空の彼方 〜*☆《New world》☆*〜

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1:杏樹:2013/11/03(日) 19:32 ID:to.

暗闇を駆け。

光を目指す。

異世界を変えるため。

空の彼方まで駆けて、駆けて、駆ける。

その先はきっと、

光の世界、だから。

信じて、信じて。


だけど。

空の彼方にだって……

   光の世界など、存在しないのに。


anju ***

2:杏樹:2013/11/03(日) 20:27 ID:to.

〜序章 

濁った水のような色の茶色と、

林檎のような朱色と、

ほんの少しの楠んだ緑の地球。

その地球の中に日本という国があり。

その日本という国に暗璽(アンジ)という土地があり。

その暗璽という土地に、枯れ果てた緑の小高い丘があり。

その小高い丘に、少女が―立っている。

希望という名の光を失った目を、真っ直ぐに向けている先には、

果てなく続く平坦な土地。

建物もなく、人すらいない。

枯れ果てた木々だけ。

枯れ果てた木々だけが残ったこの世界。

水もない。

火もない。

光もない、この世界。

少女はそこで気づいた。

これは全て―――自分がした事なのだと。

彼女の虚ろな目から、赤透明な液体が流れる。

スッと彼女の白い頬を伝う。

それがポタッと地面に落ちた時。

世界は赤黒く変色した。

木々は揺らめき、僅かに残った砂がまいあげられた。

少女の身に付けている、端の切れたスカートがふわりと舞う。

少女は絶望に暮れた。

赤黒い世界は、止まることなく少女を飲み込んだ。

3:杏樹:2013/11/03(日) 20:45 ID:to.

〜1章 New world

淡いオレンジの光が、小さい部屋を照らす。

その光の源は、一人の少女の掌。

少女はひらっと手を返す。

すると、真っ白な雪色の手の甲が姿を表し、淡い光は下を照らす。

少女はぎゅっと手を握った。

たちまち淡い光は、握り潰されたように消えた。

部屋は暗闇に飲まれるも、窓からの月明かりで白々しい光を手にいれた。

少女は思う。

何故、このような世界に、

このような人間に

なったのだろう、と。

窓から覗く月を眺めた。

月を見る少女の目は―――悲しい色。

悲しい目を月に向け、始まりの頃を思い出した。


anju ***

4:杏樹:2013/11/03(日) 21:03 ID:to.

ご挨拶がまだでした。

初めまして、杏樹です。
最初から意味わかんない文章ですねww
駄作ですが、よろしくお願いしますっ!

5:杏樹:2013/11/03(日) 21:41 ID:to.

〜1章 New world #1 異能力

時は西暦2130年11月25日。

日本では、内戦が起こっていた。

首都では、毎日のように弾丸が飛び交い、爆弾が散った。

死者は1ヶ月で1000人を超え、あり得ない程のスピードで人口が減少した。

そんな地獄のような日々があるのは、首都圏だけで。

田舎町には、そのような被害はなく、平和な日々が流れていた。

その田舎の一つ、暗璽町にも平和で平凡な日常があった。

だが、暗璽町には普通の日常とは駆け離れた、変わったモノがある。

それは―――

人類にあった。

6:杏樹:2013/11/03(日) 21:55 ID:to.

〜1章 New world #1 異能力

「心結ちゃーんっ。こっちこっち!」

「せーのっじゃんけんぽんっ」

「あはははー!」

子供達の声が響く丘。

緑が溢れ、木々の間から小川が覗く。

自然に溢れ、絶景が見れるであろう暗璽町。

だが、少し違和感を感じないか?

その違和感は、子供達にある。

子供達の遊びだ。

じゃんけんは、グーチョキパーではなく、手から現れる水、火、雷。

走り回り、遊んでいるのではなく、空を駆け回り、遊んでいる。

お分かりだろうか。

ここの住人は、特別な能力が備わって生まれてきた人間――異能力者なのだ。

7:杏樹:2013/11/03(日) 22:13 ID:to.

