終わる世界と人喰い日記

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1:あみる:2013/07/12(金) 07:08 ID:ApQ


始めましての人は初めまして。あみるです。
ホラーやダークファンタジーを中心に書いてます。
ちなみにこの作品は、昔書いたものを手直しして作ったものです。
荒らしさんや迷惑行為をする人はともかく、見てくれるとありがたいです。

コメントはしてもらって構いませんが、小説版ということで、
[無いとは思いますが]、コメントがたくさんあった場合は、交流版にスレッドを作ろうかと思っています。
……まぁ杞憂でしょうが。

そういうわけで、本当にゆっくりですが更新していこうと思っていますので、
よろしくお願いします。

*注意 
この作品は、吐き気を催すような駄文、長い説明、グロ表現を含んでいます。
お食事中の方、またはグロ表現の苦手な方はご視聴をお控えくださいませ。

2:あみる:2013/07/12(金) 20:38 ID:ApQ

では始めます。


プロローグ  それは、とある戦場の日常風景

「まさに地獄絵図だな……」

その光景を見て、新人兵の青年はそう呟いた。
あちこちに散らばる兵器、破壊された建物。そして、それの何十倍もあろうかという、焼却の為に一カ所に集められた、オノや鎌を持つみすぼらしい人々の死体と血痕。
 数時間前まで続いていた、国民による食糧を求めた陰惨な紛争の結末は、たしかに、だれが見ても時刻絵図と呼べる光景だった。
「うぅ……」
長時間見ていたのが悪かったのか、青年は吐き気を催してきた。
 仮に敵だったとしても、自分は何十人もの人を打ち殺したのだ。
いい気はしない。
「このままここに居ると狂っちまいそうだ。さっさと基地に帰ろう……」
 そう言って青年は、この最悪の光景から逃げ出すように荷物をまとめ、死体達を振り払うようにして振り返ろうとして――全身が硬直した。
「だ……誰だ、貴様は」
 幾重(いくえ)にも積み重なった死体の山の上に、赤いワンピースを着た少女がまるで血に埋もれるように、死体の山を掘り進んでいたからだ。

3:あみる:2013/07/12(金) 20:40 ID:ApQ

すいません。↑時刻× 地獄でした……。

4:あみる:2013/07/12(金) 20:55 ID:ApQ


 もしかしたら、殺された親の仇を討ちに来たのかもしれない。
そう思った青年は、近くにあった機関銃を手に取り、ゆっくりと少女に近づきながら叫んだ。
「ここに何の用だ……? 名を名乗れ!」
 しかし少女は青年の怒声を無視し、無我夢中で死体の山を掘り進める。まるでその先に恋人でも居るかのように、とにかくモノと化した人間を山から引きずり落とし、さらに奥の人間を引きずり出していた。
 ワンピースの少女が死体を引きずり出すという異様な光景に青年は少々の怯えを感じながらも、もう一度少女に向けて声を張り上げた。
「おい、聞いているのか? 名を名乗れと言ってるんだ!!」
すると、やっとその言葉が通じたのか、少女は死体を掘り漁る手を休め、顔を伏せたまま答えた。
「……何? 邪魔しないでよ……」
「……っ」
その怨みのこもった声に、青年は一瞬怯んだものの、すぐに言い返した。
「……さっきまでここで戦闘があったのは知っているだろう? 金品漁りか親族を探しているのかは知らないが、不審な行動を取るなら打ち殺すぞ……?」
 そう言って青年は手に持っている機関銃の銃口を少女に向けて見せた。
しかし、少女はそんな威嚇(いかく)など見向きもせずに、青年を嘲笑するように呟いた。
「金品漁りぃ? 遺族? そんなものより私はこの『死体』が欲しいだけなの……あんたも欲しい? なら、分けてやってもいいけど?」
 そう言い終えると、少女は青年に向かって何かを放り投げた。
青年は始め、それは手りゅう弾か何かだと思っていたが、それが近づくいつれてその正体を知った。

