月光

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1:t ◆4DCs:2013/11/09(土) 23:07 ID:V6o

序章


____月光。
大きな月から放たれるのは、柔らかな光。
何がこんなにも魅了するのだろう。
何がこの少女に辛い想いをさせるのだろう。

それは__歪んだ世界だろうか。

銀髪の少女は、ただ自分の上に広がる闇と光の世界に
戸惑い、そして深く“死”について考える。

ー終幕ー

2:鈴 ◆4DCs:2013/11/09(土) 23:24 ID:V6o

第1章 悪夢

__闇。甲高い何かの声。
その声は何かを語る。

「貴女は……今から変わるのよ」

「嫌だ」

 少女は、布団に縮こまり頭を抱え寝惚けながらそう呟く。
朝日がカーテンの間から差し込み、
鳥の鳴き声も聞こえる。

「夢……」

 銀髪の少女は白いシルクのワンピースから
赤いまるで血で染めたかの様なワンピースへと着替える。
オッドアイの目は更に銀色に輝かせる髪を際立たせる。

「レリーこっちおいで」

 柔らかな笑みを浮かべ少女は白い猫に呼びかける。
レリーと呼ばれる猫は堂々とした歩きで少女のもとへ向かう。
「…………私とはしばらく会えないわね」
 ベッドに腰をかけ猫を撫でながらそう静かに少女は言い
ベッドへ横になり、目を閉じた。

3:鈴 ◆4DCs:2013/11/10(日) 20:21 ID:V6o

 暗闇は彼女を襲い彼女はその暗闇を
受け入れる。
“悪夢”を見るのは何度目だろうか
彼女はそう暗闇に飲み込まれながらも
考えていた。

「君は……今日から戦士だ。
 そしてこの国の英雄となり女王となるだろう」

 薄気味悪く声だけが聞こえその声の
主の性別の判断までは
耳の良い少女も分からなかった。

「アンナ・ロシェンド__。
 君は今から『ノーブル・ブレイブ』の国を救い、
 ____“美しい勇者”として生きるんだ」

 アンナと呼ばれし少女はそれを受け止める様に頷く。
すると暗闇は晴れて美しい庭園が彼女の視界に入り込む。
庭園の向こう側からは
美しい白のワンピースを身に纏った
14歳のアンナより年上に見える金髪の女性が
アンナの元へとゆっくり歩み寄って来ていた。

「怯えないで下さい女王様」

 そう微笑み、アンナの腕を引く。
女性の華奢な腕からは想像出来ない様な
力強さがアンナの左手首に伝わっていった。

 連れていかれた所は、庭園の中心部。
そこには噴水と腰をかけれる白い木製のベンチがある。
女性とアンナはそこに座ると
女性は空を見つめ何かを語り出した。

「私は……今重い病を患っています。
 医者は私の寿命を何も言わないけれども
 もうすぐ向こうへ行くと思います。
 だから、次期女王として貴女をここに呼んだのです」
「はい……」
 アンナはそう言うと横目に女性の
顔を見る。
その凛とした表情からは『責任と現女王の力強さ』が満ち溢れていた。

4:鈴 ◆4DCs:2013/11/11(月) 20:22 ID:V6o

「そして今この国は……
 ____隣国のイートオールと戦になっています。
 今は我が国ウェルシーは戦力不足。
 負ければこの国土が取られ、勝てば
 向こうの国土を奪える……
 『ウェルシーイートオール第一戦争』の事…………」

 庭園の和やかな雰囲気とは似合わぬ重い張り詰めたこの国の状況に
アンナはただその現実を飲み込もうと必死だった。

「アンナ第三王女。貴方は覚悟出来てますか?? 」

 自分に問われたその言葉にアンナは
多少戸惑いを現王女に見せつつも
「はい。勿論です」
 と凛とした表情と声で答えた。

「__貴方も何れ戦争に行くでしょう。
 庭園の先に城門があります。
 城門の前には兵士が居ますが話を聞いてると思いますので
 すぐ扉の右横にある階段を上がり訓練兵として
 兵長に挨拶をしてきて下さい……」

 途中咳き込むがアンナにそう言った王女は
静かに笑い、場所へ走るアンナを見届けた。
 一方アンナは城門を潜り抜け、
階段をかけ登り、五分もしない内に
兵長のいる部屋に辿り着いていた。

「アンナ第三王女……いや
 アンナ。よく来てくれた」

 赤毛の真っ直ぐな髪は腰まで届き、
兵長と呼ばれる女性は皮張りの椅子から立ち上がり
アンナと握手を交わした。

「宜しくお願い致します。
 キル・リアンナ訓練兵長」

 アンナはそう言い終わるとキルは
黒の皮張りのソファーがある場所へ
腰かけるよう指示した。
 内装は所謂学校の校長室の様な感じだろうか。
意外にもこじんまりとした部屋だったことに
アンナは驚く。