〜1章 New world #1 異能力

何故、異能力者が生まれて来るのか。

原因は、この溢れる自然にあった。

内戦が始まって以来、―理由はわからないのだが―暗璽町の森が急成長しだした。

その成長というのは、木々の背丈が大きくなるのではない。

木々の能力が成長したのだ。

その能力は人にも影響し、ここの空気を何日か吸ってしまえば、異能力者となってしまうのだ。

子供達の能力は、親の遺伝だろう。

その為、空気を吸った者は一種類の能力しか手に入らないが、遺伝だと、いくつかの能力を使える。

それを利用して、子供達は遊んでいるのだ。

その子供達の中の一人、篠田心結(シノダココロ)は異能力者の中でも特別な能力を持っていた。

8:杏樹:2013/11/03(日) 22:38 ID:to.

〜1章 New world #1 異能力

普通、遺伝の能力は火、水、雷、飛、移の内のどれかである。

二つしか使えない場合もあれば、全て使える場合もある。

人によって様々だ。

だが、篠田心結はその全てと、もう一つ使える能力があった。

それは―――

死の能力。

死の能力とは、殺したくなくても、人を殺してしまう、恐ろしい能力。

死因は、彼女の血だ。

彼女の血を浴びてしまえば、たちまち溶けてこの世界から消滅する。

この能力のせいで……彼女は辛い、辛い半生を送った。

9:杏樹:2013/11/03(日) 22:45 ID:to.

〜異能力の説明

火(ヒ) ……手や指先から火を出すことができる。

水(スイ) ……手や頭上に水の塊を出すことができる。

雷(ライ) ……手や指先から小さな電流を出すことができる。

飛(ビ) ……空に見えない床を作ったり、空を飛ぶことができる。

移(イ) ……瞬間移動することができる。

死(シ) ……10年に1度の能力。この能力を持っている者の血で、人を殺すことができる。

10:杏樹:2013/11/03(日) 22:47 ID:to.

〜1章 New world #1 異能力

普通、遺伝の能力は火、水、雷、飛、移の内のどれかである。

二つしか使えない場合もあれば、全て使える場合もある。

人によって様々だ。

だが、篠田心結はその全てと、もう一つ使える能力があった。

それは―――

死の能力。

死の能力とは、殺したくなくても、人を殺してしまう、恐ろしい能力。

死因は、彼女の血だ。

彼女の血を浴びてしまえば、たちまち溶けてこの世界から消滅する。

この能力のせいで……彼女は辛い、辛い半生を送った。

11:杏樹:2013/11/03(日) 22:48 ID:to.

>>10
無視してください。

12:杏樹:2013/11/04(月) 19:10 ID:to.

〜1章 New world #1 異能力

木々の葉が真っ赤に染まる頃。

それと同時に、首都圏も真っ赤に染まる頃に、篠田心結は生まれた。

山の麓の、人目に付かない民家の子だった。

周りに家はなく、友達もいない環境で育った彼女は、『楽しい』という感情がなかった。

それは環境だけでなく、幼い頃から使える能力にも原因はあった。

普通、能力は成長するにつれ覚醒していくものだ。

だが、彼女は生まれた直後から異能力が使えた。

完全体で、だ。

その事を知った彼女の親は、彼女が壊れるまで使った。

彼女の心が折れようとも、奴隷のように扱い、自分達だけの幸せを第一に考えた。

そんな日々を一つのリングのように、地点に来ては同じ事を命じられた彼女は、希望を失った。

ある日、彼女はいつものように洗濯をしていた。

その日は、ふわりふわりと雪が舞い降り、北風が肌を刺すように吹いている寒い日だった。

それでも彼女は、冷たい水を出し、手で洗った。

ごしごしと、桶の中で洗っているうちに、手の感覚が無くなった。

洗い終え、竿に干すとき。

彼女は木のささくれで、指を切った。

深く切ったようで、死んだ魚の腹のように白い傷口からは、赤黒い液体が流れ出た。

あっという間に、彼女の白い手を真っ赤に染め、それは地面に滴り落ちた。

その時だった。

先程まで、綺麗な緑だった冬芝が、一瞬にして枯れ草へと化したのだ。

それは彼女の血が落ちる程に酷さを増して行き、手の血が乾く頃には真っ黒な世界に変していた。

13:杏樹:2013/11/04(月) 19:28 ID:to.

