an isolation ward

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1: ◆oU.M:2013/11/10(日) 14:15 ID:1jE

足音しか聞こえない
のども渇かない
おなかも減らない
ただ、ただ前に続いている
この、出口の見えない一本の廊下をどれだけ走ったのだろうか。

2: ◆oU.M:2013/11/10(日) 14:53 ID:1jE

「宿題はー? 終わったのー?」
「だから終わったって! うるさいなぁ!」
二階にいる母親が、三階にいる私にさっきしてきた質問をまたしてきた。
何故、母親というものはオウムのように同じことを繰り返し言うのだろう。
私、水谷香織(MzutaniKori)。ごく平凡な高校一年生の女の子!
……と、某真剣にセミに濁点をつけるところの漫画もしくは少女漫画ばりの自己紹介を、心の中でする。
ベットに寝転び、snsに母親に対する愚痴を書きながら。

「母親がうざい」という話題で盛り上がって二時間が経った。
ふと眠気を感じ、部屋の端に吊るされた時計を見ると、もう深夜の一時。
睡眠時間が短いと胸が大きくならないんだョ、ネットで見かけたそんな一言を思い出す。
べつに自分の発展途上の胸にコンプレックスを感じているわけではないが、お風呂は明日でいいか、と思い寝ることにした。
携帯に充電器を挿し、布団をかぶり、眠りについた。

3: ◆oU.M:2013/11/12(火) 20:32 ID:1jE

いったいどれくらいの時間、眠っていたのだろう。
なぜか、いつもと違ってとても長い時間眠りについていたような、不思議な感覚。
母親の、
「はやく起きなさい!」
の声は聞こえない。
……まさか。寝坊した!?
あまりにも目覚めないから呆れてもう仕事行っちゃった!?
そう思うと眠気も一気に吹き飛び、固く閉じられていた瞼の錠前も破壊され、ベットから飛び起きる。

……ん?
何だ、ここは。
私がこの目で見たのは、完全に私の部屋ではない景色。
壁も床もビックリするほど白い
前も後ろも何もない、私の起きたベッドもない。
誰もいない。
ただ、廊下のようなものが前後どちらも、見えないところまで、とてもとても長く続いている


──ある小さな村に、一人の少女がいた。
そしてその村に、老婆の姿をした「恐怖」が訪れた。
恐怖は少女に言った。
「お前は皆に嫌われるのは怖いかい?暗闇は、狼は、怒られるのは」
「離れ離れになるのは、死んだりするのは怖いかい?」
少女は、
「うん。」
と返事をし、こう続けた
「おばちゃんもこわいね、おばけみたい」
恐怖は
「そうかい、私がこわいのかい」
「お前は可愛くて正直なこだね。ならもう二度とお前には会わないようにしよう」
と言った。
「やったー、おばちゃんこわいからもう会いたくないからうれしいな」
その瞬間、少女は真っ白な空間に閉じ込められた。
「ここ、どこ? ママ、パパはどこ?」
少女は泣いた

「可哀想な子……」
そう、恐怖は呟いた──

4: ◆oU.M:2013/11/16(土) 19:05 ID:1jE

とりあえず、その場に座り込んで考えてみる。
なんなんだろう? ここは。
……夢? でもしっかりと意識はあるし、頬をつねっても痛くない……と、頬をつねりながら確認する。
うーん、わからない。
服は寝たときの部屋着のまま、私の周りには誰も居ないし何もない。

座っているだけでは何も分からなかった。
「じゃあ、探索してみますか」
そう呟くと、立ち上がって壁を触る。何もない。
床を触る。何もない。
付近には何もなかったので、とりあえず左の方へ進んでみることにした。

……どれだけ進んだのだろう。でもそれが結構な距離があることだけがわかる。
走っても、歩いても、相変わらず何もない。
壁も床もびっくりするほど白い。
「こんなの無理ゲーだよ!! ヒントがなきゃ脱出ゲームは成立しないよ!」
床に寝転び、そう叫ぶ。
現実か夢か、もしくは異世界かもしれない場所で。


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