「ひ……ひぃぃぃいい!!」
それは、人間の手だった。手首から先は引きちぎられ、死後硬直によってまるで石像になったような元人間の手、だったのだ。

5:あみる:2013/07/13(土) 23:21 ID:ApQ

続き書いて行きます。

「き……貴様ぁあ!!」
 青年はパニック状態に陥り少女に、気狂いなのか本物なのか分からないバケモノに向けて、とにかく引き金を引いた。
 だが、少女には全く当たらなかった。
いや、当たっているはずなのに、少女の華奢(きゃしゃ)な体に傷を付けることすらできなかったのだ。
「な、何なんだよ、お前……。まさか、本物に化け――」
あまりのことにへたり込む青年。すると後ろから声がした。
「食べないの?」
少女だった。たった五秒ほど前まで前方にいたはずの少女が。青年に後ろから囁きかけていたのだ。
「……あ、あぁ……ぁ」
「好き嫌いは……ダメだよ……?」
そして、もはや言葉さえ話せなくなった青年の口に少女が何かを当てた。
――それが何かを確認する前に、青年は気絶した。
 少女が持っていたのは、腐り、もともと何だったのか分からなくなったピンク色をした粘膜の塊と、ねじ曲がったやわらかいホースのような人間の腸。
そして、少女がさっきまでいた場所には、腹を食い荒らされた男の死体が転がっていた。
「オイシイノニ……」
青年が気絶してしまったと知った少女は、その内臓をくちゃくちゃと喰らいながら、その首に手を当て――

6:mirai:2013/07/14(日) 18:05 ID:RFQ

おもしろい!あたしグロ大好き!

7:あみる:2013/07/14(日) 21:36 ID:ApQ

miraiさん。コメントありがとうございます。
手直しに時間がかかってるので、更新が遅いかも知れませんが、
ゆっくり見ていってください。
追申(この先は、グロさが落ち着くかもですw)

8:あみる:2013/07/15(月) 21:36 ID:/Kg

続けます。


――脈拍(みゃくはく)を測った。
それはもう綿密に測り、脈があることを確認した後には気道を確保し、息をしているかを確認した少女は、
「……はぁ」
盛大に溜息をついた。
「せっかくホラーっぽく脅してみたのに、ショック死しなかったか……ちっ」
さっきまでとは打って変わって、しょぼーんとする少女。もうその顔には狂気はひとかけらも残っていない。
どうやら……本当に青年を脅かし殺す為だけに演技をしていたらしい。
「ま、仕方ない。ちょっと新鮮さには欠けるけど、ここらの死体で我慢するか」
 というわけで、そう自分を言い聞かせた少女は、また赤いワンピースと肌を真っ赤に染めながら、死体の解体作業に戻っていったのだった。
 
 紹介しよう。彼女の名前はノア。
そしてこれは、いつの日にかあるかもしれない、人間と狼の物語。

9:あみる:2013/07/20(土) 04:35 ID:/Kg



一日目 狂った同居人の話 


気温はいつも通り四十五度をゆうに超えていたある日の午後3時過ぎ、私はその日、紛争地域から砂漠を超えて、やっとのことで自分の住処(すみか)へと帰ってきた。
すぐに『食料』を玄関の横にあるエレベーターに乗せて地下へと送っちゃって、その後、私は嫌な金切り声を上げる重厚な金属製のドアを開いて、地下にある家へと続く階段を降りた。
「ふぁ〜今日も暑かった。食材が大量に手に入ったのはいいけど。あんまりに多量すぎると砂漠越える時に重たいんだよね〜」
と、そんな言葉を吐いたら洞窟状の階段の中で声が反射した。
何だかちょっと楽しくなった気がしたものの、少し淋しくなったのでさっさと階段を降りる。
階段を降り切った後に壁に張り付いたスイッチを押して家の主電源をオンにすると、すぐに部屋のあちこちから起動音が鳴り、クーラーと扇風機が稼働した。
それを確認した私は、それらの効果が一番強い特等席。つまりはリビングの中央に置かれたソファーに寝そべり、扇風機に『あ〜』と言いながらテーブルを挟んで設置してあるテレビのスイッチを入れた。
――が、
『二千四百十二年、七月十六日。国内各地で紛争が勃発し、多くの犠牲者を出したあの日から一カ月。未だ政府は解決の糸口を見出せておらず、軍部は――』 
「ちぇ……また戦争のニュースか」
どのチャンネルでも、『人間』の放送している紛争や飢餓のニュースばかりしか放送していなかった……。いい加減、もう少し明るいニュースを流してほしいものだ、まったく。
「あーぁ……もう諦めて家に帰ろうかなぁ……」
私はあまりの退屈さにソファーにもたれかかり、こんな退屈な生活が始まった三か月前の私を少し恨んでいた。

10:宇宙:2013/07/20(土) 15:40 ID:2X.