〜1章 New world #1 異能力

これに気づいた彼女は、止血しようと慌てて家に飛び込んだ。

だが、遅かった。

「お、父様……? お母様……?」

彼女の両親は、ダイニングテーブルに俯せになり腐死していた。

顔が何処だかわからない。 手は手と言えない程、原型がない。

服はズタズタで、ほぼ裸身だ。

「ひっ…………」

彼女は声を出せない程の、恐怖に襲われた。

14:杏樹:2013/11/04(月) 20:04 ID:to.

〜1章 New world #1 異能力

「はぁっ……はぁっ……」

彼女は、走った。

どうしようもない恐怖から逃れる為に、今まで見たこともなかった世界を走った。

彼女の目の前。

それは、優しい太陽の光を反射し、キラキラと輝く白。 銀世界。

横には、骨のように真っ直ぐで、細く白い木が立ち並ぶ。

彼女が初めて目にする、感じる、走る、

森、だった。

革でできた、ブーツのような靴が、地面を蹴るたびにシャリシャリと音を立てる。

……と同時に、彼女が通るまで絶景だった銀世界は、地獄絵図のような暗闇に変わった。

指からは、再び赤黒い液体が滝のように落ちる。

彼女の死の能力が覚醒したのだ。

彼女の後ろは、別世界のような光景が広がっている。

横に並んだ木は茶色く変色し、生命の気を感じさせなかった。

地面に降り積もった雪は灰のごとく溶けて消え、

土を見せたが、直ぐに灰色と変わってしまう。

彼女が通った道は、死の世界へと変わり果てた。

15:杏樹:2013/11/04(月) 20:17 ID:to.

これを見てくださっている方がいるのなら、
よければコメントください。

16:杏樹:2013/11/04(月) 20:48 ID:to.

〜1章 New world #1 異能力

彼女はまだ気づかない。

後ろの光景を。

彼女はまだ気づかない。

腐死した両親は自分が殺したのだということを。

「はぁっ…………ど、こ?」

彼女は立ち止まり、膝に手をついた。

ここは何処だろう。

前を見ようと、横を見ようと、どこまでも同じ景色が続く。

指の傷はまだ開いているものの、赤黒い液体は止まっていた。

初めて家の敷地から出たものだから、右も左もわからない。

何も考えずに出てきた自分を恨む。

せめて、必用な荷物ぐらい持ってくればよかった、と今更後悔する。

でも、もうあの家には戻りたくない。

戻れない。

あの光景を思い出すだけで、背筋に凍るような寒さが走る。

どこまで走ったのだろう、と後ろを見る。

だが、前と同じ光景が広がっているだけで、どのくらい進んだかなんて見当もつかない。

奥のほうが黒っぽいのは気のせいだろうか。

彼女は再び走った。

誰か人に会うまで、足は止めないつもりだ。

心臓が踊るように暴れているのを、全身で感じた。

どこの部位を触っても、心臓の動きが確認できるのではないか。

彼女は立ち止まっては、悴む手を息で温め、再び走った。

何度繰り返しただろうか。

彼女は立ち止まった。

目の前の景色は、今まで見たものとは全く違う物だった。

森を抜けたのだ。

17:杏樹:2013/11/05(火) 18:44 ID:to.

〜1章 New world #1 異能力

彼女が立っているのは、足がすくむような高さの崖だった。

見下ろすと、町の中心部があり、民家がたくさん立ち並んでいた。

彼女が初めて目にするものだった。

町は一面、桃色に覆われていた。

町はもう春で、桜の花が咲き乱れているようだ。

彼女は今までに感じたことのない興奮に煽られた。

顔が熱い。腹部からふつふつと沸き上がる快感。

初めて、達成感というものを感じた。

今まで両親にやらされてきたことは、当たり前。

そう思っていた。

彼女は、達成感や、楽しみのない、見えない檻に閉じ込められていたことを悟った。

自分は両親に奴隷にされていたんだ。

そう、今気づく。

両親への、妬みがあふれでてきそうだ。

それと同時に、両親が死んだのを、喜びに感じた。

私は自由だ。誰にも縛られず、自由のしたいことをして良いんだ!

