願い事、叶えます。

葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧 [書き込む] Twitter シェアする? ▼下へ
1:瑠璃:2013/10/24(木) 17:50 ID:tnI

小説初心者です(..)
色々と分からない事もありますが、楽しんで
くれたらうれしいです。
感想お待ちしてます!

2:瑠璃:2013/10/24(木) 18:26 ID:tnI

星原中学校、1‐1。
そのクラスは、まだ朝だというのにがやがやしていた。
何って、今日は転校生が来るのである。どんな子か、
皆楽しみにしていた。
がらがらと先生が入ってきて、教卓の前に立った。
「えー、今日は転校生を紹介する。神月あゆるさんだ」
入ってきたのは、黒髪が美しい和風の美少女だった。
皆、感嘆の声を漏らした。
「では、自己紹介を」
「神月あゆるです。京都からきました。好きな教科は
特にありません。しかし、どれも普通に点は取れます。
美術、技術、保健体育、家庭科なども普通にできます。
身長は154センチ、体重は39キロです。細い方だ
とよく言われます。それと・・・人の願いを叶えてあ
げることができます」
この転校生の自己紹介は、実に奇妙なものだった。
転校早々、自分の身長体重なんて、誰も教えないから
である。しかも、人の願いを叶えるという言葉は、
実に中学生の言動とは思えなかった。
しかし、好奇心をそそられたクラスメートたちは、
昼休み、さっそくあゆるの机の前に群がった。
「ねえねえ、願いを叶えられるって、本当?」
とある女子生徒が聞いた。
「ええ。なんでも叶えられるわ。でも、1人1回まで
よ。えこひいきはしないの」
「へえ〜。じゃあさ、この教室をめちゃめちゃにして
みてよ!」
男子生徒が、ふざけて言った。
あゆるはがたっと席を立った。
「それがあなたの願いね?」
「うん」
「わかったわ。これからの願いは受けつけないわよ」
そう言うなり、机をぶん投げた。ぱりーん、とガラス
が割れ、教室に飛び散った。
生徒たちは、危険を感じ廊下に避難した。
その後も、あゆるは椅子を投げたり黒板に落書きしたり
ロッカーの物を外に放り投げたりして、教室をちらかし
た。
「こらー!何をしている!」
先生が駆け付け、あゆるは職員室に連れて行かれてしまった。
それを、旭日蓉子は、じっと見つめていた。

3:瑠璃:2013/10/24(木) 18:54 ID:tnI

(あの人なら・・・私のお願いも、叶えてくれる
かしら・・・?)
蓉子は、職員室の前でずっとあゆるを待っていた。
その20分後、あゆるは平然とした顔で職員室から
出てきた。
「あの!神月さん!私のお願いも叶えて欲しいんで
・・・!どうか話を聞いてください!」
「あなた、今のを見てもまだやるつもり?私はなん
でもやるわ。中途半端なお願いじゃ、後悔するわよ」
「いいえ・・・!私、真剣に考えてるんです!だから
お願いします!話を聞いてください!願いを叶えて
ください!」
あゆるは蓉子の必死な表情に押されたらしい。
溜息をつきながら、蓉子をトイレに引きずり込んだ。
話を聞かれたくないらしかった。
「で?願いは何?」
「私の願いは・・・」
蓉子は息を吸った。

「このクラスの・・・女王として君臨するのです」

あゆるは首を傾げた。
「一体どうして?」
「今、クラスには片瀬友香という女王がいます。私は
いつもあの人の後ろにいなければ、構ってもらえない
んです。みんなの人気者になりたいんです。だから」
「そういうこと。いいわ、女王にしてあげる。その
かわり・・・」
蓉子はごくりと生唾を飲んだ。

