短篇集

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1:めそ:2013/09/26(木) 03:43 ID:gu6

1 雪だるま

旅をしている男性は言った。
「僕はね溶けることのない雪を探して旅をしているんだ。」
そして私は質問をする。
「どうしてそんなものを探しているの?」
「それはね僕には昔、雪だるまの友達がいたんだ。彼はただの雪だるまと違って人と話ができてね、僕の親友だったんだ。」
私の質問に答えてくれた男性に私は疑いの眼差しをむけた。
「そんなの嘘だよ。だって雪だるまがしゃべるはずないもん。」
男性は一瞬、曇ってきた空を見上げて私に優しく微笑みかけたあとに話す。
「確かにそうなのかもしれないね。もしかしたら僕は夢を見ていただけなのかもしれないね。でも僕はそれを夢と決めつけたくないんだ。」
「どうして?」
「あの雪だるまとのお話や遊んだ思い出を夢というこで片付けるのは嫌なんだ。・・・話がそれてしまったね。その雪だるまの友達はね冬の時期、僕の村に雪が降ったときに僕が作ったものだったんだ。はじめはお話や遊ぶことなんてできなかったんだ。」
「じゃぁどうやって話せるようになったの?」
「実はね、僕の村の近くには魔女が住んでいたんだ。」
「魔女?魔女ってあの魔法なんかが使えるっていう?」
「そうだよ。その魔女が僕に一つ魔法を教えてくれたんだ。多分教えてくれたのはただの暇つぶしだったんじゃないかな?」
男性はそう言うと一本のタバコを取り出して吸う。私はタバコの匂いをかぐのは初めてだったが決して嫌な匂いではなかった。
少し間を置いてから私は話の続きを聞いた。
「その魔女は何の魔法を教えてくれたの?」
「その魔法はね物に命を吹き込む魔法だよ。」
「物に命を?」
「そうだよ。なんだか怖いよね。でも僕はそのときまだ小さかったからまだ命についてなんて深く考えずにその魔法を僕の作った雪だるまに使ったんだ。」
「それでどうなったの?」
男性は悲しげな表情をしながら私に言った。
「成功しちゃったんだ。」
その物言いはまるで後悔ををしているかのようなものだった。
「雪だるま・・・彼はそれから僕と親友になったんだ。一緒に遊んで、話して・・・それから僕の村の冬に終わりがきたんだ。」
私は気づいた。冬が終わるということは雪が溶けるということだ。つまり雪で出来ている雪だるまは溶けていなくなってしまう。
「もう察しはついているだろうね。君の思ったとおり彼は溶けて消えてしまったんだ。」
その話はあまりにもあっけのない話だった。そして雪だるまが少しかわいそうになる話だった。
「でもね、彼がいなくなってから少し経ったある日に魔女が僕に言ったんだ。」

『私は昔、遠い土地に溶けない雪が降るという話を聞いたことがある。そこならば雪だるまも溶けずにずっと一緒にいられるだろう。』
『本当ですか!・・・でもどうして僕にそんなことを教えてくれるのですか?』
魔女は答えた。
『なんとなくだよ』

「だから僕はその土地を探して旅をしているんだ」
「そうなんだ・・・でもその土地で雪だるまをもう一度作ったとしてその雪だるまは前の雪だるまと同じ雪だるまになるの?」
男性は答える。
「あぁ、大丈夫だよ。雪だるまに命を吹き込むのに必要なものは僕の記憶なんだ。だからまた彼は同じ彼になってくれると思うよ。」

そしてタバコを吸い終わった男性は私の村から出ていきまた溶けない雪のある土地を探しに出ていった。
男性が街を出ていくときに私の村に今年の冬はじめての雪が降り始めた。


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