毎日非日常。

葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧 [書き込む] Twitter シェアする? ▼下へ
1:とかげ ◆y4Oc:2013/11/15(金) 17:46 ID:ffE

お久しぶりです。
とかげです。

ごめんなさい。
こうとだけ言っておきます。

◆プロローグ◆

 前までは、いつも通りの日常だった。
__ただ、“あの事”がきっかけで、私達の日常は『非日常』へと変わった。





毎日日常。
でも、毎日非日常。

2:とかげ ◆y4Oc:2013/11/15(金) 18:04 ID:ffE

 退屈だ。毎日が日常すぎて、退屈だ。
「朝陽!!」
「えっ」
 私は、突然視界に現れた紙飛行機を、片手で受け止めた。
「もう、誰!!」
私は椅子から立ち上がり、教室を見回した。すると、一人の男子が、慌てた様子でつっ立っているのが見えた。私はその男子の元へ、ずかずかと歩き出した。
「や、ごめん。たまたま朝陽の方に飛んでいって」
 その男子__小林 港は、ますます慌てた様子で口を開いた。
「やっぱりあんたね!!これからは二度と私の方に飛ばさないで」
私は怒鳴った。
「……や、うん」
ちょっとびっくりした。そんなに怒ったつもりじゃなかったのに。__しかし、これも日常のうちだった。
 喧嘩とかひっぱたき合いなんて、いくらでもする。むしろ、しないのが非日常なくらい。
 私は机へと戻った。後ろに振り向くと、港が他の男子と戯れて遊んでいる。その姿を見て、私はちょっとホッとした。まさに日常だ。
 せっかくの昼休み、しばらく私は、寝ることにしよう。

 キーンコーン……、と、嫌なくらいに聞いている音が鳴り響く。
 私は目を覚ました。昼休みが終わったのだ。
「さてと」
 私は次の授業の準備をしようと、面倒臭がりながらも、机の中から教科書やらノートを引っ張り出した。
 __その時だった。

3:とかげ ◆y4Oc:2013/11/15(金) 18:17 ID:ffE

ドンッ__という、まるで何かが爆発でもするかのような音がした。それも、私が座っている窓際の席の方から……、つまり、グラウンドの方から。
「おい、今何か聞こえたよな!?」
「うん、聞こえた!!先生に言おうよ!!」
辺りからは、そんな声ばかりが聞こえる。一体、何が起きたのだろう。まさか……自殺!?そんな考えが頭に思い浮かんだからか、一気に寒気がした。恐い。
「先生、先生!!」
 誰かが先生を連れて来たのか、廊下の方から声がする。
「何だ、何だ?」
教室には、担任ではない、別のクラスの担任の先生が入って来た。先生は落ち着いた様子で、私の方へ向かって来る。そして、私の机に手を付き、窓を覗き込んだ。今まで恐くて見れなかった私も、思わず、窓の方を見てしまった。

4:とかげ ◆y4Oc:2013/11/16(土) 11:24 ID:ffE

「……何もないぞ」
耳元で、低い声が聞こえる。確かに、先生の言う通りだった。何もない。何も……、え?__私は、自分の目を疑った。グラウンドのはじっこの方に、何やら小さな人影が見える。横になり、うずくまっているようだ。
「先せ……」
私は小さく、声を発した。しかし、もう先生は廊下に出ていた。私はどうしようもなく、あの人影のことがただ気になっていた。そして、あの音も。
 キーンコーン……、と、またチャイムが鳴る。
 私ははっと我に返った。教卓の前には、先生が立っていた。そして、私の隣の席に、港が座った。
「ねえねえ」
 私は港に声をかけた。
「さっきの音。港も気づいたでしょ?」
ちょっとした期待をし、わくわくしながら問いかけた。
「ああ」
「……」
普通の答えすぎて、少し腹が立った。私は、さっきよりも小さな声で、尋ねた。
「グラウンドに、人影があったの。一緒に、見に行かない?」
港は、少し驚いた顔をして、しかしすぐに落ち着いた表情に変わった。私は子供心に、ものすごくわくわくしていた。
「分かった。お前、保健委員だろ。とりあえず俺に合わせとけ」
「えっ」
港からの同意を得たものの、突然の言葉に戸惑った。確かに私は、保健委員だけど……。
 訳が分からずボーッとしていると、突然港が立ち上がった。
「先生、俺、頭痛いんで保健室行って良いっすか」
軽い言葉使いで、港が言う。
「ああ、行きなさい。えーと、保健委員は……」
“保健委員”という言葉に、ピンときた。そういうことか。
「はい、私です」
私はガタッと言う音をたてて立ち上がり、手を挙げた。
「それじゃあ立川、小林を保健室に連れて行ってやりなさい」
「はい」
私が小さな声で答えると、港は無表情で、私の方に振り向く。うおっなんだこいつ、とか思いながら、私は港について行く。

5:とかげ ◆y4Oc:2013/11/17(日) 09:26 ID:ffE


 てくてく、てくてく。
 私は、港の大きい足を見ながら、ただただ歩いてゆく。心臓が高鳴るのを、感じながら。
「朝陽」
 そう呼ばれて、私は顔を上げる。目の前には、階段があった。
「危ねえぞ、お前。ちゃんと前見ろ」
「はあっ!?わ、分かってるよっ」
カチンときて、思わず大きい声を出す。港のやつ〜。
「しっ。ほら、急ぐぞ」
港は唇に人差し指を立て、私に背を向けて階段を駆け降りる。私は少しムッとしながらも、港の後に続く。