彼女は、桜が溢れる町の中心部を眺めながら、そう思った。

18:杏樹:2013/11/05(火) 23:35 ID:to.

〜1章 New world #1 異能力

大きく深呼吸をする。

今まで吸ってきた空気とは違う、爽やかさが感じられた。

ブランと垂れている手をぎゅっと握り、掌に意識を集中させる。

そして、ハッと顔をあげると、腕を後ろに回し、掌をいっぱいに開いた。

「―――――……!」

彼女は何か呪文を唱える。

それは風に乗って、やがて消えた。

その瞬間、彼女は崖から飛び出した。

それと同時に、掌から大量の空気が放出される。

彼女はそのまま、空を駆けるように下へ下へ降りていった。

異能力、飛だ。

桜の花びらが頬を掠め、くすぐったい。

風はまだ冷たく、勢いよく降りる彼女にとっては頬を突き刺されるような感覚だったが、それすらも新鮮に思えた。

19:杏樹:2013/11/06(水) 19:33 ID:to.

〜1章 New world #1 異能力

「あなた……誰?」

「え……」

彼女は目の前の少女に問いかけられる。

飛の能力で降り立った所は、この少女の家の前で、辺りを見回していると、丁度、この少女が出てきたのだ。

「この辺りでは見かけない顔ね」

少女は、手に持った、ミルクの大きな缶を地面に置いた。

考え混むように、細く整った眉をひそめる。

この少女の名は、白石李花(シライシリカ)。

町外れにある、酪農家の娘だ。

「もしかして、山裾に住んでいる方? あっちのほうに、民家があるって、母さんから聞いたことがある」

李花は何も言わない彼女に、凛とした声でそう言った。

後半の方は、独り言のようだったが。

「え、ええ。あの山に」

彼女は、喉の奥につっかかっていた声をなんとか発した。

自分の来た方向の山を指差す。

李花は、その間、彼女の身なりをまじまじと見ていた。

見るからに、貧しい服装だ。

水色のワンピースは所々汚れており、裾なんて、切れているところもある。

それに、シンプル過ぎる。

李花の着ている物は、大きな襟の付いた長袖の服だ。

肩の所が膨らんでいて、手首の所は、違うパッチだ。

李花の服が、デザインに富んでいるというわけでもないし、

李花の家には、財産が豊富というわけでもない。

これが、普通であり、基準なのだ。

それに比べ、この子の服はどうだ、下の下といったところか。

李花は彼女を見て、そう思った。

20:杏樹:2013/11/06(水) 19:54 ID:to.

〜1章 New world #1 異能力

「まぁ、いいわ。私の名前は、白石李花。ここの農場の子よ。年は10歳。能力は移と水と火。あなたは?」

「……篠田心結。李花さんと同じ年だよ。能力は全て」

彼女は素っ気なく、自己紹介を済ませた。

李花はというと、彼女が全能力使えることに、驚いているようだ。

全能力使えることは、かなり珍しいことであり、偉大なのだ。

彼女は、李花の要領の良さ、仕事ぶり、礼儀に驚いていた。

同じ年とは思えない。

「全能力使えるなんて……。あなた凄い!」

彼女は、李花の言ったことに、たいそう驚いた。

能力を誉められた事なんて、無かったから。

「凄いの、かな」

彼女はそう言いながら、頬が熱くなるのを感じた。

「当たり前よっ。全能力使える人なんて、滅多にないんだからっ」

李花の、熱を帯びた声に、彼女は圧倒された様子だ。

これほど迄に、李花さんが興奮するなんて。

この人はきっと冷静な人だろう、と、会ったときから思っていた物だから。

李花さんが興奮することって、凄いこと、なんだ。

彼女は、勝手に想像を巡らせ、そう思った。

21:杏樹:2013/11/07(木) 20:22 ID:to.