始めまして!!
とっても面白そうですね!!
続きを早く読みたいです!!
配信よろしくお願いします!

11:あみる:2013/07/20(土) 23:24 ID:/Kg

宇宙さん、コメント本当にありがとうございます。励みになります……!

では、続きを書いて行きます。


今から、三カ月前。
私は、半分やけっぱちで家を出て、『人間』達の国に近い、こんな辺境の土地、というか砂漠にに移り住んだ。
 もちろん、最初は新しい生活という名目があったから楽しかった。が、
三か月が経過した今では、新しい生活という新鮮さも無くなってしまい、
「ワヘェワヘハ〜オオカミだ〜」
こうして『狩り』をしている時以外は、扇風機に話しかけながら暇を潰している。
 まぁ……それも二時間も続ければ、誰でも飽きる訳で――。

「さて、そろそろ昼ごはん食べよ……」
 結局、食欲に逃げる私。
クーラーと扇風機の前から立ち去り、何か作ろうと、キッチンへと向かう。
さっき、玄関横のエレベータに入れた『食材』。人間の肉は、自動的に冷蔵庫の中に入れられていた。
「まぁ、数が少ないとはいえ、こんなに新鮮な『人間』のお肉が手に入るんだから、少しは我慢するか……」
 冷蔵庫の中身を見て、溜息混じりにそう呟く私。そう、この『人間』の肉こそ、私の求める食材なのだ。

12:あみる:2013/07/23(火) 22:57 ID:yWA

 

今から、四百年前。二十一世紀と呼ばれた時代。
その時代はとても平和で、人間は満ち足りた生活ができていたと私は学校で習った。
 しかし、それから五十年も経たないうちに、人間は貧富の差から自らの手で核戦争を引き起こした。
 それにより、元々、深刻化していた食料問題が、放射能による土壌汚染でさらに深刻化し、
 今まで居た野生動物は、放射能や乱獲により、ほぼ絶滅してしまった。
よって、深刻な食糧危機に陥った『人間』は、放射能を処理したいくつかの場所に集まり、たがいに助け合い、そして支え合うことで、この危機を乗り切ろうとした。
……ものの、

『一カ月前勃発したあの国内六カ所の紛争は、いずれも貧困層の国民が政府の管理する食料貯蔵庫から食料を強奪するケースが主で、食料問題に関する政府の対応に懸念(けねん)の声が挙がっています』
 結果はこの通りだ。
そりゃそうだ、まだ世界に四十万人も存在する『人間』の消費する食料を、あんな人口密度が高い国内で生成できる訳が無い。
 結果的に、『人間』の食料問題は深刻化して、今では紛争も日常茶飯事になってしまったのだった。

13:あみる:2013/07/28(日) 11:52 ID:yWA


まぁ、だからこそ、私達の『食料』が手に入るんですけどね……。
私は、そう心の中で呟きながら、今度は紛争の映像を流し始めたテレビから目を離す。
 あの映像は、もう見飽きた。
この一カ月で六回も現地で見た風景だ。さすがに見飽きる。
そういう訳で、そんな映像に興味は一切無いので、いつも通り冷蔵庫からまだ新鮮な……。
 具体的に言えば、昨日あの紛争地帯から取ってきた、『人間』の足の肉を、取り出して、水洗い。その後、足首から先を切り分け、切り口に塩を振って、そのまま頬張ろうとして、

(プルルル……、プルルルルルル……)
「……タイミングが悪いなぁ」
 電話が鳴った。
しかし、今は三度の飯より大切な食事の時間なので、そんな事は無視してそのまま肉を頬張った。
 口の中に、ぐちゅぐちゅとした食感が溢れる。
あぁ、やっぱり、新鮮な肉はおいし――
(プルルル……、プルルルルルル……)
「……はいはい。出ればいいんでしょ!」
電話の音がやけにうるさいので、私はしぶしぶ受話器を取る。
「おぉ、ノア! やっと出てくれたか!」
「ふぁ……、おほ〜はんか。ふぇんひ〜?」
 ただし、肉を頬張りながら。
そんな私に、いつも通りお父さんは激昂した。