5:鈴 ◆4DCs:2013/11/11(月) 20:26 ID:V6o

>>3訂正:「_(文)_『ノーマル・ブレイブ』として国を救い」

6:鈴 ◆4DCs:2013/11/12(火) 20:12 ID:V6o

「アンナ。君は今からこの国を我々と共に救うんだ。
 “サマンサ・ディスティニー第二女王”
 ……現女王も嘗てこの『ノーマル・ブレイブ騎士団』前兵長だった。
 女王はそれはもう第一期訓練兵卒業生だったので
 我々第六期訓練兵団の代でも有名な戦士だった。
____私はもう既に『女王として生きた事』がある。」

 窓を眺めながら誇らしげに女王のことを語り出すキルに
アンナは第一女王の事は聞いていなかったので
第一女王はきっとキルの事だったのだろうと思っていた。

「__このウェルシーという国は君の住んでる世界とは全く違う。
 君の住んでる世界に戻った時、
 時計の針は止まってるから____
 んじゃあ今日は休みな」

 はいとアンナは答え古びた木製のドアを静かに閉め部屋を出る。
返事はして部屋を出たものの
自室が何処だか全然分からないアンナは
取り合えず前に進みアルファベットの
Tの形になっている廊下を左右確認して人を探す。

 すると十メートル程先で自分を手招きする
男性と思われる容姿の者が居た。
 男性の元へ行くと男性は思ったより若く
アンナより三つ位は年上に見える。

「僕はアーロン・オースティン。宜しく。
 あまりここ分かんないでしょ?? 僕が案内してあげるよ。」

 アーロンはそう言いアンナと並び廊下を歩く。
歩調はどうやらアンナに合わせている様で少し遅めになっていた。
 最初にアンナが連れていかれたのは
アンナの部屋。部屋は共同の寮制なので
部屋のドアの隣には金色の塗料が塗られている板に
『アンナ・ロシェンド』『ライリー・ケイトリン』
と彫り込まれていた。

7:鈴 ◆4DCs:2013/11/14(木) 21:02 ID:V6o

 アンナは一人ドアを目の前にして軽く手の甲でノックをする。
力が弱かったせいか小さなノックだった。
だが板一枚挟んだ部屋の向こうから返事が聞こえ
それが聞こえた数秒後ドアがゆっくり開いた。

「新しいルームメイトでしょ入って入って」

 橙に近い髪を一つに結び、色白な肌。灰色に透き通る目。
この『ノーマル・ブレイブ』の女性兵士は美しい人ばかりだと
アンナは感じる。

「制服届いてたから貴方の寝床に置いといたよ」

 椅子に座りながら剣を赤い布で手入れをするライリーは
その言をいうときアンナの方を見るが
終わった後再び剣の手入れに戻った。
アンナは東と西に二段ベッドがあるが東はライリーの寝床らしいので
西の壁際に置いてある二段ベッドに足を進ませた。
 下段のベッドに紺色のブレザーと雪のように白いブラウス
そして紅色のネクタイ、白い長ズボン、靴下、黒いブーツの一式が置いてあった。
 だがアンナは気づく。ライリーと全く制服が違う。
彼女は緑色のブレザーに白いシャツ、黒いズボンと茶色のブーツだった。

「あ、制服違うでしょ。それねー第六期のだから
 私は第一期から居るからさ。期生によって制服違うんだよね」

 ライリーは剣を仕舞い、南側のドアの方の壁に盾と共にかけた。

__ふとアンナは窓を見ると明るい昼の日差しが部屋を照らしていた。
その太陽の少し離れた先には白い雪のような満月が小さく浮かんでいた。

第一章 悪夢 終幕

8:ブラック ◆Gozk:2013/11/17(日) 09:35 ID:jBM

来てみました。

上手いですね、ビックリです....!!