〜1章 New world #1 異能力

そわそわしながら、窓の外を見る。

黄色い木枠に収まった窓の外は、桜が吹雪のように舞散っている。

ついさっき、李花に行く宛てが無いことを説明すると、親切なことに、家に入れてくれたのだ。

「はい、どうぞ。熱いから、気をつけて」

李花が、マグカップに入ったホットミルクを、置いてくれる。

コトンと、木のテーブルと、陶器のマグカップが触れる。

「ありがとう、ございます」

ぎこちなくお礼を言い、目の前のマグカップに目を落とした。

マグカップに入った、真っ白なミルクからは、白い湯気がゆらゆらとたっている。

「敬語は止めましょうよ。……そうだ。私のこと、李花って呼んで。私もあなたを心結って、呼ぶから」

李花の突然の提案に、彼女はびっくりした。

そんな友達らしいことをしたことはないし、と言うより、彼女に友達なんて居なかったからだ。

素直に嬉しかった。

「うん。よろしく、李花」

彼女は、顔いっぱいに笑みを浮かべて、そう言った。

「こちらこそ、心結」

李花の、紅茶色の前髪から覗く茶色い目が、笑っている。

それを見て、彼女はますます嬉しくなった。

こんなにワクワクしたのは、初めてかもしれない。

「フフフッ」

弾み、踊る胸を抑え切れずに、自然と笑いが零れる。

「フフッ……アハハハッ」

それにつられるように、李花も笑い出した。

二人は笑い会った。

楽しい、嬉しい、素敵

こんな感情が、彼女の心に芽生えた。

22:杏樹:2013/11/08(金) 23:23 ID:to.

〜1章 New world #1 異能力

二人は、ミルクを飲み飲み、自分の事を話した。

李花は、生まれた頃から母乳ではなく、牛のミルクを飲まされていたのだという。

それで、もう飽き飽きするほどミルクは飲んだが、それでも大好きだ、と語った。

李花は、幼い頃から酪農に関することを、いやというほど脳に叩きつけられた。

そのお蔭もあるのか、両親の仕事は、ほぼ李花がしている。

それを、辛いと思ったことは何度もあるが、やっぱり楽しくて……。

いつのまにか、趣味のようになっていたと言った。

「笑っちゃうよね。親に決められたことなのにさ。夢中になっちゃって」

そう笑いながら言って、ミルクをすすった。

あちち、と言いながら、李花は彼女に尋ねる。

「心結は? 何か、趣味とかある?」

そう聞かれた彼女は、マグカップをぎゅっと握ったまま、固まってしまった。

ミルクの僅かな温かみが、冷たい手を痺れさせる。

悠々と立ち上る、湯気に視点を合わせたまま、止まってしまう。

「…………無かった、か、な。うん。私を夢中にさせるものなんて」

何秒経ったか。

きっと20秒ぐらいだっただろうが、彼女には、なん十分にも感じられた。

「そっ、か。なんかごめん……」

意味もなく、李花は謝る。

二人の間に、妙な沈黙が流れた。

暫くし、最初に口を開いたのは李花だった。

「そういえば、さ。どうして此方へ来たの? 家は……」

「や、止めて……。それ、話さないで」

彼女は、あの恐怖がまだ同じ町にあると思うと、震えが止まらなかった。

歯がカタカタと鳴っているのが、分かる。

「ちょ、ちょっと。どうしたのよ、ねぇ。心結」

彼女の震えに気づいた李花が、彼女の隣で声をかけた。

彼女にその声が聞こえているのか、いないのか。

反応を示さない。

23:杏樹:2013/11/10(日) 19:46 ID:to.

〜1章 New world #1 異能力

「落ち着いた?」

「うんっ……。ふう。ありがとう」

彼女は、二杯目のホットミルクを飲み干して、笑顔で言った。

あの時、あの恐怖が突然フラッシュバックしてきて、うち震えたのだ。

「家で、何かあったんだね?」

「そう……。聞き、たい?」

彼女の涙ぐんだ声に、李花は少し躊躇した。

だが、真っ直ぐ一点を見つめる、彼女の強い眼差しに、聞くことにした。


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