聞こえますもん『声』(オト)がね……」
「そうと決まれば行くのよ」
 キルディはそう武器の剣を背中から取り出す。
彼女の後ろの居るリジアにはキルディの背中に
後悔と決心が重くのし掛かっている様に見えていた。

107:柊 ◆7Szo:2013/09/14(土) 21:54 ID:V6o

 美しく大きく光を放つ満月の下には
怪しげに笑いキルディの剣に似た大きな剣を右手に持つ

キルディより上と思われる少年が居た。

「貴方とは戦うと思わなかったわよチェイス・アーロン……
 我が亡き父、ルーリアの王ディヴェイ・タイニーの
 仇……撃ち取る!!」
「そりゃ……楽しみだねぇ……? なぁ姫さん? 」

 チェイスは笑いそしてキルディを睨む。
二人を取り巻く空気にイヴァ達はただ飲み込まれていた。
 大きな剣を慣れた手つきで降りかざす。
それを表情ひとつ変えずに対抗する
チェイスにも自分なりの“正義”があった____

__彼が十五の時のこと。
チェイスは親に殴り続けられていた。
貧しい家庭で育っていたチェイスは国民の誰よりも皇室を憎んでいた。
 かつて彼の父、ワイアット・アーロンは皇室を護る兵士だった。
よく働き、気遣いがある兵士として同僚からも憧れられていた。

 そんな彼が一変したのはチェイスが生まれる前の春のこと__
城を護る為に城門の前で警備していたワイアットはその時王と大臣を見た。
普段何もないことなのだが王と大臣の表情には『悪』が見えた。
耳をすませると大臣は怪しげに笑い王に話しかける。
「王…………最近金が無くて困っていると聞いていたのですが
 これは私の考えですが国民から金を巻き上げて
 金を持てば良いのではないでしょうか?? 」
「ほう……それはいいな」
 王のディヴェイは品の悪い笑みを浮かべ
城門の前で待機させてある馬車に大臣と共に乗り込み消え去った。

 正義感が人一倍強いワイアットは
憧れを抱いていた皇室に怒りを抱いた。
次の日彼は王室に向かい無理矢理入った。
「王様……どういうことでしょうか
 国民から金を巻き上げる事など
 皇室にあってはならない行為ですが……」
「ワイアット君……誤解をするではない
 巻き上げるなどそんな行為をするわけ無いだろう」
 ワイアットが何回も問い詰めても王は同じ答えを出す。
何回も訴えるワイアットに王のディヴェイは苛立ちを覚えた。


__そしてある日、ワイアットをクビにした。


 その日から家庭は貧しくなる一方で
幼いチェイスは荒ぶるばかりだった。

チェイスは幼いながらにもすでに
『金と地位は人を支配する』
という事は知っていた。

 物心がついた頃チェイスはある決心をする。

『父を変えた人物をこの手で殺める』

__そして今の“正義”を持つチェイスに至る。

108:柊 ◆AyG2:2013/09/15(日) 21:53 ID:V6o

 草原に星と月しかない夜空。
少年少女が互いを睨み合う__戦いの時にしか見られない独自の表情を浮かばせる。
 次の瞬間、銃声が鳴り響きキルディに生暖かい赤色の液が降りかかる。
後ろを振り向けばリジアが下唇を噛みながら左手で右腕を抑え、地面にへたり込む。
その行動は誰がみても分かる『腕に傷が出来た時』の行動だ。

「リジアッッ!! 」
「そうは行かねえよ! 姫さん! 」

 チェイスは後ろを向いたキルディに右手で持っていた剣を両手で持ち
全力を出し切るかの様に振りかざす。
「チェイス・・・・お前の思う通りには行かせねえんだよ」
 イヴァはニヤリと笑いチェイスの剣を己の剣で止める。

 金属音が静かな草原に小さく鳴る。
金属音が少し大きくなった時、また銃声が聞こえた。
そして瞬きを数回する頃にはチェイスは血を服に滲ませ倒れる。

「正義は・・・・・・勝利」

 ジオルは煙を出す銃を強く握りしめ永久に眠るチェイスを見つめ涙を流した。

【Chapter2】正義(ジャスティス)End

109:柊 ◆4DCs:2013/09/15(日) 22:51 ID:V6o

【Capter3】極秘任務-top secret mission-Start

 時はあの日の翌日の朝五時頃までに流れ着く。
彼女達TinyHitmanは、欠伸を浮かべながらバスへ乗り込む。
席へ着くと数分もしないうちにバスは出発をする。
 バスの窓からはまだ薄暗い空と街が見える。

窓際に座っているリジアは眠そうな目でキルディの服の裾を掴み
「姉さん・・・・・・チュロス食べないんですか〜・・・・」
「また、今度ね・・・・」
 その冷静な声でリジアは少しふてくされたのか窓を眺め始めた。
キルディはバッグの中からロケットペンダントを取り
中に入っている写真を悲しげな目で見つめる。
写真に写っていたのは、キルディ含む家族の笑顔の写真だった。

 それを横目で見るリジアは
キルディの悲しみの叫びをしっかり聞いていた。

 疲れからかキルディ達は行きと同様に眠りについてしまった。
キルディは夢を見る。
真っ暗な闇という闇に包まれる夢を。
そして何処からか声が聞こえる。
「次の指令はアリス・マーガレットを殺せ」
 という声が___


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