「願いは取り消せないわよ。一回やったら。あとは願い
は受けつけないわ」

「わかってます。それを覚悟で、頼みました」
蓉子は、真剣なまなざしで頷いたのだった。

4:瑠璃:2013/10/24(木) 19:02 ID:tnI

明日は学校なので書きこめないかもしれません・・・。

次の日。
「まったく、蓉子もみんなも、約束の時間にきてくれない
なんて・・・」
待ち合わせをしていたが、友香の手下は来なかった。
遅刻ギリギリで友香はやっと教室に入る。
そこには、仁王立ちする蓉子の姿があった。隣りには、転
校生のあゆるもいる。友香の手下は、みな蓉子が従えてい
た。
「ど・・・どういうことよ、蓉子」
震える声で、友香は訪ねる。
「この通りよ。今日から私がクラスの女王・・・。みんなも
賛成してくれたわ。他の奴らは、私が怖くてあなたに従えな
いんですって・・・。あなたも、私の言うことを聞きなさい。
さもないと、痛い目に合わすわ。ふふふふふっ・・・」

5:瑠璃:2013/10/26(土) 17:39 ID:tnI

「なんで、なんで・・・・・・!!あんな奴が私の代わり
に女王としてクラスを仕切ってるのよ!!」
トイレの鏡の前で、友香は毒づいた。
もともと蓉子は、いつも友香の後ろに隠れていて、へこへこ
しているだけのなんの取り柄もない少女だったのだ。友香は
絶対自分の方がかわいいし、必要な人間だと思っていた。
しかし、結局友香は本物の女王にはなれなかった。
(あんな奴・・・あんな奴に負けるなんて、許さない!絶対
倒して、なぶって苦しませてやる・・・・・・!!!)
「人の恨みって・・・怖いわよね」
「?!」
そこに、神月あゆるが立っていた。
いつものように、黒髪をなびかせている。つんとすました顔が
憎らしい。
(こいつなら・・・!こいつなら私をまた女王にしてくれるかも
しれない・・・!一かばちか、頼んでみよう!)
「神月さん!お願いがあるの!」
「何?中途半端な願いは受けつけないわよ。私はさっきある人
に頼まれごとをされたんだから」
きっと蓉子だ、と友香は思った。
あいつが神月あゆるに頼んで、女王になったんだ・・・!
許せない。いかれている。このクラスの女王は、はじめから私
だったというのに・・・・・・・!!
幸い、あゆるは1回しか願いを叶えてくれない。蓉子がまた女王
になることもない。友香はにやりと笑った。
「中途半端じゃないわ。聞いて欲しいの、どうしても」
「へえ〜、そんなに大事なお願いなのね。だったら聞いてあげて
いいわよ」
くすくすと笑いながら、あゆるはからかうようにいう。

「私をまた、クラスの女王にして!蓉子なんて、女王じゃないわ!
贋作の女王なのよ!」

思いきり、叫んでしまった。
「いいわ。あなたがそんなに辛い思いをしているなんて知らなかっ
たわ。叶えてあげる、あなたのお願い」
「・・・!ありがとう!」
「じゃあ、さっそく教室に行きましょう。まだ旭日蓉子は教室に
いるはずよ。本当に、恨みって怖いわぁ」
              ・・・
そして、教室。
「今日から私の取り巻きは、放課後に教室に集まるのよ!大切な話
などはその時間にするわ!今日は、私が女王になった記念にパーティー
をするわよ!」
蓉子はすっかり女王気取りだった。
周りの一般生徒たちは、気まずそうな顔をして、全員下を向いている。
取り巻きたちも、あまりやる気がなさそうだった。
「女王に感謝しなさい!私がいるからこそ、あなたたちは平和に暮らせる
のよ!だから私こそが・・・・」