9:鈴 ◆4DCs:2013/11/17(日) 12:27 ID:V6o

>>8いやいやまだまだですよ(´・ω・`)
コメントありがとうございます。
小学生の文才では難しいものですね
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第二章 警報 

 アンナが『ノーマル・ブレイブ』に
入団して一年が経つ春の夜中だった。
__時は午前二時を指す。
既に就寝しているアンナとライリーは
次の瞬間煩い警報で目を覚ます。
__アンナにとってこの警報は今まで聞いたこともなかった。

「__戦争が始まるわよ」

 ライリーはそういい盾の裏に仕込まれていた銃二個を
左右両方の腰にある銃専用の入れ物に銃を押し込んだ。
 盾と剣を持ち、鎧を着てドアを飛び出す。
アンナもライリーと同じ様に両方の腰の入れ物に
銃を押し込み盾と剣を持ち鎧にすぐ着替え飛び出る。

__謎の爆発音と熱風。
この城内の何処かが爆弾により
被害を受けているのだろう。

外に出ると迷彩柄の服を来た男女が
横の列になって構えている。
前列と二列目にはバズーカを持った
敵軍が居る。その数約百名は居るだろう。
「撃てぇええ!! 」
 アンナ達の兵士の指揮官であり
訓練兵長のキルは女性らしい声でだが
大声でそう叫んだ。
 次々に聞こえる銃音、そして剣と剣が互いに返す音。
自軍の爆弾の導火線に着火する音も聞こえる。

目の前は赤い。地面は敵軍の血に
自軍の死体、血に染まっていく。
 アンナとライリーは死んだ兵の分も生き残り、
次々と敵軍を倒していった。
自軍の数はまだ千名は居るだろう。
敵軍はもう既に六十名程になっていた。

__血に染まった地面見てただアンナは
怒りと、決心と、悲しさそれだけの
感情で剣を振っていた。

10:若葉 ◆4DCs:2013/11/17(日) 19:27 ID:V6o

 気がつけば敵軍は消えた。
『ノーマル・ブレイブ』第二期生と思われる人々は
死体の処理に追われていた。
「第一期、第三期生か第六期生までは自室に戻るように! 」
 指揮官のキルはそう呼び掛ける。
空を見上げれば朝日が上がり暗い夜は
もう跡形もなく消え去っていた。

「__ライリー朝が来た」

「そうだな。あーあ
 今日もまたこの城の警備員か」
 ニッと笑いながらライリーはそういう。
彼女の冗談に不思議とアンナも一緒に笑った。
「んじゃあ戻ろうか」
 ライリーはアンナの腕を引き
多少強引にも城内にある寮へと連れていかれた。
 城は爆弾により少し壊れていたが普段の生活に
支障をきたすことは無いようだった。

 部屋に戻ると、窓から朝日が流れ込み
部屋は橙色に塗られている様に色付いていた。
 鎧を脱ぎ、制服に着替えて武器の手入れに入るライリーは
武器の手入れをしながらこう言った。
「戦争なんてしたくない」
 少し眉を寄せて言った事から
彼女は恐らく過去に戦争によって
何かを失ったのだろうとアンナは察する。

11:鈴 ◆4DCs:2013/11/20(水) 19:05 ID:V6o

「ねぇ……アンナ……少し良い? 」
「何……?? 」
「……この訓練兵段から一つ上の階級に上がる方法って知ってる??

 __それはね。最も我が兵団を勝利に導き
 最も『強い力』を持つ者」

 少しゆっくりとした口調で彼女は話し、
話し終えたあと少し微笑んだ。
「だから私はいつまで経っても訓練兵なのかしらねー」
 けらっと笑ってるがアンナの目には
ライリーの悲しみというのが
手に取るかの様に分かった。
 そしてアンナは自分の手をぎゅっと握りしめ力を込めて
今にも『心』に触れたら壊れそうな
ライリーの心に響く様に大声で言った


「__ライリーは強いから。
 誰よりも貴女は強い! 」

「……貴女には分かんないでしょ?
 大事な妹を戦争で亡くした気持ちなんて!! 
 私は弱虫の泣き虫で妹さえも守れなかった屑だ! 」

 それを言うライリーの目には
大粒の涙が浮かび、それは頬へと伝い床へと落ちていく。
うつ向く彼女に何も言えないアンナはただ悔しいという気持ちで一杯一杯だった。

12:吹雪 ◆4DCs:2013/11/23(土) 15:58 ID:V6o

「私は強くなる。弱い貴女を守り抜いてみせる」
 アンナはライリーの目を見て言った。
それは心にまで届くようにという
アンナの想いが込めてあった。

「何で妹と同じ台詞を言うのかな……
 アンタはさ…………」

 小さくしゃがんでライリーはそう言った。
その小ささは触れたら消えそうな程小さくて弱々しくて
誰よりもそんな彼女を守りたいという
想いがアンナに芽生えた気がした。

「私が女王になったら次期女王、
 ライリーに任せるから」

 アンナはそう言って自分の剣の手入れを
涙流しながら行っていた。
声を殺して、幼くて弱い自分を殺すように
静かに、静かにアンナは泣いていた。

__警報。それは戦の合図であり
美しく散るために鳴る合図でもある。

第二章 警報


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