14:匿名さん:2013/08/05(月) 10:58 ID:iks

間が空きましたが続けます。

「ノ、ノア! 電話に出る時ぐらい食べるのを止めなさい! さすがに咀嚼(そしゃく)する音が生々しいぞ!」
 あ〜、もう、うるさいっ!
私は、急いで肉を飲み込むと、負けじと言い返す。
「はぁ? お父さんには関係ないでしょ? 私は、三度の飯より食事が好きなの! つべこべ言わないでよ!」
「食べる事しか頭に無いのかお前は! いや、それはどうでも良いが、せめて最低限度のマナーは――」
「うるさいっ! こんな『世界の終末』に、食事のマナーが通用する訳ないでしょ? 少しは考えなさいよ『人間』が!」
「な……ノアお前まだそんな事w――」

 それから先は、怒声でよく聞き取れなかった。
それから、十秒ほど経ち、どうやら、お父さんから受話器を奪ったらしいお母さんが、電話に出た。
「ノア……あんたの気持ちも分からなくは無いけど……お父さんだって心配なんだよ。まだ十五歳のあんたが毎日戦場に行って、危ない目に合ってないか、って」
「余計なお世話って言っといて……。私はお父さん達『人間』みたいに、軟弱な体してないから……」
「ノア……」
 そう、私は、私達は人間とは違う。
私達は、進化した人類。『人間』を超えた人間。
 『狼』なのだから。

15:あみる:2013/08/07(水) 07:25 ID:yWA



私達の歴史は人類の危機であった核戦争から始まる。
 放射能により、生まれた子供が次々と死んで行く中。
生き残った子供のうち、百人弱の子供に、奇妙な現象が立て続けに起こった。
生まれて三十分も経たずに、立ち上がり、歩き始めたのだ。
それが私達『狼』の始まりだった。
異常な生命力、そして身体能力。皮膚は放射線を通さず、熱にも強い。
そんなスーパーマンのような私達を、『人間』達は、神の子だ。人類の進化だと騒ぎ立てた。

しかし、
その子供達は、自分を研究していた研究員を食い殺すという事件を引き起こした。
 おそらく、今の私と同じで、お腹が空いていたのだろう。
その子供達は『人間』の教育を受けていながら、なぜか目の前の生き物を
『食べ物』としか認識しなかったのだ。

そうして、その事件以来、『人間』達は、その子供の親でさえも、その子供達を
「狼だ」「バケモノだ」と突き放し、自分達の住んでいる町から、危険な荒野へ投げ捨てた。中には殺された子供も居たかもしれない。

こうして、私達『狼』は人間の歴史から抹消された。

16:あみる:2013/08/11(日) 23:36 ID:/mI



しかし、私達『狼』は生き残った。
どんなに、放射能を浴びても、暑くても、寒くても、死ぬことは無い。
 草も、動物も全くいない死の大地でも、『狼』達の胃袋は、人間の腐敗した死体でさえも栄養に変えた。

 そして、そのうち、『狼』を理解してくれる、『人間』が現れた。
『狼』恋をした『人間』も、『人間』に恋をした『狼』もいた。
その過程で、私達は『人間』同様の技術と心を手に入れ、放射能処理した場所に、一つの国を作るまでになった。
 『人間』の歴史からは葬られても、立派に生き残ったのだ。
そうして、今の私達の国は人間同様、いや、人間の何倍もの発展を遂げている。
 私は学校でそう教えられた。

しかし、私は未だにその事実を嫌っている。
 『人間』なんかと交わらなくても、私達は発展できた。私はそう考えているからだ。特に、

「ノア……、お父さんとお母さんは互いに愛し合って結婚したの。種族なんか関係ない、そうお互いに受け入れて結婚した……。だからこそ、私達はノアにもそう思ってほしいの……」

 こんな、両親を持つとなおさらそう考えてしまう。

17:あみる:2013/08/14(水) 18:22 ID:/mI



うちの父は変わり者の『人間』だ。
自分が、捕食対象だと知っていながら。『恋』という曖昧なものに身を任せ、あろうことか『狼』の母に結婚を申し込んだ、大馬鹿者だ。

まぁ、たしかに、今でも『狼』と結婚する『人間』は全く無いとは言い難い。
いくら、『人間』が私達を歴史から消したとしても、三百年も経てば、バレない方がおかしい。
 無論、『人間』の政府は「居ない」の一点張りではあるんだけど……。テレビを見る限りでは、少しずつ噂が広がっているようで、
だからこそ、子孫繁栄や身の安全の為、私達と交わる『人間』が、一年に十数人は現れるのだ。