「いちいちきーきー喚くんじゃないわよ、うっとうしい」

友香の言葉で、蓉子の表情が変わった。
顔が青くなり、手足ががくがくと震えている。神月あゆるを見たとたん、
後ろに下がってしまった。
「何をしにきたの・・・?」
「私がもう一回女王になるわ。・・・まあ、あなたたちは下がって見てな
さい」
友香は鼻で笑った。
「神月さん」
「わかったわ」
そのとたん、あゆるは蓉子の後ろに回り、手を逆手に引き回していた。
「痛い!やめなさいよ!」
「これは頼まれごとなの」
あゆるは冷たくいう。そしてそのまま、友香が置いた椅子に無理矢理座ら
せた。
友香は、椅子の周りをぐるぐる回りながら蓉子にささやく。
「ねえ・・・。なんであなたは女王になったの?ここに私という女王がい
るのにね。どうしてそんな馬鹿みたいな事を考え付いたの?」
「だってお前は!私の実力を認めようとしなかったじゃない!自分のこと
ばかりで!自分がよければそれでよかったんでしょ?!そんなの嫌だった
のよ!あんたばかりがいい思いをするなんて!だからおしおきのために私
が女王になったのよ!」
金切り声で蓉子は叫びつづけた。
友香はきゃははははははははっ!!と奇声を上げて大笑いした。
「ばっかみたい!そんなので私が黙ってると思ってたわけ?!本当に甘い
わねお前って奴は!いい?私はあんたよりもかわいい。実力がある。皆に
必要とされてる。だけどあんたはただの役立たずじゃない!権力者に媚を
売ってさ、金魚の糞みたいにくっついてるだけじゃない!あんたはね〜、
ブスで、実力もなくて、必要とされてない。私とは違うのよ!だからさぁ、
あんたには女王になる資格なんてないのよ!この役立たず女!」
「・・・っ!」
蓉子は顔を隠して、教室を飛び出した。

6:瑠璃:2013/10/26(土) 17:50 ID:tnI

次の日、蓉子は学校に来なかった。
「蓉子ちゃん、来ないね・・・」
「昨日、あんなことがあったもんね。片瀬さんも言いすぎ
だったよね・・・」
神月あゆるは話していた女子生徒2人にいう。
「中村明日香さん、大森彩香さん。あの人も、あなたたち
に散々なことをしたのよ?罰が下って当たり前だわ」
「うん・・・。でも、蓉子ちゃんは片瀬さんが羨ましかっ
ただけじゃないのかな?だからって、あんなこと・・・」
「そうだよね。明日香の方が正論かも」
溜息をつきつつ、あゆるは去って行く。
「まったく、恨みが怖いと思ったら、なんでこういい子たち
が絡んでくるのかしら。意味わかんない」
こう、捨て台詞を残して。
やっぱり、後姿だけ見ると(正面もだが)美少女だった。

7:瑠璃:2013/10/26(土) 18:24 ID:tnI

もうすぐ、中間テストがある。
明日香と彩香は、学校の自習の時間、こっそり話していた。
「やっぱりさ、1位は宇野さんだよね」
「うんうん。あの人、しょっちゅう暇さえあれば参考書に
向かってるし。前のテストも1位だったんだよね?」
「私たちにはとうてい分からない世界だよ」
宇野美奈子は、そんな2人の会話を聞き、にまにまと笑って
いた。
(ふふ・・・せいぜいあがいていなさい。どうやったって私
には追い付けないんだから・・・)
美奈子は、親からも名門校受験を進められている。だから、
成績はいつもトップだったし、参考書の問題も楽勝だった。
クラスメートの羨ましげな声や、妬みの言葉が気持ちよくて
しかたないのだ。
(私が一番なのよ!どうしたって勝てっこないの!誰も私に
ついてこられないわ・・・!)
一方、友香の方は必死でドリルを進めていた。
(まったくもう!お母さんったら、今回こそは1位になれって
うるさいんだから!私は今のままでいいのに!)
友香の家も、名門校受験に向かってまっしぐらだった。しかし
友香はお構いなし。そこそこ頭はいいのに、勉強をしようと
しないので、ついに母の雷が落ちたのだ。
もちろん、本人にやる気はない。しかし、母の命令とあっては
無視もできないので、しぶしぶ勉強中だった。

8:瑠璃:2013/10/28(月) 14:11 ID:tnI

そしていよいよ、テストの日。
教室には異様な緊張感が漂っていた。
飛鳥も彩香も友香も、緊張していたが、美奈子だけは
余裕しゃくしゃくといった顔つきだ。
(今回も1位を狙うわ・・・!あんな愚民に負ける程
馬鹿じゃないんだから!)
突然、美奈子の視界が真っ暗になった。
日々の徹夜の時間が体に響いたのだった。美奈子は、
必死に手足を動かそうともがいた。
(え?な、何よこれ?体が動かない・・・。誰か・・・
助けて・・・)
「う、宇野さん?!」
明日香がいち早く美奈子に気づいたが、それは美奈子が
倒れた直後だった。