 __階段はあっという間だった。気がつくと、目の前には昇降口が広がっていた。ひんやりと冷たい廊下。せっせと上履きを脱いでいると、すでに港は靴を履き、背筋を伸ばして立ち尽くしていた。
『もう、分かったってば。』
何も言われていないのに、思わず心の中で、返事をする。港は私の厄介者で、訳もない突っ込みを言われるのが、日常だった。

6:とかげ ◆y4Oc:2013/11/17(日) 21:02 ID:ffE

靴に履き替え、古い木の板の上を通り越す。思ったより外は寒くて、手がひやっとする。グラウンドには誰もいない。私達だけだ。
「……人、どこにいるんだろうね」
 私は、独り言のように、ぽつりと呟いた。港は黙ったまま、ざっ、ざっと砂を踏みしめる。
 授業なんて、どうでも良いや。なんだか、はじめて自由な気持ちになった。当たり前の日常から、解放された気分。さっきの音と人影といい、ちょっぴり不思議な感覚。
「おい、あれ見ろよ」
 __私は、我に返った。
 港は、体育館の方を指差す。確かにあそこは、私が人影を見た場所だ。よーく目を凝らしてみると、明らかに人だ、という物体が、地面に覆い被さっていた。私は急に恐くなった。けれども、やっぱりわくわく感は消えない。人間の本能だ。
 私は、その『人らしき物体』の方へと、ゆっくりと近づいてゆく。港も、私のすぐ横に立ち、一緒に歩く。
「……!!」
その物体との距離は、だいたい50mくらいだった。近くに来たから分かったが、その物体……いや、人らしきものは、水色の髪をしていた。綺麗な水色だ。私は、もっともっと、近づいた。そして、その人らしきものとの距離は、もうほとんどなかった。

7:とかげ ◆y4Oc:2013/11/17(日) 21:23 ID:ffE

……びっくりした。やっぱり綺麗な水色の髪で、ショートカットヘア、さらに目をつぶっているのだが、とても美しい顔立ちだった。何より驚いたのが、首から下までをすっぽり覆った、白い全身タイツを着ていることだった。それは、ものすごく非現実的なものだった。港も、すごく驚いた顔をしている。もはや当たり前だ。
「……あ、私……」
 急に頭がぼーっとしてきた。か細い声を発したものの、自分でもよく分からなかった。気づいたら『朝陽!!朝陽!!』なんていう声が聞こえてきて、ああ、港の声だ。って、気づいたのは聞こえた数秒後だ。

8:とかげ ◆y4Oc:2013/11/18(月) 16:32 ID:ffE


「……ひ!!……さひ!!…………朝陽!!!!」
「わっ」
 突然大きな声が聞こえ、私はびっくりして飛び起きた。
 目の前には、港がいた。
「おい朝陽、お前目覚めたのか」
 港のその一言で、私はさっきまでの過程を思い出した。__まず、私はあの水色の髪をした人らしきものを見つけた。そして、急に頭がぼーっとして、意識がなくなった。ここまでは覚えている。ただ、その後が……。
「あら、立川さん、目が覚めたのね」
「……先生」
 突然、部屋のドアが開いたかと思うと、保険医の、神山先生が入ってきた。
「あの、私、一体……?」
 思うままに、尋ねた。
「小林君が、『朝陽が倒れた』って言って、ここに連れて来たものだから、ベッドに寝かせてあげたのよ。熱を計ったら、38度あったわ」
「え……」
港が、そんなことを……?それに、38度も熱が……。確かに、おでこを触ってみると、やけに熱い。
 それに、神山先生が来て、ここが妙に薬品くさい理由が分かった。ここは、保健室だったんだ。
 そういえば最初に、港が具合悪いふりして、グラウンドに出てったんだなあ。港じゃなくて、私が具合悪くなっちゃったけどね。

9:とかげ ◆y4Oc:2013/11/18(月) 17:16 ID:ffE

「……」
「……」
 急に、静かになった。
「……っと、あの……俺達のことって……」
 待ってましたと言わんばかりに、港が口を開いた。少し、焦った口調で。私は、なんのことか分からなかった。
「ええ、そのことなら、ちゃんと先生に口止めしておくわ」
神山先生は、落ち着いて答える。もしかして、勝手にグラウンドに出ていったこと?まあ、確かに、担任の先生とか、色んな先生に言われちゃたまらないけど……。……っていうことは、神山先生は、私達の見た『水色の髪の人っぽいもの』のことを知ってるのかな……?あれから、どうなったのかな……?

 __“異世界。”

 急に、そんな言葉が頭の隅っこをよぎった。
 まさかと思う。まさかと思うけど、もしかしたらあれは、“異世界”から来た人だったりして……。……__いいや、あり得ない。異世界なんて、存在しない。でも、分からない。そんなの、分からない。もう一度、確かめに行きたい。

10:とかげ ◆y4Oc:2013/11/19(火) 17:33 ID:ffE

「先生、私、もう一度確かめに行きたいです」
 私はそう言った。神山先生は、驚いた顔をしていた。そして、港も。
「……駄目よ。まだ、熱があるかもしれないし」
先生は言った。私をわざと行かせないようにしているのではなく、本気で心配して。
「そうだぞ、朝陽。でも……朝陽がどうしても、って言うんなら……」
港が、私を納得させるかのように言った。しかし、最後の一言が気になった。本当に、良いのだろうか。私は行きたい。でも、先生は困った顔をしている。
「そうねぇ……。立川さんが本当に行きたいって言うんなら、私もOKするわ」
「本当!?」
私は、つい声をあげてしまった。先生は、くすっと笑った。
「ふふ。ただし、無理しないでね。帰って来たら、早退させることにするから」
私は、こくりとうなずいた。ちょっぴり嬉しかった、もう一度確かめに行けることと、早退できることが。

