その恋、涙つき。

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1:奏:2013/07/25(木) 17:25 ID:gnI








―――――私はただ、あなたとずっと一緒にいたかっただけ。

2:奏:2013/07/25(木) 17:46 ID:gnI


序章





「帆華、おいっ、帆華」



深い眠りについていた時だった。
繰り返し呼ばれる自分の名前に、耳がぴくりと反応する。


好きな人の喋り方なんて、いつ覚えたんだろう。
優しくて、あったかくて、心の底から安心する。


まるで、優しい陽だまりに包まれているかのよう。



「……亮介」


「亮介、じゃねぇよ。さっきから呼んでたんだけど?」



ちょっと怒ったような素振りを見せた彼は、私から目をそらした。
危うく彼の優しい声でもう一度眠りそうだった私は、はっと目を開ける。



「ごめ…、色々悩んでて」



眠たい目を擦りながら、素っ気ない彼に必死に訴える。


まさか、教室で眠ってしまうなんて。
言ってから時計を見上げれば、下校時刻なんてとっくに過ぎてる。


待たせてしまったことの罪悪感と、取れない疲れがどっと押し寄せる。


机に置いてある一枚の紙を、ちらっと横目で見る。
途端に、ため息は漏れた。

3:奏:2013/07/25(木) 17:51 ID:gnI




「…まだ決まってないんだ?」



彼も同じように、ため息を漏らした。


俯きながら小さく頷けば、彼は大きな手のひらを私の頭に乗せた。
その指先は、あまりに優しくて。


胸がいっぱいいっぱいになって、疲れはふわりと軽くなった。



「まあ、ゆっくりでいいんじゃない?」


「…うん」


「それより、早く帰ろう」


「…あっ、亮介、」



まだ素っ気ない態度の彼は、背中を向ける。
私はそれを必死に止めた。


制服の裾をきゅっと握って、俯いたまま。


なぜだか、彼が遠く感じたから。


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