9:瑠璃:2013/11/02(土) 17:01 ID:tnI

「本当に、よかったの・・・?」
あゆるは、怪訝そうに訪ねた。
「ええ。これでよかったんです。宇野美奈子を1位にはさせない。
そのために、あなたに睡眠薬を呑ませるよう頼んだんですから」
彼女の名は、安西菜美。友香の取り巻きの1人だ。
本当の事をいうと、彼女は友香に頼まれて願いを叶えてもらった。
友香は、絶対に1位にならなければいけなかったのである。
しかし、友香は一度願いを叶えてもらっている。2回目はない、
といつもあゆるは言っていたので、信頼も厚い菜美に頼んだという
ことだった。
「ともかく、ありがとうございました。これで、友香様が1位に
なれます」
「ええ。あなたはよっぽどあいつを慕ってるようね」
「そうです。これは我々の義務に等しいのです。私たちは、友香
様と共に生きるんです!」
菜美は自信たっぷりに語ったあと、満足そうに帰って行った。
それを、後ろで見ていた者がいた。
宇野美奈子だった。
(許さない!許せるはずがない!あんな・・・あんな奴に負けた
なんて・・・!復讐してやる!目には目を、歯には歯を!)
美奈子は奥歯を食いしばり、あゆるに声をかけた。
「神月あゆる!今すぐ私の願いを叶えろ!」
「せっかちね。ゆっくり話してちょうだい。ちゃんと聞くから」
美奈子は深呼吸をした。
拒絶されるかもしれないと思っていたが、あゆるは聞いてくれた。
それが何より嬉しかった。
「私の願いはただ1つ・・・片瀬友香を消して!」
「いいの?それでも」
「いいわ!たとえ、どんな手を使っても、私の意志は変わらない
わ!」

10:瑠璃:2013/11/02(土) 20:30 ID:tnI

友香は、1位になれて嬉しくてたまらなかった。
これで、母にも認めてもらえるし、取り巻きの連中は一層
友香を崇めるだろう。
何もかもがうまくいっている。友香はそう思った。
「ふふっ、みんなからのメールがたくさんね。崇拝してく
れているわ、誰もかれも・・・」
友香はメールを、ずっと読んでいった。
『友香様、すごいです!おめでとうございます!』
『これからも頑張ってくださいね。応援してます(^_^)』
『あたしも友香様を見習いたいです☆』
『友香様はやっぱりすっごいですね。感心しちゃいます。
よかったら今日の夜、会いませんか?緑公園にいます。
よかったら色々お話したいんです。待ってます』
友香は、最後のメールをまじまじと見た。
こんな番号、アドレスに登録していない。誰かが変えた
のだろうか。
しかし、友香は機嫌がよかった。久しぶりにおしゃれを
して、緑公園に向かった。
「待ってましたよ、友香様」
そこに、茶髪のカールヘアーに、うっすらと化粧をした
少女が立っていた。
「あなたは・・・誰?」
「他校の者です。友香様の噂を聞いて参りました・・・。
友香様は、私の尊敬できる人です・・・」
そう言われ、友香は顔をほころばせた。
今まで「尊敬できる人」と言われた事がなかったからだ。
「じゃあ、少し話しましょうか」
「いいわよ!」
「あなたは・・・何人仲間を裏切ってきましたか?」
少女の問いに、友香は絶句した。
「・・・え・・・?」
「あはははっ・・・。答えられないくらい、裏切ったんだ?
そうやって、誤魔化してきたんだ・・・?」
少女は自らの髪を引っ張った。
ずるずるずるっ・・・と髪が抜け、その拍子に化粧も取れた。
「お・・・お前は・・・!」
旭日蓉子の姿があった。

11:瑠璃:2013/11/03(日) 07:45 ID:tnI

次の日の事だった。
「大変!友香様が、公園で倒れているそうよ!」
休日だったにもかかわらず、クラスメートたちは友香のいる
公園に向かわされた。
見ると、救急隊員がAEDを使って蘇生しているところだっ
た。
「なんてこと」
菜美が、友香に駆け寄った。
端正な顔は苦しげにゆがんでいて、足や腕の骨も全て折られ
ているらしかった。力なく横たわるその姿に、菜美はうずく
まった。
「ま、まさか・・・。またあいつがやったのかも!」
彩香はぶるぶると震えながら明日香にしがみついた。
たしかに、あゆるは来ていなかった。
「もう、なにがなんでもあいつの・・・香月あゆるの正体を
つきとめなくちゃ!これじゃ犠牲者が増えるだけだよ!」
「うん!なんでこんなことをするのか、私も知りたい!絶対
何か秘密があるはずだもん!」
2人はきっと友香の方を見た。ちょうど、救急車に乗せられて
病院に行くところだった。