11:とかげ ◆y4Oc:2013/11/19(火) 17:43 ID:ffE


 私と港は、再びグラウンドへ来た。
 ひんやりと冷たい空気。思わず唇が震える。
「あの場所だ」
 港が、体育館の方を指差す。やっぱり、そこには例の『水色の髪』がいた。ぱったりと倒れている。
 私達は、もう一度近づいてみる。やっぱり綺麗な顔だ。でも、なんだかそれが恐くて、仕方がなかった。妖しさがあった。
「……」
 私は、黙って水色の髪を触ってみた。
「……!!」港は、ぎょっとした。突然、私が髪を触ってみたから、びっくりしたのだろう。
……サラサラしていた。手で熊手をつくるようにして、髪を軽く“とく”ようにしてみると、する__っと流れるように抜けるのだ。どうりで、こんなに綺麗な髪だ。また、それが水色だということが、さらに不気味、不思議さを漂わせていた。いいや、むしろその髪が、全体的な“恐ろしさ”を表現していた。

12:漣 ◆WOJE:2013/11/19(火) 19:53 ID:uwA

お邪魔します。
私、小説コンテストというものをしているのでよかったら推薦を。
http://ha10.net/test/read.cgi/novel/1384855318/l50

13:とかげ ◆y4Oc:2013/11/20(水) 17:04 ID:ffE

>>12
招待ありがとうございます。
利用させていただきました。

14:とかげ ◆y4Oc:2013/11/20(水) 17:13 ID:ffE

 恐い。恐かった。私の脳みそに、ある考えがよぎった。もし、この“謎の人”が、突然目を覚ましたら、どんなに恐ろしいだろう。これは、今までプレイした、どんなにスリルのあるゲームよりも、ずっとずっと、恐かった。
 私は、港の方を見た。少し、ビクッとした。しかし、その眼が見ていたのは、私ではなく、私よりも奥の方だった。
「……朝、陽……?」
顔がひきつっている。私の顔も、ひきつった。一体何が起きたのかは、予想できた。恐い。恐い、恐い、恐い恐い。私は、思いきって、バッ、と後ろに振り返ってみた。
「わぁ____ぁ!!!!」
思わず私は、声をあげた。それも、かなりの大声を。……やっぱり、居た。そこに、立って“居た”んだ。水色のショートヘア、綺麗な顔立ち、すらりとした、細い長身。どうすれば良いか、分からなかった。

15:漣 ◆WOJE:2013/11/20(水) 17:45 ID:KvY

結果発表の日時は決まってないので決まったしだい書き込みます。

16:とかげ ◆y4Oc:2013/11/20(水) 17:47 ID:ffE

>>15
分かりました。
了解です。

17:とかげ ◆y4Oc:2013/11/20(水) 18:00 ID:ffE

「……__?」
 少女。そう、『少女』は、訳の分からない言葉を、発した。なんだか、よく漫画だとかで見かける……『○$▲×♭◆』みたいな、言葉だった。やっぱり、恐かった。でも、最後の音が少し高かったので、私達に質問しているんだと、なんとなく分かった。
 少女は、何かに気づいたかのように、目をぱちくりさせて、ふう、と、溜め息をついた。かと思いきや、白い首出し全身タイツの、小さいスリットのような所から、小さなカプセルを取り出した。私の頭中は『?』一色で、それが何なのか考えている間に、少女はカプセルを呑み込んだ。
「!!」
ますます『?』、だった。後ろの港も、びっくりしていた。
「あなた達は、誰?」
「__え」
 急に、見知らぬ声がした。声を発したのは、少女だった。……?日本語、だ。まさしく、それは日本語。聞き慣れていて、話慣れている、日本語。なぜ、彼女が日本語を話しているのだ。それに、それに、それに……。それに、なんだろう。頭の中がぐっちゃぐちゃだ。ますます『?』、が増えた。

18:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/11/21(木) 14:08 ID:ffE

「あなた達は、誰なの」
透明感のある、透き通った声。ぼんやりと、空気に溶け込んでいって、響くような。彼女は、表情を崩さぬまま、私達を見つめている。
「……私は、立川 朝陽」
とりあえず、答えておいた。
「俺は、小林 港」
港も、同じように言った。すると、少し間が空いてから、少女の眉が、ピクッ、と動いた。
 細い髪が、揺れる。少女は、私達の方へと、つかつかと歩み寄ってきた。びっくりしながら、少し身を退けると、
「私は、ラヲナス=アナ」
と、何故か自己紹介し始めた。私は、黙って聞いていた。
「私は、とある異次元……、“異世界”と言ってもいい。そこから、来た。10000年に一度の才能の持ち主を、調査しに探しに来るため。その私は、その特殊部隊の、したっぱだ」
突然、わけの分からぬことを言われても、さっぱりだった。異世界?10000年に一度の才能の持ち主?特殊部隊?一体何のことなんだ。熱がまだひいていないのか、またくらくらしてきた。
「ちなみに、10000年に一度の才能の持ち主というのが、あなた達2人だ」
……私、が?10000年に一度の才能の持ち主だって?……あり得ない。そんなわけ、あるはずがない。港だって、きっとそうだ。港だって、きっと困った顔をしているはず__
「え、それ、本当なのか……!?」
……はずだった。港は、目をキラキラと輝かせ、いかにも、わくわくしている様子だった。男子中学生の考えることである、自分が特別だとでも思ったのだろう。私は、少女の言うことが信じられない。