 とはいっても、捕食者と捕食対象が夫婦になるというのは奇妙な話だ。
『人間』は食べられるのが怖く無いのだろうか?
いや、おそらく、確信があるのだろう。「自分達は食べられない」と。
――まぁ、事実そうなのだから、笑える話だ。

 私達は、『人間』を食べる事ができない。
正確に言うなら、生きている『人間』を食べることが、許されていない。
 始めは、バケモノ同然だった私達『狼』も、集まって国家を成すと色々な規則ができる。
 その中の一つに『現在、地球上で唯一の生物である人間を絶滅させない為に、
故意に殺すことはしてはならない。よって、食用にするのは必ず死体でなければならない』というという法律があり、
昔のように、人間を襲う事ができなくなってしまったのだ。

だからこそ、『人間』達は、捕食者である『狼』と共に暮らすことができる。
もっとも、生まれる子供は生存能力の強い『狼』側の子供になるんだけど……。

18:あみる:2013/08/15(木) 19:44 ID:/mI


それは、まぁ、いいとして。
「まったく……、『人間』さえ襲っていいなら、私だってこんな周りに砂漠しか無い土地まで来なくても良かったのに……。だって、国のそこら中に『食料』が歩いてるんだから……」
「い、いい加減にしなさいノア! 言って良いことと、悪いことが――」
「お母さんだって、本当は我慢してるんでしょ……? そんな近くに『食料』があるんだもん……。食べたくないはず無いよね? お父さんを……」
「……っ!」
 そうして、お母さんも激昂してしまったので、さっさと電話を切り、人間のもも肉に齧り付く。
 また、口の中に、ぐちゃくやとした食感が広がる。
そうだ、これも……、生肉を食べることも、人間にはできないことだ。
 私達は、昔地球に居たとされている肉食動物と同様に、生肉からビタミンを摂取できる。
 よって、植物を食べなくても生きて行ける訳で……。
『穀物倉庫にも多くの人が押し寄せ、負傷者○○人 死傷者は――』
 決して、あんなことにはならない。
そう思いながら、つけっぱなしだったテレビを消す。
これで、やっと静かに食事ができる。
 両親との電話で、ストレスが溜まっていたので。怒り任せに肉に噛み付く。
「まったく……、何が『愛し合った』よ……っ」
両親への怒りを肉に刻み付けながら、どんどん食べる。
「食料に同情してどうすんのって話だよね……、肉が不味くなるだけだし……」
 が、そのうち。食べるスピードが遅くなり。結果的に。
「はぁ……、やっぱりおいしぃ……」
十秒も経たずに機嫌を直してしまった。

 あぁ、やっぱり私がどんな精神状態であろうと、生肉は癒してくれる。
相変わらず、とても美味しかった。
 さすが、採れたての新鮮な肉は、味が違う。
少なくとも、実家で毎日出される、死んでから半年も経った保存用の肉とは大違いだ。
 この肉を食べている時だけ、さっきまでの退屈を忘れ、ここに来てよかったと、思える。
 で、そんな、至福の二十分はあっという間に過ぎ。
「あ〜、お腹いっぱいぃぃぃ……」
 そんな事をまた扇風機に呟く時間になる。
あぁ、暇だなー。
そう、思った次の瞬間。
 私の住んでいる建物全体が……揺れた。

19:あみる:2013/08/17(土) 07:37 ID:/mI


「ん? 始まったか……」

どうやら、この近くまで紛争地域が拡大してきたようだ。
一応、この建物は、昔『人間』の軍が使用していたものらしく、かなり頑丈な素材でできており、戦車でも持って来ない限り、破壊は不可能で、放射能耐性もバッチリなものの、心配なので外に出て状況を確認する。

……心配したほどでもなかった。
ここから『人間』の国までは、未だ放射能を放出し続けている砂漠を越えなくてはならない。
武装しているとはいえ、さすがに放射能汚染されている土地には入れないようで、完全に対岸の火事状態だった。なので、取りあえず中に戻ろうとして、
「すいません……」
「……?」
今まで隠れていたのか、七、八歳ぐらいの男の子が、建物の影から顔を出し、申し訳なさそうにこっちを見ているのに気付いた。

 が、かまわず建物に入り、鍵を閉める。

「あ、開けてください! 一晩だけでもいいから、とめてほしいんですっ!」
 そしたら、何か、ドアをガンガン叩いてきた。
ああ! もう。何で今日はこんなに厄介ごとが多いの?


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