12:瑠璃:2013/11/03(日) 08:13 ID:tnI

片瀬友香が1ヶ月入院すると聞いて、他のクラスの信者たちも
黙ってはいなかった。次々と教室に押しかけてくる。
「友香様は大丈夫なの?!」
「全身骨折って聞いてたけど、一体誰がやったんだ?!」
「詳しいことを教えてよ!」
菜美たちは信者を止めるのに精一杯だった。しかし美奈子は、
くすくすと1人ほくそえんでいた。
(神月あゆる・・・信じて成功だったようね。これで復讐は終
わったわ)
「宇野美奈子さん」
菜美が、美奈子の前に立っていた。
「あなた、友香様のことを何か知っているんじゃないの?」
ぎくっ、と美奈子の体が震えた。
菜美たちはなおも美奈子を責めつづける。
「テストで1位になれなくて、悔しかったんだろうけど、あんな
ことをしていいってことにはならないわよ?」
「そんなことしてないわよ!ただ・・・犯人を知ってるだけ!」
明日香と彩香は、反射的に美奈子のもとに走った。
「犯人って、誰なの?!」
「そ、それは・・・」
美奈子は一か八か、あの人物を利用することに決めた。
「神月あゆるよ!」
一同が、しんと静まり返った。
          ・・・
(あいつなら、嫌な奴も消してくれるってことなの?もしかした
ら、本当に消して欲しい奴は消してくれるんじゃ・・・)
「どうしたの?彩香ちゃん」
明日香との帰り道、彩香はぼーっとしていたことに気づいた。
美奈子の言葉が頭をよぎったのだ。もしかしたら、邪魔者も消し
てくれるのではないかと、期待していただけなのだ。
「あ、有坂君!」
「おお!お前ら、今帰りか?」
有坂有紀。「有」という文字が2つついていることから、友人に
は「ある」というあだ名をつけられている。
身長は168センチとあまり大きくないが、これでも剣道の腕は
かなりのもので、数々の大会で入賞している。しかし、明るい気
性のせいか、男子にも女子にも人気だ。
「やっぱり部活はきついよな。剣道部なんか、大会目前で厳しい
んだぜ。明日香は合唱部だからわかんねーか。そうだ、水泳部は
どうなんだよ?」
突然彩香に話を振られ、彩香はしどろもどろに答えた。
「う、うん・・・。水泳部も・・・厳しくってさ・・・。本当に
毎日疲れちゃうよ・・・。め、メドレー今年はやれるから、先輩
も張りきってるんだ、きっと・・・」
「おお、よかったじゃねーか!頑張れよ!」
「あ、ありがと・・・」
実をいうと、彩香はあるに片思い中だった。

13:瑠璃:2013/11/03(日) 14:41 ID:tnI

(や、やばいやばいやばい!今日あるに話しかけられた!!)
家に帰って、彩香はじたばたと暴れた。
「はあ・・・。あいつの存在さえなければな・・・」
高橋真理。隣りのクラスの少女で、ぶりっ子で有名だ。
彼女もあるに思いを寄せているらしく、しょっちゅう彩香に
嫌がらせをしてくる。
しかし・・・あるの本当に好きな人は、真理でも、彩香でも
ない。

明日香なのである。

本当の邪魔者は、明日香だった。
あるに近づきたいがために、明日香と仲良くしていたという
ことだった。
明日香はあるの気持ちに気づいていなかったし、彩香はある
と仲良くなれた。告白してもいい頃かと思っていた。
しかし、真理があるに告白したら・・・ふられたのだ。それ
も、驚くほどあっさりと・・・。
そのとき、あるはこう言った。「俺の好きな人は、中村明日香
だ」と。
そのとき、彩香の何かが終わった。
そのとき、彩香の何かが始まった。
友情より、憎しみの方が明日香に向けられていたのだ。
(調子に乗って・・・。私がどんな思いで苦しんでいるか知ら
ないくせに・・・!)
彩香の中で、憎しみの気持ちが強くなって行く。
電話の緊急連絡網を確認し、「神月あゆる」に電話をかけた。