不器用で。

どこにだっている、平凡な私。


そんな私が、特別な存在なわけがない。

19:漣 ◆WOJE:2013/11/21(木) 18:32 ID:TuE

突然ですが・・・今日、結果発表です・・。
すいません

20:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/11/22(金) 14:24 ID:ffE

>>19
謝ることないですよ。

結果、見ました。
まだまだだということですね。
もう少し進めてから、また推薦します。

21:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/11/22(金) 14:34 ID:ffE

「……とにかく、私はしばらく、こっちの世界に居ることにする」
 少女が、渋々とした声で言った。我に返った私は、こくりとうなずいた。迷惑にならないのなら、別に構わない。『今は、構わなかった。』
 少女が、私を避けて、すっと斜めに、一歩前に出る。
「後で、またここに来て」
彼女は、そう言った。私は、「うん」と言う。

『今思えば、なんて面倒なことをしたものか、と思う。何故、この後どうなるのか、予想しなかったものだろう。私は馬鹿だ、普通の人間ならあり得ない、“非日常”を過ごすことになるなんて……。そう考えると、やっぱり、私は“アナ”の言うとおり、特別な人間なのかもしれない。』

その時、アナが初めて、微笑んだ。

22:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/11/22(金) 15:25 ID:ffE

 私と港は、保健室に戻って来た。外と違って、部屋の中は、暖かかった。
 神山先生には、アナのことは、秘密にしておこう、と思っていたけれど、先生だって、他の人には、私達のことを話さない、って言ってくれたんだから、私も、話すことにした。それよりも、とにかくこのことを、誰かに知ってほしかった。私は、さっきまでのことを、全て話した。
「……へぇ、なるほど。まるで、夢みたいね。異世界、だなんて」
先生は、笑った。ちょっぴり、不思議だった。普通、大人なら、『くだらないことを言うのをやめなさい』、とか、誰もが言うと思っていた。自分達の体験した出来事を、『夢みたい』って思ってくれて、嬉しかった。
「先生は、こういうの……信じるんですか?」
港が尋ねた。私と、同じ考えのようだ。先生は、目をつぶり、ゆっくりと口を開けた。
「あなた達が言うんだもの、信じないわけがないでしょ。先生はね、あなた達がみんなに秘密のことを、私にだけ教えてくれて、嬉しいわ」
……私も、嬉しかった。先生のその言葉が、まるで、私達をふんわりと、包んでくれるかのような。やっぱり、先生に話して、良かった。

23:漣 ◆WOJE:2013/11/22(金) 16:20 ID:zv2

第2回も頑張ってください^^
とかげさんのご作品、期待しています☆

24:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/11/23(土) 10:59 ID:ffE

>>23
はい。
ありがとうございました。

25:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/11/23(土) 11:15 ID:ffE

 その後、私と港は、早退させてもらった。私は熱がある、港は急用ができた、という理由で。先生は、「明日はちゃんと来てね」、と言ってくれた。
 そして、私と港は、再びアナの元へ来た。
「……来たのね、朝陽、港」
 氷のような声で言う、アナ。長いまつげが、閉じたまぶたを覆う。
「私達、一体どうすれば良いのよ」
本当に、どうすれば良いのか、分からなかった。“アナ”という存在と、どのように関わっていけば良いのか、分からなかった。
「私は、これから1年間、この世界に滞在しなければならない。その間に、二人を調査するが為に、生活する場が必要だ」
っていうことは、これからは、アナと一緒に生活することになるのか。なら、家が必要になる。家、家、いえ……。
「わ、私の家でも、乗っとるつもり」
港は明らかに男だし、少女のアナが、一緒に生活するといったら、ちょっと考えなければならない。気を使わずに居れる家、っていうのは、私の所しかない。__そういうことなの、アナ!?
「誰も『乗っとる』など言っていない。親が良いと言うのなら、私は朝陽の家で生活する」
アナが、まるで小事のように言う。こっちにしてみれば、大事だ。ウチには、母と父と、兄が居る。三人とも人が良いから、ちょっと心配だ……。

26:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/11/24(日) 08:53 ID:ffE

「とにかく、朝陽の家に案内してくれ」
アナは、もう勝手に話を決めてしまっている。私の意見は、無視ってことなのね……。
「……分かった。その代わり、駄目だったら、ちゃぁーんと諦めてよ?」
念には念を、だ。きっぱりと言ってやった。でも、多分その意味は、なかっただろう。『どうせ、どうなるかは、決まっていたのだから。』

 私と港、それからアナは、私の家へとたどり着いた。
 平凡な一軒屋。ここに、アナが住み着く__居候するとすれば、私の生活は、どうなってしまうのだろうか。
「うっわ、朝陽の家、久しぶりだな」
 港が言う。港とは、幼稚園からの付き合いだ。俗に言う、『幼馴染み』ってやつなのか。
 私は、渋々と家の鍵を開ける。ガチャッ、という、乾いた金属音がする。
「誰?」
家の奥から、お母さんの大きな声がする。私は、答えることなく、長い廊下を突き進んでいった。二人が、私の後を追い、歩いてくるのが分かった。
「朝陽?」

27:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/11/25(月) 17:26 ID:ffE

少しかすれた、聞き慣れた声が、また聞こえた。ああ、なんて説明すれば良いのかな……。
 リビングに来ると、お母さんが、びっくりした様子で、コーヒーを飲んでいた。そりゃそうだろう。突然、学校に居るはずの娘と、そのクラスメイトの幼馴染みと、見知らぬ美少女が、押し掛けて来たのだから。
「朝陽、あんたどうしたの……、それに、港君も……」
お母さんは、アナの方にチラリと目をやった。ほんの小さく、会釈しながら。
 背筋に、ひやりとした汗が流れた。もう、どうにでもなってしまえ。私は、学校を早退したことと、アナがうちに住む、ということを、お母さんに話した。

