バラの美少女吸血鬼

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1:わかな:2013/10/05(土) 18:48 ID:cJA

秋の夕暮れの、風は冷たい。
まるで、知らない国を歩いているように、闇に包まれていく町は心細い。
ぽつぽつと外灯が灯り始めた道を、うつ向きがちに歩く少女が一人。
風が吹き付けるたび、やわらかな茶色い髪が、さらりさらりと、もてあそばれる。
細い肩がかすかに震える。
長いまつげをふせた目は、じっと、つまさきにすいよせられたまま。
泣いているのか?
「ったく、ムカつくぅー」
……いや、怒っているのだ。
少女の名は、野山ユリ。小学5年生、11さいだ。
人には
「リリー」
と呼ばれている。
少しきつい性格から、
「タイガー・リリー」
と呼ぶやつもいる。

2:わかな:2013/10/05(土) 22:16 ID:JEc

実は小さい頃、舌たらずで、自分の名前を「リリ」と言っていたのが、そのままなまっただけなのだ。
リリーは五年生にしては小柄で、きゃしゃで、一見おとなしそうに見えるのだが。
「なんでっ!なんで宿題忘れたぐらいで、こんな遅くまで残されんのよっ。お腹ペッコペコ!おやつも食べてないのに、もう夜ご飯の時間じゃないっ」
見かけによらず、怒りっぽい。
「そういえば、今夜は大好きなチキンカレーだっけ。アイドルのあやちゃんのドラマもあるし。よっしゃー、早くかえろうっと!」
そして、やたら立ち直りが早い。
さっきまでの不機嫌もなんのその、大きな目をキラキラ輝かせ、スキップしそうな勢いで、前にふみだしたとたん。
「えっ」
足もとを、ひゅんと、矢のように小さな黒い影が横切った。


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