14:瑠璃:2013/11/03(日) 14:52 ID:tnI

「願い事は何かしら?」
片瀬友香が倒れていた、緑公園に2人はいた。
「中村明日香を消して欲しいの」
「えっ?あの子はあなたの友達じゃなかったの?なんで
消そうとするのよ?」
あゆるは、意外だといった顔で驚いた。
彩香は、その態度にイライラした。あゆるが、明日香を
ひいきしているように見えたからだ。
「いいから!いいから早く消してよ!私にはあいつが、
邪魔で邪魔で仕方ないの!」
「わかったわ」
あゆるの抑揚のない声が、一切の音を遮断した。
          ・・・
『どうしたの?彩香ちゃん。廃病院に来て欲しいって
・・・』
「いいじゃんいいじゃん!たまには冒険しようぜ!」
『いいけど・・・。あそこは、幽霊が出るって噂がある
よ?いくらなんでも、怖いよ・・・』
「大丈夫だって。幽霊なんか存在しないよ。幽霊より
怖いものの方が多いんだから!」
『そうかなあ。じゃ、じゃあ、今夜8時に行くよ!また
ね〜』
電話を切り、彩香は笑った。
あゆるに、明日香を近くの廃病院に連れて来いと言われ
たからにはどうすることもできない。彩香は、黒ずくめ
の服装で、歩き出した。

15:~~:2013/11/03(日) 17:00 ID:smk

こんにちゎ♪~ななみそ~です。
オシャレズ☆バンパイアを書かせてもらってます。この小説すごく面白いです!また参考にさせてもらいます!

16:瑠璃:2013/11/04(月) 17:00 ID:tnI

ななみそさん>>読んでくれてありがとうございます!そちらの小説も
ぜひ読んでみます(^_^)

17:瑠璃:2013/11/04(月) 17:18 ID:tnI

「彩香ちゃん・・・一体、何をするつもり・・・?」
明日香は、おびえきった顔で尋ねた。
「別になんでもいいじゃん!あんたは黙って私に、
ついて来ればいいだけだから!」
いつもとは違う、傲慢な態度の彩香に、あすかは異変
を感じた。
今の彩香は、何か隠している・・・?
「ここに入ってみましょうよ」
そこは・・・手術室だった。
ギィ・・・ときしむドアを開けて、2人は中に入った。

「待ってたわよ」

そこに、あゆるがいた。
「えっ?!」
明日香は驚くが、彩香はくすくす笑いながらあゆるに近
づいていく。
「よくやったわね。あなたの願いを叶えるわ」
「くくくっ・・・。ありがと。さあ、こいつを早く消し
てよ!」
「彩香ちゃん・・・!なんで・・・なんでこんなこと!」
明日香を睨み付けながら、彩香は言った。
「邪魔だったんだよ!お前がお前がお前が!お前さえいな
ければ、私は・・・私はあああああ!!!」
ぐんっ!
あゆるが、彩香の首根っこを掴んで、ベランダから宙吊り
にしていた。
「な・・・なんで・・・」
「うるさいわよ。私、うるさい人は嫌いなの」
手を緩めながら、あゆるはいう。
「うるさい奴は、この世から消えてもらわないとだめなの。
だから、消えるのはあなたのほう」
手を離した。
「ぎゃあああああああああっ!!」
彩香の悲鳴が遠く離れていき・・・どしゃっ、という音と
共に止まった。