「……ふうん、なるほどね。アナちゃん。うちだったら、……全然構わないからね」
「え、ちょ、お母さん……!?」
突然の言葉に、私は息を呑んだ。
「……朝陽?」
うっ……。お母さんは、いくら人が良いといっても、娘の私は……逆らえない。
 __そんなわけで、私の家に、異世界から来た、謎の美少女が居候することになった。

28:林檎:2013/11/25(月) 17:40 ID:tGo

きゃ〜!!!
とかげ〜♪
逢いたかった〜♪((実際には逢ってないww

I Love Toka((黙

とかげの方が相変わらず上手いわ〜
見習います…

てかとかげって私より年上?!
こんな上手い小説書くし……

こう見えても私…中一だよ…笑

29:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/11/25(月) 18:08 ID:ffE

>>林檎
久しぶりー(o ´∀`o)
まあなw

I Love Rinn((

上手くないよw
とんでもない…

えっ同じやんw
俺も中1なんだわ。w

30:霧臘 ◆WOJE:2013/11/25(月) 19:59 ID:js2

結果発表しまーす。
またまた突然ですが...。
あっ漣です。名前変わりました^^

31:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/11/27(水) 11:04 ID:ffE

>>30
了解です。

32:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/11/27(水) 11:23 ID:ffE

「っていうか、アナちゃんは、一体どこから、どういう理由でここに来たの?」
「いっ、それは……」
なんて説明すれば良いのだろうか。まさか、『異世界から来た』、だなんて、言えるわけがない。お母さんの眼差しが恐くて、腰が抜けそうだ……。__その時。
「おばさん、私、日本で暮らす為に、外国から来たんです」
アナが、思いもよらぬことを言った。『こればっかりは、アナに感謝しなくてはな。』
「ああ、外国から。こっちで暮らす為っていうのは、ホームステイするってこと?」
アナが、こくりとうなずいた。なんとかアナが誤魔化してくれたものの、緊張がほぐれない。
「でも、普通、ホームステイ先って、決まってるものじゃないの?」
お母さんが、不思議そう__いや、何かを探り当てるかのように言った。確かに、アナが言ったのは、現実味のないものだ。もし、答えられなかったら、どうしよう……。
「あ、いや、その……、元々は俺の家に来るはずが、猫アレルギーだから、無理だって……」
港が、かなり慌てた様子で言う。『そうそう、港にも感謝しないと。』もう、めちゃくちゃだった。無理がある。確かに、港の家では猫を飼っているけれど。

33:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/11/28(木) 18:16 ID:ffE

「ああ、そうなの……、まあ、良いわ、あんまり長く聞いててもらちが明かないし、しばらくここでゆっくりしてて」
お母さんは、急に立ち上がると、お茶を淹れに、台所へ行った。私は、思わずホッとした。どうなることかと思い、ずっと、体が固まっていた。
「アナ、港、座ってよ」
私は、二人に席を勧めると、思いきり背伸びした。ああ、疲れた……。今日は、いつもより早く寝よう。きっと、ぐっすり眠れる。
 アナの秘密。それから、これから一体どうなるのかは、まだ、分からない。ただ、今分かるのは……__これから、普通じゃあり得ない、とんでもない非日常が待っているってこと。

多分、きっと、



       そうだと思う。

34:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/11/29(金) 17:27 ID:ffE


 ピピピピピピピ……__、と、何やら聞き慣れた機械音が聞こえる。
「ん……」
 私は、反射的に、自分の右上に手の平を叩きつけた。すると、音が止んだ。
「朝、か」
 視界がはっきりしないが、とにかく、ベッドから降りた。床がひんやりとして、足が冷たい。私は、そのまま部屋のドアを開け、廊下へと出た。
「朝陽、ご飯出来てるわよ」
「ふぁい」
 廊下のむこう__キッチンから、お母さんの声がする。やがて、やわらかな光が見えてきた。
 椅子に座ると、テーブルに置いてあったのは、目玉焼きと、ご飯と、味噌汁だった。いつもの光景だった。ただ、いつもと違うのは……
「オハヨウ」
目の前に、アナが居たことだった。

35:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/11/29(金) 18:56 ID:ffE

「お……はよう」
その瞬間、はっ、と目が覚めた。そうだ。昨日、アナが家に来たんだった。そう、そしてあの後__

みんなでちょっとお茶飲んで、港は帰っていって……

んで、私とアナは留守番、お母さんは、色々必要なものとか買いに行って、慌てて学校に転入届けとか出して……

それで、やっと、……やっと、寝たんだった。

__「どうした、朝陽。手が止まってるぞ」
 アナに声をかけられ、私は我に返る。ってか、こいつのパジャマ……
「ちょっ、お母さん!!これ、私の新しいパジャマじゃん……っ」
私は、驚きのあまり、大声を出してしまった。
「はあ?まだあんたが着てないから、アナちゃんに貸してあげたんでしょ。ちゃんと次は買うから」
お母さんは、面倒臭そうに言う。ああもう、ふざけないでよ。楽しみにしてたのに。私は怒りで、ご飯にがっつく。

36:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/11/29(金) 19:07 ID:ffE

「っはよー……」
 ガチャ、と、乾いた音がするとともに、声がした。それは、お兄ちゃん__立川 穏(ヤス)、高校2年生__の声だった。
「お兄ちゃん、はよ」
 私は、お兄ちゃんに“一応”、挨拶した。
「っはよ、チビ」
「チ……っ」
暇なときは、喧嘩相手になるお兄ちゃんにそう言われ、腹が立ち、立ち上がってしまった。
「おう、馬鹿座れ」
「……っ」
言い返せなかった。お兄ちゃんめ。私とお兄ちゃんは、いつもこんな風に、喧嘩……というか、言い合いをしている。
「あ、この子がアナちゃん?よろしく」
 お兄ちゃんは、アナに気づいたようで、軽く、あくまで軽く、挨拶した。ったく、いい加減な兄貴なんだから
 一方、アナの方も、お兄ちゃんに気づいたようで、「よろしく」、と、控えめな挨拶をした。

37:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/11/29(金) 19:20 ID:ffE

「テレビ、テレビ」
 お兄ちゃんはそう言うと、テレビのリモコンを手に取り、電源を付けた。
『ええー、昨日はシンガーソングライターの山田 美苗さんと、ASKAさんのコラボコンサートが行われたそうで……』
 ニュースキャスターは、淡々とした口調で話す。ニュースなんて、つまらないけど……。
「私、この歌の人、ちょっと好きなんだ」
何気なく、言ってみた。お兄ちゃんは、ふーん、という風に、私を見る。少しムカッときた。
「馬鹿、お兄ちゃんだって、好きな歌手いっぱいいんでしょ」
私はお兄ちゃんの方を見て、嫌味っぽく、言ってみた。
「は!?意味分かんねぇよ、何だよ突然!!」
お兄ちゃんは、必死で反論している。
「うるっさい、黙れくそ兄貴っ」
ちょっと、キツく言ってみた。あかんべをしながら。
「うるっさいのは、そっちだチビ妹っ」
お母さんは、「馬鹿ねぇ」、という顔をしている。

日常だ。


私、私達の、ごくごく普通の、当たり前の、日常。

『だけど、非日常でもあった』。



アナが、私達を、白い目で見ていた。

38:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/11/30(土) 10:00 ID:ffE

>>37はオマケ入りです
気づく人、居ますかねー
◆*::◆::*◆::*◆::*◆::*◆::*◆
「あ、アナちゃん、食べ終わった?じゃあ、こっちに持って来て」
 テレビの音しか聞こえない、と思ったら、お母さんが声を発した。アナの茶碗を見ると、綺麗に空っぽになっていた。アナは、ゆっくりと立ち上がり、台所へ、茶碗を持って行った。

 …びっくりした。

アナが、しらーっと、私達の姿を見ていたから。


これが、『非日常』なのだろうか。

「__ほら、朝陽も早く持って来なさいよ」
「あ、はい……」
 私も、アナと同じように、茶碗を持って行った。そのとき、アナとすれ違った。
「今日から調査、するぞ」
寒気がした。耳元で、そう囁かれたのだ。調査するって、どうやって?何を?不安で不安で、たまらない。やっとアナと、馴染めてきたと思ったのに……。

39:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/12/01(日) 10:01 ID:ffE

「二人とも、早く歯、磨いて、着替えなさいよ」
「ふぁーい……」
 お母さんにそう言われたので、私はあくびをしながら返事をした。うう、眠……。私は洗面所へ向かった。アナも一緒に、ついてきた。

 私は自分の歯ブラシを取ると、ほんの少し、歯磨き粉をチューブから絞り取った。すると、後ろにいたアナも、私の真似をして、新品の水色の歯ブラシを取り、チューブの中身を出した。そして、私がゆっくりと、口へ運び、歯を磨くと、アナも同じようにした。
「……」
「……」
 沈黙が続いた。シャコシャコ、シャコシャコ、という音しかしない。不思議な時間だった。日常の、はずなのに。“いつも”だったら。

40:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/12/01(日) 10:27 ID:ffE

 私は、『もうそろそろいいだろう』、と思い、水を出して歯ブラシを洗い、うがいをした。口の中がすっきりして、気持ちが良かった。アナも私の姿を見て、同じようにした。なんだか、可笑しかった。誰かが誰かの真似をして、誰かが誰かと同じことをする。まるで、小さな子供のやっていることのようで。思わず『クスッ』と笑った。
「……そうだ、アナ、あんたの部屋は?」
 唐突に、疑問に思ったことを、聞いてみた。
「前まで空いてた部屋があったらしい。そこを、私の部屋にした」
なるほど、と思った。うちの家は、マンションなのだが、廊下の天井に、ロフトへ続くはしごが仕舞ってある。そのはしごを上ると、またひとつ廊下があり、そのわきに、部屋が三つあるのだ。そのうち二部屋が、私と兄の部屋で、もう一つ余った空室が、今、アナの部屋だというわけだ。
「じゃあ、早く着替えに行こう」
 私は、はしごのある方へ向かった。

41:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/12/02(月) 18:23 ID:ffE


 天井には、白い“とって”が付いていた。私はそれを掴むと、ぐいっ、と下に下ろした。すると、__ガタッ、という音と共に、はしごが下りてきた。
「アナ」
私はそう言うと、はしごの端を掴み、ギシギシと音を発て、ロフトへと登っていった。登り終えると、後ろからも、ギシギシと音が聞こえた。アナも、登ってきたのだ。
「……ふう」
 アナは、少々息を切らしているようだった。
「もう疲れたの?運動してないでしょ!!」
「いや、……確かにそうだ。でも、運動神経は人一倍だ。ただ、こっちの世界に居ると、疲労が凄い。しょうがないことだ」
なんだか、わけの分からないことを突然、話された。だから、「い、いいよ、もう」と、私は話に区切りをつけた。しかし、アナは運動神経が良いのなら、頭はどうのだろう、そう思ったりもした。

42:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/12/03(火) 19:12 ID:ffE

「じゃあ、早くアナの部屋に行こう」
 私は、アナを少し、急かしてやった。
「何故、私の部屋に来る必要がある」
「えっ……」
冷静な質問をされて、正直、……困った。なんて答えればいいのだろう。『なんとなく』?
「や、……なん、でだろう」
素直に、私はそう答えた。アナは呆れた顔をして、ため息をついた。
「これだから、こっちの人間は、何も考えないのだな」
……え?なんだか少し、ムッときた。それじゃ、まるでアナが特別みたいじゃんよ。確かに、確かにアナは特別なのかも、しれないけれど。ていうか、特別なのは、私の方なんじゃなかったのかよ。馬鹿にされたようで、無性に腹が立った。

43:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/12/04(水) 20:05 ID:ffE

「まあ良い。早くしないと遅れるぞ」
「……う、うん……」
変な奴……。っていうか、何であんたが偉そうに『遅れるぞ』とか言うわけよ!!ああもう、腹立つなぁ。
 私は、わざとドタドタ音を立てながら、廊下を進み、自分の部屋に入った。
「うるさいわよ!!」
ドアを閉めると、お母さんの怒鳴り声が聞こえた。もう、やだ。すごくイライラする。
 私は、クローゼットを思いきり開け、制服を取り出した。
「なんで私が……」
なんて、ぶつぶつ独り言を言いながら、制服に着替えた。

44:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/12/06(金) 17:06 ID:ffE

「よいしょ」
私は、靴下を履き、着替え終えた。
 __その時。ヴヴヴヴヴ、というケータイのバイブ音と、着信音が鳴った。私は、棚の上に置いてあった白いケータイを手に取ると、画面を確認した。港からの、メールだった。

to 朝陽
from 港

おい、ちゃんと準備できてるか?w
7時45分には公園に居ろよー。

来なかったら置いてくからな( `∀´)w

「……」
港のやつめ。いちいちメールしてこなくても分かってるよ。……私と港は、毎日近所の公園で、待ち合わせして学校に行っているのだが、いつも港は、こんな風に、私をからかったメールを送ってくる。もう、いい加減返信する気が失せる。私は、見なかったことにした。

45:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/12/07(土) 10:27 ID:ffE

 私は鞄とケータイを持って、部屋を出ると、急いではしごを下りた。廊下をバタバタと駆け、ドアを開けてリビングに出た。
「お母さん今何時」
私は少し息を切らしながら、お母さんに尋ねた。
「7時……えっと、25分」
「やばっ……」
もう時間ないじゃん。私は急いで、洗面所へ向かった。

そこにあった、大きな鏡を見ると、私の姿が現れた。髪はかなりボサボサだった。
「仕方ない……、学校行ってからにするか!!」
私はそう決心すると、上着を着て、鞄を背負い、玄関のドアを開け、「行ってきまーす!!」と、大きな声で言った。

 __これも、私の日常のひとつだった。


いっつも港との約束に遅刻しそうになって、慌てて家を出る。

でも、なんだかわくわくしてたまらないんだ。なんでだろう?

46:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/12/09(月) 16:58 ID:ffE


 私は、マンションの外へ走って出ると、車や人で溢れているマンション街を、見渡した。いつもの景色だった。
……出来事だけでなく、景色、色、におい。それらでさえも、『日常』になる。今の景色は、日常ではあるが、何かが違うんだ。……そうだ、アナがいる。異世界から来た、普通じゃ有り得ないこと。それが存在している世界にいる私は、何の混じり気も無い、日常を過ごしていることになるのだろうか……?きっと、違う。これは、非日常だった。

 気づいたら、私しか知らない、秘密の抜け穴を走っていた。毎日、公園に行くために通っている、狭い道だ。もう、からだが覚えてしまっているんだなぁ。自分でも、ふしぎだった。

「おい、朝陽、遅いぞ!!」
 聞きなれた声がした。

47:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/12/11(水) 20:52 ID:ffE

 前を向いたら、小さな公園があった。毎日、毎日見ている。茶色い土の上に立っているブランコには、港が座っていた。
 私は、駆け足で、港の方へ向かった。
「朝陽、なんでメール返信して来ないんだよ」
「おはよ……、だって、めんどいし」
 はぁ、と港は溜め息をついた。この野郎……。
「ま、いいよ。早く行こうぜ」
 港の口から、白い息が出た。試しに、息を吐いてみたら、私の口からも、白い息が出てきた。もう、冬だ。寒い寒い、冬だ。
「大丈夫か?カイロあるぞ」
「えっ」
 予想外の発言に、びっくりした。カイロ、ほ、欲しい……。でもコイツのことだから、どうせ意地悪するんだろうなぁ。
「欲しい、けど要らない」
私は、きっぱりと答えた。
「え、いいのか?カイロ2つあんだけど」
「マジっ?!」
てか、港、本気だ。意外すぎる。やっぱりコイツと一緒に居て良かった……!!__私は、心の底から、そう思った。

48:Love&Peace:2013/12/12(木) 14:11 ID:1fI

面白いですね!

よかったら私が書いている
「スクール革命。」にも来て下さい!

49:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/12/13(金) 17:16 ID:ffE

>>48
ありがとうございます!

時間が空いたら行きますね(´ ・ω・`)

50:ネォ:2013/12/13(金) 17:59 ID:D7U

とかげ-*'∀')!ネォだょ-*-ω-)..!