18:瑠璃:2013/11/05(火) 17:08 ID:tnI

「香月さん・・・なんてことをするの!」
明日香はあゆるに掴みかかった。
目の前で親友を落とされた怒りと、少しの疑問を抱きながら、
あゆるを問いただした。
「別に。私はうるさい人を黙らせただけ」
「そんなことしていいはずがないでしょう!彩香ちゃんの命
なんてどうだっていいってこと?!」
「命とか友情がどうこうより、あいつはあなたを殺そうとし
ていたのよ」
ぞくっ・・・。
背筋に悪寒が走った。
最近彩香の様子が変だったのも、さっきの彩香が狂ったよう
になっていたのも、すべて自分を殺したかったから・・・?
そんなわけない。彩香はいつも、明日香を信じてくれた。親
友でいようと言ってくれた。殺したいなんて、思われるわけ
がない。
「あいつは、自分の欲望を満たしたいがために、人の命を消
そうとしていた、最悪の女よ。そういう願いは受けつけたく
なかったの」
「でも・・・!旭日さんや片瀬さんや宇野さんの願いはどう
なるの?!あの人たちも、同じような願いだったでしょ?!
彩香ちゃんだけじゃないのに!」
「私・・・あなたのことは気に入ってる。だから消えるのは
嫌。あなたを消そうとしていた者を消すことにしてるわ」
あゆるは去って行こうとした。
「待って!」
明日香はあゆるの服の袖を掴んだ。
「彩香ちゃんは・・・大丈夫なの?!いますぐ救急車を!」
「わかってる・・・。わかってるわ・・・」

19:瑠璃:2013/11/08(金) 17:45 ID:tnI

次の日。
彩香は、医者たちの苦労むなしく死亡した。
手術室は病院の4階だったので、落ちても無事では済まなかった。
よくて意識不明の重体といった所だろう。
「彩香ちゃん・・・」
無表情で横たわる彩香を見ながら、明日香は涙を流した。
彩香を殺めたのはまぎれもなくあゆるだ。あのとき落としていなけ
れば、彩香は生きていたのだ。
「彩香・・・。なんで自殺なんてしたんだろうな・・・」
あるが、顔を隠しながらいった。
あゆると明日香以外の人は、彩香が自殺したと思いこんでいる。
本当は、殺されたのに。彩香ちゃんは死にたくなかったはずなのに。
もっと生きていたかったはずなのに・・・。
最期の叫び声が、明日香の頭から離れなかった。
「なあ、俺は彩香が自殺したとは思ってないんだ。あいつは自殺する
ようなやつじゃないって知ってるから。お前、何かしらないか?彩香
がおかしかったとか・・・。小さいことでもいいんだ!」
「彩香ちゃんは殺されたの」
はっきりと、明日香は言った。
「は・・・?」
「信じてもらえないかもしれないけど、本当なの。彩香ちゃんは神月
さんに落とされたんだ。きっと、何か願い事を頼んでたんだろうね。
それを叶えてもらえなかったから、彩香ちゃんは怒っちゃって・・・。
神月さんがそのまま落としたの」
あるは驚愕した表情だった。

20:瑠璃:2013/11/11(月) 15:12 ID:tnI

【久しぶりに書きます!】

「彩香が死んだって、本当なの〜?!」
翌日、明日香が学校へ行くと高橋真理が声をかけてきた。
ぶりっ子だしギャルだし、明日香は苦手だ。しかし、無視するわけにも
いかないので、重い口をあけた。
「うん・・・」
「でもさぁ〜、あいつが自殺なんてありえないよね〜?誰かが殺したん
じゃないの〜?」
ぎくっ、と明日香の肩が揺れた。
昨日、あるに全てを話した。すると、あるはこう言った。
『なんで神月があんなことをしたのか、気になるな。俺は他校の奴に神
月のことを聞いてみるよ。お前はクラスが混乱してるだろうから、無理
しなくていいからな』
協力する、と言ってくれたのだ。
真理はあるのことが好きだ。このことをばらしたら、きっと真理が絶望
してしまう。友達だといっても聞いてくれないだろう。
「そ・・・その気持ちは分かるけど・・・。そんなこと言ってても真実
は変えられないよ・・・。彩香ちゃんもこんなこと言われたって嫌だと
思うし・・・」
「へぇ〜。あんた、あいつのことなんとも思ってないわけ?!」
「そんなんじゃないよ!」
「あんな奴死んで正解だったのよ!きもいし、うざいし、むかつくし!
つーか、殺してくれた人に感謝様様ってとこだよ!」
真理はいうだけいうと、そのまま行ってしまった。
明日香は唖然として後姿を見送った。


書き込む 最新10 サイトマップ