面白ぃっ!頑張ってね*´Ч`)g(♪

51:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/12/16(月) 16:14 ID:ffE

>>ねお
ねおー(* ´D`*)

ありがとう!
頑張るぜL(´ ・ω・`)

52:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/12/16(月) 16:23 ID:ffE

「アサヒ!!」
 __私がカイロを受け取ったその時、聞き覚えのある、透き通るような声がした。
 後ろに振り向くと、そこには、アナがいた。なぜ、彼女がそこに……?
「アナ、何でここに居るの?」
私はそう、尋ねた。
「__テレパシーで、朝陽の居る位置を、指定した」
『テレパシー』。現実味の無い言葉だ。一瞬、夢でも見ているんじゃないかと、自分を疑った。いや、でも、アナは異世界から来たんだし、テレパシーがあってもおかしくはない。……でも、そう考えると、アナが異世界から来たっていうことも、全て嘘なんじゃないかと、思ってしまう。
「テレ、パシー……?」
でも、私は聞いた。あの、訳の分からない言葉を。アナの口から発せられた、“異世界の言葉”を。私は、ごくりと唾を呑み込んだ。
「……分かった。でも、なんでテレパシーなんて使ったの?」
そんなの、何だか“つけられて”いるみたいで、すごく嫌だった。
「私を、置いていったから」
「……!!」
その途端、私は恥ずかしくなり、物凄く顔が熱くなったのが分かった。馬鹿だ。そんなこと、聞くんじゃなかった。そう、後悔した。

53:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/12/20(金) 17:14 ID:ffE

「……でも、アナってすげぇな」
 港が、ようやく口を開いた。……確かに、そうかもしれない。アナは、ここの人間(?)ではないし、だからこそ、テレパシーなんてものが、使えるのかもしれない。すごい。すごいよ。今、初めて実感した。私達は、すごい体験をしている……!!急に、なんだか嬉しくなった。
「さてと、遅刻する。早く行こうぜ」
 私は、はっとした。いけない。学校に行く途中だった。
 そしてゆっくり、口を開けた。
「アナ、行こ」
彼女は、こくりと小さくうなずくと、歩き出した港の姿を追い、歩み始めた。



 ……まだ、心を完全に開いては、くれないか。

__ちょっぴり寂しく、残念に思った。

 まだ、会って間もない私達とアナだけど、いつか、いつか心から笑いあえるような……。気づいたら、私はそんなことを求めていた。
 にっ、と私は微笑むと、遠い二人の、遠い背中を追い、走った。
「おーい、置いてくなー!!」
そう叫び、笑った。ちゃんと、心から笑えているかは、分からないけれど。

54:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/12/24(火) 16:49 ID:ffE


「はー、暑……」
 私達は、学校の校門の前に居た。たくさん走ったので、息が切れて、苦しい。からだがポカポカしてきた。
「ここが『ガッコウ』、というやつか」
 アナが、少し興味を示したようだった。グラウンドでは、ジャージを着た男子生徒が、サッカーや野球の朝練をしていた。中には、アナのことを気にかける人もいた。「あれ1年?」「何かスタイル良くね?」などという、ヒソヒソ声も聞こえてきた。確かにアナはスタイルが良いし、綺麗な顔立ちは、とても1年生だとは思えない。
 そんなことを考えいる間に、何故だか分からないけれど、教室の前まで来ていた。

55:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2013/12/28(土) 12:35 ID:ffE

 港が、ドアをガラッと開けた。教室には、既にクラスメイトが数名居た。
「おー港!!おはよう」
「おはよー」
 クラスのお調子者ともいえる存在、前田 唯斗(ユイト)が、港に挨拶を交わした。唯斗とその友達は、朝からトランプをしていた。うちの学校では、カードゲームが禁止なのだが、先生に見つかったらどうするんだろう。馬鹿だなぁ、と、私は心の中で思った。
「朝陽ちゃーん、おはよう!!」
 教室の端から、聞き覚えのある声がした。
「桃菜!!おはよう!!」
村井 桃菜。みんなから慕われている、可愛げのある子だ。
 彼女はニコッと笑い、
「みーなとー。ちょっと朝陽借りてくねー」
と、ふざけたように言った。えっ、ちょっと……。マジで、何すんの?

私は、桃菜の隣の席の椅子に座らされた。そして、おもむろに私の耳に顔を近づけ、小さな声で言った。
「あの女の子、誰?」

56:とかげ´・ω・` ◆y4Oc:2014/01/10(金) 18:06 ID:ffE

「え?」
私は、桃菜が指差した方向を見た。そこには、アナが居た。……そういえば、アナって教室に居て、大丈夫なのかな。
「ね、朝陽、誰?」
「あっ、ごめん」
桃菜は相当気になっているようで、早くして、と私を急かした。私は、ちょっと迷っていた。でも、やめた。後でどうせ分かるんだし、わざわざ説明するのも面倒臭い。
「あー……、後で分かるよ」
とりあえず、私はそう言った。桃菜は、まさに「はあ?」というような顔をしていた。
 __その時。
 教室のドアがガラッと開き、私達は思わず、そっちを見た。そこには、私達のクラスの担任、高橋先生がいた。

57: ◆y4Oc:2014/01/17(金) 18:12 ID:ffE

 先生は、こっちへつかつかと歩いて来た。……と思ったら、アナの方へ、進路を変えた。
「えっと……、尾崎 亜奈さんですか?」
そんなの、聞いたこともない名前だった。だけど、『ANA』という発音に、何となくピンときた。しかしアナは、少し戸惑っているようだった。けれど、ちょっとしてから、しっかりとうなずいたのが、はっきり見えた。
 先生は、「ちょっとこっちへ」、と手招きをし、アナを教室から出した。
 前田達と港は、特別に気にするような素振りはなく、ただトランプをやっていた。先生は、気づいていかったっぽい。そして、やっぱり桃菜は、「はあ?」という顔をしていた。


書き込む 最新10 サイトマップ